JPWO2020075262A1 - 故障前兆検出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本発明の実施の形態1に係る故障前兆検出装置について説明する。本実施の形態1に係る故障前兆検出装置は、例えば空気調和装置に適用され、圧縮機等の空調に関連する設備機器の故障の前兆を検出するものである。
まず、本実施の形態1に係る故障前兆検出装置1を適用した空気調和装置100の構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係る故障前兆検出装置1を適用した空気調和装置100の構成の一例を示す概略図である。図1の空気調和装置100は、ヒートポンプ方式により、冷房運転または暖房運転を行うものである。
また、本実施の形態1において、空気調和装置100は、故障前兆検出装置1を備えている。図2は、本実施の形態1に係る故障前兆検出装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、故障前兆検出装置1は、特徴量取得部11、温度上昇推定部12、判定部13、記憶部14および報知部15を備えている。故障前兆検出装置1は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
空気調和装置100の動作について、図1を参照して説明する。電力変換装置110によって圧縮機101のモータ101bが回転駆動することによって、モータ101bに連結した圧縮機101の圧縮要素101aが低温低圧の冷媒を圧縮し、圧縮機101は高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機101から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器102へ流入する。
次に、本実施の形態1に係る故障前兆検出装置1による故障前兆検出処理について説明する。空調に関連する設備機器としての圧縮機101においては、通常、軸受等の摺動部に対する油が不足あるいは枯渇して故障が発生した場合に、内部構造の温度が上昇することが知られている。これは、油が不足して摺動部の摩擦抵抗が増加することにより、摩擦による熱が発生するためである。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2では、圧縮機101のモータ101bの消費電力を特徴量として適用した場合について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態2に係る空気調和装置100の構成は、図1に示す実施の形態1に係る空気調和装置100と同様である。また、故障前兆検出装置1の構成についても、図2に示す実施の形態1に係る故障前兆検出装置1と同様である。
実施の形態1で説明したように、圧縮機101の内部構造の温度上昇は、摺動部の摩擦抵抗の増加によって発生する。これにより、圧縮機101のモータ101bのトルクには、通常時と異なる変化が生じる。
まず、本実施の形態2における特徴量としてのモータ101bの消費電力は、式(1)に基づき算出される。式(1)において、「出力」は、電源200からの出力電力である。「効率」は、圧縮機101による圧縮機効率である。
次に、温度上昇量ΔT[℃]は、消費電力と仕様情報とに基づき、式(2)を用いて算出される。式(2)において、電力差ΔP[W]は、2つの計測時点における消費電力の差を示す。継続時間t[sec]は、電力差ΔPを算出する際の2つの計測時点における時間差を示す。比熱c[kJ/kg・℃]は、圧縮機101における軸受等の摺動部に用いられている材料の比熱を示す。密度ρ[kg/m3]は、圧縮機101における摺動部に用いられている材料の密度を示す。体積V[m3]は、圧縮機101における摺動部の体積を示す。比熱c、密度ρおよび体積Vは、記憶部14に記憶された仕様情報に含まれる情報である。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としての1次電流および1次電圧、ならびに、圧縮機101の回転数、吐出圧力および吸入圧力が入力される。特徴量取得部11は、これらの機器関連情報に基づき、式(1)を用いてモータ101bの消費電力を特徴量として取得する。
本実施の形態2の第1の変形例について説明する。第1の変形例では、機器関連情報として、電力変換装置110から圧縮機101のモータ101bに入力される2次入力(2次電力)、ならびに、圧縮機101の回転数、吐出圧力および吸入圧力が故障前兆検出装置1に入力される。機器関連情報としての2次入力(2次電力)は、三相電力計または二電力計法を用いて取得される。特徴量取得部11は、これらの機器関連情報に基づき、式(1)を用いてモータ101bの消費電力を特徴量として取得する。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としての2次電力、ならびに、圧縮機101の回転数、吐出圧力および吸入圧力が入力される。特徴量取得部11は、これらの機器関連情報に基づき、式(1)を用いてモータ101bの消費電力を特徴量として取得する。ステップS2〜ステップS7の各処理については、実施の形態2と同様である。
本実施の形態2の第2の変形例について説明する。第2の変形例では、機器関連情報として、電力変換装置110におけるq軸電流Iqおよびq軸電圧Vq、ならびに、圧縮機101の回転数、吐出圧力および吸入圧力が故障前兆検出装置1に入力される。機器関連情報としてのq軸電流Iqおよびq軸電圧Vqは、電力変換装置110から取得することができる。特徴量取得部11は、これらの機器関連情報に基づき、式(1)を用いてモータ101bの消費電力を特徴量として取得する。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのq軸電流Iqおよびq軸電圧Vq、ならびに、圧縮機101の回転数、吐出圧力および吸入圧力が入力される。特徴量取得部11は、これらの機器関連情報に基づき、式(1)を用いてモータ101bの消費電力を特徴量として取得する。ステップS2〜ステップS7の各処理については、実施の形態2と同様である。
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3では、圧縮機101のモータ101bに供給される三相電力のうち、例えばU相の電流に基づくフレーム間の電力比を特徴量として適用した場合について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1および2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態3に係る空気調和装置100の構成は、図1に示す実施の形態1および2に係る空気調和装置100と同様である。また、故障前兆検出装置1の構成についても、図2に示す実施の形態1および2に係る故障前兆検出装置1と同様である。
圧縮機101におけるモータ101bのトルクは、脱調なき状態での三相電流のうち1相の電流、例えばU相電流と比例関係にある。具体的には、モータ101bのトルクが変化すると、それに応じてモータ101bに供給されるU相電流も変化する。また、U相電流が変化すると、U相電流から得られるモータ101bの電力比Energy_dも変化する。なお、「脱調」とは、モータ101bに対する指示周波数と実際の周波数とがずれることをいう。
まず、本実施の形態3における特徴量としてのモータ101bの電力比Energy_dを算出するために、フレームτにおける電力値Power(τ)が算出される。電力値Power(τ)は、式(3)に基づき算出される。ここで、フレームτは、予め設定されたサンプル数の集合であり、式(3)のxτ(n)は、フレームτにおけるサンプリング時間nでのU相電流を示す。
次に、温度上昇量ΔTは、電力比Energy_dと仕様情報とに基づき推定される。本実施の形態3では、予め設定された電力比毎に、横軸が圧縮機101の回転数であり、縦軸が圧縮機101における冷媒の差圧であるマップが作成される。マップには、電力比Energy_dの変動幅から推定されるモータ101bのトルク変動による発熱量が記載されている。したがって、仕様情報に基づき、圧縮機101における軸受等の摺動部の材料物性を参照することにより、発熱量に対応する温度上昇量ΔTを推定することができる。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのU相電流が入力される。特徴量取得部11は、U相電流に基づき、式(3)〜式(5)を用いて電力比Energy_dを特徴量として取得する。
本実施の形態3の第3の変形例について説明する。第3の変形例では、実施の形態3と同様に、機器関連情報として、電力変換装置110から圧縮機101のモータ101bに供給されるU相電流が故障前兆検出装置1に入力される。そして、入力されたU相電流に基づき、フレーム間の電力比Power_dが特徴量として取得される。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのU相電流が入力される。特徴量取得部11は、U相電流に基づき、式(3)を用いてフレームτにおける電力値Power(τ)を算出する。そして、特徴量取得部11は、算出したフレームτにおける電力値Power(τ)と、直前のフレームτ−1における電力値Power(τ−1)とに基づき、電力比Power_dを特徴量として取得する。
本実施の形態3の第4の変形例について説明する。第4の変形例では、実施の形態3および第3の変形例と同様に、機器関連情報として、電力変換装置110から圧縮機101のモータ101bに供給されるU相電流が故障前兆検出装置1に入力される。そして、入力されたU相電流に基づき、フレーム間のU相電流の実効値(RMS)の差分値である差分実効値RMS_dが特徴量として取得される。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのU相電流が入力される。特徴量取得部11は、U相電流に基づき、フレームτにおけるU相電力の実効値RMS(τ)を算出する。そして、特徴量取得部11は、算出したフレームτにおける実効値RMS(τ)と、直前のフレームτ−1における実効値RMS(τ−1)とに基づき、差分実効値RMS_dを特徴量として取得する。
本実施の形態3の第5の変形例について説明する。第5の変形例では、実施の形態3、第3の変形例および第4の変形例と同様に、機器関連情報として、電力変換装置110から圧縮機101のモータ101bに供給されるU相電流が故障前兆検出装置1に入力される。そして、入力されたU相電流に基づき、フレーム間のU相電流の振幅の差分値である差分振幅値A_dが特徴量として取得される。なお、振幅値は、1波長の正方向の最大値と負方向の最大値とから得られる最大振幅値とする。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのU相電流が入力される。特徴量取得部11は、U相電流に基づき、フレームτにおけるU相電力の振幅A(τ)を算出する。そして、特徴量取得部11は、算出したフレームτにおける振幅A(τ)と、直前のフレームτ−1における振幅A(τ−1)とに基づき、差分振幅値A_dを特徴量として取得する。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4では、電力変換装置110におけるq軸電流の差分値を特徴量として適用した場合について説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜3と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態4に係る空気調和装置100の構成は、図1に示す実施の形態1〜3に係る空気調和装置100と同様である。また、故障前兆検出装置1の構成についても、図2に示す実施の形態1〜3に係る故障前兆検出装置1と同様である。
モータ101bのトルクは、電力変換装置110におけるq軸電流Iqに等しいことが知られている。したがって、サンプリング間隔でのq軸電流Iqの差分値ΔIqは、そのまま仕事となるため、この差分値ΔIqと式(2)とを用いることにより、サンプリング間隔での温度上昇量ΔTを推定することができる。なお、この場合には、式(2)の電力差ΔPに代えて、差分値ΔIqが用いられる。
図5のフローチャートに示すように、特徴量取得部11には、ステップS1において、機器関連情報としてのq軸電流Iqが入力される。特徴量取得部11は、q軸電流Iqに基づき、サンプリング間隔での差分値ΔIqを特徴量として算出する。
Claims (13)
- 電力変換装置を介して電源から供給される電力によって動作する、空調に関連する設備機器における故障の前兆を検出する故障前兆検出装置であって、
前記設備機器から入力された前記設備機器に関する機器関連情報に基づき、前記設備機器についての特徴量を取得する特徴量取得部と、
取得した前記特徴量に基づき、前記設備機器の内部構造の温度上昇量を推定する温度上昇推定部と、
前記温度上昇量に対する閾値を記憶する記憶部と、
推定された前記温度上昇量と前記閾値との比較結果に基づき、前記設備機器の故障の可能性および前記内部構造の損傷度合いを判定する判定部と
を備える故障前兆検出装置。 - 前記閾値は、
故障の有無の境界を示す下限閾値を含み、
前記判定部は、
前記温度上昇量と前記下限閾値とを比較し、前記温度上昇量が前記下限閾値を超えた場合に、前記設備機器が故障する可能性があると判定する請求項1に記載の故障前兆検出装置。 - 前記閾値は、
前記下限閾値よりも大きい値を有し、段階的に設定された1または複数の判定閾値をさらに含み、
前記判定部は、
前記設備機器が故障する可能性があると判定した場合に、
前記温度上昇量と前記1または複数の判定閾値との関係に基づき、前記設備機器の前記内部構造の損傷度合いを判定する請求項2に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記設備機器の消費電力を前記特徴量として取得し、
前記記憶部は、
前記設備機器の内部構造の仕様を示す仕様情報を予め記憶し、
前記温度上昇推定部は、
前記設備機器の前記消費電力と前記仕様情報とに基づき、前記設備機器の内部構造の前記温度上昇量を推定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記電源から前記電力変換装置に出力される1次電力に基づき前記消費電力を取得する
請求項4に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記電力変換装置から前記設備機器に供給される2次電力に基づき前記消費電力を取得する請求項4に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記電力変換装置のq軸電流およびq軸電圧に基づき前記消費電力を取得する請求項4に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記電力変換装置から前記設備機器に供給される三相電力のうちのいずれか一相の電流に基づき前記特徴量を取得する請求項1〜3のいずれか一項に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記一相の電流に基づき、設定フレームにおける電力値と、前記設定フレームの直前のフレームにおける前記電力値との比を示す電力比を特徴量として取得し、
前記記憶部は、
前記設備機器の内部構造の仕様を示す仕様情報を予め記憶し、
前記温度上昇推定部は、
前記電力比と前記仕様情報とに基づき、前記設備機器の内部構造の前記温度上昇量を推定する請求項8に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記一相の電流に基づき、設定フレームにおける前記電流の実効値と、前記設定フレームの直前のフレームにおける前記電流の実効値との差分を示す差分実効値を特徴量として取得し、
前記記憶部は、
前記設備機器の内部構造の仕様を示す仕様情報を予め記憶し、
前記温度上昇推定部は、
前記差分実効値と前記仕様情報とに基づき、前記設備機器の内部構造の前記温度上昇量を推定する請求項8に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記一相の電流に基づき、設定フレームにおける前記電流の振幅と、前記設定フレームの直前のフレームにおける前記電流の振幅との差分を示す差分振幅値を特徴量として取得し、
前記記憶部は、
前記設備機器の内部構造の仕様を示す仕様情報を予め記憶し、
前記温度上昇推定部は、
前記差分振幅値と前記仕様情報とに基づき、前記設備機器の内部構造の前記温度上昇量を推定する請求項8に記載の故障前兆検出装置。 - 前記特徴量取得部は、
前記電力変換装置の設定フレームにおけるq軸電流と、前記設定フレームの直前のフレームにおけるq軸電流との差分を特徴量として取得し、
前記記憶部は、
前記設備機器の内部構造の仕様を示す仕様情報を予め記憶し、
前記温度上昇推定部は、
前記q軸電流の差分と前記仕様情報とに基づき、前記設備機器の内部構造の前記温度上昇量を推定する請求項8に記載の故障前兆検出装置。 - 前記判定部による判定結果に応じて、故障の可能性および前記設備機器の損傷度合いを報知する報知部をさらに備える請求項1〜12のいずれか一項に記載の故障前兆検出装置。
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