JPWO2013121528A1 - 新規なレッグギャザーを備えた吸収体物品 - Google Patents

Abstract

【課題】吸収体物品の着用時において、吸収体上に排出された尿や便が着用者の肌に接触することが効果的に抑制される吸収体物品の提供。【解決手段】シート状の防漏体と、防漏体の上部に少なくとも一層配置された、体液を吸収しうる吸収体と、吸収体の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたって配置される左右一対のフローティングレッグギャザー（ＦＬＧ）とを具備し、ＦＬＧが、頭部と頭部に連なる垂下部とを有し、垂下部の前端部及び後端部が、吸収体物品本体の前端部近傍及び後端部近傍に結合されて、垂下部が頭部から吸収体に向かって垂れ下がるように構成され、ＦＬＧの垂下部が、前身頃及び後身頃においては吸収体に固定されておらず、股下部においてはその下端部が吸収体と固定されており、着用時において、ＦＬＧの頭部が、着用者の肌に接触し、吸収体とは離間した状態を保持する、吸収体物品。【選択図】図１

Description

本発明は、吸収体物品に関する。

子供用おむつ、大人用おむつ、生理用ナプキンに代表されるような吸収体物品は、主として尿便等の体液の吸収体物品の横からの漏れ（サイド漏れ）を防止することを目的として、その必須構成成分として、レッグギャザーを備えている。
レッグギャザーは、一般的に２種類に分類される。一つは、吸収体物品の本体の左右両側縁に存在するアウターレッグギャザー（ガゼットギャザーとも呼ばれる。以下「ＯＬＧ」という。）であり、もう一つは、吸収体物品の内部に設けられる、高吸水性樹脂、パルプ等で構成された吸収体の左右両側から立体的に立ち上がるインナーレッグギャザー（以下「ＩＬＧ」という。）である。

このうち、ＩＬＧは、着用者から体液が排出された際に、吸収体の表面を流れてくる体液を側面でブロックすると同時に、ＩＬＧの先端部（頭部）を着用者の肌に接触させることにより、体液が肌を伝って外に漏れることを防止するという二つの機能を奏する。
ＩＬＧは、このような機能を奏するようにするため、従来、次のような構成とされる。
（ｉ） 体液を側面でブロックする脚部と、着用者の肌に接触させて伝い漏れを防止する、脚部から連なる頭部とを有する。
（ｉｉ） 頭部は、着用者の肌との密着性を持たせるために、伸縮性の材料で構成する。
（ｉｉｉ） 脚部は、体液の透過を防止するため、材料として、防漏性を有する疎水性不織布を用いて構成する。
（ｉｖ） 脚部は、吸収体の表面又は吸収体の表面を被覆するトップシートの表面に接合され、そこを基端部として立ち上がるよう構成される。
（ｖ） 脚部は、基端部は吸収体の左右側縁部付近（又はその位置に相当するトップシート）に接合される。

このような従来の吸収体物品は、吸収体物品の着用時には、左右のＩＬＧの間に存在する吸収体を着用者の肌に押し付けて密着させるかたちで吸収体上に排出された体液を吸収する。
しかしながら、このような従来のＩＬＧを有する吸収体物品は、狭窄な股下部に、吸収体及びそれに結合した剛性を有するＩＬＧが押し込まれるようにされるため、吸収体によれ、しわ等の不規則な変形が生じやすく、吸収体の一部に体液の吸収が集中し、漏れが発生しやすい。更に、これにより不快感が生じて新しい吸収体物品に交換したり、子供用おむつに用いられている、尿が所定量排出された場合に色が変わるなどしておむつの替え時を知らせる、いわゆる「おしっこサイン」が、所定量の尿を吸収する前に色が変わるなどして新しい吸収体物品に交換したりすることが行われている。このように、従来のＩＬＧを有する吸収体物品は、吸収体の吸収容量に応じた使用がされていないという現状がある。実際、統計によると、現状の子供用おむつの場合、未使用の吸収体物品に交換される際の吸収体物品における体液の吸収量の平均値は、吸収体の吸収能力の５０％以下である。
また、上述したように、吸収体物品の着用時に、左右のＩＬＧの間に存在する吸収体を着用者の肌に押し付けて密着させるので、吸収体上に排出された尿や便が長時間着用者の肌に接触することになり、おむつかぶれ等の皮膚トラブルを引き起こしてしまう。

このような従来のＩＬＧの問題点を解決すべく、ＯＬＧを設けるとともに、ＩＬＧの吸収体への接合位置をより左右方向の中心に寄せ、吸収体のよれ、しわ等を防止することが提案されている（特許文献１参照）。

実開平５−４８９２２号公報

しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献１に記載の使いすておむつは、吸収体物品の着用時に、吸収体を着用者の肌に押し付けて密着させるという点では、従来のＩＬＧを有する吸収体物品と変わらないので、吸収体上に排出された尿や便が着用者の肌に接触してしまい、おむつかぶれ等の皮膚トラブルを引き起こしてしまうという問題は解消されない。

本発明は、吸収体物品の着用時において、吸収体上に排出された尿や便が着用者の肌に接触することが効果的に抑制される吸収体物品を提供することを目的とする。

本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、吸収体の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたって配置される左右一対のフローティングレッグギャザー（以下「ＦＬＧ」ともいう。）として、頭部と頭部に連なる垂下部とを有し、垂下部の前端部及び後端部が、吸収体物品本体の前端部近傍及び後端部近傍にそれぞれ結合されて、垂下部が頭部から吸収体に向かって垂れ下がるように構成されたＦＬＧを設け、ＦＬＧの垂下部が、前身頃及び後身頃においては吸収体に固定されておらず、かつ、股下部においてはその下端部が吸収体と固定されるようにし、着用時において、ＦＬＧの頭部が、着用者の肌に接触し、かつ、吸収体とは離間した状態を保持するようにすることにより、吸収体物品の着用時において、ＦＬＧが吸収体と離間するため、吸収体上に排出された尿や便が着用者の肌に接触することが効果的に抑制されることができることを見出し、本発明を完成させた。

すなわち、本発明は、以下の（１）〜（１５）を提供する。
（１）シート状の防漏体と、
前記防漏体の上部に少なくとも一層配置された、体液を吸収しうる吸収体と、
前記吸収体の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたって配置される左右一対のフローティングレッグギャザーと
を具備する吸収体物品であって、
前記フローティングレッグギャザーが、頭部と前記頭部に連なる垂下部とを有し、前記垂下部の前端部及び後端部が、吸収体物品本体の前端部近傍及び後端部近傍にそれぞれ結合されて、前記垂下部が前記頭部から前記吸収体に向かって垂れ下がるように構成され、
前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、前身頃及び後身頃においては前記吸収体に固定されておらず、かつ、股下部においてはその下端部が前記吸収体と固定されており、
着用時において、前記フローティングレッグギャザーの前記頭部が、着用者の肌に接触し、かつ、前記吸収体とは離間した状態を保持する、吸収体物品。
（２）前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
いずれも前記頭部が外側に、前記垂下部が内側に向き、かつ、
前記垂下部の下端部が、前記吸収体の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置される、上記（１）に記載の吸収体物品。
（３）前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
前記垂下部間の離間距離が股下部で狭く、股下部から前端部及び後端部に向かってそれぞれ広くなるように配置される、上記（１）又は（２）に記載の吸収体物品。
（４）前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
前記垂下部間の離間距離が股下部から後端部に掛けて狭く、股下部から前端部に向かって広くなるように配置される、上記（１）又は（２）に記載の吸収体物品。
（５）前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
前記垂下部間の離間距離が股下部から前端部に掛けて狭く、股下部から後端部に向かって広くなるように配置される、上記（１）又は（２）に記載の吸収体物品。
（６）前記左右一対のフローティングレッグギャザーの前記垂下部の下端部の最小離間距離が４０ｍｍ以下である、上記（１）〜（５）のいずれかに記載の吸収体物品。
（７）前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
前記垂下部の一部が股下部において互いに重なるように配置される、上記（１）〜（５）のいずれかに記載の吸収体物品。
（８）更に、股下部において、前記左右一対のフローティングレッグギャザーの前記垂下部を互いに結合する結合バンドを有し、
前記結合バンドが股下部において前記吸収体と固定されることにより、前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、間接的に前記吸収体と固定されている、上記（１）〜（５）のいずれかに記載の吸収体物品。
（９）前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、股下部において前記吸収体と複数箇所で固定されている、上記（１）〜（８）のいずれかに記載の吸収体物品。
（１０）前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、切れ目又は切り欠きを有する、上記（１）〜（９）のいずれかに記載の吸収体物品。
（１１）前記フローティングレッグギャザーの前記頭部が、伸縮性を有する、上記（１）〜（１０）のいずれかに記載の吸収体物品。
（１２）前記フローティングレッグギャザーが、前記頭部を構成する帯状の伸縮体を伸長させた状態で、前記垂下部を構成するシート状部材と結合させて得られ、前記垂下部にしわを有している、上記（１１）に記載の吸収体物品。
（１３）前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部の前記前端部及び前記後端部と、吸収体物品本体の前記前端部及び前記後端部近傍との結合が、それぞれ、前記フローティングレッグギャザーを前後方向に伸張させた状態で行われたものである、上記（１１）又は（１２）に記載の吸収体物品。
（１４）幅方向における前記左右一対のフローティングレッグギャザーが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のインナーレッグギャザーを具備する、上記（１）〜（１３）のいずれかに記載の吸収体物品。
（１５）幅方向における前記左右一対のフローティングレッグギャザーが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のアウターレッグギャザーを具備する、上記（１）〜（１４）のいずれかに記載の吸収体物品。

本発明の吸収体物品は、吸収体物品の着用時において、吸収体上に排出された尿や便が着用者の肌に接触することが効果的に抑制される。

本発明の吸収体物品の例を示す模式図である。 図１に示される吸収体物品に用いられるＦＬＧの部分的な模式図である。 本発明の吸収体物品の別の例を示す模式図である。 図３に示される吸収体物品に用いられるＦＬＧの部分的な模式図である。 本発明の吸収体物品の更に別の例を示す模式図である。 種々の形状の頭部を有するＦＬＧを示す模式的な横端面図である。 種々の形状の垂下部を有するＦＬＧを示す模式的な部分側面図である。 本発明の吸収体物品の模式的な平面図である。 ＦＬＧの種々の配置の態様を有する吸収体物品の模式的な平面図である。 ＦＬＧの種々の配置の態様を有する吸収体物品の模式的な平面図である。 ＦＬＧの垂下部と吸収体との固定状態の説明図である。 ＦＬＧと吸収体物品本体への配置の際の固定状態の説明図である。

以下、本発明の吸収体物品を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書においては、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の肌に近い側を「上」といい、遠い側を「下」という。また、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の体の前側に対応する側を「前」といい、後側に対応する側を「後」という。また、各図中、理解を容易にするために、実際には接触している部材を離間させて示すことがある。添付した図１、図３及び図５中の各平面図においては、図の左側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してあり、その他の各平面図においては、図の上側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してあり、添付した図面中の各縦端面図及び各縦断面図においては、図の左側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してある。

図１は、本発明の吸収体物品の例を示す模式図である。図１（Ａ）は、平面図であり、図１（Ｂ）は図１（Ａ）中のＩＢ−ＩＢ線に沿った縦断面図である。

図１に示される本発明の吸収体物品１００は、子供用おむつとして構成されており、基本的に、シート状の防漏体１０と、防漏体１０の上部に少なくとも一層配置された、体液を吸収しうる吸収体１２と、吸収体１２の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたって配置される左右一対のＦＬＧ１４とを具備する。なお、本明細書においては、吸収体物品の各部材の大きさは、子供用おむつを想定して記載してある。

防漏体１０の材質は、一般に、バックシートとして用いられているものを用いることができる。具体的には、例えば、ＰＥ、ＰＰ、ＰＥＴ、ＥＶＡ等の樹脂のフィルム；前記樹脂の発泡シート等の体液不透過性シートを用いることができる。体液不透過性シートは、通気性フィルム等の通気性を有するものも好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムを用いる場合には、感触や外観を向上させるために、フィルムと不織布との複層シートとして用いることもできる。この場合、不織布としては、比較的低目付のＳＢ、サーマルボンド不織布（例えば、エアスルータイプ）等が好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムと後述するシート状吸収体との複層シートを用いることもできる。
また、高耐水性不織布を用いることもできる。高耐水性不織布としては、例えば、耐水度１００ｍｍＨ₂Ｏ以上の耐水性を有するＳＭＳ、マイクロウェブの細孔をミクロフィブリル化セルロース（ＭＦＣ）やワックスで充填することにより耐水性を付与されたＳＭＳが挙げられる。この場合、単独で用いてもよく、フィルムと高耐水性不織布との複層シートとして用いることもできる。

防漏体１０は、複数の部材から構成されていてもよい。

防漏体１０は、シート状であり、吸収体１２等を上部に収納し、かつ、ＦＬＧ１４を配置し得るものであれば、その形状を特に限定されない。

本発明に用いられる吸収体１２は、体液を吸収しうるものであれば特に限定されず、従来公知の吸収体物品に用いられる吸収体を用いることができる。例えば、粉末状の木材パルプ、無加工のＳＡＰ等の粉体状吸収体、シート状吸収体を用いることができる。

シート状吸収体は、形態安定性、ＳＡＰの脱落防止等の可能性等に優れる。
シート状吸収体の中でも、ＳＡＰを５０質量％以上、好ましくは６０質量％以上、より好ましくは７０質量％以上含有する高吸水性シートであるのが好ましい。また、高吸水性シートにおけるＳＡＰの含有量は、高吸水性シートの安定性等の点で、９５質量％以下であるのが好ましい。

高吸水性シートは、ＳＡＰを主成分とする極薄のシート状吸収体である。高吸水性シートは、ＳＡＰの含有量が極めて高いため、厚さが極めて薄い。高吸水性シートの厚さは、１．５ｍｍ以下であるのが好ましく、１ｍｍ以下であるのがより好ましい。
高吸水性シートは、ＳＡＰを主成分とする極薄のシート状吸収体であれば、構成や製造方法を特に限定されない。
例えば、Ａｉｒ Ｌａｉｄ法で得られる高吸水性シートが挙げられる。Ａｉｒ Ｌａｉｄ法は、粉砕した木材パルプとＳＡＰとを混合し、結合剤を添加してシート状に成形して高吸水性シートを得る方法である。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、米国レオニヤ（Ｒａｙｏｎｉｅｒ）社製のＮＯＶＡＴＨＩＮ（米国登録商標）、王子キノクロス社製のＢ−ＳＡＰが知られている。
また、ＳＡＰの分散スラリーを不織布等の体液透過性シートの上にコーティングする方法で得られる高吸水性シートも挙げられる。ここで、ＳＡＰの分散スラリーは、ＳＡＰとミクロフィブリル化セルロース（ＭＦＣ）とを、水とエタノールとの混合溶媒に分散させたものであるのが好ましい。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、（株）日本吸収体技術研究所製のＭｅｇａＴｈｉｎ（登録商標）が知られている。
そのほかに、例えば、起毛状不織布にＳＡＰを大量に担持させ、ホットメルトバインダー、エマルションバインダー、水性繊維等で固定する方法で得られる高吸水性シート、繊維状ＳＡＰをＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）繊維と混合してウェブ状に成形する方法で得られる高吸水性シート、ＳＡＰ層の上下をティッシュで挟んだＳＡＰシートが挙げられる。

吸収体１２は、防漏体１０の上部に、少なくとも１層配置される。すなわち、吸収体１２は、１層であってもよく、２層以上（複数層）であってもよい。
また、吸収体１２は、折りたたんだ状態で配置することもできる。

左右一対のＦＬＧ１４は、吸収体１２の上部に、吸収体物品１００本体の長さ方向の前端部から前身頃Ｆ、股下部Ｃ及び後身頃Ｒを経て後端部にわたって配置される。
ここで、「吸収体物品本体」とは、吸収体物品の部材である防漏体、防漏体上に設けることができるトップシート、その他吸収体物品に設けることができる各種部材を総称していうものである。ＦＬＧは、防漏体に結合して設けられてもよく、防漏体上に設けられたトップシートやその他の部材に結合して設けられてもよく、複数の部材にわたって結合して設けられてもよい。

ＦＬＧ１４は、頭部１６と頭部１６に連なる垂下部１８とを有し、垂下部１８の前端部及び後端部が、吸収体物品１００本体の前端部近傍及び後端部近傍にそれぞれ結合されて（前端結合部２０及び後端結合部２２が図１中に示されている。）、垂下部１８が頭部１６から吸収体１２に向かって垂れ下がるように構成されている。結合の方法は、特に限定されず、例えば、接着剤により結合する方法が挙げられる。

図１（Ｂ）に示されるように、垂下部１８は、カーテン状に垂れ下がっており、従来のＩＬＧのように吸収体（又は吸収体を被覆するトップシート）に結合し固定され支えられて立ち上がるのではなく、基本的に吸収体には固定されず、吸収体１２から浮き上がっている。この新規なＦＬＧ１４は、このように浮き上がっている構造を有するため、本明細書においては、フローティングレッグギャザー（Ｆｌｏａｔｉｎｇ Ｌｅｇ Ｇａｔｈｅｒ（ｓ）：ＦＬＧ）と呼んでいる。このように浮き上がっている構造とするためには、例えば、ＦＬＧ１４における前端結合部２０と後端結合部２２との間の長さを、防漏体１０における前端結合部２０と後端結合部２２との間の長さより短くすることにより実現することができる。
ＦＬＧ１４の垂下部１８は、前身頃Ｆ及び後身頃Ｒにおいては吸収体１２に固定されておらず、吸収体１２の表面から離間しており、かつ、その下端部が股下部Ｃにおいては垂下部固定部２４で吸収体１２と固定されている。固定の方法は、特に限定されず、例えば、接着剤により結合する方法が挙げられる。

一対の垂下部固定部２４は、股下部において幅方向の中央近傍に位置している。したがって、ＦＬＧ１４は、股下部Ｃで垂下部１８の下端部が吸収体１２の表面と固定され、股下部Ｃから前身頃Ｆ及び後身頃Ｒへとそれぞれ伸びるカーテン状の垂下部１８により仕切られた空間を形成する。

また、ＦＬＧ１４の頭部１６は、着用時においては、着用者の肌に接触し、かつ、吸収体１２とは離間した状態を保持する。

ＦＬＧの垂下部の下端部が股下部において幅方向の中央近傍の位置で吸収体に固定されていると、股下部において左右両側の垂下部の間の空間が体液の受容部として働き、その空間に排出された体液が、直接に吸収体の表面上に移動し、又は垂下部に沿って下向きに流れて吸収体の表面上に移動する。股下部の幅方向の中央近傍に集まった体液は、着用者の体位によっても異なるが、更に吸収体の前方及び後方に移動する。例えば、横臥位を例にとると、従来のおむつでは、着用者の肌を伝わった体液が、肌とＩＬＧとの隙間から流れ出たり、たとえＩＬＧでブロックされても吸収体の側端部に集まってしまい、おむつ側部からすぐ漏れやすくなったりしており、大きな欠点となっていた。本発明の吸収体物品におけるのＦＬＧの場合は、その頭部と垂下部で体液は確実にブロックされ、垂下部の内面を伝わって、前方及び後方に確実に移動させることにより、大幅に横漏れを減少させることができる。上述のように、本発明の吸収体物品においては、左右両側の垂下部の間に排出された体液が、股下部で集積され均一に前後方向と幅方向に分配されるので、従来のおむつのように、排出器（特に男性器）の吸収体への接触位置によって、前方へ又は側方へ体液がバイパスして移動するなど、漏れにつながるような現象は起こらない。結果として、吸収体の吸収能力が十分に発揮できることになる。
そして、図１（Ａ）に示される一対のＦＬＧ１４のように、垂下部間の離間距離が股下部で狭く、股下部から前端部及び後端部に向かってそれぞれ広くなるように配置されるなど、垂下部の離間距離が長さ方向の位置によって異なっている場合は、体液の左右方向への移動も生じるため、吸収体１２の長さ方向及び幅方向いずれについても広い領域に体液を拡散させてから吸収させることができ、吸収体１２の吸収能力が更に発揮される。
一対の垂下部の最小離間距離の好適範囲については、後述する。

また、ＦＬＧの垂下部の下端部が股下部において幅方向の中央近傍の位置で吸収体に固定されていると、着用者が本発明の吸収体物品を着用しようとする際に、ＦＬＧの頭部が股下部の会陰部にフィットしやすくなるため、着用が容易である。

更に、このＦＬＧの頭部が着用者の肌に常に密着するため、ＦＬＧ間の空間内において着用者から排出された体液が着用者の肌を伝って外側に移動することが抑制される。

図２は、図１に示される吸収体物品１００に用いられるＦＬＧ１４の部分的な模式図である。図２（Ａ）は、側面図であり、図２（Ｂ）は、図２（Ａ）中のＩＩＢ−ＩＩＢ線に沿った横断面図である。
図２に示されるように、ＦＬＧ１４は、頭部１６と頭部１６からカーテン状に垂れ下がる垂下部１８とから構成されている。具体的には、長さ方向に延在する帯状の伸縮体Ｍ１を、シート状部材で包み込み、余った部分が垂れ下がるようにし、帯状の伸縮体Ｍ１がシート状部材で被覆されて頭部１６が形成され、シート状部材の垂れ下がった部分により垂下部１８が形成されている。
伸縮体Ｍ１は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタンの発泡体（例えば、イノアック社製）を用いることができる。
シート状部材は、特に限定されないが、例えば、ＰＥ／ＰＰスパンボンド不織布（例えば、目付量１５ｇ／ｍ^２、ＪＮＣ社製）、ＳＭＳ不織布を用いることができる。

ＦＬＧ１４の頭部１６は、帯状の伸縮体Ｍ１を用いているため、伸縮性を有する。ＦＬＧの頭部が伸縮性を有すると、着用者の肌への密着度が高くなる。

防漏体１０の後端付近の左右両側には、着脱部材２６が設けられている。防漏体１０の前端付近の下面には、着脱部材と互いに着脱自在となるように、着脱部材（図示せず）が設けられている。これらの着脱部材は、例えば、各種面ファスナーにより構成することができる。

図３は、本発明の吸収体物品の別の例を示す模式図である。図３（Ａ）は、吸収体物品を応力を加えて前後方向及び左右方向に伸張させて展開した状態の展開平面図であり、図３（Ｂ）は図３（Ａ）中のＩＩＩＢ−ＩＩＩＢ線に沿った横端面図である。

図３に示される本発明の吸収体物品１０１は、子供用おむつとして構成されており、基本的に、吸収体物品１００と同様であるが、ＦＬＧの外側の側部に左右一対のアウターレグギャザーを備えている点で異なる。吸収体物品１０１は、シート状の防漏体１１と、防漏体１１の上部に少なくとも一層配置された、体液を吸収しうる吸収体１３と、吸収体１３の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたり、幅方向の中央近傍に配置される左右一対のＦＬＧ１５とを具備するが、更に、防漏体１１の幅方向の一方の縁部から他方の縁部に至るまで吸収体１３の表面を被覆するように配置されているトップシート２８と、防漏体１１上において吸収体１３の左右両側に配置され、トップシート２８により被覆されることにより固定されている糸状ゴム３０を備えたアウターレグギャザーとを具備する点で、吸収体物品１００と異なる。
糸状ゴム３０としては、例えば、３本のポリウレタンフィラメントを用いることができる。この糸状ゴム３０は、これを上下から挟んで固定する防漏体１１及びトップシート２８とともに、幅方向における左右一対のＦＬＧが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のＯＬＧを構成する。
本発明においては、ＯＬＧは、この構成に限定されず、例えば、従来公知の吸収体物品に用いられるＯＬＧの構成を用いることができる。

吸収体物品１０１における防漏体１１、吸収体１３、ＦＬＧ１５、頭部１７、伸縮体Ｍ２、垂下部１９、前端結合部２１、後端結合部２３、垂下部固定部２５及び着脱部材２７は、形状等の細かい点で異なるものの、それぞれ吸収体物品１００における防漏体１０、吸収体１２、ＦＬＧ１４、頭部１６、伸縮体Ｍ１、垂下部１８、前端結合部２０、後端結合部２２、垂下部固定部２４及び着脱部材２６に相当する（なお、前端結合部２１及び後端結合部２３は、図３（Ａ）に示されるように、それぞれ左右２箇所ずつとなっている。）。

図３に示される吸収体物品１０１は、吸収体物品を応力を加えて前後方向及び左右方向に伸張させて展開した状態を示すものである。
この展開状態においては、ＦＬＧ１５は、前後方向に引っぱられて、トップシート２８の上で寝た状態となっている。この状態では、図３（Ｂ）から明らかなように、ＦＬＧ１５の垂下部１９の下端部が、幅方向の中央近傍に存在する一対の垂下部固定部２５において、トップシート２８を介して吸収体１３と結合することにより固定され、その外側に頭部１７が位置している。このように垂下部の下端部が内側、頭部が外側に位置するようにすると、垂下部間の必要な幅の調整もしやすく、製造プロセスも簡易になる。
また、図３（Ａ）から明らかなように、展開状態においては、左右一対のＦＬＧ１５の垂下部１９の下端部が対向するように位置しているが、吸収体１３と結合しているのは股下部における垂下部固定部２５においてのみである。
なお、本発明においては、吸収体がその表面をトップシートで被覆されている場合、ＦＬＧの垂下部がトップシートと固定されている態様も、トップシートを介して吸収体と間接的に固定されているから、ＦＬＧの垂下部が吸収体と固定されている態様に含まれる。

図４は、図３に示される吸収体物品１０１に用いられるＦＬＧ１５の部分的な模式図である。図４（Ａ）は、側面図であり、図４（Ｂ）は、図４（Ａ）中のＩＶＢ−ＩＶ線に沿った横断面図である。
図４に示されるように、ＦＬＧ１５は、頭部１７と頭部１７からカーテン状に垂れ下がる垂下部１９とから構成されている。具体的には、長さ方向に延在する帯状の伸縮体Ｍ２を、シート状部材で包み込み、余った部分が垂れ下がるようにし、帯状の伸縮体Ｍ２がシート状部材で被覆されて頭部１７が形成され、シート状部材の垂れ下がった部分により垂下部１９が形成されている。
ＦＬＧ１５の頭部１７を構成する伸縮体Ｍ２は、伸縮体Ｍ１とは異なり、長さ方向に並列した２本の糸状ゴム又はポリウレタンフィラメントにより構成されている。
ＦＬＧ１５の垂下部１９は、ＦＬＧ１４の垂下部１８が頭部１６の幅方向のほぼ中央から垂れ下がっているのとは異なり、頭部１７の幅方向の内側側縁から垂れ下がっている（図４に示されるＦＬＧ１５は、着用者から見て左側のＦＬＧである。）。
吸収体物品１０１においても、応力を除くと、頭部１７の伸縮体Ｍ２が縮むことにより、図１（Ｂ）に示される吸収体物品１００と同様に、ＦＬＧ１５が吸収体１３の表面から浮き上がった状態となる。

トップシート２８は、液透過性の不織布（例えば、親水化処理を施されたＰＥ／ＰＥＴ製のエアースルー不織布（例えば、目付量２０ｇ／ｍ^２））により構成されている。
本発明においては、トップシートは、特に限定されず、例えば、従来公知の吸収体物品に用いられるトップシートを用いることができる。

図５は、本発明の吸収体物品の更に別の例を示す模式図である。図５（Ａ）は、パンツ型オムツの態様である吸収体物品をそのウエストギャザーの左右両側の部分（図中のＺ）を切断して展開した状態の平面図であり、図５（Ｂ）は図５（Ａ）中のＶＢ−ＶＢ線に沿った横端面図である。
図１に示される吸収体物品１００及び図３に示される吸収体物品１０１は、いずれも子供用のテープ型おむつの例であるが、図５に示される吸収体物品１００’は、テープレスのパンツ型おむつの例である。
図５に示される吸収体物品１００’は、基本的に、図３に示される吸収体物品１０１と同様であるが、パンツ型おむつである点の他、幅方向における左右一対のＦＬＧが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のＩＬＧを有する点で異なる。すなわち、図３に示される吸収体物品１０１は、ＦＬＧとＯＬＧとの併用例であったが、図５に示される吸収体物品１００’は、ＦＬＧとＩＬＧとの併用例である。

なお、本発明においては、ＦＬＧとＯＬＧ及びＩＬＧとの組合せは、特に限定されない。例えば、ＦＬＧ単独（図１に示される吸収体物品１００参照）、ＦＬＧとその外側のＯＬＧとの組合せ（図３に示される吸収体物品１０１参照）、ＦＬＧとその外側のＩＬＧとの組合せ（図５に示される吸収体物品１００’参照）、及び、ＦＬＧとその外側のＩＬＧと更にその外側のＯＬＧとの組合せ（図示せず）のいずれの態様とすることもできる。

吸収体物品１００’におけるＩＬＧは、前後方向に延在する糸状ゴム３０’をトップシート２８’の左右外縁部で被覆したものであり、防漏体１０’の左右外縁付近から上側かつ内側に立ち上がっている。このＩＬＧは、特に限定されず、例えば、従来公知のＩＬＧの構造とすることができる。
ＦＬＧ１４’は、伸縮性の頭部１６’と不織布により構成される垂下部１８’とを有し、股下部位でこの垂下部の下端はトップシート２８’の表面と垂下部固定部２４’で結合されている。

吸収体物品１００’における防漏体１０’、吸収体１２’、ＦＬＧ１４’、頭部１６’、伸縮体Ｍ２、垂下部１８’、前端結合部２０’、後端結合部２２’、垂下部固定部２４’及びトップシート２８’は、形状等の細かい点で異なるものの、それぞれ吸収体物品１０１における防漏体１１、吸収体１３、ＦＬＧ１５、頭部１７、伸縮体Ｍ２、垂下部１９、前端結合部２１、後端結合部２３、垂下部固定部２５及びトップシート２８に相当する。

吸収体物品１００’は、パンツ型おむつであるため、着脱部材を有さず、防漏体１０’を被覆してパンツの形状とする外装シート３１と、着用時に着用者の腰の周囲に密着するウエストギャザー３５とを有する。
本発明においては、外装シート及びウエストギャザーは、特に限定されず、例えば、従来公知のものを用いることができる。

本発明の吸収体物品に用いられるＦＬＧは、ＦＬＧ１４、１５及び１４’のような構成に限定されない。
以下、ＦＬＧの構成について、より詳細に説明する。
ＦＬＧは、一つの材料を用いて頭部と垂下部とを一体的に構成してもよい。例えば、頭部と垂下部とを同じ伸縮性材料で構成してもよい。
また、ＦＬＧ１４、１５及び１４’のように、頭部と垂下部とに異なる材料を用いて、それらを一体化することにより構成してもよい。
以下、ＦＬＧの（１）頭部、（２）垂下部、（３）一体化、及び、（４）大きさについて順に説明する。

（１）頭部
（ｉ）形状・配置
頭部の形状は、例えば、フィルム状、テープ状、帯状、チューブ状、スパイラルコイル状が挙げられる。中でも、着用者の着用部分の曲線形状にフィットするように、用いられる材料と相俟って、柔軟性やクッション性が発揮される形状であるのが好ましい。

頭部の形状について、図面を用いて詳細に説明する。
図６は、種々の形状の頭部を有するＦＬＧを示す模式的な横端面図である。これらは、いずれも着用者から見て左側のＦＬＧであり、右側のＦＬＧはこれと左右対称の横端面図を持つが、本発明においては、左右のＦＬＧの形状を入れ替えることもできる。

図６（Ａ）に示されるＦＬＧ１４ａは、頭部１６ａと垂下部１８ａとにより構成される。頭部１６ａに用いられる帯状の伸縮体としては、例えば、シート状の伸縮性フィルム、ゴム糸集成バンド（例えば、パジャマゴム、フジハト社製、幅１５ｍｍ、破断伸度２１０％）、発泡体、不織布で包囲した発泡体を用いることができる。頭部１６ａは、構造が比較的単純であるため、製造しやすいという利点がある。
垂下部１８ａに用いられるシート状部材としては、例えば、ＳＭＳ不織布（例えば、目付量１３ｇ／ｍ^２）、ＰＥ／ＰＰスパンボンド不織布（例えば、目付量１５ｇ／ｍ^２）を、例えば、上下方向の長さが３５ｍｍとなるようにして用いることができる。図６（Ｂ）〜図６（Ｅ）にそれぞれ示される垂下部１８ａ’〜１８’ｄにおいても、同様である（不織布は、垂下部１８’ｄにおいては、親水化処理して用いられる。）。
頭部１６ａと垂下部１８ａとの一体化は、例えば、上記帯状の伸縮体を伸長させた状態（例えば、２倍に伸張させた状態）で、上記シート状部材と熱融着して結合させる方法により行うことができる。このように、頭部を構成する帯状の伸縮体を伸長させた状態で、垂下部を構成するシート状部材と結合させて、ＦＬＧを得ると、図２で説明したように、垂下部にプリーツカーテン状のしわを形成させることができる。この態様のＦＬＧは、プリーツカーテンがそうであるように、垂下部の下端には上下の凹凸が生じ、幅方向にはプリーツ形成に伴って厚みを持つようになる。

図６（Ｂ）に示されるＦＬＧ１４’ａは、頭部１６’ａと垂下部１８’ａとにより構成され、例えば、シート状の伸縮体Ｍ３を、下側に内面が位置するように逆Ｕ字状に折り畳み、その状態で垂下部１８’ａに使用されるＳＭＳ不織布で包んで得ることができる。
シート状の伸縮体Ｍ３としては、例えば、伸縮性フィルム、シート状の発泡体（例えば、厚さ３ｍｍ程度のポリウレタンフォーム）を用いることができる。頭部１６’ａは、嵩高になり、クッションに優れるため、着用者の肌にフィットしやすいという利点がある。

図６（Ｃ）に示されるＦＬＧ１４’ｂは、頭部１６’ｂと垂下部１８’ｂとにより構成され、例えば、中央に２本の細い繊度の弾性糸からなる帯状の伸縮体Ｍ４を並べ、その左右両側に２本の太い繊度の弾性糸からなる帯状の伸縮体Ｍ５を並べた上、垂下部１８’ｂに使用されるＳＭＳ不織布で包んだ後、ホットメルト接着剤で固定することにより得ることができる。この頭部１６’ｂは、着用時に前後方向に伸長されると、外側の張力が強く働き、上向きの樋のような形状を呈するようになるため、比較的左右にずれにくいという利点がある。

図６（Ｄ）に示されるＦＬＧ１４’ｃは、頭部１６’ｃと垂下部１８’ｃとにより構成され、例えば、ＦＬＧ１４’ｂの場合とは逆に、中央に２本の太い繊度の弾性糸からなる帯状の伸縮体Ｍ５を並べ、その左右両側に２本の細い繊度の弾性糸からなる帯状の伸縮体Ｍ４を並べた上、垂下部１８’ｃに使用されるＳＭＳ不織布で包んだ後、ホットメルト接着剤で固定することにより得ることができる。この頭部１６’ｃは、着用時に前後方向に伸長されると、内側の張力が強く働き、下向きの傘のような形状を呈するようになるため、比較的着用者の肌にフィットしやすいという利点がある。

図６（Ｅ）に示されるＦＬＧ１４’ｄは、２種類の頭部１７及び頭部１６’ｄと２種類の垂下部１９及び垂下部１８’ｄとにより構成される。図６（Ｅ）中、左側の頭部１７と垂下部１９とは、図４に示されるＦＬＧ１５を用いて構成することができる。具体的には、例えば、帯状の伸縮体Ｍ２として２本のポリウレタンフィラメントを並べ、疎水性のＳＭＳ不織布で包囲することで得ることができる。また、図６（Ｅ）中、右側の頭部１６’ｄと垂下部１８’ｄとは、例えば、帯状の伸縮体Ｍ６としてクッション性に優れたポリウレタンの発泡体を用い、これを活性剤で親水化処理を施したＳＭＳ不織布で包囲することで得ることができるものであり、図２に示されるＦＬＧ１４と類似している。この両者を、頭部１７の上面の位置が頭部１６’ｄの上面の位置より少し上側になるように、垂下部１９及び１８’ｄを結合させることにより、ＦＬＧ１４’ｄが得られる。このように頭部の位置をずらすことにより、着用者の肌へのフィット性が高くなり、サイドからの伝い漏れがより効果的に防止される。
ＦＬＧ１４’ｄは、着用者の外側（図中左側）に位置する頭部１７及び垂下部１９により、側部からの漏れを抑制し、また、着用者の内側（図中右側）に位置する頭部１６’ｄ及び垂下部１８’ｄにより、尿等の体液を集め、吸収体の表面に拡散させるという機能を奏する。
ＦＬＧ１４’ｄは、上述したように、２種類のＦＬＧを合体させて得るものであるため、製造プロセスが複雑であり、コストも高くなるので、本発明においては、例えば、ＦＬＧの一部、例えば、股下部のみにこのような２重構造を有するＦＬＧを用いることもできる。

ＦＬＧの頭部の吸収体の表面からの距離は、着用者に着用者の肌と吸収体とが接触しない範囲であれば特に限定されないが、股下部に存在する垂下部固定部における垂下部の長さで規定され、会陰部付近で、１０ｍｍ以上であるのが好ましく、１５ｍｍ以上であるのがより好ましい。

（ｉｉ）材料
ＦＬＧの頭部は着用者の肌に直接接するので、頭部に用いられる材料としては、柔軟でウレタン発泡フォームのように伸縮性とクッション性を併有するのが好ましく、特に、伸縮性を有することが重要である。
頭部に用いられる伸縮性材料としては、例えば、以下のものが挙げられる。

（ａ）フィラメント状の弾性体（弾性糸）を用いた伸縮性材料
具体的には、例えば、ゴム糸、ポリウレタンフィラメント等の弾性糸を編織して得られるテープ状・チューブ状のいわゆるゴムバンド；弾性糸とナイロンフィラメント、ポリエステルフィラメント等の合繊フィラメントと交編・交織してえられる伸縮性の編物・織物；弾性糸と紡績糸とを用いてネット状・筒状にした伸縮包帯、筒状包帯、伸縮サポーター等の組織の変形を伴って伸縮する材料が挙げられる。
これらは、適宜２種以上を組み合わせて用いることができる。

（ｂ）伸縮性フィルム類
具体的には、例えば、ポリウレタンフィルム、ＥＶＡ（エチレン／酢酸ビニル共重合体）フィルム、ＳＥＢＳ（スチレン／エチレン／ブチレン／スチレン共重合体）フィルム、ＳＢＲ（スチレン／ブタジエンゴム）フィルム等の合成樹脂フィルム；ポリウレタン不織布等の合成樹脂不織布が挙げられる。これらの伸縮性フィルム類は、一方向のみに伸縮性を有するもの、多方向に伸縮性を有するもののいずれも用いることができる。
これらは、適宜２種以上を組み合わせて用いることができる。

（ｃ）上記（ａ）及び（ｂ）の伸縮性材料と、不織布類との積層体
具体的には、例えば、複数の弾性糸を並行に並べ、伸長させた状態で、上下に不織布を接合して得られる３層積層体；ＳＥＢＳフィルムと１方向易伸展性不織布との積層体が挙げられる。

（２）垂下部
（ｉ）形状・配置
垂下部の形状について、図面を用いて詳細に説明する。
図７は、種々の形状の垂下部を有するＦＬＧを示す模式的な部分側面図である。
図７（Ａ）に示されるＦＬＧ１４ａは、図６（Ａ）において示したものであり、頭部１６ａと垂下部１８ａとにより構成される。頭部１６ａは、図７（Ｂ）〜図７（Ｆ）に示されるＦＬＧ１４ｂ〜１４ｆにおいても用いられているものである。
図７（Ａ）に示されるＦＬＧ１４ａにおける垂下部１８ａは、切れ目を有しないシート状部材によりプリーツカーテン状に構成されている。この態様は、体液のシール性がよく、製造しやすいシンプルな構造であるが、相対的に剛性が高くなり変形しにくいので、薄くてしなやかな材料を選択する必要がある。
図７（Ｂ）に示されるＦＬＧ１４ｂにおける垂下部１８ｂは、切れ目が比較的広い間隔で複数設けられたシート状部材により、いわば「のれん状」に構成されている。この態様は、例えば、中央部位、前部、後部というように３分割すると、体の動きに追随して変形することが容易にできるようになる。
図７（Ｃ）に示されるＦＬＧ１４ｃにおける垂下部１８ｃは、切れ目が比較的狭い間隔で複数設けられたシート状部材により、多数のテープが垂れ下がるような状態、いわば「テープ状」に構成されている。この態様は、より体の動きに追従して変形することが容易になるが、製造がやや難しくなり、また、体液のシール性にやや難点がある。
図７（Ｄ）に示されるＦＬＧ１４ｄにおける垂下部１８ｄは、前身頃及び後身頃付近では切れ目が比較的狭い間隔で複数設けられ、股下部では切れ目を有しないシート状部材により、いわば「テープ状」及び「のれん状」の組合せとして構成されている。この態様は、ＦＬＧ１４ｃの長所を生かし、かつ、短所を補うことができる構成であり、製造がしやすく、体液のシール性にも優れる。

シート状部材に設けられる切れ目は、図７（Ａ）〜図７（Ｄ）に示される垂下部１８ａ〜１８ｄにおいては、ほぼ頭部１６ａに達する程度の比較的深いものであるが、本発明においては、垂下部の先端にとどまるような浅いもの、垂下部の中央付近までのもの等であってもよく、これらを適宜混合して用いてもよい。
また、切れ目ではなく、多少幅を持たせた切欠きとしてもよい。
シート状部材が切れ目を有する場合、垂下部の自由度が高くなり、吸収体のしわ、よれ等をより生じさせにくくなるという利点がある。他方、側部からの吸収体の表面を流れてくる体液を側面でブロックする効果は、やや弱くなる。
したがって、切れ目の数、位置、深さ、更には、異なる深さの切れ目の混合の仕方は、垂下部の位置、垂下部に用いられるシート状部材の材料の性状（剛性等）等を考慮して、適切に選択することが重要である。

図７（Ｅ）に示されるＦＬＧ１４ｅにおける垂下部１８ｅは、複数の細い糸からなる房が頭部１６ａから多数垂れ下がって構成されている。この態様は、極めて着用者の動きに追従してなじみやすいとともに、頭部で分離された体液を分配して均一に吸収体に供給する効果はあるが、体液のシール性にはやや劣る。
図７（Ｆ）に示されるＦＬＧ１４ｆにおける垂下部１８ｆは、複数の細かい孔が設けられたシート状部材により、いわば「格子状」に構成されている。この態様は、ある程度変形性がよく体液のシール性にも優れるが、特別の材料を選択する必要がある。

ＦＬＧの吸収体物品における配置は、特に限定されず、図４（Ｂ）に示されるように、垂下部が頭部に対して内側（中央側）から垂れ下がっていてもよく、図２（Ｂ）及び図６（Ａ）〜図６（Ｅ）に示されるように、垂下部が頭部の中央部から垂れ下がっていてもよく、垂下部が頭部に対して外側（側縁側）に垂れ下がってもよい。

（ｉｉ）材料
垂下部に用いられる材料は、例えば、布箔類、フィルム類、ネット類、不織布類が挙げられる。中でも、コスト、加工性等を考慮すると湿式、乾式、スパンレース、スパンメルト等の方式で製造される不織布が好ましく、ＳＭＳ、ＳＭＭＳ等のスパンメルト不織布がより好ましい。
スパンメルト不織布は、ＰＥ、ＰＰ、ＰＥＴ、ＰＥ／ＰＰ、ＰＥ／ＰＥＴ等のポリマー構成を持ったスパンボンド又はスパンボンド／メルトブローンの積層体である。スパンメルト不織布は、目付量が１０〜２０ｇ／ｍ^２であるのが、コスト、加工性等の点で好ましい。

（３）一体化
頭部と垂下部とに異なる材料を用いる場合、それらを一体化してＦＬＧを形成する。
一体化の態様としては、例えば、上述したＦＬＧ１４及び１５のように、伸縮体をシート状部材で包み、シート状部材の重なり部分を結合させる態様が挙げられる。この態様は、頭部と垂下部との一体化が強固になるという利点がある。
また、図６（Ａ）に示されるＦＬＧ１４ａのように、単に伸縮体とシート状部材とを結合して一体化する態様も挙げられる。

頭部と垂下部を一体化する際に用いられる結合の手段は、特に限定されず、例えば、ミシン縫製、熱シール、超音波シール、ホットメルト接合が挙げられる。これらは２種以上を組み合わせて用いることができる。
頭部の材料として伸縮体を用いる場合には、伸張下で一体化を行うのが好ましい。

（４）大きさ
（ｉ）幅
ＦＬＧの頭部は、種々の形状とすることができるが、概して、幅（左右方向の長さ）は、着用時に着用者の肌に接触して押圧されても、痛くないように、また、跡を残さないようにする点で、２ｍｍ以上であるのが好ましく、５ｍｍ以上であるのがより好ましい。また、頭部の幅は、着用時の取扱いが容易であり、また、高コストとならない点で、５０ｍｍ以下であるのが好ましい。
（ｉｉ）上下方向の長さ
ＦＬＧは、上下方向の長さのほとんどが垂下部で占められる。
垂下部の上下方向の長さは、頭部と吸収体の表面との距離にもよるが、側部からの吸収体の表面を流れてくる体液を側面でブロックする効果に優れる点で、１０ｍｍ以上であるのが好ましく、２０ｍｍ以上であるのがより好ましい。また、
垂下部の上下方向の長さは、特に限定されず、吸収体の表面に接触した状態となってもよいが、高コストとならない点で、５０ｍｍ以下であるのが好ましい。

ＦＬＧの奏する効果を以下に説明する。
ＦＬＧは、基本的に、吸収体の表面から離間し、浮き上がった状態で、着用者の肌に接触しているから、着用者の肌と吸収体に吸収された体液や吸収体上に存在する体液とが直接接触することを効果的に防止し、おむつかぶれ等の皮膚トラブルを極めて効果的に抑制することができる。

更に、副次的な効果として、以下の効果が挙げられる。
ＦＬＧは、基本的に、吸収体の表面から離間し、浮き上がっているため吸収体の剛性の影響を受けないし、吸収体に対しても、しわ、よれ等を生じさせにくい。すなわち、ＦＬＧの垂下部を支えて構造を保持するＦＬＧの頭部が吸収体の表面から大きく離れた位置に存在するため、垂下部が垂下部固定部で吸収体と固定されていても、ＦＬＧ及び吸収体の動きは、いずれも互いによってほとんど拘束されない。
したがって、吸収体物品の着用時における吸収体のしわ、よれ等が生じにくく、吸収体の吸収能力を十分に発揮することができる。

また、着用者が、吸収体物品を着用しようとする際に、吸収体との位置関係に配慮することなく、着用者の身体の形状に最適なＦＬＧの存在位置を選定することができる。これにより、着用者の着用時の不快感が抑制される。
更に、ＦＬＧの頭部を着用者の肌と常時密着させた状態に保つことができるため、着用者の身体の動きにフレキシブルに追従させることが可能となり、着用者の身体の動きによって生じやすい側部からの伝い漏れを抑制することができる。
更に、ＦＬＧは、基本的に、吸収体の表面から離間しているから、吸収体と一体的に設計する必要がない。すなわち、吸収体物品においてＦＬＧを設けることにより、吸収体の設計自由度が高くなる。

第１表に、ＦＬＧと従来技術のＩＬＧとの差異を、構成ごとに比較して示す。

つぎに、本発明の吸収体物品におけるＦＬＧの配置について、より詳細に説明する。
図８は、本発明の吸収体物品１００の模式的な平面図である。図８においては、各部材の詳細は省略し、吸収体物品１００の外周縁のみを、長さ方向の中央部に凹部をもつ長方形に近似させて図示してある（着脱部材２６は省略してある。）。
図８を用いて、図９以下でＦＬＧの配置を説明するための用語の定義を行う。
一般に、吸収体物品は平面図上で左右対称であるところ、吸収体物品１００も平面図である図８上で左右対称であるから、対称軸（幅方向の中央に引かれる線）を縦センターラインＣＬ−ａとする。
また、吸収体物品１００の長さ方向において前端縁と後端縁との中央の位置に線を引き、横センターラインＣＬ−ｂとする。横センターラインＣＬ−ｂの前後の領域を股下部Ｃとし、股下部Ｃより前の領域を前身頃Ｆ、後ろの領域を後身頃Ｒとする。なお、吸収体物品の着用時においては、着用者の股下部の会陰は、横センターラインＣＬ−ｂよりもやや前に位置する（子供用おむつであれば約２０ｍｍ前に位置する）。

図９は、ＦＬＧの種々の配置の態様を有する吸収体物品の模式的な平面図である。なお、図９においては、ＦＬＧ以外の各部材の詳細は省略してある。また、この例では、ＦＬＧの頭部がＦＬＧの全長でなく部分的に存在しているが、ＦＬＧの頭部はＦＬＧの全長に存在させてもよい。

図９（Ａ）に示される吸収体物品１０２においては、左右一対のＦＬＧ１５ａが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ａが外側に、垂下部１９ａが内側に向き、かつ、垂下部１９ａの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されている。これにより、左右の幅間隔の調節が容易な形状となっている。
また、一対の垂下部１９ａの下端部は、長さ方向の全長にわたり、ほぼ並行に配置されている。この態様は、構造がシンプルで、製造プロセスが簡易になる。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部固定部２５ａで、垂下部１９ａが吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｂ）に示される吸収体物品１０３においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｂが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｂが外側に、垂下部１９ｂが内側に向き、かつ、垂下部１９ｂの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されている。
また、一対の垂下部１９ｂ間の離間距離は、股下部で狭く、股下部Ｃから前端部Ｆ及び後端部Ｒに向かってそれぞれ広くなるように配置されている。この態様は、会陰部にフィットすると同時に、腹部と背部を広く包む構造で、着用しやすい形状になっている。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部固定部２５ｂで、垂下部１９ｂが吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｃ）に示される吸収体物品１０４においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｃが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｃが外側に、垂下部１９ｃが内側に向き、かつ、垂下部１９ｃの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されている。
また、一対の垂下部１９ｃ間の離間距離は、股下部Ｃから後端部Ｒに掛けて狭く、股下部Ｃから前端部Ｆに向かって広くなるように配置されている。この態様は、便が排出された場合にサイドに拡散しにくい形状となっている。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部固定部２５ｃで、垂下部１９ｃが吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｄ）に示される吸収体物品１０５においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｄが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｄが外側に、垂下部１９ｄが内側に向き、かつ、垂下部１９ｄの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されている。
また、一対の垂下部１９ｄ間の離間距離は、股下部Ｃから前端部Ｆに掛けて狭く、股下部Ｃから後端部Ｒに向かって広くなるように配置されている。この態様は、尿が排出された場合に前部からのにじみ出しを防止できる形状となっている。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部固定部２５ｄで、垂下部１９ｄが吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｅ）に示される吸収体物品１０６においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｅが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｅが外側に、垂下部１９ｅが内側に向き、かつ、垂下部１９ｅの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されている。
また、一対の垂下部１９ｅ間の離間距離は、吸収体物品１０５と同様に、股下部Ｃから前端部Ｆに掛けて狭く、股下部Ｃから後端部Ｒに向かって広くなるように配置されているが、吸収体物品１０６の前身頃Ｆの前端縁付近において、一対のＦＬＧ１５ｅが重なるように設けられている。この態様においては、重なり部分が、着用時に、吸収体物品１０６の前端部にポケットを形成し、このポケットは、着用者がうつ伏せの姿勢を取ったときに、体液が吸収体（図示せず）の表面を流れて吸収体物品１０６の前端から漏れ出るのを防ぐ働きをする。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部固定部２５ｅで、垂下部１９ｅが吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｆ）に示される吸収体物品１０７においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｆが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｆが外側に、垂下部１９ｆが内側に向き、かつ、垂下部１９ｆの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されているが、垂下部１９ｆの上下方向の長さが股下部Ｃにおいて長く、前身頃Ｆ及び後身頃Ｒにおいて短くなっており、垂下部１９ｆの一部が股下部Ｃにおいて互いに重なるように配置されている点で異なる。この態様は、体液を股下部に集中ガイドしやすい形状であると同時に、垂下部結合部が１箇所で済むという利点がある。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部１９ｆの重なった部分が、１箇所の垂下部固定部２５ｆで、吸収体（図示せず）と固定されている。

図９（Ｇ）に示される吸収体物品１０８においては、吸収体物品１０２と同様に、左右一対のＦＬＧ１５ｇが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｇが外側に、垂下部１９ｇが内側に向き、かつ、垂下部１９ｇの下端部が、吸収体（図示せず）の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置されているが、垂下部１９ｇの上下方向の長さが股下部Ｃの一部のみにおいて長くなっており、この一部が股下部Ｃにおいて互いに重なるように配置されている点で異なる。この態様は、ＦＬＧ１５ｆと形状は異なるが、体液を股下部に集中ガイドするのが容易であると同時に、垂下部結合部が１箇所で済むという点では共通の利点がある。
股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍においては、垂下部１９ｇの重なった部分が、１箇所の垂下部固定部２５ｇで、吸収体（図示せず）と固定されている。

図１０は、ＦＬＧの種々の配置の態様を有する吸収体物品の模式的な平面図である。なお、図１０においては、ＦＬＧ及び結合バンド以外の各部材の詳細は省略してある。

図１０（Ａ）に示される吸収体物品１０９においては、左右一対のＦＬＧ１５ｈが、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで、いずれも頭部１７ｈが外側に、垂下部１９ｈが内側に向き、かつ、垂下部１９ｈの下端部が、比較的離れて、互いに対向するように配置されている。
一対の垂下部１９ｈは、股下部Ｃの横センターラインＣＬ−ｂ近傍において、結合バンド３２により互いに結合している。結合バンド３２は、吸収体（図示せず）の表面と、結合バンド３２の中央に位置する結合バンド固定部３４で、結合している。ＦＬＧ１５ｈの垂下部１９ｈは、前身頃Ｆ及び後身頃Ｒにおいては、吸収体（図示せず）に固定されていないが、股下部においては、結合バンド３２を介して間接的に吸収体（図示せず）と固定されている状態となる。
このように、ＦＬＧの垂下部が結合バンドを介して間接的に吸収体と固定されている態様は、一対の垂下部の離間距離が比較的広い場合であっても、ＦＬＧに無理な応力を掛けずに、垂下部を吸収体と結合させることができるという利点がある。また、垂下部の長さを短くでき、垂下部の材料の使用量を少なくできるという利点もある。
なお、本発明においては、吸収体がその表面をトップシートで被覆されている場合、ＦＬＧの垂下部と結合している結合バンドがトップシートと固定されている態様も、結合バンド及びトップシートを介して吸収体と間接的に固定されているから、ＦＬＧの垂下部が吸収体と固定されている態様に含まれる。

結合バンド３２は、前後方向の長さが１０ｍｍ、左右方向の幅が５０ｍｍのテープ状であるが、結合バンドは、形状及び大きさを特に限定されず、短冊状又はテープ状（いずれも長方形状であるものに限定されない。）であるのが好ましく、その場合、幅は２０〜６０ｍｍであるのが好ましく、また、長さは１０〜１００ｍｍであるのが好ましい。
結合バンドの材料は、特に限定されず、垂下部に用いられる材料と同じてあってもよく、異なっていてもよい。
結合バンド３２は、図１０（Ａ）に示されるように、その下側の面が、結合部３６で、一対の垂下部１９ｈの内側（上側）の面と結合されている。この態様は、結合バンドの幅全体で左右の垂下部を押さえ、固定する効果が大きい。
結合バンド３２が垂下部１９ｈと結合する結合部３６は、垂下部１９ｈの下端部付近に位置している。
結合バンドと吸収体又は吸収体を被覆するトップシートとの結合の方法、及び、結合バンドと垂下部との結合の方法については、後述する。

図１０（Ｂ）に示される吸収体物品１１０は、基本的に、吸収体物品１０９と同様であるが、結合バンド３２と垂下部１９ｈとの結合の方法が異なる。すなわち、吸収体物品１１０においては、結合バンド３２は、その上側の面が、結合部３６ａで、一対の垂下部１９ｈの外側（下側）の面と結合されている。この態様は、左右の垂下部の固定効果はシール点のみで相対的に図１０（Ａ）に示される態様に比べて弱いが、製造プロセスとしては簡易になる。

図１０（Ｃ）に示される吸収体物品１１１は、基本的に、吸収体物品１０９と同様であるが、結合バンド３３の形状が異なる。すなわち、吸収体物品１１１に用いられる結合バンド３３は、前後方向の長さが４０ｍｍ、左右方向の幅が５０ｍｍの短冊状である。
結合バンド３３と吸収体（図示せず）は、結合バンド３３の長さ方向のほぼ中央、かつ、幅方向の中央に位置するスポット状の結合バンド固定部３４ａで結合しており、結合バンド３３の前方及び後方の部分は吸収体（図示せず）と結合していない。
また、結合バンド３３と垂下部１９ｈは、結合バンド３３の左右両側縁において長さ方向に延在する結合部３６ｂで結合している。
この態様においては、着用時に、結合バンド３３がＦＬＧ１５ｈと共に股下部Ｃの結合バンド固定部３４ａの前方及び後方で立ち上がり、股下部Ｃの前後にポケットを形成するため、股下部Ｃの前方に排出される尿と股下部Ｃ後方に排出される便とが混ざり合うことを効果的に防止し、臭いやかぶれの発生を抑制することができる。また、尿及び便を効果的に捕集する効果も奏する。

図１０（Ｄ）に示される吸収体物品１１２は、基本的に、吸収体物品１１１と同様であるが、結合バンド３３の位置が異なる。
結合バンド３３と吸収体（図示せず）は、結合バンド３３の長さ方向の後部、かつ、幅方向の中央に位置するスポット状の結合バンド固定部３４ｂで結合しており、結合バンド３３の前方の部分は吸収体（図示せず）と結合していない。
また、結合バンド３３と垂下部１９ｈは、結合バンド３３の左右両側縁において長さ方向に延在する結合部３６ｃで結合している。
この態様においては、着用時に、結合バンド３３がＦＬＧ１５ｈと共に股下部Ｃの結合バンド固定部３４ｂの前方で立ち上がり、股下部Ｃの前方にポケットを形成するため、股下部Ｃの前方に排出される尿と股下部Ｃ後方に排出される便とが混ざり合うことを効果的に防止し、臭いやかぶれの発生を抑制することができる。また、尿を効果的に捕集する効果も奏する。

図１０（Ｅ）に示される吸収体物品１１３は、基本的に、吸収体物品１１１と同様であるが、結合バンド３３の位置が異なる。
結合バンド３３と吸収体（図示せず）は、結合バンド３３の長さ方向の前部、かつ、幅方向の中央に位置するスポット状の結合バンド固定部３４ｃで結合しており、結合バンド３３の後方の部分は吸収体（図示せず）と結合していない。
また、結合バンド３３と垂下部１９ｈは、結合バンド３３の左右両側縁において長さ方向に延在する結合部３６ｄで結合している。
この態様においては、着用時に、結合バンド３３がＦＬＧ１５ｈと共に股下部Ｃの結合バンド固定部３４ｃの後方で立ち上がり、股下部Ｃの後方にポケットを形成するため、股下部Ｃの前方に排出される尿と股下部Ｃ後方に排出される便とが混ざり合うことを効果的に防止し、臭いやかぶれの発生を抑制することができる。また、便を効果的に捕集する効果も奏する。

ＦＬＧの垂下部と吸収体との固定状態について、更に詳細に説明する。
図１１は、ＦＬＧの垂下部と吸収体との固定状態の説明図である。図１１（Ａ）〜図１１（Ｄ）は、いずれも平面図であり、部材としてはＦＬＧ、結合バンド及びトップシートのみを示すが、垂下部固定部及び結合バンド固定部の下側（紙面の奥側）には吸収体（又は吸収体を被覆するトップシート）が存在している。

図１１（Ａ）に示されるＦＬＧ３８は、頭部４０と垂下部４２とから構成されており、図１、図３及び図９（Ａ）〜図９（Ｅ）に示される各種ＦＬＧのように、垂下部４２の下端部が、吸収体の幅方向の中央近傍で、縦センターラインＣＬ−ａを挟んで離間して、互いに対向するように配置されている。
一対の垂下部の最小離間距離Ｌａは、垂下部の長さにもよるが４０ｍｍ以下であるのが好ましく、３０ｍｍ以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、幅方向の位置ずれが抑制され、股下部において頭部４０を会陰により安定的に位置させておくことが容易となる。
なお、一対の垂下部の最小離間距離は、０ｍｍとすることも可能であるし、一部は重なり合ってもよい。
また、一対の頭部の最小離間距離は、特に限定されないが、股下部において頭部を会陰により安定的に位置させておくためには、会陰の幅以下であるのが好ましい。具体的には、本発明の吸収体物品を子供用の吸収体物品とする場合、一対の頭部の最小離間距離を浮き上がった状態で３０〜５０ｍｍとするのが好ましい。

図１１（Ａ）に示されるＦＬＧ３８においては、垂下部４２と吸収体（図示せず）とを固定する垂下部固定部４４は、垂下部の下端から５〜１０ｍｍ外側の位置に、長さ方向の長さが２０〜３０ｍｍの線状に設けられている。
なお、吸収体がトップシートで被覆されている場合は、垂下部はトップシートと固定され、トップシートを介して間接的に吸収体に結合することになる。

図１１（Ｂ）に示されるＦＬＧ３８ａは、頭部４０ａと垂下部４２ａとから構成されており、図９（Ｆ）及び図９（Ｇ）に示される各種ＦＬＧのように、垂下部４２ａの一部が股下部において互いに重なるように配置されている。
一対の垂下部の重なり部分は、縦センターラインＣＬ−ａ上に線状に設けられた垂下部固定部４４ａで、吸収体（図示せず）と固定されている。
このように一対の垂下部の重なり部分を縦センターラインＣＬ−ａ上のみで固定する場合、垂下部の重なり部分の左右方向の幅Ｌｂは、４０ｍｍ以下であるのが好ましく、３０ｍｍ以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、垂下部の下端部に「遊び」の部分がなく、安定した状態となる。
ＦＬＧ３８ａにおいては、一対の垂下部４２ａ間の結合も、垂下部間結合部４６で行われている。
本発明の吸収体物品の製造時において、垂下部固定部４４ａにおける垂下部４２ａと吸収体（図示せず）との固定と、垂下部間結合部４６における一対の垂下部４２ａ間の結合とは、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
なお、吸収体がトップシートで被覆されている場合は、垂下部はトップシートと固定され、トップシートを介して間接的に吸収体に結合することになる。

図１１（Ｃ）に示されるＦＬＧ３８ｂは、頭部４０ｂと垂下部４２ｂとから構成されており、図１１（Ｂ）に示されるＦＬＧ３８ａと同様に、垂下部４２ｂの一部が股下部において互いに重なるように配置されているが、ＦＬＧ３８ａの場合に比べて、一対の垂下部の重なり部分が大きくなっている。
一対の垂下部の重なり部分は、一対の垂下部の下端部付近に線状に設けられた垂下部固定部４４ｂで、トップシート４８と固定され、トップシート４８を介して吸収体（図示せず）と固定されている。垂下部固定部４４ｂは、長さ方向に並んだドット状に構成されている。
このように一対の垂下部の重なり部分をトップシートを介して吸収体と複数箇所で固定する場合、垂下部の重なり部分の左右方向の幅Ｌｃは、ＦＬＧ３８ａのように１箇所で固定する場合と比べて広くすることが可能である。垂下部の重なり部分の左右方向の幅Ｌｃは、特に限定されないが、材料のロス等を考えると８０ｍｍ以下であるのが好ましく、６０ｍｍ以下であるのがより好ましい。また、垂下部固定部とトップシート又は吸収体との固定を強固にするためには、４０ｍｍ以上であるのが好ましい。
ＦＬＧ３８ｂにおいては、一対の垂下部４２ｂ間の結合も、垂下部間結合部４６ａで行われている。垂下部間結合部４６ａは、長さ方向に並んだドット状に構成されている。
本発明の吸収体物品の製造時において、垂下部固定部４４ｂにおける垂下部４２ｂとトップシート４８との固定と、垂下部間結合部４６ａにおける一対の垂下部４２ｂ間の結合とは、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
なお、吸収体がトップシートで被覆されていない場合は、垂下部は吸収体に直接結合することになる。

図１１（Ｄ）に示されるＦＬＧ３８ｃは、頭部４０ｃと垂下部４２ｃとから構成されており、図１０（Ａ）〜図１０（Ｅ）に示される各種ＦＬＧと同様に、垂下部４２ｃが、比較的離れて、互いに対向するように配置され、一対の垂下部４２ｃは、結合バンド５０により互いに結合している。結合バンド５０は、吸収体（図示せず）の表面と、結合バンド５０の中央に位置する、縦センターラインＣＬ−ａ上の結合バンド固定部５２で、スポット状で結合している。垂下部４２ｃと結合バンド５０との結合は、垂下部の下端部付近において、長さ方向に延在する結合部５４で行われている。

ＦＬＧの垂下部と吸収体又はトップシートとの固定、一対の垂下部間の結合、結合バンドと吸収体又はトップシートとの固定、及び、結合バンドと垂下部との結合は、特に限定されず、以下に述べるとおりである。
固定及び結合の手段は、例えば、熱シール、超音波シール、ホットメルト等の接着剤の使用が挙げられる。
固定及び結合のパターンは、例えば、ライン状、ドット状、ハッチィング状が挙げられる。
固定及び結合の大きさは、特に限定されないが、例えば、ライン状の場合、ラインの幅が１〜３ｍｍであるのが好ましく、また、ラインの長さが１０〜５０ｍｍであるのが好ましい。
固定及び結合の数は、１箇所であってもよく、複数箇所であってもよい。

つぎに、ＦＬＧと吸収体物品本体への配置の際の固定状態について説明する。
図１２は、ＦＬＧと吸収体物品本体への配置の際の固定状態の説明図である。
図１２（Ａ）〜図１２（Ｃ）は、いずれも平面図であり、吸収体物品本体の他に、部材としてはＦＬＧのみを、前身頃から股下部にかけてのみ示す。
吸収体物品本体においては、その前端部には、一般に吸収体は存在せず、トップシートを具備する場合にはトップシートが、トップシートを具備しない場合には防漏体が露出した構造になっている。

図１２（Ａ）に示される吸収体物品１１４においては、頭部４０ｄと垂下部４２ｄとを有するＦＬＧ３８ｄが配置されている。ＦＬＧ３８ｄは、前端部付近においては、頭部４０ｄを構成する部材が存在せず、垂下部４２ｄを構成するシート状部材のみで形成されている例である。
ＦＬＧ３８ｄを形成するシート状部材は、その幅方向のほぼ全域で、吸収体物品１１４の本体（防漏体又はトップシート）と、前端結合部２０ａにおいて結合している。前端結合部２０ａの長さ方向の長さＳ_１は、１０〜８０ｍｍの範囲であるのが好ましい。

図１２（Ｂ）に示される吸収体物品１１５は、吸収体物品１１４と同様にＦＬＧ３８ｄを有するが、吸収体物品１１５の本体との結合の状態が異なる。
ＦＬＧ３８ｄを形成するシート状部材は、その幅方向の内側及び外側の２箇所で、吸収体物品１１５の本体（防漏体又はトップシート）と、前端結合部２０ｂにおいて結合している。２箇所の前端結合部２０ｂの長さ方向の長さＳ_２は、いずれも２０〜８０ｍｍの範囲であるのが好ましい。２箇所の前端結合部２０ｂの幅Ｒ_１及びＲ_２は、いずれも２〜１５ｍｍの範囲であるのが好ましい。

図１２（Ｃ）に示される吸収体物品１１６は、吸収体物品１１５と同様にＦＬＧ３８ｄを形成するシート状部材が、その幅方向の内側及び外側の２箇所で、吸収体物品１１６の本体（防漏体又はトップシート）と、前端結合部２０ｃにおいて結合しているが、２箇所の前端結合部２０ｃの長さ方向の長さが異なっている点で、異なる。すなわち、外側の前端結合部２０ｃの長さ方向の長さＳ_３は、内側の前端結合部２０ｃの長さ方向の長さＳ_４よりも長くなっている。本発明においては、これとは逆に、外側の前端結合部の長さ方向の長さが、内側の前端結合部の長さ方向の長さよりも短くなっていてもよい。

吸収体物品本体の後端部付近での固定は、上述した吸収体物品本体の前端部付近での固定と同様に行うことができる。

ＦＬＧの頭部が伸縮性を有する場合、ＦＬＧの垂下部の前端部及び後端部と、吸収体物品本体の前端部及び後端部近傍との結合は、ＦＬＧを前後方向に伸張させた状態で行うのが好ましい。これによりＦＬＧが浮き上がっている構造を容易に実現することができる。

本発明においては、吸収体物品の本体の前端部及び後端部には、更に、ＦＬＧ以外の部材、例えば、防漏性材料により形成されるポケットや、ウェストに弾性リングを形成するための弾性布を設けることができる。

本発明の吸収体物品は、上述した各種部材の他に、例えば、従来公知の吸収体物品の種々の構成部材を更に具備していてもよい。

本発明の吸収体物品は、ウエストバンドテープ型としてもよく、パンツ型（テープレス）としてもよい。

以上、本発明の吸収体物品を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮しうる任意の構成と置換することができる。
また、各実施形態における各部の構成を任意に組み合わせて、別の実施形態とすることもできる。

本発明の吸収体物品は、紙おむつ（子供用及び大人用）、失禁用品、トレーニングパンツ、洗濯して多数回使用可能なおむつカバー等に好適に用いられる。

１０、１０’、１１ 防漏体
１２、１２’、１３ 吸収体
１４、１４’、１４ａ、１４ｂ、１４ｃ、１４ｄ、１４ｅ、１４ｆ、１４’ａ、１４’ｂ、１４’ｃ、１４’ｄ、１５、１５ａ、１５ｂ、１５ｃ、１５ｄ、１５ｅ、１５ｆ、１５ｇ、１５ｈ、３８、３８ａ、３８ｂ、３８ｃ、３８ｄ フローティングレッグギャザー（ＦＬＧ）
１６、１６’、１６ａ、１６’ａ、１６’ｂ、１６’ｃ、１６’ｄ、１７、１７ａ、１７ｂ、１７ｃ、１７ｄ、１７ｅ、１７ｆ、１７ｇ、１７ｈ、４０、４０ａ、４０ｂ、４０ｃ、４０ｄ 頭部
１８、１８’、１８ａ、１８ｂ、１８ｃ、１８ｄ、１８ｅ、１８ｆ、１８’ａ、１８’ｂ、１８’ｃ、１８’ｄ、１９、１９ａ、１９ｂ、１９ｃ、１９ｄ、１９ｅ、１９ｆ、１９ｇ、１９ｈ、４２、４２ａ、４２ｂ、４２ｃ、４２ｄ 垂下部
２０、２０’、２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２１ 前端結合部
２２、２２’、２３ 後端結合部
２４、２４’、２４ａ、２５、２５ａ、２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ、２５ｅ、２５ｆ、２５ｇ、４４、４４ａ、４４ｂ 垂下部固定部
２６、２７ 着脱部材
２８、４８ トップシート
３０、３０’ 糸状ゴム
３１ 外装シート
３２、３３、５０ 結合バンド
３４、３４ａ、３４ｂ、３４ｃ、５２ 結合バンド固定部
３５ ウエストギャザー
３６、３６ａ、３６ｂ、３６ｃ、３６ｄ、５４ 結合部
４６、４６ａ 垂下部間結合部
１００、１０１、１０２、１０３、１０４、１０５、１０６、１０７、１０８、１０９、１１０、１１１、１１２、１１３、１１４、１１５、１１６ 吸収体物品
Ｃ 股下部
ＣＬ−ａ 縦センターライン
ＣＬ−ｂ 横センターライン
Ｆ 前身頃
Ｍ１、Ｍ２、Ｍ３、Ｍ４、Ｍ５、Ｍ６ 伸縮体
Ｒ 後身頃

Claims (15)

1. シート状の防漏体と、
   前記防漏体の上部に少なくとも一層配置された、体液を吸収しうる吸収体と、
   前記吸収体の上部に、吸収体物品本体の長さ方向の前端部から前身頃、股下部及び後身頃を経て後端部にわたって配置される左右一対のフローティングレッグギャザーと
   を具備する吸収体物品であって、
   前記フローティングレッグギャザーが、頭部と前記頭部に連なる垂下部とを有し、前記垂下部の前端部及び後端部が、吸収体物品本体の前端部近傍及び後端部近傍にそれぞれ結合されて、前記垂下部が前記頭部から前記吸収体に向かって垂れ下がるように構成され、
   前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、前身頃及び後身頃においては前記吸収体に固定されておらず、かつ、股下部においてはその下端部が前記吸収体と固定されており、
   着用時において、前記フローティングレッグギャザーの前記頭部が、着用者の肌に接触し、かつ、前記吸収体とは離間した状態を保持する、吸収体物品。
2. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
   いずれも前記頭部が外側に、前記垂下部が内側に向き、かつ、
   前記垂下部の下端部が、前記吸収体の幅方向の中央近傍で、互いに対向するように配置される、請求項１に記載の吸収体物品。
3. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
   前記垂下部間の離間距離が股下部で狭く、股下部から前端部及び後端部に向かってそれぞれ広くなるように配置される、請求項１又は２に記載の吸収体物品。
4. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
   前記垂下部間の離間距離が股下部から後端部に掛けて狭く、股下部から前端部に向かって広くなるように配置される、請求項１又は２に記載の吸収体物品。
5. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
   前記垂下部間の離間距離が股下部から前端部に掛けて狭く、股下部から後端部に向かって広くなるように配置される、請求項１又は２に記載の吸収体物品。
6. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーの前記垂下部の下端部の最小離間距離が４０ｍｍ以下である、請求項１〜５のいずれかに記載の吸収体物品。
7. 前記左右一対のフローティングレッグギャザーが、
   前記垂下部の一部が股下部において互いに重なるように配置される、請求項１〜５のいずれかに記載の吸収体物品。
8. 更に、股下部において、前記左右一対のフローティングレッグギャザーの前記垂下部を互いに結合する結合バンドを有し、
   前記結合バンドが股下部において前記吸収体と固定されることにより、前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、間接的に前記吸収体と固定されている、請求項１〜５のいずれかに記載の吸収体物品。
9. 前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、股下部において前記吸収体と複数箇所で固定されている、請求項１〜８のいずれかに記載の吸収体物品。
10. 前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部が、切れ目又は切り欠きを有する、請求項１〜９のいずれかに記載の吸収体物品。
11. 前記フローティングレッグギャザーの前記頭部が、伸縮性を有する、請求項１〜１０のいずれかに記載の吸収体物品。
12. 前記フローティングレッグギャザーが、前記頭部を構成する帯状の伸縮体を伸長させた状態で、前記垂下部を構成するシート状部材と結合させて得られ、前記垂下部にしわを有している、請求項１１に記載の吸収体物品。
13. 前記フローティングレッグギャザーの前記垂下部の前記前端部及び前記後端部と、吸収体物品本体の前記前端部及び前記後端部近傍との結合が、それぞれ、前記フローティングレッグギャザーを前後方向に伸張させた状態で行われたものである、請求項１１又は１２に記載の吸収体物品。
14. 幅方向における前記左右一対のフローティングレッグギャザーが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のインナーレッグギャザーを具備する、請求項１〜１３のいずれかに記載の吸収体物品。
15. 幅方向における前記左右一対のフローティングレッグギャザーが存在する位置よりも外側に、更に、左右一対のアウターレッグギャザーを具備する、請求項１〜１４のいずれかに記載の吸収体物品。

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