JPWO2006104166A1 - 晶析分離用担体及び化合物の分離方法 - Google Patents
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Abstract
溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態から固相状態に可逆的に変化する化合物である晶析分離用担体であって、他の化合物と結合する反応部位を有し、前記反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有するものであり、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する晶析分離用担体によれば、化学反応は液相にて行うことができるうえ、反応終了後の液相から特定物質を選択的に固体化(結晶化)して容易に分離でき、更に、分離した化合物が担体に結合したままの状態で構造解析等による化合物の特定が可能となる。
Description
本発明は、晶析分離用担体及び化合物の分離方法に関し、詳しくは、溶液組成及び/又は溶液温度の変化により、液相状態から固相状態に迅速に変化する化合物である晶析分離用担体、及び当該晶析分離用担体を用いた化合物の分離方法に関する。
従来より、化学プロセスにおいては、液体に溶解した特定成分を固体として分離する方法が広く用いられている。特定成分のみを固体化(結晶化)することにより、反応後の分離・精製が容易となるためである。特に、近年、医薬品の開発研究等で用いられている化合物ライブラリー合成等の逐次多段階合成においては、各反応終了毎に、必要又は不要な化合物を固体化(結晶化)させることにより、固体化(結晶化)した物質の分離・精製が容易となり、工程が煩雑となることを防止できる。
このような、溶液に溶解した特定成分の固体化(結晶化)は、化合物の化学的性質、物性、及び溶媒との関係において、一定の条件を満たすことにより実現される。
しかしながら、固体化(結晶化)の条件は、多くの場合、試行錯誤を行い、経験的に探索せねばならない。特に、逐次多段階合成においては、それぞれの段階において合成された化合物に特有な性質に基づいて、固体化(結晶化)条件の検討が必要となるため、プロセス開発に多大なコストと時間を要していた。
そこで、溶媒組成の変化を敏感に感知して、溶解状態と不溶化(結晶化)状態とが可逆的に変化する、リンカーを有する担体分子が提案されている。このような担体分子には、リンカーを介して種々の化合物を結合させることができ、結合された化合物は、担体分子に伴って、溶解状態から不溶化(結晶化)状態、又はその逆に、容易に状態変化することができる。また、このような担体に結合した化合物は、逐次化学反応によって化学構造が変化した場合であっても、ほぼ同一の条件により、溶解状態と不溶化(結晶化)状態を可逆的に繰り返すことができる。
このような、溶解状態と不溶化(結晶化)状態とが可逆的に変化する担体分子を用いれば、有機化学の液相反応の知見をそのまま利用しつつ、均一な溶液状態から分離対象とする化合物を選択的に不溶化(結晶化)させることができる。すなわち、液相反応の後に、他の可溶性成分を溶液に残したままで、特定の化合物を分離することが可能となった。
溶解状態と不溶化状態を可逆的に繰り返すことができる担体としては、例えば、ポリエチレングリコールなどの溶媒に可溶な高分子を使用した方法が知られている(非特許文献1参照)。
「Liquid−phase combinatorial synthesis」 Hyunsoo Han, Mary M. Wolfe, Sydney Brenner, and Kim D. Janda, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 92, pp. 6419−6423, July 1995 Chemistry
「Liquid−phase combinatorial synthesis」 Hyunsoo Han, Mary M. Wolfe, Sydney Brenner, and Kim D. Janda, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 92, pp. 6419−6423, July 1995 Chemistry
しかしながら、非特許文献1に記載されたポリエチレングリコールなどの高分子を担体とする場合には、高分子が不均一であることに起因して、化合物が担体に結合したままの状態では、化合物の特定が困難であった。また、ポリエチレングリコールは親水性であるため、無水反応を行う上での困難が伴い、取扱が煩雑となる問題があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、化学反応は液相にて行うことができ、反応終了後の液相から、特定物質を選択的に固体化(結晶化)することにより、特定物質の分離が容易となり、更に、分離した化合物が担体に結合したままの状態で、構造解析等による化合物の特定が可能となる、晶析分離用担体及び化合物の分離方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、他の化合物と結合する反応部位を有し、溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態と固相状態に可逆的に変化する晶析分離用担体を用いれば、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態から固相状態に可逆的に変化する化合物である晶析分離用担体であって、他の化合物と結合する反応部位を有し、前記反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有するものであり、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する晶析分離用担体。
(1)の晶析分離用担体は、反応部位において他の化合物と結合し、他の化合物と結合したままの状態で、溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴って、液相状態から固相状態に可逆的に変化する。このため、反応部位と反応する他の化合物を、選択的に晶析させることが可能となる。
また、(1)の晶析分離用担体に結合した他の化合物は、逐次化学反応によって化学構造が変化した場合であっても、ほぼ同一の条件により、液相状態と固相状態を可逆的に繰り返すことができる。このため、それぞれの化合物に特有の性質等に基づく結晶化条件を検討する必要がない。
したがって、(1)の晶析分離用担体によれば、プロセス開発を容易とするばかりでなく、例えば、化合物ライブラリー合成等による医薬品等の研究開発を促進することが可能となり、ひいては生化学工業や化学工業における技術革新に寄与することができる。
(2) 前記晶析分離用担体は、糖類骨格を有するものである(1)記載の晶析分離用担体。
(2)の晶析分離用担体は、糖類骨格を有するものである。ここで、「糖類骨格を有する」とは、糖類に起因する骨格を一部に含む構造であることを意味する。例えば、糖類を出発物質とし、糖類の少なくとも1つの水酸基そのもの、又は、水酸基の水素原子が、反応部位に置換された構造等を挙げることができる。
(2)の晶析分離用担体は、糖類骨格を有するため、炭化水素基を多数導入しやすい。このため、晶析分離用担体の疎水性を向上することができる。
(3) 前記糖類は、ペントース又はヘキソースである(2)記載の晶析分離用担体。
(3)の晶析分離用担体は、糖類骨格としてペントース又はヘキソースを有するものである。糖類の中でも、ペントース又はヘキソースを骨格とすることにより、入手が容易であり、また、炭化水素基の導入が容易となる。
(4) 前記晶析分離用担体は、下記化学式(A)〜(F)で示される(1)から(3)いずれか記載の晶析分離用担体。
(式中、
Xは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子であり、
R1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基、及び、水素、の群から選ばれるいずれかであり、
且つ、それぞれ、R1〜R5の少なくとも1つ、R6〜R10の少なくとも1つ、R11〜R16の少なくとも1つ、R17〜R22の少なくとも1つ、R23〜R27の少なくとも1つ、及び、R28〜R33の少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭素数8以上の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数8以上のアシル基を示す。)
Xは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子であり、
R1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基、及び、水素、の群から選ばれるいずれかであり、
且つ、それぞれ、R1〜R5の少なくとも1つ、R6〜R10の少なくとも1つ、R11〜R16の少なくとも1つ、R17〜R22の少なくとも1つ、R23〜R27の少なくとも1つ、及び、R28〜R33の少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭素数8以上の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数8以上のアシル基を示す。)
(4)の晶析分離用担体は、ペントース又はヘキソースの骨格を有する誘導体である。これらの中でも、環状構造のフラノース又はピラノース骨格を有する場合には、より晶析効果が高まる傾向にある。
式中のR1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基である。炭素数がこの範囲にあれば、入手が容易であり、晶析容易とすることができる。
また、(4)の晶析分離用担体は、少なくとも1つの炭素数8以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又は少なくとも1つの炭素数8以上の置換基を有していてもよいアシル基を有する。長鎖の炭化水素基又はアシル基を有することにより、(4)の晶析分離用担体は疎水性を示し、このため、反応終了後、極性の高い溶媒を加えることによって、晶析し易くすることができる。炭素数は12以上が好ましく、更に好ましくは18以上である。
(5) 前記晶析分離用担体は、下記化学式(G)で示される(1)記載の晶析分離用担体。
(式中、
Xは、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子であり、
Yは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有する反応部位であり、
R34は、炭素数1〜60の炭化水素基であり、
nは、1〜5の整数を示す。)
Xは、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子であり、
Yは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有する反応部位であり、
R34は、炭素数1〜60の炭化水素基であり、
nは、1〜5の整数を示す。)
(5)の晶析分離用担体は、他の化合物と結合する反応部位を有するとともに、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子を介して結合された炭素数1〜60の炭化水素基を有する。炭素数1〜60の長鎖炭化水素基を有することにより、(5)の晶析分離用担体は疎水性を示し、このため、多くの有機溶媒に対して高い濃度で溶解することができる。炭素数は12〜30が好ましく、更に好ましくは20〜30である。
(6) 化合物の分離方法であって、(1)から(5)いずれか記載の晶析分離用担体を、可溶性溶媒に溶解して担体溶液を調製する溶解工程と、前記晶析分離用担体の反応部位に、他の化合物を結合させる結合工程と、前記他の化合物が結合した担体を晶析させる晶析工程と、含む化合物の分離方法。
(6)の化合物の分離方法は、本発明の晶析分離用担体を用いた分離方法である。(6)の化合物の分離方法によれば、特定物質を選択的に晶析することが可能となる。したがって、液相に可溶性の成分は残したままで、特定物質のみを分離することができ、これにより、分離工程を複雑化することを回避することができる。
また、晶析工程により晶析分離された晶析分離用担体に伴われた化合物は、担体から分離することなく、そのまま構造解析等をすることが可能である。したがって、晶析後に化合物を分離するための工程を経ることなく、得られた化合物の確認等を実施することができるため、研究開発等の場面において、要する時間を短縮し、研究の促進化を実現することができる。
したがって、(6)の化合物の分離方法は、生化学物質の分離・精製、医薬品候補物質の探索、新規化学合成反応法やペプチド連続合成法等の構築等において、革新的な技術となりうる。
(7) 前記晶析工程の後に、前記晶析した担体から他の化合物を分離する分離工程を更に含む(6)記載の化合物の分離方法。
(7)の化合物の分離方法は、本発明の晶析分離用担体に伴われた化合物を、晶析の後に晶析用担体から分離する工程を含むものである。これにより、合成等により得られた目的の化合物を、単一化合物として得ることが可能となる。また、分離した後の晶析分離用担体は、その後、再利用することも可能となる。
(8) 前記晶析工程の前に、溶液から不純物を除去する不純物除去工程を更に含む(6)又は(7)記載の化合物の分離方法。
(8)の化合物の分離方法は、本発明の晶析分離用担体と化合物が結合した物質を、溶液から晶析させる前に、溶液から不純物を除去する工程を含むものである。これにより、その後晶析される物質(晶析分離用担体と化合物の複合物)の純度を上げることが可能となる。
(9)前記晶析工程は、溶液組成を変化させる手段及び/又は溶液温度を変化させる手段により、担体を析出させる(6)から(8)いずれか記載の化合物の分離方法。
(9)の化合物の分離方法は、溶液組成及び/又は溶液温度を変化させることにより、晶析を実施するものである。本発明の晶析分離用担体は、溶液組成及び/又は溶液温度の変化に鋭敏に反応する。このため、溶液の組成及び/又は温度を変化させる手段を用いることにより、化合物を伴った晶析分離用担体を晶析することが可能となり、晶析分離用担体と結合していない可溶性の物質は、溶液に残したままの状態で、特定の化合物を容易に分離することができる。
(10) 前記溶液組成を変化させる手段は、前記可溶性溶媒への親和性の高い溶媒を添加するものである(9)記載の化合物の分離方法。
(10)の化合物の分離方法は、化合物と晶析分離用担体が結合した複合物が溶解している溶液に、親和性の高い溶媒を添加するものである。親和性の高い溶媒を添加することにより、溶液組成を変化させることができるため、化合物を伴った晶析分離用担体を晶析させることが可能となる。
(11) 前記溶液組成を変化させる手段は、前記可溶性溶媒を濃縮するものである(9)記載の化合物の分離方法。
(11)の化合物の分離方法は、化合物と晶析分離用担体が結合した複合物が溶解している溶液を濃縮するものである。溶液を濃縮することにより、溶液中に存在する化合物と晶析分離用担体が結合した複合物の濃度が高くなる。このため、溶液組成を変化させることができ、化合物を伴った晶析分離用担体を晶析させることが可能となる。
(12) 前記溶液温度を変化させる手段は、溶液を冷却するものである(9)記載の化合物の分離方法。
(12)の化合物の分離方法は、溶液を冷却する晶析工程を有するものである。溶液を冷却することにより、溶液温度を変化させることができ、化合物を伴った晶析分離用担体を晶析することが可能となる。
本発明の晶析分離用担体によれば、化学反応を液相にて行うことができ、反応終了後の液相から、特定物質を選択的に固体化(結晶化)することにより、特定物質の分離を容易とすることができる。また、分離した化合物が担体に結合したままの状態で、構造解析等による化合物の特定をすることができる。このため、それぞれの化合物に特有の性質等に基づく結晶化条件を検討する必要がないため、プロセス開発を容易とするばかりでなく、例えば、化合物ライブラリー合成等による医薬品等の研究開発を促進することが可能となり、ひいては生化学工業や化学工業における技術革新に寄与することができる。
また、本発明の化合物の分離方法によれば、特定の物質を選択的に晶析することが可能となる。したがって、液相に可溶性の成分は残したままで、特定物質のみを分離することができ、これにより、分離工程を複雑化することを回避することができる。このため、本発明の化合物の分離方法は、生化学物質の分離・精製、医薬品候補物質の探索、新規化学合成反応法やペプチド連続合成法等の構築等において、革新的な技術となりうる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<晶析分離用担体>
本発明の晶析分離用担体は、溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態から固相状態に可逆的に変化する化合物である晶析分離用担体であって、他の化合物と結合する反応部位を有し、前記反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有するものであり、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する晶析分離用担体である。
本発明の晶析分離用担体は、溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態から固相状態に可逆的に変化する化合物である晶析分離用担体であって、他の化合物と結合する反応部位を有し、前記反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有するものであり、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する晶析分離用担体である。
[反応部位]
本発明の晶析分離用担体が有する他の化合物と結合するための反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有し、同種の原子が複数含まれていてもよい。
本発明の晶析分離用担体が有する他の化合物と結合するための反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有し、同種の原子が複数含まれていてもよい。
また、反応部位の大きさは、特に限定されるものではなく、反応部位の一部に、他の化合物と結合するための反応箇所となる部分を有するものであればよい。また、反応部位における、他の化合物と結合するための反応箇所が存在する位置は、特に限定されるものではないが、反応を容易とする目的で、反応部位の末端に存在していることが好ましい。
反応部位においては、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する。反応部位において、他の化合物と結合する炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを有する反応箇所の構造は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基等を挙げることができる。
また、反応部位の数は、特に限定されるものではなく、複数個を有していてもよい。本発明においては、その後の構造解析等が容易となることから、例えば、晶析分離の対象となる他の化合物と1:1で結合することが好ましく、この場合には、本発明の晶析分離用担体における他の化合物との反応個所の数は、1箇所とすることが好ましい。
本発明における晶析分離用担体としては、糖類骨格を有するものが好ましい。ここで、「糖類骨格を有する」とは、糖類に起因する骨格を一部に含む構造であることを意味する。また、糖類とは、ポリアルコール自身、ポリアルコールのアルデヒド、ケトン、酸、それらの誘導体、縮合体などを含めるものである。本発明において、糖類骨格を有する場合には、単糖類であっても、これらが複数個縮合した少糖類や多糖類であってもよい。
本発明の晶析分離用担体における糖類骨格としては、特に限定されるものではないが、ペントース又はヘキソースであることが好ましい。
本発明の晶析分離用担体が糖類骨格を有する場合には、例えば、糖類を出発物質として、糖類に反応部位を導入することにより、晶析分離用担体を得ることができる。反応部位の導入位置は、特に限定されるものではない。また、反応部位の導入方法も、特に限定されるものではない。例えば、糖類の少なくとも1つの水酸基、又は、水酸基の水素原子を、反応部位に置換する方法を挙げることができる。
本発明の晶析分離用担体として、更に好ましい例としては、下記化学式(A)〜(F)で示されるものを挙げることができる。
(式中、
Xは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子であり、
R1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基、及び、水素、の群から選ばれるいずれかであり、
且つ、それぞれ、R1〜R5の少なくとも1つ、R6〜R10の少なくとも1つ、R11〜R16の少なくとも1つ、R17〜R22の少なくとも1つ、R23〜R27の少なくとも1つ、及び、R28〜R33の少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭素数8以上の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数8以上のアシル基を示す。)
Xは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子であり、
R1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基、及び、水素、の群から選ばれるいずれかであり、
且つ、それぞれ、R1〜R5の少なくとも1つ、R6〜R10の少なくとも1つ、R11〜R16の少なくとも1つ、R17〜R22の少なくとも1つ、R23〜R27の少なくとも1つ、及び、R28〜R33の少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭素数8以上の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数8以上のアシル基を示す。)
上記の(A)〜(F)に示される晶析分離用担体は、ペントース又はヘキソースの骨格を有する誘導体である。式中のR1〜R33の炭素鎖の炭素数としては、通常1〜60である。これらの中でも、環状構造のフラノース又はピラノース骨格を有する場合には、より晶析効果が高まる傾向にある。
また、(A)〜(F)に示される晶析分離用担体は、少なくとも1つの炭素数8以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又は少なくとも1つの炭素数8以上の置換基を有していてもよいアシル基を有する。長鎖の炭化水素基又は長鎖のアシル基の存在は、晶析分離用担体を疎水性とする。長鎖部分の炭素数は、通常8以上であるが、12以上が好ましく、更に好ましくは18以上である。
化合物(A)〜(F)を製造する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、塩基性条件下で、糖類骨格を有する化合物とハロゲン化炭化水素を反応させることにより、エーテル結合を介して、適切な炭化水素を、糖類骨格を有する化合物に導入する方法が挙げられる。このとき、トリチルクロライドのような保護基を用いれば、任意の位置の水酸基を残しつつ、それ以外の水酸基に炭化水素鎖を導入することが可能となる。
また、本発明の晶析分離用担体として、好ましい別の例としては、下記化学式(G)で示されるものを挙げることができる。
(式中、
Xは、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子であり、
Yは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有する反応部位であり、
R34は、炭素数1〜60の炭化水素基であり、
nは、1〜5の整数を示す。)
Xは、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子であり、
Yは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有する反応部位であり、
R34は、炭素数1〜60の炭化水素基であり、
nは、1〜5の整数を示す。)
(G)に示される晶析分離用担体は、他の化合物と結合する反応部位を有するとともに、炭素、酸素、硫黄、又は、窒素原子を介して結合された炭素数1〜60の炭化水素基を有する。炭素数1〜60の長鎖炭化水素基の存在は、晶析分離用担体を疎水性とする。このため、長鎖の炭化水素基を有する晶析分離用担体は、多くの有機溶媒に対して高い濃度で溶解することができる。長鎖部分の炭素数は、通常1〜60以上であるが、12〜30が好ましく、更に好ましくは20〜30である。
化合物(G)を製造する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、結合部位となる官能基を有するフェノール誘導体を、塩基性条件下で、ハロゲン化炭化水素と反応させることにより、アルコキシフェニル誘導体を得て、その後、公知の官能基変換手法により、結合部位となる官能基を変換し、晶析分離用担体(G)を合成することができる。
<化合物の分離方法>
本発明の化合物の分離方法は、本発明の晶析分離用担体を、可溶性溶媒に溶解して担体溶液を調製する溶解工程と、前記晶析分離用担体の反応部位に、他の化合物を結合させる結合工程と、前記他の化合物が結合した担体を晶析させる晶析工程と、を含むものである。
本発明の化合物の分離方法は、本発明の晶析分離用担体を、可溶性溶媒に溶解して担体溶液を調製する溶解工程と、前記晶析分離用担体の反応部位に、他の化合物を結合させる結合工程と、前記他の化合物が結合した担体を晶析させる晶析工程と、を含むものである。
[溶解工程]
本発明における溶解工程に用いられる可溶性溶媒は、本発明の晶析分離用担体を溶解できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ハロゲン化炭化水素、鎖状エーテル、環状エーテル、炭素原子数4〜40の環状炭化水素又は鎖状炭化水素等を挙げることができる。より具体的には、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらを単独使用してもよく、これらの溶媒と、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等とを併用してもよい。
本発明における溶解工程に用いられる可溶性溶媒は、本発明の晶析分離用担体を溶解できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ハロゲン化炭化水素、鎖状エーテル、環状エーテル、炭素原子数4〜40の環状炭化水素又は鎖状炭化水素等を挙げることができる。より具体的には、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらを単独使用してもよく、これらの溶媒と、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等とを併用してもよい。
可溶性溶媒に本発明の晶析分離用担体を溶解させるときの濃度は、用いる溶媒、晶析分離用担体、晶析分離担体と結合させる化合物の性質等に応じて適宜選択することが可能であるが、通常0.01〜0.1g/mlである。
[結合工程]
本発明における結合工程における結合方法としては、前工程で可溶性溶媒に溶解させた晶析分離用担体の反応部位に、反応部位と反応する部分を有する他の化合物を結合させる方法であれば、特に限定されるものではなく、液相における各種の化学反応を用いることができる。例えば、エステル結合やアミド結合を形成することにより、結合する方法を挙げることができる。
本発明における結合工程における結合方法としては、前工程で可溶性溶媒に溶解させた晶析分離用担体の反応部位に、反応部位と反応する部分を有する他の化合物を結合させる方法であれば、特に限定されるものではなく、液相における各種の化学反応を用いることができる。例えば、エステル結合やアミド結合を形成することにより、結合する方法を挙げることができる。
[晶析工程]
本発明における晶析工程は、前工程である結合工程において、晶析分離用担体に結合させた化合物を、担体に伴わせた状態のままで晶析させる工程である。本発明における晶析工程は、晶析分離用担体に晶析対象となる化合物を結合させた状態を維持したままで晶析させることができれば、特に限定されるものではないが、例えば、溶液組成を変化させる手段及び/又は溶液温度を変化させる手段を、好ましく用いることができる。
本発明における晶析工程は、前工程である結合工程において、晶析分離用担体に結合させた化合物を、担体に伴わせた状態のままで晶析させる工程である。本発明における晶析工程は、晶析分離用担体に晶析対象となる化合物を結合させた状態を維持したままで晶析させることができれば、特に限定されるものではないが、例えば、溶液組成を変化させる手段及び/又は溶液温度を変化させる手段を、好ましく用いることができる。
〔溶液組成を変化させる手段〕
本発明の晶析工程において、好ましく用いられる、溶液組成を変化させる手段としては、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体が溶解する溶液の組成を変化させることのできる手段であれば、特に制限されるものではない。
本発明の晶析工程において、好ましく用いられる、溶液組成を変化させる手段としては、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体が溶解する溶液の組成を変化させることのできる手段であれば、特に制限されるものではない。
本発明において、溶液組成を変化させる好ましい手段としては、例えば、溶解工程において晶析分離用担体を溶解するために用いられた可溶性溶媒への親和性の高い溶媒を、更に添加する手段が挙げられる。親和性の高い溶媒としては、可溶性溶媒として用いられた溶媒と同一の溶媒でも、異なった溶媒であってもよい。例えば、可溶性溶媒として、ジクロロメタン、テトラヒドロフランを単独使用した場合や、これらの溶媒と、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等とを併用した場合には、親和性の高い溶媒として、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、メタノール等を用いることができる。
また、溶液組成を変化させる別の好ましい手段としては、例えば、晶析対象となる化合物が結合した状態の晶析分離用担体が溶解している溶液の溶媒を、濃縮する手段が挙げられる。ここで、濃縮とは、溶媒の一部又は全部を留去することをいう。尚、全部を留去することにより、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体を結晶化する場合には、溶液に含まれる不純物等が一緒に析出してしまうことがありうるため、晶析工程を実施する前に、不純物を除去する工程を含めることが好ましい。
〔溶液温度を変化させる手段〕
本発明の晶析工程において、好ましく用いられる、溶液温度を変化させる手段としては、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体が溶解した溶液の温度を変化させることのできる手段であれば、特に制限されるものではない。本発明においては、例えば、溶液を冷却する手段を挙げることができる。例えば、晶析分離用担体を溶解させる可溶性溶媒としてシクロヘキサンを用いた場合には、5℃まで冷却することにより、晶析させることが可能となる。また、溶液温度を変化させる手段として溶媒を冷却する手段を用いる場合には、ODS粒子(オクタデシル基を表面に結合したシリカゲル)、カラズビース等の結晶化の核となるものを添加することにより、結晶成長を容易とすることが可能となる。
本発明の晶析工程において、好ましく用いられる、溶液温度を変化させる手段としては、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体が溶解した溶液の温度を変化させることのできる手段であれば、特に制限されるものではない。本発明においては、例えば、溶液を冷却する手段を挙げることができる。例えば、晶析分離用担体を溶解させる可溶性溶媒としてシクロヘキサンを用いた場合には、5℃まで冷却することにより、晶析させることが可能となる。また、溶液温度を変化させる手段として溶媒を冷却する手段を用いる場合には、ODS粒子(オクタデシル基を表面に結合したシリカゲル)、カラズビース等の結晶化の核となるものを添加することにより、結晶成長を容易とすることが可能となる。
[分離工程]
本発明の化合物の分離方法においては、晶析工程にて得られた晶析対象となる化合物が結合した状態の晶析分離用担体に対して、化合物と、晶析分離用担体と、に分離する工程を含むことが好ましい。
本発明の化合物の分離方法においては、晶析工程にて得られた晶析対象となる化合物が結合した状態の晶析分離用担体に対して、化合物と、晶析分離用担体と、に分離する工程を含むことが好ましい。
化合物と、晶析分離用担体と、に分離する方法としては、特に限定されるものではなく、化合物と晶析分離用担体の結合を切断できるものであればよい。例えば、パラアルコキシベンジル結合が形成されている場合には、酸処理することにより、結合解離させることが可能である。
[不純物除去工程]
本発明の化合物の分離方法においては、晶析工程を実施する前に、不純物を除去するための不純物除去工程を含めることが好ましい。晶析工程においては、溶液に含まれている不純物が一緒に析出してしまう場合がありうる。特に、晶析工程として、溶媒の全てを留去する手段を用いる場合には、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体の結晶とともに、不純物が析出してしまう。したがって、晶析工程を実施する前に、予め不純物を除去しておくことにより、その後得られる晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体の結晶の純度を上昇させることができる。
本発明の化合物の分離方法においては、晶析工程を実施する前に、不純物を除去するための不純物除去工程を含めることが好ましい。晶析工程においては、溶液に含まれている不純物が一緒に析出してしまう場合がありうる。特に、晶析工程として、溶媒の全てを留去する手段を用いる場合には、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体の結晶とともに、不純物が析出してしまう。したがって、晶析工程を実施する前に、予め不純物を除去しておくことにより、その後得られる晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体の結晶の純度を上昇させることができる。
不純物を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、晶析対象となる化合物が結合した晶析分離用担体が溶解している溶液の全体を、溶媒で洗浄する方法等を挙げることができる。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
トリチルクロライド(trityl chloride)100g、メチルα−D−グルコシド(Methyl−α−D−glucoside)(化合物1)89g(1.3eq.)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)4.6g(0.1eq.)を、1リットルのナスフラスコに入れた。これに、脱水されたジクロロメタン400ml、トリエチルアミン(TEA)190ml(4eq.)を加え、更にジクロロメタン(DCM)100mlによりフラスコを洗いこみ、よく撹拌した。得られた反応液に水を加え、分液ロートを用いて有機相を洗浄し、未反応のMethyl−α−D−glucosideを取り除いた。その後、有機相を、無水硫酸マグネシウム50g程度にて15分間乾燥し、引き続き、ろ過後濃縮した。これを、メタノール350mlに、70℃程度に加温しながら溶解し、そのまま室温で撹拌し、再結晶を行った。生じた結晶をろ過し、メタノール、ヘキサン(n−hexane)各100ml程度を用いて、ろ紙上で洗浄した後、減圧下でメタノールを除去することにより、目的の化合物である6−O−trityl−α−D−Methyl glucoside(化合物2)を得た。収率は70%であった。
再結晶した上澄みを、更に濃縮しなおし、再び、メタノールに溶解して再結晶を実施した。得られた化合物26.2gを、1リットルのナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(THF)又はジクロロメタン(DCM)400mlに溶解し、トリエチルアミン(TEA)230ml(28eq.)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)2.2g(0.1eq.)を加え、氷冷しながら5分間撹拌した。滴下漏斗を用いて10分間かけて、ゆっくりとステアリン酸クロライド111.4mlを加え、その後、4時間よく撹拌した。反応液は初めのうち白い沈殿(TEAの塩酸)が生じ、その後、徐々にオレンジ色に変化した。TLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で反応終了を確認した後、ろ過して塩を取り除いた。得られたろ紙上の白い化合物を、ヘキサン(n−hexane)100ml程度で洗浄し、液相を濃縮した。これに、ヘキサン(n−hexane)100ml、2−プロパノール(2−propanol)100mlを加え、70℃程度で加温溶解した後、室温で再結晶を実施し、目的とする化合物3を得た。収率は80%であった。
得られた化合物40.9gを、1リットルのナスフラスコに入れ、ジクロロメタン(DCM)250mlに溶解し、トリフルオロ酢酸(TFA)4mlを加えた後、少しずつ、3−メルカプトプロピオン酸10mlを加え、その後、60分間氷浴にて撹拌した。引き続き、トリエチルアミン(TEA)8mlを、氷冷しながらゆっくりと加えた。得られた反応液を濃縮し、ヘキサン(n−hexane)100mlを加えて溶解し、分液ロートにて、ジメチルホルムアミド(DMF)50ml×3回、アセトニトリル50ml×3回で洗浄した。洗浄後、2−プロパノール(2−propanol)150mlを加えて再結晶を実施し、目的の化合物4(オクタデカノイックアシッド 2−ヒドロキシメチル−6−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラヒドロ−ピラン−3−イルエステル)を得た。得られた化合物4は、31g、収率は95%であった。
1H−NMR(300MHz;CDCl3)5.58(1H,t,J=9.90Hz),5.01(1H,t,J=9.90Hz),4.97(1H,d,J=3.67Hz),4.87(1H,dd,J=9.90,3.67Hz),3.76(1H,m),3.68(1H,m),3.57(1H,m),3.40(3H,s),2.41−2.17(6H,m),1.64−1.43(6H,m),1.34−1.14(84H,m),1.01(9H,s) and 0.88(9H,t,J=6.60Hz);HRMS caldcd. for C61H116O9Na m/z1015.8517, found 1015.85170
1H−NMR(300MHz;CDCl3)5.58(1H,t,J=9.90Hz),5.01(1H,t,J=9.90Hz),4.97(1H,d,J=3.67Hz),4.87(1H,dd,J=9.90,3.67Hz),3.76(1H,m),3.68(1H,m),3.57(1H,m),3.40(3H,s),2.41−2.17(6H,m),1.64−1.43(6H,m),1.34−1.14(84H,m),1.01(9H,s) and 0.88(9H,t,J=6.60Hz);HRMS caldcd. for C61H116O9Na m/z1015.8517, found 1015.85170
得られた化合物4の81gを、1リットルのナスフラスコに入れ、ジクロロメタン(DCM)300mlに溶解した。これに、別途、下記に記載する方法にて合成した化合物5を33.7g(2eq.)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)を1g加えて撹拌し、更に、加温融解したジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)88ml(4eq.)を加え、室温で1時間反応させた。反応後の溶液を減圧下で濃縮、引き続き洗浄し、化合物6を得た。
水素化ホウ素ナトリウム4gをメタノール100mlに溶解し、化合物6のヘキサン(n−hexane)溶液に加え、室温で2時間反応させた。更に、反応液に水を10ml加え、5分撹拌した。分液ロートを用いて、下層を捨て、得られた溶液相を洗浄の後、無水硫酸マグネシウム50gで乾燥した。その後、ろ過濃縮を実施し、目的とする本発明の晶析分離用担体である化合物7(オクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル)を得た。得られた化合物7は、81g、収率は85%であった。
1H−NMR(600MHz;CDCl3)δ:7.29(2H,d,J=8.54Hz)、6.883(2H,d,J=8.54Hz)、5.49(1H,t,J=9.77Hz)、5.07(1H,t,J=9.77Hz)、4.932(1H,dd,J=10.3,3.66Hz)4.84(1H,dd,J=10.3,3.66Hz)、4.62(2H,d,J=5.86)、4.24(1H,dd,J=12.2,4.88Hz)、4.15−4.10(1H,m)、4.02(2H,t,J=6.11Hz)、3.99−3.94(1H,m),3.37(3H,s)、2.58(2H,t,J=7.08Hz),2.32−2.09(8H,m)、1.64−1.58(6H,m)、1.26(84H,s),0.89(9H,t,J=7.08Hz)
13C−NMR(150MHz;CDCl3)δ:172.9,172.69,172.53,172.22,158.37,133.16,128.53,114.5,96.73,70.67,69.54,68.12、67.19,66.56,64.97,61.89,55.32、51.32、42.15,34.10,34.02,33.98,33.94,31.83,30.47,29.61,29.58,29.49,29.43,29.40,29.38,29.27,29.23,29.17,29.1,29.0,28.9,24.8,24.7,24.6,24.5,23.4,22.6,14.0
1H−NMR(600MHz;CDCl3)δ:7.29(2H,d,J=8.54Hz)、6.883(2H,d,J=8.54Hz)、5.49(1H,t,J=9.77Hz)、5.07(1H,t,J=9.77Hz)、4.932(1H,dd,J=10.3,3.66Hz)4.84(1H,dd,J=10.3,3.66Hz)、4.62(2H,d,J=5.86)、4.24(1H,dd,J=12.2,4.88Hz)、4.15−4.10(1H,m)、4.02(2H,t,J=6.11Hz)、3.99−3.94(1H,m),3.37(3H,s)、2.58(2H,t,J=7.08Hz),2.32−2.09(8H,m)、1.64−1.58(6H,m)、1.26(84H,s),0.89(9H,t,J=7.08Hz)
13C−NMR(150MHz;CDCl3)δ:172.9,172.69,172.53,172.22,158.37,133.16,128.53,114.5,96.73,70.67,69.54,68.12、67.19,66.56,64.97,61.89,55.32、51.32、42.15,34.10,34.02,33.98,33.94,31.83,30.47,29.61,29.58,29.49,29.43,29.40,29.38,29.27,29.23,29.17,29.1,29.0,28.9,24.8,24.7,24.6,24.5,23.4,22.6,14.0
〔化合物5の合成〕
炭酸カリウム470g(5eq.)、アセトニトリル500ml、パラヒドロキシベンズアルデヒド(p−Hydroxybenzaldehyde)81.82g、4−ブロモ酪酸エチル144ml(1.5eq.)を混合し、メカニカルスターラーで撹拌しながら24時間、加熱還流を行った。反応後の溶液をろ過し、ろ紙上の炭酸カリウムをアセトニトリル100mlで洗浄し、溶液を濃縮した。生じた黄色油状物質をメタノール200 mlに溶解し、予め39gの水酸化ナトリウムを300mlの水に溶解させたものを加えた。室温で1時間撹拌しながら反応させた後、氷冷しながら12M塩酸80mlを注意深くゆっくりと加えた。引き続き、ジエチルエーテル100mlで3回抽出して洗浄の後、無水硫酸マグネシウム50gで乾燥した。その後、ろ過濃縮を実施し、目的の化合物5を得た。得られた化合物5は、130g、収率は95%であった。
炭酸カリウム470g(5eq.)、アセトニトリル500ml、パラヒドロキシベンズアルデヒド(p−Hydroxybenzaldehyde)81.82g、4−ブロモ酪酸エチル144ml(1.5eq.)を混合し、メカニカルスターラーで撹拌しながら24時間、加熱還流を行った。反応後の溶液をろ過し、ろ紙上の炭酸カリウムをアセトニトリル100mlで洗浄し、溶液を濃縮した。生じた黄色油状物質をメタノール200 mlに溶解し、予め39gの水酸化ナトリウムを300mlの水に溶解させたものを加えた。室温で1時間撹拌しながら反応させた後、氷冷しながら12M塩酸80mlを注意深くゆっくりと加えた。引き続き、ジエチルエーテル100mlで3回抽出して洗浄の後、無水硫酸マグネシウム50gで乾燥した。その後、ろ過濃縮を実施し、目的の化合物5を得た。得られた化合物5は、130g、収率は95%であった。
<実施例2>
[結合工程及び晶析工程]
[担体−Phe−Fmoc(化合物8)の合成]
実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)0.174g(0.3mmol)を、ジクロロメタン(DCM)20mlに溶解した。これに、Fmoc−Phe−OHを0.387g(0.45mmol)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)0.114g(0.9mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.1eqを添加し、室温下で1時間攪拌を行った。引き続き、溶媒を留去した後、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質を、アセトニトリル30mlで洗浄することによって、オクタデカノイックアシッド6−(4−{4−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−3−フェニル−プロピオニロキシメチル]−フェノキシ}−ブチリロキシメチル)−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物8)を得た。収率は98%であった。
1H−NMR(400MHz;CDCl3)δ:7.77(2H,d,J=7.3Hz)、7.55(2H,d,J=7.3Hz)、7.40(2H,t,J=7.3Hz)、7.33−7.27(3H,m)、7.24−7.20(4H,m)、7.02−6.98(2H,m)、6.85(2H,d,J=8.5Hz)、5.51(1H,dd,J=10.0,9.5Hz),5.27−5.10(2H,m)、5.08(1H,dd,J=10.0,9.5Hz)、4.93(1H,d,J=3.7Hz)、4.88(1H,dd,J=10.0,3.7Hz)、4.71−4.65(1H,m)、4.4−4.3(2H,m)、4.25(1H,dd,J=12.2,2.7Hz)、4.21−4.17(1H,m)、4.13(1H,dd,J=12.2,2.7Hz)、4.00(2H,t,J=5.6Hz)、3.97−3.95(1H,m)、3.38(3H,s)、3.10(2H,dd,J=6.8,6.3Hz),2.58(2H,t,J=6.8Hz)2.34−2.19(6H,m)、2.12(2H,qui,J=6.8Hz)、1.25(90H.brs)、0.88(9H,t,J=7.08Hz)
13C−NMR(150MHz;CDCl3)δ:172.9,172.7,172.6,159.1,155.5,143.8,143.5,141.3,135.6,130.5,129.4,128.5,127.7,127.2,127.0,125.1,119.9,114.5,96.9,70.7,69.6,68.1,67.3,67.1,66.966.6,61.9,55.4,54.8,47.1,38.134.1,34.0,340.3,31.9,30.5、29.7,29.6,29.61,29.5,29.4,29.3,29.28,29.23,29.14,29.1,29.0,24.9,24.522.7,14.1
[結合工程及び晶析工程]
[担体−Phe−Fmoc(化合物8)の合成]
実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)0.174g(0.3mmol)を、ジクロロメタン(DCM)20mlに溶解した。これに、Fmoc−Phe−OHを0.387g(0.45mmol)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)0.114g(0.9mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.1eqを添加し、室温下で1時間攪拌を行った。引き続き、溶媒を留去した後、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質を、アセトニトリル30mlで洗浄することによって、オクタデカノイックアシッド6−(4−{4−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−3−フェニル−プロピオニロキシメチル]−フェノキシ}−ブチリロキシメチル)−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物8)を得た。収率は98%であった。
1H−NMR(400MHz;CDCl3)δ:7.77(2H,d,J=7.3Hz)、7.55(2H,d,J=7.3Hz)、7.40(2H,t,J=7.3Hz)、7.33−7.27(3H,m)、7.24−7.20(4H,m)、7.02−6.98(2H,m)、6.85(2H,d,J=8.5Hz)、5.51(1H,dd,J=10.0,9.5Hz),5.27−5.10(2H,m)、5.08(1H,dd,J=10.0,9.5Hz)、4.93(1H,d,J=3.7Hz)、4.88(1H,dd,J=10.0,3.7Hz)、4.71−4.65(1H,m)、4.4−4.3(2H,m)、4.25(1H,dd,J=12.2,2.7Hz)、4.21−4.17(1H,m)、4.13(1H,dd,J=12.2,2.7Hz)、4.00(2H,t,J=5.6Hz)、3.97−3.95(1H,m)、3.38(3H,s)、3.10(2H,dd,J=6.8,6.3Hz),2.58(2H,t,J=6.8Hz)2.34−2.19(6H,m)、2.12(2H,qui,J=6.8Hz)、1.25(90H.brs)、0.88(9H,t,J=7.08Hz)
13C−NMR(150MHz;CDCl3)δ:172.9,172.7,172.6,159.1,155.5,143.8,143.5,141.3,135.6,130.5,129.4,128.5,127.7,127.2,127.0,125.1,119.9,114.5,96.9,70.7,69.6,68.1,67.3,67.1,66.966.6,61.9,55.4,54.8,47.1,38.134.1,34.0,340.3,31.9,30.5、29.7,29.6,29.61,29.5,29.4,29.3,29.28,29.23,29.14,29.1,29.0,24.9,24.522.7,14.1
[担体−Val−Pro−Fmoc(化合物10)の合成]
乾燥させたナスフラスコに、実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)を593mg(0.5mmol)、Fmoc−Val−OHを340mg(2eq)を入れ、ジクロロメタン(DCM)15mlを加えて溶解させた。更に、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)154μl(2eq) 、ジメチルアミノピリジン(DMAP)6.1mg(0.1eq)を加え、室温で約1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、5%のDBUアセトニトリル溶液1mlを加え、10分間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物であるオクタデカノイックアシッド 2−{4−[4−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシメチル)−フェノキシ]−ブチリロキシメチル}−6−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラヒドロ−ピラン−3−イルエステル(担体−Val−NH2)(化合物9)を得た。収率は92%であった。
乾燥させたナスフラスコに、実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)を593mg(0.5mmol)、Fmoc−Val−OHを340mg(2eq)を入れ、ジクロロメタン(DCM)15mlを加えて溶解させた。更に、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)154μl(2eq) 、ジメチルアミノピリジン(DMAP)6.1mg(0.1eq)を加え、室温で約1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、5%のDBUアセトニトリル溶液1mlを加え、10分間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物であるオクタデカノイックアシッド 2−{4−[4−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシメチル)−フェノキシ]−ブチリロキシメチル}−6−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラヒドロ−ピラン−3−イルエステル(担体−Val−NH2)(化合物9)を得た。収率は92%であった。
更に、得られた担体−Val−NH2(化合物9)を462mg(0.36mmol)、予めジメチルホルムアミド(DMF)1mlにジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)154μl(2eq)、HOBt(2eq)135mgを溶解し、Fmoc−Pro−OHを337mg(2eq)活性化させたものを、ジクロロメタン15mlに溶解させ、室温で1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物である担体−Val−Pro−Fmoc、すなわち、オクタデカノイックアシッド 6−メトキシ−2−[4−(4−{3−メチル−2−[(ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ブチリロキシメチル}−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラヒドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物10)を得た。得られた化合物10は、473mg(0.30mmol)、収率は59%であった。
1H−NMR(CDCl3,600MHz)δ:7.79−7.73(4H,m),7.43−7.35(4H,m),7.34−7.28(2H,dd,J=13.9,7.0Hz),6.87−6.79(2H,m),5.50(1H,t,J=9.9Hz),5.08(1H,t,J=9.9Hz),4.93(1H,d,J=3.6Hz),4.88(1H,dd,J=9.9,3.7Hz),4.53−4.33(3H,m),4.24(1H,dd,J=12.1,4.8Hz),4.13(1H,dd,J=12.1,2.2Hz),4.07−3.88(3H,m),3.87−3.79(2H,m),3.67−3.42(2H,m),3.38(3H,s),2.56(2H,t,J=6.2Hz),2.38−2.18(8H,m),2.01−1.86(2H,m),1.64−1.47(8H,m),1.31−1.21(84H,m),1.14(9H,d,J=6.6Hz),0.88(9H,t,J=7.0Hz)
13C−NMR(CDCl3,150MHz)δ:172.9,172.7,172.6,172.3,158.9,141.3,130.1,127.7,127.1,127.0,125.1,120.0,114.4,96.9,70.7,69.6,68.2,67.3,66.7,66.6,62.0,55.4,47.2,42.2,34.2,34.1,34.0,31.9,30.5,29.7,29.6,29.5,29.3,29.2,29.1,25.0,24.9,24.8,24.5,24.4,23.5,22.7,19.0,17.5,14.1.
1H−NMR(CDCl3,600MHz)δ:7.79−7.73(4H,m),7.43−7.35(4H,m),7.34−7.28(2H,dd,J=13.9,7.0Hz),6.87−6.79(2H,m),5.50(1H,t,J=9.9Hz),5.08(1H,t,J=9.9Hz),4.93(1H,d,J=3.6Hz),4.88(1H,dd,J=9.9,3.7Hz),4.53−4.33(3H,m),4.24(1H,dd,J=12.1,4.8Hz),4.13(1H,dd,J=12.1,2.2Hz),4.07−3.88(3H,m),3.87−3.79(2H,m),3.67−3.42(2H,m),3.38(3H,s),2.56(2H,t,J=6.2Hz),2.38−2.18(8H,m),2.01−1.86(2H,m),1.64−1.47(8H,m),1.31−1.21(84H,m),1.14(9H,d,J=6.6Hz),0.88(9H,t,J=7.0Hz)
13C−NMR(CDCl3,150MHz)δ:172.9,172.7,172.6,172.3,158.9,141.3,130.1,127.7,127.1,127.0,125.1,120.0,114.4,96.9,70.7,69.6,68.2,67.3,66.7,66.6,62.0,55.4,47.2,42.2,34.2,34.1,34.0,31.9,30.5,29.7,29.6,29.5,29.3,29.2,29.1,25.0,24.9,24.8,24.5,24.4,23.5,22.7,19.0,17.5,14.1.
[担体−D−Ala−(2−pyridyl)−D−Phe−4−chloro−NH2(化合物11)の合成]
乾燥させたナスフラスコに、実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)を948mg(0.8mmol)、Fmoc−(2−pyridyl)−D−Ala−OHを373mg(1.2eq)入れ、ジクロロメタン(DCM)12mlに溶解させた。更に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(1−Ethyl−3−(3−dimethyl amino propyl)carbodiimide hydrochloride)を460mg(3eq)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)6.1mg(0.1eq)を加え、室温で1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、5%DBU アセトニトリル溶液15mlを加え、10分間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物である担体−D−Ala−(2−pyridyl)−NH2を得た。得られた担体−D−Ala−(2−pyridyl)−NH2は、1150mg(0.76mmol)、収率は95%であった。
乾燥させたナスフラスコに、実施例1で得られた本発明の晶析分離用担体であるオクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル(化合物7)を948mg(0.8mmol)、Fmoc−(2−pyridyl)−D−Ala−OHを373mg(1.2eq)入れ、ジクロロメタン(DCM)12mlに溶解させた。更に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(1−Ethyl−3−(3−dimethyl amino propyl)carbodiimide hydrochloride)を460mg(3eq)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)6.1mg(0.1eq)を加え、室温で1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、5%DBU アセトニトリル溶液15mlを加え、10分間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物である担体−D−Ala−(2−pyridyl)−NH2を得た。得られた担体−D−Ala−(2−pyridyl)−NH2は、1150mg(0.76mmol)、収率は95%であった。
更に、得られた担体−D−Ala−(2−pyridyl)−NH2を1150mg(0.76mmol)、予めジメチルホルムアミド(DMF)8ml、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(1−Ethyl−3−(3−dimethyl amino propyl)carbodiimide hydrochloride)を460mg(3eq)及びHOBtを216mg(2eq)混合した溶液中でFmoc−4−chloro−D−Phe−OHを405mg(1.2eq)活性化させておいたものを、乾燥させたナスフラスコにとり、ジクロロメタン(DCM)12mlに溶解させ、室温で1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、5%DBUアセトニトリル溶液15mlを加え、1時間撹拌した。反応の終了をTLC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で確認した後、溶媒を留去し、アセトニトリル30mlを攪拌しながらゆっくりと加えて晶析させた。吸引ろ過し、ろ紙上に析出した物質をアセトニトリル30mlで洗浄することによって、目的物である担体−D−Ala−(2−pyridyl)−D−Phe−4−chloro−NH2(化合物11)を得た。得られた化合物11は、1170mg(0.67mmol)、収率は84%であった。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:8.44−8.39(1H,m),8.27−8.21(1H,m),7.81−7.73(2H,m),7.57−7.50(2H,m),7.44−7.37(2H,m),7.35−7.30(2H,m),7.29−7.25(3H,m),7.30−7.18(3H,m),7.06−7.02(2H,m),6.89−6.84(2H,m),5.50(1H,t,J=9.5Hz),5.32−5.22(1H,m),5.09(1H,t,J=9.5Hz),5.06−5.02(1H,m),4.95−4.92(1H,d,J=4.2Hz),4.90−4.85(1H,dd,J=9.5,4.2Hz),4.82−4.72(1H,m),4.48−4.40(1H,m),4.40−4.30(2H,m),4.25(1H,dd,J=12.5,4.2Hz),4.21−4.16(1H,m),4.13(1H,dd,J=12.5,4.2Hz),4.00(2H,t,J=6.4Hz),3.98−3.93(1H,m),3.38(3H,s),3.13−2.93(4H,m),2.58(2H,t,J=6.8Hz),2.38−2.17(6H,m),2.12(2H,q,J=6.8Hz),1.76−1.47(6H,m),1.33−1.21(84H,m),0.90−0.84(9H,t,J=7.1Hz)
13C−NMR(CDCl3,150MHz)δ:174.6,173.0,172.3,162.5,161.9,141.2,140.6,137.1,136.3,134.8,134.0,132.5,130.4,128.6,128.4,128.1,127.7,127.6,,127.0,127.1,126.3,125.8,125.0,120.0,119.9,114.6,96.9,74.3,74.1,70.7,69.6,68.2,67.3,67.2,66.7,62.7,55.4,53.0,47.0,36.5,34.2,34.1,34.0,31.9,31.4,30.5,29.7,29.3,24.9,24.8,24.4,22.7,14.1.
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:8.44−8.39(1H,m),8.27−8.21(1H,m),7.81−7.73(2H,m),7.57−7.50(2H,m),7.44−7.37(2H,m),7.35−7.30(2H,m),7.29−7.25(3H,m),7.30−7.18(3H,m),7.06−7.02(2H,m),6.89−6.84(2H,m),5.50(1H,t,J=9.5Hz),5.32−5.22(1H,m),5.09(1H,t,J=9.5Hz),5.06−5.02(1H,m),4.95−4.92(1H,d,J=4.2Hz),4.90−4.85(1H,dd,J=9.5,4.2Hz),4.82−4.72(1H,m),4.48−4.40(1H,m),4.40−4.30(2H,m),4.25(1H,dd,J=12.5,4.2Hz),4.21−4.16(1H,m),4.13(1H,dd,J=12.5,4.2Hz),4.00(2H,t,J=6.4Hz),3.98−3.93(1H,m),3.38(3H,s),3.13−2.93(4H,m),2.58(2H,t,J=6.8Hz),2.38−2.17(6H,m),2.12(2H,q,J=6.8Hz),1.76−1.47(6H,m),1.33−1.21(84H,m),0.90−0.84(9H,t,J=7.1Hz)
13C−NMR(CDCl3,150MHz)δ:174.6,173.0,172.3,162.5,161.9,141.2,140.6,137.1,136.3,134.8,134.0,132.5,130.4,128.6,128.4,128.1,127.7,127.6,,127.0,127.1,126.3,125.8,125.0,120.0,119.9,114.6,96.9,74.3,74.1,70.7,69.6,68.2,67.3,67.2,66.7,62.7,55.4,53.0,47.0,36.5,34.2,34.1,34.0,31.9,31.4,30.5,29.7,29.3,24.9,24.8,24.4,22.7,14.1.
<実施例3>
[分離工程]
実施例2で合成した化合物8(オクタデカノイックアシッド6−(4−{4−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−3−フェニル−プロピオニロキシメチル]−フェノキシ}−ブチリロキシメチル)−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル)50mgに、ジクロロメタン(DCM)2ml、トリフルオロ酢酸2mlを加え、室温で一晩攪拌したところ、Fmoc−Phe−OHと、晶析分離用担体である化合物7(オクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル)とに分離した。ジクロロメタン(DCM)及びトリフルオロ酢酸を留去した後、残渣を1H−NMRで分析し、Fmoc−Phe−OHと化合物7の1:1混合物であることを確認した。
[分離工程]
実施例2で合成した化合物8(オクタデカノイックアシッド6−(4−{4−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−3−フェニル−プロピオニロキシメチル]−フェノキシ}−ブチリロキシメチル)−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル)50mgに、ジクロロメタン(DCM)2ml、トリフルオロ酢酸2mlを加え、室温で一晩攪拌したところ、Fmoc−Phe−OHと、晶析分離用担体である化合物7(オクタデカノイックアシッド6−[4−(4−ハイドロキシメチル−フェノキシ)−ブチリロキシメチル]−2−メトキシ−4,5−ビス−オクタデカノイロキシ−テトラハイドロ−ピラン−3−イルエステル)とに分離した。ジクロロメタン(DCM)及びトリフルオロ酢酸を留去した後、残渣を1H−NMRで分析し、Fmoc−Phe−OHと化合物7の1:1混合物であることを確認した。
<実施例4>
[温度変化による晶析工程]
シクロヘキサン30ml及びジメチルホルムアミド(DMF)30mlを混合して作成した溶液を50℃に加温した後、ここに2−アミノ−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシロキシ−ベンジルエステル0.1ミリモルを溶解した。ここにFmoc−G1y−OBt0.3ミリモル、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)0.5ミリモルを含むジメチルホルムアミド(DMF)溶液20mlを添加し、90分間攪拌した。次に本反応システムを攪拌しながら5℃まで冷却した。冷却後、結晶を析出させ、吸引ろ過法によりシクロヘキサン・ジメチルホルムアミド(DMF)二相分離溶液を除去し、固形物を5℃以下に冷却したアセトニトリル20mlで3回洗浄し、2−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−アセチルアミノ]−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシルオキシベンジルエステルを得た。収率は96%であった。
1H‐NMR(400MHz)δ:7.77(2H,d,J=7.3Hz),7.59(2H,d,J=7.3Hz),7.40(2H,t,J=7.3Hz),7.31(2H,dt,J=0.7,7.3Hz),6.52(2H,s),6.38(1H,d,J=8.4Hz),5.44−5.37(1H,br),5.10(1H,d,J=12.1Hz),5.02(1H,d,J=12.1Hz),4.62(2H,dd,J=8.4,4.8Hz),4.42(2H,d,J=7.0Hz),4.24(1H,t,J=7.0Hz),3.96−3.92(8H,m),2.21−2.16(1H,m),1.81−1.76(4H,m),1.75−1.70(2H,m),1.48−1.43(6H,m),1.37−1.21(84H,br),0.91(3日,d,J=7.0Hz),0.88(9H,t,J=7.OHz),0.86(3H,d,J=7.0Hz)
13C−NMR(150MHz)δ:171.5,168.7,156.5,153.1,143.6,141.2,138.3,130.0,127.7,127.0,125.0,120.0,107.0,73.4,69.2,67.5,67.4,57.1,47.1,32.0,31.4,30.4,29.8,29.7,29.5,29.4,26.1,22.8,19.0,17.7,14.2;MALDITOF−MS(pos)calcdforC83H138N208[M+Na]+1314,found1314.
[温度変化による晶析工程]
シクロヘキサン30ml及びジメチルホルムアミド(DMF)30mlを混合して作成した溶液を50℃に加温した後、ここに2−アミノ−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシロキシ−ベンジルエステル0.1ミリモルを溶解した。ここにFmoc−G1y−OBt0.3ミリモル、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)0.5ミリモルを含むジメチルホルムアミド(DMF)溶液20mlを添加し、90分間攪拌した。次に本反応システムを攪拌しながら5℃まで冷却した。冷却後、結晶を析出させ、吸引ろ過法によりシクロヘキサン・ジメチルホルムアミド(DMF)二相分離溶液を除去し、固形物を5℃以下に冷却したアセトニトリル20mlで3回洗浄し、2−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−アセチルアミノ]−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシルオキシベンジルエステルを得た。収率は96%であった。
1H‐NMR(400MHz)δ:7.77(2H,d,J=7.3Hz),7.59(2H,d,J=7.3Hz),7.40(2H,t,J=7.3Hz),7.31(2H,dt,J=0.7,7.3Hz),6.52(2H,s),6.38(1H,d,J=8.4Hz),5.44−5.37(1H,br),5.10(1H,d,J=12.1Hz),5.02(1H,d,J=12.1Hz),4.62(2H,dd,J=8.4,4.8Hz),4.42(2H,d,J=7.0Hz),4.24(1H,t,J=7.0Hz),3.96−3.92(8H,m),2.21−2.16(1H,m),1.81−1.76(4H,m),1.75−1.70(2H,m),1.48−1.43(6H,m),1.37−1.21(84H,br),0.91(3日,d,J=7.0Hz),0.88(9H,t,J=7.OHz),0.86(3H,d,J=7.0Hz)
13C−NMR(150MHz)δ:171.5,168.7,156.5,153.1,143.6,141.2,138.3,130.0,127.7,127.0,125.0,120.0,107.0,73.4,69.2,67.5,67.4,57.1,47.1,32.0,31.4,30.4,29.8,29.7,29.5,29.4,26.1,22.8,19.0,17.7,14.2;MALDITOF−MS(pos)calcdforC83H138N208[M+Na]+1314,found1314.
<実施例5>
[溶媒組成の変化による晶析工程]
ジクロロメタン(DCM)100mlに2−アミノ−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシロキシ−ベンジルエステル1ミリモルを溶解した。ここにFmoc−Gly−OBt3ミリモル、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)5ミリモルを含むジクロロメタン(DCM)溶液50mlを添加し、90分間攪拌した。次に本反応システムを攪拌しながら30℃で5mlまで濃縮、冷却後、アセトニトリル100mlを攪拌しながらゆっくりと添加した。本溶液を20℃に放置したところ、生成物が結晶化した。本結晶を吸引ろ過により分別することにより、2−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−アセチルアミノ]−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシルオキシ−ベンジルエステルを得た。収率は97%であった。
[溶媒組成の変化による晶析工程]
ジクロロメタン(DCM)100mlに2−アミノ−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシロキシ−ベンジルエステル1ミリモルを溶解した。ここにFmoc−Gly−OBt3ミリモル、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)5ミリモルを含むジクロロメタン(DCM)溶液50mlを添加し、90分間攪拌した。次に本反応システムを攪拌しながら30℃で5mlまで濃縮、冷却後、アセトニトリル100mlを攪拌しながらゆっくりと添加した。本溶液を20℃に放置したところ、生成物が結晶化した。本結晶を吸引ろ過により分別することにより、2−[2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−アセチルアミノ]−3−メチル−ブチリックアシッド3,4,5−トリス−オクタデシルオキシ−ベンジルエステルを得た。収率は97%であった。
<実施例6>
[晶析分離用担体の合成]
没食子酸メチル0.9g、1−Brドコサン10g、炭酸カリウム9gに脱水されたDMF20mlを加え、窒素気流下80℃で10時間反応させた。TLCで反応終了を確認した後、トルエン20ml、水10mlを加え、80℃で更に5分攪拌した。トルエン層を分取し溶媒を減圧留去した後、メタノール100mlを加えた。析出した結晶を桐山ロートでろ過し、粗結晶を得た。粗結晶をヘキサン200mlで再結晶させ、化合物13を5.2g(収率96%)得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.25(2H,s),4.00(6H,dd,J=6.6,1.8Hz),3.88(3H,s),1.89−1.69(6H,m),1.52−1.18(114H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
[晶析分離用担体の合成]
没食子酸メチル0.9g、1−Brドコサン10g、炭酸カリウム9gに脱水されたDMF20mlを加え、窒素気流下80℃で10時間反応させた。TLCで反応終了を確認した後、トルエン20ml、水10mlを加え、80℃で更に5分攪拌した。トルエン層を分取し溶媒を減圧留去した後、メタノール100mlを加えた。析出した結晶を桐山ロートでろ過し、粗結晶を得た。粗結晶をヘキサン200mlで再結晶させ、化合物13を5.2g(収率96%)得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.25(2H,s),4.00(6H,dd,J=6.6,1.8Hz),3.88(3H,s),1.89−1.69(6H,m),1.52−1.18(114H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
化合物13を5.2g、THF60mlに40℃で溶解させ、攪拌しながら水素化リチウムアルミニウム270mgをゆっくりと加え、1時間反応させた。TLCで反応の終了を確認後、1NHCl水溶液30mlを加えて有機層を分離した。有機層をさらに1NHCl水溶液30mlで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlで1回、ブライン30mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去させ、化合物14を4.8g(収率95%)得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:6.56(2H,s),4.58(2H,d,J=5.9Hz),3.97(4H,t,J=6.6Hz),3.93(2H,t,J=6.6Hz),1.85−1.66(6H,m),1.51−1.40(6H,m),1.38−1.15(114H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:6.56(2H,s),4.58(2H,d,J=5.9Hz),3.97(4H,t,J=6.6Hz),3.93(2H,t,J=6.6Hz),1.85−1.66(6H,m),1.51−1.40(6H,m),1.38−1.15(114H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
<実施例7>
[結合工程及び晶析工程]
化合物14を545mg(0.5mmol)、Fmoc−Phe−OHを290mg(0.75mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)を6.5mg(0.05mmol)、ジクロロメタン10mlに溶解させ、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)112μl(0.75mmol)を加えて2時間攪拌した。TLCで反応の終結を確認した後、メタノール50mlを加え、室温、減圧下でジクロロメタンを留去させた。結晶を桐山ロートで吸引ろ過し、さらにメタノール50mlで結晶を洗浄した。乾燥させて化合物15を720mg(収率99%)得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.76(2H,d,J=7.52Hz),7.55(2H,d,J=7.34Hz),7.39(2H,t,J=7.52Hz),7.29(2H,m),7.21(3H,m),6.97(2H,m),6.51(2H,m),5.27(1H,d,J=8.26Hz),5.09(1H,d,J=11.93Hz),5.00(1H,d,J=11.93Hz),4.70(1H,m),4.44(1H,m),4.33(1H,m),4.20(1H,t,J=7.52Hz),3.98−3.82(6H,m),3.11(2H,m),1.83−1.69(6H,m),1.51−1.40(6H,m),1.37−1.18(108H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
[結合工程及び晶析工程]
化合物14を545mg(0.5mmol)、Fmoc−Phe−OHを290mg(0.75mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)を6.5mg(0.05mmol)、ジクロロメタン10mlに溶解させ、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)112μl(0.75mmol)を加えて2時間攪拌した。TLCで反応の終結を確認した後、メタノール50mlを加え、室温、減圧下でジクロロメタンを留去させた。結晶を桐山ロートで吸引ろ過し、さらにメタノール50mlで結晶を洗浄した。乾燥させて化合物15を720mg(収率99%)得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.76(2H,d,J=7.52Hz),7.55(2H,d,J=7.34Hz),7.39(2H,t,J=7.52Hz),7.29(2H,m),7.21(3H,m),6.97(2H,m),6.51(2H,m),5.27(1H,d,J=8.26Hz),5.09(1H,d,J=11.93Hz),5.00(1H,d,J=11.93Hz),4.70(1H,m),4.44(1H,m),4.33(1H,m),4.20(1H,t,J=7.52Hz),3.98−3.82(6H,m),3.11(2H,m),1.83−1.69(6H,m),1.51−1.40(6H,m),1.37−1.18(108H,m),0.88(9H,t,J=6.6Hz)
本発明の晶析分離用担体及び化合物の分離方法は、化合物ライブラリー合成等による医薬品等の研究開発を促進することが可能となり、ひいては生化学工業や化学工業における技術革新に寄与することができる。また、生化学物質の分離・精製、医薬品候補物質の探索、新規化学合成反応法やペプチド連続合成法等の構築等において、革新的な技術となりうる。
Claims (12)
- 溶液組成及び/又は溶液温度の変化に伴い、液相状態から固相状態に可逆的に変化する化合物である晶析分離用担体であって、
他の化合物と結合する反応部位を有し、
前記反応部位は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子を有するものであり、
炭素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、窒素原子のいずれかを介して他の化合物と結合する晶析分離用担体。 - 前記晶析分離用担体は、糖類骨格を有するものである請求項1記載の晶析分離用担体。
- 前記糖類は、ペントース又はヘキソースである請求項2記載の晶析分離用担体。
- 前記晶析分離用担体は、下記化学式(A)〜(F)で示される請求項1から3いずれか記載の晶析分離用担体。
Xは、炭素、酸素、硫黄、及び、窒素原子から選ばれる1以上の原子であり、
R1〜R27は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜60の炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数1〜60のアシル基、及び、水素、の群から選ばれるいずれかであり、
且つ、それぞれ、R1〜R5の少なくとも1つ、R6〜R10の少なくとも1つ、R11〜R16の少なくとも1つ、R17〜R22の少なくとも1つ、R23〜R27の少なくとも1つ、及び、R28〜R33の少なくとも1つは、置換基を有してもよい炭素数8以上の炭化水素基、又は、置換基を有してもよい炭素数8以上のアシル基を示す。) - 化合物の分離方法であって、
請求項1から5いずれか記載の晶析分離用担体を、可溶性溶媒に溶解して担体溶液を調製する溶解工程と、
前記晶析分離用担体の反応部位に、他の化合物を結合させる結合工程と、
前記他の化合物が結合した担体を晶析させる晶析工程と、
を含む化合物の分離方法。 - 前記晶析工程の後に、前記晶析した担体から他の化合物を分離する分離工程をさらに含む請求項6記載の化合物の分離方法。
- 前記晶析工程の前に、溶液から不純物を除去する不純物除去工程をさらに含む請求項6又は7記載の化合物の分離方法。
- 前記晶析工程は、溶液組成を変化させる手段及び/又は溶液温度を変化させる手段により、担体を析出させる請求項6から8いずれか記載の化合物の分離方法。
- 前記溶液組成を変化させる手段は、前記可溶性溶媒への親和性の高い溶媒を添加するものである請求項9記載の化合物の分離方法。
- 前記溶液組成を変化させる手段は、前記可溶性溶媒を濃縮するものである請求項9記載の化合物の分離方法。
- 前記溶液温度を変化させる手段は、溶液を冷却するものである請求項9記載の化合物の分離方法。
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