JPWO2013186872A1 - 絶縁材料並びにこれを用いた高電圧機器 - Google Patents
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Abstract
絶縁材料の特定方向の耐電圧強度、および、その方向に垂直な方向の靭性を向上し、この絶縁材料を用いて高電圧機器の信頼性を向上する。本発明は、母材樹脂51と、層状化合物53と、微粒子52とを含む絶縁材料において、層状化合物53及び微粒子52は、母材樹脂51に分散した状態とし、層状化合物53は、板状又は棒状のものを用い、その長軸が一定の方向に配向するようにし、微粒子52は、複数個が凝集してデンドライト状構造を形成し、隣り合う層状化合物53の間に分散した状態とする。
Description
本発明は、絶縁材料及びこれを電気絶縁が必要な箇所に用いた高電圧機器に関する。
モールド変圧器、スイッチギア及びモータを代表とする高電圧機器は、省エネルギー、省資源化及び高効率化の観点から、機器の小型化が進められている。機器の小型化に伴い、機器を構成する絶縁材料が薄膜化されると、絶縁材料の低靱性値化、低絶縁耐圧化、及び、内部で発生する熱による温度上昇が問題となる。
絶縁材料に無機材料および有機材料を添加することは、絶縁材料の特性を向上させるために有効である。特に、絶縁材料の絶縁耐圧を向上させるためには、クレーなど絶縁性の高い層状化合物を添加する手法が一般に知られている。
特許文献1には、アイオノマー樹脂に有機化クレーを配合し、押出成形することにより、有機化クレーが配向する構成とし、これにより弾性率及び機械的強度を向上する技術が開示されている。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、層状粘土鉱物からなる無機ナノ粒子とを含み、この無機ナノ粒子をエポキシ樹脂中に均一に分散した耐部分放電性樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、及び層状粘土化合物を含むエポキシ樹脂組成物において、層状粘土化合物の層間に第四級アンモニウムイオンを挿入することにより、層間距離を長くし、層間を親油性とする技術が開示されている。
また、非特許文献1には、網目構造により樹脂の靭性値が向上する現象の解析結果が記載されている。
A. Sano, A. Ohtake, K. Kobayashi, H. Matsumoto: Development of Simulation Techniques for Mechanical Strength of Nanocomposite Insulating Materials, ISEIM 2011
層状化合物を樹脂に添加し、樹脂の内部で層状化合物を配向させると、層状化合物の積層方向のガスバリア性、絶縁性等の特性を向上できる。
一般に、異種材料間の接着界面は、同種材料の接着強度と比べ、剥離およびクラック進展が生じやすい。熱が発生する条件下では、接着強度による効果に加え、熱膨張率の違いから剥離が生じやすい。このため、絶縁材料内部に層状化合物を添加した樹脂の破断面を電子顕微鏡で観察すると、その破断面には層状化合物が観察されることが多い。さらに、層状化合物が内部で配向すると、層状化合物のクラックの進展しやすい層平面方向が一方向へ並ぶため、層状化合物の積層方向と垂直な方向への靭性が低下する。
特許文献1においては、クラック進展の異方性、および、そこを進展するクラックに関して適正化する記載はなく、靱性値及び絶縁耐圧が高い絶縁材料については記載されていない。
また、特許文献2及び3においては、層状粘土鉱物又は層状粘土化合物を均一に分散することを効果の一つとしている。しかしながら、均一に分散しただけでは、クラックの進展を十分に抑制することはできない。
非特許文献1においては、網目構造によりクラック進展が抑制されると述べられているものの、配向構造を形成するものではなく、配向構造特有の利点を活かすことについては記載されていない。
本発明の目的は、絶縁材料の特定方向の耐電圧強度、および、その方向に垂直な方向の靭性を向上し、この絶縁材料を用いて高電圧機器の信頼性を向上することにある。
本発明は、樹脂である母材と、層状化合物と、微粒子とを含む絶縁材料において、層状化合物及び微粒子は、母材に分散した状態とし、層状化合物は、板状又は棒状のものを用い、その長軸が一定の方向に配向するようにし、微粒子は、複数個が凝集してデンドライト状構造を形成し、隣り合う層状化合物の間に分散した状態とすることを特徴とする。
本発明によれば、配向した層状化合物が絶縁性を高めるとともに、母材樹脂との親和性が低い微粒子がデンドライト状構造を形成して靱性を高めるため、絶縁耐圧が高く、かつ、靱性値が高い絶縁材料を得ることができる。
本発明は、樹脂である母材と、層状化合物と、微粒子とを含み、層状化合物が配向した絶縁材料において、微粒子は、層状化合物の周囲で凝集してデンドライト状構造(以下、「樹枝状構造」ともいう。)を形成したことを特徴とする。
ここで、「配向」とは、成形品の任意の場所における視野1.5μm×1.5μmにおいて、透過型電子顕微鏡で観察される層状化合物の90%以上、好ましくは95%以上が特定の方向(配向方向)と略平行になっていることをいう。「略平行」とは、層状化合物の長手方向と認識できる軸線と特定の方向の軸線との間の角が0°(軸線が一致)〜45°以内であることをいう。また、層状化合物の積層方向とは、層状化合物の配向方向と垂直な方向のことをいう。
以下、本発明の実施形態に係る絶縁材料について説明する。
前記絶縁材料は、樹脂である母材と、層状化合物と、微粒子とを含み、層状化合物及び微粒子は、母材に分散された状態であり、層状化合物は、板状又は棒状であってその長軸が一定の方向に配向し、微粒子は、複数個が凝集してデンドライト状構造を形成し、隣り合う層状化合物の間に分散されていることを特徴とする。
前記絶縁材料において、微粒子の分布帯は、層状化合物の長軸が積層された方向に線状構造を形成していることが望ましい。
前記絶縁材料において、微粒子は、層状化合物の二つの端部を結んだ線を辺として構成された多角形の重心に凝集していることが望ましい。
前記絶縁材料において、母材及び層状化合物は、親水性であり、微粒子は、疎水性であることが望ましい。
前記絶縁材料において、母材及び層状化合物は、疎水性であり、微粒子は、親水性であることが望ましい。
前記絶縁材料において、層状化合物の長軸は、−45°〜45°の範囲に90%以上が収まる方向を有することが望ましい。
前記絶縁材料において、層状化合物は、ケイ酸塩、モンモリロナイト、グラファイト及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも一つを含むことが望ましい。
前記絶縁材料において、微粒子の一次粒子径の平均値は、1〜100nmであることが望ましい。
前記絶縁材料は、モールド変圧器、スイッチギア、モータなどの高電圧機器に適用することができる。
絶縁材料の母材としては、側鎖に水酸基を有するエポキシ樹脂、側鎖にカルボキシル基を有するポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂、及び、アミド結合を有するナイロンのように親水性の側鎖を有する樹脂を適用出来る。
微粒子としては、無機化合物、有機化合物又は有機無機複合体がある。無機化合物としては、シリカ、シリコーンなどのケイ素化合物、アルミナ、酸化チタンなどの無機酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの窒化物で代表される無機窒化物などが挙げられる。有機化合物としては、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴムなどの有機エラストマーなどが挙げられる。有機無機複合体としては、雲母などの無機鉱物の表面を有機塩で修飾した有機クレーなどの有機無機複合体である。
上記微粒子の表面は、メチル基、メトキシ基、アルキル基及びアルコキシ基に代表される疎水基で修飾されていることが望ましい。微粒子の形状は、球形が好ましいが、不定形微粒子が含まれていてもよい。本発明において、「球形」という用語は、真球形状だけでなく、真球が若干ゆがんだ形状をも含むものであり、例えば、長径と短径との比が3:1程度までならよい。微粒子の添加量は、母材成分の質量基準で2〜8質量%が好ましく、2.5〜6質量%が特に好ましい。
本発明における疎水性微粒子は、一般の充填剤とは異なり、充填剤に比べて少量添加するものであるが、粒径が小さく、比表面積が非常に大きいので、充填剤のような効果も奏する。
層状化合物としては、粘土鉱物、ケイ酸塩、黒鉛(グラファイト)、チッ化ホウ素等が挙げられる。このうち、粘土鉱物は、天然の粘土鉱物及び合成粘土鉱物に分類される。天然の粘度鉱物としては、モンモリロナイトなどが挙げられる。合成粘度鉱物としては、合成フッ素雲母、合成スクメタイトなどが挙げられる。
層状化合物の表面は、親水基で修飾されていることが望ましい。層状化合物は、層が剥離していても、していなくても良い。剥離していなくとも、高靭性化の機能は発揮するが、剥離を起こした方がより性能を高めることができる。
また、この分野でよく知られている通常の有機又は無機充填剤を添加することも可能である。さらに、数mm以下の長さの短繊維その他の添加物、例えば、難燃剤、着色剤などを添加することができる。
本発明の望ましい実施形態の一つは、親水性の樹脂に疎水性の微粒子及び親水性の層状化合物を混合し、層状化合物の周囲に微粒子が線状に連なった構造体(線状構造)を含むデンドライト状構造(樹枝状構造)を有するものである。これにより、層状化合物の積層方向と垂直な方向へ進展するクラックを抑制することができる。
この構造を実現するためには、樹脂成分(エポキシ樹脂の場合は、酸硬化剤、必要に応じて硬化促進剤などを含んでいてもよい。)と、疎水性微粒子と、表面を親水基で改質した層状化合物とを適切な攪拌装置を用いて十分に撹拌する必要がある。一旦均一に混合したとしても、しばらくすると、微粒子が層状化合物の周囲で凝集し始め、層状化合物の積層方向成分を有するデンドライト状構造を形成する。このデンドライト状構造により、硬化した絶縁材料(樹脂硬化物)の機械的強度を向上する。
親水基を有する樹脂(例えば、エポキシ樹脂)に親水性のシリカを混合し、撹拌した場合、シリカは、均一に分散するが、本発明の絶縁材料のようにデンドライト状構造を形成することはない。
後述の実施例においては、母材として親水性の側鎖を有するエポキシ樹脂を用い、微粒子としてシリカを用い、層状化合物としてモンモリロナイトを用いた。
エポキシ樹脂は、分子内に2個の炭素原子と1個の酸素原子とからなるエポキシ基を2個以上含む化合物であって、適切な硬化剤によって当該エポキシ基を開環反応させ、樹脂硬化物とし得るものである。
エポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノール類などの多価フェノール類又は多価アルコールとの縮合によって得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとカルボン酸との縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート又はエピクロルヒドリンとヒダントイン類との反応によって得られるヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式エポキシ樹脂を、その好適な例として挙げることができる。また、これらは、単独で、又は2種以上を混合して適用することができる。
エポキシ化合物用硬化剤と併用して、エポキシ化合物の硬化反応を促進あるいは制御するエポキシ化合物用硬化促進剤を添加してもよい。特に、酸無水物系硬化剤を添加した場合、その硬化反応がアミン系硬化剤等の他の硬化剤と比較して遅いため、エポキシ化合物用硬化促進剤を適用することが多い。エポキシ化合物用硬化促進剤としては、三級アミンまたはその塩、四級アンモニウム化合物、イミダゾール、アルカリ金属アルコキシド等を適用することができる。
樹脂の親水性もしくは疎水性に応じて分散性を向上できるように表面のシラノール基をアルキル基などに置換した粒径がナノオーダのシリカは、疎水化ナノシリカと呼ばれる。
硬化前のエポキシ樹脂に親水性のナノシリカを分散させた場合、粘度の上昇は大きくないが、表面疎水化シリカ(疎水化ナノシリカ)を分散させた場合には、粘度が高くなる傾向があり、チクソ性が見られることが知られている。
チクソ性発生の原因は、親水基を側鎖に持つエポキシ樹脂に対して、疎水化シリカ同士の間で疎水性相互作用(親水溶媒中で疎水性粒子同士に働く見掛けの力)が発生し、表面疎水化シリカの構造体(ゲル状態)を形成するためと考えられる。
後述の実施例においては、このような構造体が硬化処理後にも維持されれば、硬化樹脂が強靱化されることを示す。本発明の絶縁材料は、本発明の所望する効果を阻害しない範囲で、垂れ止め剤、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤、スリップ剤、分散剤、基材湿潤剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明に用いる樹脂材料は、上述の各材料を基に、以下のようにして製造される。
まず、母体となる樹脂に剪断力及び伸長力のうちの少なくとも一方を加えながら、当該樹脂に微粒子および層状化合物を混合する。なお、本発明の所望する効果を阻害しない範囲で、このとき、必要に応じて、無機酸化物及び微細エラストマーのうちの少なくともいずれかを加えてもよい。これにより、微粒子シリカのエポキシ樹脂中への分散を容易にする。
混合のための装置としては、自公転式攪拌装置を用いたが、剪断力や伸長力を加えながら混合可能な装置であればこれに限定されるものではない。例えば、ビーズミル混合機、3本ロールミル混合機、ホモジナイザー混合機、攪拌翼付樹脂混合機などを用いることができる。
層状化合物を押出成型により配向させたが、求める配向度合いや製造のしやすさに応じて、樹脂に引っ張り応力、圧縮応力等の力をかけ、層状化合物の配向構造を得ても良い。
ここで、絶縁材料の剥離に関する理論について説明する。
図1A及び図1Bは、絶縁材料を進展するクラックを模式的に表したものである。
これらの図においては、絶縁材料2の部分断面に生じたクラック進展経路3、4を破線で示している。図1Aのクラック進展経路3は直線的である。一方、図1Bのクラック進展経路4は折れ曲がったジグザク形状となっている。
界面を引き離す単位面積当たりのエネルギーが一定であれば、剥離に必要なエネルギー(剥離エネルギー)は剥離経路に依存する。すなわち、クラックの幅が等しいと仮定すると、剥離エネルギーはクラックの進展距離に依存する。
図1Aのクラック進展経路3と図1Bのクラック進展経路4とを比較した場合、クラックの進展距離が長い後者のクラック進展経路4の方が、剥離エネルギーが大きくなる。
図2は、剥離経路長さと剥離エネルギーとの関係を示したものである。
本図は、剥離経路が長いと、必要なエネルギー(剥離エネルギー)も大きくなることを定性的に示している。剥離エネルギーは、表面の修飾器のみならず、その方向性、マトリックスとの量子化学的相互作用が存在し、一般には、経路に対して増大するとはいえるものの、その定量的な値を理論的あるいは実験的に一意に決定することは容易ではない。しかしながら、定性的にはこのような傾向を示すことが知られている。クラックの成長開始が不安定破壊の場合においても、除荷を伴って亀裂が進展するので、その場合も定性的には図2に示す関係が成り立つ。つまり、クラック進展を抑制する観点からは、クラックの進展経路を長くすることが靱性を向上させるために有効である。
以下、実施例を用いて説明する。
樹脂中の微粒子が線状構造を形成することでクラック進展経路を長くすることができ、靭性値を向上させることを確認するため、以下のプロセスによって側鎖に親水基を有する樹脂内部に疎水基を有する微粒子を添加して樹脂材料Aを作製した。
まず、母材であるエポキシ樹脂に微粒子及び硬化剤を投入し、自公転式攪拌装置で攪拌した。そして、金属製の金型に流しこみ、80℃にて8時間、140℃にて12時間保持して樹脂を硬化させた。これを5時間かけて徐冷した後、型から取り外して試験片とした。
微粒子の線状構造によってクラック進展経路が変化する効果を確認することが目的であるため、層状化合物は添加していない。エポキシ樹脂としては、典型的なビスフェノールA型の構造を有し、モノマー1分子中に2つのエポキシ基を持っているものを用いた。硬化剤としては、酸無水物である無水フタル酸を用いた。微粒子としては、ジメチルシリコーンオイルで疎水化したシリカ(アエロジル社製、製品名:AerosilRY200、一次粒子径:12nm)を用い、添加量は母材に対して5質量部とした。
図3は、靭性値を測定するための実験系の概略を示したものである。
測定は、ASTM D5045−91に準拠し、三点曲げ試験で破壊靭性を測定した。
本図において、作製した試験片32は、ノッチ34を有する。このノッチ34の最奥部にかみそりの刃で初期クラック35を形成した。そして、試験片32は、ノッチ34を下向きにし、その両端部を支点33で支えた状態で、水平に設置し、上方から所定の荷重を加えて測定を行った。
微粒子を添加しない試験片、すなわち、エポキシ樹脂及び硬化剤からなる試験片を基準として相対靱性値を算出した。
疎水化したシリカを微粒子として添加した樹脂材料Aで形成された試験片は、相対靱性値が1.2であった。これに対し、疎水化したシリカの代わりに同量(5質量部)の親水微粒子(疎水化していないシリカ)を分散した樹脂材料の場合、相対靱性値は1.1であった。
微粒子が疎水化したシリカである樹脂材料Aの破断面を光学顕微鏡によって観察すると、粒子を均一に分散した樹脂材料の断面には見られない溝構造が多数形成されていることがわかった。このことから、当該微粒子によって形成された線状構造により、クラック進展が阻害されていることが確認できた。
図4は、上記プロセスで作製した樹脂材料Aの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を示したものである。
本図においては、エポキシ樹脂である母材樹脂46に疎水化したシリカである微粒子47が分散されている。微粒子47は、母材樹脂46の内部で凝集し、破線で示す分布帯48を形成している。なお、破線は、本発明者が追記したものである。
分布帯48は、およそ0.5μm程度以下の間隔に存在する微粒子7の塊を繋げた場合の微粒子47の存在する領域を表すものである。分布帯48は、デンドライト状構造(樹枝状構造)を有している。デンドライト状構造の枝部の長さ又は太さは1μm以上である。これは、微粒子47の粒径12nmのおよそ100倍にあたる。よって、微粒子47がデンドライト状構造として機能するためには、微粒子100個相当がゲル状態の構成物に含まれる必要があると考えられる。分布帯48が母材樹脂46全体に広がるためには、分布帯48同士の最大間隔も、ゲルの構成物である枝部の長さである微粒子100個相当(1μm)以上であることが必要である。
しかし、複数のデンドライト状構造の最小間隔が大きいと、デンドライト状構造が孤立した凝集体となり、樹脂全体に広がるゲル構造を形成することができない。したがって、当該最小間隔は、微粒子100個相当以下であることが望ましいと考えられる。
以下では、層状化合物を添加した場合について説明する。
図5は、層状化合物を含む樹脂硬化物の微細構造を示す模式図である。
本図において、母材樹脂51の内部には、同一の方向に長軸が配向した層状化合物53と、微粒子52とが分散されている。母材樹脂51は、側鎖に親水基を有する。層状化合物53は、親水基を有する。微粒子52は、その表面に疎水基を有する。領域54(網掛け部分)は、隣り合う層状化合物53の長軸の間に挟まれた領域である。
図6は、図5において母材樹脂51の内部に含まれる微粒子52全体のうち領域54に属する微粒子52の数の割合を、層状化合物53と微粒子52との極性の違い(極性差)に対して算出した結果を示したものである。ここで、極性は、ヒルデブラントの溶解度パラメータを用いている。この溶解度パラメータが低い場合、相対的に疎水性であるといえる。
図6から、極性差が大きくなるに従って、図5の微粒子52が領域54に属さなくなることがわかる。
これは、極性差に応じて自由エネルギーの変化が生じ、分子間に引力および斥力(反発力)が働くためである。すなわち、極性差が大きくなると、層状化合物53と微粒子52との間に生じる斥力が大きくなり、隣り合う層状化合物53の間に微粒子52が入り込みにくくなるためであると考える。
上記の計算結果は、層状化合物53と微粒子52との間に働く力を見るために、微粒子52と母材51との間の相互作用を小さく設定してあるが、相互作用を考慮すると、領域54以外の微粒子52は、凝集してデンドライト状構造を形成する。
クラックの進展を妨げるためには、層状化合物53の配向方向に進展するクラックの進展方向を層状化合物53の積層方向へ曲げ、クラックの進展経路を長くすることが有効である。よって、微粒子52の分布帯であるデンドライト状構造は、層状化合物53の長軸が積層された方向(積層方向)に複数が連なって線状構造を形成していることが望ましい。言い換えると、層状化合物53と線状構造(分布帯の連なり)とが網目構造を形成していることが望ましい。
以下では、層状化合物の有無による破壊靭性値の違いについて実施例を用いて説明する。
表1は、樹脂材料B及び樹脂材料Cの共通成分(重量比)をまとめて示したものである。
共通成分は、樹脂主剤(母材樹脂)がエポキシ樹脂であり、硬化剤が酸無水物(無水フタル酸)であり、層状化合物がナノクレーである。
ここで、ナノクレーは、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムによるイオン交換処理を施して表面を親水処理したモンモリロナイト((Na,Ca)0.33(Al,Mg)2(Si4O10)(OH)2・nH2O)である。このモンモリロナイトは、面方向の寸法が長軸及び短軸とも0.1〜1μm、厚さが1〜10nmの層状粘土鉱物の一種である。ナノクレーの添加量は、母材樹脂100質量部に対して10質量部となるように調整した。
表2は、微粒子としてシリカを添加していない樹脂材料B及びシリカを添加した樹脂材料Cの破壊靭性値をまとめて示したものである。
ここで、シリカは、ジメチルシリコーンオイルで疎水化したシリカ(アエロジル社製、製品名:AerosilRY200、粒子径:12nm)である。シリカの添加量は、母材樹脂100質量部に対して5質量部とした。
本表から、破壊靭性値は、微粒子としてシリカを添加した樹脂材料Cの方が高くなることがわかる。これは、微粒子がクラックの進展を妨げるためと考える。
樹脂材料B及び樹脂材料Cの撹拌のプロセスは、樹脂材料Aと同様である。
撹拌後、硬化前の樹脂材料を押し出し成形し、樹脂材料の内部で層状化合物が配向するようにした。樹脂材料を複数回塗り重ねた後、80℃にて8時間、140℃にて12時間保持して硬化させた。その後、5時間かけて徐冷した。その後、硬化した樹脂材料を切り出し、試験片を得た。樹脂材料を塗り重ねる際は、粘度が低すぎると層状化合物の配向構造が維持されないため、適切な粘度を有していることが望ましい。
図7Aは、樹脂材料Cの断面のSEM画像を模式的に示したものである。
本図において、母材樹脂51の内部には、ほぼ同一の方向に長軸が配向した層状化合物53と、微粒子52とが分散されている。破線で示す分布帯58は、複数個の微粒子52が凝集して形成された樹枝状のデンドライト状構造である。隣り合う層状化合物53の間には微粒子52が少ないこと、及び、層状化合物53の積層方向成分をもつ微粒子52の線状構造(分布帯58の線状構造)が確認できた。すなわち、層状化合物53と分布帯58の連なり(線状構造)とが網目構造(格子構造)を形成している。
層状化合物の添加量が少ない場合は、上述の図7Aに示す構造となる。
一方、層状クレーが多く含まれる領域においては、次に示す図7Bのような構造になる。
図7Bは、樹脂材料Cの断面のSEM画像を模式的に示したものである。
本図において、母材樹脂51の内部には、ほぼ同一の方向に長軸が配向した層状化合物53と、微粒子52とが分散されている。破線で示す分布帯58は、複数個の微粒子52が凝集して形成された樹枝状のデンドライト状構造である。
近接する層状化合物53又は隣り合う層状化合物53の二つの端部(長軸の端部)を結んだ点線59は、当該端部を頂点とする多角形の一辺を構成する。点線59のみで構成された多角形には、微粒子52が集まり、分布帯58を形成しやすい。一方、点線59及び層状化合物53の長軸を辺とする多角形には、分布帯58が形成されにくい。
これは、微粒子52は、層状化合物53と反発し合うためと考える。よって、分布帯58は、点線59のみで構成された多角形の重心付近に存在する確率が高くなる。
この分布帯58は、点線59のみで構成された多角形の領域を進展するクラックの障害物となり、クラックの進展を抑制することができる。言い換えると、クラックが進展する経路を効率よく狭めることができる。これは、微粒子を凝集させずに均一に分散させた場合には得られない効果である。
図7Aに示す場合も、図7Bと同様に、近接する層状化合物53又は隣り合う層状化合物53の二つの端部(長軸の端部)を結んだ点線59のみで構成された多角形の重心付近に分布帯58が形成されているとみなすことができる。
この構成により、クラックの進展経路が屈曲して長くなるため、剥離エネルギーが増大する。これにより、靭性が向上する。
上記の実施例においては、樹脂としてエポキシ樹脂を用いたが、そのほかにアクリル樹脂、ナイロン、高熱電導樹脂等の親水性の樹脂を用いても、親水性の層状化合物、疎水性の微粒子の組み合わせで同様の効果を奏する。
上記の実施例においては、層状化合物としては、モンモリロナイトを用いたが、耐電圧特性や熱伝導特性等、所望の特性に応じて、ケイ酸塩、黒鉛(グラファイト)、窒化ホウ素等を用いても良く、層間にイオンや分子等が挿入されていても、層状化合物の積層方向と垂直な方向へのクラック進展を抑制出来るので、上記の実施例と同様の効果を奏する。ここで、黒鉛(グラファイト)は、熱濃硫酸に浸漬して表面を親水性としたものを用いることが望ましい。
作製可能なシリカの最小粒子径は1nmである。また、粒子径100nmを超える微粒子を混ぜ込む場合には、ブラウン運動により微粒子の凝集が妨げられ、デンドライト状構造の形成が期待できない。
上記の実施例においては、一次粒径が12nm程度のシリカを用いたが、微粒子径は1nm以上100nm以下(1〜100nm)であれば網目構造をもつ分布が形成され、靭性値が向上する。
上記の実施例においては、微粒子としてナノシリカを用いたが、無機酸化物若しくはエラストマー粒子又はこれらの表面をメチル基、アルキル基、メトキシ基、アルコキシ基等で疎水処理した無機酸化物若しくはエラストマー粒子を用いても、本発明による効果を得ることができる。
上記の実施例においては、樹脂、層状化合物および微粒子は、それぞれ、一種類の材料を用いたが、それらは必ずしも一種類の材料である必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲で複数種類の樹脂、層状化合物および微粒子を用いても同様の効果を奏する。また、本発明の効果を失わない範囲の中で、サイズ(粒径)の異なる粒子を添加しても良い。サイズの異なる粒子としては、シリカ、ゴム、アルミナ等が挙げられる。
絶縁材料に層状化合物を母材に対して50質量部を超えて添加すると、絶縁材料の粘度が上がり、成型加工性が低下する。このため、本発明による効果を得るためには、添加する層状化合物の添加量は50質量部以下であることが望ましい。
層状化合物として、一次粒子径がミリメートルオーダを超えるものから、ナノメートルサイズの層状化合物が作製できる。一般に、層状化合物の粒径を小さくすると、粘度が上がる傾向にあるため、層状化合物の粒径は、絶縁材料の母材への溶けやすさ、及び成型のしやすさを考慮して決定すればよく、その場合も上記の実施例と同等の効果を奏する。
上記の実施例においては、母材、層状化合物及び微粒子は、それぞれ、親水性、親水性、疎水性であったが、図6の結果より、母材と層状化合物との極性差が小さく、層状化合物と微粒子との極性差が大きければ、層状化合物の層間に存在する粒子数がそれ以外の領域の粒子数より少なくなるので、その微粒子の分布帯は、層状化合物の積層方向と平行な方向成分をもつ。よって、母材、層状化合物及び微粒子の極性がそれぞれ、疎水性、疎水性、親水性であっても上記の実施例と同等の結果を得ることが出来る。
母材、層状化合物及び微粒子の極性がそれぞれ、疎水性、疎水性、親水性の例としては、フッ素化エポキシ樹脂と、疎水化したモンモリロナイトと、親水性シリカとの組み合わせがある。
図10は、モータのステータ部の概略図である。
本図において、モータのステータ部200は、鉄心300と、この鉄心300に巻装された電線301とを含む。
図8は、電線301を示す断面図である。
本図においては、高電圧を印加する導体81の周囲に導体間および導体−対地間を絶縁する絶縁被膜82が設けられ、さらに、その周囲に絶縁性の保護被膜83が設けられている。
実施例1の樹脂材料Cを硬化前の状態で銅線の長手方向に押し出し成形によって塗布し、絶縁被膜82を形成した。絶縁被膜82として樹脂材料Cを用いると、絶縁被膜82の破壊靱性が向上し、モータの小型化、軽量化及び高寿命化を図ることができる。
生産性を向上するためには、押し出し成形における押出速度を上げる他に、層状化合物の粒径を大きくしても良く、その場合も同様の効果を得ることができる。
図9は、モールド変圧器の概略図である。
本図において、モールド変圧器90は、鉄心91と、この鉄心91に巻装された低電圧となる一次コイル92と、一次コイル92よりも外側に設けられ、一次コイル92よりも高電圧となる二次コイル93と、二次コイル93よりも外側に設けられた外周側シールド擬似コイル95とを有している。一次コイル92、二次コイル93および外周側シールド擬似コイル95は、絶縁材料94で樹脂モールドすることにより一体化する。ここで、絶縁材料94として樹脂材料Cを用いる。
絶縁材料94は、以下のように形成する。
実施例1の樹脂材料Cを硬化前の状態で、二次コイル93と一次コイル92との間に、樹脂材料Cの内部の層状化合物の配向方向が一次コイル92と二次コイル93とを最短距離で結んだ方向と一致するように数十mm押し出して流し込み、絶縁材料94を形成した。
これにより、絶縁材料94の破壊靱性及び強度が向上する。これにより、モールド変圧器14の小型化、軽量化及び高寿命化を図ることができる。
また、絶縁材料94は、クラックが発生した劣化部位における放電を抑制することができる。このため、モールド変圧器90は、部分放電を生ずることもなく、長期間の信頼性を保持することができ、長期間運転することができる。また、モールド変圧器90は、従来技術の変圧器と同等の大きさで、更に高い電圧での使用が可能となる。
上記のモールド変圧器90においては、絶縁材料94を20〜30mm塗り重ねたが、絶縁材料94の膜厚が100nm以上であれば、本発明の効果を得ることが出来る。
実施例2及び3においては、電線被膜およびモールド変圧器の絶縁材料として実施例1の樹脂材料Cを用いたが、樹脂材料Cは、このほか、スイッチギア、モータ、インバータなどの高電圧電気機器の絶縁が必要とされる部位に適用することができ、これにより、その部位の強度を高めることができ、高電圧電気機器の信頼性を向上することができる。
なお、層状化合物としてグラファイト又は窒化ホウ素を用いた場合、絶縁材料の熱伝達率を高めることができ、この絶縁材料を高電圧機器の適切な位置に用いれば、当該機器を小型化することができる。
本発明の絶縁材料は、絶縁耐圧及び靱性値が高く、各種電気機器のモールド材、絶縁基板などに利用することができる。
2、94:絶縁材料、3、4:クラック進展経路、32:試験片、33:支点、34:ノッチ、35:初期クラック、46、51:母材樹脂、47、52:微粒子、48、58:分布帯、53:層状化合物、54:領域、59:点線、81:導体、82:絶縁被膜、83:保護被膜、90:モールド変圧器、91:鉄心、92:一次コイル、93:二次コイル、95:外周側シールド擬似コイル、200:ステータ部、300:鉄心、301:電線。
Claims (11)
- 樹脂である母材と、層状化合物と、微粒子とを含み、前記層状化合物及び前記微粒子は、前記母材に分散された状態であり、前記層状化合物は、板状又は棒状であってその長軸が一定の方向に配向し、前記微粒子は、複数個が凝集してデンドライト状構造を形成し、隣り合う前記層状化合物の間に分散されていることを特徴とする絶縁材料。
- 前記微粒子の分布帯は、前記層状化合物の前記長軸が積層された方向に線状構造を形成していることを特徴とする請求項1記載の絶縁材料。
- 前記微粒子は、前記層状化合物の二つの端部を結んだ線を辺として構成された多角形の重心に凝集していることを特徴とする請求項1記載の絶縁材料。
- 前記母材及び前記層状化合物は、親水性であり、前記微粒子は、疎水性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁材料。
- 前記母材及び前記層状化合物は、疎水性であり、前記微粒子は、親水性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁材料。
- 前記層状化合物の前記長軸は、−45°〜45°の範囲に90%以上が収まる方向を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の絶縁材料。
- 前記層状化合物は、ケイ酸塩、モンモリロナイト、グラファイト及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の絶縁材料。
- 前記微粒子の一次粒子径の平均値は、1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の絶縁材料。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の絶縁材料を用いたことを特徴とする高電圧機器。
- 請求項9に記載の高電圧機器がモールド変圧器であることを特徴とする高電圧機器。
- 請求項9に記載の高電圧機器がモータであることを特徴とする高電圧機器。
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