JPS6350845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はチツプ型コンデンサに関し、特にチツ
プ型固体電解コンデンサの陽極引出し電極端子の
構造の改良に関する。

従来のチツプ型固体電解コンデンサは第１図、
第２図に示す如く薄い金属板に半田メツキ等のメ
ツキ層を施し、階段状に屈折加工して折り曲げ形
成してなる陽極引出し電極端子（以後電極端子と
略称）３の先端部３ａが固体電解コンデンサ素子
（以後コンデンサ素子と略称）１の陽極線２の存
在する部位に位置し、溶接等で接合させる。しか
る後、エポキシ樹脂などでコンデンサ素子１の肩
面から陽極線２およびその接合部を覆う形の補強
樹脂４で被覆する構造であつた。

従つて、コンデンサ素子１の陽極線２と電極端
子３との接合には、スポツト溶接方法等により、
電気的、機械的に接合させるがこの時発生する熱
及び機械的ストレスによりコンデンサ素子１表面
の陽極酸化された誘電体層が損傷し、コンデンサ
の電気特性（主に漏れ電流）に悪影響を与えるの
でコンデンサ素子１と接合部までの間隔Ｘがスト
レスの影響しない適度の寸法にまで広くすること
が必要である。且つ、プリント回路基板等の配線
板へ実装するに必要な電極端子３の長さＨを含め
ると固体電解コンデンサの全長Ｗは大きくなり小
型化が困難であつた。又、上記Ｘ寸法が大きいの
でコンデンサ素子１の肩面に塗布した補強樹脂４
が乾燥硬化時に流れて樹脂の突起を生じ、コンデ
ンサ素子１と電極端子３とが同一平面を構成する
ことが出来ず、配線板に取付けする際の安定性に
欠け固着力が弱かつた。

このように従来の電極端子構造では、体積効率
のよい小型化が困難であり、基板取付後の固着力
が低かつた。

本考案の目的は、以上のような従来欠点を解決
した体積効率の高い小型化構造を有し、且つ基板
取付後の固着力を高め量産性に適したチツプ型固
体電解コンデンサを提供することにある。

すなわち、本考案は陰極部が露出したチツプ型
固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子の
陽極線に接続された均一な厚みを有する板状の電
極端子が前記陽極線の延在方向に沿つて階段状に
屈折加工されており、かつ前記電極端子の一方の
終端部を前記陽極線の先端からはみ出させて前記
陽極線と電気的に接続されているとともに前記電
極端子の他方の終端部が前記陽極線の付け根側に
向けて位置して前記コンデンサ素子の露出した陰
極部と同一平面内に配置されていることを特徴と
するチツプ型固体電解コンデンサが得られ、さら
に陽極引出し電極端子の終端部を陽極線と同程度
に細く、又円筒形状に形成した陽極引出し電極端
子構造を特徴とする、並びに陽極引出し電極端子
の表面のみにメツキ層を施したことを特徴とする
構造のチツプ型固体電解コンデンサが得られる。

以下本考案の一実施例を第３図ａ，ｂ乃至第７
図ａ，ｂを用いて説明する。

実施例 １ 第３図ａ，ｂは本考案による第１の実施例のチ
ツプ型固体電解コンデンサの平面図及び側面図で
補強樹脂の被覆していない状態を示す。第４図
ａ，ｂは第１の実施例に補強樹脂を被覆した状態
の本考案のチツプ型固体電解コンデンサの平面図
及び側面図を示す。

先ず、黄銅、洋白、ニツケルなどの薄い金属条
に半田メツキなど数ミクロンの厚さのメツキ層を
施した材料を用意し、プレス等の成型手段により
第３図に示す如く、くしの歯状の等間隔Ｐに連結
されたリードフレーム３′（二点鎖線）の先端部
を屈折加工して電極端子３を形成する。

次にタンタルなどの弁作用を有する金属粉末を
所定の形状にプレス成形し、高温真空炉中で焼結
した後、帯状の金属板（図示省略）に等間隔に接
合された状態で陽極酸化を行い、誘電体を形成し
た誘電体の表面に順次、二酸化マンガン層からな
る半導体層および、グラフアイト層および銀ペー
スト、半田等の導電体層を形成したコンデンサ素
子１を形成する。帯状の金属板に等間隔に取付ら
れた状態でコンデンサ素子１の陽極線２の長さの
範囲内に前述の連結されたリードフレーム３′の
先端部を階段状に屈折加工した電極端子３を配
し、電極端子３の終端部３ｂと陽極線２とをスポ
ツト溶接等で電気的にコンデンサ素子の肩面と接
合部まで距離X₁で接合させる。次に帯状の金属
板にコンデンサ素子を等間隔に複数個取付られた
状態でエポキシ樹脂などで第４図に示す如くコン
デンサ素子１の肩面から陽極線２まで接合部を覆
う形で補強樹脂４を被覆し加熱硬化させた後、エ
ージング、特性検査を行う。そして複数個を同時
に電極端子３の終端部３ｂの長さ寸法H₂を0.2〜
0.5ｍ／ｍ程度の定められたチツプ型固体電解コ
ンデンサの全長寸法W₁で切断し（事前にプレス
等でノツチ部を入れておいた所より）、本考案の
第１の実施例によるチツプ型固体電解コンデンサ
を得る。

実施例 ２ 第５図ａ，ｂは本考案による第２の実施例のチ
ツプ型固体電解コンデンサの平面図及び側面図で
補強樹脂を被覆していない状態を示す。本考案の
第２の実施例では第１の実施例で記載した電極端
子３の終端部３ｂを陽極線２と同程度に細くし、
かつ電極端子の終端部３ｃを形成し、陽極線２と
スポツト溶接などで電気的に接合した後、補強樹
脂４を形成してなるチツプ型固体電解コンデンサ
を得る。

実施例 ３ 第６図ａ，ｂ並びにｃは本考案による第３の実
施例のチツプ型固体電解コンデンサの平面図およ
び側面図で補強樹脂を被覆していない状態並びに
陽極引出し電極端子の斜視図を示し、本考案の第
３の実施例では第１の実施例で記載した電極端子
３の終端部３ｂに陽極線２が入る程度の大きさの
円筒状に電極端子３の終端部３ｄを形成し、陽極
線２と電気的に接続させるようにしてかしめた
後、補強樹脂４を被覆形成してなるチツプ型固体
電解コンデンサを得る。

実施例 ４ 第７図ａ，ｂは本考案による第４の実施例のチ
ツプ型固体電解コンデンサの平面図および側面図
で補強樹脂４を被覆していない状態を示す。本考
案の第４の実施例では第１の実施例乃至第４の実
施例で記載した電極端子３のメツキ層に於いて、
表面側のみに半田メツキなどのメツキ層３Ｚを施
したチツプ型固体電解コンデンサを形成する。

本考案によれば (イ) コンデンサ素子１の陽極線２の長さの範囲内
に電極端子３を設けているため本考案のチツプ
型固体電解コンデンサの全長寸法W₁が従来の
チツプ型固体電解コンデンサの全長寸法と比較
してＷ＞W₁と小さく出来る。このため電極端
子３の配線板取付との接合部の寸法Ｈ＝H₁と
同一条件のもとで陽極線の長さの範囲内になり
小型化される。しかも補強樹脂４の乾燥硬化時
の流れを電極端子３で止められるのでコンデン
サ素子１と電極端子３とが同一平面上に構成さ
れることが出来、配線板等に取付る際の安定性
が良好となり固着力が強くなる。

(ロ) 陽極引出し電極端子３の終端部３ｂ，３ｃ，
３ｄで陽極線２とが接合され、コンデンサ素子
１と接合部までの間隔寸法Ｘ＜X₁と接合間隔
が広くなるので、スポツト溶接等による熱及び
機械的ストレスがコンデンサ素子１へあたえる
影響がなくなる。

(ハ) 製造上に於いては、電極端子３が等間隔に複
数個取付られ、連結されたリードフレーム３′
を切離すことなく同時に接合及び補強樹脂４の
塗布、並びにエージング、検査作業ができるの
で、その製造工程が極めて簡潔になる。しかも
量産性に適するという顕著な効果を有する。

(ニ) 本考案の第２の実施例の如く、陽極引出し電
極端子３の終端部３ｃが陽極線２と同程度に細
くするとスポツト溶接などの接合時の溶接電流
値が小さく出来、従つてコンデンサ素子１への
熱的ストレスの影響がさらに小さくなる。

(ホ) 本考案の第３の実施例の如く、陽極引出し電
極端子３の終端部３ｄが円筒構造でかしめ接合
となるので、コンデンサ素子１への熱的ストレ
スの影響は皆無となる。

(ヘ) 本考案の第４の実施例の如く陽極引出し電極
端子３の表面側のみにはんだ等のメツキ層３Ｚ
を施してあり、反対側はメツキ層がない状態と
なるので、前者は配線板取付時の接合性は良好
で安定した接合性を保持出来、後者は陽極引出
し電極端子３と陽極線２との接合性が良好で、
安定した接合性を保持出来る利点がある。

以上のように本考案によるチツプ型固体電解コ
ンデンサは、体積効率が高く、量産性に適し且つ
信頼性の高いものであり工業的価値は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図ａおよびｂは従来の補強樹脂を被覆して
いないチツプ型固体電解コンデンサの平面図およ
び側面図。第２図ａおよびｂは従来の補強樹脂を
被覆したチツプ型固体電解コンデンサの平面図お
よび側面図。第３図ａおよびｂは本考案の補強樹
脂を被覆していない第１の実施例のチツプ型固体
電解コンデンサの平面図及び側面図。第４図ａ及
びｂは本考案の補強樹脂を被覆した第１の実施例
のチツプ型固体電解コンデンサの平面図および側
面図。第５図ａ及びｂは本考案の補強樹脂を被覆
していない第２の実施例のチツプ型固体電解コン
デンサの平面図及び側面図。第６図ａ及びｂ並び
にｃは本考案の補強樹脂を被覆していない第３の
実施例のチツプ型固体電解コンデンサの平面図及
び側面図並びに陽極引出し電極端子の斜視図。第
７図ａ及びｂは本考案の補強樹脂を被覆していな
い第４の実施例のチツプ型固体電解コンデンサの
平面図および側面図。 図中の符号、１……コンデンサ素子、２……陽
極線、３……（陽極引出し）電極端子、３ａ……
電極端子の先端部、３ｂ，３ｃ，３ｄ……電極端
子の終端部、３Ｚ……（陽極引出し）電極端子の
メツキ層、３′……連結されたリードフレーム、
４……補強樹脂、Ｈ，H₁……電極端子の配線板
取付との接合部の寸法、H₂……終端部の長さ寸
法、Ｐ，P_o……リードフレームの等間隔寸法、
Ｗ，W₁……チツプ型固体電解コンデンサの全長
寸法、Ｘ，X₁……コンデンサ素子の肩面と接合
部までの距離。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 陰極部が露出したチツプ型固体電解コンデン
   サにおいて、コンデンサ素子の陽極線に接続さ
   れた均一な厚みを有する板状の電極端子が前記
   陽極線の延在方向に沿つて階段状に屈折加工さ
   れており、かつ前記電極端子の一方の終端部を
   前記陽極線の先端からはみ出させて前記陽極線
   と電気的に接続されているとともに前記電極端
   子の他方の終端部が前記陽極線の付け根側に向
   けて位置して前記コンデンサ素子の露出した陰
   極部と同一平面内に配置されていることを特徴
   とするチツプ型固体電解コンデンサ。 (2) 前記陽極引出し電極端子の終端部を前記陽極
   線と同程度に細く形成したことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のチツプ型固
   体電解コンデンサ。 (3) 前記陽極引出し電極端子の終端部を前記陽極
   線が入る円筒形状に形成したことを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のチツプ型
   固体電解コンデンサ。 (4) 前記陽極引出し電極端子の表面側のみにメツ
   キ層を施したことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載のチツプ型固体電解コンデ
   ンサ。