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JP2020045417A - 電機機器 - Google Patents

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JP2020045417A
JP2020045417A JP2018174583A JP2018174583A JP2020045417A JP 2020045417 A JP2020045417 A JP 2020045417A JP 2018174583 A JP2018174583 A JP 2018174583A JP 2018174583 A JP2018174583 A JP 2018174583A JP 2020045417 A JP2020045417 A JP 2020045417A
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JP2018174583A
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小林 金也
Kinya Kobayashi
金也 小林
悟 天羽
Satoru Amo
天羽  悟
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Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
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Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
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Abstract

【課題】絶縁材料中の添加材の凝集・沈殿の防止、絶縁材料の耐熱性向上および電気的・機械的破壊の防止を達成する電気機器を提供する。【解決手段】本発明の電気機器は、樹脂(1)と、マイカ(2)と、粒子(3)と、コアシェルゴム粒子(4)を含む絶縁材料(10)を有し、粒子(3)がマイカ(2)の周囲に配置され、コアシェルゴム粒子(4)がマイカ(2)および粒子(3)の周囲に配置されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電機機器に関する。
変圧器、開閉器および電動機等の電機機器の小型化を目的として、これらの電気機器に使用される絶縁材料(絶縁樹脂)の量を低減するためには、絶縁材料の熱破壊およびクラックへの耐性を向上させることが必要である。従来、絶縁材料に高耐熱のマイカ、高熱伝導の結晶シリカ、高靭性のコアシェルゴム等の添加材を添加した絶縁材料が提案されている。
特許文献1には、マイカ片と、六方晶窒化ホウ素と、樹脂母材を含み、マイカ片の薄い方向の平均サイズが0.01−0.05mmであり、六方晶窒化ホウ素の長手方向の平均サイズが10−10,000nmであり、マイカ片と六方晶ホウ素が混合されており、マイカ片に対する六方晶窒化ホウ素の質量の比が、六方晶窒化ホウ素のマイカ片に対する平均サイズの比に比例し(調整係数:0.5−2)、六方晶窒化ホウ素のマイカ片に対する質量の比が1:1以下である電気絶縁機器が開示されている。
特許文献2には、多官能性エポキシ樹脂(A)、2官能性エポキシ樹脂(B)、エポキシ型樹脂硬化剤(C)、硬化促進剤(D)、無機フィラー(E)、シランカップリング剤(F)、離型剤(G)を必須成分として含有し、常温で固形であるエポキシ樹脂組成物よりなるエポキシ樹脂射出成型材料であって、該成型材料の硬化物の熱伝導率が1.5W・m/K以上、ガラス転移温度が140℃以上200℃以下、ガラス転移温度以下の線膨張率が40ppm以下、ガラス転移温度以下の弾性率がガラス転移温度以下の弾性率が20GPa未満10GPa以上であることを特徴とするエポキシ樹脂射出成型材料が開示されている。
米国特許出願公開第2007/141324号明細書 特開2013−127042号公報
絶縁材料の耐熱性や耐クラック性を高めるために上述した添加材を加えた場合、その添加量が多くなると、硬化前の樹脂中で添加材が凝集・沈殿しやすくなる。添加材の沈殿を解消するためには絶縁材料を加熱する機器が別途必要となり、設備と維持管理コストが増大する。
また、絶縁材料中の添加材の表面に気泡が残留し、この気泡から部分放電が発生し、絶縁破壊が発生する恐れがある。添加材が多くなればなるほど、この恐れは大きくなると考えられる。
絶縁材料における添加材の凝集・沈殿の防止と、絶縁材料の耐熱性向上および電気的・機械的破壊の防止を達成することについて、上述した特許文献1および2の技術では不十分なおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑み、絶縁材料中の添加材の凝集・沈殿の防止、絶縁材料の耐熱性向上および電気的・機械的破壊の防止を達成する電気機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、樹脂と、マイカと、粒子と、コアシェルゴムを含む絶縁材料を有し、粒子がマイカの周囲に配置され、コアシェルゴム粒子がマイカおよび前記粒子の周囲に配置されていることを特徴とする電機機器である。
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲および明細書に記載される。
本発明によれば、絶縁材料中の添加材の凝集・沈殿の防止、絶縁材料の耐熱性向上および電気的・機械的破壊の防止を達成する電気機器を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の電気機器が備える絶縁材料の一例を示す模式図 絶縁破壊耐性とマイカの粒径の関係を示すグラフ 図1のマイカ2および粒子3の界面の一部を拡大する模式図 乾式破砕シリカを模式的に示す図 湿式破砕シリカを模式的に示す図 添加材の沈殿量とコアシェルゴム粒子の半径の関係を示すグラフ 破壊靭性とコアシェルゴム粒子の添加比率の関係を示すグラフ 変圧器の一例の横断面図 スイッチギヤの一例の断面を示す模式図 回転機の一例を示す模式図
[絶縁材料]
まず始めに、本発明の電気機器が有する絶縁材料について説明する。図1は本発明の電気機器が備える絶縁材料の一例を示す模式図である。図1に示すように、本発明の絶縁材料10は、樹脂1と、添加材(充填材)としてマイカ2、粒子3およびコアシェルゴム粒子4を含む。すなわち、マトリックスとなる樹脂1中に、添加材であるマイカ2、粒子3およびコアシェルゴム粒子4が分散されている。
マイカ2は絶縁材料10の耐熱性を向上し、電気的トリーおよびクラックの発生・進展を防止する。粒子(ナノ粒子、微粒子)3は、マイカ2の周囲に配置され、マイカ2の凝集・沈殿の抑制と、マイカ2の表面における気泡の発生を抑制する。粒子3は絶縁材料10においてデンドライト(樹枝状の結晶)5を形成し、耐熱性の向上、電気的トリーおよびクラックの発生を防止する。図1には粒子3によって形成されるデンドライト構造の一部を点線で示している。コアシェルゴム粒子4はマイカ2および粒子3の周囲に配置され、マイカ2および粒子3の凝集・沈殿を防止する。さらに、絶縁材料10の破壊靭性を向上する。以下、マイカ2、粒子3およびコアシェルゴム粒子4を含めて、樹脂1に添加される材料を「添加材」と称することがある。
なお、本発明において「絶縁材料」とは、樹脂1が硬化する前の樹脂組成物および樹脂1を硬化した後の硬化物の両方を意味するものとする。すなわち、絶縁材料は、硬化前も硬化後も図1に示す構成を有する。硬化物が図1に示す構成を有していることは、断面SEM(Scanning Electron Microscope)写真の観察によって確認することができる。以下、絶縁材料の各成分について説明する。
(1)樹脂
樹脂1は、絶縁材料10の母材(マトリックス)となるものであり、熱硬化性を有するものであれば特に限定は無い。具体的には、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェノール樹脂、ノボラック樹脂、ABS(アクリロニトリル‐スチレン‐ブタジエン共重合体)樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの複合材が挙げられる。エポキシ樹脂を用いる場合、プレポリマーの主骨格はビスフェノールA型が好ましい。
(2)マイカ
近年、電気機器の小型化に伴って、樹脂1の量を減少させる傾向にある。そこで、樹脂1の量を減少しつつも十分な絶縁破壊耐性を確保するために、フィラーとしてマイカ2を使用することが有効である。マイカ2は、その扁平な形状によって電気的トリーおよびクラックのパスを生じにくくすることができるため、電気的トリーおよびクラックの発生および進展を効果的に防止する役割を果たし、かつ天然鉱物であるためコストの面でも有利なものである。
マイカ2は層状ケイ酸塩であり、種々の組成があるが、組成に特に限定は無い。例えば、6SiO・4Alが好適である。
図2は絶縁破壊耐性とマイカの粒径との関係を示すグラフである。図2に示すように、マイカ2の粒径が小さいほど絶縁破壊耐性が高くなる。これは、マイカ2の粒径が小さいほどマイカ2の粒子の比表面積が大きくなり、電気的トリーおよびクラックを回避する効果が大きくなるためであると考えられる。
マイカ2の粒径は、十分な絶縁破壊耐性を確保するために、2〜130μm(2μm以上130μm以下)が好ましく、2〜40μmがより好ましく、2〜25μmがさらに好ましく、3〜10μmが最も好ましい。2μm以上であると、硬化前の絶縁材料の粘度が低下しづらいため有効である。また、130μm以下であれば、絶縁破壊耐性を確保できるため有効である。
マイカ2のアスペクト比は、1/200〜1/4が好ましい。本明細書において、アスペクト比はマイカ2の最小長/最大長で得られる値を意味するものとする。アスペクト比が1/200よりも大きい場合、電気的トリーまたはクラックの直線的な進展を低下させることができる。アスペクト比が1/4よりも小さくなると、粒子3がマイカ2の周囲に配置されやすくなる。1/200〜1/6がより好ましく、1/150〜1/20がさらに好ましい。
なお、粒径およびアスペクト比は、マイカ2を電子顕微鏡等の観察手段で観察した場合に平面像で測定することができる。上記アスペクト比は、所定の倍率の観察写真において表示される所定の個数のマイカのアスペクト比を平均した値(平均アスペクト比)であってもよい。また、上記粒径は、所定の倍率の観察写真において表示される所定の個数のマイカの粒径を平均した値(平均粒径)であってもよい。
(3)粒子
次に、粒子3について説明する。粒子3は、上述したように、樹脂1内でデンドライト5を形成し、熱伝導ネットワークによって耐熱性を向上し、電気的トリーおよびクラックの進展を防止して、絶縁材料10の絶縁破壊寿命と破壊靭性の向上を図ることに寄与する。さらに、粒子3はマイカ2の周囲に配置され、マイカ2の凝集・沈殿を防止し、マイカ2の効果を十分に引き出す役割を果たす。
図3は図1のマイカ2および粒子3の界面の一部を拡大する模式図である。図2ではマイカ2として6SiO・4Alを用い、粒子3としてシリカ(SiO)を用いた場合について説明する。両者はSiOを共通の主骨格として有する。
図3に示すように、マイカ2および粒子3を構成するプラスの極性を持つシリコン原子6と、マイナスの極性を持つ酸素原子7とがクーロン力によって引き合い、水素結合のように強く結合(−Si−O−Si−結合を形成)する。このため、粒子3がマイカ2の表面に引き付けられ、マイカ2の周囲に配置される。粒子3がマイカ2の周囲に配置されることでマイカ2の凝集・沈殿を抑制し、さらにマイカ2の周囲に粒子3の数が増え、熱伝導のネットワークが広がる。これにより、樹脂1の耐熱性を向上できる。
上記のように、マイカ2と粒子3が引きつけ合い、マイカ2の周囲に粒子3が配置されるためには、マイカ2と粒子3が同一の主骨格を有していることが好ましい。マイカ2と粒子3の主骨格は、上述したシリカの他、アルミナ(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)または金属酸化物を含むものであることが好ましい。
この中でもシリカおよびアルミナがより好ましく、シリカが特に好ましい。アルミナは熱伝導率向上の観点で好ましいが、2次元の結合を有する平面が積層された構造を有し、積層方向の結合は比較的結合力が弱いファンデルワールス力によるものである。一方、シリカは3次元に強固な結合を有するものであるため、クラックまたは電気トリーの進展を抑制し、樹脂1の機械特性または電気特性をより向上することができる。
粒子3としてシリカを用いる場合、好ましい形態として、樹脂の熱伝導性を高める高熱伝導材である破砕シリカおよび高温度差環境での残留熱応力を低減する低線膨張材である溶融シリカ(溶融球状シリカ)を挙げることができる。
破砕シリカは、安価であり、絶縁材料の熱伝導率を増大させることができる。破砕シリカには湿式法と乾式法の二種の方法において破砕したものが存在する。図4は乾式破砕シリカを模式的に示す図であり、図5は湿式破砕シリカを模式的に示す図である。
図4および図5の比較から、一般的に乾式破砕シリカ8の方が湿式破砕シリカ9よりも表面におけるOH基や残留水が少なく、樹脂製造における水の悪影響(硬化阻害および副反応の誘発等)を避けることが可能となる。また、この効果により樹脂の熱伝導度を高めるのにも役立つ。
湿式破砕シリカ9の表面にはHO等の付着があるほか、OH基が多くなる傾向にあり、またOH基によってHOが水素結合を引き起こして表面に水が多くなっている可能性がある。水は1分子あたり20kJ/mol以上のエネルギーで発熱的に結合(分子軌道計算にて求めた値を後述する表1に示す。)しており、この水を除去するには100℃以上で一昼夜にわたる乾燥工程を必要とする。また水の存在は、樹脂1の重合にとっては望ましくない効果を与える可能性がある。このことから、破砕シリカとしては湿式破砕シリカよりも乾式破砕シリカを用いることが好ましい。
Figure 2020045417
粒子3として、破砕シリカのみならず、溶融シリカ(溶融球状シリカ)を含んでもよい。破砕シリカは熱伝導率を向上させることができるが、線膨張係数を増加させてしまう可能性があり、アルミニウム、セラミックスまたは絶縁紙等で封止する場合にクラックの原因になり得るので、これを補うために溶融シリカを加えることが好ましい。
また、温度差が大きな環境では、絶縁材料を封止するアルミニウム、セラミックスまたは絶縁紙の様な他材料との線膨係数の差により、樹脂に残留熱応力が発生する。このとき、線膨張係数の小さい溶融シリカによりこの残留熱応力を低減することができ、耐クラック性を向上することができる。
さらに、溶融シリカを溶融球状シリカとすることで、線膨張係数の低減効果が等方的となり、線膨張係数の樹脂製造方向依存性が低くなる効果がある。
粒子3の添加量は、絶縁材料10の0.1〜5質量%が好ましい。0.1質量%以上であると、粒子3の添加効果(マイカ2の沈殿抑制と破壊靭性または絶縁破壊寿命の向上)を十分に得ることができる。また、5質量%以下であると、粘度が上昇し過ぎないため好ましい。本発明においては、粒子3の添加量を絶縁材料10の5質量%以下として粘度上昇を抑えているため、他の添加材を添加することができる。
マイカ2と粒子3の質量比率は、1:6〜1:8の範囲とすることが好ましい。マイカ2は、多すぎると樹脂1に気泡を発生させる恐れがあるが、このような比率とすることで、耐熱性向上と気泡抑制の両立が可能となる。
(4)コアシェルゴム
次に、コアシェルゴム粒子4について説明する。コアシェルゴム粒子4は、樹脂1に分散された添加材(マイカ2および粒子3等)の周囲に配置され、これらの凝集・沈殿を防止する役割を果たす。また、絶縁材料10を高靭性化することができる。
図6は添加材の沈殿量とコアシェルゴム粒子4の半径の関係を示すグラフである。沈殿量は、樹脂溶媒を取り除いた沈殿物の重量を測定することによって求めた。図6に示すように、コアシェルゴム粒子4の半径が小さいほど、添加材の沈殿が抑えられることが分かる。これは、コアシェルゴム粒子4の粒径が小さいほど、コアシェルゴム粒子4のブラウン運動による拡散係数が大きくなり、コアシェルゴム粒子4が添加材の周囲に配置されやすくなるためである。具体的には、以下の式1のように、溶液内の粒子のブラウン運動理論では、D(拡散係数)は温度/(半径×粘性)に比例する。
D(拡散係数)∝温度/(半径×粘性)…式1
したがって、コアシェルゴム粒子4のサイズ(半径)が小さいほど拡散係数Dが大きくなり、コアシェルゴム粒子4が溶媒内のマイカ2の周囲に配置され、マイカ2の凝集・沈殿を防止することができることがわかる。
マイカ2の凝集・沈殿防止効果を十分に得るために、粒子3の粒径は1〜200nm以下が好ましい。100nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。1nm以上であると、粒子の取り扱いが容易となる。また、200nm以下であると、粒子3がマイカ2の周囲に配置され易くなり、マイカ2の凝集・沈殿防止効果を十分に得ることができる。
なお、粒子3の粒径は、粒子3を電子顕微鏡等の観察手段で観察した場合に平面像で測定することができる。上記粒径は、所定の倍率の観察写真において表示される所定の個数のマイカの粒径を平均した値(平均粒径)であってもよい。
コアシェルゴム粒子4が添加材の沈殿を抑制することにより、絶縁材料を長期間保管する際にも、高温化設備が不要となるため、コスト低減を図れる。また、マイカ2および粒子3の樹脂1内での分散性が良くなることで、マイカ2および粒子3の効果を十分に発揮することができる。
図7は絶縁材料10の破壊靭性とコアシェルゴム粒子4の添加比率の関係を示すグラフである。図7に示すように、コアシェルゴム粒子4の添加比率が大きくなるほど、破壊靭性が向上することが分かる。これは、樹脂1に添加されたコアシェルゴム粒子4が、樹脂1のクラック進展を抑止するためである。これにより、樹脂1の破壊靭性を向上出来る。このように、コアシェルゴム粒子4は、添加材の凝集・沈殿抑制のみならず、樹脂1の耐クラック性の向上にも寄与する。
通常、過剰な量の添加材は樹脂の粘度を上昇させるので、樹脂にマイカ等の添加材を添加した上でさらに粒子3やコアシェルゴム粒子4等を積極的に添加することは、当業者の間では考えられない。本発明は、樹脂の粘度とのバランスを取りつつ粒子を添加し、その効果(マイカ、粒子の沈殿抑制および耐熱性、電気的特的特性・機械的特性の向上)を得るものであり、このような効果を得ることは従来技術では達成することができなかったことであり、本発明は新規な技術である。
(5)その他の添加材
樹脂1には、上述したマイカ2、粒子3およびコアシェルゴム粒子4の他に、硬化触媒である耐熱温度の高いスチレンとフェニルマレミドの共重合体を添加していてもよい。これは、硬化前の樹脂1に添加されたスチレンとフェニルマレミドが硬化したものである。スチレンとフェニルマレミドの共重合体の耐熱温度は樹脂1より高く、絶縁材料10の耐熱性を向上できる。
さらに、スチレンとフェニルマレミドの共重合体は化学反応性が高く、分解速度が高いため、絶縁材料10の粘度を下げることができる。絶縁材料10の粘度を下げることで、樹脂1中の気泡を埋めることができる。
絶縁材料10(硬化物)中の硬化触媒は、SEM(Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)、光学顕微鏡またはTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)によって検出することができる。
樹脂1には、鱗片状添加材(フィラー)を添加してもよい。樹脂の耐クラック性を向上することで、樹脂の破壊靭性を向上し、クラック進展を阻害することができる。
さらに、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンフェニルエーテルを、添加材100質量部に対して1.5質量部以下含んでいてもよい。
マイカ2と粒子3の場合と同様に、添加材と粒子3の主骨格は同一であることが好ましい。添加材の周囲に粒子3が配置されることで添加材の重合・沈殿が抑制され、添加材の効果を十分に発揮することができるためである。なお、本明細書において「主骨格」とは、成分または組成の半分以上、複数成分のうち最も多い成分または組成のことを意味する。
上述した(2)〜(5)の添加材の含有量は、絶縁材料10の0.1〜70質量%であることが好ましい。添加材の含有量が0.1質量%以上であると添加材の効果を十分に得ることができる。70質量%以下であれば、粘度が高くなり過ぎることを防止できる。また、70質量%以下であれば、粒子3およびコアシェルゴム粒子4によって添加材の沈殿を十分に抑制することができる。上記含有量の範囲において、絶縁材料10に付与したい熱伝導性および耐クラック性の程度を考慮してそれぞれの添加材の含有量を決定することが好ましい。
[電気機器]
次に、本発明の電気機器について説明する。本発明の電気機器は、硬化前の樹脂1にマイカ2、粒子3およびコアシェルゴム粒子4等を添加し、撹拌器で十分に撹拌した後、硬化することで得た絶縁材料10が用いられる。
図8は変圧器の一例の横断面図である。図8に示すように、変圧器120は、鉄心121に巻線122,123が設けられ、絶縁材料124によってモールドされている。絶縁材料124に、上述した絶縁材料10を用いることで、電気特性(耐絶縁破壊性)または機械特性(耐クラック性)に優れた変圧器を実現することができる。
図9はスイッチギヤの一例の断面を示す模式図である。図9に示すように、スイッチギヤ600は、接離自在な接点を有する真空バルブ61と、大気中に設けられ、直線状に3位置に変位させられる接地断路部可動電極62と、可動電極が閉位置において可動電極を介して電気的に導通させられるブッシング側固定電極63と中間固定電極64を有する。
また、可動電極が接地位置において可動電極を介して中間固定電極64と導通させられる接地側固定電極65を備えた接地断路部66と、真空バルブ61の固定側に接続されたケーブル用ブッシング67と、接地断路部66のブッシング側固定電極63に接続された母線用ブッシング68を有する。
さらに、接地断路部66の中間固定電極64と真空バルブ61の可動側を接続するフレキシブル導体69と、真空バルブ61の可動側電極70に機械的に接続された真空バルブ用操作ロッド71と、接地断路部の可動側電極70に機械的に接続された接地断路部用操作ロッド72を有する。
真空バルブ61、接地断路部用ブッシング側固定電極63、母線用ブッシング68およびケーブル用ブッシング67は、固体絶縁物73によって一体に注型されている。
固体絶縁物73に上述した絶縁材料10を用いることで、電気特性(耐絶縁破壊性)および機械特性(耐クラック性)に優れた変圧器を実現することができる。
図10は回転機の一例を示す模式図である。図10に示すように、回転機150は、固定子151および回転子152を有し、固定子151は、図示していないがコイル導体と、コイル導体を絶縁する絶縁材料を有する。この絶縁材料に、上述した絶縁材料100を用いることで、電気特性(耐絶縁破壊性)および機械特性(耐クラック性)に優れた回転子を実現することができる。本発明の電気機器は、上述した変圧器、スイッチギヤおよび回転機に限られるものではなく、電動機などの他の種々の製品にも適用可能なものである。
以上、説明したように、本発明によれば、絶縁材料中の添加材の凝集・沈殿の防止と、絶縁材料の耐熱性向上および電気的・機械的破壊の防止を達成する電気機器を提供できることが示された。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…樹脂、2…マイカ、3…粒子、4…コアシェルゴム粒子、5…デンドライト、6…シリコン原子、7…酸素原子、8…乾式破砕シリカ、9…湿式破砕シリカ、10…絶縁材料、120…変圧器、121…鉄心、122,123…巻線、124…絶縁材料、150…回転機、151…固定子、152…回転子、600…スイッチギヤ、61…真空バルブ、62…接地断路部可動電極、63…ブッシング側固定電極、64…中間固定電極、65…接地側固定電極、66…接地断路部、67…ケーブル用ブッシング、68…母線用ブッシング、69…フレキシブル導体、70…可動側電極、71…真空バルブ用操作ロッド、72…接地断路部用操作ロッド、73…固体絶縁物。

Claims (15)

  1. 樹脂と、マイカと、粒子と、コアシェルゴム粒子を含む絶縁材料を有し、
    前記粒子が前記マイカの周囲に配置され、
    前記コアシェルゴム粒子が前記マイカおよび前記粒子の周囲に配置されていることを特徴とする電気機器。
  2. 前記マイカと前記粒子の質量比率が1:6〜1:8であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  3. 前記コアシェルゴム粒子の粒径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  4. 前記コアシェルゴム粒子の粒径が1〜20nmであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  5. 前記マイカの主骨格および前記粒子の主骨格がシリカであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  6. 前記絶縁材料は、さらにスチレンとフェニルマレイミドの共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  7. 前記マイカは、粒径が2μm〜40μmであり、アスペクト比が1/200〜1/4であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  8. 前記マイカの粒径が2〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  9. 前記マイカの粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  10. 前記マイカのアスペクト比が1/200〜1/6であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  11. 前記マイカのアスペクト比が1/150〜1/20であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
  12. 前記粒子は前記樹脂においてデンドライト構造を形成していることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気機器。
  13. 前記絶縁材料は、さらに鱗片状添加材を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気機器。
  14. 前記樹脂がエポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェノール樹脂、ノボラック樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂またはこれらの複合材であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気機器。
  15. 前記電気機器は、変圧器、開閉器、スイッチギヤ、回転機または電動機であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気機器。
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