明 細 書
樹脂組成物およびそれを用いた記録材
技術分野
[0001] 本発明は、特定のポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルァ ルコール系重合体 (A)および平均粒子径が 1 μ m以上である非晶性シリカ(B)から なる榭脂組成物に関する。
背景技術
[0002] ポリビュルアルコールで代表されるビュルアルコール系重合体(以下、ビニルアル コール系重合体を「PVA」と略記することがある)は水溶性の合成高分子として知ら れており、その強度特性を利用して合成繊維ビニロンの原料に用いられ、また、その 優れた皮膜形成能、界面活性能、水素結合形成能などの特徴を利用して紙加工剤 、繊維用糊剤、分散剤、接着剤およびフィルムなどに利用されている。中でも紙加工 用途に関してビュルアルコール系重合体は、一般紙の表面サイズ剤、アート紙'コー ト紙のアンダーサイズ剤、蛍光染料の分散剤、インクジェット記録材における充填材 のバインダーなどとして、印刷物の品質向上のために利用されている。
[0003] 最近では、インクジェットプリンターの利用が拡大し、商業印刷におけるカラープル ーフ、デザイン分野におけるデザインイメージ出力、オーバーヘッドプロジェクターの 原稿などにインクジェット記録材が使用されて 、る。これらインクジエト記録材としては 、マットタイプのインクジェット記録材、光沢タイプのインクジェット記録材に大別される
[0004] マットタイプのインクジェット記録材は、紙またはフィルムなどの基材の表面にインク 受理層を設けたものであり、インク受理層の構成物質としては、主としてインク吸収機 能を有する多孔性フィラーと親水性バインダーから構成されて 、る。このマットタイプ のインクジェット記録材に要求される特性としては、インク受理層が十分な接着強度を 有しシリカの脱落が少ないこと、インク吸収性が高いこと、印字後の滲みが少ないこと などが挙げられる。
[0005] マットタイプのインクジェット記録材への上記要求に対し、多孔質フイラ一としてゲル
状シリカもしくは沈降性シリカを用い、親水性バインダーとしてはポリビュルアルコー ルを含有する、インク受理層を設けた記録材が知られている(特許文献 1)。前記記 録材は、好ましくはシリカおよびポリビニルアルコール力もなるコーティング剤を基材 に塗工して得られる。
[0006] この他の従来技術として、塗工性に優れ、かつ加工後の表面光沢性を向上させる ことのできる紙用加工剤として、ォキシアルキレン基を有するビニルエステル系榭脂 を主剤としてなる紙用加工剤が知られている(特許文献 2)。また、インク受理性、にじ み防止性、光沢性、耐候性等の印刷適正に優れた記録シート用榭脂組成物として、 ォキシアルキレン基含有ポリビュルアルコール系榭脂 (A)及びカチオン性基含有ポ リビュルアルコール系榭脂(B)を含有してなる榭脂組成物が知られて ヽる(特許文献 3)。さらに、印字後の耐水性に優れ、かつ長期間保存してもコーティング層のインク 受理性能が低下しな 、インクジェット用記録シートとして、アミノ基を含有するポリビ- ルアルコール系榭脂 (A)およびォキシアルキレン基を含有する榭脂組成物を支持基 材中または支持基材表面に有してなるインクジェット用記録シートが開示されている( 特許文献 4)。
[0007] し力しながら、従来のインクジェット記録材およびそれに用いられる榭脂組成物には
、幾つかの問題点が残されている。すなわち、上述のように記録材は好適には基材 にコーティング剤を塗工することによって得られる力 S、ポリビュルアルコールおよびシ リカからなる榭脂組成物を含むコーティング剤は増粘しやすぐ高濃度化が難しかつ た。このため、前記コーティング剤を塗工後の乾燥工程で多量の水を蒸発させる必 要があり、乾燥負荷が大きくなるという問題点がある。また、従来のインクジェット記録 材は、インク吸収性および滲み性に更なる改良の余地があった。さらに、ロール状に 巻き取られたインクジェット記録材をシート状に裁断する工程では、脱落したシリカ紛 による品質低下を起こす場合があり、シリカの脱落を効果的に抑制するためには、ィ ンク受理層中のシリカ同士およびインク受理層と基材とを強固に接着する必要がある 。し力しながら、従来のインクジェット記録材では、充分な接着強度が得られていなか つた o
[0008] 特許文献 1 :特開平 10— 175369号公報
特許文献 2:特開昭 60 - 181398公報
特許文献 3:特開 2003— 26885公報
特許文献 4:特開 2003—154746公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明は、低粘度かつ高濃度の分散液を得ることが容易であり、当該分散液を基 材に塗工した際に、インク吸収性、滲み防止性および接着強度が優れる記録材が得 られる榭脂組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明によれば、上記課題は、下記の一般式 (I)
[0011] [化 1]
(R1は炭素数 1または 2のアルキル基を表し、 R2は水素原子または炭素数 1一 4のァ ルキル基を表し、 nは 1一 100の整数である。)で示されるポリオキシアルキレン基を 有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体 (A)および平均粒子径が 1 μ m以上である非晶性シリカ(B)力もなる榭脂組成物であり、 (A)と(B)の合計 100 重量部に対し、(A)を 10— 50重量部、(B)を 50— 90重量部含有する榭脂組成物 によって解決されることが見出された。
[0012] このとき、前記ビニルアルコール系重合体 (A)中の全単量体単位に対するポリオキ シアルキレン基を有する単量体単位の含有量 S (モル0 /0)が 0. 01— 1モル0 /0であるこ とが好適である。より好適な実施態様では、前記ビニルアルコール系重合体 (A)の 粘度平均重合度 Pと、前記ビニルアルコール系重合体 (A)中の全単量体単位に対 するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量 S (モル%)との積 P X Sが 下記式(1)を満足する。
5< P X S< 1500 (1)
[0013] またこのとき、前記ビニルアルコール系重合体 (A) 1S 前記一般式 (I)における R1 力 Sメチル基であり、 R2が炭素数 1一 4のアルキル基であるポリオキシプロピレン基を有 する単量体単位を含有することも好適な実施態様である。より好適な実施態様では、 R1がメチル基であり、 R2カ^チル基である。別の好適な実施態様では、前記ビュルァ ルコール系重合体 (A) 1S 前記一般式 (I)における R1がメチル基であり、 R2が水素 原子であるポリオキシプロピレン基を有する単量体単位を含有する。
[0014] 本発明の好適な実施態様では、前記非晶性シリカ (B)が、沈降性シリカまたはゲル 状シリカである。また、前記榭脂組成物がさらにカチオン性重合体 (C)を含有するこ とが好適な実施態様である。また、本発明の榭脂組成物は記録材として好適に用い られる。
[0015] 本発明の好適な実施態様は、上記一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を 有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体 (A)および平均粒子径が 1 μ m以上である非晶性シリカ(B)を含む水性分散液であり、 (A)と (B)の合計 100 重量部に対し、(A)を 10— 50重量部、(B)を 50— 90重量部含有するコーティング 剤である。このとき、固形分濃度が 10— 30重量%であることが好適である。
[0016] また、本発明の好適な実施態様は上記コーティング剤を塗工してなる塗工物である 。具体的には、前記コーティング剤を基材に塗工してなる記録材であり、より好適に はインクジェット記録材である。
発明の効果
[0017] 本発明の榭脂組成物カゝらなるコーティング剤を基材に塗工してなる記録材、より好 適にはインクジェット記録材は、インク吸収性および滲み防止性のみならず、接着強 度に優れているため、インク受理層中のシリカ同士およびインク受理層と基材とが強 固に接着し、シリカの脱落が原因となるトラブル発生を効果的に抑制することが可能 であり、高い工業的価値を有している。また、本発明の榭脂組成物は、低粘度かつ高 濃度の分散液が得られ易いので、乾燥時の乾燥負荷も低減できる。そのため、コー ティング剤としての性能に優れており、前記コーティング剤を基材に塗工してなる塗 ェ物として好適に用いられる。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明に用いられるビュルアルコール系重合体 (A)は、上記したように、下記の一 般式 (I)
[0019] [化 2]
1
(R1は炭素数 1または 2のアルキル基を表し、 R2は水素原子または炭素数 1一 4のァ ルキル基を表し、 nは 1一 100の整数である。)で示されるポリオキシアルキレン基を 有する単量体単位を含有するビュルアルコール系重合体である。前記ポリオキシァ ルキレン基の R1としては、本発明の榭脂組成物を溶液とした時の粘度を低下させら れる観点から、メチル基であることが好ましい。また、一般式 (I)で示されるポリオキシ アルキレン基の R2としては水素原子およびメチル基であることが好ましぐより強力な 接着強度を得る観点力もは、メチル基であることがより好ましい。
[0020] 本発明に用いられるビュルアルコール系重合体 (A)においては、ポリオキシアルキ レン基を有する単量体単位中のォキシアルキレン繰返し単位の数 nは 1一 100の整 数である。ォキシアルキレン繰返し単位の数 nが 100を超える場合には、前記ビュル アルコール系重合体 (A)の水への溶解性が低くなり、本発明の榭脂組成物からなる 分散液の安定性が不充分になる。前記 nは、 5 <n< 80を満たすことが好ましぐ 8< n< 50を満たすことがより好ましぐ 10 <n< 40を満たすことがさらに好ましぐ 15<n < 35を満たすことが特に好ましい。ォキシアルキレン繰返し単位の数 nが 5を超える 場合、接着強度に優れ、かつ高濃度化した場合にも粘度の低い分散液を得ることが できる。
[0021] 本発明に用いられるビニルアルコール系重合体 (A)の粘度平均重合度 P (以下、 重合度と略記する)には特に制限はないが、通常 50— 10000であり、好ましくは 100 一 8000であり、より好ましくは 300— 5000である。本発明の好適な実施態様は、本 発明の榭脂組成物力 なるコーティング剤を塗工してなる塗工物でありより具体的に は、前記コーティング剤を基材に塗工してなる記録材である力 前記ビニルアルコー
ル系重合体 (A)の重合度が 50未満の場合には、非晶性シリカ(B)同士のバインダ 一としての接着強度および基材との接着強度が充分に得られな 、虞がある。一方、 前記ビュルアルコール系重合体 (A)の重合度が 10000を超える場合には、本発明 の榭脂組成物カゝらなるコーティング剤を高濃度化した場合に、コーティング剤の粘度 が高くなりすぎて取り扱いが困難になる虞があり、かつ、前記コーティング剤を基材に 塗工する際に均一な塗工層が得られに《なる恐れがある。
[0022] 本発明に用いられるビニルアルコール系重合体 (A)にお!/、て、一般式 (I)で示され るポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位の含有量 S (モル0 /0)は、ビュルアル コール系重合体の全単量体単位に対して 0. 01— 1モル%であることが好ましい。本 発明の榭脂組成物において、より優れた接着強度を得る観点からは、前記ポリオキ シアルキレン単位を有する単量体単位の含有量 S (モル0 /0)の下限は、 0. 03モル0 /0 以上であることがより好ましぐ 0. 05モル%以上であることがさらに好ましぐ 0. 07モ ル%以上であることが特に好ましぐ 0. 08モル%以上であることが最も好ましい。一 方、本発明の榭脂組成物カゝらなるコーティング剤を高濃度化した場合における粘度 低減の効果を重視する場合は、前記含有量 S (モル%)の上限は 0. 9モル%以下で あることがより好ましぐ 0. 8モル%以下であることがさらに好ましぐ 0. 6モル%以下 であることが特に好ましぐ 0. 4モル%以下であることが最も好ましい。
[0023] また、本発明に用いられるビュルアルコール系重合体 (A)は、ビュルアルコール系 重合体の粘度平均重合度 Pとポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量 S (モル%)の積 (P X S)が、下記式(1)を満足することが好ま 、。
5< P X S< 1500 (1)
前記 P X Sが 5を超えるビュルアルコール系重合体 (A)を用いることにより、より接着 強度に優れた榭脂組成物を得ることができる。また、前記 P X Sが 1500未満のビ- ルアルコール系重合体 (A)を用いることにより、本発明の榭脂組成物からなるコーテ イング剤を高濃度化した際の、粘度低下効果をより顕著に奏することができる。
前記 P X Sは、下記式(1 ' )を満足することがより好ま 、。
50< P X S< 1000 (1 ' )
また、前記 P X Sは、下記式(1 ' ' )を満足することがさらに好ましい。
100< P X S< 800 (1 " )
[0024] 本発明に用いられるビュルアルコール系重合体 (A)のけん化度には特に制限はな 、力 80— 99. 99モノレ0 /0であること力好ましく、 85— 99. 9モノレ0 /0であること力 ^より好 ましぐ 88— 99. 5モル%であることがさらに好ましい。該ビュルアルコール系重合体 (A)のけん化度が 80モル%未満の場合またはけん化度が 99. 99モル%より大きい 場合には、ビニルアルコール系重合体 (A)の水に対する溶解性が低下し、その結果 、本発明の榭脂組成物力もなるコーティング剤の取扱いが困難になる虞がある。
[0025] 本発明で用いられる、上述の一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する 単量体単位を含有するビュルアルコール系重合体 (A)の製造方法としては、特に限 定されるものではな 、が、一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量 体単位を含有するビュルエステル系重合体をけん化する方法が挙げられる。ポリオ キシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体の製造方 法としては、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビュルエステル系単量 体とを共重合する方法が好まし 、。
[0026] 一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、下記 の一般式 (II)で示される不飽和単量体が挙げられる。
[0027] [化 3]
3
R R
C H 2 = C— A C H 2— C H—〇
(R1は炭素数 1または 2のアルキル基を表し、 R2は水素原子または炭素数 1一 4のァ ルキル基を表し、 R3は水素原子またはメチル基を表し、 Aはカルボ二ルォキシ基を表 し、カルボ-ルイミノ基、ォキシ基、アルキレンォキシ基などの 2価の連結基を表す。 ) [0028] 一般式 (II)で示される不飽和単量体の R1としてはメチル基が好ま 、。また、一般 式 (II)で示される不飽和単量体の R2としては水素原子、メチル基およびブチル基が 好ましぐ水素原子およびメチル基がより好ましい。さらに、一般式 (II)で示される不 飽和単量体の R1がメチル基であり、 R2カ チル基であることが特に好まし 、。
[0029] 例えば、一般式 (II)の R2が水素原子の場合、一般式 (II)で示される不飽和単量体 として具体的には、ポリオキシプロピレンモノアタリレート、ポリオキシプロピレンモノメ タクリレート、ポリオキシプロピレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシプロピレンモノメタク リル酸アミド、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメタ ァリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノビニルエーテル、ポリオキシブチレンモノア タリレート、ポリオキシブチレンモノメタタリレート、ポリオキシブチレンモノアクリル酸ァ ミド、ポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシブチレンモノアリルエーテル 、ポリオキシブチレンモノメタァリルエーテル、ポリオキシブチレンモノビュルエーテル などが挙げられる。なかでも、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、ポリオキシブ チレンモノアリルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテ ルが特に好適に用いられる。
[0030] 一般式 (II)の R2が炭素数 1一 4のアルキル基の場合、一般式 (II)で示される不飽和 単量体として具体的には、上記の一般式 (II)の R2が水素原子の場合に例示した不 飽和単量体の末端の OH基が炭素数 1一 4のアルコキシ基に置換されたものが挙げ られる。なかでも、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテルまたはポリオキシブチレン モノアリルエーテルの末端の OH基力メトキシ基に置換された不飽和単量体が好適 に用いられ、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテルの末端の OH基カ^トキシ基に 置換された不飽和単量体が特に好適に用いられる。
[0031] ビュルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、 ビバリン酸ビニル、バーサティック酸ビュルなどが挙げられる力 一般に酢酸ビュルが 用いられる。
[0032] 一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステ ル系単量体とを共重合するに際しては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳 化重合法などの公知の方法を採用することができる。その中でも、無溶媒で重合する 塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒中で重合する溶液重合法が通常採用さ れ、高重合度の重合体を得る場合には乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶 媒として使用されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの 低級アルコールが挙げられ、これらの中でメタノールが好適に用いられる。重合に使
用される開始剤としては、 2, 2'—ァゾビスイソブチ口-トリル、 2, 2'—ァゾビス(2, 4— ジメチルバレ口-トリル)、 2, 2'—ァゾビス(4ーメトキシー 2, 4—ジメチルバレ口-トリル) などのァゾ系開始剤、または過酸化べンゾィル、 n—プロピルパーォキシカーボネート などの過酸ィ匕物系開始剤など、公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特 に制限はな 、が、—30— 150°Cの範囲が適当である。
[0033] 上記一般式 (II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体とを共重合さ せることにより、下記一般式 (III)で示される単量体単位を含有するビニルエステル系 重合体が得られる。前記ビニルエステル系重合体は、後述の方法に従ってビニルァ ルコール系重合体へと導かれる。すなわち、本発明に用いられるビュルアルコール 系重合体 (A)は、好ましくは下記一般式 (III)で示される単量体単位を含有するビニ ルアルコール系重合体である。
[0034] [化 4]
(R1は炭素数 1または 2のアルキル基を表し、 R2は水素原子または炭素数 1一 4のァ ルキル基を表し、 R3は水素原子またはメチル基を表し、 Aはカルボ二ルォキシ基を表 し、カルボ-ルイミノ基、ォキシ基、アルキレンォキシ基などの 2価の連結基を表す。 )
[0035] ビニルエステル系重合体のけん化方法としては、従来公知の方法の 、ずれもが好 適に用いられる力 通常は、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液にアルカリ 性触媒または酸性触媒を用いてけん化する方法が採用される。けん化溶媒に用いら れるアルコールとしてはメタノールが好適である。また、けん化溶媒としては、無水物 のみならず少量の水を含むものも目的に応じて用いられるほカゝ、酢酸メチル、酢酸ェ チルなどその他の有機溶媒を含有したものでもよ!/、。けん化温度は通常 10— 70°C の範囲力も選ばれる。けん化触媒としては水酸ィ匕ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、ナトリウ ムメトキシド、カリウムメトキシドなどのアルカリ性触媒が好ましい。けん化触媒の使用 量は、 目的とするけん化度の大小および水分量などにより適宜決められるが、重合体
中のビュルエステル単位に対してモル比で 0. 001以上、好ましくは 0. 002以上であ ることが望ましい。
[0036] 本発明に用いられる非晶性シリカ(B)としては、沈降性シリカまたはゲル状シリカを 用いることが好ましい。前記非晶性シリカ(B)は、ケィ酸ソーダと硫酸等の酸を反応さ せることで得られる。この反応時の温度、濃度などの反応条件の調整により、沈降性 シリカないしはゲル状シリカを選択製造することができる。一般的に、沈降性シリカは 内部表面積が小さぐ高吸油性という特徴があり、ゲル状シリカは内部表面積と細孔 容積が大き 、と 、う特徴がある。
[0037] 本発明に用いられる非晶性シリカ(B)の平均粒子径としては、 1 μ m以上であること が必須である。平均粒子径が 1 μ mより小さい場合は、接着強度、インク吸収性およ び滲み防止性がバランス良く優れるという本発明の効果を奏することができない。非 晶性シリカ(B)の平均粒子径としては、 2— 15 mが好ましぐ 3— 10 mがより好ま しい。平均粒子径が 15 mを超えると、粒子間に形成される空隙が大きすぎる為、ィ ンクジェット記録材の印字濃度が低下する虞がある。
[0038] 本発明の榭脂組成物は、前記ビュルアルコール系重合体 (A)および前記非晶性 シリカ(B)からなり、(A)と (B)の合計 100重量部に対し、(A)を 10— 50重量部、(B )を 50— 90重量部含有する。この榭脂組成物を (A)および (B)のみ力もなると仮定 し、重量%基準に換算すると、(A) 10— 50重量%ぉよび (B) 50— 90重量%となる。 前記 (A)および(B)の配合量としては、(A) 15— 45重量部および(B) 55— 85重量 部であることがより好ましぐ (A) 20— 40重量部および (B) 60— 80重量部であること 力 Sさらに好ましい。前記ビニルアルコール系重合体 (A)の含有量が 10重量部に満た ない場合または前記非晶性シリカ(B)の含有量が 90重量部を超える場合は、充分な 接着強度が得られない。一方、前記ビュルアルコール系重合体 (A)の含有量が 50 重量部を超える場合または前記非晶性シリカ(B)の含有量が 50重量部に満たない 場合は、本発明の榭脂組成物を記録材 (特に好適にはインクジェット記録材)に用い る際に、インク吸収性が不充分になる。
[0039] 本発明の榭脂組成物は、上述の通り好適には記録材として用いられ、特に好適に はインクジェット記録材として用いられるが、その際、本発明の榭脂組成物に、カチォ
ン性重合体 (c)を配合することも好ま 、。カチオン性重合体 (C)を配合することによ り、滲み防止性の効果をさらに顕著に奏することができる。前記カチオン性重合体 (C )とは、カチオン化密度が 2meqZg以上の重合体である。力かる重合体としては、例 えば、水に溶解したときに離解してカチオン性を呈する 1級一 3級ァミンまたは 4級ァ ンモ-ゥム塩を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー力もなり、これらの中でもォ リゴマーまたはポリマーが好ま 、。本発明に用いられる具体的なカチオン性重合体 (C)としては、ジメチルァミン'ェピクロルヒドリン重縮合体、アクリルアミド 'ジァリルアミ ン共重合体、ポリビニルァミン共重合体、ポリアリルアミン共重合体、ジァリル ·ジメチ ル 'アンモ-ゥムクロライド共重合体、ポリエチレンィミン、カチオン基含有変性ポリビ ニルアルコールなどが例示される力 これらに制限されるものではない。前記カチォ ン性重合体 (C)の配合量は、前記ビニルアルコール系重合体 (A)および前記非晶 性シリカ(B)の合計重量 100重量部に対して、 0. 5— 15重量部であることが好ましく 、より好ましくは 1一 10重量部である。
本発明の榭脂組成物は、好適にはコーティング剤として用いられる。より好適には、 本発明の榭脂組成物は、前記ビュルアルコール系重合体 (A)、前記非晶性シリカ( B)および水からなる水性分散液でなるコーティング剤として用いられる。すなわち、 本発明の好適な実施態様は、上記一般式 (I)で示されるポリオキシアルキレン基を有 する単量体単位を含有するビュルアルコール系重合体 (A)および平均粒子径が 1 μ m以上である非晶性シリカ(B)を含む水性分散液であり、 (A)と (B)の合計 100重 量部に対し、(A)を 10— 50重量部、(B)を 50— 90重量部含有するコーティング剤 である。前記コーティング剤の固形分濃度は特に限定されないが、好ましくは 10— 3 0重量%である。低粘度かつ高濃度の分散液が得られることにより乾燥時の乾燥負 荷が低減できるという本発明の効果を顕著に得るためには、前記コーティング剤の濃 度の下限は 10重量%以上であることが好ましぐ 13重量%以上であることがより好ま しぐ 16重量%以上であることがさらに好ましぐ 18重量%以上であることが特に好ま しい。一方、コーティング剤の取り扱い性の観点からは、前記コーティング剤の固形 分濃度の上限は 30重量%以下であることが好ましぐ 28重量%以下であることがより 好ましぐ 25重量%以下であることがさらに好ましぐ 23重量%以下であることが特に
好ましい。
[0041] また前記コーティング剤を塗工してなる塗工物も本発明の好適な実施態様であり、 前記塗工物はより好適には記録材として用いられる。前記記録材は、好ましくはイン クジェット記録材または感熱記録材として用いることが好ましぐ特にインクジェット記 録材として用いることが好まし 、。
[0042] また、本発明の榭脂組成物カゝらなる記録材も本発明の好適な実施態様であり、より 具体的には、前記ビニルアルコール系重合体 (A)、前記非晶性シリカ(B)および水 力 なる水性分散液を抄紙してなる記録材である。
[0043] 本発明の榭脂組成物をインクジェット記録材として用いる場合、本発明の榭脂組成 物は単独で使用してもよぐ他の水溶性または水分散性榭脂と併用してもよい。本発 明の榭脂組成物と併用することができる水溶性榭脂としては、メチルセルロース、ヒド ロキシェチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘 導体、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、ァラビヤゴム 、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビュルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アル ギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステル榭脂、水溶性ポリアミド榭脂、水溶性メラミン榭 脂などが挙げられる。また、本発明の榭脂組成物と併用することができる水分散性榭 脂としては、 SBRラテックス、 NBRラテックス、酢酸ビュル系ェマルジヨン、エチレン Z 酢酸ビュル共重合体ェマルジヨン、 (メタ)アクリルエステル系ェマルジヨン、塩化ビ- ル系ェマルジヨンなどが挙げられる。
[0044] 上記の記録材に用いられる基材としては、従来公知の透明性または不透明性の基 材がいずれも使用できる。透明性の基材としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩 化ビュル、ポリメチルメタタリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セ ロハン、セルロイドなどのフィルム、シート、または透明性の高い紙などが挙げられる。 不透明性の基材としては、一般の紙、顔料コート紙 (アート紙、コート紙、キャストコ一 ト紙)、布、木材、金属板、合成紙、不透明化処理した合成樹脂系フィルムまたはシ ートなどが挙げられる。これらの基材の中でも、特に紙を基材とすることが好ましい。
[0045] 上記の記録材を製造する方法としては、本発明の榭脂組成物および、必要に応じ てインクの定着剤などを、水性媒体に分散させてコーティング剤を調製し、得られたコ
一ティング剤を従来公知のサイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、ノ ーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコ一ターなどを用いて基 材に塗工する方法が挙げられる。ここで、塗工温度については特に制限は無いが、 1 0°C— 60°Cであることが好ましぐより好ましくは 20°C— 60°C、さらに好ましくは 30°C 一 50°Cである。また、基材が紙である場合には、上述の通り、抄紙時に本発明の榭 脂組成物および水力もなる水性分散液を内添する方法も使用できる。
実施例
[0046] 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定され るものではない。尚、実施例中、特に断りのない限り「%」及び「部」は重量基準であり 、「重合度」は粘度平均重合度である。
[0047] I. PVAの製造と評価
下記の方法により PVAを製造し、その重合度 P、けん化度、ポリオキシアルキレン 基を有する単量体単位の含有量 S (モル%)を求めた。
[0048] [重合度およびけん化度]
PVAの重合度およびけん化度は、 JIS— K6726に記載の方法により求めた。
[0049] [ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量]
ビュルエステル系重合体をけん化することにより得られたゲル状物を粉砕後、メタノ ールによるソックスレー洗浄を 3日間実施し、次いで 80°Cで 3日間減圧乾燥を行って 精製 PVAを得た。該精製 PVAを重水溶媒に溶解したものを測定試料とし、 500MH zのプロトン NMR測定装置 (JEOL製; GX— 500)を用いた NMR ^ベクトル測定から 、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量 S (モル%)を求めた。
[0050] PVA-1
還流冷却器、撹拌機、温度計、窒素導入管、後添加液用の仕込み口およびポンプ を備えた 6リットルの反応器に、酢酸ビュル 2232g、メタノール 248g、一般式 (Π)にお ける R1がメチル基であり、 R2が水素原子であり、 R3が水素原子であり、 Aがメチレンォ キシ基であり、ォキシアルキレン繰返し単位の平均値 nが 24であるポリオキシプロピレ ン基を有する不飽和単量体 (ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル(以下、 POPM Aと略記する)) 190gを仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換した。重
合液を加温し、 60°Cで恒温状態になった時点で、 2, 2'—ァゾビスイソブチ口-トリル (以下、 AIBNと略記する) 2. 7gを添加して重合を開始した。重合開始時点より系内 の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、 1. 8時間後に反応器を冷却して重合を停 止した。重合停止時の重合率は 40%であった。得られた重合ペーストを n キサン 中に滴下して重合体を析出させた。析出した重合体を回収してアセトンに溶解し、 n キサン中で析出させる再沈一精製操作を 3回実施した。さらに重合体をアセトンに 溶解して蒸留水に滴下し、煮沸精製した後、 60°Cで乾燥して精製ポリ酢酸ビニル( 以下、 PVAcと略記する)を得た。
[0051] 次に、精製 PVAcの濃度 17. 5%のメタノール溶液を調製した。この精製 PVAcのメ タノール溶液を 40°Cで撹拌しながら、水酸ィ匕ナトリウムの濃度 10%のメタノール溶液 を、 PVAc中の酢酸ビュル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が 0. 02となるよう に添加し、 60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノール〖こ よるソックスレー洗浄を 3日間実施し、次いで 80°Cで 3日間減圧乾燥を行って精製 P VAを得た。該 PVAの重合度およびけん化度を常法の JIS K6726に準じて測定し たところ、重合度は 1700、けん化度は 99モル0 /。であった。また、プロトン NMR^ぺク トル測定から、該精製 PVAにおける POPMAの末端メトキシ置換体単位の含有量を 求めたところ、全単量体単位に対して 0. 2モル%であった。上記にて得られた PVA を以下、 PVA-1と称する。
[0052] PVA-2— 18
重合反応の条件(酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、ポリオキシアルキレン 基を有する単量体の種類およびその仕込み量、重合開始剤の種類および使用量、 重合時間)条件を表 1に示すように変更した以外は PVA— 1と同様の方法により各種 の PVAを調製した。
[0053] II.インクジェット記録材の製造と評価
下記の方法により、インクジェット記録材を製造し、前記インクジェット記録材の接着 強度、インク吸収性および滲み防止性を評価した。
[0054] [接着強度]
インクとして「SMXタックグレード 10」(東洋インキ製造株式会社製)を、試験機とし
て万能印刷試験機 (MODEL MTP10C、熊谷理機製)を用いた。前記インクおよ び前記試験機を用い、前記インク 0. 6ccを、前記試験機のアルミ製ロール (幅 4cm、 半径 3. 2cm)上に均一に塗り広げた後、線圧 40kgZcm、加速度 45mZ秒2の加速 印刷の条件で、得られたインクジェット記録材に対して印刷を行い、記録紙の表面か らシリカが脱落をはじめる印刷速度 (mZ秒)を測定した。
[0055] [インク吸収性]
得られたインクジェット記録材に、インクジェットプリンター(EPSON製: PM— 970C )を用いてブラックインクのベタ印字を行い、その後印字表面をゴム板で擦った際に、 インクが転移しなくなるまでの時間を測定した。
A: 3秒以内でインクがゴム板に転移しな力つた。
B :インクがゴム板に転移しなくなるまで 3— 10秒力かった。
C :インクがゴム板に転移しなくなるまで 10秒以上力かった。
[0056] [滲み防止性]
得られたインクジェット記録材に、インクジェットプリンター(EPSON製: PM— 970C )を用いてマゼンタおよびシアンを重ね打ちしたときのインクの滲みを目視判定した。 具体的操作は以下の通りである。まず、得られたインクジェット記録材に、インクジエツ トプリンター(EPSON製: PM— 970C)を用いて、縦 lcm X横 2cmの長方形の形に シアンをベタ印刷した。次いで、得られた長方形の右半分に重なるように、縦 lcm X 横 lcmの正方形の形にマゼンダを重ね打ちでベタ印刷した。このようにして得られた 、左半分がシアンのみがベタ印刷され、右半分がシアンおよびマゼンダが重ね打ち でベタ印刷された長方形の、左半分と右半分の境界線を中心に、印刷されたインク の滲み具合を目視で観察し、評価を行った。
A:滲みが全く観察されず、良好な画像が得られた。
B :滲みがごく僅かに観察されたが、画像に大きな影響はなカゝつた。
C :滲みが部分的に発生し、画像の品質が損なわれた。
D :滲みが全体的に発生し、著しく画像の品質が損なわれた。
[0057] 実施例 1
ビニルアルコール系重合体 (A)として上記作製した PVA— 1を用い、非晶性シリカ(
B)としてゲル状シリカ(サイロジェット P409:グレース製)を用い、カチオン性重合体(
C)として (C 1) (昭和高分子製:ポリフィックス 700 ;カチオン密度 7. lmeq/g)を用 いた。
なお、上記カチオン性重合体 (C)のカチオン密度は以下のようにして求めた。
[0058] [カチオン化密度の測定法]
試料であるカチオン性重合体 (C) O. 1%希釈液を 3g採取し、指示薬であるトルイジ ンブルーを一滴カ卩えた。この溶液に、濃度 2. 5 X 10— 3規定のポリビュル硫酸カリウム (PVS— K)を滴下していき、等量点 (指示薬が変色し沈殿の凝集が起こる点)に達し たときの PVS— Kの量を測定した。得られた結果を下記の式を用いることでカチオン 密度を算出した。
カチオン密度(meqZg)
= { (PVS-K濃度 (規定)) X (PVS-K滴定量 (mL) ) }Z{ (カチオン性重合体濃度( %) Z100) Xサンプル量 (g) }
= {2. 5 X 10— 3 X (PVS— K滴定量(mL) ) }Z{ (0. 1/100) X 3}
= (PVS— K滴定量 (mL) ) X (5/6)
[0059] 前記 PVA— 1の 10%水溶液を調製した。また、前記ゲル状シリカをホモミキサーに て水に分散し、シリカの 20%水分散液を調製した。得られたシリカのレーザー回折式 粒度分布測定装置 SALD— 1000 (島津製作所)にて測定した平均粒子径は 8 μ m であった。このシリカ水分散液に、シリカ ZPVAZカチオン性重合体の固形分基準 の重量比が 100Z30Z3となるように、濃度 10%の PVA— 1水溶液および前記(C 1)を添加し、必要量の水を添加して固形分濃度 15%のコーティング剤を得た。ここ で、前記コーティング剤は、ビュルアルコール系重合体 (A)と非晶性シリカ(B)の合 計 100重量部に対し、ビニルアルコール系重合体 (A)を 23. 1重量部、非晶性シリカ (B)を 76. 9重量部、さらにカチオン性重合体 (C)を 2. 3重量部含有し、かつ固形分 濃度が 15%である水性分散液でなるものである。
BL型粘度計を用いて 30°C、 30rpmの条件で測定した結果、調製直後の該塗工液 の粘度は 45mPa' sであった。原紙(坪量: 60gZm2の上質紙)の表面に、上記で調 製したコーティング剤を、ワイヤバーコ一ターを用いて固形分換算で 12g/m2の割
合で塗工した後、 100°Cの熱風乾燥機で 3分間乾燥してインクジェット記録材を得た
[0060] 実施例 2— 19および 21
PVAの種類と量、シリカの種類と量、塗工液の濃度および粘度を表 2に示すよう〖こ 変更した以外は、実施例 1と同様にしてインクジヱット記録材を製造した。得られたィ ンクジェット記録材の評価結果を表 2に併せて示す。
[0061] 実施例 20
カチオン性重合体 (C)を使用しな力つた以外は、実施例 1と同様にしてインクジェッ ト記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表 2に併せて示す。
[0062] 比較例 1一 7
PVAの種類と量、シリカの種類と量、塗工液の濃度および粘度を表 2に示すよう〖こ 変更した以外は、実施例 1と同様にしてインクジヱット記録材を製造した。得られたィ ンクジェット記録材の評価結果を表 2に併せて示す。
[0063] [表 1]
重合条件 ビニルアルコール系重合 "A) 酢酸ビニル
ォキシアルキレン基含有単量体 υ メタノーレ AIBN 重合率 けん化度 重合度
P X S
(g) (g) (g) 時間 (%) (モル%) P (モル0 /0)
種類 R1 R2 η 使用量 ) (hr)
PVA— 1 2232 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 24 190 248 2.7 1.8 40 99 1700 0.2 340
PVA-2 2232 ΡΟΡΜΑ メチル メチル 24 190 248 2 2.3 40 98.6 1700 0.2 340
PVA -3 2282 ΡΟΡΜΑ メチル メチル 24 100 198 1.3 1.8 30 98.5 2400 0.1 240
PVA— 4 2400 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 20 150 248 1 4 40 98.3 1700 0.2 340
PVA - 5 2480 ΡΟΡΜΑ メチル ブチル 12 100 248 0.8 3.8 40 99.3 1700 0.2 340
PVA -6 2400 ΡΟΡΜΑ メチル メチル 12 100 248 1.1 2.7 40 98 1700 0.2 340
PVA—フ 2232 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 12 100 248 1 3.1 40 98.5 1700 0.2 340
PVA— 8 2480 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 12 250 0 1 4 40 98.5 1700 0.5 850
PVA— 9 2480 ΡΟΒΜΑ ェチル プロトン 6 66 276 0.8 3.5 20 98.4 1700 0.2 340
PVA- 1 0 2410 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 6 100 74 1 4 20 98.5 1700 0.2 340
PVA—" 1740 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 48 80 744 3.1 3.8 15 98 1500 0.06 90
PVA- 1 2 1240 ΡΟΡΜΑ メチル メチル 24 60 1240 3.8 4.5 45 98.1 650 0.1 65
PVA- 1 3 2280 ΡΟΡΑΑ メチル メチル 12 14 120 0.5 3.5 15 96.9 3600 0.3 1080
PVA- 1 4 2400 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 24 160 0 0.1 1 5 98.5 3600 0.2 720
PVA- 1 5 1680 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 24 40 720 2.3 3 45 98.4 1500 0.06 90
PVA- 1 6 2232 ΡΟΡΜΑ メチル メチル 24 190 248 2.7 1.8 40 83.6 1700 0.2 340
PVA- 1 7 1050 ΡΟΡΜΑ メチル プロトン 12 300 2450 ΝΡΡ ) 2.5 75 98.5 230 1.3 299
PVA- 1 8 2480 ΡΟΕΜΑ プロトン プロトン 8 560 0 0.5 5 20 98.5 1900 0.38 722
1 ) POPMA : ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、 POPAA: ポリオキシプロピレンアクリルアミド、
POEMA : ポリオキシエチレンモノアリルエーテル、 POBMA : ポリオキシブチレンモノアリルエーテル
2) n _プロピルジォキシ力一ポネート(NPP)の 5重量%メタノール溶液を 250mL/hrの割合で重合系に添加
3) S :ポリオキシアルキレン基含有単量体の含有量 (モル%)
ビニルアルコ一ル カチオン 1生
シリカ コーティング剤 インクジェット記録材の評価 系重合体 重合体
粒子径 固形分濃度 粘度 塗布量 インク 滲み 種類 部 種類 2) 部 部 接着強度
(ju m) 種類 3)
(重量%) (mPa-s) (P/m2) 吸収性 防止性 実施例 1 PVA-1 30 P409 8 100 C-1 3 15 45 12 0.99 A A 実施例 2 PVA-2 30 P409 8 100 C-1 3 15 50 12 1.23 A A 実施例 3 PVA-3 30 P409 8 100 C-1 3 15 88 12 1.56 A A 実施例 4 PVA-4 30 P409 8 100 C-1 3 15 61 12 0.91 A A 実施例 5 PVA-5 30 P409 8 100 C-1 3 15 58 12 0.55 A A 実施例 6 PVA-6 30 P409 8 100 C-1 3 15 48 12 1.19 A A 実施例 7 PVA-7 30 P409 8 100 C-1 3 15 56 12 0.86 A A 実施例 8 PVA-8 30 P409 8 100 C-1 3 15 440 12 1.1 A A 実施例 9 PVA-9 30 P409 8 100 C-1 3 15 109 12 0.5 A B 実施例 10 PVA-10 30 P409 8 100 C-1 3 15 46 12 0.55 A B 実施例 11 PVA-11 30 P409 8 100 C-1 3 15 38 12 0.51 B B 実施例 12 PVA-12 30 P409 8 100 C-1 3 15 15 12 0.6 B B 実施例 13 PVA-13 30 P409 8 100 C-1 3 15 162 12 0.76 A B 実施例 14 PVA-14 30 P409 8 100 C-1 3 15 980 12 1.22 A A 実施例 15 PVA-15 30 P409 8 100 C-1 3 15 105 12 0.39 A B 実施例 16 PVA-16 30 P409 8 100 C-1 3 15 40 12 0.91 A B 実施例 17 PVA-17 90 P409 8 100 C-1 3 20 61 12 0.33 B B 実施例 18 PVA-1 30 P409 8 100 C-1 3 20 480 12 1.08 A A 実施例 19 PVA-1 30 X37B 4 100 C-1 3 15 64 12 0.86 A A 実施例 20 PVA-1 30 P409 8 100 使用せず 15 46 12 0.96 A B 実施例 21 PVA-1 30 P409 8 100 C-24) 3 15 53 12 0.9 A A 比較例 1 PVA1171) 30 P409 8 100 C-1 3 15 124 12 0.05 B B 比較例 2 PVA117') 30 P409 8 100 C-1 3 20 1600 12 0.05 B B 比較例 3 PVA-18 30 P409 8 100 C-1 3 15 67 12 0.12 B B 比較例 4 PVA-1 60 P409 8 40 C-1 3 15 450 12 1.56 C B 比較例 5 PVA-1 5 P409 8 95 C-1 3 15 18 12 0.03 B B 比較例 6 PVA-1 30 SN20L 0.045 100 C-1 3 15 28 12 0.03 C D 比較例 7 PVA-18 30 SN20L 0.045 100 C-1 3 15 26 12 0.03 C D
1) PVA117:重合度 1750、けん化度 98. 5モル0 /0の未変性 PVA ((株)クラレ製)
2) P409:サイロ νι'; Ρ409(ゲル状シリカ;グレ一ス製)、 X37B:ファインシ一ル X37B (沈降性シリカ;水澤化学製)、 SN20L: (コロイダルシリカ;日産化学製)
3) C-1:ポリフィックス 700(昭和高分子製)
4) C— 2:メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニゥムクロライド変性ポリビニルアルコール、変性量 1モル0 /。、
ケン化度 98.5モル%、平均重合度 1700、カチオン密度 0. 25meq/g
[0065] 実施例 22
キャスト用塗被液としてガラス転移点 85°Cのスチレン 2メチルへキシルアタリレート 共重合体 100部、コロイダルシリカ 100部、離型剤として大豆抽出物レシチンをノ- オン界面活性剤で乳化したェマルジヨン 2部(固形分として)よりなる固形分濃度が 35 %の塗被液を調製した。このキャスト用塗被液を、実施例 1で得られた塗工紙上に口 一ルコーターを用いて塗被した後、ただちに表面温度が 75°Cの鏡面ドラムに圧接し 、乾燥後、離型させ、インクジェット記録用キャスト塗被紙を得た。この時のキャスト用 塗被液の塗被量は固形分重量で 5gZm2であった。得られたキャスド塗被紙の白紙 光沢は、 87%であった(白紙光沢; JIS— P8142に準じて測定)。
[0066] 表 2の結果から、本発明の榭脂組成物からなるコーティング剤は高濃度化した場合 にお 、ても粘度低減の効果が顕著であり、前記コーティング剤を塗工してなるインク ジェット記録材は、接着強度、インク吸収性および滲み防止性がバランス良く優れて いることが分かる。また、実施例 1および実施例 20の対比から、特に本発明の榭脂組 成物がさらにカチオン性重合体 (C)を含有することにより、さらに滲み防止性に優れ たものとなることが明らかである。
[0067] 一方、 PVAがポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有しない場合は、 塗工層の接着強度が不充分である (比較例 1および比較例 2)。また、本願発明で特 定するものとは異なる構造のポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を有する P VAを用いた場合も、やはり塗工層の接着強度が不充分となる (比較例 3)。また、ビ -ルアルコール系重合体 (A)の含有量が 50重量%を超える場合はインク吸収性が 不充分なものとなり(比較例 4)、一方、ビュルアルコール系重合体 (A)の含有量が 1 0重量%に満たない場合は接着強度が不充分なものとなった (比較例 5)。さらに、非 晶性シリカ(B)として、平均粒子径が 1 mに満たないシリカを用いた場合は、接着 強度、インク吸収性および滲み防止性の 、ずれもが不充分なものとなった (比較例 6 および比較例 7)。