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JPWO2019004125A1 - ラジカル重合性樹脂組成物及び構造物修復材 - Google Patents

ラジカル重合性樹脂組成物及び構造物修復材 Download PDF

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JPWO2019004125A1
JPWO2019004125A1 JP2019526887A JP2019526887A JPWO2019004125A1 JP WO2019004125 A1 JPWO2019004125 A1 JP WO2019004125A1 JP 2019526887 A JP2019526887 A JP 2019526887A JP 2019526887 A JP2019526887 A JP 2019526887A JP WO2019004125 A1 JPWO2019004125 A1 JP WO2019004125A1
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Abstract

本発明は、低温硬化性を有し、優れた接着強度を発現するラジカル重合性樹脂組成物、該ラジカル重合性樹脂組成物を用いた構造物修復材を提供する。(A)ラジカル重合性樹脂と、(B)ラジカル重合性不飽和単量体と、(C)アミン系硬化促進剤と(D)多官能チオール化合物とを含有することを特徴とするラジカル重合性樹脂組成物及びこれを用いてなる構造物修復材である。

Description

本発明は、低温硬化性と接着強度の両物性を満たすラジカル重合性樹脂組成物に関する。さらには、コンクリート構造物の劣化等により発生したクラックの修復に適した前記ラジカル重合性樹脂組成物を含む構造物修復材に関する。
従来より、コンクリート構造物の経年劣化等による補修・補強材料としてエポキシ樹脂やアクリルシラップ等の合成樹脂を用いる方法が提案されており、冬季の施工など低温硬化性の改善が課題の一つとして挙げられている。(特許文献1〜3)。
また、高速道路や鉄道等の高欄壁のように、常に振動が伴うコンクリート構造物に対しては、補修材の固着・乾燥後の破断が生じないようにするために硬化物のひび割れ追従性などが課題として挙げられている。このような課題に対して、例えば、特許文献4ではアクリル・スチレン樹脂を混和剤として用いるコンクリート構造物の補修・補強剤が知られ、特許文献5ではアクリル系樹脂等のガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを用いることが知られている。
(特許文献4〜5)。
特開2003−002948号公報 特開2001−247636号公報 特開2000−154297号公報 特開2009−019354号公報 特開2012−091985号公報
しかしながら、上記に記載した特許文献1〜5に記載の方法でも、常に振動を伴うようなコンクリート構造物に対して、接着強度が十分ではなく、クラック部分の修復を行うための改善の余地があった。
本発明は上記従来の実情を鑑みてなされたものであり、低温硬化性を有し、優れた接着強度を発現するラジカル重合性樹脂組成物、該ラジカル重合性樹脂組成物を用いた構造物修復材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[18]を要旨とする。
[1](A)ラジカル重合性樹脂と、(B)ラジカル重合性不飽和単量体と、(C)アミン系硬化促進剤と(D)多官能チオール化合物とを含有することを特徴とするラジカル重合性樹脂組成物。
[2]前記(A)成分が、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる、少なくとも1種である、上記[1]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[3]前記(D)成分が、下記式(Q)で表される構造を有する化合物である、上記[1]または[2]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
Figure 2019004125

(一般式(Q)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。*は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。)
[4]前記(D)成分が、下記一般式(Q−1)で表わされる構造を有する化合物である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
Figure 2019004125

(一般式(Q−1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。**は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。)
[5]前記(D)成分が、2〜6官能の多官能チオール化合物から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[6]前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(A)成分の含有量が5〜95質量部であり、前記(B)成分の含有量が5〜95質量部であり、前記成分(C)の含有量が0.01〜10質量部であり、前記成分(D)の含有量が0.1〜20質量部である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[7]前記(C)成分が、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[8]さらにアミン系硬化促進剤以外の硬化促進剤として金属有機化合物を含有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[9]前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記金属有機化合物の含有量が0.1〜5質量部である、上記[8]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[10]前記金属有機化合物が、コバルト化合物、銅化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、上記[8]または[9]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[11]さらに(E)硬化剤を含有する、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[12]前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(E)成分の含有量が0.1〜10質量部である、上記[11]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[13]前記(E)成分が、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、上記[11]または[12]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[14]上記[1]〜[13]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物を含有する構造物修復材。
[15]上記[1]〜[13]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物及び(F)充填材を含有する構造物修復材。
[16]前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(F)成分の含有量が1〜700質量部である、上記[15]に記載の構造物修復材。
[17]前記(F)成分が、珪砂、炭酸カルシウム、タルク及びヒュームドシリカからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[15]または[16]に記載の構造物修復材。
[18]前記構造物修復材が、スラブ式軌道の構造物修復材である、上記[14]〜[17]のいずれかに記載の構造物修復材。
本発明によれば、低温硬化性を有し、かつ優れた接着強度を発現するラジカル重合性樹脂組成物を提供することができる。このような特性を有するラジカル重合性組成物を含む構造物修復材は、低温硬化性を有するため、低温環境下においても速硬化することができ、かつ、優れた接着強度を有するため、速硬化かつ収縮率が大きい場面においても固着・乾燥後の破断や修復箇所と修復材界面の剥離が生じ難い。本発明の構造物修復材を用いると、常に振動を伴うようなコンクリート構造物に対して、クラック部分の修復を良好に行うことができる。すなわち、固着する際に優れた付着強度を発現することができ、且つ固着後の破断等が生じない構造物修復材を提供することができる。
本発明の構造物修復材を用いて曲げ荷重試験用試験体を作成するために用いたセメントモルタル板2枚の平面図と横方向断面図を示す模式図である。 本発明の本発明の構造物修復材を用いて得られた曲げ荷重試験用試験体の平面図と横方向断面図を示す模式図である。
[ラジカル重合性樹脂組成物]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、(A)ラジカル重合性樹脂と、(B)ラジカル重合性不飽和単量体と、(C)アミン系硬化促進剤と(D)多官能チオール化合物とを含有することを特徴とするラジカル重合性樹脂組成物である。
なお、(A)ラジカル重合性樹脂を(A)成分ということがあり、(B)ラジカル重合性不飽和単量体を(B)成分ということがあり、(C)アミン系硬化促進剤を(C)成分ということがあり、(D)多官能チオール化合物を(D)成分ということがある。
<ラジカル重合性樹脂(A)>
本発明において、ラジカル重合性樹脂(A)は、樹脂中にエチレン性不飽和基を有し、ラジカルによって重合反応が進行する化合物を指す。
ラジカル重合性樹脂(A)としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられ、中でもラジカル重合性樹脂組成物の硬化物の柔軟性の観点からウレタン(メタ)アクリレート樹脂もしくは靭性を有するビニルエステル樹脂が好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
〔ウレタン(メタ)アクリレート樹脂〕
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、多価イソシアネートと多価アルコールとを反応させて得られるポリウレタンの両末端の水酸基又はイソシアナト基に対して、(メタ)アクリロイル基を導入して得られた樹脂を用いることができる。
多価アルコールとしては、特開2009−292890号公報、WO2016/171151号公報に記載の「ポリヒドロキシ化合物」又は「多価アルコール類」として記載されている化合物を特に制限なく使用することができる。
多価アルコールに特に制限はないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;
水素化又は非水素化ビスフェノールA等に代表される2価アルコールとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加物等の2価アルコール;
1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール等を挙げることができる。
上記した2価アルコールとアルキレンオキサイドとの付加物としては、例えばポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルが挙げられる。
これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルから選ばれるポリオール構造を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂であることが好ましい。
中でも低粘度のラジカル重合性樹脂組成物が得られ、硬化させた際の柔軟性の観点から、ポリエーテルポリオールのポリオール構造を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂がより好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、ラジカル重合性樹脂組成物の作製が容易にできることから、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールが好ましい。
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、500〜5000が好ましく、500〜3000がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であれば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に後述するラジカル重合性不飽和単量体等を配合したラジカル重合性樹脂組成物とした場合に、低粘度、かつ相溶性が良好である。重量平均分子量の測定方法は、実施例に準拠して測定される。
多価イソシアネートとしては、特開2009−292890号公報に記載のものやWO2016/171151号公報に記載のものを挙げることができ、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジシソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の化合物を例示することができる。これらの中でも樹脂を合成する際の反応性の観点からジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を導入する際には、例えば前記末端イソシアナト基に特開2009−292890号公報に記載の水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応させる方法や、前記末端水酸基に2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアナト基含有(メタ)アクリル化合物を反応させる方法が挙げられる。この中でも、樹脂を合成する際の反応性の観点から、末端イソシアナト基に水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応させる方法が好ましい。
ラジカル重合性樹脂組成物の柔軟性、密着性の観点からは、水酸基含有(メタ)アクリル化合物は、単官能(メタ)アクリル化合物である2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が好ましく、この中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは2000〜22000、より好ましくは3000〜19000、さらにより好ましくは4000〜16000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に後述するラジカル重合性不飽和単量体等を配合したラジカル重合性樹脂組成物とした場合に、低粘度、かつ相溶性が良好である。
〔ビニルエステル樹脂〕
ビニルエステル樹脂は、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の全てまたは一部と、不飽和一塩基酸とをエステル化反応させたものであり、側鎖にラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有している。前記不飽和一塩基酸の代表例が(メタ)アクリル酸であるので、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と称する。
前記エポキシ化合物としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量および分子構造は特に限定されない。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の脂環式ポリエポキシ化合物;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂;ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;前記エポキシ樹脂とジイソシアネートとを反応して得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が挙げられる。
前記不飽和一塩基酸としては、公知のものが使用できる。例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、前記不飽和一塩基酸としては、一個のヒドロキシ基と一個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、多塩基酸無水物との反応物を使用してもよい。
前記多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂の分子量を増大させるために使用するものであり公知のものを使用できる。例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、エチレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ポリエチレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、プロピレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ポリプロピレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ドデカン二酸、トリデカン二酸、オクタデカン二酸、1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸、カルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(商品名Hycar CTBN)等の無水物が挙げられる。
上記のビニルエステル樹脂の中でも、靱性付与、汎用性、コストの観点からビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
〔不飽和ポリエステル樹脂〕
不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和二塩基酸、及び必要に応じて飽和二塩基酸を含む二塩基酸成分と、多価アルコール成分とをエステル化反応させて得られたものを用いることができる。
前記不飽和二塩基酸や前記飽和二塩基酸としては、例えば、WO2016/171151号公報に記載のものなどを挙げることができ、これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記多価アルコールに特に制限はないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の場合と同様、WO2016/171151号公報に記載のものを挙げることができる。
不飽和ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、ジシクロペンタジエン系化合物により変性したものを用いてもよい。ジシクロペンタジエン系化合物による変性方法については、例えば、ジシクロペンタジエンとマレイン酸付加生成物を得た後、これを一塩基酸として用いてジシクロペンタジエン骨格を導入する方法等の公知の方法が挙げられる。
本発明で使用するビニルエステル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂には、アリル基またはベンジル基などの酸化重合(空気硬化)基を導入することができる。導入方法に特に制限はないが、例えば、酸化重合基含有ポリマーの添加や、水酸基とアリルエーテル基とを有する化合物の縮合、アリルグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルアリルエーテルに水酸基とアリルエーテル基を有する化合物と酸無水物との反応物を付加させる方法等が挙げられる。
なお、本発明での酸化重合(空気硬化)とは、例えばアリルエーテル基などに見られる、エーテル結合と二重結合との間にあるメチレン結合の酸化によるパーオキシドの生成と分解に伴う架橋を指す。
〔ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂〕
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られるポリエステル、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等の両末端の水酸基に対して、(メタ)アクリル酸を反応させて得られた樹脂を用いることができる。
〔(メタ)アクリレート樹脂〕
(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、水酸基、イソシアナト基、カルボキシ基及びエポキシ基から選ばれる1種以上の官能基を有するポリ(メタ)アクリル樹脂や、前記官能基を有する単量体と(メタ)アクリレートとの共重合体の官能基に対して、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を反応させて得られた樹脂を用いることができる。
<ラジカル重合性不飽和単量体(B)>
本発明で使用するラジカル重合性不飽和単量体(B)は、ラジカル重合性樹脂組成物の粘度を下げ、硬度、強度、耐薬品性、耐水性などを向上させるために重要である。
前記ラジカル重合性不飽和単量体に特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基、又はビニル基を有するものが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられ、単官能性単量体及び多官能性単量体を用いることができる。単官能性単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等の化合物を例示することができる。
更にカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシアルキル)イソシアヌレート等の化合物も例示することができる。ラジカル重合性樹脂組成物の粘度低減化の観点から、カプロラクトン付加モル数1〜5(m=1〜5)のポリカプロラクトン(メタ)アクリレート構造を有する単量体を例示することができる。また、カプロラクトンの付加モル数は1〜3のポリカプロラクトン(メタ)アクリレート構造を有する単量体を例示することができる。なかでもカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性単量体としては、具体的には、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロイルエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性(n=2)ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性(n=3)ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等を挙げることができる。
更に、多官能性単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ−(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート;
その他の化合物として、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等を例示することができる。
ビニル基を有する単量体の具体例としては、スチレン、p−クロロスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートビニルベンジルブチルエーテル、ビニルベンジルヘキシルエーテル、ビニルベンジルオクチルエーテル、ビニルベンジル−(2−エチルヘキシル)エーテル、ビニルベンジル(β−メトキシメチル)エーテル、ビニルベンジル(n−ブトキシプロピル)エーテル、ビニルベンジルシクロヘキシルエーテル、ビニルベンジル−(β−フェノキシエチル)エーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルエーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルオキシエチルエーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルメチルエーテル、ジビニルベンジルエーテルを挙げることができる。
これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ラジカル重合性不飽和単量体(B)成分として、コスト、希釈性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、スチレンが好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の含有量は、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは15〜85質量%、さらに好ましくは25〜75質量%である。(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の含有量が上記範囲内であれば、良好な作業性を得ることができる。
<アミン系硬化促進剤(C)>
本発明に用いるアミン系硬化促進剤(C)は、公知のアミン類を特に制限なく用いることができ、具体的には、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン類等を使用できる。中でも硬化を促進させ易い観点から、芳香族3級アミン類が好ましい。具体的には、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンが好ましい。また、そのなかでも、ヒドロキシル基含有芳香族3級アミンがより好ましい。具体的には、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンが好ましい。

アミン系硬化促進剤(C)の含有量は(A)ラジカル重合性樹脂及び(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5.0質量部、さらに好ましくは0.1〜3.0質量部である。含有量が上記範囲内であると硬化性の調整が容易である。
<多官能チオール化合物(D)>
本発明に用いる多官能チオール化合物(D)は、メルカプト基を複数個有する化合物であり、1級チオール化合物(D1)、2級チオール化合物(D2)及び3級チオール化合物(D3)のうちから選ばれる化合物である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。保存安定性および臭気の観点からは、2級又は3級のチオール化合物が好ましい。
ここで、「1級チオール化合物」とは、1級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物を指し、同様に、「2級チオール化合物」とは、2級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物、また、「3級チオール化合物」とは、3級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物を指す。なお、本発明では、2級チオール化合物が、1級炭素原子に結合するメルカプト基を有する場合であっても、該化合物は2級チオール化合物(D2)とみなす。同様に、3級チオール化合物が、1級炭素原子に結合するメルカプト基及び2級炭素原子に結合するメルカプト基の少なくともいずれか1個以上を有する場合も、該化合物は3級チオール化合物(D3)とみなす。
従って、本発明に用いられる前記1級チオール化合物(D1)、2級チオール化合物(D2)及び3級チオール化合物(D3)は、化合物中にメルカプト基を複数個有するチオール化合物である。チオール化合物中のメルカプト基の数は、通常、2〜10程度であり、特に、メルカプト基の数が、2〜6個有するチオール化合物を用いることにより、樹脂組成物硬化後の臭気性を低減することができる。
本発明に用いる多官能チオール化合物(D)は、下記一般式(Q)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2019004125

上記一般式(Q)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。*は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。
上記一般式(Q)で表される多官能チオール化合物(D)の中でも、下記一般式(Q−1)で表わされる構造を有するものが好ましい。
Figure 2019004125

上記一般式(Q−1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。**は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。
上記一般式(Q)及び一般式(Q−1)で表される多官能チオール化合物(D)の中でも、下記一般式(S)で示されるメルカプト基含有カルボン酸と、多価アルコールとのエステル化合物がより好ましい。このような化合物は、メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとの公知の方法でのエステル化反応により得られる。
Figure 2019004125

(一般式(S)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基であり、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜18の芳香族基である。aは0〜2の整数である。)
前記一般式(S)で表されるメルカプト基含有カルボン酸は、2級チオール化合物(D2)の由来化合物である場合、具体的には、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、3−メルカプト−3−フェニルプロピオン酸等が挙げられる。
また、3級チオール化合物(D3)の由来化合物である場合は、具体的には、2−メルカプトイソ酪酸、3−メルカプト−3−メチル酪酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、2,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールFアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]フルオレン等の2価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ヘキサントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ショ糖、2,2−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシフェニル)プロパン等の3価以上のアルコール;その他、ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオール等が挙げられる。
これらのうち、入手容易性や湿潤条件下でも硬化促進能を発揮させる観点から、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2,2−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシフェニル)プロパン等の3価以上のアルコール;ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオールが好ましく、官能基数及び蒸気圧の観点から、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオールがより好ましい。
〔1級チオール化合物(D1)〕
1級チオール化合物(D1)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
1級チオール化合物(D1)のうち、分子中に1級メルカプト基を2個以上有する化合物の市販品としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学(株)製、製品名:PEMP)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(淀化学(株)製、製品名:TMTP)等が好適に用いられる。
〔2級チオール化合物(D2)〕
2級チオール化合物(D2)としては、具体的には、3−メルカプトフタル酸ジ(1−メルカプトエチル)、フタル酸ジ(2−メルカプトプロピル)、フタル酸ジ(3−メルカプトブチル)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)、水素化ビスフェノールAビス(3−メルカプトブチレート)、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(2−フェノキシエチル(3―メルカプトブチレート))、エチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、オクタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、トリス−2−(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)エチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
2級チオール化合物(D2)のうち、分子中に2級メルカプト基を2個以上有する化合物の市販品としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工(株)製「カレンズMT(登録商標)BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製「カレンズMT(登録商標)PE1」)、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(昭和電工(株)製「カレンズMT(登録商標)NR1」)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製「TEMB」)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製「TPMB」)等が好適に用いられる。
〔3級チオール化合物(D3)〕
3級チオール化合物(D3)としては、具体的には、フタル酸ジ(2−メルカプトイソブチル)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、フタル酸ジ(3−メルカプト−3−メチルブチル)、エチレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)等が挙げられる。
多官能チオール化合物(D)の含有量は(A)ラジカル重合性樹脂及び(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜15質量部である。含有量が0.1質量部以上であれば、低温硬化性、密着性向上などの効果を十分に発揮することができる。また、含有量が20質量部以下であれば樹脂組成物を硬化させた際の強度を十分に保つことができ、構造物の補修材用途として好適である。
<硬化剤(E)>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、硬化剤(E)を含んでもよい。本発明で用いられる(E)硬化剤としては特に限定されず、公知のラジカル重合開始剤を使用することができ、有機化過酸化物を用いることが好ましい。
有機過酸化物の例としては、ケトンパーオキサイド、パーベンゾエート、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、パーオキシエステル及びパーオキシジカーボネート等が挙げられる。より具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ジベンゾイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイドともいう)、ベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等が使用できる。また、硬化剤としてアゾ化合物等も使用でき、具体的にはアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスカルボンアミド等が挙げられる。これら有機過酸化物、アゾ化合物は、単独又は組み合わせて用いることが可能である。また、これらの中でも、入手のし易さの観点から、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートが好ましい。さらに好ましくは、硬化する際に水分の影響を受け難い観点から、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイドが好ましい。
硬化剤(E)の配合量は、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜8質量部がより好ましく、0.5〜6質量部がさらにより好ましい。硬化剤(E)の配合量が0.1質量部以上では、所望の硬化性が得られ易い。一方、硬化剤(E)の配合量が10質量部以下であると、経済的に有利であり、十分な作業時間が得られ易い。
<その他成分>
〔重合禁止剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、(A)ラジカル重合性樹脂及び(B)ラジカル重合性不飽和単量体の過度の重合を抑える観点、反応速度をコントロールする観点から、重合禁止剤を含んでもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、カテコール、4−tert−ブチルカテコール等の公知のものが挙げられる。
〔アミン系以外の硬化促進剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物には、上記したアミン系硬化促進剤以外の硬化促進剤を含有させてもよい。アミン系以外の硬化促進剤としては特に限定はされず、公知の金属有機化合物およびβ−ジケトン類を使用することができる。
金属有機化合物の例としては、ナフテン酸銅等の銅化合物、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、ヘキソエート亜鉛等の亜鉛化合物、オクチル酸マンガン等のマンガン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸銅が好ましい。これらの金属有機化合物は、単独又は組み合わせて用いることが可能である。
β−ジケトン類の例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、N−ピロジニノアセトアセタミド、N,N−ジメチルアセトアセタミド等が挙げられる。
前記金属有機化合物の配合量は、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.3〜3質量部であることがより好ましい。金属有機化合物の配合量が0.1質量部以上であると、所望の硬化時間及び硬化状態が得られ易く、乾燥性良好になる。一方、金属有機化合物の配合量が5質量部以下であると、所望の可使時間及び貯蔵安定性が得られ易い。
〔光重合開始剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物には、硬化性を向上させる目的で光重合開始剤を含むものであっても良い。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、二重結合を有するアクリル樹脂やモノマーの重合を促進させ、硬化性を向上させるために用いられる。
具体的には、光ラジカル重合開始剤として、ベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系のものが挙げられる。
光重合開始剤は、(A)ラジカル反応性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で添加することができる。
〔界面活性剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、樹脂と水とのなじみをよくし、水を樹脂に抱き込んだ状態で硬化しやすくする観点から、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの界面活性剤の中でも陰イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ステアリン酸ソーダ石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸等の脂肪酸塩;ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊高分子系等が挙げられる。
これらの中でも、スルホン酸塩が好ましく、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムがより好ましく、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが更に好ましい。
非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシエチレン誘導体;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタンモノラウリレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤中では、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。また、非イオン性界面活性剤のHLB(Hydrophile−Lipophil Balance)は、5〜15が好ましく、6〜12より好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜7質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
〔界面調整剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、例えば、湿潤又は水没した被修復箇所に対する浸透性を向上させるために界面調整剤として、湿潤界面調整剤を含んでいてもよい。
湿潤界面調整剤としては、フッ素系湿潤界面調整剤及びシリコーン系湿潤界面調整剤等が挙げられ、これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フッ素系の湿潤界面調整剤の市販品としては、メガファック(登録商標)F176、メガファック(登録商標)R08(大日本インキ化学工業(株)製)、PF656、PF6320(OMNOVA社製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、フロラードFC430(スリーエム ジャパン(株)製)、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系湿潤分散剤の市販品としては、BYK(登録商標)−322、BYK(登録商標)−377、BYK(登録商標)−UV3570、BYK(登録商標)−330、BYK(登録商標)−302、BYK(登録商標)−UV3500、BYK−306(ビックケミー・ジャパン(株)製)、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
その他湿潤界面調整剤の市販品としては、ペレックスNBL、ペレックスOT−P、ペレックスTR(花王(株)製)等が挙げられる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物が、界面調整剤を含有する場合、その含有量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは、0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部が好ましい。
〔揺変剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、垂直面や天井面での作業性確保のための粘度調整等を目的として揺変剤を含んでもよい。
揺変剤としては、無機系揺変剤及び有機系揺変剤を挙げることができ、有機系揺変剤としては、水素添加ひまし油系、アマイド系、酸化ポリエチレン系、植物油重合油系、界面活性剤系、及びこれらを併用した複合系が挙げられ、具体的には、DISPARLON(登録商標)6900−20X(楠本化成(株))等が挙げられる。
また、無機系揺変剤としては、シリカやベントナイト系が挙げられ、疎水性のものとして、レオロシール(登録商標)PM−20L((株)トクヤマ製の気相法シリカ)、アエロジル(登録商標)AEROSIL R−106(日本アエロジル(株))等が挙げられ、親水性のものとして、アエロジル(登録商標)AEROSIL−200(日本アエロジル(株))等が挙げられる。揺変性をより向上させる観点から、親水性の焼成シリカに、揺変性改質剤であるBYK(登録商標)−R605やBYK(登録商標)−R606(ビックケミー・ジャパン(株)製)を添加したものも好適に用いることができる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物が、揺変剤を含有する場合、その含有量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは、0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部が好ましい
〔湿潤分散剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、充填剤混合時の高充填、粘度低下、沈降防止等を目的に湿潤分散剤を含んでいても良い。これらは、単独でも、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
湿潤分散剤の市販品としては、BYK−W909、BYK−W985、BYK−W966、BYK−W980、BYK−W969、BYK−W996、BYK−W9010、BYK−W940等が挙げられる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物が、湿潤分散剤を含有する場合、その含有量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは、0.1〜5.0質量部、より好ましくは0.3〜3.0質量部、さらにより好ましくは0.5〜2.0質量部が好ましい。
〔硬化遅延剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、硬化時間の調製の目的で、硬化遅延剤を含んでもよい。硬化遅延剤としては、フリーラジカル系硬化遅延剤が挙げられ、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル(4H−TEMPO)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル(4−Oxo−TEMPO)等のTEMPO誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル フリーラジカル(4H−TEMPO)がコスト面、扱いやすさの点から好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物が重合禁止剤、硬化遅延剤を含有する場合、その量は(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは各々0.0001〜10質量部であり、より好ましくは各々0.001〜10質量部である。
〔消泡剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、成形時の泡発生、成形品の泡残りを改善する目的で、消泡剤を含んでもよい。消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ポリマー系消泡剤などが挙げられる。
消泡剤の使用量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1〜1質量部である。
〔カップリング剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、修復対象物である基材への密着性を向上させること等を目的として、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤としては、公知のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
このようなカップリング剤としては、例えば、R−Si(OR)で表されるシランカップリング剤を挙げることができる。なお、Rとしては、例えば、アミノプロピル基、グリシジルオキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカプト基、ビニル基等が挙げられ、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、その含有量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
〔光安定剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、成形品の長期耐久性を向上させる目的で、光安定剤を使用してもよい。光安定剤としては、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的には、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、サリシレート系等が挙げられ、ヒンダードアミン系光安定剤としては、N−H型、N−CH型、N−Oアルキル型等が挙げられる。
光安定剤の使用量は、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量部である。
〔ワックス〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、表面乾燥性を向上する目的でワックスを含むものであってもよい。ワックスとしては、パラフィンワックス類、極性ワックス類などを単独あるいは併用して用いることができ、各種融点の公知の物を使用できる。
極性ワックス類としては、構造中に極性基および非極性基を合わせ持つものが挙げられる。具体的には、NPS−8070、NPS−9125(日本精蝋社製)、エマノーン3199、3299(花王社製)、BYK(登録商標)−S740、BYK(登録商標)−S750N、BYK(登録商標)−S760、BYK(登録商標)−S780、BYK(登録商標)−S781、BYK(登録商標)−S782等が挙げられる。
ワックスは、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.05〜4質量部含有することが好ましく、0.1〜2.0質量部含有することがより好ましい。
〔難燃剤〕
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、難燃剤を含むものであってもよい。難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤、イントメッセント系難燃剤、シリコーン系難燃剤などを単独あるいは併用して用いることができ、公知のものを使用することができる。
また、臭素系難燃剤などのハロゲン系難燃剤は、難燃性を更に向上する目的で三酸化アンチモンと併用して用いることができる。
難燃剤の添加量は、難燃剤の系統や種類により異なるが、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、1〜100質量部含有することが好ましい。
〔可塑剤〕
本発明の樹脂組成物は、粘度調整、硬化物の柔軟性調整を目的に、可塑剤を含むものであってもよい。可塑剤としては、エポキシ類、ポリエステル類系、フタル酸エステル類系、アジピン酸エステル類系、トリメリット酸エステル類系、リン酸エステル類系、クエン酸エステル類系、セバシン酸エステル類系、アゼライン酸エステル類系、マレイン酸エステル類系、安息香酸エステル類系等、単独あるいは併用して用いることができ、公知のものを使用することができる。
可塑剤の添加量は、その種類により異なるが、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.01〜20質量部含有することが好ましい。より好ましくは、0.1〜10質量部含有することが好ましい。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物中における、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の含有量の総量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、本発明のラジカル重合性樹脂組成物が(E)硬化剤を含有する場合、本発明のラジカル重合性樹脂組成物中における、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)硬化剤の含有量の総量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
<ラジカル重合性樹脂組成物の粘度>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物の粘度は、無機構造物のクラックへの注入のしやすさ、充填材等への混合のしやすさの観点から、好ましくは10〜1000mPa・s/25℃、より好ましくは30〜500mPa・s/25℃、さらに好ましくは50〜400mPa・s/25℃である。ここで、粘度の測定方法は、実施例に記載されているとおりである。
<ラジカル重合性樹脂組成物の製造方法>
本発明のラジカル重合性樹脂組成物の製造方法は、各成分の混合順序は特に問わないが、効率よく均一混合物を得るための作業性の観点から、またラジカル重合性組成物としての粘度調整など、目標物性範囲に組成物を調整する際の作業性の観点から、(A)成分を合成後に(B)成分の一部を加えて混合し、(A)成分を低粘度化してから、残りの(B)成分とその他成分を加えて混合することが好ましい。あるいは、(A)成分の合成時に希釈剤として(B)成分の一部を使用し、(A)成分と一部(B)成分の混合物を得てから、残りの(B)成分とその他成分を加えて混合することが好ましい。低粘度化の際の(A)成分と一部(B)成分の混合割合は特に限定されないが、好ましくは質量比で95:5〜20:80、より好ましくは85:15〜30:70である。
(A)成分と一部(B)成分の混合物の粘度としては、好ましくは50〜4000mPa・s、より好ましくは80〜3000mPa・s、さらに好ましくは100〜2000mPa・sである。粘度の測定方法は、実施例に記載されているとおりである。あらかじめ上記範囲の粘度に調整しておけば、残りの成分を混合して本発明のラジカル重合性樹脂組成物とする際に、短時間で均一に混合することができる。
[構造物修復材]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、該ラジカル重合性樹脂組成物を含む構造物修復材として使用することができる。
構造物としては、例えば、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、金属等の無機構造物や木材が挙げられる。特に好ましくは、高速道路や鉄道等のスラブ式軌道の構造物修復材として使用することができる。
<充填材(F)>
本発明の構造物修復材は、本発明のラジカル重合性樹脂組成物を構造物修復材として使用することができるが、本発明のラジカル重合性樹脂組成物に充填材(F)を含ませて、構造物修復材とすることができる。充填材(F)としては、特に限定されず、例えば、無機充填材、及び有機充填材を挙げることができる。
無機充填材としては、セメント、生石灰、川砂利、川砂、海砂利、海砂、山砂利、砕石、砕砂、珪砂等のシリカを主成分とする砂、炭酸カルシウム、セラミック、ガラス屑等の人工骨材、タルク、ゼオライト、活性炭等の公知のものが使用できるが、流動性、材料コスト節減、材料入手の観点から珪砂、炭酸カルシウム、タルク、ヒュームドシリカとの組み合わせが好ましい。珪砂としては、天然珪砂、蛙目珪砂、人造珪砂等を使用できる。珪砂のサイズとしては、3号〜8号程度のものを使用できる。炭酸カルシウムとしては、合成炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムを使用できる。炭酸カルシウムの平均粒子径としては、特に限定されることはなく、一般的に使用される範囲のものを使用できる。また、難燃性を付与する観点から、水酸化アルミニウムを用いることができる。また、着色の観点から、酸化チタンや酸化鉄等の着色剤や無機顔料を用いることもでき、更に、モレキュラーシーブを用いることもできる。無機充填材の粒度は、1nm〜5000μmであることが好ましく、10nm〜3000μmであることがより好ましい。無機充填材の粒度を上記範囲内とすると、良好な作業性や物性が得られる。
有機充填材としては、アマイド系ワックス、吸水ポリマー等の有機系充填材を用いることもできる。
また、前記充填材(F)として繊維を使用することもできる。繊維の具体例としては、ガラス繊維、カーボン繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、セルロース繊維、スチール繊維等の金属繊維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、バサルト繊維等の天然繊維等が挙げられる。これらの繊維は、例えば、平織り、朱子織り、不織布、マット、ロービング、チョップ、フレーク、編み物、組み物、およびこれらの複合構造物等から選ばれる繊維構造体、二軸メッシュ、三軸メッシュの形態で使用することが好ましい。例えば、前記繊維構造体にラジカル重合性組成物を含浸し、場合によっては予備重合してプリプレグ化して使用することができる。
メッシュとしては、例えば、二軸メッシュ、三軸メッシュが使用される。二軸メッシュの正方形の一辺の長さ(目合)及び三軸メッシュの正三角形の一辺の長さ(目合)は、それぞれ5mm以上が好ましく、10〜20mmがより好ましい。二軸メッシュ又は三軸メッシュを使用することにより軽量で経済性、施工性、耐久性に優れた構造物補強材料を得ることができる。
これらの繊維は、構造物を補強したりする場合に使用することが好ましい。
構造物補強等の用途では、繊維の中でも強度、コストに優れるガラス繊維、セルロース繊維等が、下地の劣化状態を外側から目視で検査できるという点から好ましい。また、強度、軽量化に優れる点から、カーボン繊維も好ましい。前記充填材(F)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の構造物修復材が充填材(F)を含有する場合、その配合量は、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、1〜700質量部が好ましく、10〜600質量部がより好ましく、50〜500質量部がさらに好ましい。充填材(F)として繊維を用いる場合は、その配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、5〜400質量部であることが好ましく、15〜300質量部であることがより好ましく、30〜250質量部であることが更に好ましい。充填材の配合割合が上記範囲内であれば、硬化性や作業性が良く、好ましい。
構造物の修復方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の構造物修復材を、コンクリート、アスファルトコンクリート、モルタル、木材、金属等の修復箇所に塗布し、乾燥、硬化させることにより行うことができる。構造物修復材の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、ディッピングによる塗布方法、スプレーによる塗布方法、ローラーによる塗布方法、ブラシ、刷毛やヘラ等の器具を用いた塗布方法等が適用できる。
構造物修復材の塗布量は、特に限定されないが、修復箇所の大きさ、構造物修復材の密着性、該構造物修復材の硬化体の強度などを考慮して適宜調整する。
構造物修復材を塗布した後の乾燥方法は、特に限定されないが、自然乾燥する方法、又は構造物修復材の硬化体の特性が劣化しない範囲で加熱する方法が用いられる。
また、本発明の構造物修復材を構造物のクラック発生箇所に直接注入し、乾燥、硬化させることにより修復することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。
<合成例>
後述するとおり、以下の原料を用いて、(A)ラジカル重合性樹脂であるウレタンメタクリレート樹脂(UM1)を合成し、次いで(B)ラジカル重合性不飽和単量体としてメチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、製品名:アクリルエステルM)を混合して、(A)成分と(B)成分との混合物を得た。
ウレタンメタクリレート樹脂(UM1)の原料を以下に示す。
(多価アルコール)
ポリプロピレングリコール1(重量平均分子量1000)、三井化学(株)製、製品名:アクトコールD−1000
ポリプロピレングリコール2(重量平均分子量2000)、三井化学(株)製、製品名:アクトコールD−2000
(多価イソシアネート)
ジフェニルメタンジイソシアネート
(水酸基含有(メタ)アクリレート)
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
次に、ウレタンメタクリレート樹脂(UM1)の合成例について具体的に説明する。
(合成例1)
撹拌器、還流冷却管、気体導入管及び温度計を備えた3Lの4つ口フラスコに、ジフェニルメタンジイソシアネート:500g(2.0mol)、アクトコールD−1000(三井化学(株)製ポリプロピレングリコール1:重量平均分子量1000):100g(0.1mol)、アクトコールD−2000(三井化学(株)製ポリプロピレングリコール2:重量平均分子量2000):1800g(0.9mol)、及びジブチル錫ジラウレート:0.2gを仕込み、60℃で4時間攪拌して反応させた。次いで、その反応物に、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート:288g(2.0mol)を2時間かけて滴下しながら撹拌し、滴下終了後5時間撹拌して反応させ、ウレタンメタクリレート樹脂(UM1)を得た。得られたウレタンメタクリレート樹脂(UM1)の下記の測定方法による重量平均分子量は、9055であった。
次いで、このウレタンメタクリレート樹脂(UM1)にメチルメタクリレート:1035gを添加し、(A)成分と(B)成分との混合物を得た。また、下記の測定方法による混合物の25℃での粘度が300mPa・sであり、液比重が1.02であった。
<重量平均分子量の測定>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(昭和電工(株)製Shodex GPC−101)を用いた。重量平均分子量は、下記条件にて常温(23℃)で測定し、ポリスチレン換算にて算出した。
(測定条件)
カラム:昭和電工(株)製LF−804、2本
カラム温度:40℃
試料:被測定物の0.4質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
<粘度の測定>
東機産業(株)製RE−85型粘度計、コーンプレート型、コーンロータ1°34’×R24を用いて、25℃環境下の粘度を回転数100rpmにて測定した。
<液比重の測定>
JIS K 7112−1999の附属書2「プラスチック−液状樹脂−水中置換法」に準じて、アルファーミラージュ(株)製電子比重計MD−200Sを用いて、23℃における液比重を測定した。
実施例1〜17
原料として、合成例1で得られた混合物と、必要に応じて前記(B)ラジカル重合性不飽和単量体と、以下の(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物、(E)硬化剤をラジカル重合性樹脂組成物の原料とした。
(C)アミン系硬化促進剤
N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、和光純薬工業(株)製、製品名:アクセルレーターA
(D)多官能チオール化合物
(1)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、4官能2級チオール、昭和電工(株)製、製品名:カレンズMT PE1
(2)トリメチロールプロパン−トリス(3−メルカプトブチレート)3官能2級チオール、昭和電工(株)製、製品名:TPMB
(3)1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、2官能2級チオール、昭和電工(株)製、製品名:カレンズMT BD1
(4)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、4官能1級チオール、SC有機化学(株)製、製品名:PEMP
(5)トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、3官能1級チオール、淀化学(株)製、製品名:TMTP
(E)硬化剤
ジベンゾイルパーオキサイド、化薬アクゾ(株)製、製品名:パーカドックスCH−50L
前記(A)成分と(B)成分との混合物に、(B)ラジカル重合性不飽和単量体を添加して、(A)成分/(B)成分の質量比が65/35となるようにして、(A)成分及び(B)成分からなる予備試料を得た。次いで、この予備試料100質量部、すなわち、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物及び(E)硬化剤を、この順に表1〜3に示す割合で加えて撹拌し、ラジカル重合性樹脂組成物を得た。このようにして得られたラジカル重合性樹脂組成物について、下記の方法により、硬化性を測定し、評価した。その結果を表1〜3に示す。
比較例1
(D)多官能チオール化合物を含まないこと以外は、実施例1と同様にして、ラジカル重合性樹脂組成物を得た。ラジカル重合性樹脂組成物の各成分の含有量を表1に示した。このようにして得られたラジカル重合性樹脂組成物について、同様にして硬化性を測定し、評価した。その結果を表1に示す。
<25℃環境下での硬化性測定>
以下に示す評価法により、ゲル化時間、硬化温度、硬化時間の評価を行った。
樹脂組成物を25℃に調整して試験管(外径18mm、長さ165mm)に深さ100mmまで入れ、25℃に設定した恒温槽に設置し、熱電対により、樹脂組成物の温度を測定した。樹脂組成物の温度が25℃から35℃になるまでにかかる時間を測定し、ゲル化時間(単位:分)とした。
また、樹脂組成物が最高発熱温度に到達するまでの時間を最小硬化時間、その時の発熱温度を硬化温度として定義し、JIS K−6901−2008に準じて測定した。
<10℃環境下での硬化性測定>
樹脂組成物の温度および測定環境温度を10℃とする以外は、上記25℃硬化性と同様にして評価を行った。
Figure 2019004125
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表1〜3に示すように、多官能チオール化合物を含有する本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、25℃及び低温である10℃環境下においてもゲル化時間及び最小硬化時間で示されるとおり、速硬化性が得られることが分かった。
特に、多官能チオール化合物の総量が0.5質量部以上の実施例は、硬化速度がより早くなることが分かった。また、0.3質量部以上の実施例では、連鎖移動剤効果発現により、ゲル化時間から最小硬化時間までの時間が延びる傾向を示し、マイルドな硬化プロセスが得られたことにより、急激な硬化収縮を緩和できることが分かった。
これに対し、多官能チオール化合物を含まない比較例1のラジカル重合性樹脂組成物は、実施例1〜22の樹脂組成物と比較して、硬化性が遅く、ゲル化時間から最小硬化時間までの時間が短いことが分かった。
実施例18〜34
実施例1で用いた(A)成分/(B)成分の質量比が65/35の混合物と前述の(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物、(E)硬化剤及び以下に記載する(F)充填材を用いた。
(F)充填材
(1)シリカサンド、(有)竹折砿業所製、製品名:珪砂8号
(2)炭酸カルシウム、日東粉化工業(株)、製品名:Sライト#1200、平均粒子径:2.6μm
実施例1と同様にして、表4〜6に示す割合で(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物及び(E)硬化剤を、この順に加えて撹拌し、(F)充填材を含まないラジカル重合性樹脂組成物を得た。さらに表4〜6に示す割合で(F)充填材を加えて撹拌し、構造物修復材を得た。
構造物修復材の各成分の含有量を表4〜6に示した。
その後、得られた構造物修復材を用いて、以下に示す方法により接着試験用の試験体を作製した。
このようにして得られた構造物修復材について、下記の方法により、接着性を測定し、接着性の評価とした。その結果を表4〜6に示す。
<接着試験用試験体の作製方法>
後述する曲げ荷重試験用試験体の作製方法で用いた長さ×幅×厚み=70mm×70mm×20mmのJIS K 5600セメントモルタル板1枚の上に、上記で得られた構造物修復材を環境温度25℃、湿度50%環境下で3mmの厚みで成型し、上部をフィルムで密閉した状態で硬化させた。その後、同環境下で24時間養生した。次に、表面のフィルムを剥がし、表面を#240サンドペーパーで目荒らし、表面をエアーブローし、アセトン脱脂により洗浄した。その後、接着試験用の直径20mmのドリーをエポキシ接着剤にて固着し、環境温度25℃、湿度50%環境下で接着剤の強度発現のため、5時間固着養生して接着試験用試験体とした。
<接着試験>
上記で得られた接着試験用試験体について、温度23℃、湿度50%の試験環境で、Elcometer製アドヒージョンテスター、測定範囲0〜7.0MPa、手動式を用いて、接着力を測定した。接着力の測定は、接着試験用試験体について2回ずつ行った。そして、2回の測定結果の平均値を、接着力の評価に使用した。
比較例2
(D)多官能チオール化合物を含まないこと以外は、実施例18と同様にして、構造物修復材を得た。その後、実施例18と同様にして、接着試験用試験体を作製し、接着試験を行った。また、比較例2の硬化性は、上記同様に、実施例18と近似するように重合禁止剤により調整し、ゲル化時間7.0minとすることで硬化性の違いによる影響を無くした。その結果を表4に示す。
Figure 2019004125
Figure 2019004125
Figure 2019004125
表4〜6に示すように、実施例18〜34の多官能チオール化合物を含有する本発明の接着試験用試験体は、強い接着性が得られることが分かった。
これに対し、比較例2は、実施例18〜34の接着試験用試験体と比較して、接着性が低かった。
実施例35〜41
実施例1で用いた(A)成分/(B)成分の質量比が65/35の混合物と前述の(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物、(E)硬化剤及び以下に記載する(F)充填材を用いた。
(F)充填材
(1)シリカサンド、(有)竹折砿業所製、製品名:珪砂8号
(2)炭酸カルシウム、日東粉化工業(株)、製品名:Sライト#1200、平均粒子径:2.6μm
実施例1と同様にして、表7に示す割合で(A)成分及び(B)成分の混合物100質量部に対して、(C)アミン系硬化促進剤、(D)多官能チオール化合物及び(E)硬化剤を、この順に表7に示す割合で加えて撹拌し、(F)充填材を含まないラジカル重合性樹脂組成物を得た。さらに表7に示す割合で(F)充填材を加えて撹拌し、構造物修復材を得た。
構造物修復材の各成分の含有量を表7に示した。
その後、得られた構造物修復材を用いて、以下に示す方法により曲げ荷重試験用の試験体を作製した。
このようにして得られた構造物修復材を用いて得られた曲げ荷重試験用の試験体について、下記の方法により、曲げ荷重を測定し、修復した構造物の曲げ強さの評価とした。その結果を表7に示す。
<曲げ荷重試験用試験体の作製方法>
図1に示すように、長さ×幅×厚み=70mm×70mm×20mmのJIS K 5600セメントモルタル板2枚(A、B)を20mm幅の空間を空けて平面に並べ、#240サンドペーパーで側面(構造物修復材と接触する面)を目荒らし、表面をエアーブローにより洗浄した。得られた長さ×幅×厚み=70mm×20mm×20mmの空間部へ、上記で得られた構造物修復材を環境温度25℃、湿度50%環境下で注入し、上部をフィルムで密閉した状態で硬化させた。その後、同環境下で24時間養生し、図2で示す曲げ荷重試験用試験体を得た。
<曲げ荷重試験>
上記で得られた曲げ荷重試験用試験体について、温度23℃、湿度50%の試験環境で、(株)オリエンテック製テンシロンUTC−1Tを用いて、支点間距離40mm、試験速度1mm/minで、曲げ荷重試験用試験体の構造物修復材硬化部分の中心部表面線状部分(長さ70mm)に荷重をかけて曲げ荷重を測定した。荷重試験用試験体が破断するまで荷重をかけ、破断するまでの最大荷重を測定した。曲げ荷重の測定は、曲げ荷重試験用試験体について2回ずつ行った。そして、2回の測定結果の平均値を、曲げ荷重の評価に使用した。曲げ荷重試験(N)の値が高いほど、修復した構造物の曲げ強さが優れていることを示す。
比較例3
(D)多官能チオール化合物を含まないこと以外は、実施例35と同様にして、構造物修復用樹脂組成物を得た。また、比較例3の硬化性は、実施例37と近似するように重合禁止剤により調整し、ゲル化時間7.0minとすることで硬化性の違いによる影響を無くした。
Figure 2019004125
表7に示すように、実施例35〜41の多官能チオール化合物を含有する本発明の曲げ荷重試験用試験体は、補修材とモルタル板の層間の接着性が優れているため、高い曲げ強さが得られることが分かった。これに対し、比較例3は、実施例35〜41の曲げ荷重試験用試験体と比較して、曲げ強さが低かった。これは、実施例35〜41の曲げ荷重試験用試験体が、比較例3の曲げ荷重試験用試験体と比較して、構造物修復材とセメントモルタル板との接着性が良好であることによるものである。
なお、前記表1〜7において、表中の組成物番号が同じ場合は、同じラジカル重合性樹脂組成物[(A)成分〜(E)成分]を用いていることを示している。
本発明のラジカル重合性樹脂組成物及び構造物修復材は、低温硬化性を有し、かつ優れた接着強度を有する。低温環境下においても速硬化することができ、かつ、優れた接着強度を有するため、固着・乾燥後の破断や修復箇所と修復材界面の剥離が生じ難い。従って、本発明の構造物修復材を用いることにより、常に振動を伴うようなコンクリート構造物に対して、クラック部分の修復を良好に行うことができる。すなわち、固着する際に優れた付着強度を発現することができ、コンクリート構造物等のクラックの修復に好適に用いることができる。

Claims (18)

  1. (A)ラジカル重合性樹脂と、
    (B)ラジカル重合性不飽和単量体と、
    (C)アミン系硬化促進剤と
    (D)多官能チオール化合物と
    を含有することを特徴とするラジカル重合性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分が、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる、少なくとも1種である、請求項1に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  3. 前記(D)成分が、下記一般式(Q)で表される構造を有する化合物である、請求項1または2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
    Figure 2019004125

    (一般式(Q)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。*は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。)
  4. 前記(D)成分が、下記一般式(Q−1)で表わされる構造を有する化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
    Figure 2019004125

    (一般式(Q−1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。**は、少なくとも1個のメルカプト基を有する任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。)
  5. 前記(D)成分が、2〜6官能の多官能チオール化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  6. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(A)成分の含有量が5〜95質量部であり、前記(B)成分の含有量が5〜95質量部であり、前記成分(C)の含有量が0.01〜10質量部であり、前記成分(D)の含有量が0.1〜20質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  7. 前記(C)成分が、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  8. さらにアミン系硬化促進剤以外の硬化促進剤として金属有機化合物を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  9. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記金属有機化合物の含有量が0.1〜5質量部である、請求項8に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  10. 前記金属有機化合物が、コバルト化合物、銅化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項8または9に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  11. さらに(E)硬化剤を含有する、請求項1〜10のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  12. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(E)成分の含有量が0.1〜10質量部である、請求項11に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  13. 前記(E)成分が、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項11または12に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物を含有する構造物修復材。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物及び(F)充填材を含有する構造物修復材。
  16. 前記(A)成分と前記(B)成分の合計量を100質量部としたときに、前記(F)成分の含有量が1〜700質量部である、請求項15に記載の構造物修復材。
  17. 前記(F)成分が、珪砂、炭酸カルシウム、タルク及びヒュームドシリカからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項15または16に記載の構造物修復材。
  18. 前記構造物修復材が、スラブ式軌道の構造物修復材である、請求項14〜17のいずれかに記載の構造物修復材。

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