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JPWO2016143204A1 - 内視鏡用穿刺針及び生検システム - Google Patents

内視鏡用穿刺針及び生検システム Download PDF

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JPWO2016143204A1
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Abstract

内視鏡用穿刺針は、アウターシースと、アウターシースの内部に配置された針管と、針管をアウターシースに対して進退操作する操作部と、アウターシースの基端部の内側に配置された基端側インナーチューブと、アウターシースの先端部の内側に配置され、基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した先端側インナーチューブと、備え、操作部は、操作本体と、針スライダと、係止構造と、を備え、前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている。

Description

本発明は、内視鏡用穿刺針及び生検システムに関する。本願は、2015年3月6日に、日本に出願された特願2015−044880号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、微量の体組織を採取し、顕微鏡で観察する、生検といわれる検査方法が知られている。臓器等の深部の組織を採取する場合は光学内視鏡による観察が困難であるため、超音波内視鏡等により臓器の超音波断層像を取得し、超音波観察下で、管状の針管を有する穿刺針を臓器に刺入して組織を採取することがある。
たとえば特許文献1には、超音波内視鏡等の処置具チャンネルに挿通可能なシース内に外針及び内針が配された穿刺針装置が開示されている。特許文献1に開示された穿刺針装置では、シースが設けられているので、処置具チャンネルの内面が外針及び内針の鋭利な先端により傷つけられにくい。
また、内視鏡に挿通された状態で使用される穿刺針は、内視鏡によって湾曲変形可能であるとともに内視鏡の内部で座屈しにくいことが求められている。たとえば、特許文献2には、柔軟性に優れる外筒チューブと、外筒チューブよりも硬質な内筒チューブとが略同軸に配設され、内筒チューブ内に穿刺針が挿通された穿刺針装置が開示されている。
特許文献2に開示された穿刺針装置において、外筒チューブの主成分はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、内筒チューブの主成分はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であることが開示されている。
日本国特開2001−120557号公報 日本国特開2013−172842号公報
特許文献1に開示された超音波内視鏡は、外針,内針及びシースの向きを変更するための起上台によって、外針,内針及びシースを湾曲形状に変形させる。そして、特許文献1に開示された穿刺針装置は、これらの針及びシースが起上台によって湾曲形状に変形された状態でシースに対して針が移動することで、針を臓器に刺入するように構成されている。特許文献2に開示された穿刺針装置も同様に、内視鏡と組み合わせることにより処置に用いられるので、外筒チューブ、内筒チューブ及び穿刺針は湾曲形状に変形され、この湾曲状態の内筒チューブ内を穿刺針が進退する場合が考えられる。
上記の特許文献1及び2に開示された技術では、シースや内筒チューブ(以下「シース等」という。)が小さい曲率半径(大きい曲率)で湾曲形状に変形された場合に、特許文献1に開示された外針若しくは内針や、特許文献2に開示された穿刺針がシース等の内面に刺さる可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、シース等が小さい曲率半径で湾曲形状に変形された状態であっても針がシース等の内面に刺さりにくく、且つ内視鏡のチャンネルへの挿入が容易な内視鏡用穿刺針及び生検システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る内視鏡用穿刺針は、内視鏡のチャンネルに挿通可能でコイル状のアウターシースと、前記アウターシースの内部に配置された針先を有する針管と、前記アウターシースの基端に接続され、前記針管を前記アウターシースに対して進退操作する操作部と、前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、を備え、前記操作部は、前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、前記針管の基端に接続されて前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、前記操作本体に対して前記針スライダを前記長手軸に沿って最も基端側に移動させたときに、前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、を備え、前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている。
本発明の第二の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有していてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記チャンネルを湾曲形状に変形させる能動湾曲部の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記能動湾曲部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第三の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有していてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記起上台の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第四の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有していてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の前記チャンネルの中心軸線に対して傾斜した管路状のスロープ部の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記スロープ部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第五の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有していてもよく、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記アウターシースの先端は、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に位置していてもよく、前記先端側インナーチューブの基端は、前記起上台の基端よりも前記アウターシースの基端側に位置し、且つ、前記基端側インナーチューブの先端は、前記内視鏡の能動湾曲部によって湾曲される前記アウターシースの内部に位置していてもよい。
本発明の第六の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記先端側インナーチューブの内面のショア硬度が前記基端側インナーチューブの内面のショア硬度よりも高くてもよい。
本発明の第七の態様は、処置具を挿通可能なチャンネルと、前記チャンネル内の処置具を湾曲させる湾曲付与手段と、を備えた内視鏡と、前記内視鏡に取り付け可能な内視鏡用穿刺針と、を備え、前記内視鏡用穿刺針は、前記内視鏡の前記チャンネルに挿通可能でコイル状のアウターシースと、前記アウターシースの内部に配置された針先を有する針管と、前記アウターシースの基端に接続され、前記針管を前記アウターシースに対して進退操作する操作部と、前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、備え、前記操作部は、前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、前記針管の基端に接続されて前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、前記操作本体に対して前記針スライダを前記長手軸に沿って最も基端側に移動させたときに前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、を備え、前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている生検システムである。
本発明に係る内視鏡用穿刺針及び生検システムによれば、針管の先端の移動領域内において針先が先端側インナーチューブの内面に刺さりにくく、且つ内視鏡のチャンネルが湾曲していても針管及びシースを容易にチャンネルに挿通することができる。
本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針を備えた生検システムの全体図である。 本発明の一実施形態に係る生検システムにおける超音波内視鏡の先端部分の断面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針の先端部分の断面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針の操作部の模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針の作用を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針を用いた生検の手技の一例の一過程を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る内視鏡用穿刺針を用いた生検の手技の一例における組織への針管の穿刺をする一過程を示す模式図である。
本発明の一実施形態について、本実施形態に係る内視鏡用穿刺針を備えた生検システムを例示して説明する。図1は本実施形態に係る内視鏡用穿刺針を備えた生検システムの全体図である。図2は、本実施形態に係る生検システムにおける超音波内視鏡の先端部分の断面図である。図3は、内視鏡用穿刺針の斜視図である。図4は、内視鏡用穿刺針の先端部分の断面図である。図5は、内視鏡用穿刺針の操作部の模式的な断面図である。
図1に示す本実施形態に係る生検システム150は、体内の組織を採取する生検に利用可能な医療機器(生検針)である。生検システム150は、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1(以下、単に「穿刺針1」と称する。)とを備える。
図1に示すように、超音波内視鏡100は、挿入部101と、操作部109と、ユニバーサルコード112と、光源装置113と、光学的観察部114と、超音波観察部115とを備える。挿入部101は、先端から体内に挿入されるように構成されている。操作部109は、挿入部101の基端に取り付けられている。ユニバーサルコード112は、操作部109の側部に第一端が接続されている。ユニバーサルコード112の第二端には、分岐ケーブル112aを介して光源装置113が接続され、分岐ケーブル112bを介して光学的観察部114が接続され、分岐ケーブル112cを介して超音波観察部115が接続されている。
挿入部101は、先端硬質部102、能動湾曲部105、および可撓管部106が先端側からこの順に並べて設けられている。
図2に示すように、先端硬質部102は、光学撮像機構103と、超音波走査機構104と、起上台108とを備える。光学撮像機構103は、光学的観察を行うために設けられている。超音波走査機構104は超音波観察を行うために設けられている。起上台108は、後述するチャンネル107に挿通された穿刺針1の向きを調整するために設けられている。
光学撮像機構103は、撮像光学系と、イメージセンサと、イメージセンサの動作を制御するCPU等の不図示の各種構成を備える。撮像光学系は、先端硬質部102の斜め前方に視野が向けられている。イメージセンサは、撮像光学系を通じて入射した被写体の像を検出するCCDやCMOS等で構成されている。
超音波走査機構(プローブ)104は、超音波を出射し、受信する図示しない超音波振動子を備える。超音波走査機構104は、超音波振動子が発した超音波が観察対象に当たって反射した反射波を超音波振動子によって受信し、超音波振動子が受信した超音波に基づいた信号を超音波観察部115へ出力する。本実施形態の超音波走査機構104は、生検対象となる組織の超音波画像を取得し、また、生検の手技の過程で針管3の超音波画像を取得するために使用される。
図2に示すように、起上台108は、挿入部101の中心線に対して交差する方向へ穿刺針1のシース部7(図3参照)の遠位部分の向きを変更させるための部材である。起上台108は、操作部109まで延びる図示しない起上用ワイヤを操作部109において牽引操作することによって、シース部7の外面を押してシース部7を湾曲状態に変形させることができる(図6参照)。
能動湾曲部105は、筒状をなす複数の関節105cが挿入部101の中心線方向に並べて連結されて構成される筒状部材である。能動湾曲部105は、能動湾曲部105の先端105a(図2参照)に固定され操作部109まで延びる図示しないアングルワイヤを操作部109において牽引操作することによって、所定の方向へ湾曲する。本実施形態の能動湾曲部105は、超音波走査機構104の超音波の走査方向に沿って2方向に湾曲可能である。
起上台108及び能動湾曲部105は、いずれも、本実施形態における処置具となる穿刺針1を操作部109による能動的な湾曲操作に応じて湾曲形状に変形させる湾曲付与手段である。
可撓管部106は、管腔組織内や体腔内において先端硬質部102を所望の位置に案内できるように柔軟に形成された筒状部材である。
能動湾曲部105と可撓管部106とのそれぞれの内部には、チャンネル107と、送気送水や吸引などを行うための図示しない管路とが設けられている。
図1及び図2に示すように、チャンネル107は、穿刺針1を挿通可能な筒状部である。
図2に示すように、チャンネル107の先端(先端開口107a)は先端硬質部102の先端部近傍に開口されている。図1に示すように、チャンネル107の基端は操作部109の先端側の側面に開口されている。チャンネル107の先端から穿刺針1のシース部7が突出される過程で、穿刺針1のシース部7の外面には起上台108が接触可能である。チャンネル107の基端には、フランジ状に形成された基端口金107bが固定されている。基端口金107bには、超音波内視鏡100とともに使用される穿刺針1を固定することができる。
図1に示すように、操作部109は、超音波内視鏡100を使用する術者が手に持つことができるように形成された外面を有している。操作部109は、湾曲操作機構110と、複数のスイッチ111とを備えている。湾曲操作機構110は、アングルワイヤを牽引して能動湾曲部105を湾曲動作させたり、起上用ワイヤを牽引して起上台108を動作させたりするために設けられている。複数のスイッチ111は、管路を通じて送気、送水、あるいは吸引をするために設けられている。
光源装置113は、光学撮像機構103によって撮像するための照明光を発するための装置である。
光学的観察部114は、光学撮像機構103のイメージセンサによって撮像された映像をモニター116に映し出すように構成されている。
超音波観察部115は、超音波走査機構104から出力された信号を受信し、この信号に基づいて画像を生成してモニター116に映し出すように構成されている。
次に、本実施形態に係る穿刺針1の構成について説明する。
図3に示すように、穿刺針1は、挿入体2と、操作部8と、スタイレット27とを備える。
挿入体2は、図1に示す超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。図4に示すように、挿入体2は、針管3と、シース部7とを備える。
針管3は、先端と基端とを有し、穿刺針1の操作部8により進退操作される筒状部材である。
針管3の材質としては、可撓性を有しているとともに、外力により曲げられても容易に直線状態に復元する弾性を有する材質であることが好ましい。たとえば、針管3の材料としては、ステンレス合金、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金などの合金材料を採用することができる。
針管3の先端は、組織に針管3を穿刺するために鋭利とされている。針管3の先端は、針管3の内部に組織を吸引するための開口4を有する。針管3の開口4の先端は、組織に刺入される針先5を構成する。針先5の形状は特に限定されないが、針先5の形状には組織に対しての穿刺性能が考慮される。針管3の針先5は、後述するアウターシース71の内部に配置され、アウターシース71の先端から突没可能である。
針管3の先端に設けられた開口4は、針管3を形成する管状部材の先端を自身に対して斜めに切り落とすことにより形成されており、生体組織に刺入できるように鋭利に形成されている。開口4の具体的形状は、対象とする組織等を考慮して公知の各種形状から適宜選択されてよい。
図4に示すように、シース部7は、アウターシース71と、インナーシース74とを備える。
アウターシース71は、全体としてコイル状であり、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能である。
アウターシース71は、コイル体72と、筒状の先端チップ73とを備える。コイル体72は、金属製の素線がコイル状に巻かれて構成されている。先端チップ73は、コイル体72の先端に固定されている。
コイル体72を構成する素線の材質や形状は、コイル体72の曲がりやすさや復元力に着目して適切に選択される。例えば、素線の材質としてはステンレス鋼、形状記憶合金、又は超弾性合金等から選択され、素線の形状としては断面円形や断面矩形等から選択される。
先端チップ73は、コイル体72の先端面に固定され、針管3を挿通可能な貫通孔が形成された筒状部材である。
インナーシース74は、先端側インナーチューブ74Aと基端側インナーチューブ74Bとを有している。
先端側インナーチューブ74Aは、先端74aAと基端74bAとを有する筒状部材である。先端側インナーチューブ74Aの内部には針管3が摺動する。先端側インナーチューブ74Aは、アウターシース71と針管3との間の摺動抵抗を低減する目的で、樹脂製である。操作本体9に対して針スライダ23を長手軸に沿って最も基端側に移動させ、操作本体9に対して針スライダ23が操作本体9の長手軸方向に係止された状態では、アウターシース71の径方向において、先端側インナーチューブ74Aは、アウターシース71の先端部と針管3の先端(針先)との間に位置している。また、先端側インナーチューブ74Aは、アウターシース71と針管3との間のクリアランスを小さくして針管3の蛇行を防止する。さらに、本実施形態の先端側インナーチューブ74Aは、針管3の鋭利な先端によって先端側インナーチューブ74Aの内面が傷つくのを防止するために、基端側インナーチューブ74Bよりも内面が硬質である。先端側インナーチューブ74Aは、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の筒状部材であってもよい。なお、先端側インナーチューブ74Aの基端74bAは、針管3の先端(本実施形態では針先5)の移動領域の基端よりもさらに基端側に位置している。
先端側インナーチューブ74Aの先端74aAは、先端チップ73に固定されている。先端側インナーチューブ74Aの全長のうち先端側インナーチューブ74Aと先端チップ73との固定箇所よりも基端側はアウターシース71に固定されていない。そのため、アウターシース71及び先端側インナーチューブ74Aを湾曲させた際に、アウターシース71に対して相対移動可能である。
なお、先端側インナーチューブ74Aの先端74aAが先端チップ73に固定されず、コイル体72に直接固定されても良い。また、先端側インナーチューブ74Aの先端74aAは、コイル体72には固定されずに、先端側インナーチューブ74Aの基端74bAが基端側インナーチューブ74Bの先端74aBに接続されても良い。この場合、後述する基端側インナーチューブ74Bがコイル体72もしくは後述する操作部8(好ましくは操作本体9)に固定される。
先端チップ73の内径は、インナーシース74の内径よりも大きくてもよい。先端チップ73の内径がインナーシース74の内径よりも大きいと、インナーシース74内に配される針管3が、先端チップ73においては、先端チップ73の内面から離間した位置となり、先端チップ73の内面に対して針管3が摺動する場合と比較して摩擦抵抗が軽減される。
ここで、針先5の移動領域は、アウターシース71,インナーシース74,及び針管3の使用時の伸縮及び蛇行状態等の影響を受けて変化し得る。また、針管3の先端(針先5)の移動領域は、本実施形態においては操作部8により制限されている。具体的には、図3に示す針スライダ23は、操作本体9に対して操作本体9の長手軸に沿って移動自在に設けられている。図5に示すように、操作本体9の軸方向に針スライダ23が移動できるように、操作本体9の凹部9aに針スライダ23の凸部23aが嵌った状態で、操作本体9は針スライダ23をスライド自在に支持している。
針スライダ23を操作本体9の先端側へ移動させる際、針スライダ23はストッパ11(図3参照)と接触する位置まで移動できるように構成されている。ストッパ11は、操作本体9の先端の拡径した部分(符号なし)に当接するまで操作本体9に対して移動できる。そのため、ストッパ11が、操作本体9の拡径した部分に当接したときに、針管3の先端がシース部7の先端から十分に突出する位置まで針スライダ23を前進させることができるように構成される。
図5に示すように、操作部8は、操作本体9の基端側への針スライダ23の移動を規制するための係止構造24を有している。係止構造24は、操作本体9に形成された係止面9bと、針スライダ23の凸部23aに形成された当接面23bとによって構成されている。操作本体9に対して針スライダ23を、操作本体9の長手軸に沿って最も基端側に移動させたときに、係止面9bと当接面23bとは互いに接する。
係止面9bと当接面23bとが互いに接している状態で、操作本体9に対して針スライダ23は操作本体9の長手軸方向に係止される。針スライダ23を操作本体9の基端側へ移動させる際、針スライダ23は、図5に示す係止構造24により係止される位置(凸部23aの当接面23bと操作本体9の係止面9bが当接する位置)まで移動できるように構成されている。この係止構造24により針スライダ23が操作本体9に対して係止されたときに、針管3の先端は、先端側インナーチューブ74Aの基端74bAから先端側インナーチューブ74Aの内部に進入し、先端側インナーチューブ74Aの内部に配置される。
つまり、針スライダ23は、操作本体9に対して係止された位置から、操作本体9の拡径した部分に当接されたストッパ11に当接する位置まで移動可能であり、それらの2つの位置の間で針スライダ23を移動させる過程で、針管3の先端はシース部7の先端から突没可能に構成されている。
基端側インナーチューブ74Bは、先端74aBと基端(不図示)とを有する筒状部材である。基端側インナーチューブ74Bは、アウターシース71の内部に配されている。基端側インナーチューブ74Bの内部には、針管3の針先5を除く一部(すなわち針管3の針先5よりも基端側に位置する部位の一部)が挿通されている。すなわち、アウターシース71の径方向において、基端側インナーチューブ74Bは、アウターシース71の基端部と針管3の基端部との間に配置されている。基端側インナーチューブ74Bの先端74aBは、針管3の先端(針先5)の移動領域よりも基端側に位置している。基端側インナーチューブ74Bの先端74aBは、先端側インナーチューブ74Aの基端74bAに対して略同軸に配置されている。
本実施形態では、基端側インナーチューブ74Bの内面に針先5が接触しないように先端側インナーチューブ74Aの基端74bAよりも基端側におけるアウターシース71の内部に基端側インナーチューブ74Bが配置される。基端側インナーチューブ74Bの基端(不図示)は操作部8に固定されている。
なお、基端側インナーチューブ74Bの基端が操作部8に直接固定されていなくてもよい。例えば、基端側インナーチューブ74Bはアウターシース71に固定され、そのアウターシース71の基端に操作部8が固定されても良い。
基端側インナーチューブ74Bは針管3に固定されていてもよい。この場合には、基端側インナーチューブ74Bの先端74aBと先端側インナーチューブ74Aの基端74bAとの間には、アウターシース71からの針管3の突出量に対応した隙間があることが好ましい。このような構成であれば、基端側インナーチューブ74Bの先端側を先端側インナーチューブ74A内に進入させることなく、アウターシース71から針管3を突出できるように構成することができるため、シース部7の外径を太くする必要がない。
基端側インナーチューブ74Bは、アウターシース71と針管3との間のクリアランスを小さくして針管3の蛇行を防止する。基端側インナーチューブ74Bは、針管3の鋭利な針先5が接触しない領域に配されているので、針管3の針先5から保護されることを目的とした素材を選択する必要は必ずしもない。基端側インナーチューブ74Bは樹脂製であってよい。基端側インナーチューブ74Bは、アウターシース71及び針管3に対する摺動抵抗を下げるために、たとえば高密度ポリエチレン(HDPE)製の筒状部材であってもよい。
先端側インナーチューブ74Aの構成と基端側インナーチューブ74Bの構成との関係は、それぞれの内面の構成が下記の(条件1)から(条件3)の少なくとも1つを満たしている。
(条件1)
先端側インナーチューブ74Aと基端側インナーチューブ74Bとが互いに異なる材料からなり、先端側インナーチューブ74Aの内面(内周表面)の方が基端側インナーチューブ74Bの内面(内周表面)よりも硬質である。
(条件2)
先端側インナーチューブ74Aと基端側インナーチューブ74Bとの材質は特に限定されないが、先端側インナーチューブ74Aの内面(内周表面)には、基端側インナーチューブ74Bの内面(内周表面)よりも硬質なコーティングが形成されている。
(条件3)
先端側インナーチューブ74Aは、外周部と内周部とを有する多層チューブであり、最内周に位置する層が、基端側インナーチューブ74Bの内面(内周表面)よりも硬質な内面(内周表面)を有する。
この他、先端側インナーチューブ74Aの内面の硬さと基端側インナーチューブ74Bの内面との硬さとの関係は、それぞれの内面のショア硬度(HS)で定義されてもよい。具体的には、先端側インナーチューブ74Aの内面のショア硬度は、基端側インナーチューブ74Bの内面のショア硬度よりも高い。
たとえば、先端側インナーチューブ74Aは、針先5を刺さり難くする目的で、ショア硬度が84以上107以下の範囲内の樹脂からなっていてよい。この場合、基端側インナーチューブ74Bは、先端側インナーチューブ74Aよりも柔軟な構成として、ショア硬度が41以上70以下の範囲内の樹脂からなっていてよい。具体的には、先端側インナーチューブ74Aはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなっていてよい。この場合、基端側インナーチューブ74Bはポリエチレン(PE)からなっていてよい。
図1及び図3に示すように、操作部8は、アウターシース71の基端に接続されている。
操作部8は、操作本体9と、取付アダプタ18と、針スライダ23とを備える。取付アダプタ18は、操作本体9の先端側に設けられている。針スライダ23は、操作本体9の基端側に設けられている。
操作本体9は、例えばABS樹脂等で形成されている。操作本体9は、針管3およびシース部7が挿通可能な管腔を有する。操作本体9の先端側は、管状に形成された取付アダプタ18に挿入されている。操作本体9の基端側は、管状に形成された針スライダ23に挿入されている。操作本体9と取付アダプタ18、および操作本体9と針スライダ23は、外周面に形成された図示しない溝あるいは凸部等が互いに係合することにより、軸線まわりの相対回転が抑制されつつ軸線方向に摺動可能である。シース部7のアウターシース71は操作本体9に接続されている。操作本体9の内部に配されたシース部7は、操作本体9に固定されている。
取付アダプタ18は、操作部8を超音波内視鏡100の基端口金107bに固定するための筒状部材である。取付アダプタ18の内部には、シース部7、針管3、及びスタイレット27が挿通されている。
取付アダプタ18は、操作本体9と略同軸となるように操作本体9に連結されている。
取付アダプタ18と操作本体9とは、固定ネジ10により固定可能である。固定ネジ10を操作本体9に対して締め込むと、取付アダプタ18が操作本体9に押し当てられて取付アダプタ18と操作本体9とを摺動不能に固定することができる。固定ネジ10が緩められている状態では、取付アダプタ18の中心線に沿って、取付アダプタ18に対して操作本体9を移動させることができる。操作部8は、取付アダプタ18に対して操作本体9を取付アダプタ18の先端側に向かって移動させると、針管3と共にシース部7が前進するように構成されている。よって、取付アダプタ18と操作本体9との位置関係を変化させることで、操作部8を超音波内視鏡100に固定した際の、チャンネル107からのシース部7の突出長を調節することができ、固定ネジ10により当該突出長を固定することができる。
取付アダプタ18の先端部の外周面には、術者が把持しやすいように凹凸が設けられていてもよい。
図3に示すように、針スライダ23は、針管3の基端部分を保持する筒状部材である。針管3の基端側は、シース部7の基端から突出して針スライダ23の内部まで延び、針スライダ23の基端において針スライダ23に接続されている。本実施形態では、たとえば針管3の基端側は針スライダ23に固定されている。針スライダ23は、操作本体9に対して移動可能となるように操作本体9に連結されている。操作本体9に対して針スライダ23を操作本体9の先端側に向かって移動させることにより、操作部8は、針管3をアウターシース71に対して前進操作することができる。このように、操作部8は、針管3をアウターシース71に対して進退操作することができる。
針スライダ23の先端部の外周面には、術者が把持しやすいように凹凸が設けられていてもよい。
図3に示すように、針スライダ23の先端側において、ストッパ11が操作本体9に対して移動可能に取り付けられている。ストッパ11は固定ネジ12を有し、固定ネジ12を締め込むことで、操作本体9に対して固定することができる。針スライダ23は、ストッパ11と接触する位置までしか操作本体9に対して前進できないので、操作本体9に対するストッパ11の固定位置を調節することで、針管3のシース部7からの最大突出長を調節することができる。
針スライダ23が操作本体9の基端側に限界まで移動した位置にある状態が、穿刺針1の使用開始前における初期状態である。初期状態では、針管3の先端(針先5)は先端側インナーチューブ74Aの内部に位置している。
このように、本実施形態では、操作部8が、針管3の先端の移動領域を規定している。
針スライダ23の基端部にはスタイレット27が取り付けられている。スタイレット27は、針管3の内部に挿通される針状部材である。スタイレット27の先端は、針状に限られず、スタイレット27の長手軸に対して交差する面に沿う端面を有していてもよいし、半球面等の曲面を有していてもよい。
次に、本実施形態に係る生検システム150の作用について説明する。図6は、穿刺針1の作用を説明するための図である。
本実施形態に係る生検システム150(図1参照)において、図4及び図6に示すように、穿刺針1は、アウターシース71の内部で針管3がアウターシース71のコイル体72の内面ではなくインナーシース74の内面に接して移動する。特に、針管3の針先5は、先端側インナーチューブ74A内を進退し、先端側インナーチューブ74Aの先端の開口から突出可能である。
インナーシース74は樹脂製であるので、針管3とインナーシース74との間の摩擦抵抗は、金属同士の摩擦抵抗よりも小さい。このため、本実施形態では、従来の穿刺針と比較して、シース部7に対する針管3の移動に要する力量が小さくて済む。
超音波内視鏡100の能動湾曲部105や起上台108にシース部7が位置するときに、シース部7は能動湾曲部105や起上台108によって湾曲形状に変形される(図6参照)。シース部7が湾曲形状であるときには、シース部7の内面に対する針先5の傾斜角度が、シース部7が直線状態である場合よりも大きい。このため、シース部7が湾曲状態である場合に、シース部7及び針先5は、シース部7が直線状態である場合よりも、シース部7の内面に針先5が刺さりやすい位置関係にある。しかし、本実施形態の先端側インナーチューブ74Aの内面は針先5が刺さりにくいように硬質な面であるので、先端側インナーチューブ74A内で針先5が移動しても針先5は先端側インナーチューブ74Aに刺さり難い。
超音波内視鏡100の能動湾曲部105や起上台108にシース部7が位置するときに、湾曲状態にあるシース部7内を通過する針管3は、シース部7が湾曲変形された部分において、シース部7との間の摩擦抵抗の大きさによって、シース部7が直線状態にあるときと比較して動きにくくなる。本実施形態に係る生検システム150に設けられた穿刺針1のシース部7は、金属製のコイル体72の内部に樹脂製のインナーシース74が配されている。そのため、シース部7が湾曲変形されることで摩擦抵抗が大きくなっている部分における針管3の移動に要する力量が、インナーシース74が無い場合と比較して小さい。すなわち、本実施形態に係る穿刺針1によれば、シース部7が湾曲変形された状態であっても軽い力で操作者の意図通りに針管3を移動させることができる。
基端側インナーチューブ74Bは、先端側インナーチューブ74Aとは異なり針先5が刺さりにくいような内面を必ずしも考慮する必要がないので、先端側インナーチューブ74Aよりも柔軟なチューブが採用されてよい。このため、超音波内視鏡100の可撓管部106が蛇行して体内にある場合等、複雑な湾曲形状をなすチャンネル107に挿入体2を挿通する過程で、スムーズに挿入体2を挿入することができる。
本実施形態では、樹脂製のインナーシース74は金属製の針管3との間の摩擦抵抗が少ないので、インナーシース74の内径と針管3の外径との差(クリアランス)が小さくても、シース部7に対する針管3の移動に要する力量が小さくて済む。このため、シース部7内で針管3が蛇行するような隙間を少なくすることができ、操作部8における針管3の進退操作に対する針管3の先端部分の追従性が良い。
従来の穿刺針では、針管の基端部分がスライダにより先端側に押されても針管の先端が動かず、蛇行状態となった針管が直線状に戻ろうとする復元力でスライダが基端側に押し戻されることがあった。しかし、本実施形態では、シース部7内で針管3が蛇行し難いので、操作部8の針スライダ23を用いて針管3を先端側に移動させたときに針管3の蛇行がシース部7内で蓄積され難く効率よく針管3の先端の移動が行われる。その結果、本実施形態に係る生検システム150では、上述のように針管が直線状に戻ろうとする復元力でスライダが基端側に押し戻される状態が生じ難い。
本実施形態では、先端側インナーチューブ74Aの先端74aAは、先端チップ73に固定されており、先端チップ73は、さらにコイル体72の先端部に固定されている。このため、シース部7が湾曲形状に変形されたり、シース部7の基端側から操作力量がシース部7の先端側に伝わったりした場合であっても、アウターシース71の先端部分の先端チップ73が、インナーシース74の先端部分がコイル体72の内部で移動しないように先端側インナーチューブ74Aを保持している。このため、インナーシース74の先端がアウターシース71の先端よりも基端側に移動しないので、アウターシース71のコイル体72と針管3とが直接接触することがない。
先端側インナーチューブ74Aの先端74aAが先端チップ73を介してコイル体72の先端部に固定され、先端側インナーチューブ74Aの先端74aAよりも基端側の先端側インナーチューブ74Aの部分はコイル体72に対して摺動自在であるので、コイル体72内に先端側インナーチューブ74Aが配されてもコイル体72の伸びが規制されないため、コイル体72を構成するアウターシース71の可撓性は下がりにくい。
本実施形態では、アウターシース71の先端部分に先端チップ73が配されていることは必ずしも必要ではなく、インナーシース74の先端74aがアウターシース71のコイル体72の先端部分に直接固着されていてもよい。
本実施形態では、アウターシース71のコイル体72は、起上台108及び能動湾曲部105によってアウターシース71が湾曲された状態で、コイル体72を構成する素線の間に隙間を生じる。この素線の隙間に針管3の先端が入り込んで引っかかると、針管3の移動を妨げたり、針管3の先端の変形が生じる可能性がある。本実施形態では、インナーシース74が、アウターシース71のコイル体72の内部に配されているので、コイル体72の素線の隙間がインナーシース74によって覆われている。その結果、インナーシース74の内部で進退する針管3は、起上台108や能動湾曲部105の位置で挿入体2が湾曲されてもコイル体72の素線の隙間には引っかかり難い。湾曲された形状の湾曲されたアウターシース71のうち曲率半径が大きい部分の内壁において隙間が空いた素線を覆う樹脂構造が設けられていれば、コイル体72の全域が覆われていなくても、針管3の先端の引っ掛かりは予防できる。
上記実施形態に係る穿刺針1を使用した手技の一例を示す。図7は、本実施形態に係る穿刺針を用いた生検の手技の一例の一過程を示す模式図である。図8は、本実施形態に係る穿刺針を用いた手技の一例における組織への針管の穿刺をする一過程を示す模式図である。
以下では、体内の病変を対象組織として穿刺針1の針管3を刺入し、針管3の内部を通じて病変の細胞などを回収する生検の処置を例に穿刺針1の使用態様を説明する。以下に例示する生検の手技は、図7及び図8に示す膵臓90における膵頭部に対する生検の一例である。なお、上記実施形態に係る穿刺針1の適応対象は膵頭部への生検のための穿刺には限定されない。
まず、術者は、図1に示す超音波内視鏡100の挿入部101を体内に挿入し、光学撮像機構103で観察しながら、能動湾曲部105を適宜湾曲させつつ対象組織(本実施形態では膵頭部)の付近まで挿入部101の先端部を導入する。導入後、術者は、光学撮像機構103および超音波走査機構104による観察結果に基づいて、生検を行う部位を決定する。たとえば、膵頭部に対する生検を行う場合、超音波内視鏡100の挿入部101に設けられた光学撮像機構103及び超音波走査機構104が十二指腸80に到達するように、能動湾曲部105を湾曲させた状態としつつ挿入部101を移動させる。
膵頭部に対する生検を超音波内視鏡100を用いて行う場合、穿刺針1の穿刺箇所を超音波内視鏡100の視野に捉えるために、能動湾曲部105を湾曲させる必要がある。特に、本実施形態のように膵頭部に対する生検をする場合には、超音波内視鏡100の能動湾曲部105の性能の限界に近い程度まで能動湾曲部105が湾曲される。
次に、術者は、図1に示す超音波内視鏡100の操作部109に設けられた基端口金107bからチャンネル107の内部へ、穿刺針1の挿入体2を先端側から挿入する。さらに、術者は、操作部109の取付アダプタ18を基端口金107bに連結する。これにより、穿刺針1の操作部8は、操作部109に対して回転しないように超音波内視鏡100に固定される。
例えば、針管3にバックカット加工が施されていると、シース部7の内面に針先5が触れにくい。この他、針管3がたとえばメンギーニ針であっても同様にシース部7の内面に針先5が触れにくい。
次に、術者は、固定ネジ10(図3参照)を緩め、光学撮像機構103および超音波走査機構104によってシース部7および体内を観察しながら、取付アダプタ18と操作本体9とを相対的に摺動させて、超音波内視鏡100の挿入部101の先端からのシース部7の突出量を適切な量に調整する。調整後、術者は固定ネジ10を締め込んで当該突出量を固定する。
次に、超音波走査機構104による観察結果に基づいて、生検を行う対象組織Tまでの距離を考慮しつつストッパ11を移動させて所望の位置で操作本体9に固定し、針管3の最大突出長を調節する。
対象組織Tの位置に向かって針管3が押し出されるように、図8に示すように、チャンネル107の先端開口107aからの挿入体2の突出方向を、起上台108を用いて設定する。
起上台108は、シース部7の外面を押圧することにより、シース部7、針管3、及びスタイレット27を湾曲状態に変形させる。本実施形態では、スタイレット27が針管3内に挿通された状態であることは必須ではない。本実施形態のような膵頭部に対する生検の手技では、超音波内視鏡100の能動湾曲部105または起上台108の性能の限界に近い程度まで挿入体2を湾曲させた状態になる。
次に、術者は、図3に示す針スライダ23を操作部8の先端側へと前進させる。起上台108によってシース部7は湾曲形状とされているが、先端側インナーチューブ74Aの内面には針先5が刺さりにくいので、シース部7の先端へ向かって針管3が針スライダ23によって押し進められる。
針管3の先端がシース部7からわずかに突出したら、スタイレット27を針管3の内部に引き戻す。これにより、針管3の鋭利な針先5により針管3を組織に穿刺可能となる。その後、針管3の先端がシース7内に収納されるように、一旦針管を引き込む。
次に、図8に示すように、シース部7の先端を腸壁に当接させた状態で、針スライダ23を操作部8の先端側へと術者がさらに前進させることにより、針管3の針先5はシース部7の先端から突出されると共に組織に穿刺され、生検を行う対象組織Tへと押し進められる。このとき、生検対象でない組織が針管3に入り込まないようにするために、スタイレット27は針管3の内部の先端近傍に配置された状態である。なお、生検対象でない組織が針管3の内部に入り込んだ場合は、スタイレット27を針管先端から突き出すことにより、生検対象でない組織を針管の外に排出することが可能である。
術者は、組織の内部に差し込まれた針管3の先端側部分の位置情報を、超音波走査機構104によって取得することができる。そのため、術者は、超音波走査機構104において取得された針管3の先端側部分の像を示す超音波画像を図1に示す超音波観察部115によって観察することができる。超音波観察部115に鮮明に映し出された針管3の先端部分の像を参照し、術者は、針管3の先端(針先5)を、生検を行う対象組織Tに到達させる。
針管3への組織の吸引を行うために、術者は、挿入体2および操作部8からスタイレット27を引き抜く。これにより、針管3の先端から針スライダ23の基端まで延びる貫通孔が生じる。術者は、針スライダ23の基端に配されたポート(不図示)にシリンジ等を接続して針管3内を吸引し、生検を行う対象組織Tの細胞などを針管3の先端から吸引して採取する。より多くの生検組織を獲得するために、針スライダ23を進退させ、対象組織Tの中で針管を細かく動かしても良い。
必要量の細胞などが採取できたら、針スライダ23を操作部8の基端側に後退させることによって針管3を組織から抜くと共に、針管3の先端をシース部7内に収容する。針管3が組織から抜けたら、超音波内視鏡100の操作部109の基端口金107bから取付アダプタ18を外し、穿刺針1をチャンネル107から抜去する。最後に超音波内視鏡100を患者から抜去して一連の処置を終了する。
以上、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上記実施形態において、先端側インナーチューブは、アウターシースの全長のうち、起上台によってアウターシースが湾曲形状に変形されることが想定される領域のみに配されていてもよい。すなわち、先端側インナーチューブは、起上台の基端からアウターシースの先端までの範囲でアウターシースの中心線に沿ってアウターシースの内部に配される。この場合、アウターシースの先端は、取付アダプタ18が内視鏡100に取り付けられたときに、起上台の基端よりも先端側に配置されている。アウターシースの先端は、チャンネル107から突出された状態であっても良い。
上記実施形態において、先端側インナーチューブは、アウターシースの全長のうち、起上台及び能動湾曲部によってアウターシースが湾曲形状に変形されることが想定される領域のみに配されていてもよい。すなわち、先端側インナーチューブは、能動湾曲部の基端からアウターシースの先端までの範囲でアウターシースの中心線に沿ってアウターシースの内部に配される。この場合、アウターシースの先端は、取付アダプタ18が内視鏡100に取り付けられたときに、能動湾曲部の基端よりも先端側に配置されている。
上記実施形態において、超音波内視鏡が起上台を有していない場合には、先端側インナーチューブは、アウターシースの全長のうち、能動湾曲部によってアウターシースが湾曲形状に変形されることが想定される領域のみに配されていてもよい。すなわち、この状態では、先端側インナーチューブは、能動湾曲部の基端からアウターシースの先端までの範囲でアウターシースの中心線に沿ってアウターシースの内部に配される。
超音波内視鏡が起上台に代えて、チャンネル107の中心軸線に対して傾斜した管路状のスロープ部を有しても良い。この場合、アウターシースの先端は、取付アダプタ18が内視鏡100に取り付けられたときに、スロープ部の基端よりも先端側に配置された状態になる。この状態では、先端側インナーチューブは、アウターシースの全長のうち、スロープ部によってアウターシースが偏向されることが想定される領域のみ、又はこの領域を含む範囲に配されていてもよい。すなわち、この状態では、先端側インナーチューブは、スロープ部の基端からアウターシースの先端までの範囲でアウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配される。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態における構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはない。
シース等が小さい曲率半径で湾曲形状に変形された状態であっても針がシース等の内面に刺さりにくく、且つ内視鏡のチャンネルへの挿入が容易な内視鏡用穿刺針及び生検システムを提供できる。
1 内視鏡用穿刺針
3 針管
5 針先
8 操作部
9 操作本体
18 取付アダプタ
23 針スライダ
24 係止構造
71 アウターシース
74A 先端側インナーチューブ
74B 基端側インナーチューブ
100 超音波内視鏡(内視鏡)
105 能動湾曲部(湾曲付与手段)
107 チャンネル
108 起上台(湾曲付与手段)
150 生検システム
本発明の一態様に係る内視鏡用穿刺針は、内視鏡のチャンネルに挿通可能なアウターシースと、針先を有し、前記アウターシースの内部に配置される針管と、前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、前記針管の基端に接続され、前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、を備え、前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている。
本発明の第二の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタをさらに備えてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記チャンネルを湾曲形状に変形させる能動湾曲部の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記能動湾曲部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第三の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタをさらに備えてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記起上台の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第四の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタをさらに備えてもよく、前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の前記チャンネルの中心軸線に対して傾斜した管路状のスロープ部の基端よりも先端側に配置されていてもよく、前記先端側インナーチューブは、前記スロープ部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されていてもよい。
本発明の第五の態様として、第一の態様に係る内視鏡用穿刺針では、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタをさらに備えてもよく、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記アウターシースの先端は、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に位置していてもよく、前記先端側インナーチューブの基端は、前記起上台の基端よりも前記アウターシースの基端側に位置し、且つ、前記基端側インナーチューブの先端は、前記内視鏡の能動湾曲部によって湾曲される前記アウターシースの内部に位置していてもよい。
本発明の第七の態様は、処置具を挿通可能なチャンネルと、前記チャンネル内の処置具を湾曲させる湾曲付与手段と、を備えた内視鏡と、前記内視鏡に取り付け可能な内視鏡用穿刺針と、を備え、前記内視鏡用穿刺針は、前記内視鏡の前記チャンネルに挿通可能なアウターシースと、針先を有し、前記アウターシースの内部に配置される針管と、前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、前記針管の基端に接続され、前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、備え、前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている
本発明の第八の態様は、内視鏡のチャンネルに挿通可能なシースと、針先を有し、前記シースの内部に配置された針管と、前記シースの基端に接続された操作本体と、前記針管の基端に接続され、前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、を備え、前記シースは、前記操作本体に前記針スライダが係止された状態で前記シース内に位置決めされた前記針先の位置よりも先端側に位置する先端領域と、前記針先の位置よりも基端側に位置する基端領域と、を有し、前記先端領域の内周表面は、前記基端領域の内周表面に対して相対的に硬質である内視鏡用穿刺針である。

Claims (7)

  1. 内視鏡のチャンネルに挿通可能でコイル状のアウターシースと、
    前記アウターシースの内部に配置された針先を有する針管と、
    前記アウターシースの基端に接続され、前記針管を前記アウターシースに対して進退操作する操作部と、
    前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、
    前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、を備え、
    前記操作部は、
    前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、
    前記針管の基端に接続されて前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、
    前記操作本体に対して前記針スライダを前記長手軸に沿って最も基端側に移動させたときに、前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、
    を備え、
    前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている
    内視鏡用穿刺針。
  2. 前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有し、
    前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記チャンネルを湾曲形状に変形させる能動湾曲部の基端よりも先端側に配置され、
    前記先端側インナーチューブは、前記能動湾曲部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されている
    請求項1に記載の内視鏡用穿刺針。
  3. 前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有し、
    前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に配置され、
    前記先端側インナーチューブは、前記起上台の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されている
    請求項1に記載の内視鏡用穿刺針。
  4. 前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有し、
    前記アウターシースの先端は、前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、前記内視鏡の前記チャンネルの中心軸線に対して傾斜した管路状のスロープ部の基端よりも先端側に配置され、
    前記先端側インナーチューブは、前記スロープ部の基端から前記アウターシースの先端までの範囲で前記アウターシースの中心線に沿って前記アウターシースの内部に配されている
    請求項1に記載の内視鏡用穿刺針。
  5. 前記操作部は、前記操作本体をスライド自在に支持すると共に前記内視鏡に取り付け可能な取付アダプタを有し、
    前記取付アダプタが前記内視鏡に取り付けられたときに、
    前記アウターシースの先端は、前記内視鏡の起上台の基端よりも先端側に位置し、
    前記先端側インナーチューブの基端は、前記起上台の基端よりも前記アウターシースの基端側に位置し、且つ、前記基端側インナーチューブの先端は、前記内視鏡の能動湾曲部によって湾曲される前記アウターシースの内部に位置している
    請求項1に記載の内視鏡用穿刺針。
  6. 前記先端側インナーチューブの内面のショア硬度が前記基端側インナーチューブの内面のショア硬度よりも高い
    請求項1に記載の内視鏡用穿刺針。
  7. 処置具を挿通可能なチャンネルと、前記チャンネル内の処置具を湾曲させる湾曲付与手段と、を備えた内視鏡と、
    前記内視鏡に取り付け可能な内視鏡用穿刺針と、
    を備え、
    前記内視鏡用穿刺針は、
    前記内視鏡の前記チャンネルに挿通可能でコイル状のアウターシースと、
    前記アウターシースの内部に配置された針先を有する針管と、
    前記アウターシースの基端に接続され、前記針管を前記アウターシースに対して進退操作する操作部と、
    前記アウターシースの基端部の内側に配置された樹脂製の基端側インナーチューブと、
    前記アウターシースの先端部の内側に配置され、前記針管を挿通可能であり、且つ前記基端側インナーチューブよりも相対的に硬質な内周表面を有した樹脂製の先端側インナーチューブと、備え、
    前記操作部は、
    前記アウターシースの基端に接続された操作本体と、
    前記針管の基端に接続されて前記操作本体に対して前記操作本体の長手軸に沿って移動自在に設けられた針スライダと、
    前記操作本体に対して前記針スライダを前記長手軸に沿って最も基端側に移動させたときに前記操作本体に対して前記針スライダが前記操作本体の長手軸方向に係止される係止構造と、
    を備え、
    前記操作本体に対して前記針スライダが係止されたときに、前記針管の先端は、前記先端側インナーチューブの内部に配置されている
    生検システム。
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