JPWO2002027850A1 - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層が形成されている燃料電池である。この触媒金属層が燃料電極、酸素電極として機能する。触媒金属層は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法のいずれかによりプロトン伝導体膜上に直接形成される。触媒金属層を燃料電極、あるいは酸素電極として機能させることで、電極の厚さを極めて薄くすることができ、その結果、エネルギー密度等の点で電池性能が向上する。
Description
技術分野
本発明は、燃料、例えば水素と酸素の反応により起電力を得る燃料電及びその製造方法に関する。
背景技術
近年、石油等の化石燃料に代り得る代替クリーンエネルギー源が要望されている。この種のエネルギー源として水素ガス燃料が注目されている。
水素は、単位質量あたりに含まれる化学エネルギー量が大きく、また使用に際して有害物質や地球温暖化ガスなどを放出しない等の理由から、クリーンでかつ無尽蔵な理想的なエネルギー源であると言える。
最近、水素エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる燃料電池の開発が盛んに行われており、大規模発電からオンサイトな自家発電、更には電気自動車用の電源等としての応用等が期待されている。
燃料電池は、プロトン伝導体膜を挟んで燃料電極、例えば水素電極と酸素電極を配置し、これら電極に燃料としての水素や酸素を供給することで電池反応を起こし、起電力を得るものであり、その製造に際しては、通常、プロトン伝導体膜、燃料電極、酸素電極を別々に成形し、これらを貼り合わせている。
燃料電極や酸素電極を別々に形成する場合、その取り扱いが難しく、様々な不都合が生じている。例えば、燃料電極や酸素電極の強度を考えた場合、ある程度の厚さ、例えば100μm以上が必要になるが、電極の厚さを厚くすると、反応の効率が低下し、電池性能が低下する。これを回避するために、電極の厚さを薄くすると、自立させて取り扱うことができず、製造歩留まりが大幅に低下する。
発明の開示
本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、製造が容易で電池性能に優れた燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述の目的を達成せんものと、種々の検討を重ねてきた。その結果、触媒金属層を燃料電極あるいは酸素電極として利用可能であることがわかった。
本発明は、このような実験結果に基づいて案出されたものである。すなわち、本発明の燃料電池は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層が形成されてなり、当該触媒金属層が燃料電極及び/又は酸素電極として機能するようにしたものである。
本発明は、触媒金属層を燃料電極、あるいは酸素電極として機能するようにし、これを支持体となるプロトン伝導体膜上に直接形成しているので、燃料電極や酸素電極を個別に取り扱う必要がなく、機械的強度を考慮する必要がない。したがって、燃料電極、酸素電極の厚さを極めて薄くすることができ、その結果、作製される燃料電池においては、電池反応が効率的に行われ、電池性能が向上する。また、エネルギー密度も大幅に向上する。
触媒金属層は、燃料ガス若しくは酸素ガスを供給するための通気孔を有することが好ましい。触媒金属層が、燃料ガス若しくは酸素ガスを供給するための通気孔を有することにより、電極反応が阻害されることがなく、電極反応がより効率的に行われ、電池性能がさらに向上する。
プロトン伝導体膜は、耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、本発明において上記プロトン伝導体膜は、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるものを含んでいることが好ましい。
本発明の製造方法は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法のいずれかにより形成する。
以上のような本発明に係る製造方法によれば、気相成膜法を基礎とした簡易な手法により燃料電池の電極を製造することができる。
本発明の製造方法においては、触媒金属層を形成するより前に、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子を散布し、触媒金属層を形成した後に微粒子を除去して触媒金属層に通気孔を形成することが好ましい。このような方法を用いることにより、触媒金属層に通気孔が確実に形成される。
ここで、本発明の製造方法においては、微粒子の粒径を触媒金属層の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子の粒径を、触媒金属層の厚さよりも大きくることにより、触媒金属層に通気孔がより確実に形成される。
微粒子としては、シリカを好適に用いることができる。この場合には、プロトン伝導体膜の表面に散布されたシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去される。
さらに、微粒子としては、酸化錫も好適に用いることができる。この場合には、プロトン伝導体膜の表面に散布された酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去される。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施例の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を適用した燃料電池及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した燃料電池の構成は、図1に示すように、基本的には、プロトン伝導性を有するプロトン伝導体膜1の両面に、それぞれ触媒金属層2,3が形成されている。触媒金属層2,3を構成する材料としては、例えば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、これらの少なくとも1種を含む合金が挙げられ、例えばスパッタ法によりプロトン伝導体膜1上に直接形成されている。
本発明に係る燃料電池の大きな特徴は、これら触媒金属層2,3をそのまま燃料電極、あるいは酸素電極として利用したことにある。この触媒金属層2,3上には、例えば炭素質材料等からなる燃料電極あるいは酸素電極を別途形成する必要がなく、これら電極の厚さを非常に薄く設定することができる。具体的には、上記触媒金属層2,3の厚さは、10Å〜100Å程度に設定することができる。触媒金属層2,3、すなわち燃料電極や酸素電極を非常に薄くすることができるということは、エネルギー密度の大幅な向上に繋がる。
また、本発明を適用した燃料電池の特徴は、これら触媒金属層2,3が、図2に示すように通気孔4を有することにある。すなわち、この燃料電池は、触媒、プロトン伝導体、反応ガスの3つが接する3相界面に、燃料ガス若しくは酸素ガスを支障なく供給するための通気孔4を有するため、電極反応が阻害されることがなく、電極反応がより効率的に行われ、電池性能がさらに向上したものとされる。
本発明を適用した燃料電池の製造方法の大きな特徴は、触媒金属層2,3を形成するための手法として、スパッタリング法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術のいずれかを使用することにある。触媒金属層2,3を形成する手法として、上述した技術を用いることにより、触媒金属層2,3を簡易に形成することができる。
また、上述した通気孔4を形成する場合には、触媒金属層2,3を形成する前に、図3に示すようにプロトン伝導体膜1の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子5を散布し、触媒金属層2,3を形成した後に上記微粒子5を除去することにより触媒金属層2,3に通気孔4を形成することができる。
ここで、微粒子5の粒径は、触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子5の粒径を触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることにより、触媒金属層2,3に通気孔4を確実に形成することができる。
また、微粒子5は、シリカ又は酸化錫で形成することが好ましいが、通気孔4が確実に形成できるものであれば種々の金属やその酸化物、窒化物などの化合物も用いることができる。
微粒子5の除去には、微粒子の材質に応じた方法が使用することができる。例えば、微粒子5をシリカで形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわちシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
微粒子5を酸化錫で形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわち酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
上記構成の燃料電池では、一方の触媒金属層2を燃料電極とし、ここに例えば水素を供給すると、上記触媒金属層2の触媒作用により、水素がプロトンに変換され、プロトン伝導体膜1中を移動する。このとき、他方の触媒金属層3を酸素電極とし、ここに酸素を供給すると、電池反応が起こり起電力が生ずる。
上記プロトン伝導体膜1は、プロトン伝導性を有するものであれば、任意のものを使用することができる。例えば、セパレータにプロトン伝導性を有する材料を塗布したもの等も使用可能である。
具体的に、このプロトン伝導体膜1に使用可能な材料としては、先ず、パーフルオロスルホン酸樹脂、例えばデュポン社製、商品名 Nafion(R)等のようなプロトン(水素イオン)伝導性の高分子材料を挙げることができる。
また、比較的新しいプロトン伝導体として、H3Mo12PO40・29H2OやSb2O5・5.4H2O等、多くの水和水を持つポリモリブデン酸類や酸化物も使用可能である。
これらの高分子材料や水和化合物は、湿潤状態に置かれると、常温付近で高いプロトン伝導性を示す。すなわち、パーフルオロスルホン酸樹脂を例にとると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高分子マトリックス中に大量に取込まれている水分と結合(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニウムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内をスムーズに移動することができるので、この種のマトリックス材料は常温下でもかなり高いプロトン伝導効果を発揮できる。
あるいは、これらの材料とは伝導機構の全く異なるプロトン伝導体も使用可能である。即ち、YbをドープしたSrCeO3等のペロブスカイト構造を有する複合金属酸化物等である。この種のペロブスカイト構造を有する複合金属酸化物は、水分を移動媒体としなくても、プロトン伝導性を有することが見出されている。この複合金属酸化物においては、プロトンはペロブスカイト構造の骨格を形成している酸素イオン間を単独でチャネリングして伝導されると考えられている。
プロトン伝導体膜1は、触媒金属層2,3をスパッタ法等により直接形成することから、ある程度の耐熱性を有することが好ましく、かかる観点からプロトン伝導性の材料を選択することが好ましい。
スパッタ法においては、基体となるプロトン伝導体膜1の温度が120℃以上になる。例えば、粒状In粒子を混合し、In粒子が溶解した痕跡の有無により温度を把握することができるが、実際、直径が1μmのIn粒子を膜上に載せ、スパッタを行った後にSEM観察したところ、溶融した痕跡が確認された。In粒子の融点は155℃である。
ここで、耐熱性の観点、さらには、加湿が不要である等の利点を有することから、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるプロトン伝導体が好適である。
表1に示すように、かかるプロトン伝導体は、引っ張りせん断強度(1t/cm引っ張り:25μm膜厚時)が120℃以上でも高く、せん断が発生していない。
ここで、「プロトン解離性の基」とは、電離によりプロトン(H+)が離れ得る官能基のことを意味する。
具体的には、プロトン解離性の基として、−OH、−OSO3H、−SO3H、−COOH、−OPO(OH)2等を挙げることができる。
このプロトン伝導体においては、プロトン解離性の基を介してプロトンが移動し、イオン伝導性が発現される。
母体となる炭素質材料には、炭素を主成分とするものであれば任意の材料を使用することができるが、プロトン解離性の基を導入した後に、イオン伝導性が比較的大きく、電子伝導性が低いことが望ましい。
具体的には、炭素原子の集合体である炭素クラスターや、チューブ状炭素質であるいわゆるカーボンナノチューブを含む炭素質材料等を挙げることができる。
炭素クラスターには、種々のものがあり、フラーレンや、フラーレン構造の少なくとも一部に開放端を持つもの、ダイヤモンド構造を持つもの等が好適である。
以下、この炭素クラスターについてさらに詳細に説明する。
クラスターとは通常は、数個から数百個の原子が結合又は凝集して形成されている集合体のことであり、この原子が炭素である場合、この凝集(集合)体によってプロトン伝導性が向上すると同時に、化学的性質を保持して膜強度が十分となり層を形成し易い。また、炭素を主成分とするクラスターとは、炭素原子が、炭素−炭素間結合の種類は問わず数個から数百個結合して形成されている集合体のことである。ただし、必ずしも100%炭素のみで構成されているとは限らず、他原子の混在もあり得る。このような場合も含めて、炭素原子が多数を占める集合体を炭素クラスターと呼ぶこととする。この集合体を図面で説明すると、図4〜図7に示す通りであり、プロトン伝導体の原料としての選択の幅が広いものである。なお、図4〜図7では、プロトン解離性の基は図示を省略している。
ここで、図4に示すものは、炭素原子が多数個集合してなる、球体又は長球、又はこれらに類似する閉じた面構造を有する種々の炭素クラスターである。ここでは、分子状のフラーレンも併せて示す。それに対して、それらの球構造の一部が欠損した炭素クラスターを図5に種々示す。この場合は、構造中に開放端を有する点が特徴的であり、このような構造体は、アーク放電によるフラーレンの製造過程で副生成物として数多く見られるものである。炭素クラスターの大部分の炭素原子がSP3結合していると、図6に示すようなダイヤモンドの構造を持つ種々のクラスターとなる。
図7は、クラスター同士が結合した場合を種々示すものであり、このような構造体でも、本発明に適用できる。
プロトン解離性の基を有する炭素質材料を主成分として含有するプロトン伝導体は、乾燥状態でもプロトンが前記基から解離し易く、しかもこのプロトンは常温を含む広い温度域である少なくとも約160℃〜−40℃の範囲に亘って高伝導性を発揮することが可能である。前述のようにこのプロトン伝導体は、乾燥状態でも十分なプロトン伝導性を示すが、水分が存在していてもよい。この水分は、外部から浸入したものでもよい。
本発明においては、上記のような材料からなるプロトン伝導体膜1上に、触媒金属層2,3を直接形成する。
触媒金蔵層2,3を形成するための手法としては、スパッタ法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術を使用することができる。
以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。すなわち、本発明を適用して燃料電池を作製し、発電試験を行うことによりその特性を評価した。
<実施例1>
まず、硫酸水素エステル化フラレノールとポリビニルアルコールをバインダーとして含む厚さ0.1μmのプロトン伝導体膜を作製した。
次いで、このプロトン伝導体膜を、5インチ径の白金ターゲットを有するDCスパッタリング装置CCS1200(商品名、TOKUDA社製)の反応室中に配置し、反応室中の圧力を10Pa以下まで脱気した。そして、反応室中にアルゴンガスを導入して反応室中の圧力を1.33×104Paとし、白金をターゲットとして100Wの出力でRFスパッタリングを行い、プロトン伝導体膜の両主面上に厚み10nmの白金膜を成膜した。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して発電試験を行った。
上述した発電試験を行った結果、実施例1の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて40mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例1の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、良好な出力が得られることが確認された。すなわち、プロトン伝導体膜の両主面上に触媒金属層として白金膜を形成し、一方の白金膜を燃料電極、他方の白金膜を酸素電極とすることにより良好な出力を有する燃料電池を実現できるといえる。
<実施例2>
実施例2では、実施例1で作製したプロトン伝導体膜の両主面上に、平均粒径50nmのシリカ粉末を1cm2当たり0.1mgの割合で散布した。
次いで、シリカ粉末を散布したプロトン伝導体膜の両主面上に、実施例1と同様にRFスパッタリング装置を用いて厚み10nmの白金膜を成膜した。その後、白金膜を形成したプロトン伝導体膜をフッ酸を含む溶液で処理することにより、シリカ粉末を除去した。これにより、白金膜の表面には、後述する水素ガス又は酸素ガスを確実に供給するための通気孔が形成されている。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して上記と同様にして発電試験を行った。
発電試験を行った結果、実施例2の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて61mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例2の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、実施例1の燃料電池よりもさらに良好な出力が得られることが確認された。すなわち、白金膜の表面に通気孔を形成することにより、燃料電池の出力をさらに向上させることができるといえる。
<実施例3>
実施例3では、実施例1で作製したプロトン伝導体膜上の両主面上に、平均粒径100nmの酸化錫粉末を1cm2当たり0.1mgの割合で散布した。
次いで、酸化錫粉末を散布したプロトン伝導体膜の両主面上に、実施例1と同様にRFスパッタリング装置を用いて厚み10nmの白金膜を成膜した。その後、白金膜を形成したプロトン伝導体膜に対して、塩素ガスを用いたエッチングを施すことにより酸化錫粉末を除去した。これにより、白金膜の表面には、後述する水素ガス又は酸素ガスを確実に供給するための通気孔が形成されている。
以上のようにして両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して上記と同様にして発電試験を行った。
発電試験を行った結果、実施例3の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて58mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例3の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、実施例1の燃料電池よりもさらに良好な出力が得られることが確認された。すなわち、白金膜の表面に通気孔を形成することにより、燃料電池の出力をさらに向上させることができるといえる。
産業上の利用可能性
本発明は、触媒金属層を燃料電極や酸素電極として機能させているので、厚さを非常に薄くすることができ、エネルギー密度等の電池性能に優れた燃料電池を提供することが可能である。
また、本発明の製造方法においては、触媒金属層をプロトン伝導体膜上に直接形成しており、燃料電極や酸素電極を個別に取り扱う必要がないため、煩雑な作業が不要であり、製造歩留まりを大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、燃料電池の基本構成を示す概略断面図である。
図2は、燃料電池の電極の要部を示す概略断面図である。
図3は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子を散布した状態を示す概略断面図である。
図4は、炭素クラスターの種々の例を示す模式図である。
図5は、炭素クラスターの他の例である部分フラーレン構造を示す模式図である。
図6は、炭素クラスターの更に他の例であるダイヤモンド構造を示す模式図である。
図7は、炭素クラスターの更に他の例であるクラスター同士が結合しているものを示す模式図である。
本発明は、燃料、例えば水素と酸素の反応により起電力を得る燃料電及びその製造方法に関する。
背景技術
近年、石油等の化石燃料に代り得る代替クリーンエネルギー源が要望されている。この種のエネルギー源として水素ガス燃料が注目されている。
水素は、単位質量あたりに含まれる化学エネルギー量が大きく、また使用に際して有害物質や地球温暖化ガスなどを放出しない等の理由から、クリーンでかつ無尽蔵な理想的なエネルギー源であると言える。
最近、水素エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる燃料電池の開発が盛んに行われており、大規模発電からオンサイトな自家発電、更には電気自動車用の電源等としての応用等が期待されている。
燃料電池は、プロトン伝導体膜を挟んで燃料電極、例えば水素電極と酸素電極を配置し、これら電極に燃料としての水素や酸素を供給することで電池反応を起こし、起電力を得るものであり、その製造に際しては、通常、プロトン伝導体膜、燃料電極、酸素電極を別々に成形し、これらを貼り合わせている。
燃料電極や酸素電極を別々に形成する場合、その取り扱いが難しく、様々な不都合が生じている。例えば、燃料電極や酸素電極の強度を考えた場合、ある程度の厚さ、例えば100μm以上が必要になるが、電極の厚さを厚くすると、反応の効率が低下し、電池性能が低下する。これを回避するために、電極の厚さを薄くすると、自立させて取り扱うことができず、製造歩留まりが大幅に低下する。
発明の開示
本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、製造が容易で電池性能に優れた燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述の目的を達成せんものと、種々の検討を重ねてきた。その結果、触媒金属層を燃料電極あるいは酸素電極として利用可能であることがわかった。
本発明は、このような実験結果に基づいて案出されたものである。すなわち、本発明の燃料電池は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層が形成されてなり、当該触媒金属層が燃料電極及び/又は酸素電極として機能するようにしたものである。
本発明は、触媒金属層を燃料電極、あるいは酸素電極として機能するようにし、これを支持体となるプロトン伝導体膜上に直接形成しているので、燃料電極や酸素電極を個別に取り扱う必要がなく、機械的強度を考慮する必要がない。したがって、燃料電極、酸素電極の厚さを極めて薄くすることができ、その結果、作製される燃料電池においては、電池反応が効率的に行われ、電池性能が向上する。また、エネルギー密度も大幅に向上する。
触媒金属層は、燃料ガス若しくは酸素ガスを供給するための通気孔を有することが好ましい。触媒金属層が、燃料ガス若しくは酸素ガスを供給するための通気孔を有することにより、電極反応が阻害されることがなく、電極反応がより効率的に行われ、電池性能がさらに向上する。
プロトン伝導体膜は、耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、本発明において上記プロトン伝導体膜は、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるものを含んでいることが好ましい。
本発明の製造方法は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法のいずれかにより形成する。
以上のような本発明に係る製造方法によれば、気相成膜法を基礎とした簡易な手法により燃料電池の電極を製造することができる。
本発明の製造方法においては、触媒金属層を形成するより前に、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子を散布し、触媒金属層を形成した後に微粒子を除去して触媒金属層に通気孔を形成することが好ましい。このような方法を用いることにより、触媒金属層に通気孔が確実に形成される。
ここで、本発明の製造方法においては、微粒子の粒径を触媒金属層の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子の粒径を、触媒金属層の厚さよりも大きくることにより、触媒金属層に通気孔がより確実に形成される。
微粒子としては、シリカを好適に用いることができる。この場合には、プロトン伝導体膜の表面に散布されたシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去される。
さらに、微粒子としては、酸化錫も好適に用いることができる。この場合には、プロトン伝導体膜の表面に散布された酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去される。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施例の説明から一層明らかにされるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を適用した燃料電池及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した燃料電池の構成は、図1に示すように、基本的には、プロトン伝導性を有するプロトン伝導体膜1の両面に、それぞれ触媒金属層2,3が形成されている。触媒金属層2,3を構成する材料としては、例えば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、これらの少なくとも1種を含む合金が挙げられ、例えばスパッタ法によりプロトン伝導体膜1上に直接形成されている。
本発明に係る燃料電池の大きな特徴は、これら触媒金属層2,3をそのまま燃料電極、あるいは酸素電極として利用したことにある。この触媒金属層2,3上には、例えば炭素質材料等からなる燃料電極あるいは酸素電極を別途形成する必要がなく、これら電極の厚さを非常に薄く設定することができる。具体的には、上記触媒金属層2,3の厚さは、10Å〜100Å程度に設定することができる。触媒金属層2,3、すなわち燃料電極や酸素電極を非常に薄くすることができるということは、エネルギー密度の大幅な向上に繋がる。
また、本発明を適用した燃料電池の特徴は、これら触媒金属層2,3が、図2に示すように通気孔4を有することにある。すなわち、この燃料電池は、触媒、プロトン伝導体、反応ガスの3つが接する3相界面に、燃料ガス若しくは酸素ガスを支障なく供給するための通気孔4を有するため、電極反応が阻害されることがなく、電極反応がより効率的に行われ、電池性能がさらに向上したものとされる。
本発明を適用した燃料電池の製造方法の大きな特徴は、触媒金属層2,3を形成するための手法として、スパッタリング法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術のいずれかを使用することにある。触媒金属層2,3を形成する手法として、上述した技術を用いることにより、触媒金属層2,3を簡易に形成することができる。
また、上述した通気孔4を形成する場合には、触媒金属層2,3を形成する前に、図3に示すようにプロトン伝導体膜1の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子5を散布し、触媒金属層2,3を形成した後に上記微粒子5を除去することにより触媒金属層2,3に通気孔4を形成することができる。
ここで、微粒子5の粒径は、触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子5の粒径を触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることにより、触媒金属層2,3に通気孔4を確実に形成することができる。
また、微粒子5は、シリカ又は酸化錫で形成することが好ましいが、通気孔4が確実に形成できるものであれば種々の金属やその酸化物、窒化物などの化合物も用いることができる。
微粒子5の除去には、微粒子の材質に応じた方法が使用することができる。例えば、微粒子5をシリカで形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわちシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
微粒子5を酸化錫で形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわち酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
上記構成の燃料電池では、一方の触媒金属層2を燃料電極とし、ここに例えば水素を供給すると、上記触媒金属層2の触媒作用により、水素がプロトンに変換され、プロトン伝導体膜1中を移動する。このとき、他方の触媒金属層3を酸素電極とし、ここに酸素を供給すると、電池反応が起こり起電力が生ずる。
上記プロトン伝導体膜1は、プロトン伝導性を有するものであれば、任意のものを使用することができる。例えば、セパレータにプロトン伝導性を有する材料を塗布したもの等も使用可能である。
具体的に、このプロトン伝導体膜1に使用可能な材料としては、先ず、パーフルオロスルホン酸樹脂、例えばデュポン社製、商品名 Nafion(R)等のようなプロトン(水素イオン)伝導性の高分子材料を挙げることができる。
また、比較的新しいプロトン伝導体として、H3Mo12PO40・29H2OやSb2O5・5.4H2O等、多くの水和水を持つポリモリブデン酸類や酸化物も使用可能である。
これらの高分子材料や水和化合物は、湿潤状態に置かれると、常温付近で高いプロトン伝導性を示す。すなわち、パーフルオロスルホン酸樹脂を例にとると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高分子マトリックス中に大量に取込まれている水分と結合(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニウムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内をスムーズに移動することができるので、この種のマトリックス材料は常温下でもかなり高いプロトン伝導効果を発揮できる。
あるいは、これらの材料とは伝導機構の全く異なるプロトン伝導体も使用可能である。即ち、YbをドープしたSrCeO3等のペロブスカイト構造を有する複合金属酸化物等である。この種のペロブスカイト構造を有する複合金属酸化物は、水分を移動媒体としなくても、プロトン伝導性を有することが見出されている。この複合金属酸化物においては、プロトンはペロブスカイト構造の骨格を形成している酸素イオン間を単独でチャネリングして伝導されると考えられている。
プロトン伝導体膜1は、触媒金属層2,3をスパッタ法等により直接形成することから、ある程度の耐熱性を有することが好ましく、かかる観点からプロトン伝導性の材料を選択することが好ましい。
スパッタ法においては、基体となるプロトン伝導体膜1の温度が120℃以上になる。例えば、粒状In粒子を混合し、In粒子が溶解した痕跡の有無により温度を把握することができるが、実際、直径が1μmのIn粒子を膜上に載せ、スパッタを行った後にSEM観察したところ、溶融した痕跡が確認された。In粒子の融点は155℃である。
ここで、耐熱性の観点、さらには、加湿が不要である等の利点を有することから、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるプロトン伝導体が好適である。
表1に示すように、かかるプロトン伝導体は、引っ張りせん断強度(1t/cm引っ張り:25μm膜厚時)が120℃以上でも高く、せん断が発生していない。
ここで、「プロトン解離性の基」とは、電離によりプロトン(H+)が離れ得る官能基のことを意味する。
具体的には、プロトン解離性の基として、−OH、−OSO3H、−SO3H、−COOH、−OPO(OH)2等を挙げることができる。
このプロトン伝導体においては、プロトン解離性の基を介してプロトンが移動し、イオン伝導性が発現される。
母体となる炭素質材料には、炭素を主成分とするものであれば任意の材料を使用することができるが、プロトン解離性の基を導入した後に、イオン伝導性が比較的大きく、電子伝導性が低いことが望ましい。
具体的には、炭素原子の集合体である炭素クラスターや、チューブ状炭素質であるいわゆるカーボンナノチューブを含む炭素質材料等を挙げることができる。
炭素クラスターには、種々のものがあり、フラーレンや、フラーレン構造の少なくとも一部に開放端を持つもの、ダイヤモンド構造を持つもの等が好適である。
以下、この炭素クラスターについてさらに詳細に説明する。
クラスターとは通常は、数個から数百個の原子が結合又は凝集して形成されている集合体のことであり、この原子が炭素である場合、この凝集(集合)体によってプロトン伝導性が向上すると同時に、化学的性質を保持して膜強度が十分となり層を形成し易い。また、炭素を主成分とするクラスターとは、炭素原子が、炭素−炭素間結合の種類は問わず数個から数百個結合して形成されている集合体のことである。ただし、必ずしも100%炭素のみで構成されているとは限らず、他原子の混在もあり得る。このような場合も含めて、炭素原子が多数を占める集合体を炭素クラスターと呼ぶこととする。この集合体を図面で説明すると、図4〜図7に示す通りであり、プロトン伝導体の原料としての選択の幅が広いものである。なお、図4〜図7では、プロトン解離性の基は図示を省略している。
ここで、図4に示すものは、炭素原子が多数個集合してなる、球体又は長球、又はこれらに類似する閉じた面構造を有する種々の炭素クラスターである。ここでは、分子状のフラーレンも併せて示す。それに対して、それらの球構造の一部が欠損した炭素クラスターを図5に種々示す。この場合は、構造中に開放端を有する点が特徴的であり、このような構造体は、アーク放電によるフラーレンの製造過程で副生成物として数多く見られるものである。炭素クラスターの大部分の炭素原子がSP3結合していると、図6に示すようなダイヤモンドの構造を持つ種々のクラスターとなる。
図7は、クラスター同士が結合した場合を種々示すものであり、このような構造体でも、本発明に適用できる。
プロトン解離性の基を有する炭素質材料を主成分として含有するプロトン伝導体は、乾燥状態でもプロトンが前記基から解離し易く、しかもこのプロトンは常温を含む広い温度域である少なくとも約160℃〜−40℃の範囲に亘って高伝導性を発揮することが可能である。前述のようにこのプロトン伝導体は、乾燥状態でも十分なプロトン伝導性を示すが、水分が存在していてもよい。この水分は、外部から浸入したものでもよい。
本発明においては、上記のような材料からなるプロトン伝導体膜1上に、触媒金属層2,3を直接形成する。
触媒金蔵層2,3を形成するための手法としては、スパッタ法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術を使用することができる。
以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。すなわち、本発明を適用して燃料電池を作製し、発電試験を行うことによりその特性を評価した。
<実施例1>
まず、硫酸水素エステル化フラレノールとポリビニルアルコールをバインダーとして含む厚さ0.1μmのプロトン伝導体膜を作製した。
次いで、このプロトン伝導体膜を、5インチ径の白金ターゲットを有するDCスパッタリング装置CCS1200(商品名、TOKUDA社製)の反応室中に配置し、反応室中の圧力を10Pa以下まで脱気した。そして、反応室中にアルゴンガスを導入して反応室中の圧力を1.33×104Paとし、白金をターゲットとして100Wの出力でRFスパッタリングを行い、プロトン伝導体膜の両主面上に厚み10nmの白金膜を成膜した。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して発電試験を行った。
上述した発電試験を行った結果、実施例1の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて40mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例1の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、良好な出力が得られることが確認された。すなわち、プロトン伝導体膜の両主面上に触媒金属層として白金膜を形成し、一方の白金膜を燃料電極、他方の白金膜を酸素電極とすることにより良好な出力を有する燃料電池を実現できるといえる。
<実施例2>
実施例2では、実施例1で作製したプロトン伝導体膜の両主面上に、平均粒径50nmのシリカ粉末を1cm2当たり0.1mgの割合で散布した。
次いで、シリカ粉末を散布したプロトン伝導体膜の両主面上に、実施例1と同様にRFスパッタリング装置を用いて厚み10nmの白金膜を成膜した。その後、白金膜を形成したプロトン伝導体膜をフッ酸を含む溶液で処理することにより、シリカ粉末を除去した。これにより、白金膜の表面には、後述する水素ガス又は酸素ガスを確実に供給するための通気孔が形成されている。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して上記と同様にして発電試験を行った。
発電試験を行った結果、実施例2の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて61mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例2の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、実施例1の燃料電池よりもさらに良好な出力が得られることが確認された。すなわち、白金膜の表面に通気孔を形成することにより、燃料電池の出力をさらに向上させることができるといえる。
<実施例3>
実施例3では、実施例1で作製したプロトン伝導体膜上の両主面上に、平均粒径100nmの酸化錫粉末を1cm2当たり0.1mgの割合で散布した。
次いで、酸化錫粉末を散布したプロトン伝導体膜の両主面上に、実施例1と同様にRFスパッタリング装置を用いて厚み10nmの白金膜を成膜した。その後、白金膜を形成したプロトン伝導体膜に対して、塩素ガスを用いたエッチングを施すことにより酸化錫粉末を除去した。これにより、白金膜の表面には、後述する水素ガス又は酸素ガスを確実に供給するための通気孔が形成されている。
以上のようにして両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して上記と同様にして発電試験を行った。
発電試験を行った結果、実施例3の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて58mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例3の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、実施例1の燃料電池よりもさらに良好な出力が得られることが確認された。すなわち、白金膜の表面に通気孔を形成することにより、燃料電池の出力をさらに向上させることができるといえる。
産業上の利用可能性
本発明は、触媒金属層を燃料電極や酸素電極として機能させているので、厚さを非常に薄くすることができ、エネルギー密度等の電池性能に優れた燃料電池を提供することが可能である。
また、本発明の製造方法においては、触媒金属層をプロトン伝導体膜上に直接形成しており、燃料電極や酸素電極を個別に取り扱う必要がないため、煩雑な作業が不要であり、製造歩留まりを大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、燃料電池の基本構成を示す概略断面図である。
図2は、燃料電池の電極の要部を示す概略断面図である。
図3は、プロトン伝導体膜の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子を散布した状態を示す概略断面図である。
図4は、炭素クラスターの種々の例を示す模式図である。
図5は、炭素クラスターの他の例である部分フラーレン構造を示す模式図である。
図6は、炭素クラスターの更に他の例であるダイヤモンド構造を示す模式図である。
図7は、炭素クラスターの更に他の例であるクラスター同士が結合しているものを示す模式図である。
【0005】
また、上述した通気孔4を形成する場合には、触媒金属層2,3を形成する前に、図3に示すようにプロトン伝導体膜1の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子5を散布し、触媒金属層2,3を形成した後に上記微粒子5を除去することにより触媒金属層2,3に通気孔4を形成することができる。
ここで、微粒子5の粒径は、触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子5の粒径を触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることにより、触媒金属層2,3に通気孔4を確実に形成することができる。
また、微粒子5は、シリカ又は酸化錫で形成することが好ましいが、通気孔4が確実に形成できるものであれば種々の金属やその酸化物、窒化物などの化合物も用いることができる。
微粒子5の除去には、微粒子の材質に応じた方法が使用することができる。例えば、微粒子5をシリカで形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわちシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
微粒子5を酸化錫で形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわち酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
上記構成の燃料電池では、一方の触媒金属層2を燃料電極とし、ここに例えば水素を供給すると、上記触媒金属層2の触媒作用により、水素がプロトンに変換され、プロトン伝導体膜1中を移動する。このとき、他方の触媒金属層3を酸素電極とし、ここに酸素を供給すると、電池反応が起こり起電力が生ずる。
また、上述した通気孔4を形成する場合には、触媒金属層2,3を形成する前に、図3に示すようにプロトン伝導体膜1の表面に触媒金属とは異なる種類の微粒子5を散布し、触媒金属層2,3を形成した後に上記微粒子5を除去することにより触媒金属層2,3に通気孔4を形成することができる。
ここで、微粒子5の粒径は、触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることが好ましい。微粒子5の粒径を触媒金属層2,3の厚さよりも大きくすることにより、触媒金属層2,3に通気孔4を確実に形成することができる。
また、微粒子5は、シリカ又は酸化錫で形成することが好ましいが、通気孔4が確実に形成できるものであれば種々の金属やその酸化物、窒化物などの化合物も用いることができる。
微粒子5の除去には、微粒子の材質に応じた方法が使用することができる。例えば、微粒子5をシリカで形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわちシリカは、イオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
微粒子5を酸化錫で形成した場合には、プロトン伝導体膜1の表面に散布された微粒子5、すなわち酸化錫は、イオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより効果的に除去することができる。
上記構成の燃料電池では、一方の触媒金属層2を燃料電極とし、ここに例えば水素を供給すると、上記触媒金属層2の触媒作用により、水素がプロトンに変換され、プロトン伝導体膜1中を移動する。このとき、他方の触媒金属層3を酸素電極とし、ここに酸素を供給すると、電池反応が起こり起電力が生ずる。
【0006】
プロトン伝導体膜1は、触媒金属層2,3をスパッタ法等により直接形成することから、ある程度の耐熱性を有することが好ましく、かかる観点からプロトン伝導性の材料を選択することが好ましい。
スパッタ法においては、基体となるプロトン伝導体膜1の温度が120℃以上になる。例えば、粒状In粒子を混合し、In粒子が溶解した痕跡の有無により温度を把握することができるが、実際、直径が1μmのIn粒子を膜上に載せ、スパッタを行った後にSEM観察したところ、溶融した痕跡が確認された。In粒子の融点は155℃である。
ここで、耐熱性の観点、さらには、加湿が不要である等の利点を有することから、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるプロトン伝導体が好適である。
表1に示すように、かかるプロトン伝導体は、引っ張りせん断強度(1t/cm引っ張り:25μm膜厚時)が120℃以上でも高く、せん断が発生していない。
プロトン伝導体膜1は、触媒金属層2,3をスパッタ法等により直接形成することから、ある程度の耐熱性を有することが好ましく、かかる観点からプロトン伝導性の材料を選択することが好ましい。
スパッタ法においては、基体となるプロトン伝導体膜1の温度が120℃以上になる。例えば、粒状In粒子を混合し、In粒子が溶解した痕跡の有無により温度を把握することができるが、実際、直径が1μmのIn粒子を膜上に載せ、スパッタを行った後にSEM観察したところ、溶融した痕跡が確認された。In粒子の融点は155℃である。
ここで、耐熱性の観点、さらには、加湿が不要である等の利点を有することから、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるプロトン伝導体が好適である。
表1に示すように、かかるプロトン伝導体は、引っ張りせん断強度(1t/cm引っ張り:25μm膜厚時)が120℃以上でも高く、せん断が発生していない。
【0009】
温を含む広い温度域である少なくとも約160℃〜−40℃の範囲に亘って高伝導性を発揮することが可能である。前述のようにこのプロトン伝導体は、乾燥状態でも十分なプロトン伝導性を示すが、水分が存在していてもよい。この水分は、外部から浸入したものでもよい。
本発明においては、上記のような材料からなるプロトン伝導体膜1上に、触媒金属層2,3を直接形成する。
上記のようなフラーレン又はその誘導体、カーボンナノチューブ又はその誘導体を主成分とするプロトン伝導体膜に対しては、スパッタ法等により触媒層形成すると触媒層の接着性が著しく向上する。
触媒金蔵層2,3を形成するための手法としては、スパッタ法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術を使用することができる。
以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。すなわち、本発明を適用して燃料電池を作製し、発電試験を行うことによりその特性を評価した。
<実施例1>
まず、硫酸水素エステル化フラレノールとポリビニルアルコールをバインダーとして含む厚さ0.1μmのプロトン伝導体膜を作製した。
次いで、このプロトン伝導体膜を、5インチ径の白金ターゲットを有するDCスパッタリング装置CCS1200(商品名、TOKUDA社製)の反応室中に配置し、反応室中の圧力を10Pa以下まで脱気した。そして、反応室中にアルゴンガスを導入して反応室中の圧力を1.33×104Paとし、白金をターゲットとして100Wの出力でRFスパッタリングを行い、プロトン伝導体膜の両主面上に厚み10nmの白金膜を成膜した。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して発電試験を行った。
上述した発電試験を行った結果、実施例1の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて40mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例1の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、良好な出力が得られることが確認された。すなわち、プロトン伝導体膜の両主面上に触媒金属層として白金膜を形成し、一方の白金膜を燃料電極、他方の白金膜を酸素電極とすることにより良好な出力を有する燃料電池を実現できるといえる。
温を含む広い温度域である少なくとも約160℃〜−40℃の範囲に亘って高伝導性を発揮することが可能である。前述のようにこのプロトン伝導体は、乾燥状態でも十分なプロトン伝導性を示すが、水分が存在していてもよい。この水分は、外部から浸入したものでもよい。
本発明においては、上記のような材料からなるプロトン伝導体膜1上に、触媒金属層2,3を直接形成する。
上記のようなフラーレン又はその誘導体、カーボンナノチューブ又はその誘導体を主成分とするプロトン伝導体膜に対しては、スパッタ法等により触媒層形成すると触媒層の接着性が著しく向上する。
触媒金蔵層2,3を形成するための手法としては、スパッタ法、真空蒸着法等のPVD技術や、CVD技術を使用することができる。
以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。すなわち、本発明を適用して燃料電池を作製し、発電試験を行うことによりその特性を評価した。
<実施例1>
まず、硫酸水素エステル化フラレノールとポリビニルアルコールをバインダーとして含む厚さ0.1μmのプロトン伝導体膜を作製した。
次いで、このプロトン伝導体膜を、5インチ径の白金ターゲットを有するDCスパッタリング装置CCS1200(商品名、TOKUDA社製)の反応室中に配置し、反応室中の圧力を10Pa以下まで脱気した。そして、反応室中にアルゴンガスを導入して反応室中の圧力を1.33×104Paとし、白金をターゲットとして100Wの出力でRFスパッタリングを行い、プロトン伝導体膜の両主面上に厚み10nmの白金膜を成膜した。
以上のようにして得られた両主面上に白金膜を形成したプロトン伝導体膜を燃料電池内に組み込み、一方の白金膜を燃料電極、他方を酸素電極とした。そして、燃料電極には1気圧で純度99.9%以上の水素ガスを、酸素電極には1気圧で純度99.9%以上の酸素ガスを供給して発電試験を行った。
上述した発電試験を行った結果、実施例1の燃料電池では、出力電圧0.6Vにおいて40mW/cm2の出力が得られた。これにより、実施例1の燃料電池は、燃料電池として正常に動作し、良好な出力が得られることが確認された。すなわち、プロトン伝導体膜の両主面上に触媒金属層として白金膜を形成し、一方の白金膜を燃料電極、他方の白金膜を酸素電極とすることにより良好な出力を有する燃料電池を実現できるといえる。
Claims (12)
- プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層が形成されてなり、上記触媒金属層が燃料電極及び/又は酸素電極として機能することを特徴とする燃料電池。
- 上記触媒金属層は、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の燃料電池。
- 上記触媒金属層は、通気孔を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の燃料電池。
- 上記プロトン伝導体膜は、耐熱性を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の燃料電池。
- 上記プロトン伝導体膜は、炭素を主成分とする炭素質材料を母体とし、これにプロトン解離性の基が導入されてなるものを含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の燃料電池。
- プロトン伝導体膜の表面に触媒金属層をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法のいずれかにより形成することを特徴とする燃料電池の製造方法。
- 上記触媒金属層を形成する前に、上記プロトン伝導体膜の表面に上記触媒金属層とは異なる種類の微粒子を散布し、上記触媒金属層を形成した後に、上記微粒子を除去して上記触媒金属層に通気孔を形成することを特徴とする請求の範囲第6項記載の燃料電池の製造方法。
- 上記微粒子の粒径は、上記触媒金属層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求の範囲第7項記載の燃料電池の製造方法。
- 上記微粒子が、シリカであることを特徴とする請求の範囲第7項記載の燃料電池の製造方法。
- 上記微粒子をイオンミリング、又は含フッ素溶液若しくは含フッ素ガスを用いたエッチングにより除去することを特徴とする請求の範囲第9項の燃料電池の製造方法。
- 上記微粒子が、酸化錫であることを特徴とする請求の範囲第7項記載の燃料電池の製造方法。
- 上記微粒子をイオンミリング、又は含塩素溶液若しくは含塩素ガスを用いたエッチングにより除去することを特徴とする請求の範囲第11項記載の燃料電池の製造方法。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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