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JPWO2002074299A1 - TNFα産生抑制剤 - Google Patents

TNFα産生抑制剤 Download PDF

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一郎 惣中
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Abstract

アミノメタンスルホン酸(塩又はエステルの形態にあるものを含む。)を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。従来から提案されているグリシンに比較して、優れたTNFα産生抑制効果を有することから肝臓疾患用薬剤として期待される。また、上記有効成分の医薬品への使用や、TNFα産生抑制方法、特にこの方法を利用した肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法も提供する。

Description

技術分野
本発明は新規医薬組成物、より詳しくはアミノメタンスルホン酸(塩、エステル等生体内でアミノメタンスルホン酸に変換し得る誘導体の形態にあるものもこの中に含まれる。)を有効成分として含有する医薬組成物、特にTNFα産生抑制剤に関し、肝臓疾患薬等の医薬として使用することができる。更に、本発明はTNFα産生抑制方法、特に肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法や、医薬組成物、好ましくはTNFα産生抑制剤或いは肝臓疾患用薬剤への前記有効成分の使用等にも関する。
従来、TNFα産生抑制作用を利用した薬剤の成分としてグリシンが提案されているが、このグリシンの場合と比較してその効果を著しく改善することができる。
背景技術
これまで、腫瘍壊死因子(TNF)レベルが、生理学的ホメオスタシス及び局所炎症を媒介する範囲を超えて増加する患者の該レベルを減少させるための医薬又は栄養製剤の成分として、グリシン、アラニン及びセリン、中でもグリシンが好ましいものとして提案されている(WO96/25861号公報;特表平11−501301号公報参照。)。しかしながら、その効果が十分ではなく、よりその効果が改善された薬剤の開発が求められている。
発明の目的、課題
本発明の目的は、より優れたTNFα産生抑制剤を開発し、その作用を利用した医薬(肝臓疾患薬等)として使用することにある。
発明の開示
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果アミノメタンスルホン酸がTNFα産生抑制効果に極めて優れていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
即ち、本発明はアミノメタンスルホン酸を有効成分として含有することに特徴を有する医薬組成物に存する。アミノメタンスルホン酸は後述の如く塩、エステル等各種誘導体の形態でもよい。
医薬として使用する場合、優れたTNFα産生抑制作用を利用するのでTNFα産生抑制剤として使用することができる。特に、肝臓疾患薬として好適である。
本発明に使用する前記有効成分はアミノメタンスルホン酸であり、この中に塩、エステル等生体内、特にヒトの生体内でアミノメタンスルホン酸に変換し得る誘導体の形態にあるものも含まれる。エステル体は下記一般式(1)で示すことができる。
N−CH−SOR (1)
上記式中、Rは生体内、特にヒトの体内で水素原子に変換し得るエステルを構成する置換基を表すことができる。このような置換基として好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基を表すことができる。
一方、上記塩(スルホン酸塩)は生体内、特にヒトの体内で遊離体に変換し得る塩であればよく、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩(メチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン等アミンとの塩を含む。)等を挙げることができる。
更に、本発明の医薬組成物には前記有効成分を含むことを必須要件とするが、TNFα産生抑制作用を求めるという本発明の効果を阻害しない限り、薬剤の成分として更に別の有効成分を混合又は組み合わせて使用することができる。また、製剤の調製においては製剤の調製上必要な添加剤成分を適宜選択使用することができる。
本発明は、別の形態として、アミノメタンスルホン酸を生体内に投与することに特徴を有するTNFα産生抑制方法、或いはアミノメタンスルホン酸を生体内に投与することに特徴を有する肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法(以上、何れもアミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。)に存する。
当該投与の形態として、前記本発明の医薬組成物の形態にあるものを採用することができる。
本発明は、更に別の形態として、アミノメタンスルホン酸の医薬組成物、特にTNFα産生抑制剤、肝臓疾患用薬剤等への使用にも存する(アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。)。
当該医薬組成物については、前記説明の通りである。
実施の形態
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の医薬組成物はTNFα産生抑制作用を使用する薬剤(TNFα産生抑制剤)として好ましく使用される。肝臓疾患、例えばアルコール性、ウイルス性、薬剤性の肝炎、肝繊維化、肝硬変、劇症肝炎等、炎症性腸疾患、膵炎、関節炎、動脈硬化、敗血症、虚血再潅流障害等の予防、改善及び/又は治療に好適である。特に、肝臓疾患用の予防、改善及び/又は治療に有用である。
本発明で使用する有効成分であるアミノメタンスルホン酸は既知化合物であり容易に調製することができるが、市場から購入(東京化成工業(株)等。)使用するのが簡便である。
アミノメタンスルホン酸をエステル又は塩の形態で使用する場合、エステル体或いは塩を形成するにはスルホン酸からスルホン酸エステルを調製する公知技術を利用して、またアルカリを添加する造塩工程を利用して目的のエステル又は塩を容易に調製することができる。
有効成分を、例えば肝臓疾患薬として使用する場合、製剤の形態には特に制限は無く、経口剤でも非経口剤(注射剤等。)でもよい。
有効成分の用量については、例えば、患者の症状,や剤形等にもよるが、アミノメタンスルホン酸(顆粒剤)の場合、例えば肝臓疾患の患者に対し1日当たり好ましくは1mg〜10g程度、より好ましくは10mg〜5g程度、更に好ましくは100mg〜1g程度使用することができる。静脈用の注射剤として使用する場合、前記経口用製剤に使用する場合の前記有効成分の二十分の一〜二分の一程度の使用量で十分である。
本発明に使用する必須の有効成分(前記アミノメタンスルホン酸)を少なくとも含む製剤の形態で患者に投与することができるが、前述の如くこの有効成分以外に薬剤成分を含有又は組み合わせてTNFα産生抑制効果を発揮する医薬組成物として使用することができ、その場合も当然本発明に含まれる。
製剤の調製については、薬理学的に許容し得る各種の製剤用物質(補助剤等として)を含むこともできる。製剤用物質は製剤の剤形により適宜選択することができる。例えば、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤、香辛料、色素、ビタミン等栄養剤、その他製剤に包含させるのに適した他の添加剤等を挙げることができる。更に、製剤用物質を具体的に例示すると、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及びその他の糖類、タルク、牛乳蛋白、ゼラチン、澱粉、セルロース及びその誘導体、動物及び植物油、ポリエチレングリコール、及び溶剤、例えば滅菌水及び一価又は多価アルコール、例えばグリセロールを挙げることができる。
本発明の薬剤(医薬組成物)は様々な医薬製剤の形態、例えば、経口投与、腹腔内投与、経皮的投与、吸入投与等各種の投与形態に調製することができる。本発明に使用する薬剤成分をこれら様々な医薬製剤の形態に調製するためには公知の又は将来開発される方法を適宜採用することができる。
これら様々な医薬製剤の形態として、適当な固形又は溶液状の製剤形態、例えば顆粒、粉剤、被覆錠剤、錠剤、散剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、ジュース、懸濁液、乳濁液、滴下剤、注射用溶液、活性物質の放出を延長する製剤等を挙げることができる。
以上に例示した製剤形態にある本発明の薬剤には、目的とする薬効を奏するに有効な量の前記成分(アミノメタンスルホン酸)少なくともを含有すべきことは当然のことである。
前記の通り本発明は、別の形態として、アミノメタンスルホン酸を生体内に投与することに特徴を有するTNFα産生抑制方法、或いはアミノメタンスルホン酸を生体内に投与することに特徴を有する肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法(以上、何れもアミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。)に、また、本発明は、更に別の形態として、アミノメタンスルホン酸の医薬組成物、特にTNFα産生抑制剤、肝臓疾患用薬剤等への使用にも存する(アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。)。
これらの発明については、何れも前記本発明の医薬組成物についての説明や後述の実施例等に基づいて、また必要により従来からの公知技術を参考にすることにより、容易に実施をすることができる。
実施例
以下に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
SD系雄性ラット(体重200〜300g)をネンブタール麻酔下にて開腹し、門脈よりコラゲナーゼ溶液を潅流した後肝臓を摘出し、エルトリエータ法にてKupffer細胞を分離した。5×10cells/mlに調整し96wellマイクロプレートに100μ/wellづつまき、E−MEM(Eagle−MEM)+10%FCS(fetal calf serum)にて48時間培養後、実験に供した。LPS(lipopoly saccharide)10μg/mlとアミノメタンスルホン酸(AMS)を0.1〜3mM又はグリシン0.3〜30mMの濃度になるように同時添加し、4時間後の培養上清中のTNF−α産生量をELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)法にて測定した。この結果を図1に示した。
図1の結果から明らかなように、アミノメタンスルホン酸はTNF−αの産生をグリシンよりもかなり強く抑制しており、TNF−αの産生抑制剤として各種医薬への使用が期待できる。
(実施例2)
肝細胞壊死に対するアミノメタンスルホン酸(AMS)の作用
(実験方法)
6週齢のSD系雄性ラット(150g)を導入し、6日間CRF−1(オリエンタル酵母製飼料)と水を供与して予備飼育した後に、一晩絶食して実験に使用する。絶食中は血糖値の低下を防ぐために、10%グルコース水を自由飲水させる。pH値を6.8に調整したD−ガラクトサミン(D−galactosamine;600mg/kg)を30%生理食塩水溶液で腹腔内に投与する。D−ガラクトサミン投与24時間後にエーテル麻酔下で鎖骨下静脈より700μlを採血し、血漿中のAST(aspartate aminotransferase)及びALT(alanine aminotransferase)を富士ドライケム(富士写真フィルム製血液生化学自動測定装置)にて測定する。D−ガラクトサミン投与1時間前に被験薬として、AMSを0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液で経口投与する。
(投与群)
1群:0.3%CMC; n=8;
2群:AMS(1.0g/kg)/0.3%CMC; n=8。
(評価結果)
上記測定の結果を図2及び図3に示す。
この結果から、アミノメタンスルホン酸投与群はD−ガラクトサミン投与24時間後の血漿中AST及びALTの上昇を有意に抑制していることが分かる。
発明の効果
本発明によれば、アミノメタンスルホン酸(塩、エステル等の形態でもよい。)を有効成分として含有するTNFα産生抑制剤を提供し、TNFα産生抑制作用を利用する医薬品(肝臓疾患薬等)に使用することができる。
また、前記有効成分の医薬品への使用や、TNFα産生抑制方法、特にこの方法を利用した肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法も提供する。
従って、本発明は産業上、特に医療、医薬品等の分野において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
[図1]
図1は、実施例1においてTNF−α産生量を測定した結果を図示したものである。
AMS:アミノメタンスルホン酸;Gly;グリシン。
[図2]
図2は、実施例2において得られた血漿中ALTの測定結果を示す。
AMS:アミノメタンスルホン酸;*p<0.05。
[図3]
図3は、実施例2において得られた血漿中ASTの測定結果を示す。
AMS:アミノメタンスルホン酸;*p<0.05。

Claims (12)

  1. アミノメタンスルホン酸を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
    アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。
  2. 当該エステルが下記一般式(1)で示される請求の範囲1記載の医薬組成物。
    N−CH−SOR (1)
    上記式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。
  3. TNFα産生抑制剤である請求の範囲1又は2記載の医薬組成物。
  4. 肝臓疾患用薬剤である請求の範囲1〜3何れか記載の医薬組成物。
  5. 当該塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアンモニウム塩から選択される請求の範囲1記載の医薬組成物。
  6. 溶液の形態、又は顆粒、錠剤及び散剤何れかの形態にある請求の範囲1〜5何れか記載の医薬組成物。
  7. アミノメタンスルホン酸を生体内に投与することを特徴とするTNFα産生抑制方法。
    アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。
  8. アミノメタンスルホン酸を生体内に投与することを特徴とする肝臓疾患の治療、改善及び/又は予防方法。
    アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。
  9. 当該投与の形態が請求の範囲1〜6何れか記載の医薬組成物の形態にある請求の範囲7又は8記載の方法。
  10. アミノメタンスルホン酸の医薬組成物への使用。
    アミノメタンスルホン酸は塩又はエステルの形態でもよい。
  11. 当該医薬組成物がTNFα産生抑制剤又は肝臓疾患用薬剤である請求の範囲10記載の使用。
  12. 当該医薬組成物が請求の範囲1〜6何れか記載の医薬組成物の形態にある請求の範囲10記載の使用。
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