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JPWO2015194645A1 - ブリスターパック用吸収層、それを含む積層体、及びそれを用いたブリスターパック - Google Patents

ブリスターパック用吸収層、それを含む積層体、及びそれを用いたブリスターパック Download PDF

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JPWO2015194645A1
JPWO2015194645A1 JP2016529526A JP2016529526A JPWO2015194645A1 JP WO2015194645 A1 JPWO2015194645 A1 JP WO2015194645A1 JP 2016529526 A JP2016529526 A JP 2016529526A JP 2016529526 A JP2016529526 A JP 2016529526A JP WO2015194645 A1 JPWO2015194645 A1 JP WO2015194645A1
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Abstract

ポケットを一定の深さまで形成しても成形不良が発生しない、十分に成形性を与えるブリスターパック用の吸収層を提供することを目的とする。本発明のブリスターパック用の吸収層は、外スキン層;無機吸収剤及びバインダー樹脂を有する中間層;並びに高密度ポリエチレン及びポリプロピレン系樹脂を有する内スキン層をこの順で含み、かつ以下の(a)〜(c)の少なくとも1つの条件を満たす:(a)前記内スキン層が、3〜70重量%の高密度ポリエチレン、及び97〜30重量%のポリプロピレン系樹脂を含むこと;(b)ISO4287に準拠して測定した場合の前記内スキン層の前記中間層と反対側の面の算術平均粗さRaが、0.40μm以上であること;及び(c)ISO8295に準拠して測定した場合の超高分子量ポリエチレンとの前記内スキン層の動摩擦係数が、0.200以下であること。

Description

本発明は、ブリスターパック用の吸収層、それを含む積層体、及びその積層体を用いたブリスターパックに関する。特に、本発明は、大きな薬剤等を包装するために深さのあるポケット部を形成しても成形不良を発生させないブリスターパック用の吸収層、それを含む積層体、及びその積層体を用いたブリスターパックに関する。
粉状の薬剤は、薄手の紙袋又はフィルム製袋等に封入されるが、錠剤又はカプセル剤等の薬剤は、PTP(プレススルーパック)と呼ばれるブリスターパックに封入される。ブリスターパックに封入されている薬剤を指で押し込むことによって、シート状の蓋材を破り、そして薬剤を取り出すことができる。
薬剤は水分を吸収することで、薬効成分が変質することがある。そのため、従来は、ブリスターパックを封入する外装袋内にシリカゲル等の乾燥剤を封入していた。しかし、外装袋内に乾燥剤を投入する作業は手間がかかり、またこれを誤飲又は誤食される恐れもあった。また、外装袋の開封後は、ブリスターパック内を低湿度に保つことができず、薬剤の劣化が進行する問題もあった。さらに薬剤によっては、酸化分解しやすいもの、特有の臭気を発するもの等があるので、ブリスターパック内の酸素、臭気等のガスを吸収したいという要望もある。
それに対し、特許文献1は、ブリスターパックの内部に吸収剤を有する吸収層を形成することによって、薬剤の長期安定性を向上させる技術を開示している。ここではまず、バリア層である基材と吸収層との積層体に、ドーム状のポケット部分を形成する。そして、そのポケット部分に錠剤である薬剤を入れて、これを蓋材で封止している。この技術によれば、外装袋に乾燥剤等を同梱しなくても、乾燥状態の維持、酸化の防止、及び臭気の効率的な除去が可能となると考えられる。
また、薬剤の中には、紫外線に弱いものもあり、包装容器が透明であると、薬効成分が劣化するおそれがある。これに対して、特許文献1ではさらに、ブリスターパックの裏側の蓋材だけではなく、表側のブリスターパック用積層体にもアルミニウム層を形成する技術、いわゆるアルミブリスター包装を開示している。この技術によれば、ブリスターパックにアルミニウム層を形成するので薬剤は視認できないが、紫外線を遮断し、バリア性をさらに高めることができる。
上記の2つの技術を単純に組み合わせた態様では、ブリスターパック用積層体にドーム状のポケットを成形する際に、ドームの天井部分が破れたり、裾の部分又は肩の部分に亀裂が発生したりする成形上の問題が発生するが、特許文献2はこれに対処するために、特定のポリマーを用いた補強層を、アルミニウム層と吸収層との間に挿入している。この態様では、成形性にかなりの改善があるものの、成形機の型又は成形深さによっては、ポケットの肩の部分が裂けたり、ピンホールが発生したりする場合があった。
国際公開第2006/115264号 国際公開第2012/029323号
そこで、本発明は、ポケットを一定の深さまで形成しても成形不良が発生しない、十分に成形性を与えるブリスターパック用の吸収層、及びそれを含む積層体、並びにその積層体を用いたブリスターパックを提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
[1] 外スキン層;
無機吸収剤及びバインダー樹脂を有する中間層;並びに
高密度ポリエチレン及びポリプロピレン系樹脂を有する内スキン層
をこの順で含み、かつ以下の(a)〜(c)の少なくとも1つの条件を満たすブリスターパック用の吸収層:
(a)前記内スキン層が、3〜70重量%の高密度ポリエチレン、及び97〜30重量%のポリプロピレン系樹脂を含むこと;
(b)ISO4287に準拠して測定した場合の前記内スキン層の前記中間層と反対側の面の算術平均粗さRaが、0.40μm以上であること;及び
(c)ISO8295に準拠して測定した場合の超高分子量ポリエチレンとの前記内スキン層の動摩擦係数が、0.200以下であること。
[2] 前記(a)の条件を満たす、[1]に記載の吸収層。
[3] 前記内スキン層が、25〜50重量%の高密度ポリエチレン、及び75〜50重量%のポリプロピレン系樹脂を含む、[2]に記載の吸収層。
[4] 前記(b)の条件を満たす、[1]に記載の吸収層。
[5] 前記(c)の条件を満たす、[1]に記載の吸収層。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の吸収層、及び前記吸収層の前記外スキン層側の基材層を有する、ブリスターパック用積層体。
[7] アルミニウム層を、前記基材層と前記吸収層との間にさらに有する、[6]に記載のブリスターパック用積層体。
[8] 補強層を、前記アルミニウム層と前記吸収層との間にさらに有する、[7]に記載のブリスターパック用積層体。
[9] [6]〜[8]のいずれか一項に記載の積層体、並びに樹脂層及び前記アルミニウム層とは別のアルミニウム層を有する蓋材を含み、前記積層体と前記蓋材とが少なくとも部分的に接着されており、かつ前記積層体にポケット部が形成されて前記積層体と前記蓋材との間に内容物が収納可能になっている、ブリスターパック。
[10] [9]に記載のブリスターパックと、前記ポケット部に収納された内容物とを有するブリスターパック包装体。
本発明によれば、深さのあるポケットを有する吸収層付きブリスターパックを、成形不良の発生を最小限にして生産することができる。このようなブリスターパックを用いることによって、比較的大きな内容物を長期間安定した状態で保管することができる。
吸収層付きのブリスターパックの概略図である。 本発明のブリスターパックの層構造の概略図である。 実施例の各例の表面粗さ(算術平均粗さRa)を示す図である。 実施例の各例のすべり性(動摩擦係数)を示す図である。 実施例の各例の最大押込み深さを示す図である。
<ブリスターパック用吸収層>
本発明のブリスターパック用吸収層は、外スキン層、無機吸収剤及びバインダー樹脂を含む中間層、並びに内スキン層をこの順で含む。中間層に含まれる無機吸収剤が使用中に脱離することを防止し、また吸収層を製造しやすくなることから、上下のスキン層でサンドイッチして用いられる。ここで、外スキン層は、ブリスターパックの内容物を入れる側とは反対側(外側)に用いられる層であり、内スキン層は、内容物を入れる側(内側)に用いられる層である。
図1で示されるように、本発明のブリスターパック用吸収層4は、本発明のブリスターパック1において、基材層2、及びアルミニウム層3と積層して用いることができる。また、図2で示されるように、本発明のブリスターパック用吸収層4は、外スキン層41、中間層42、及び内スキン層43を有する。
外スキン層、中間層、及び内スキン層を含む吸収層を、インフレーション法によって製造することができる。これは複数の押出機によって同時に複数の樹脂をチューブ状に押出して、この中に空気を送って膨らませて、多層フィルムを製造する方法である。吸収層の中間層をインフレーション法、Tダイ法、共押出等の押出成形又は射出成形することにより、フィルム状又はシート状に形成し、外スキン層及び内スキン層を、公知の方法でフィルム化した後に、中間層を挟んでラミネートすることによって、吸収層を製造することもできる。
ブリスターパックのポケット部を成形する際の成形方法としては、平板式空圧成形法、プラグアシスト圧空成形法、ドラム式真空成型法、プラグ成形法等が挙げられる。この中でも、粘度平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂の先端部が丸い円柱状の棒(プラグ材)を用いたプラグ成形法が、ポケットを形成するためには好ましい。しかし、この方法において深いポケットを形成しようとすると、ドーム状のポケット部の肩の部分又はすその部分に亀裂が発生することがある。
本発明者らは、プラグ材とプラグ材が接触する積層体の吸収層の内スキン層との摩擦が大きい場合には、ポケット部を成形する際に、ブリスターパック用積層体に高い確率で亀裂が発生することを見出した。すなわち、プラグ材と内スキン層との摩擦が大きい場合、プラグ材と内スキン層との接触部分のみが大きく引き伸ばされ、その箇所で積層体に大きな引っ張り応力が発生し、亀裂が発生すると考えられる。
そこで本発明者らは、吸収層の内スキン層の表面をプラグ材と滑りやすくすることによって、プラグ材を内スキン層に押し込めた際に、押し込み面全体にできるだけ均一にひずみを与えるようにし、上記の本発明に至った。
(内スキン層)
内スキン層は、高密度ポリエチレン及びポリプロピレン系樹脂を含み、かつ次の(a)〜(c)の少なくとも1つの条件を満たす:
(a)3〜70重量%の高密度ポリエチレン、及び97〜30重量%のポリプロピレン系樹脂を含むこと;
(b)ISO4287に準拠して測定した場合の中間層と反対側の面の算術平均粗さRaが、0.40μm以上であること;及び
(c)ISO8295に準拠して測定した場合の超高分子量ポリエチレンとの動摩擦係数が、0.200以下であること。
内スキン層が、上記のいずれか1つ以上[1]の条件を満たす場合には、深さのあるポケットを有する吸収層付きブリスターパックを、成形不良の発生を最小限にして生産することができる。
本明細書において高密度ポリエチレンとは、JIS K6922−1に準拠して測定した密度が920kg/m以上のポリエチレンをいい、これは一般に繰返し単位のエチレンが分岐をほとんど持たずに直鎖状に結合している結晶性ポリエチレンである。好ましい高密度ポリエチレンは、JIS K6922−1に準拠して測定した密度が942kg/m以上である。本発明で用いられる高密度ポリエチレンは、JIS K6922−1に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.05〜30g/10minの範囲でよく、好ましくは0.10〜10.0g/10minの範囲であり、より好ましくは0.20〜5.0g/5minの範囲であり、さらに好ましくは0.50〜3.0g/10minの範囲である。
本明細書においてポリプロピレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にプロピレン基の繰返し単位を、30mol%以上、40mol%以上、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂であり、例えば、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5〜100g/10minの範囲でよく、好ましくは1.5〜50g/10minの範囲であり、より好ましくは3.0〜20g/10minの範囲であり、さらに好ましくは5.0〜15g/10minの範囲である。
上記(a)の条件について、3〜70重量%の高密度ポリエチレン、及び97〜30重量%のポリプロピレン系樹脂を内スキン層に含めることによって、内スキン層に適度な弾性を与えながら内スキン層とプラグ材との摩擦を低減させることができる。好ましくは、内スキン層は、5〜65重量%の高密度ポリエチレン及び95〜35重量%のポリプロピレン系樹脂を含み、最も好ましくは、25〜50重量%の高密度ポリエチレン及び75〜50重量%のポリプロピレン系樹脂を含む。
上記(b)の条件について、ISO4287に準拠して測定した場合の内スキン層の中間層と反対側の面の算術平均粗さRaは、0.40μm以上、好ましくは0.45μm以上、より好ましくは0.50μm以上、さらに好ましくは0.55μm以上である。表面粗さが大きい場合には、内スキン層とプラグ材との接触面積が小さくなることで、プラグ材との摩擦が小さくなり、プラグ材と内スキン層との接触部分の局所的なひずみが発生しにくくなる。他層との接着性の観点から、算術表面粗さRaは、好ましくは1.50μm以下であり、より好ましくは1.30μm以下であり、さらに好ましくは1.00μm以下である。
上記(c)の条件について、ISO8295に準拠して測定した場合の超高分子量ポリエチレンと内スキン層との動摩擦係数(μD)は、0.200以下、好ましくは0.190以下、より好ましくは0.185以下、さらに好ましくは0.180以下、最も好ましくは0.175以下である。ここで、超高分子量ポリエチレンとは、JIS K7367−3:1999に基づいて測定した粘度平均分子量が100万以上のポリエチレンであり、特に分子量550万の超高分子量ポリエチレン樹脂(製品名:ニューライト(商標)NL−W、作新工業株式会社製)である。これは、ブリスターパックのポケット部分を成形する際に用いるプラグ材に通常用いられる超高分子量ポリエチレンと同じとするためである。動摩擦係数が小さい場合には、ポケット部形成中にプラグ材と内スキン層との滑りが良くなり、プラグ材と内スキン層との接触部分の局所的なひずみが発生しにくくなる。
内スキン層は、高密度ポリエチレン及びポリプロピレン系樹脂を含むが、上記の条件を満たす範囲内で、さらに他の樹脂を含むことができる。さらに用いることができる樹脂としては、その他のポリエチレン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、内スキン層は、内スキン層が接触する中間層と、蓋材の内スキン層側の表面にある樹脂層と同じ樹脂を含み、それによりこれらの層との接着性を高める。
なお、本明細書においてポリエチレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にエチレン基の繰返し単位を、30mol%以上、40mol%以上、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂であり、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性エチレンビニルアセテート共重合体、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される。
内スキン層の厚みは、5μm以上、10μm以上、又は20μm以上であることが好ましく、100μm以下、70μm以下、50μm以下、又は40μm以下であることが好ましい。
(外スキン層)
外スキン層を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。この中でも特に、LLDPEとランダムPPとを組み合わせた樹脂が、フィルムに適度な弾性を与える点で好適である。好ましくは、外スキン層は、中間層と同じ樹脂を含み、それにより中間層との接着性を高める。
外スキン層の厚みは、適度な成形性及び弾性を得る観点から、5μm以上、10μm以上、又は20μm以上であることが好ましく、100μm以下、70μm以下、50μm以下、又は40μm以下であることが好ましい。
(中間層)
中間層には、バインダー樹脂に無機吸収剤が分散されている。中間層は、ブリスターパック内の水分及び有機成分等を吸収する吸収層として機能する。
中間層に用いることができる無機吸収剤としては、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等の化学吸着剤、及び酸化アルミニウム、生石灰、シリカゲル、無機の分子篩等の物理吸着剤を挙げることができる。無機の分子篩の例としては、限定されないが、アルミノケイ酸塩鉱物、クレー、多孔質ガラス、微細孔性活性炭、ゼオライト、活性炭、又は水等の小分子を拡散させることが可能な開口構造をもつ化合物を挙げることができる。このような無機吸収剤は、低湿度領域でも高い吸湿性を得ることができ、ブリスターパック内部にわずかに含まれる湿分を吸収するには、このような相対湿度の低い環境下であっても高い吸収性を発揮できる吸収剤を用いることが特に好ましい。
ゼオライトとしては、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライト等を使用することができる。ゼオライトは、分子の大きさの違いによって物質を分離するのに用いられる多孔質の粒状物質であり、均一な細孔をもつ構造であって、細孔の空洞に入る小さな分子を吸収して一種の篩の作用を有するため、水(蒸気、水蒸気)、有機ガス等を吸収することができる。合成ゼオライトの一例としてはモレキュラーシーブがあり、この中でも特に細孔(吸収口)径が0.3nm〜1nmのモレキュラーシーブを使用することができる。通常、細孔径が0.3nm、0.4nm、0.5nm、1nmのモレキュラーシーブを、それぞれモレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13Xと称する。モレキュラーシーブの平均粒子径(レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)は、例えば10μm前後のものが用いられる。本発明では、吸収する目的物や内容物の性質等に合わせて、これらのゼオライトを適宜使い分けることができる。
また、特ににおいを吸収する場合、有機ガスが原因物質であることが多いため、疎水性ゼオライトを用いることが好ましい。疎水性ゼオライトとは、ゼオライトの結晶骨格内のアルミニウム原子を脱アルミニウム処理して減少させ、シリカアルミナ比を高めて、いわゆるハイシリカゼオライトとしたものを総称する。疎水性ゼオライトは、水等の極性物質に対する親和性を失い、非極性物質をより強く吸収するゼオライトであり、有機ガス等をより吸収しやすくなっている。疎水性ゼオライトの一例である疎水性のモレキュラーシーブとしては、細孔径0.6〜0.9nmのものを使用することができ、Abscents1000、Abscents2000、Abscents3000(以上ユニオン昭和株式会社製)等が挙げられる。細孔径は、X線回折法による構造解析で確認することができる。また、疎水性ゼオライトの平均粒径(レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)は、例えば3〜5μmのものが用いられる。
無機吸収剤は、吸収能力の観点から、中間層の重量に対して、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、又は50重量%以上の範囲で中間層に含まれることができ、またバインダー樹脂への分散性及び成形性の観点から90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下の範囲で中間層に含まれることができる。
また、無機吸収剤を、5体積%以上、10体積%以上、20体積%以上、又は30体積%以上とすることができ、70.0体積%以下、65体積%以下、60体積%以下、55体積%以下、又は50体積%以下とすることができる。
なお、層中に含まれる無機吸収剤の体積%を計算する場合に、無機吸収剤の比重が不明確な場合には、その層の比重を測定によって求め、その測定値と、無機吸収剤及び熱可塑性樹脂の添加重量と、熱可塑性樹脂の比重から無機吸収剤の体積%を求めてもよい。例えば、無機吸収剤50gと、比重0.9g/cmの熱可塑性樹脂50gとを用いて成形した層の比重が1.1g/cmであった場合には、その層に含まれている無機吸収剤は、比重が1.41g/cmと計算することができ、その層中で38.9体積%存在しているといえる。
無機吸収剤は、内スキン層及び/又は外スキン層に含まれていてもよいが、それらの層の成形性、他の層との貼り合せの容易性等を考慮して、40体積%以下、30体積%以下、28.8体積%以下、20体積%以下、10体積%以下、又は5体積%以下であることが好ましい。
中間層に用いることができるバインダー樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、アイオノマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
中間層の厚みは、吸収能力、成形性、及び弾性の観点から、20μm以上、30μm以上、又は40μm以上であることが好ましく、500μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であることが好ましい。
<ブリスターパック用積層体>
本発明のブリスターパック用積層体は、上記の吸収層、及び上記の吸収層の外スキン層側の基材層を有する。好ましくは、本発明のブリスターパック用積層体は、吸収層と基材層との間にアルミニウム層を有する。また、このアルミニウム層と吸収層との間に補強層を有してもよい。また、基材層、アルミニウム層、補強層、及び吸収層のいずれか二層の間に、接着層を有してもよい。
例えば、図1に示すように、本発明のブリスターパック用積層体10は、基材層2、アルミニウム層3、及び吸収層4を有する。
基材層、アルミニウム層、補強層、及び吸収層のいずれか二層を貼り合せる方法としては、ドライラミネート、押出ラミネートなど、公知のラミネート方法を用いることができる。
(基材層)
基材層に用いられる樹脂としては、ブリスターパック用積層体に適度な成形性を与える樹脂であれば特に制限されない。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、飽和又は不飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、及びポリアミド(例えば、ナイロン(登録商標)、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6)、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、外部からの水分や酸素等の浸入を防ぎ、防湿性に優れているものがよく、特にポリプロピレン系樹脂、ポリアミド及びポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
基材層の厚みは、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上が好ましくは、また300μm以下、200μm以下、又は100μm以下が好ましい。
(アルミニウム層)
アルミニウム層は、バリア性を付与するために用いられる。これは、純アルミニウム系のアルミニウム箔であってもよく、アルミニウム合金系のアルミニウム箔であってもよい。ブリスターパック用積層体に適切な成形性及び弾性を与えるために、アルミニウム層の厚みは、好ましくは7μm以上、10μm以上、又は20μm以上であり、また60μm以下、50μm以下、又は40μm以下である。
(補強層)
補強層は、ブリスターパック用積層体の成形性を向上させるために用いられる。これは、ポリ塩化ビニル、飽和又は不飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド及びこれらの混合物から構成されていてもよい。補強層の厚みは、好ましくは15μm以上、又は25μm以上であり、また60μm以下、又は50μm以下である。本発明において補強層は、上記の特許文献3に記載のような補強層を用いることができる。
本発明のブリスターパック用積層体は、基材層、アルミニウム層、補強層、及び吸収層のいずれか二層の間に、印刷層や、2層間の接着を高めるためのアンカーコート層、プライマー層を有してもよい。
<ブリスターパック、及びブリスターパック包装体>
本発明のブリスターパックは、上記のブリスターパック用積層体、及び蓋材を有する。積層体と蓋材は、少なくとも部分的に接着し、特に上記のブリスターパック用積層体の2つの最外層が基材層及び吸収層の内スキン層である場合、蓋材は、内スキン層と接着する。ブリスターパック用積層体に、内容物を収納するためのポケット部の成形をした後に内容物をポケット部に収容し、蓋材を接着させて、ブリスターパックのポケット部に内容物を収納したブリスターパック包装体を作製することができる。
(蓋材)
蓋材は、樹脂層を含み、さらに上記のブリスターパック用積層体に含まれることがあるアルミニウム層とは別のアルミニウム層を含む。ここで、「別のアルミニウム層」とは、同一の材質及び厚みであってもよく、すなわち同一のアルミニウム層が、ブリスターパック用積層体と蓋材とにそれぞれ存在していてもよいことを意味している。その樹脂層の樹脂は、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアセテート共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、蓋材は、アルミニウム層に樹脂層がコーティングされた形態である。好ましくは、蓋材の樹脂層と、ブリスターパック用積層体の接着する層(内スキン層)とは、接着性を高める観点から、同じ樹脂を含む。
(内容物)
本発明のブリスターパックの内容物としては、外気との接触によって劣化しうる物であれば限定されるものではなく、薬剤、食品、化粧品、医療機器、電子部品等を挙げることができる。また、薬剤としては、医薬品製剤の他、洗浄剤、農薬等を含む。
図1は、吸収層付きのブリスターパック1の概略図である。ここでは、順に基材層2、アルミニウム層3、及び吸収層4が積層してなるブリスターパック用積層体10に、蓋材5が接着されており、積層体10に形成されたドーム状のポケット部に、内容物100が内包されている。図示していないが、ドライラミネーション法によって積層させた場合、基材層とアルミニウム層との間、アルミニウム層と吸収層との間には、接着剤層が存在する。
図2は、本発明のブリスターパックの層構造の概略図である。この図においては、ブリスターパックの、ポケット部が形成されていない端部を示しており、順に、基材層2、アルミニウム層3、及び吸収層4が積層されてなるブリスターパック用積層体10に、蓋材5が接着されている。吸収層4は、外スキン層41、中間層42、及び内スキン層43から構成され、また蓋材は樹脂層51及びアルミニウム層52から構成される。積層体10には、内容物を収容するためのポケット部が形成される。
<サンプル作成>
実施例1〜4及び比較例1〜5のブリスターパック用積層体を、内スキン層の構成のみを変更して、以下の表1及び表2に記載の構成とした。
Figure 2015194645
Figure 2015194645
吸収層については、まず各層の材料を二軸混練押出機((株)池貝製PCM−30)に投入し、樹脂を加熱溶融しながら混練した後、これをペレット状に押し出して冷却することによって、外スキン層用ペレット、中間層用ペレット、及び内スキン層用ペレットを得た。それぞれのペレットを用いて、インフレーション成形法による共押出成形で吸収層となるフィルムを成膜した。インフレーション成形は、樹脂温度180℃、引取速度13m/minで、三層インフレーション成形機(3SOIB、株式会社プラコー)により行った。
基材層、アルミニウム層、補強層、及び吸収層の外スキン層は、全てドライラミネーション法により積層させた。その際には、接着剤として、主剤(A1143)、硬化剤(A3)、及び酢酸エチルを、それぞれ9:1:10の重量比で含むウレタン系接着剤(タケラック(商標)及びタケネート(商標)、三井化学株式会社)を用いた。なお、各層間の接着剤の塗工量は5g/mで行った。積層後、接着剤を硬化させるため、40℃の環境下で3日間保存してエージングを行った。
<評価1:表面粗さ>
実施例1〜4及び比較例1〜5のブリスターパック用積層体の内スキン層の中間層と反対側の面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を、ISO4287に準拠して、表面粗さ測定機(ET4000AK、株式会社小坂研究所)を用いて測定した。R2μmの針先端、頂角60°、ダイヤモンドの触針を用いた。内スキン層の算術平均粗さRaについての結果を図3に示す。
<評価2:すべり性>
実施例1〜4及び比較例1〜5のブリスターパック用積層体のすべり性(動摩擦係数)を、JIS−K7125に準拠して、摩擦測定機(TR−2、株式会社東洋精機製作所)を用いて測定した。測定速度は、100mm/min、滑り片は、200g(40cm)、対サンプルは成形プラグと同じ材質の超高分子量ポリエチレンフィルム(粘度平均分子量550万、製品名:ニューライトフィルムNL−W 作新工業株式会社)を用いた。内スキン層の動摩擦係数についての結果を図4に示す。
表面粗さ(算術平均粗さRa)及びすべり性(動摩擦係数)を評価すると、HDPEが75重量部未満で含む場合に、表面粗さが大きく、そしてすべり性が高くなっている。また、HDPEの代わりに、LLDPEを含む比較例1及び2では、表面粗さが低く、すべり性も低くなっている。理論に限定されないが、これは、HDPEは密度が高いためにPPとの相溶性が低く、これら配合すると海島構造となって表面が荒れるためと考えられる。
<評価3:成形試験>
実施例1〜4及び比較例1〜5のブリスターパック用積層体に、室温で深さ4.75〜5.75mmの薬剤のポケット部を成形した。成形機は、日本オートマチックマシン株式会社のハイスピード油圧プレス(HYP505H)を用いた。プラグ材質は、粘度平均分子量550万の超高分子量ポリエチレン樹脂(製品名:ニューライト(商標)NL−W、作新工業株式会社)であり、プラグ径は13mm、成形速度は200mm/sとした。
各例について、成形可能な最大押込み深さを評価した。ここで試験は、各例の各深さについて10回ずつ行い、10回全てで成形したポケット部に割れやキズ、凹み等の外観不良が目視で発生していなかった場合を、成形可能な条件とした。試験結果を図5に示す。
従来技術のLLDPE100%の内スキン層を含む積層体(比較例1)は、最大押込み深さは4.75mmと低い値となっている。また、LLDPE及びPPからなる内スキン層を含む積層体(比較例2)でも、ポケットのドーム形状の肩の部分で割れが生じ、最大押込み深さは4.75mmとなった。これは、天面部分の厚みが薄くなっていないことからも考えると、成形時にプラグと積層体表面のすべりが悪く、肩の部分に過剰な負荷がかかっていると考えられる。一方で、すべり性の高い実施例1〜4の内スキン層を含む積層体では、最大押込み深さは5.50mm以上であった。なお、PP100%の内スキン層を含む積層体(比較例5)はすべり性が良好であったが、成形性は5.00mmと低かった。これは、PPの弾性率がHDPEよりも低いため、成形時に内スキン層が引き伸ばされる力が不均一にアルミニウム層に伝わって割れ等の成形不良が発生したものと考えられる。
本発明の吸収層を用いたブリスターパック用積層体には、深いポケットを成形することができ、それを用いたブリスターパックは、比較的大きな内容物を、長期間安定(変質を抑制)した状態で保管することができる。
1 吸収層付きのブリスターパック包装体
10 ブリスターパック用積層体
2 基材層
3 アルミニウム層
4 吸収層
41 外スキン層
42 中間層
43 スキン層
5 蓋材
51 樹脂層
52 アルミニウム層
100 内容物

Claims (10)

  1. 外スキン層;
    無機吸収剤及びバインダー樹脂を有する中間層;並びに
    高密度ポリエチレン及びポリプロピレン系樹脂を有する内スキン層
    をこの順で含み、かつ以下の(a)〜(c)の少なくとも1つの条件を満たすブリスターパック用の吸収層:
    (a)前記内スキン層が、3〜70重量%の高密度ポリエチレン、及び97〜30重量%のポリプロピレン系樹脂を含むこと;
    (b)ISO4287に準拠して測定した場合の前記内スキン層の前記中間層と反対側の面の算術平均粗さRaが、0.40μm以上であること;及び
    (c)ISO8295に準拠して測定した場合の超高分子量ポリエチレンとの前記内スキン層の動摩擦係数が、0.200以下であること。
  2. 前記(a)の条件を満たす、請求項1に記載の吸収層。
  3. 前記内スキン層が、25〜50重量%の高密度ポリエチレン、及び75〜50重量%のポリプロピレン系樹脂を含む、請求項2に記載の吸収層。
  4. 前記(b)の条件を満たす、請求項1に記載の吸収層。
  5. 前記(c)の条件を満たす、請求項1に記載の吸収層。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収層、及び前記吸収層の前記外スキン層側の基材層を有する、ブリスターパック用積層体。
  7. アルミニウム層を、前記基材層と前記吸収層との間にさらに有する、請求項6に記載のブリスターパック用積層体。
  8. 補強層を、前記アルミニウム層と前記吸収層との間にさらに有する、請求項7に記載のブリスターパック用積層体。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の積層体、並びに樹脂層及び前記アルミニウム層とは別のアルミニウム層を有する蓋材を含み、前記積層体と前記蓋材とが少なくとも部分的に接着されており、かつ前記積層体にポケット部が形成されて前記積層体と前記蓋材との間に内容物が収納可能になっている、ブリスターパック。
  10. 請求項9に記載のブリスターパックと、前記ポケット部に収納された内容物とを有するブリスターパック包装体。
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