JPWO2007046272A6 - 弾性画像を生成する超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
被検体1の組織に圧力を加えて計測された超音波断層データに基づいて、被検体の断層部位の複数の計測点における組織の歪みや弾性率などの弾性データを求め、その弾性データに基づいて断層部位の弾性画像を生成して表示し、その弾性画像に設定される関心領域ROIにおける歪みや弾性率などの弾性データの分布をヒストグラムで表示することにより、色相や輝度により階調を付けた組織の弾性に関する情報以外に、組織性状を反映した新たな定量的な情報を提供して組織の鑑別を支援する。
Description
本発明は、被検体に圧迫を付与して生体組織の弾性(硬さ又は軟らかさ)を計測して生成される弾性画像に加え、組織の弾性に関係する定量的な他の情報をユーザに提供して、的確な診断を支援することができる超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の技術分野では、特許文献1、2等に記載されているように、被検体に用手法又は機械的な方法により、超音波探触子の超音波送受信面にて被検体に圧力を加え、時系列的に前後する超音波受信信号の相関演算を利用して生体各部の変位を求め、求めた変位に基づいて組織の弾性に関する弾性データを求め、その弾性データを画像化することが提案されている。また、組織の弾性データとしては、生体各部の変位及び変位を空間微分した歪み、さらには、外部からの圧迫により生じた生体内部の応力分布と歪みとから得られる生体組織のヤング率等に代表される弾性率などが提案されている。このような弾性データを計測して、それらの大きさに応じて色相や輝度により階調を付けた弾性画像を表示することにより、生体組織の弾性を容易に認識することができ、ガン腫瘍等の病変組織を適切に鑑別することが可能になる。
つまり、弾性画像は、各計測点における変位、歪み又は弾性率などの弾性の程度に応じて、色相や輝度により階調を付けた弾性画像であるから、生体組織の硬さや軟らかさを容易に認識することができる
しかし、弾性画像に基づいて注目部位の弾性の違いを判別して、病変部を鑑別しようとする場合、異なる色階調の境界領域、あるいは、色階調が近似する領域について、弾性の差異を明確に区別できない場合があり、検者の経験や熟練度によって鑑別に誤認が生ずるおそれがある。
しかし、弾性画像に基づいて注目部位の弾性の違いを判別して、病変部を鑑別しようとする場合、異なる色階調の境界領域、あるいは、色階調が近似する領域について、弾性の差異を明確に区別できない場合があり、検者の経験や熟練度によって鑑別に誤認が生ずるおそれがある。
また、高密度焦点式超音波(以下、HIFU : high-intensity focused ultrasound という。)を病変部に照射して、病変部の組織を破壊して治療する方法が提案されている。これによれば、破壊により死滅された病変部の組織は熱変性により硬くなるから、その硬さの程度と治療効果とを対応付けることができる。そこで、治療部位内の弾性を計測して弾性画像を観察すれば、万遍なく均一に治療が施されたかどうかを判定できるが、上述したように、弾性画像では色階調が近似する領域の微小部位について階調差を明確に識別できず、治療が施されたかどうかを明確に判断できない場合がある。
そこで、弾性画像に基づいて病変部を鑑別する場合、あるいは治療の効果を判断する場合に、色階調等による弾性情報だけでなく、組織の弾性に関係する定量的な他の情報を合わせて考慮することができれば、的確な診断の支援をすることが期待できる。
本発明は、色相や輝度により階調を付けた組織の弾性画像以外に、的確な診断を支援する定量的な補助弾性情報を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する手段を検討した結果、第一に、圧迫などの外力による組織変形は、組織を構成する組織要素群によって固有の集団的挙動を示すことに着目し、その固有の集団的挙動を統計的な特徴として把握すれば、的確な診断を支援する補助弾性情報となり得ることに思い至った。
そこで、上記の課題を解決するため、本発明の超音波診断装置は、被検体の組織に圧力を加えて計測された超音波断層データに基づいて、前記被検体の断層部位の複数の計測点における組織の弾性データを求める弾性データ演算手段と、該弾性データに基づいて前記断層部位の弾性画像を生成する弾性画像生成手段と、前記弾性データに基いて弾性分布を表すヒストグラムを生成するヒストグラム評価手段と、前記弾性画像と前記ヒストグラムの画像の少なくとも一方を表示する画像表示手段を備えてなることを特徴とする。この場合、弾性画像に関心領域を設定し、その関心領域における弾性分布をヒストグラム化することができる。
すなわち、注目部位を含む関心領域等について、変位、歪み又は弾性率などの弾性データの分布をヒストグラム化して表示することにより、組織性状を反映した集団的挙動に基づいた定量的な補助弾性情報として提供することができる。ここで、ヒストグラムは、関心領域に含まれる全ての各計測点における組織の変位、歪み、あるいは弾性率などの弾性データを母集団とし、同一又は同程度の弾性データを有する計測点の個数をグラフ化したものである。したがって、検者は、注目部位を含む関心領域における組織の弾性分布を、ヒストグラムを観察することにより、定量的かつ相対的に識別できるから、病変部位の組織鑑別を効果的に支援することができる。また、治療効果の判断を的確に行うことができる。
特に、ヒストグラムには、組織の集団的挙動の特徴が現れることから、これにより、病変部などの注目部位の組織の弾性の均一性などを評価することができ、非常に硬い充実性組織であるガン腫瘍、軟らかい充実性組織である繊維腺種、あるいは流動的な嚢胞性組織である嚢胞、等々の組織性状の識別が可能となり、臨床上有用な診断情報を提供することができる。
上記の場合において、弾性画像に設定された関心領域を、被検体に加えられる圧力に応じて変位する関心領域内の組織に追従させて自動的に変更することができる。これによれば、任意の時刻において、組織の弾性情報の分布がどのように変化したかを、正しく認識することができる。
また、超音波断層データに基づいて生成された断層部位の断層画像と、弾性画像と、ヒストグラムとを同一の画面に並べて表示することができる。これによれば、断層画像に表れた組織分布像と、弾性画像による個々の領域の弾性の情報と、ヒストグラムの補助弾性情報を対比観察できるから、一層、組織鑑別の精度を向上できる。
ここで、ヒストグラムの画像には、ヒストグラムだけに限られず、ヒストグラムから派生して求められる特徴量を補助弾性情報として含めることができる。例えば、ヒストグラムの弾性データの平均、標準偏差、中央値の少なくとも一つを含む。また、ヒストグラムの分布を近似した関数と、ヒストグラムに表れたピークの弾性データと、ピークの標準偏差と、ピークの半値幅の少なくとも一つをヒストグラムと共に表示することができる。さらに、ヒストグラムの画像上にカーソルを表示し、そのカーソルにより指定されるヒストグラムの1つの区間における計測点の個数と、その区間の弾性データを数値で表示することができる。また、ヒストグラムの画像上に複数のカーソルを表示し、2つのカーソルに挟まれるヒストグラムの複数の区間における計測点の個数と、その複数の区間の弾性データの平均値と、その複数の区間の弾性データの標準偏差と、ピークの半値幅の少なくとも一つを数値で表示することができる。
さらに、超音波断層データに基づいて生成された断層部位の断層画像と、弾性画像と、ヒストグラムとを同一の画面に並べて表示し、ヒストグラムの画像上に複数のカーソルを表示し、2つのカーソルに挟まれる弾性データの複数の区間における計測点の個数と、その複数の区間の弾性データの平均値と、その複数の区間の弾性データの標準偏差の少なくとも一つを、補助弾性情報として数値で表示すると共に、2つのカーソルに挟まれた区間に属する複数の計測点の位置を弾性画像に識別可能に表示することができる。
また、ヒストグラムの画像上に複数のカーソルを表示し、該カーソルにより指定される2つの弾性データの区間における弾性データの比を、補助弾性情報として数値で表示することができる。これによれば、注目する2つの部位の組織の弾性を相対比で評価することができる。
また、ヒストグラムの画像上にカーソルを表示し、該カーソルにより指定されるヒストグラム分布のピーク部の弾性データの半値幅を求め、その半値幅に基づいてピーク部に対応する組織性状を評価し、評価結果を前記ヒストグラムに合わせて補助弾性情報として表示することができる。
さらに、圧力に応じて変位する組織に追従させて弾性画像に設定された関心領域を自動的に変更すると共に、変更された関心領域におけるヒストグラムを対応させて表示することができる。
また、本発明の超音波診断装置は、被検体の組織に圧力を加えて計測された超音波断層データに基づいて、前記被検体の断層部位の複数の計測点における組織の変位ベクトルを求め、前記断層部位の前記計測点に対応させて前記変位ベクトルを表示する弾性画像を生成して表示し、該弾性画像に設定される関心領域における特定方向の前記変位ベクトル成分の分布をヒストグラムで表示することができる。
本発明によれば、色相や輝度により階調を付けた組織の弾性画像以外に、関心領域における組織の弾性分布を表わすヒストグラムを補助弾性情報として表示するようにしているから、注目部位を含む関心領域における組織の弾性分布を、定量的かつ相対的に識別でき、病変部位の組織鑑別を効果的に支援することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。図1に、本発明の一実施形態の超音波診断装置のブロック構成図を示す。図2に、本発明の特徴部に係る超音波診断装置の処理手順の一実施形態のフローチャートを示す。
図1に示すように、被検体1に当接して用いられる超音波の探触子2は、図3(A)に示すように、被検体1との間で超音波を送信及び受信する複数の振動子が整列された超音波送受信面21を有して形成されている。探触子2は、送信回路3から供給される超音波パルスにより駆動され、機械式又は電子的にビーム走査を行うようになっている。送受信制御回路4は、探触子2の複数の振動子を駆動する超音波パルスの送信タイミングを制御して、被検体1内に設定される焦点に向けて超音波ビームを形成するようになっている。また、送受信制御回路4は、探触子2の振動子の配列方向に電子的に超音波ビームを走査するようになっている。
一方、探触子2は、被検体1内から発生する反射エコー信号を受信して受信回路5に出力する。受信回路5は、送受信制御回路4から入力されるタイミング信号に従って、反射エコー信号を取り込んで増幅などの受信処理を行う。受信回路5により受信処理された反射エコー信号は、整相加算回路6において複数の振動子により受信された反射エコー信号の位相を制御し、一点又は複数の収束点に対して超音波受波ビームを形成する。整相加算回路6において整相加算された反射エコー信号(以下、超音波断層データという。)は、信号処理部7に入力され、ゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理がなされる。なお、整相加算回路6において生成される超音波断層データの高周波(RF)信号は、複合復調したI、Q信号であっても良い。このようにして、探触子2で超音波ビームを被検体1の体内で一定方向に走査し、一枚の断層像に対応した超音波断層データを得るようになっている。
信号処理部7により処理された超音波断層データは白黒スキャンコンバータ8に導かれ、ここにおいてディジタル信号に変換されるとともに、超音波ビームの走査面に対応した2次元の断層像データに変換される。すなわち、白黒スキャンコンバータ8は、運動組織を含む被検体1内のRF信号フレームデータを超音波周期で取得し、そのフレームデータを画像に変換して表示するために、テレビ同期で読み出すための断層走査手段及びシステムの制御を行うための手段となるもので、信号処理部7からの反射エコー信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でディジタル化された複数枚の断層像データを時系列に記憶するフレームメモリと、これらの動作を制御するコントローラなどから構成されている。これらの信号処理部7と白黒スキャンコンバータ8によって断層像の画像再構成手段が構成される。白黒スキャンコンバータ8から出力される断層像データは、切替加算部9を介して画像表示器10に供給されて断層像が表示されるようになっている。
画像表示器10は、白黒スキャンコンバータ8によって得た時系列の断層像データを表示するもので、切替加算部9を介して入力される画像データをアナログ信号に変換するD/A変換器と、このD/A変換器からのアナログビデオ信号を入力して画像として表示するカラーテレビモニタとからなる。
一方、整相加算回路6から出力される超音波断層データは、RF信号フレームデータ選択部11に導かれる。RF信号フレームデータ選択部11は、超音波ビームの走査面(断層面)に対応するRF信号群を、フレームデータとして複数フレーム分を選択してメモリなどに格納する。変位計測部12は、RF信号フレームデータ取得部11に格納されている取得時刻が異なる複数対のフレームデータを順次取り込み、取り込んだ一対のフレームデータに基づいて断層面における複数の計測点の変位ベクトルを求め、変位フレームデータとして歪み/弾性率演算部13に出力するようになっている。
歪み/弾性率演算部13は、入力される変位フレームデータに基づいて断層面における複数の計測点の歪みを求め、弾性フレームデータとして弾性データ処理部14に出力するようになっている。また、歪み/弾性率演算部13は、圧力計測部19から被検体に加えられた圧力計測データを取り込み、被検体各部の応力分布を求め、先に求めた歪みフレームデータと応力分布とから弾性率を求め、弾性フレームデータとして、弾性データ処理部14に出力するようになっている。圧力計測部19は、図3(C)に示すように、圧迫板22などに装着された複数の圧カセンサー23の出力信号を取り込み、被検体1の体表面に加えられた圧力を計測し、計測した圧カデータを歪み/弾性率演算部13に送出する。なお、圧力計測は、図3(D)に示すように、圧迫板22の前面に装着された参照変形体24を装着した探触子2を用い、参照変形体24の変位フレームデータに基づいて体表面に加えられた圧力を計測するようにすることができる。これらの圧力計測法は、特開2005−13283号公報又は特開2005−66041号公報に記載されている。
弾性データ処理部14は、歪み/弾性率演算部13から入力される歪み又は弾性率の弾性フレームデータに座標平面内におけるスムージング処理、コントラスト最適化処理や、フレーム間における時間軸方向のスムージング処理などの様々な画像処理を施して、カラースキャンコンバータ15に送出するようになっている。
カラースキャンコンバータ15は、弾性データ処理部14から出力される弾性フレームデータを変換してカラーの弾性画像を生成し、切替加算部9を介して画像表示器10に表示させるようになっている。つまり、カラースキャンコンバータ15は、予め設定された弾性(歪み又は弾性率)の上限値及び下限値の範囲に基づいて、弾性画像に階調化(例えば、256階調)された赤、緑、青などの色相コードを付与する。例えば、弾性フレームデータの弾性率が大きく計測された硬い領域は青色コードに変換し、逆に弾性率が小さく計測された軟らかい領域は赤色コードに変換する。なお、カラースキャンコンバータ15に代えて、白黒スキャンコンバータを用いることができる。この場合は、弾性率が大きく計測された硬い領域は輝度を明るく、逆に弾性率が小さく計測された軟らかい領域は輝度を暗くするなどにより、弾性率の分布を表すことができる。
また、切替加算部9は、白黒スキャンコンバータ8から出力される白黒の断層像データと、カラースキャンコンバータ15から出力されるカラーの弾性画像データとを入力し、両画像を切り替えていずれか一方を表示させる機能と、両画像の一方を半透明にして加算合成して画像表示器10に重ねて表示させる機能と、両画像を並べて表示させる機能を有して形成されている。また、シネメモリ部18は、切替加算部9から出力される画像データをメモリに格納し、装置制御インターフェイス部17からの指令に従って、過去の画像データを呼び出して画像表示器10に表示するようになっている。さらに、選択された画像データをMOなどの記録メディアへ転送することが可能になっている。
さらに、本実施形態の特徴であるヒストグラム評価部20は、変位計測部12と歪み/弾性率演算部13から出力される変位フレームデータあるいは歪みフレームデータ等の弾性フレームデータを取り込み、後述するように、ヒストグラムを生成すると共に、ヒストグラムに基づいて統計的特徴を評価するようになっている。そして、ヒストグラム画像データを生成して、切替加算部9を介して画像表示器10にヒストグラム画像を表示させるようになっている。
このように構成される実施形態の詳細構成を動作とともに、図2に示したフローチャートを参照して説明する。
(ステップS1)
まず、被検体1の組織に圧力を加えながら、連続的に超音波断層データを取得する(S1)。このとき、図3(A)に示した探触子2の超音波送受信面21を被検体1の体表に接触させて超音波送受信を行いつつ、超音波送受信面21を用手的に上下動させて被検体1を圧迫する。このとき、被検体1の診断部位に効果的に応力分布を与えるため、図3(B)に示すように、探触子2の超音波送受信面21に面を合わせて圧迫板22を装着し、超音波送受信面21と圧迫板22により構成される圧迫面で被検体1を圧迫することが好ましい。
(ステップS2)
RF信号フレームデータ選択部11は、整相加算回路6から超音波診断装置のフレームレートで経時的に次々と出力される超音波断層データ(RF信号フレームデータ)をフレームメモリ内に順次確保する。このとき、最新のRF信号フレームデータをNとして確保する。そして、制御命令に従って時間的に過去のRF信号フレームデータN−1、N−2、N−3、・・・、N−Mの中から1つのRF信号フレームデータXを選択する。次いで、最新のRF信号フレームデータNと選択したRF信号フレームデータXを1組のRF信号フレームデータとして、変位計測部12に出力する。
(ステップS3)
変位計測部12は、選択された1組のRF信号フレームデータN,Xを1次元もしくは2次元相関処理して、断層像上の各計測点の変位もしくは変位ベクトル(変位の方向と大きさ)を計測し、変位フレームデータを生成する。この変位ベクトルの検出法としては、例えば特開平5−317313号公報に記載されているように、ブロックマッチング法とグラジェント法とがある。ブロックマッチング法は、画像を例えばn×n画素からなる複数のブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探索して、変位ベクトルを求める方法である。
(ステップS4)
歪み/弾性率演算部13は、変位計測部12及び圧力計測部19で求めた変位フレームデータ及び圧力データに基づいて、断層像上の各計測点の歪み及び弾性率を演算する。そして、断層像に対応させた歪み又は弾性率の弾性フレームデータを生成して、弾性データ処理部14に出力する。ここで、歪みは、圧カデータを必要とせず、変位を空間微分することによって計算される。また、弾性率の一つである、例えばヤング率Ymの演算は、以下の式に示したように、圧カデータに基づいて各計測点における応力(圧力)を求め、その応力を各計測点における歪み量で除することにより求める。ここで、i,jの指標は、フレームデータの計測点の座標を表す。
(ステップS1)
まず、被検体1の組織に圧力を加えながら、連続的に超音波断層データを取得する(S1)。このとき、図3(A)に示した探触子2の超音波送受信面21を被検体1の体表に接触させて超音波送受信を行いつつ、超音波送受信面21を用手的に上下動させて被検体1を圧迫する。このとき、被検体1の診断部位に効果的に応力分布を与えるため、図3(B)に示すように、探触子2の超音波送受信面21に面を合わせて圧迫板22を装着し、超音波送受信面21と圧迫板22により構成される圧迫面で被検体1を圧迫することが好ましい。
(ステップS2)
RF信号フレームデータ選択部11は、整相加算回路6から超音波診断装置のフレームレートで経時的に次々と出力される超音波断層データ(RF信号フレームデータ)をフレームメモリ内に順次確保する。このとき、最新のRF信号フレームデータをNとして確保する。そして、制御命令に従って時間的に過去のRF信号フレームデータN−1、N−2、N−3、・・・、N−Mの中から1つのRF信号フレームデータXを選択する。次いで、最新のRF信号フレームデータNと選択したRF信号フレームデータXを1組のRF信号フレームデータとして、変位計測部12に出力する。
(ステップS3)
変位計測部12は、選択された1組のRF信号フレームデータN,Xを1次元もしくは2次元相関処理して、断層像上の各計測点の変位もしくは変位ベクトル(変位の方向と大きさ)を計測し、変位フレームデータを生成する。この変位ベクトルの検出法としては、例えば特開平5−317313号公報に記載されているように、ブロックマッチング法とグラジェント法とがある。ブロックマッチング法は、画像を例えばn×n画素からなる複数のブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探索して、変位ベクトルを求める方法である。
(ステップS4)
歪み/弾性率演算部13は、変位計測部12及び圧力計測部19で求めた変位フレームデータ及び圧力データに基づいて、断層像上の各計測点の歪み及び弾性率を演算する。そして、断層像に対応させた歪み又は弾性率の弾性フレームデータを生成して、弾性データ処理部14に出力する。ここで、歪みは、圧カデータを必要とせず、変位を空間微分することによって計算される。また、弾性率の一つである、例えばヤング率Ymの演算は、以下の式に示したように、圧カデータに基づいて各計測点における応力(圧力)を求め、その応力を各計測点における歪み量で除することにより求める。ここで、i,jの指標は、フレームデータの計測点の座標を表す。
Ymi,j=圧力(応力)ij/(歪み量i,j)
ここで、(i,j=1,2,3,・ ・ ・)
(ステップS5)
弾性データ処理部14は、歪み/弾性率演算部13から入力される弾性フレームデータに、座標平面内におけるスムージング処理、コントラスト最適化処理、フレーム間における時間軸方向のスムージング処理などの画像処理を施して、カラースキャンコンバータ15に送出する。この弾性データ処理部14における画像処理については、例えば、特開2004−261198号公報に記載されている。
ここで、(i,j=1,2,3,・ ・ ・)
(ステップS5)
弾性データ処理部14は、歪み/弾性率演算部13から入力される弾性フレームデータに、座標平面内におけるスムージング処理、コントラスト最適化処理、フレーム間における時間軸方向のスムージング処理などの画像処理を施して、カラースキャンコンバータ15に送出する。この弾性データ処理部14における画像処理については、例えば、特開2004−261198号公報に記載されている。
カラースキャンコンバータ15は、弾性データ処理部14から出力される弾性フレームデータと、弾性フレームデータの階調化選択範囲を指定する上限値及び下限値を入力し、弾性フレームデータを色相情報に変換した弾性画像データを生成する。この上限値及び下限値は、図示していない装置制御部からの命令、又は弾性データ処理部14からの弾性フレームデータの中の階調化選択範囲によって指定される。例えば、カラースキャンコンバータ15は、入力される弾性フレームデータにおいて、弾性率が大きく計測された領域は青色コードに変換し、逆に弾性率が小さく計測された領域は赤色コードに変換する。
ここで、カラースキャンコンバータ15に代えて、白黒スキャンコンバータを用いることもできる。この場合は、歪みが大きい領域は輝度を明るく、逆に歪みが小さい領域は輝度を暗くさせるようにすることができる。
このようにしてカラースキャンコンバータ15で生成された弾性画像データは、切替加算部9に出力される。切替加算部9は、白黒スキャンコンバータ8から出力される白黒の断層像データと、カラースキャンコンバータ15から出力されるカラーの弾性画像データとを加算して、又は切り替えて画像表示器10に出力して表示させる。例えば、白黒の断層像データだけ、又はカラーの弾性画像データだけを表示させ、あるいは両画像データを加算合成して表示させるようになっている。また、例えば、特開2000−60853号公報に記載されているように、白黒断層像とカラー又は白黒の弾性画像を同時に2画面表示するようにすることができる。さらに、例えば、特開2004−135929号公報に記載されているように、白黒断層像にカラーの弾性画像を半透明的に重畳して表示するようにすることができる。
また、切替加算部9から出力される表示画像データは、画像表示器10に送られると同時に、シネメモリ部18に入力されるようになっている。シネメモリ部18は、入力される表示画像データをメモリに格納する。また、シネメモリ部18は、装置制御インターフェイス部17から与えられる制御信号に従って、過去の表示画像データを呼び出して画像表示器10に表示し、又は選択された表示画像データをMOなどの記録メディアヘ転送するようになっている。
(ステップS6、S7)
ステップS6、S7において、本発明の特徴に係るヒストグラム評価処理を実行する。ヒストグラム評価部20は、歪み/弾性率演算部13から出力される弾性フレームデータを用い、現時刻における関心領域内の各計測点における歪みや弾性率を求めて、関心領域内のヒストグラムを求める。そして、求めたヒストグラムを反映した画像情報を生成し、切替加算部9を介して画像表示器10に表示して検者に診断情報として提供する。このヒストグラムを反映した画像情報には、注目部位を含む関心領域の各部位の弾性の統計的な特徴を含めることができる。
(ステップS6、S7)
ステップS6、S7において、本発明の特徴に係るヒストグラム評価処理を実行する。ヒストグラム評価部20は、歪み/弾性率演算部13から出力される弾性フレームデータを用い、現時刻における関心領域内の各計測点における歪みや弾性率を求めて、関心領域内のヒストグラムを求める。そして、求めたヒストグラムを反映した画像情報を生成し、切替加算部9を介して画像表示器10に表示して検者に診断情報として提供する。このヒストグラムを反映した画像情報には、注目部位を含む関心領域の各部位の弾性の統計的な特徴を含めることができる。
ここで、ヒストグラム評価部20における一連の処理の流れを、図4を参照して説明する。ヒストグラム評価部20は、メモリ部31と、ヒストグラム演算部32と、統計評価部33と、画像構築部34を備えて構成されている。メモリ部31は、歪み/弾性率演算部13から出力される弾性フレームデータを一旦格納して、ヒストグラム演算部32に出力するようになっている。
ヒストグラム演算部32は、メモリ部31から出力される弾性フレームデータと、装置制御インターフェイス部17から出力される関心領域(ROI)の座標データを入力する。ここで、ROIは、ステップS5で画像表示器10に表示されたカラーの弾性画像上で、装置制御インターフェイス部17から入力設定する(S6)。
そして、ヒストグラム演算部32は、ROI内に分布する弾性フレームデータを母集団とするヒストグラムを演算し、数値データからなるヒストグラムデータを生成して、統計評価部33に出力する。すなわち、ROIにおける歪み又は弾性率の値を複数の区間に分割し、各区間に対応する歪み又は弾性率の値を有する計測点の個数を算出し、例えば、歪み又は弾性率の複数の区間を横軸に、計測点の個数を縦軸に割り付けてヒストグラムデータを生成する。
次に、統計評価部33は、ヒストグラム演算部32から出力されるヒストグラムデータを解析して、ヒストグラムデータの統計的な特徴を抽出する。そして、統計的な特徴の統計評価データを生成して、ヒストグラムデータと共に画像構築部34に出力する。画像構築部34は、統計評価部33から出力される統計評価データとヒストグラムデータを反映した画像をヒストグラム画像データとして構築し、切替加算部9に出力する。
ここで、ヒストグラム評価部20における処理を、図5〜図8を参照して具体的に説明する。まず、歪み/弾性率演算部13において演算された時刻tにおける弾性フレームデータの弾性率の数値データ群を、図5の概念図に示すように、Ei,j(t)とする。ここで、i=1,2,3,・・・、Nの自然数、j=1,2,3,・・・、Mの自然数である。つまり、図5において、指標iは弾性画像の横軸方向の座標を、指標jは弾性画像の縦軸方向の座標を示している。
メモリ部31では弾性フレームデータEi,j(t)を確保して、ヒストグラム演算部32に出力する。一方、画像表示器10に表示された弾性画像上において、装置制御インターフェイス部17の入力手段(例えばトラツクボールなどのデバイス)を介して検者が、例えば図6に示すように、関心領域ROIを設定する。装置制御インターフェイス部17は、設定されたROIの座標、例えば図6に示すように矩形のROIの場合は、4つの角の座標P1(x1,y1)、P2(x2,y1)、P3(x1,y2)、P4(x2,y2)を読み取って、ROI座標データとしてヒストグラム演算部32に出力する。
ヒストグラム演算部32は、弾性フレームデータとROI座標データを用いて、ヒストグラムデータを演算する。まず、ROI座標データを参照して、弾性フレームデータの中からROIの内部に属する計測点の弾性率の数値データ群を、例えば、図7に示すように抽出する。
次に、ROIの内部に属する計測点の弾性率の数値データ群を母集団として、ヒストグラムデータを演算する。このヒストグラムデータを演算する処理は、一般的なヒストグラムを構築する際の手順と同様である。例えば、図8を参照して具体的に説明する。ヒストグラムの表示範囲を弾性率で、0(kPa)から700(kPa)とし、ヒストグラムの区間であるビン幅を25(kPa)にすると、28個のビンが設定される。すなわち、各ビンの幅は、次のとおりとなる。
ビン1 : 0−24.99・・・(kPa)
ビン2 : 25−49.99・・・(kPa)
ビン3 : 50−74.99・・・(kPa)
・・・
ビン27: 650−674.99・・・(kPa)
ビン28: 675−699.99・・・(kPa)
このように設定されたビンに対応させて、母集団の中からそれぞれのビンの範囲の弾性率を有する計測点の個数を計上する。すなわち、例えば、次のように計上される。
ビン2 : 25−49.99・・・(kPa)
ビン3 : 50−74.99・・・(kPa)
・・・
ビン27: 650−674.99・・・(kPa)
ビン28: 675−699.99・・・(kPa)
このように設定されたビンに対応させて、母集団の中からそれぞれのビンの範囲の弾性率を有する計測点の個数を計上する。すなわち、例えば、次のように計上される。
ビン1 : 17 (個)
ビン2 : 87 (個)
ビン3 : 142 (個)
・・・
ビン27 : 74 (個)
ビン28 : 63 (個)
このような処理によって、ビン番号(ビンの範囲)と計測点の個数の関係がヒストグラムデータとして生成される。
ビン2 : 87 (個)
ビン3 : 142 (個)
・・・
ビン27 : 74 (個)
ビン28 : 63 (個)
このような処理によって、ビン番号(ビンの範囲)と計測点の個数の関係がヒストグラムデータとして生成される。
統計評価部33は、生成されたヒストグラムデータの統計的特徴を演算して、統計評価データを作成する。この統計的特徴としては、母集団としての弾性率データ群の標本である計測点の個数、弾性率データの平均値、中央値、分散値、標準偏差、ピークの半値幅、歪度、尖度などから、適宜選択して設定できる。但し、統計的特徴を表すものはこれらに限らないことはいうまでもない。
(ステップS8)
画像構築部34は、ヒストグラム演算部32で求められたヒストグラムデータと、統計評価部33で求められた統計評価データとに基づいて、ヒストグラム画像データを構築する。構築されたヒストグラム画像データは、切替加算部9を介して画像表示器10に表示され、組織鑑別の補助弾性情報として検者に提供される。
(ステップS8)
画像構築部34は、ヒストグラム演算部32で求められたヒストグラムデータと、統計評価部33で求められた統計評価データとに基づいて、ヒストグラム画像データを構築する。構築されたヒストグラム画像データは、切替加算部9を介して画像表示器10に表示され、組織鑑別の補助弾性情報として検者に提供される。
なお、本実施形態では、被検体1の体表面に探触子2を接触させて計測する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、経直腸探触子、経食道探触子、術中用探触子、血管内探触子など、任意の超音波探触子にて同様に適用できる。
以下、ヒストグラム評価部20により生成されるヒストグラム画像データの具体的な実施例について説明する。なお、以下の実施例では、ROIを図6に示すように設定した場合を例に説明する。
本実施例1は、図8に示すようなヒストグラム画像を生成する具体的例である。図6に示すように、ROIの中には、組織1、組織2、組織3が含まれている。これらの組織1〜3の組織固有の硬さの情報は、組織1〜3の範囲表示とともに、弾性画像として画像表示器10にリアルタイムに表示される。これにより、
(組織1の硬さ)<(組織2の硬さ)<(組織3の硬さ)
の関係を容易に把握することができる。
(組織1の硬さ)<(組織2の硬さ)<(組織3の硬さ)
の関係を容易に把握することができる。
このROI内の弾性率データに基づいて生成されるヒストグラムは、図8に示すようなヒストグラム画像になる。すなわち、同図のヒストグラム画像の縦軸は、それぞれのビンの弾性率に属する計測点の個数に相関する。したがって、個数が多いほどビンの長さが長くなっている。ROIにより指定される弾性フレームデータの中の母集団は、組織1〜3にそれぞれ固有の弾性率データを保有している。したがって、対応する弾性率の範囲の計測点の個数が高くなったヒストグラムが形成される。
また、統計評価部33において、例えば母集団に属する計測点の個数、母集団の弾性率の平均値、中央値、分散値が演算され、図8に示すように、ヒストグラムに合わせて、画像表示器10にリアルタイムに表示される。
また、切替加算部9は、例えば図9に示すように、種々の表示形態により、画像表示器10に画像を表示する。図示例は、白黒スキャンコンバータ8から出力された断層像と、カラースキャンコンバータ15から出力された弾性画像と、ヒストグラム評価部20から出力されたヒストグラム画像が組み合わされ、1つの表示画像データが構築されて画像表示器10にリアルタイムに表示される。
これにより、本実施例によれば、注目する領域が、その周囲の組織とどのような硬さの関係で結合しているかを客観的、定量的に評価することが可能となり、確定的な組織鑑別を支援することができる。
すなわち、輝度(色調)の大小やその広がり方などを表示する弾性画像の場合は、検者の主観に依存した診断により、検者間で異なる診断結果が下されることがあったが、本実施例によれば、そのような事象を回避して、客観的、普遍的な診断を確立して、臨床上有用な超音波診断装置を提供することができる。
特に、ヒストグラムには、組織の集団的挙動の特徴が現れることから、これにより、病変部などの注目部位の組織の硬さの均一性などを評価することができ、非常に硬い充実性組織であるガン腫瘍、軟らかい充実性組織である繊維腺種、あるいは流動的な嚢胞性組織である嚢胞、等々の組織性状の識別が可能となり、臨床上有用な診断情報を提供することができる。
実施例1においては、弾性率を用いた例を示したが、本発明は、これに限らず、弾性データとして歪みデータ、変位データ、変位ベクトルにも適用できる。つまり、歪み/弾性率演算部13において演算された歪みの弾性フレームデータに基づいて、同様のヒストグラム及び統計的特徴データを求めて、画像を表示するようにすることができる。また、変位計測部12において演算された変位フレームデータに基づいて、同様のヒストグラム及び統計的特徴データを求めて、画像を表示するようにすることができる。また、変位フレームデータが変位ベクトルにより構成されていれば、そのベクトルデータに基づいて、同様のヒストグラム及び統計的特徴データを求めて、画像を表示するようにすることができる。
つまり、組織の硬さに相関する弾性データに基づいて、ヒストグラム及び統計的特徴データを求めて画像を表示することにより、実施例1と同様の効果を奏することができる。
実施例1では、歪み/弾性率演算部13において演算された弾性率の数値により構成される弾性フレームデータに基づいて、ヒストグラム及び統計的特徴データを求める例を説明した。しかし、本発明はこれに限らず、弾性データ処理部14において画像処理が施された後の弾性フレームデータをヒストグラム評価部20に入力するようにして、ヒストグラム及び統計的特徴データを求めても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
更に、カラースキャンコンバータ15において変換された弾性画像データに基づいて、ヒストグラム及び統計的特徴データを求めても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
図10に、実施例4のヒストグラム画像の表示例を示す。実施例1においては、弾性に相関する弾性データである弾性率に基づいて、ヒストグラムを生成して表示する例を説明した。しかし、本発明はこれに限らず、統計評価部33において、求められたヒストグラムを、例えばダブルガウシアンや複数のガウシアン関数などの適切な関数で近似(フィッティング)して、図10に示すように画像表示することができる。この場合、それぞれのガウシアン関数の平均値、標準偏差を求め、それらを統計評価データとして出力することができる。つまり、同図に示すように、フィッティング関数と、その関数のピークの位置の弾性率m1〜m3と、あるいは弾性率の平均値Mと、標準偏差σ1〜σ3等の幅情報を求めて、ヒストグラムの特徴量データとして表示することができる。
本実施例によれば、実施例1に比べて、注目する領域が、その周囲の組織とどのような硬さの関係で結合しているかを、一層、客観的、定量的に評価することが可能となり、確定的な組織鑑別を支援することができる。
図11に、実施例5のヒストグラム画像の表示例を示す。本実施例は、実施例1に示したヒストグラムの任意の弾性率のヒストグラムを指定して、具体的なヒストグラム情報を表示させるようにしたものである。すなわち、装置制御インターフェイス部17の入力手段を介して、ヒストグラム画像データ上に複数のカーソル(C1、C2、・・・)を表示させ、検者がカーソルを自由に動かすことができるようにする。そして、検者が指定したカーソルC1、C2、・・・位置のヒストグラムの情報、例えば、個数N1,N2、平均値m1、m2などの数値データがカーソルの動きに同期して表示する。
本実施例によれば、注目する領域が、その周囲の組織とどのような硬さの関係で結合しているかを、一層、客観的、定量的に評価することが可能となり、確定的な組織鑑別を支援することができる。
図12に、実施例6のヒストグラム画像の表示例を示す。本実施例は、実施例5に示したカーソルC1、C2・・・でヒストグラムの範囲を指定し、その範囲の統計的特徴を演算して画像表示する例である。
すなわち、例えば図12に示すように、カーソルC1〜C2までの範囲をヒストグラムに指定すると、この範囲に対応するヒストグラムデータの計測点の個数N、平均値m、標準偏差σなどの統計的特徴を演算して、数値データとして表示する。
また、検者によって自由に指定されたカーソルC1〜C2までの範囲に限定して、実施例4で説明した近似関数によるフィッティングを施して、その統計的特徴を抽出して画像表示することができる。
図13に、実施例7のヒストグラム画像の表示例を示す。本実施例は、実施例6において、選択されたヒストグラムのカーソルC1〜C2までの範囲に計上された計測点の集団が、弾性画像のどの領域に対応しているのかを、図13に示すように、網目で示した領域41のように表示するようにしたものである。これにより、検者はヒストグラムと組織の対応関係を容易に認識できる。
図14に、実施例8のヒストグラム画像の表示例を示す。本実施例は、ヒストグラムの2つのピーク位置C1、C2の弾性率の比率(m2/m1)を演算して表示するようにした例である。本実施例によれば、例えば、C1が正常組織の領域であるとすると、C2が正常組織に対して何倍硬いかを即座に把握できる。
すなわち、従来は、生体組織を圧迫し、内部の各領域に生じた歪みや弾性率を演算し、その大きさを階調化した弾性画像を構築して表示している。しかし、注目する領域が、その周囲の組織とどのような硬さの関係で結合しているかを把握することできない。この点、本実施例によれば、注目する領域が、その周囲の組織とどのような硬さの関係で結合しているかを客観的、定量的に評価することが可能となり、確定的な組織鑑別を行うことができる。
また、同時に、弾性画像における輝度(色調)の大小やその広がり方など、検者の主観に依存した診断により、検者間で異なる診断結果が下されることがあったが、このような事象を回避して、客観的、普遍的な診断を確立して、臨床上有用な超音波診断装置を提供することができる。
本実施例は、実施例8に加えて、ヒストグラム評価部20に次の機能を加えることができる。
図14のカーソルC1、C2等で指定したピーク部の弾性率の半値幅を求め、弾性率の半値幅の値に基づいて、組織性状を評価し、その結果を出力表示する。すなわち、例えば、弾性率の半値幅が1〜20(kPa)の場合は、非常に硬い充実性組織であるガン腫瘍と評価する。弾性率の半値幅が21〜70(kPa)の場合は、軟らかい充実性組織である繊維腺種と評価する。弾性率の半値幅が71(kPa)以上の場合は、流動的な嚢胞性組織である嚢胞と評価する。
また、ピーク部の分散値/平均値の比を求めて無次元化する。そして、例えば、ガン腫瘍の場合は、分散が小さく、平均が大きいことから、分散値/平均値の比が小さく(例えば、0.1)なることで評価できる。繊維腺種の場合は、分散が中程度で、平均も中程度であるから、分散値/平均値の比も中程度(例えば、0.3)なることで評価する。嚢胞の場合は、分散が大きく、平均は小さいことから、分散値/平均値の比が大きく(例えば、0.5)なることで評価する。
このように、本実施例によれば、組織性状を評価した結果を出力表示することができるから、組織鑑別の信頼度を一層向上させることができる。
図15に、実施例10のヒストグラム画像の表示例を示す。本実施例は、圧力に応じて変位する組織の移動に追従させて、弾性画像に設定したROIを自動的に変更し、合わせて変更された関心領域におけるヒストグラムを対応させて表示することを特徴とする。これにより、同一組織領域をトラッキングしてROIが設定されることから、適切なヒストグラム情報を得ることができる。
つまり、一般に、超音波を用いた弾性の画像化においては、被検体の診断部位の体表に接触させた超音波探触子を用手的に上下動させて被検体を圧迫しつつ、その圧迫過程の弾性画像を演算して表示する。この場合に、図16に示すように、設定したROIの座標データを固定したままにすると、圧力に応じて変位する組織がROIから外れ、又はROI外の組織がROI内に入り、ROI内の母集団が変化することになるから、そのまま、ROI内の計測点のヒストグラムを演算しても、客観的に対比することができない。したがって、時間の経過とともに圧迫力が相違する弾性画像を対比しても、的確な鑑別情報が得られないことになる。
そこで、本実施例では、ROIの座標データを、被検体の圧迫動作状況や、拍動などの生体の運動状況に応答して更新するようにしている。つまり、ヒストグラム評価部20には、装置制御インターフェイス部17により設定されたROIの領域を示す代表点として、例えば、図6に示したように、ROI設定時刻t0において、P1(t0)(x1,y1)、P2(t0)(x2,y1)、P3(t0)(x1,y2)、P4(t0)(x2,y2)が入力される。次に、時刻t1において、図1の変位計測部12から時刻t1における変位フレームデータDi,j(t1)が入力される。時刻t1に取得された変位フレームデータDi,j(t1)において、対応する座標の変位データを参照することにより、時刻t0においてROI座標P1(t0)(x1,y1)、P2(t0)(x2,y1)、P3(t0)(x1,y2)、P4(t0)(x2,y2)に位置した組織が、時刻t1においてどの位置に変位したかを求めることができる。そこで、求められた座標P1(t1)、P2(t1)、P3(t1)、P4(t1)を新たなROI座標データとして更新する。そして、更新されたROI座標内に分布する母集団を用いて、ヒストグラムと統計的特徴を求めて表示する。
このように、本実施例によれば、生体を圧迫することにより、生体内の組織は、圧迫過程において超音波探触子に近づくことになるが、本実施例の処理を任意の時刻において繰り返すことにより、被検体の圧迫動作状況や、拍動などの生体の運動状況に応じてROI座標データが更新される。これにより、例えば、図15に示すように、ROIの位置と大きさは時刻により変化するが、任意の時刻において生体内の同一組織領域を抽出することになる。
このように、本実施例によれば、同一組織領域に対応する弾性フレームデータに基づいて母集団を構成し、ヒストグラムと統計的特徴を演算して表示するから、圧迫過程においてROI内に別の組織が入らない。その結果、母集団の標本数は変化するが、組織の特徴を区別するのに重要な情報としての平均値や分散値などの統計的特徴は任意の時刻においても安定的な値が保持され、組織固有の値を確定的に評価することができる。
つまり、図16に示したように、ROIの座標を固定した場合は、演算されたヒストグラムは時刻によって異なったものとなり、またヒストグラムに基づいて演算される統計的特徴を表す指標も時刻により変動するから、客観的、確定的な診断を妨げることがある。しかし、本実施例によれば、圧迫過程に応じてROI座標データを更新し、任意の時刻において同一組織領域を抽出してその統計的特徴を評価することができるから、客観的、確定的な診断を高精度に行うことができる。
ここで、ヒストグラム画像の表示例の他の実施例11を説明する。本実施例は、ヒストグラム評価部20において、過去に求めたヒストグラムデータを保持しておき、各ビン毎に現時刻におけるヒストグラムデータと、過去のヒストグラムデータを時間的に累積した累積ヒストグラムデータを構成するようにすることを特徴とする。また、累積ヒストグラムデータの統計的特徴を求めて、画像表示することができる。
更に、ヒストグラム評価部20において、過去に求めたヒストグラムデータを保持しておき、各ビン毎に現時刻におけるヒストグラムデータと、過去のヒストグラムデータを時間的に平滑処理した平滑ヒストグラムデータを構成するようにしてもよい。この場合も、平滑ヒストグラムデータの統計的特徴を求めて、画像表示するようにしてもよい。
本実施例によれば、安定的に高精度な統計的特微量を抽出できる。
上記の各実施例では、ヒストグラムと統計的特徴をリアルタイムで演算して、かつ表示する場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、シネメモリ部18に格納した画像データを用いて図2の所要の処理を行うようにすることができる。
この場合は、装置制御インターフェイス部17を介して装置をフリーズして行う。シネメモリ部18は、装置制御インターフェイス部17の制御信号に従って、過去の表示画像データを呼び出し、任意のフレームの表示画像データの中からヒストグラムによる評価を行う表示画像データと、ROIを指定する。そして、ROIの座標データをヒストグラム評価部20に出力する。また、処理対象のフレームを指定する情報を歪み/弾性率演算部13に出力し、歪み/弾性率演算部13に確保されている過去の弾性フレームデータを読み出して、ヒストグラム評価部20に送ってヒストグラムと統計的特徴の演算を行わせる。これにより、オフラインで本発明を実施することができる。
上記実施例で説明したヒストグラムの表示の採否、あるいはヒストグラムの表示設定(ビン幅、縦軸・横軸の範囲など)は、任意に設定、変更することができる。また、統計的特徴の平均値、標準偏差などのどの統計情報を演算して表示するかは、装置制御インターフェイス部17によって自由に指定できる。
図17に、本発明の弾性に相関する弾性データの一つである変位ベクトルを用いてヒストグラムを生成する実施例14の表示例を示す。本実施例は、被検体の組織に圧力を加えて計測された超音波断層データに基づいて、被検体の断層部位の複数の計測点における組織の変位ベクトルを求め、断層部位の計測点に対応させて変位ベクトルを表示する弾性画像を生成して表示し、弾性画像に設定される関心領域における特定方向である深度方向の変位ベクトル成分の分布をヒストグラムで表示するものである。なお、同図におけるヒストグラムの横軸は、変位の深度方向成分を表している。
図17(A)は、ROI内に設定された注目領域が、非常に硬い充実性組織であるガン腫瘍の場合を示している。この場合の各計測点の変位ベクトルは、図17(A)の上図に矢印で示したように、同一の方向を向いている。したがって、ROI内の変位ベクトルの分布を示すヒストグラムは、図17(A)の下図に示すように、狭い範囲に集中したヒストグラムになる。つまり、この例は、組織要素間で強く結合しているから、圧迫を受けても、全体として変形せずに、運動することが理解できる。
図17(B)は、ROI内に設定された注目領域が、軟らかい充実性組織である繊維腺種の場合を示している。この場合の各計測点の変位ベクトルは、図17(B)の上図に矢印で示したように、やや方向が分散している。したがって、ROI内の変位ベクトルの分布を示すヒストグラムは、図17(B)の下図に示すように、分布の幅がやや広くなっている。つまり、この例は、組織要素間である程度結合しており、圧迫を受けたときに、互いに束縛しあいながらも、ある程度変形することが理解できる。
図17(C)は、ROI内に設定された注目領域が、流動的な嚢胞性組織である嚢胞の場合を示している。この場合の各計測点の変位ベクトルは、図17(C)の上図に矢印で示したように、変位の方向が大きく分散している。したがって、ROI内の変位ベクトルの分布を示すヒストグラムは、図17(C)の下図に示すように、分布の幅が大きな範囲に広がっている。つまり、この例は、組織要素間で全く結合していないため、圧迫を受けると、各要素群はそれぞれ自由な運動をすることが理解できる。
これらのことから、変位ベクトルの深度方向成分又は横方向成分でヒストグラムを構成すれば、組織性状の違いを識別することができる。特に、硬さの違いだけでなく、分布幅を観察することにより、組織要素間の結合の程度が識別できるから、組織鑑別の有効な補助弾性情報が得られる。
図18に、本発明の実施例15に係る弾性情報の表示例を示す。本実施例は、弾性画像の色相又は輝度の階調(例えば、256階調)の割り付け範囲を、関心領域ROI内のヒストグラムの弾性データの幅に対応させて変更することにより、関心領域ROI内の弾性の違いのコントラストを際立たせるようにした実施例である。すなわち、図18(a)は視野内の弾性画像とヒストグラムを表示したものであり、同図(b)は弾性画像中に関心領域ROIをマニュアル又は境界検出によって自動で設定し、関心領域ROI内の計測点のヒストグラムを表示したものである。これに対し、同図(c)に示すように、関心領域ROI内の計測点のヒストグラムの弾性データの幅に対応させて、階調の割り付け範囲が自動で変更され、ROI内の弾性の違いがコントラストを際立たせて表示される。
本実施例によれば、ROI内の組織の硬さ分布のコントラストが強く表示されるから、組織鑑別の有効な補助弾性情報が得られる。
図19に、本発明の実施例16に係る弾性情報の表示例を示す。図9に示した実施例1の弾性情報の表示例では、弾性画像とヒストグラムを含む補助弾性情報の画像(ヒストグラム画像)を1つの画面に並べて表示する例を示した。本実施例では、図19に示すように、ヒストグラム画像を小さなウインドウ表示により、弾性画像の一部に重ねて表示している。
すなわち、ヒストグラム画像は、解像度を犠牲にしても見落としが生じることはないので、断層像や弾性画像と同等の大きさで対等に表示する必要はない。そこで、本実施例のように、弾性画像の画像領域内に、縮小したヒストグラム画像を小さなウインドウで表示することができる。これによれば、弾性画像の弾性情報を十分な解像度で観察できるから、情報の損失を低減できる。
なお、図19の例によれば、ヒストグラム画像が重畳表示された部分の弾性画像の情報が隠されてしまい、場合によっては重要な弾性情報を失ってしまうおそれがある。このような場合は、図20に示すように、ヒストグラム画像を半透明画像で構成し、弾性画像に重畳させて表示することが好ましい。これによれば、ヒストグラム画像を重畳して表示したことによる弾性情報の見落としを回避することができる。
ここで、カラーの半透明画像を生成するアルファブレンディングと呼ばれる一般的な画像構築方法について説明する。例えば、画素のカラー情報を三原色(R, G, B)で表現すると、カラーの弾性画像の座標(i, j)の画素のカラー情報をE(i,j)は、次式のように、3原色のカラー情報Er(i,j), Eg(i,j), Eb(i,j)の関数となる。
E(i,j)=(Er(i,j), Eg(i,j), Eb(i,j))
同様に、カラーのヒストグラム画像の座標(i, j)の画素のカラー情報をH(i,j)は、次式の関数となる。
H(i,j)=(Hr(i,j), Hg(i,j), Hb(i,j))
ここで、両画像間の重畳比率をα(0 ≦α≦ 1)とすると、ヒストグラム画像を重畳した領域の半透明重畳画像の座標(i, j)の画素のカラー情報G(i,j)は、次式で求めることができる。
C(i,j)=α×E(i,j)+ (1−α)×H(i,j)
つまり、半透明重畳画像の座標(i, j)の画素のカラー情報は、弾性画像とヒストグラム画像の両方の画像情報をαの比率で有するものとなり、それぞれの画像のカラー情報を半透明的に同時に認識することができる。
E(i,j)=(Er(i,j), Eg(i,j), Eb(i,j))
同様に、カラーのヒストグラム画像の座標(i, j)の画素のカラー情報をH(i,j)は、次式の関数となる。
H(i,j)=(Hr(i,j), Hg(i,j), Hb(i,j))
ここで、両画像間の重畳比率をα(0 ≦α≦ 1)とすると、ヒストグラム画像を重畳した領域の半透明重畳画像の座標(i, j)の画素のカラー情報G(i,j)は、次式で求めることができる。
C(i,j)=α×E(i,j)+ (1−α)×H(i,j)
つまり、半透明重畳画像の座標(i, j)の画素のカラー情報は、弾性画像とヒストグラム画像の両方の画像情報をαの比率で有するものとなり、それぞれの画像のカラー情報を半透明的に同時に認識することができる。
このように、本実施例によれば、限られたモニタ表示画面内に複数の画像を同等の大きさで干渉しないように配置すると、それぞれの画像が小さくなってしまう場合でも、画像診断の精度を落とすおそれを回避できる。
図21に、本発明の実施例17に係る弾性情報の表示例を示す。図19及び図20では、断層像や弾性画像等の診断画像の領域内に縮小したヒストグラム画像をウインドウで表示する例を示した。本実施例では、図21に示すように、必要に応じて、診断画像とヒストグラム画像の表示領域の大小関係を切り替えるようにしている。
例えば、超音波診断装置の装置制御インターフェイス部17に備えられた所定のキーやボタンに設定された画像切り替えキーを操作することにより、診断画像とヒストグラム画像の表示領域の大小関係が切り替わるように構成することができる。なお、画像切り替えキーは、装置制御インターフェイス部17のキーやボタンに限らず、モニタの画像上に表示されアイコンに設定することができる。
本実施例によれば、図11、図12の実施例において、ヒストグラム画像上におけるカーソル移動などの操作を、大きなヒストグラム画像上で効率的に実行することができる。
図22に、本発明を甲状腺の濾胞癌を鑑別する診断に適用した場合の弾性情報の表示例を示す。甲状腺の画像診断においては、甲状腺濾胞癌の鑑別が非常に重要になっている。濾胞癌は腫瘍内部の細胞密度に分布があり、腫瘍辺縁部は腫瘍中心部よりも高い細胞密度を有することが知られている。一方、弾性画像により濾胞癌を評価した場合、腫瘍辺縁が腫瘍中心部に比較して硬い領域として画像表示される傾向がある。つまり、細胞密度が高い部位を細胞密度が低い部位よりも硬い部位として計測されるものと考えられる。
本実施例は、腫瘍内部の弾性分布の特徴を評価する場合に適切な弾性情報を表示するものである。例えば、甲状腺腫瘍のように、腫瘍辺縁部と中心部の間に硬さの違いがある場合でも、通常の弾性画像ではその違いを認識できない場合も多い。図22は、甲状腺腫瘍の弾性画像と濾胞癌の場合のヒストグラム画像の表示例である。同図に示すように、濾胞癌を客観的に鑑別するには、腫瘍中心部ROI1と環状の腫瘍辺縁部ROI2をそれぞれ独立した母集団としてヒストグラム解析することにより、鑑別に有効な情報を取得して表示する。
すなわち、本実施例では、次の表示を特徴とする。
(1)濾胞癌と思われる領域の辺縁部と中心部に、それぞれ独立にROI1とROI2を設定して表示する。
(2)ROI1とROI2のヒストグラムを、ROIごとに色分けして合成して表示する。
(3)それぞれのヒストグラムの統計情報を演算して表示する。図示例では、平均、標準偏差、中央値が表示されている。
(1)濾胞癌と思われる領域の辺縁部と中心部に、それぞれ独立にROI1とROI2を設定して表示する。
(2)ROI1とROI2のヒストグラムを、ROIごとに色分けして合成して表示する。
(3)それぞれのヒストグラムの統計情報を演算して表示する。図示例では、平均、標準偏差、中央値が表示されている。
ROI1、ROI2の設定法は様々考えられる。例えば、装置制御インターフェイス17のマウスやトラックボールなどの入力手段を操作して、検者により環状の辺縁部ROI1の外周と内周を線で描いて指定する。これにより、その描画線の間の環状領域が辺縁部ROI1として認識し、設定するようにすることができる。
また、楕円形の複数のテンプレートを予め準備しておき、マウスやトラックボールを操作して、辺縁部ROI1の外周と内周に2つの楕円形テンプレートを合わせるように指定する。これにより、2つの楕円形テンプレートの外周線に挟まれる環状領域が辺縁部ROI1とし、小さい楕円形テンプレートの内側領域をRROI2として認識させて、設定するようにすることができる。
さらに、辺縁領域指定用に適した複数のトーラス(輪環体)状のROIを予め準備しておき、マウスやトラックボールなどで操作して、2つのトーラスROIを画像上に配置する。これにより、2つのトーラスROIに挟まれる環状領域が辺縁部ROI1とし、小さいトーラスROIの内側領域をRROI2として認識させて、設定するようにすることができる。
本実施例によれば、腫瘍の辺縁部と中心部の硬さの違いを定量的に認識することができない弾性画像であっても、定量的で客観的な濾胞癌の診断を行うことができる。
例えば、文献「Ueno E, et al: Dynamic tests in real-time breast echography. Ultrasound Med Biol, 14: 53-57, 1988.」に記載されているように、乳腺領域における画像診断では、腫瘍の可動性(モビリティーと呼ばれる。)を評価するダイナミックテストといわれる検査が知られている。ダイナミックテストとは、関心腫瘍がその周囲の組織に対してどの程度拘束されているかを評価するものである。具体的には、乳房全体を大きく変形させたときに、注目対象の腫瘍が周囲組織の動きに引きずられて動くか、それとも、周囲組織の動きに引きずられずに、独立した動きを示すかを、断層像をリアルタイムで観察しながら評価する診断法である。例えば、乳癌の中でも浸潤性の腫瘍は、周囲の組織に浸潤して発育するため、周囲組織との拘束度が高く、可動性が低い。一方、良性の腫瘍は浸潤性を示さないため、周囲組織に結合された挙動は示さず、可動性が高いといわれる。しかし、これらの可動性の評価は、検者の経験、主観に依存しているため、客観性が低い。
そこで、本実施例では、ヒストグラムを用いて可動性の評価を行うようにしている。図23(a)、(b)に本実施例の弾性情報の表示例を示す。同図(a)に示す関心部は、良性腫瘍などで可動性が高い腫瘍の場合を想定している。このとき、腫瘍は周囲の乳腺部には拘束されていないので、外部から乳房全体を大きく変形させたとき、腫瘍と乳腺の境界部ではスリップする挙動が現れる。つまり、境界の腫瘍側の領域と境界の乳腺側の領域において、変位の方向と大きさに違いが現れ、場合によっては逆方向に変位する。そこで、同図(a)に示すように、腫瘍と乳腺の境界を含む領域にROIを設定し、そのROI内に例えば0.05mmの深度方向の変位が与えられたときの圧迫操作を、評価の基準として設定する。このときのROI内の横方向の変位の大きさをヒストグラムとして表示すると、図に示すように、正の方向(例えば、画像で右向き)と負の方向(例えば、画像で左向き)に、同程度の大きさの変位を持ったヒストグラムのピークが2つ現れる。このヒストグラムの広がり方(ピークの半値幅、標準偏差や分散など)や、ピーク間の距離(mm)が、可動性の程度を与える目安として評価することができる。
一方、同図(b)に示す関心部は、悪性腫瘍の可動性が低い腫瘍の場合である。この場合、腫瘍は周囲の乳腺部には強く拘束されているので、外部から乳房全体を大きく変形させたとき、腫瘍と乳腺の境界部は同等の運動をする。つまり、境界の腫瘍側の領域と境界の乳腺側の領域において、変位の方向と大きさの違いが小さく、場合によっては完全に結合して変位する。そこで、同図(a)と同様に、腫瘍と乳腺の境界を含む領域にROIを設定し、そのROI内に0.05mmの深度方向の変位が与えられたときの圧迫操作を評価の基準とし、ROI内の横方向の変位の大きさをヒストグラムを表示すると、同図(b)のようになる。すなわち、正の方向(例えば、画像で右向き)か、負の方向(例えば、画像で左向き)のいずれか一方に、同程度の大きさの変位を持ったヒストグラムのピークが現れ、ヒストグラムの広がり方(ピークの半値幅、標準偏差や分散など)を可動性の程度を与える目安として評価することができる。
実施例19では、良悪性鑑別の1つの情報として、腫瘍の周囲への浸潤度に関係する可動性を客観的に評価するために、変位情報に基づいたヒストグラムを補助弾性情報として提供する例を説明した。本実施例では、良悪性鑑別の1つの情報として、組織間の癒着を評価するための補助弾性情報として、ヒストグラムを適用する方法を示す。
図24は、乳腺組織に腫瘍がある場合の弾性画像の例を示している。特に、乳腺と大胸筋の境界部の近くにある腫瘍を摘出する手術を行う場合に適した補助弾性情報の例である。乳腺と大胸筋の境界部の近くにある腫瘍を摘出する場合、乳腺と大胸筋の間から腫瘍にアプローチすることがある。このような手術を行う場合、腫瘍と大胸筋、及び乳腺と大胸筋が癒着しておらず、剥離可能かどうかが非常に重要になる。
そこで、本実施例では、同図(a)に示すように、乳腺と大胸筋との癒着を評価したい領域にROIを設定する。図23の場合と同様、乳腺と大胸筋が癒着していなければ、乳腺と大胸筋は乳房の変形に対してそれぞれ独立の運動を行い、境界部ではスリップする現象が起こる。したがって、例えば所定の大きさの深度方向の変位を与え、横方向の変位をヒストグラム画像として表示すると、同図(a)のようにヒストグラムのピークが2つ現れる。
一方、乳腺と大胸筋が強く癒着をしている場合は、同図(b)に示すように、乳腺と大胸筋が結合して運動するために、一定の変位のところにピークを持った分布として得られる。したがって、ROIにおけるヒストグラムの広がり方(ピークの半値幅、標準偏差や分散など)によって、癒着あるいは剥離の可能性を評価する目安になる。
このように、剥離可能かどうかの評価に変位情報に基づいたヒストグラムを用いることができ、腫瘍の摘出手術における手術計画を立てるための重要な情報として利用することができる。
なお、癒着の評価は摘出手術の場合に限らず、豊胸手術などにおいて乳腺と大胸筋との間にバッグ(生理食塩水バッグやシリコンバッグなど)を挿入するような場合にも、組織間の癒着を評価するために効果的に用いることができる。内視鏡を用いた外科手術においてもその効果は同様である。
図25を参照して、本発明の定量的な補助弾性情報を、高密度焦点式超音波(以下、HIFU : high-intensity focused ultrasound という。)の治療効果判定に適用した本実施例21について説明する。
HIFUによる治療は、超音波治療用プローブから被検体内の治療部位に超音波を放射し、治療部位の小さな領域に高密度の超音波を集束させ、焦点部位を例えば60〜90℃の高温に加熱して病変部(例えば、癌などの病巣)の組織を死滅させるものである。そして、焦点を少しずつ治療部位内で移動させて、病変部の組織全体を死滅させて治療する。
この治療により死滅された病変部の組織は熱変性により硬くなるから、その硬さの程度と治療効果とを対応付けることができる。ところで、治療部位に関心領域ROIを設定し、ROI内の弾性情報を計測して弾性画像を観察すれば、治療部位の組織全域に渡って万遍なく均一に治療が施されたかどうかを判定できる。しかし、硬さに応じた階調で表示される弾性画像によれば、背景技術の欄で述べたように、色階調が近似する領域の微小部位については、階調差を明確に識別できず、治療が施されたかどうかを明確に区別できない場合がある。このような場合に、本発明の補助弾性情報であるヒストグラムにより、定量的及び客観的に的確な診断を支援することができる。
図25(a)は、治療前の前立腺癌を含む前立腺の断面を弾性画像で描出している様子を示す。このとき、前立腺癌の領域にROIを設定すると、図に示すように、例えば100(kPa)程度を中心とした弾性を有することが分かる。
次に、前立腺癌の領域にHIFU治療を施した途中過程の様子を同図(b)に示す。十分に超音波が照射された前立腺癌の領域は、熱変性により硬化しており、例えば同図(b)に示すように300 (kPa)程度の硬さに変化していることがヒストグラムにより認識される。しかし、同図(b)のヒストグラムから把握されるように、未治療の前立腺癌の硬さを表す100(kPa)の硬さをもつ組織領域がROI内部に残っており、これらの領域は十分に超音波が照射されなかった治療不完全な領域であることが分かる。
このとき、図13の実施例と同様にして、治療不完全な領域をカーソルC1、C2で選択し、弾性画像にその計測点をフィードバックして表示する処理を行えば、治療不完全な領域を画像上に示すことができ、検者が認識できる。
そして、最後に、同図(c)に示すように、熱変性が不十分な治療不完全な領域に対して、再度、HIFU治療を施して、ヒストグラムを確認することにより、ROI内のすべての領域において均一に万遍なく治療が行われたことを確認することができる。
なお、治療完了の判断基準として200(kPa)以上を閾値として設定することもできる。これにより、治療効果判定に共通条件を設定することができ、一定の治療基準に従った確実な治療を実現することができる。
また、熱で癌組織を焼灼して治療する方法はHIFUに限らず、RFA(経皮的ラジオ波焼灼療法)の場合にも、本発明を適用できる。また、逆に癌組織を急速に冷却して治療するクライオ療法でも、熱変性による硬化を対応づけるだけであるから、本発明を同様に適用することができる。
さらに、治療方法に関係なく、例えば薬剤を利用したホルモン療法なども含めて、癌組織等の治療において、組織変性により硬さが変化する治療法に対して、その治療処理が万遍なく行われたかどうか、又は治療効果が万遍なく得られているかどうかを評価する方法として、本発明を利用することができる。
図26を参照して、乳癌検診に好適な本発明の実施例22を説明する。乳癌の検診においては、通常、図26(a)、(b)に示すように超音波探触子を乳房に当てて走査し、乳房の断層像をリアルタイムでスキャンして、乳癌検診が行われている。このような検診においては、一人の被験者に十分な検査時間を割くことが困難であり、効率的な診断が求められる。しかし、リアルタイムにスキャンされる断層像の計測断面内のすべての領域を、見落としなく観察することは非常に時間を要する作業であり、経験にも大きく依存する。すなわち、Bモード像等の断層像は、生体内の組織の構造を画像として構築した情報であり、腫瘤像を形成しているとか、後方のエコーが増強しているとか、辺縁部が粗雑であるとかなど、組織の形態情報を鑑別に利用する。つまり、非常に多くの複雑な視点に基づいて腫瘍を検出したり、鑑別したりするため、効率的に診断を行うためには検者の経験が求められる。
ところで、腫瘍は、周囲の脂肪組織や乳腺組織に比較して硬いため、例えば弾性情報として弾性率に基づいた検査を行うときには、計測断面内に大きな弾性率を持った領域があるかどうかを観察することになる。また、悪性の組織ほど、硬いことが分かっているので、異常な硬さを持った領域が計測断面に含まれるかどうかだけに注意を集中すればよいため、リアルタイムでも効率的に認識することが可能である。
しかし、背景技術の欄で述べたように、弾性画像に基づいて乳癌などの腫瘍を弾性の違いを判別して鑑別しようとする場合、異なる色階調の境界領域、あるいは、色階調が近似する領域について、弾性の差異を明確に区別できない場合がある。したがって、弾性画像に基づいて計測断面のすべての領域をくまなく、かつ注意深く観察する必要があり、リアルタイムに計測断面をスイープしてこれを行うことは検者の負担が大きい。
そこで、本実施例では、弾性画像に加えて、あるいは弾性画像に代えて、弾性情報の分布をヒストグラム化して補助弾性情報として表示することにより、効率的な検診を実現するようにしている。すなわち、図26(c)に示すように、断面のスキャン中にリアルタイムで歪みや弾性率などの弾性情報を計測し、その弾性情報の分布をヒストグラム化して表示する。例えば、悪性を疑う弾性率の閾値Ethを200(kPa)としたとき、ヒストグラム分布を見るだけで、現在の弾性画像に存在するEth以上の弾性率の計測点の分布を即座に判断することができる。つまり、弾性画像であれば隅々まで確認することになるが、本実施例によれば、そのような負担がなくなる。
さらに、ヒストグラムの縦軸(度数)にも閾値Cthを設定し、Eth以上の計測点がCth以上計測された場合には、ヒストグラムの表示画像上に「弾性異常領域あり」等の警告を表示するようにすれば、見落としを防ぐことができる。
また、ヒストグラムの縦軸(度数)のスケールは、リニアスケールからログスケールに変更できるようになっていてもよい。ログスケールにすることにより、悪性を疑う硬い腫瘍が非常に小さい、度数が少ない場合でも、それを見落とすことなく高感度に検出することができる。
以上、各実施例で説明したように、変位、歪み、あるいは弾性率等に基づいた弾性画像に加えて、あるいは弾性画像に代えて、弾性分布のヒストグラムを含む補助弾性情報を画像表示器10の表示画面に表示することにより、効率的で検者負担の少ない診断を実現することができる。
Claims (28)
- 被検体の組織に圧力を加えて計測された超音波断層データに基づいて、前記被検体の断層部位の複数の計測点における組織の弾性データを求める弾性データ演算手段と、該弾性データに基づいて前記断層部位の弾性画像を生成する弾性画像生成手段とを備えた超音波診断装置において、前記弾性データより、前記被検体を構成する組織の集団的挙動を表す統計的な特徴量を把握するための集団的挙動把握手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段は、前記弾性データに基づいて弾性分布を表して、前記集団的挙動を把握することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動は、前記組織の組織性状を反映していることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段は、関心領域に含まれる全ての各計測点の弾性データを母集団とし、同一又は同程度の弾性データを有する計測点の個数をヒストグラムとしてグラフ化する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段は、前記ヒストグラムに限られず、ヒストグラムから発生して求められる特徴量を補助弾性情報として表示する手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段は、前記弾性データに画像処理を施した後のデータについて、組織の集団的挙動を表す統計的な特徴量を把握することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段により、注目する前記被検体の領域がその周囲の領域とどのような硬さの関係で結合しているかを評価する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記集団的挙動把握手段は、前記弾性画像の弾性分布を表すヒストグラムを生成するヒストグラム評価手段と、前記弾性画像と前記ヒストグラムの画像の少なくとも一方を表示する画像表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラム評価手段は、前記弾性画像に設定される関心領域における弾性分布を表すヒストグラムを生成することを特徴とする請求項8に記載の超音波診断装置。
- 前記弾性データは、前記組織の変位、歪み及び弾性率のいずれか一つであることを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラムは、弾性データを複数の区間に分割し、各区間に対応する前記弾性データを有する計測点の個数を長さで表示したものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記弾性画像生成手段は、前記弾性画像に設定された前記関心領域を、前記被検体に加えられる圧力に応じて変位する前記組織に追従させて自動的に変更することを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラムの画像に、前記ヒストグラムの前記弾性データの平均、標準偏差、中央値の少なくとも一つを併せて表示する手段を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記画像表示手段は、前記超音波断層データに基づいて生成された前記断層部位の断層画像と、前記弾性画像と、前記ヒストグラムの画像とを同一画面に表示することを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラムの画像に、前記ヒストグラムの分布を近似した関数と、前記ヒストグラムに表れたピークの前記弾性データと、前記ピークの標準偏差の少なくとも一つを併せて表示する手段を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラム評価手段は、前記ヒストグラムの画像上に表示されたカーソルにより指定される前記弾性データの区間における前記計測点の個数と該区間の弾性データを求め、前記ヒストグラムの画像に数値で表示することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラム評価手段は、前記ヒストグラムの画像上に表示された複数のカーソルに挟まれる前記弾性データの複数の区間における前記計測点の個数と、該複数の区間の弾性データの平均値と、該複数の区間の弾性データの標準偏差の少なくとも一つを求め、前記ヒストグラムの画像に数値で表示することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
- 前記画像表示手段は、前記超音波断層データに基づいて生成された前記断層部位の断層画像と、前記弾性画像と、前記ヒストグラムとを同一の画面に並べて表示し、
前記ヒストグラム評価手段は、前記ヒストグラムの画像上に表示された複数のカーソルに挟まれる前記弾性データの複数の区間における前記計測点の個数と、該複数の区間の弾性データの平均値と、該複数の区間の弾性データの標準偏差の少なくとも一つを求め、前記ヒストグラムの画像に数値で表示すると共に、前記カーソルに挟まれた区間に属する複数の前記計測点の位置を前記弾性画像に識別可能に表示することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。 - 前記ヒストグラム評価手段は、前記ヒストグラムの画像上に表示された2つのカーソルにより指定される2つの前記弾性データの区間における前記弾性データの比を求め、前記ヒストグラムの画像に数値で表示することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラム評価手段は、前記ヒストグラムの画像上に表示されたカーソルにより指定される前記ヒストグラム分布のピーク部の前記弾性データの半値幅を求め、該半値幅に基づいて前記ピーク部に対応する組織性状を評価し、該評価結果を前記ヒストグラムの画像に表示することを特徴とする請求項11に記載の超音波診断装置。
- 前記画像生成手段は、前記圧力に応じて変位する前記組織に追従させて前記弾性画像に設定された前記関心領域を自動的に変更し、
前記ヒストグラム評価手段は、前記変更された関心領域における前記ヒストグラムを生成することを特徴とする請求項9に記載の超音波診断装置。 - 前記画像生成手段は、前記関心領域内の前記ヒストグラムが分布する弾性データの幅に対応させて、前記弾性画像の色相と輝度の少なくとも一方による階調を割り付け直して、前記弾性画像のコントラストを高くすることを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記画像表示手段は、前記ヒストグラムを小さなウインドウ表示で前記弾性画像に重ねて又は半透明で表示することを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記画像表示手段は、前記断層画像と前記弾性画像と前記ヒストグラムをウインドウ表示するとともに、ウインドウの大きさを入力指令に応じて切り替え可能に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の超音波診断装置。
- 前記ヒストグラム評価手段は、前記弾性画像の設定される複数の関心領域に対応する複数のヒストグラムを関心領域ごとに色分けして合成することを特徴とする請求項8又は9に記載の超音波診断装置。
- 前記弾性データ演算手段は、前記超音波断層データに基づいて前記被検体の断層部位の複数の計測点における組織の変位ベクトルを求め、
前記弾性画像生成手段は、前記断層部位の前記計測点に対応させて前記変位ベクトルを表示する弾性画像を生成し、
前記ヒストグラム評価手段は、前記弾性画像に設定される関心領域における特定方向の前記変位ベクトル成分の分布のヒストグラムを生成する請求項8に記載の超音波診断装置。 - 前記関心領域は、異なる組織の境界を含む領域に設定されることを特徴とする請求項26に記載の超音波診断装置。
- 前記弾性データ演算手段は、被検体の計測断層面を異ならせて計測された超音波断層データに基づいて、前記被検体の複数の断層面における複数の弾性フレームデータを求め、
前記ヒストグラム評価手段は、前記複数の弾性フレームデータの弾性分布を表すヒストグラムを生成することを特徴とする請求項8に記載の超音波診断装置。
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