JPWO2010035559A1 - 積層コイル部品 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、直流抵抗の低い製品をことが困難になるという問題点がある。特に寸法が、1.0mm×0.5mm×0.5mmの製品や、0.6mm×0.3mm×0.3mmの製品などのように小型の製品になると、磁性体セラミック層を薄くすることが必要になり、磁性体セラミック層間に内部導体層と空隙の両方を設けつつ、内部導体層を厚く形成することが困難になるため、直流抵抗の低減を図ることができなくなるばかりでなく、サージなどによる内部導体層の断線が発生しやすくなり、十分な信頼性を確保することができなくなるという問題点がある。
磁性体セラミック層を積層することにより形成され、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体を備えたセラミック積層体を焼成することにより形成された磁性体セラミック素子の内部に、前記内部導体を層間接続させることにより形成された螺旋状コイルを有する積層コイル部品であって、
前記内部導体と前記内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、
前記内部導体と前記磁性体セラミックとの界面が解離し、
前記磁性体セラミック素子内の、前記内部導体の上側最外層と下側最外層の間に位置する中央領域を構成する磁性体セラミックは、前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有しており、かつ、
前記磁性体セラミック素子内の前記内部導体の上側最外層の上面と、前記磁性体セラミック素子の上面との間の第1の外層領域、および、前記磁性体セラミック素子内の前記内部導体の下側最外層の下面と、前記磁性体セラミック素子の下面との間の第2の外層領域の少なくとも一方は、ポア面積率が5%未満であること
を特徴としている。
また、サイドギャップ部のポア面積率を6〜20%にすることは、通常の積層コイル部品の製造工程で用いられる、磁性体セラミックグリーンシートと内部導体形成用の導電性ペーストの組み合わせを考慮することにより効率よく実現することが可能で有意義である。
この場合、焼成後にポア面積率6〜20%となるような磁性体セラミックグリーンシートを積層して中央領域を構成することにより、特に複雑な製造プロセスを必要とすることなく、全体がポーラスな中央領域を容易かつ確実に形成することができて有意義である。
2 内部導体
2a 上側最外層の内部導体
2b 下側最外層の内部導体
2s 内部導体の側部
3 磁性体セラミック素子
3a 磁性体セラミック素子の側面
4 螺旋状コイル
4a,4b 螺旋状コイルの両端部
5a,5b 外部電極
7 中央領域
8 サイドギャップ部
9a 第1の外層領域
9b 第2の外層領域
10 積層コイル部品(積層インピーダンス素子)
11 磁性体セラミック
21 中央領域用のセラミックグリーンシート
21a 外層領域用のセラミックグリーンシート
22 内部導体パターン(コイルパターン)
23 積層体(未焼成の磁性体セラミック素子)
24 ビアホール
31 実装基板
32 ランド
33 はんだ
L 長さ寸法
T 厚み寸法
W 幅寸法
である。
また、磁性体セラミック素子3の両端部には、螺旋状コイル4の両端部4a,4bと導通するように一対の外部電極5a,5bが配設されている。
また、磁性体セラミック素子3の、上側最外層の内部導体2aと下側最外層の内部導体2b間に位置する中央領域7の、少なくとも内部導体2の側部2sと、磁性体セラミック素子3の側面3aとの間の領域であるサイドギャップ部8は、ポア面積率が6〜20%(この実施例1の積層型コイル部品では18%)のポーラスな磁性体セラミックから構成されている。
なお、この実施例の積層コイル部品10の寸法は、長さ寸法L=1.0mm、厚み寸法T=0.5mm、幅方向寸法W=0.5mmである。
(1)Fe2O3を48.0mol%、ZnOを29.5mol%、NiOを14.5mol%、CuOを8.0mol%の比率で秤量した磁性体原料を調製し、ボールミルにて48時間の湿式混合を行った。次に、湿式混合したスラリーをスプレードライヤーにより乾操し、700℃にて2時間仮焼した。
得られた仮焼物をボールミルにて16時間湿式粉砕し、粉砕終了後にバインダーを所定量混合し、セラミックスラリーを得た。それから、このセラミックスラリーをシート状に成形して、厚み25μmの中央領域用のセラミックグリーンシートを作製した。
また、上記仮焼物と同じ仮焼物をボールミルで32時間湿式粉砕し、粉砕終了後にバインダーを所定量混合し、セラミックスラリーを得た。それから、このセラミックスラリーをシート状に成形して、厚み25μmの外層領域用のセラミックグリーンシートを作製した。
なお、上記導電性ペーストとしては、不純物元素が0.1重量%以下のAg粉末と、ワニスと、溶剤とを配合してなり、Ag含有率が85重量%の導電性ペーストを用いた。
この未焼成の磁性体セラミック素子23は、その内部に、各内部導体パターン(コイルパターン)22がビアホール24により接続されてなる積層型の螺旋状コイルを備えている。なお、コイルのターン数は7.5ターンとした。
このときの内部導体2の側部2sと、磁性体セラミック素子3の側面3aとの間のサイドギャップ部8のポア面積率は18%であることが確認されている。
なお、外部電極形成用の導電性ペーストとしては、平均粒径が0.8μmのAg粉末と耐めっき性に優れたB−Si−K系の平均粒径が1.5μmのガラスフリットとワニスと溶剤とを配合した導電性ペーストを用いた。そして、この導電性ペーストを焼き付けることにより形成された外部電極は、以下のめっき工程でめっき液によって侵食されにくい緻密なものであった。
また、Snめっき液として、硫酸スズを約70g/L、硫酸アンモニウムを約100g/Lの割合で含み、pHが5の酸性の溶液を用いた。
この積層コイル部品10は、図5に示すように、積層方向寸法である厚み寸法Tと、積層方向に直交する方向の寸法である幅寸法Wを異ならせて(実施例1では、厚み寸法T=幅寸法W)、磁性体セラミック素子3の上下面と側面とを識別することを可能にするとともに、厚み寸法Tを、幅寸法Wよりも小さくして、低背化を図ったものである。厚み寸法Tは、例えば、0.5mm未満で、具体的には0.3mmなどとすることが好ましい。なお、その他の構成は上記実施例1の積層型コイル部品に準じる。
なお、この積層コイル部品は、上下の外層領域用のセラミックグリーンシートの積層枚数を少なくするだけで、その他は上記実施例1の場合と同じ方法で製造することができる。
この積層コイル部品10においては、下側の外層領域9bの厚みが、上側の外層領域9aの厚みよりも厚く形成されているとともに、磁性体セラミック素子3は、厚み寸法Tが幅寸法Wよりも小さくなるように構成されている。なお、その他の構成は、上記実施例1の場合と同様である。
なお、この積層コイル部品は、上下の外層領域形成用のセラミックグリーンシートの積層枚数を異ならせることを除いて、上記実施例1の場合と同様の方法で製造することができる。
なお、マークにより上下面を確実に識別して積層する場合には、実装時に実装基板と対向する下面側となる外層領域が緻密な磁性体セラミックから形成されていればよく、上面側となる方の外層領域は、必ずしもポア面積率が5%以下の緻密な磁性体セラミック層である必要はない。
この積層コイル部品10は、外部電極5a,5bを磁性体セラミック素子3の両端面から下面側にだけ回り込ませ、上面側には回り込ませないように配設した点で、上記実施例1〜3の積層コイル部品と異なるが、その他の構成は、上記実施例3の積層コイル部品と同様である。
また、この実施例4の構成の場合も、上面側となる方の外層領域は、必ずしもポア面積率が5%以下の緻密な磁性体セラミック層とする必要はない。
比較のため、中央領域用のセラミックグリーンシートとして、上記実施例1で外層領域用のセラミックグリーンシートとして用いたもの(焼結後にポア面積率が4%の緻密な磁性体セラミックとなるもの)と同じセラミックグリーンシートを用い、外層領域用のセラミックグリーンシートとしても同じセラミックグリーンシートを用いて積層コイル部品(比較例1)を作製した。
上述のようにして作製した本発明の実施例1〜4の積層コイル部品、および比較例1,2の積層コイル部品について、以下の方法でインピーダンスを測定するとともに、外層領域およびサイドギャップ部のポア面積率を測定した。さらに、各積層コイル部品を実装基板上にリフローはんだ付けの方法で実装して、その際のセルフアライメント性の良否を調べた。
30個の試料について、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製HP4291A、HP16196)を用いてインピーダンスの測定を行い平均値(n=30pcs)を求めた。
磁性体セラミック素子の幅方向と厚み方向で規定される断面(以下、「W−T面」という)を鏡面研磨し、収束イオンビーム加工(FIB加工)した面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、磁性体セラミック中のポア面積率を測定した。
FIB装置 :FEI製FIB200TEM
FE−SEM(走査電子顕微鏡) :日本電子製JSM−7500FA
WINROOF(画像処理ソフト):三谷商事株式会社製、Ver.5.6
上述の方法で鏡面研磨した試料の研磨面に対し、入射角5°でFIB加工を行った。
SEM観察は、以下の条件で行った。
加速電圧 :15kV
試料傾斜 :0゜
信号 :二次電子
コーティング :Pt
倍率 :5000倍
ポア面積率は、以下の方法で求めた
a)計測範囲を決める。小さすぎると測定箇所による誤差が生じる。
(この実施例では、22.85μm×9.44μmとした)
b)磁性体セラミックとポアが識別しにくければ明るさ、コントラストを調節する。 c)2値化処理を行い、ポアのみを抽出する。画像処理ソフトWINROOFの「色抽出」では完全でない場合には手動で補う。
d)ポア以外を抽出した場合はポア以外を削除する。
e)画像処理ソフトの「総面積・個数計測」で総面積、個数、ポアの面積率、計測範囲の面積を測定する。
本発明におけるポア面積率は、上述のようにして測定した値である。
故意に積層コイル部品の搭載位置のずれ(マウントずれ)が発生するように、搭載座標を中心から積層コイル部品の長さ方向に150μmまたは幅方向に150μmずらして実装し、大気雰囲気下でリフローした後、積層コイル部品の搭載位置に目標位置から50μm以上のずれがあった場合を不良(×)と判定し、ずれが50μm未満のものを良(○)と判定した。
これは、サイドギャップ部のポア面積率が4%と低く、外部電極へのめっき工程でサイドギャップ部から磁性体セラミック素子の内部にめっき液が浸入できず、内部導体とその周囲の磁性体セラミックの結合が切断されないことから、磁性体セラミックに応力が加わり、特性が低下したものである。
なお、その場合、内部導体の収縮率より磁性体セラミックの収縮率の方が大きいことを前提として、内部導体の焼結収縮率を0〜15%とすることにより、サイドギャップ部のポア面積率を6〜20%とすることができる。
したがって、本発明は、磁性体セラミック中にコイルを備えた構成を有する積層インピーダンス素子や積層インダクタなどをはじめとする種々の積層コイル部品に広く適用することが可能である。
Claims (6)
- 磁性体セラミック層を積層することにより形成され、Agを主成分とするコイル形成用の内部導体を備えたセラミック積層体を焼成することにより形成された磁性体セラミック素子の内部に、前記内部導体を層間接続させることにより形成された螺旋状コイルを有する積層コイル部品であって、
前記内部導体と前記内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、
前記内部導体と前記磁性体セラミックとの界面が解離し、
前記磁性体セラミック素子内の、前記内部導体の上側最外層と下側最外層の間に位置する中央領域を構成する磁性体セラミックは、前記磁性体セラミック素子の側面から前記内部導体に達する、ポア面積率6〜20%の領域を有しており、かつ、
前記磁性体セラミック素子内の前記内部導体の上側最外層の上面と、前記磁性体セラミック素子の上面との間の第1の外層領域、および、前記磁性体セラミック素子内の前記内部導体の下側最外層の下面と、前記磁性体セラミック素子の下面との間の第2の外層領域の少なくとも一方は、ポア面積率が5%未満であること
を特徴とする積層コイル部品。 - 前記第1および第2の外層領域のいずれもが、ポア面積率5%未満であることを特徴とする請求項1記載の積層コイル部品。
- 前記内部導体の側部と、前記磁性体セラミック素子の側面との間の領域であるサイドギャップ部を構成する磁性体セラミックのポア面積率が6〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の積層コイル部品。
- 前記中央領域を構成する磁性体セラミックの全体がポア面積率6〜20%の磁性体セラミックであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層コイル部品。
- 前記磁性体セラミック素子の互いに対向する一対の側面のそれぞれに、前記螺旋状コイルの一対の端部の一方が引き出されている場合において、前記螺旋状コイルの端部が引き出された側面から前記磁性体セラミック素子をみた場合の、積層方向寸法である厚み寸法と、積層方向に直交する方向の寸法である幅寸法とを異ならせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層コイル部品。
- 前記第1および第2の外層領域のうち、積層コイル部品が搭載される実装基板と対向する搭載面側の外層領域の厚みが他方の外層領域より厚く、かつ、該搭載面側の外層領域のポア面積率が5%未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層コイル部品。
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