【発明の詳細な説明】
レトロウイルスアスパラギン酸プロテアーゼの置換同配体としての
アザヘキサン誘導体
発明の簡単な説明
本発明は、レトロウイスルアスパラギン酸プロテアーゼの置換同配体としての
特性を有するアザヘキサン誘導体、その塩、これらの化合物およびその塩の製造
法、その化合物またはその塩を含む医薬組成物、および、ヒトまたは動物の治療
的または診断的処置または医薬組成物の製造におけるその化合物またはその塩の
(単独または他の抗レトロウイルス活性化合物と組み合わせた)使用に関する。
発明の背景
WHOの推定によると、明らかに2000万人以上がHIV−1またはHIV
−2に感染している。遅かれ早かれ、感染が、”後天性免疫不全症候群”または
AIDSとしてそれ自体知られている免疫系の発病された疾病を、ARDCのよ
うな前兆段階を経由して発病する。圧倒的な数の例において、この疾病は遅かれ
早かれ感染患者を死に導く。
今までのところ、AIDSのようなレトロウイルス疾患の処置は、主にレトロ
ウイルスRNAからDNAへの変換に作用する酵素である逆転写酵素の阻害剤、
例えば、3'−アジド−3'−デオキシチミジン(AZT)またはジデオキシイノシ
ン(DDI)ならびにまたホスホノギ酸三ナトリウム、アンモニウム−21−タン
グステナート−9−アンチモネート、1−β−D−リボフラノキシル−1,2,4
−トリアゾール−3−カルボキサミドおよびジデオキシシチジンならびにまたア
ドリアマイシンの使用を含む。体内に、例えば、組み換え分子または分子フラグ
メントの形で、ヒト体内の防御システムのある細胞に提示され、感染ウイルス粒
子のこれらの細胞への固定および導入、従って、感染を担うT4−細胞レセプタ
ーを導入する試みがなされており、その目的はウイルスの結合部位が、ビロロン
が細胞に結合しないように阻止されることである。ポリマンノアセテートのよう
なウイルスが細胞膜に浸透するのを、ある方法で防止する化合物も使用されてい
る。
HIV−プロテアーゼ阻害剤としてのヒドロキシエチレン同配体であるN−te
rt−ブチル−デカヒドロ−2−[2(R)−ヒドロキシ−4−フェニル−3(S)−[
[N−2−キノリル−カルボニル−L−アスパラギニル]アミノ]ブチル]−(4a
S,8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキシアミド(Ro31−8959)での
臨床実験の利点もまた報告されている。この化合物は、HIV−プロテアーゼに
インビトロで阻害活性を示し、細胞実験においてウイルス複製を抑制し、齧歯類
での実験において、経口投与の場合でさえ、なお有用な血中レベルが達成される
(Roberts,N.A.,et al.,Biochemical Soc.Transactions 20,513-516(1992)
参照);有用な血中レベルはまたヒトでも達成される(例えば、G.J.Muirhead e
t al.,Brit.J.Clin.Pharmacol.34,170P-171P(1992)参照)。いわゆる"代用
マーカー"(血中のCD4−リンパ球の名称、非処置患者におけるこの減少の測定
は、AIDSの進行の目盛りである)は、AIDS患者における最初の有効な効
果を示す(1993年、7月7−11日、ベルリンにおける第9回国際AIDS学会
の参加者に頒布の"Roche Statement on HIV Proteinase Inhibitor(Ro 31-8959)
European Trials Results"、参照)。この化合物、Ro 31-8959の欠点は、合成が
高価であることである。
その機能が下記のように特徴づけられる酵素である、レトロウイルスアスパラ
ギン酸プロテアーゼの多くの更なる阻害剤もまた開発中である:
AIDSウイルス、HIV−1およびHIV−2および例えば、他のネコ(FI
V)および類人猿(SIV)における対応するウイルスのようなレトロウイルスに
おいて、例えば、ウイルスのコアタンパク質のタンパク質分解的変異が、HIV
−プロテアーゼのようなアスパラギン酸プロテアーゼによりもたらされる。HI
V−1−またはHIV−2−プロテアーゼのようなこのアスパラギン酸プロテア
ーゼ類の、ウイルスの成熟における中心的役割のために、および例えば、感染細
胞培養の実験結果を基にして、このようなプロテアーゼによりもたらされる成熟
段階の有効な抑制は、インビボでの成熟ビリオンの集合を抑制するという仮説を
導く。対応する阻害剤は、従って、治療的に使用できる。
本発明の目的は、特に細胞におけるウイルス複製に対する高い阻害活性、サク
イナビルおよびインジナビルのような既知の化合物に耐性ものを含む、多くのウ
イルス株に対する高い抗ウイルス活性、および特に有利な薬理学的特性、例えば
、高いバイオアベイラビリティーおよび高い血中濃度および/または高い選択性
のような良好な薬物動態を備えた新規なタイプの化合物の提供である。
発明の詳細な説明
本発明のアザヘキサン誘導体は、式I
〔式中、
R1およびR10は互いに独立して低級アルコキシカルボニル;
R2、R3およびR4は互いに独立してC1−C4アルキル並びにR7、R8およびR9
はそれぞれ水素およびC1−C4アルキルから選択されるが、2個以上の基が水素
ではない;
またはR7、R8およびR9は互いに独立してC1−C4アルキル並びにR2、R3お
よびR4はそれぞれ水素およびC1−C4から選択され、1個または2個の基が水
素である;
R5はフェニルまたはシクロヘキシル;そして
R6はフェニルまたはシアノフェニルである〕
の化合物またはその塩である。
これらの化合物は、下に示すような予期されない良好な、驚くべき有効な薬理
学的特性を示し、合成が比較的単純である。
逆に示さない限り、上記および下記で使用する一般的用語は、本明細書の範囲
内で以下の意味を有する:
“低級”なる用語は、最大7個(7個を含む)までの炭素原子、好ましくは最大
4個(4個を含む)までの炭素原子を含む基を意味し、この基は非分枝鎖または1
回またはそれ以上分枝している。
低級アルキルおよびC1−C4アルキルは、特にtert−ブチル、sec-ブチル、イ
ソブチル、n−ブチル、イソプロピル、n−プロピル、エチルおよび特にメチル
である。
複数の化合物、塩等に付いての記載はまた一つの化合物、一つの塩等を含む。
例えば、式Iの化合物の基R2、R3およびR4およびR7、R8およびR9に結合
している炭素原子および基[(R2)(R3)(R4)C]−または[(R7)(R8)(R9)C]−
を担持する炭素原子のような、存在する不整炭素原子は、(R)−、(S)−または
(R,S)−立体配置、好ましくは(R)−または(S)−立体配置であり得、式Iに
おいて、炭素原子が基[(R2)(R3)(R4)C]−または[(R7)(R8)(R9)C]−を担
持する場合、(S)−立体配置が特に好ましい。従って、この化合物は、異性体混
合物の形または純粋な異性体の形であり得、好ましくは純粋な立体異性体の形で
ある。
低級アルコキシカルボニルは好ましくはC1−C4アルコキシカルボニルであり
、アルキル基は分枝鎖または非分枝鎖であり、特異的にはエトキシカルボニル、
より特異的にはメトキシカルボニルである。
R5に関して、フェニルがシクロヘキシルより好ましい。
シアノフェニルは好ましくは4−、3−または特に2−シアノフェニルである
。
式Iの化合物は、好ましくは式Ia
〔式中、基は上記で定義である〕
である。
塩は、式Iの化合物の特に薬理学的に許容される、非毒性塩である。
このような塩は、例えば、塩基性イミノ基を有する式Iの化合物と、特に無機
酸、例えば塩酸のような水素化ハライド酸、硫酸またはリン酸との、または強有
機スルホン酸、スルホ酸(sulfo acid)、リン酸またはN−置換スルファミン酸(
好ましくは:pKa<1)との酸付加塩として形成される。
単離または精製の目的で、薬理学的に許容されない塩、例えば過塩素酸もまた
使用できる。式Iの薬理学的に許容される塩または遊離化合物のみが治療的に使
用され、従ってそれらが好ましい。
式Iの化合物は、有効な薬学的特性を有する。それらは抗レトロウイルス活性
、特にAIDSの原因とみなされるウイルスHIV−1およびHIV−2に対す
る抗ウイルス活性を有し、レトロウイルスアスパラギン酸プロテアーゼに対して
活性な他の化合物と組み合わせて、驚くべきことに相乗効果を示す。式Iの化合
物は、レトロウイルスアスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤、特にHIV−1お
よびまたHIV−2のアスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤であり、従ってAI
DSまたはその前段階(例えば、ARDS)のようなレトロウイルス疾患の処置に
適している。式Iの化合物はまたSIV(霊長類)またはFIV(ネコ)のような対
応する動物レトロウイルスに対しても活性を示す。
式Iの化合物は、驚くべきことに、特に有利で重要な薬理学的特性、例えば、
他のプロテアーゼ阻害剤に耐性のもの、例えば、MT2−細胞を含む種々のウイ
ルス株に対して試験した細胞における非常に高い抗ウイルス活性、高バイオアベ
イラビリティー、高選択性および特に高血中濃度(経口投与の場合でさえ)のよう
な良好な薬物動態を示す。
HIV−1−プロテアーゼのタンパク質分解活性における式Iの化合物の阻害
活性は、例えば、A.D.Richards et al.,J.Biol.Chem.265(14),7733-7736
(1990)により記載される方法と同様に示すことができる。この方法において、H
IV−1−プロテアーゼ活性(S.Billich et al.,J.Biol.Chem.263(34),17
905-17908(1990)に従って製造)の阻害は、基質アナログとして、gag−前駆体
タンパク質(HIV−1−プロテアーゼの天然基質)の開裂部位の一つを含むイ
コサペプチドRRSNQVSQNYPIVQNIQGRR(HIV−1−プロテ
アーゼの合成基質、既知の方法に従ったペプチド合成により製造、J.Schneider
et al.,Cell 54,363-368(1988)参照)の存在下で測定する。この基質およびそ
の開裂生産物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析する。
試験化合物をジメチルスルフオキシドに溶解する。酵素試験を、20mM β
−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液pH6.0中の適当な希釈の阻害
剤を試験混合物に添加することにより行う。この混合物は、20mM MES−
緩衝液pH6.0中に上記イコサペプチド(122μM)を含み、100μlを試
験バッチ当たりに使用する。反応をHIV−1−プロテアーゼ溶液の添加により
開始し、1時間、37℃でインキュベーション後、0.3M HClO4の添加に
より停止させた。サンプルを10000×gで5分遠心の後、得られる上清20
mlを125×4.6mm Nucleosil(登録商標)C18-5m-HPLCカラム(C18アル
キル鎖で充填されているシリカゲルを基にした、Macherey&Nagel、Duren、FR
Gにより供給される逆層物質)に付した。非開裂イコサペプチドおよびその開裂
生産物を以下の勾配の手段によりカラムから溶出させる:100%溶出液1→5
0%溶出液1+50%溶出液2(溶出液1:10%アセトニトリル、90%H2O
、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);溶出液2:75%アセトニトリル、25
%H2O、0.08%TFA)で15分、流速1ml/分。溶出ペプチドフラグメン
トの定量を開裂生産物のピーク高を215nmで測定することにより行う。
式Iの化合物は、ナノモル範囲で阻害作用を示す;それらは好ましくは約9×
10-8から4×10-8MのIC50(IC50=阻害剤無しのコントロールと比較し
て、HIV−1−プロテアーゼの活性の50%減少をもたらす濃度)を示す。
HIV−1−プロテアーゼに対する阻害作用を測定する別法(Matayoshi et a
l.、Science 247、954-958(1990)、ここでは修飾されている)は、下記のように
簡潔に記載し得る;プロテアーゼ(精製については、Leuthardt et al.、FEBS L
ett.326、275-80(1993)参照)を、室温で、100μlのアッセイ緩衝液(20
mM MES pH6.0;200mM NaCl;1mMジチオトレイトール;0.0
1%ポリエチレングリコール(平均分子量6000〜8000da)と10μM蛍
光原基質SC4400(4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)ベンゾイル−γ
−アミノブチリル−Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val−Gln−EDA
NS(EDANS=5−(2−アミノエチルアミノ)−1−ナフタレンスルホン酸
);Neosystem Laboratoire、France))中でインキュベートする。反応は、0.
03M HClO4の900μlを添加して停止する。HIV−1−プロテアーゼ
活性は、λex=336、λem=485nmにおける蛍光の増加を測定して決定する
。式Iで示される化合物のIC50値は、アッセイにおいてプロテアーゼ活性を5
0%阻害するに必要な化合物濃度として決定する。数値は、問題の式Iで示され
る化合物の少なくとも5つの濃度(1濃度あたり3回測定する)に関するデータ
のコンピューターで作成したグラフから得られる。
次の試験で、式Iで示される化合物は、通常、HIVに感染した細胞を該感染
から保護する、または少なくとも該感染を低減することを示すことができる。こ
の試験のために、HIV−1−/MNに感染したMT−2細胞を使用する。MT
−2細胞は、HTLV−1の連続的産生物(白血病の原因となるウイルス)を用
いて形質転換し;従って、特にHIVの細胞病原性効果に感受性がある。MT−
2細胞は、AIDS Research and Reference Reagent Program、AIDS部門、NIAID、
NIHを介して、Dr.Douglas Richmanから入手できる(J.Biol.Chem.263、5870-5875
(1988)およびまたScience 229、563-566(1985)参照)。MT−2細胞を、1
0%熱不活性化ウシ胎児血清、グルタミンおよび標準的な抗生物質を補足したR
PMI1640培地(Gibco、Scotland;RPMIはグルタミン非含有のアミノ酸混
合物を含む)で培養する。全場合において、細胞、およびまた感染に使用するウ
イルスストック溶液(HIV−1/MN)にはマイコプラズマが含まれていない
。ウイルスストック溶液は、永久感染細胞系H9/HIV−1/MN(これは、同
様に、AIDS Research and Reference Program、AIDS部門、NIAID、NIHを介して
、Dr.Robert Galloから入手できる(Science 224、500-503(1984)およびScienc
e 226、1165-1170(1984)参照))の細胞培養上清として調製する。HIV−1/
MNウイルスストック溶液の力価(MT−2細胞の滴定により決定する)は、4
.2×105TCID50/ml(TCID50=組織培養感染価=MT−2細胞の
5
0%を感染する用量)である。式Iで示される化合物の感染阻害作用を測定する
ために、培養培地中の問題の試験化合物50μlおよび培養培地100μl中のH
IV−1/MNの2800TCID50を、2×104の指数関数的に増加してい
るMT−2細胞に加え、これを96ウェルのマイクロタイター・プレート(丸い
底を有する)の50μl培養培地に入れた。4日間インキュベート(37℃、5
%CO2)した後、10μlの上清サンプルを各ウェルから取り、別の96ウェル
・マイクロタイター・プレートに移し、(必要であれば)−20℃で貯蔵する。
ウイルス関連逆転写酵素活性を測定するために、逆転写酵素(RT)カクテル30
μlを各サンプルに加える。逆転写酵素カクテルは、50mMトリス(α,α,α−
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、Ultra pur、Merck、Germany)pH7.
8;75mM KCl、2mMジチオトレイトール、5mM MgCl2;0.1%Nonid
etP-40(界面活性剤;Sigma、Switzerland)、0.8mM EDTA、10μg/mlポ
リ−A(Pharmacia、Uppsala、Sweden)および「鋳型プライマー」の0.16μg
/mlオリゴ(T)(=pdT(12−18)、Pharmacia、Uppsala、Sweden)から構成
され、所望により、混合物を0.45mmのAcrodiscフィルター(Gelman Sciences
Inc.、AnnArbor、USA)を通して濾過する。−20℃で貯蔵する。試験前に、0
.1%(v/v)[α−32P]dTTPをアリコート溶液に加え、最終放射活性を10
μCi/mlとする。
混合後、プレートを37℃で2時間インキュベートする。反応混合物5μlを
DE81濾紙(Whatman、1ウェルにつき1フィルター)に移す。乾燥したフィ
ルターを、3回、300mM NaCl/25mMクエン酸トリナトリウムで5分間
、次いで、1回エタノールで洗浄し、空気中で再度乾燥させる。フィルターの放
射活性を、Matrix Packard96ウェル・カウンター(Packard、Zurich、Switzer
land)で測定する。ED90値を計算し、試験化合物を含まない対照と比較して、
RT活性を90%減少させる試験化合物濃度として定義する。
式Iで示される化合物は、本明細書において、好ましくは10-8〜10-9M濃
度、特に5×10-9〜10-9MのED90を示し、すなわち、ウイルス複製を90
%阻害する。
従って、式Iで示される化合物は、細胞培養物中のHIV−1の複製を非常に
効果的に遅延させるのに適している。
既知方法(例えば、Biochem.J.265、871-878(1990)参照)に従って多くのヒ
ト・アスパラギン酸プロテアーゼに対する抗酵素活性の測定において、式Iで示
される化合物は、HIV、特にHIV−1のレトロウイルスアスパラギン酸プロ
テアーゼに対して高い選択性を示す。例えば、カテプシンDに対する試験におけ
る式Iで示される化合物の阻害定数(IC50)は、25μM以上である。この試験
でのヒト・カテプシンDに対するIC50は、pH3.1で測定する。試験は、既
知方法に従い、基質であるKPIQF*NphRL(Jupp,R.A.,Dunn,B.M.,Jaco
bs,J.W.,V1asuk,G.,Arcuri,K.E.,Veber,D.F.,S.Perow,D.S.Payne,L.S.,Boger,J.
,DeLazlo,S.,Chakrabarty,P.K.,TenBroeke,J.,Hangauer,D.G.,Ondeyka,D.Greenl
ee,W.J.およびKay,J.:種々のヒト・アスパラギン酸プロテアーゼに対するスタ
チン基本阻害剤の選択性、Biochem.J.265:871-878(1990)参照)を用いて行う
。
その薬物動態学を調べるために、式Iで示される化合物を240mg/mlの濃度
となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かす。問題の試験化合物濃
度を12mg/mlとするために、得られた溶液を、20%(w/v)ヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリン水溶液で1:20(v/v)に希釈する。得られた溶液を
超音波で短く処理し、120mg/kgの用量で人工経管栄養法により、雌BALB/
cマウス(Bomholt-garden、Copenhagen、Denmark)に経口投与する。経口投与
後の一定時間(例えば、30、60、90、120分)に、マウスを殺しヘパリ
ン添加した試験チューブに血漿を貯蔵する。血液を遠心(12000×g、5分)
し、血漿を回収する。等量のアセトニトリルを添加して血漿を除タンパクする。
混合物をボルテックス・ミキサーを用いて混合し、室温で20〜30分間静置す
る。沈殿物を遠心(12000×g、5分)によりペレット状とし、試験化合物
濃度を、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する。
上記の方法で得られたサンプルのHPLC解析は、125×4.6mmヌクレオ
シル(登録商標)C18−カラム(18炭素原子を有する炭素基で誘導体化したシ
リカゲルを基本とした、Macherey&Nagel、Duren、Germany製の逆相物質)で、
同カラム物質の2cm長の予備カラムを用いて行う。試験は以下の線形アセトニト
リル/水勾配(各場合共、0.05%トリフルオロ酢酸の存在下)で行う;20%
アセトニトリルから100%アセトニトリルで20分間;次いで、5分間100
%アセトニトリル;次いで、初期条件に戻って1分間、平衡化4分間。流速は1m
l/分である。このような条件下で、実施例1の式Iで示される化合物は、例えば
、約15.5分間の保持時間を有し、その検知限界は0.1〜0.2μMである。
試験化合物を、255nmでのUV吸収測定で検知する。ピークは保持時間および
205〜400nm間のUVスペクトルにより同定する。濃度は外部標準法で決定
する;標準曲線と比較して濃度を決定するためにピーク高さを求める。問題の試
験化合物を既知濃度含み、上記の方法に従って処理したマウス血漿の類似HPL
C解析により標準曲線を得る。
この実験で、式Iで示される化合物は、上記の細胞実験で決定したED90をは
るかに上回る血漿濃度、例えば、0.5〜7μM、特に30分後に1〜7μM、
90分後に1〜6μMを産生し;例えば、実施例1の式Iで示される化合物は、
経口投与30分後に6.33μM、90分後に5.35μMの血漿レベルを示す。
特に、細胞実験での高いバイオアベイラビリティー(高い血漿レベル)(これ自
体驚くべきことである)と非常に優れたED90との組合せは、本発明の化合物を
予見できない方法で重要なものとする。
既知方法(例えば、Biochem.J.265、871-878(1990)参照)による、多くのヒ
ト・アスパラギン酸プロテアーゼに対する抗酵素活性の測定において、式Iで示
される化合物はHIV、特にHIV−1のレトロウイルスアスパラギン酸プロテ
アーゼに対して高い選択性を示す。
式Iで示される化合物は、単独、または、レトロウイルス、特にHIV、例え
ばHIV−1またはHIV−2に対して効果がある他の物質(または、少なくと
も1つの塩形成基が存在する場合にはその塩)と共に;特に逆転写酵素阻害剤、
より特定するとヌクレオシド類似体、特に3'−アジド−3'−デオキシピリミジ
ン(=ビドブジン=RETROVIR(登録商標)、Burroughs−Wellcome)、2'、3'−ジ
デオキシシチジン(=ザルシタビン=HIVID(登録商標)、Hoffmann-LaRoche)、2
',3'−ジデオキシイノシン(=ジダノジン=VIDEX(登録商標)、Bristol-Myers-S
quibb)または(2R,シス)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−
オキサチオラン−5−イル)−(1H)−ピリミジン−2−オン(=ラミブジン、Gl
axo)または非ヌクレオシド類似体、例えば11−シクロプロピル-5,11−ジヒ
ドロ−4−メチル−(6H)−ジピリド[3,2−b;2',3'−e]−[1,4]ジアゼ
ピン−6−オンと共に;または1つ以上(特に1つまたは2つ)のレトロウイル
スアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤、特に、HIV、例えばHIV−1および
HIV−2のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤と共に、特に
a)EP 0 346 847(1989年12月20日刊行)およびEP 0 432 695(1991年6月19日
刊行;1993年3月23日に刊行されたUS 5 196 438に対応)に記載の阻害剤の1つ
、特にRo 31-8959と呼ばれる化合物(=saquinavir;Hoffmann-LaRoche);
b)EP 0 541 168(1993年5月12日刊行;US 5 413 999に対応)に記載の阻害剤
の1つ、特にL−735,524と呼ばれる化合物(=indinavir=CRIXIVAN(登録
商標);Merck&Co.,Inc);
c)EP 0 486 948(1992年5月27日刊行;US 5 354 866に対応)に記載の阻害剤
の1つ、特にABT−538と呼ばれる化合物(=ritonavir;Abbott);
d)KVX−478(またはVX−478または141W94;GlaxoWellcome
、Vertexおよびキッセイ薬品);
e)AG−1343(Agouron)と呼ばれる化合物;
f)KNI−272(Nippon Mining)と呼ばれる化合物;
g)U−96988(Upjohn)と呼ばれる化合物;および/または
h)BILA−2011 BS(=palinavir;Boehringer−Ingelheim)と呼ばれ
る化合物、または各場合において塩形成基が存在する場合にはその塩と共に、組
合せて(対応する組成物のセットになった組合せとして、または個々の化合物ま
たは個々の組成物を時間をずらして組み合わせたものとして)で使用できる。
式Iで示される化合物はまた、恒温動物の細胞培養物中、特にリンパ球細胞系
の細胞培養物中の、レトロウイルス感染、特にHIV、例えばHIV−1または
HIV−2の予防、制御および処置に使用でき、特に、例えば特異的抗体、ワク
チンまたは伝達物質、例えばインターロイキンおよびその他を産生する非常に価
値のある細胞培養物中で有益であり、従って商業的価値が高い。
最後に、式Iで示される化合物は、実験における標準物質として、例えばHP
LC標準物質として、または、異なるアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤に関し
て、例えば到達可能な血液レベルに関して、動物モデルを比較するための標準物
質として使用できる。
下記の式Iで示される化合物の好ましい群において、簡便である場合には(例
えば、より一般的な定義を、より特定した定義に、または特に、好ましいと記載
した定義に置き換えるために)、上記の一般的な定義中の置換基の定義を使用す
ることが可能であり;各場合において、好ましくは、好ましいとして上記した定
義または実施例で与えられる定義である。
好ましくは、式I、特に、R1およびR10は、各々、独立して、低級アルコキ
シカルボニルであり;
R2、R3およびR4は、各々、独立して、C1−C4アルキルであり、R7、R8お
よびR9は、各々、水素およびC1−C4アルキルから選択されるが、多くて1つ
の基が水素であり得るか;
または(好ましくは)R7、R8およびR9は、各々、独立して、C1−C4アルキ
ルであり、R2、R3およびR4は、各々、水素およびC1−C4アルキルから選択
されるが、多くて1つの基が水素であり得;
R5はフェニルまたはシクロヘキシルであり;および
R6はフェニルまたはシアノフェニルである、式Iaで示される化合物またはその
塩である。
非常に好ましくは、式I、特に、R1およびR10は、各々、独立して、tert−
ブトキシ−または特にエトキシ−またはより特定するとメトキシ−カルボニルで
あり;
R2、R3およびR4は、各々、独立して、メチルであり、R7、R8およびR9は、
各々水素およびメチルから選択されるが、多くて1つの基が水素であり得るか;
または(好ましくは)R7、R8およびR9は、各々、独立して、メチルであり、
R2、R3およびR4は、各々、水素およびメチルから選択されるが、多くて1つ
の基が水素であり得;
R5はフェニルであり;および
R6はフェニルまたは2−シアノフェニルである、式Iaで示される化合物または
その塩である。
非常に好ましくは、実施例に記載の式Iで示される化合物、または少なくとも
1つの塩形成基が存在すれば、医薬的に許容されるその塩である。
1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(N−メトキシカルボニル)−(L)−tert
−ロイシル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボ
ニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
の名称を有する、式Iで示される化合物または医薬的に許容されるその塩が特に
好ましい。
特に好ましくは、また、1−(4−(2−シアノフェニル)フェニル)−2−N−
(N−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−4(S)−ヒドロキ
シ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェ
ニル−2−アザヘキサンの名称を有する式Iで示される化合物、または医薬的に
許容されるその塩である。
特に非常に好ましくは、また、1−(4−ビフェニル)−4(S)−ヒドロキシ−
5(S)−2,5−ビス[N−(N−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−
アミノ]−6−フェニル−2−アザヘキサンの名称を有する式Iで示される化合
物、または医薬的に許容されるその塩である。
少なくとも1つの塩形成基を有する式Iで示される化合物およびこれらの化合
物の塩は、それ自体既知の方法で、例えば以下のように製造する;
a)式
[式中、
R6、R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示される化合物で定義した通りであ
る]
で示されるヒドラジン誘導体を、式
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5基は、式Iで示される化合物で定義した通りであ
る]
で示されるエポキシドに加え、反応に関与するものを除く遊離官能基は必要であ
れば保護形とし、保護基を除去するか、または
b)式
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6基は、式Iで示される化合物で定義された通
りである]
で示されるアミノ化合物を、式
[式中、
R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される酸、またはその反応性酸誘導体を用いて縮合し、反応に関与するもの
を除く遊離官能基は必要であれば保護形とし、保護基を除去するか、または
c)式
[式中、
R5、R6、R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示される化合物で定義された
通りである]
で示されるアミノ化合物を、式
[式中、
R1、R2、R3およびR4は、式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される酸、またはその反応性酸誘導体を用いて縮合し、反応に関与するもの
を除く遊離官能基は必要であれば保護形とし、保護基を除去するか、または
d)式I(式中、置換基対であるR1およびR10、R2およびR7、R3およびR8
、および、R4およびR9は、式Iで示される化合物で定義したように、各々、2
つ
の同一の基を示すが、R2、R3、R4、R7、R8およびR9基のいずれも水素では
なく、R5およびR6は式Iで示される化合物で定義した通りである)で示される
化合物の製造のために、式
[式中、
基は、すぐ上記で定義した通りである]
で示されるジアミノ化合物を、式
[式中、
R1'、R2'、R3'およびR4'は、式IのR1およびR10、R2およびR7、R3およ
びR8、並びにR4およびR9で定義した通りであり、対であるR1およびR10、R2
およびR7、R3およびR8、並びにR4およびR9は、各々、2つの同一の基を示
し、R2、R3、R4、R7、R8およびR9基のいずれも水素ではない]
で示される酸、またはその反応性酸誘導体を用いて縮合し、反応に関与するもの
を除く遊離官能基は必要であれば保護形とし、保護基を除去するか、または
e)式I’
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示され
る化合物で定義した通りである]
で示されるイミノ化合物を、式X
[式中、
Xは、脱離基であり、R6は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される化合物と反応させ、反応に関与するものを除く遊離官能基は必要であ
れば保護形とし、保護基を除去するか、または
f)式I’
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示され
る化合物で定義した通りである]
で示されるイミノ化合物を、還元的アルキル化を用いて、式X*
[式中、
R6は、式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示されるアルデヒド、またはその反応性誘導体と反応させ、反応に関与するも
のを除く遊離官能基は必要であれば保護形とし、保護基を除去し、
所望により、上記の工程a〜f)のいずれか1つに従って得られる少なくとも1
つの塩形成基を有する式Iで示される化合物を、塩に変換するか、または得られ
た塩を、遊離化合物または異なる塩に変換し、および/または、得られ得る異性
体混合物を分割し、および/または、本発明に記載の式Iで示される化合物を本
発明に記載の式Iで示される異なる化合物に変換する。
上記の工程は、好ましい態様と共に、下記にさらに詳しく記載する。
個々の工程および出発原料の下記の記載において、特記しない限り、R1、R2
、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10基は、式Iで示される化合物
で定義した通りである。
工程a)(エポキシドへのアミンの添加):
式IIIで示されるヒドラジン誘導体において、反応に関与するアミノ基は、好
ましくは、遊離水素原子を有し;しかし、それ自体は、ヒドラジン誘導体の反応
性を高めるために誘導体化し得る。
式IVで示されるエポキシドは、ヒドラジン誘導体の末端付加を、好ましい方法
で進行させる。
出発原料において、反応を防御すべき官能基、特にカルボキシ、アミノおよび
ヒドロキシ基は、ペプチド化合物の合成、およびまたセファロスポリンおよびペ
ニシリン並びに核酸誘導体および糖の合成に慣用的に使用される適当な保護基(
慣用的な保護基)を用いて保護できる。これらの保護基は、すでに前駆体に存在
し得、望ましくない副反応、例えばアシル化、エーテル化、エステル化、酸化、
加溶媒分解およびその他に対して、問題の官能基を保護する意図がある。ある場
合において、保護基は、付加的に、反応を選択的に、例えば立体選択的に進行さ
せることができる。保護基を容易に、すなわち、望ましくない副反応、例えば加
溶媒分解、還元、光分解およびまた例えば生理学的条件下での酵素的分解などを
起こさずに除去できることが保護基の特徴である。しかし、保護基に類似した基
もまた、最終生成物に存在し得る。保護官能基を有する式Iで示される化合物は
、遊離官能基を有する対応する化合物よりも、いくつかの点で良好な、優れた代
謝安定性または薬力学特性を保持することがある。本明細書全記において、問題
となる基が最終生成物中に存在しない場合、本来の意味で保護基と呼ぶ。
このような保護基による官能基の保護、保護基自体およびその除去反応は、例
えば、J.F.W.McOmie、「有機化学の保護基」、Plenum Press、LondonおよびNew
York 1973、Th.W.Greene、「有機合成の保護基」、Wiley、New York 1981、「ペ
プチド」、Volume 3(E.GrossおよびJ.Meinhofer編)、Academic Press、Londonお
よびNew York 1981、「Methoden der organischen Chemie」(「有機化学の方法
」)、Houben-Weyl、第4版、Volume 15/I、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 19
74、H.-D.JakubkeおよびH.Jescheit、「Aminosauren、Peptide、Protein」(「ア
ミノ酸、ペプチド、タンパク質」)、Verlag Chemie、Weinheim、Deerfield Beac
hおよびBasle 1982、およびJochen Lehmann、「Chemie der Kohlenhydrate:Mon
osaccharide und Derivate」(「炭水化物の化学:単糖および誘導体」)、Georg
Thieme Verlag、Stuttgart 1974などの標準的な著作に記載されている。
カルボキシ基は、例えば、穏やかな条件下で選択的に除去できるエステル基形
で保護する。エステル形で保護したカルボキシ基は、特に、好ましくは低級アル
キル基の1位が分枝しているか、または低級アルキル基の1位または2位が適当
な置換基により置換されている低級アルキル基によりエステル化されている。
低級アルキル基によりエステル化された保護カルボキシ基は、例えば、メトキ
シカルボニルまたはエトキシカルボニルである。
低級アルキル基の1位が分枝している低級アルキル基によりエステル化された
保護カルボキシ基は、例えば、tert−低級アルコキシカルボニル、例えば、tert
−ブトキシカルボニルである。
低級アルキル基の1または2位が適当な置換基により置換された低級アルキル
基によりエステル化された保護カルボキシ基は、例えば、1または2つのアリー
ル基を有するアリールメトキシカルボニル(ただし、アリールは、非置換である
か、または、例えば、低級アルキル、例えばtert−低級アルキル、例えばtert−
ブチル、低級アルコキシ、例えばメトキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、例えば塩素
、および/またはニトロにより、モノ、ジ、またはトリ置換されたフェニルであ
る)であり、例えばベンジルオキシカルボニル、記載の置換基により置換された
ベンジルオキシカルボニル、例えば、4−ニトロベンジルオキシカルボニルまた
は4−メトキシベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニルまた
は記
載の置換基により置換されたジフェニルメトキシカルボニル、例えばジ(4−メ
トキシフェニル)メトキシカルボニル、およびまた、低アルキル基によりエステ
ル化されたカルボキシ(低級アルキル基は、1または2位が適当な置換基により
置換されている)、例えば1−低級アルコキシ−低級アルコキシカルボニル、例
えばメトキシメトキシカルボニル、1−メトキシエトキシカルボニルまたは1−
エトキシエトキシカルボニル、1−低級アルキルチオ−低級アルコキシカルボニ
ル、例えば1−メチルチオメトキシカルボニルまたは1−エチルチオエトキシカ
ルボニル、アロイルメトキシカルボニル(ただし、アロイル基は、非置換である
か、または、例えば臭素などのハロゲンにより置換されたベンゾイルである)、
例えばフェナシルオキシカルボニル、2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、例
えば2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−ブロモエトキシカルボニル
または2−ヨードエトキシカルボニル、並びに2−(三置換シリル)−低級アルコ
キシカルボニル(ただし、置換基は、各々、独立して、非置換であるか、または
例えば低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ハロゲンおよび/またはニト
ロにより置換された脂肪族、アラリファティック、環状脂肪族または芳香族炭化
水素基、例えば、各々非置換であるか、または上記で置換された低級アルキル、
フェニル−低級アルキル、シクロアルキルまたはフェニルである)、例えば2−
トリ−低級アルキルシリル−低級アルコキシカルボニル、例えば2−トリ−低級
アルキル−シリルエトキシカルボニル、例えば2−トリメチルシリルエトキシカ
ルボニルまたは2−(ジ−n−ブチル−メチル−シリル)−エトキシカルボニル、
または2−トリアリールシリルエトキシカルボニル、例えばトリフェニルシリル
エトキシカルボニルある。
カルボキシ基はまた、有機シリルオキシカルボニル基形で保護し得る。有機シ
リルオキシカルボニル基は、例えば、トリ−低級アルキルシリルオキシカルボニ
ル基、例えばトリメチルシリルオキシカルボニルである。
保護カルボキシ基は、好ましくは、tert−低級アルコキシカルボニル、例えば
tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオ
キシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルまたはジフェニルメトキ
シカルボニルである。
保護アミノ基は、アミノ保護基により、例えばアシルアミノ、アリールメチル
アミノ、エーテル化メルカプトアミノ、2−アシル−低級アルク−1−エニルア
ミノまたはシリルアミノ基形またはアジド基形で保護し得る。
対応するアシルアミノ基において、アシルは、例えば18炭素原子までを有す
る、例えば、有機カルボン酸、特に非置換または置換、例えばハロまたはアリー
ル置換低級アルカンカルボン酸、または非置換または置換、例えばハロ、低級ア
ルコキシまたはニトロ置換安息香酸のアシル基、または、好ましくは、炭酸セミ
エスエルのアシル基である。このようなアシル基は、例えば、低級アルカノイル
、例えばホルミル、アセチル、プロピオニルまたはピバロイル、ハロ−低級アル
カノイル、例えば2−ハロアセチル、例えば2−クロロ−、2−ブロモ−、2−
ヨード、2,2,2−トリフルオロ−または2,2,2−トリクロロ−アセチル、非
置換または置換、例えばハロ、低級アルコキシまたはニトロ置換ベンゾイル、例
えばベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−メトキシベンゾイルまたは4−ニ
トロベンゾイル、低級アルコキシカルボニル、好ましくは低級アルキル基の1位
が分枝しているか、または1または2位が適当に置換されている低級アルコキシ
カルボニル、例えばtert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカ
ルボニル、非置換であるか、または、例えば低級アルキル、特にtert−低級アル
キル、例えばtert−ブチル、低級アルコキシ、例えばメトキシ、ヒドロキシ、ハ
ロゲン、例えば塩素、および/またはニトロにより、モノまたは多置換されたフ
ェニルである、1、2または3つのアリール基を有するアリールメトキシカルボ
ニル、例えばベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル
、ジフェニルメトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルまたは
ジ(4−メトキシフェニル)メトキシカルボニル、アロイルメトキシカルボニル(
ただし、アロイル着は、好ましくは、非置換であるか、または例えば臭素などの
ハロゲンにより置換されたベンゾイルである)、例えばフェナシルオキシカルボ
ニル、2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、例えば2,2,2−トリクロロエト
キシカルボニル、2−ブロモエトキシカルボニルまたは2−ヨードエトキシカル
ボ
ニル、2−(三置換シリル)−低級アルコキシカルボニル、例えば2−トリ−低級
アルキルシリル−低級アルコキシカルボニル、例えば2−トリメチルシリルエト
キシカルボニルまたは2−(ジ−n−ブチルメチル−シリル)−エトキシカルボニ
ル、またはトリアリールシリル−低級アルコキシカルボニル、例えば2−トリフ
ェニルシリルエトキシカルボニルである。
アリールメチルアミノ基、例えばモノ−、ジ−または特にトリ−アリールメチ
ルアミノ基において、アリール基は、特に非置換または置換フェニル基である。
このような基は、例えば、ベンジル−、ジフェニルメチル−または特にトリチル
−アミノである。
エーテル化メルカプトアミノ基において、メルカプト基は、特に、置換アリー
ルチオまたはアリール−低級アルキルチオ形であり、ただし、アリールは、例え
ば、非置換であるか、または例えば低級アルキル、例えばメチルまたはtert−ブ
チル、低級アルコキシ、例えばメトキシ、ハロゲン、例えば塩素、および/また
はニトロ、例えば4−ニトロフェニルチオにより置換されたフェニルである。
アミノ保護基として使用できる2−アシル−低級アルク−1−エニル基におい
て、アシルは、例えば、低級アルカンカルボン酸の、または、非置換であるか、
または例えば低級アルキル、例えばメチルまたはtert−ブチル、低級アルコキシ
、例えばメトキシ、ハロゲン、例えば塩素、および/またはニトロにより置換さ
れた安息香酸の、または、特に、炭酸低級アルキルセミエステルなどの炭酸セミ
エステルの対応する基である。対応する保護基は、特に、1−低級アルカノイル
−低級−アルク−1−エン−2−イル、例えば1−低級アルカノイル−プロップ
−1−エン−2−イル、例えば1−アセチル−プロップ−1−エン−2−イル、
または低級アルコキシカルボニル−低級アルク−1−エン−2−イル、例えば低
級アルコキシカルボニル−プロップ−1−エン−2−イル、例えば1−エトキシ
カルボニル−プロップ−1−エン−2−イルである。
シリルアミノ基は、例えば、トリ−低級アルキルシリルアミノ基、例えばトリ
メチルシリルアミノまたはtert−ブチル−ジメチルシリルアミノである。シリル
アミノ基のケイ素原子はまた、唯2つの低級アルキル基、例えばメチル基、およ
び式Iで示される第2分子のアミノ基またはカルボキシ基でのみ置換できる。こ
のような保護基を有する化合物は、例えば、シリル化剤として、対応するクロロ
シラン、例えばジメチルクロロシランを用いて製造できる。
アミノ基はまた、プロトン化形に変換することにより保護できる;適当な対応
するアニオンは、特に、強無機酸、例えば硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸
のアニオン、例えば塩素または臭素アニオン、または有機スルホン酸、例えばp
−トルエンスルホン酸のアニオンである。
好ましいアミノ保護基は、低級アルコキシカルボニル、フェニル−低級アルコ
キシカルボニル、フルオレニル−低級アルコキシカルボニル、2−低級アルカノ
イル−低級アルク−1−エン−2−イルおよび低級アルコキシカルボニル−低級
アルク−1−エン−2−イルである。
ヒドロキシ基は、例えば、アシル基、例えば、塩素などのハロゲンにより置換
された低級アルカノイル、例えば2,2−ジクロロアセチルにより、または、特
に、保護アミノ基で記載した炭酸セミエステルのアシル基により保護できる。好
ましいヒドロキシ保護基は、例えば、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル
、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニルまたは
トリチルである。ヒドロキシ基はまた、トリ−低級アルキルシリル、例えばトリ
メチルシリル、トリイソプロピルシリルまたはtert−ブチル−ジメチルシリル、
容易に除去できるエーテル化基、例えばアルキル基、例えばtert−低級アルキル
、例えばtert−ブチル、オキサ−またはチア−脂肪族または−環状脂肪族、特に
2−オキサ−または2−チア−脂肪族または−環状脂肪族炭化水素基、例えば1
−低級アルコキシ−低級アルキルまたは1−低級アルキルチオ−低級アルキル、
例えばメトキシメチル、1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、メチルチオ
メチル、1−メチルチオエチルまたは1−エチルチオエチル、または5〜7つの
環原子を有する2−オキサ−または2−チア−シクロアルキル、例えば2−テト
ラヒドロフリルまたは2−テトラヒドロピラニル、または対応するチア類似体、
およびまた、1−フェニル−低級アルキル(ただし、フェニル基は、例えば塩素
などのハロゲン、メトキシなどの低級アルコキシおよび/またはニトロにより置
換
できる)、例えばベンジル、ジフェニルメチルまたはトリチルにより保護できる
。
分子内で互いに隣接しているヒドロキシ基およびアミノ基は、例えば、二価保
護基、例えば、好ましくは例えば1つまたは2つの低級アルキル基またはオキソ
により置換されたメチレン基、例えば、非置換または置換アルキリデン、例えば
、低級アルキリデン、例えばイソプロピリデン、シクロアルキリデン、例えばシ
クロヘキシリデン、カルボニル基またはベンジリデンにより保護できる。
本明細書の内容において、保護基、例えばカルボキシ保護基は、容易に除去で
きる仕様で、保護すべき官能基、例えばカルボキシ基に結合しているポリマー担
体、例えばメリフィールド合成に適した担体として示されると理解する。このよ
うな適当なポリマー担体は、例えば、ジビニルベンゼンと共重合により弱く架橋
し、可逆結合に適した架橋を有するポリスチレンレジンである。
式IIIで示される化合物の式IVで示されるエポキシドへの添加は、好ましくは
、エポキシドへの求核試薬の付加で慣用的に使用される反応条件下で行う。
付加は、特に、水溶液中、および/または極性溶媒、例えばアルコール、例え
ばメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはエチレングリコール、エー
テル、例えばジオキサン、アミド、例えばジメチルホルムアミド、またはフェノ
ール類、例えばフェノールの存在下、およびまた無水条件下、非極性溶媒中、例
えばベンゼンまたはトルエン、またはベンゼン/水エマルション中、所望により
酸性または塩基性触媒、例えばアルカリ水酸化物溶液、例えば水酸化ナトリウム
溶液の存在下、またはヒドラジンで処理した固相触媒、例えば酸化アルミニウム
の存在下、エーテル、例えばジエチルエーテル中、一般的に約0℃から問題の反
応混合物の沸点までの温度で、好ましくは20℃〜還流温度で、所望により加圧
下で、例えばボンベチューブ中(この場合、沸点を越えることも可能である)、お
よび/または不活性ガス下、例えば窒素またはアルゴン下で行い、式IIIおよ
びIVで示される各々2つの化合物は、過剰量、例えば1:1から1:100の
モル比で、好ましくは1:1から1:10のモル比で、より特定すると1:1か
ら1:3の比で存在できる。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。
工程b)(アミド結合の形成)
式VおよびVIで示される出発原料において、反応に関与しないか、または反応
条件下で反応しないものを除く官能基は、工程a)に記載した保護基の1つを用
いて、互いに別々に保護する。
式VIで示される化合物は、遊離カルボキシ基を含むか、または、その反応性酸
誘導体の形、例えば誘導活性化エステルまたは反応性無水物の形、または反応性
環状アミドの形である。反応性酸誘導体はまたその場で形成し得る。
末端カルボキシ基を有する式VIで示される化合物の活性化エステルは、特に、
エステル化する基に結合している炭素原子が飽和したエステル、例えばビニルエ
ステル型のエステル、例えばビニルエステル(例えば、対応するエステルと酢酸
ビニルとのエステル交換反応により得られる;活性化ビニルエステル法)、カル
バモイルエステル(例えば、対応する酸をイソキサゾリウム試薬で処理すること
により得られる;1,2−オキサゾリウムまたはウッドワード法)、または1−低
級アルコキシビニルエステル(例えば、対応する酸を低級アルコキシアセチレン
で処理することにより得られる;エトキシアセチレン法)、またはアミジノ型の
エステル、例えばN,N'−二置換アミジノエステル(例えば、対応する酸を適当
なN,N'−二置換カルボジイミド、例えばN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド、または特にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイ
ミドで処理することにより得られる;カルボジイミド法)、またはN,N−二置換
アミジノエステル(例えば、対応する酸をN,N−二置換シアナミドで処理するこ
とにより得られる;シアナミド法)、適当なアリールエステル、特に電子吸引性
置換基で適当に置換したフェニルエステル(例えば、対応する酸を、適当に置換
したフェノール、例えば4−ニトロフェノール、4−メチルスルホニルフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェノー
ルまたは4−フェニルジアゾフェノールを用いて、例えばN,N'−ジシクロヘキ
シルカルボジイミドなどの縮合剤の存在下、処理することにより得られる;活性
化アリールエステル法)、シアノメチルエステル(例えば、対応する酸を、塩基の
存在下、クロロアセトニトリルで処理することにより得られる;シアノメチ
ルエステル法)、チオエステル、特に、非置換または置換、例えばニトロ置換フ
ェニルチオエステル(例えば、対応する酸を、非置換または置換、例えばニトロ
置換チオフェノールで処理することにより、すなわち、無水物またはカルボジイ
ミド法により得られる;活性化チオールエステル法)、または特にアミノまたは
アミドエステル(例えば、対応する酸を、N−ヒドロキシアミノまたはN−ヒド
ロキシアミド化合物、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシピ
ペリジン、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは3−ヒ
ドロキシ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オンを用いて
処理することにより、例えば無水物またはカルボジイミド法により得られる;活
性化N−ヒドロキシエステル法)である。内部エステル、例えばγ−ラクトンも
また使用できる。
酸無水物は、対称、または好ましくは以下の酸の混合無水物であり得、例えば
、ハロゲン化酸、特に酸塩化物(例えば、対応する酸を塩化チオニル、五塩化リ
ン、ホスゲンまたは塩化オキサリルで処理することにより得られる;酸塩化物法
)などの無機酸との無水物、アジド(例えば、対応する酸エステルから、対応す
るヒドラジドを経由し、それを亜硝酸で処理することにより得られる;アジド法
)との無水物、炭酸セミエステル、例えば炭酸低級アルキルセミエステル(特に
、クロロギ酸メチルエステル)(例えば、対応する酸をクロロギ酸低級アルキルエ
ステルまたは1−低級アルコキシカルボニル−2−低級アルコキシ−1,2−ジ
ヒドロキノリンで処理することにより得られる;混合O−アルキル炭酸無水物法
)との無水物、または、ジハロゲン化、特にジクロロ化リン酸(例えば、対応す
る酸をオキシ塩化リンで処理することにより得られる;オキシ塩化リン法)との
無水物、他のリン酸誘導体(例えば、フェニル−N−フェニルホスホルアミドク
ロリデートを用いて、またはスルホン酸無水物および/またはラセミ化減少添加
剤、例えばN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、またはシアノホスホン
酸ジエチルエステルの存在下、アルキルリン酸アミドの反応により得られる)ま
たは亜リン酸誘導体との無水物、または有機酸との無水物、例えば有機カルボン
酸(例
えば、対応する酸を、非置換または置換低級アルカン−またはフェニル−低級ア
ルカン−カルボン酸ハライド、例えばフェニル酢酸クロリド、ピバル酸クロリド
またはトリフルオロ酢酸クロリドで処理することにより得られる;混合カルボン
酸無水物法)または有機スルホン酸(例えば、対応する酸の塩、例えばアルカリ
金属塩を、適当な有機スルホン酸ハライド、例えば低級アルカン−またはアリー
ル−、例えばメタン−またはp−トルエンスルホン酸クロリドと反応させること
により得られる;混合スルホン酸無水物法)との混合無水物、および対称無水物
(例えば、対応する酸を、カルボジイミドまたは1−ジエチルアミノプロピンの
存在下縮合することにより得られる;対称無水物法)であり得る。
適当な環状アミドは、特に、芳香族特性をもつ5員環ジアザ環をもつアミド、
例えばイミダゾール類、例えばイミダゾール(例えば、対応する酸を、N,N'
−カルボニルジイミダゾールで処理することにより得られる;イミダゾール法)
、またはピラゾール、例えば3,5−ジメチルピラゾール(例えば、酸ヒドラジ
ドを経由してアセチルアセトンで処理することにより得られる;ピラゾリド法)
をもつアミドである。
記載したように、アシル化剤として使用するカルボン酸の誘導体はまた、その
場で形成し得る。例えば、N,N'−二置換アミジノエステルは、その場で、式V
で示される出発原料とアシル化剤として使用する酸との混合物を、適当なN,N'
−二置換カルボジイミド、例えばN,N'−シクロヘキシルカルボジイミドまたは
特にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミドの存在下
、反応させて形成し得る。加えて、アシル化剤として使用する酸のアミノまたは
アミドエステルは、アシル化する式Vで示される出発原料の存在下、対応する酸
とアミノ出発原料との混合物を、N,N'−二置換カルボジイミド、例えばN,N'
−ジシクロヘキシルカルボジイミド、およびN−ヒドロキシアミンまたはN−ヒ
ドロキシアミド、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドの存在下、適当な場合に
は、適当な塩基、例えば4−ジメチルアミノ−ピリジンの存在下、反応させて形
成し得る。さらに、その場での活性化は、N,N,N',N'−テトラアルキルウロ
ニウム化合物、例えばO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テ
トラ
メチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ
−1−ピリジル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホウ
酸塩またはO−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール
−3−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩
との反応により達成できる。最後に、式VIで示されるカルボン酸のリン酸無水物
は、その場で、アルキルリン酸アミド、例えばヘキサメチルリン酸トリアミドを
、スルホン酸無水物、例えば4−トルエンスルホン酸無水物の存在下、塩、例え
ばテトラフルオロホウ酸、例えばテトラフルオロホウ酸ナトリウムを用いて、ま
たは、ヘキサメチルリン酸トリアミドの別の誘導体、例えばベンゾトリアゾール
−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオライ
ドを用いて、好ましくはラセミ化減少添加剤、例えばN−ヒドロキシベンゾトリ
アゾールの存在下、反応させて製造できる。
反応に関与する式Vで示される化合物のアミノ基は、好ましくは、少なくとも
1つの反応性水素原子を有する(特に、それと反応するカルボキシ、スルホニル
またはホスホリル基が反応形で存在する場合);しかしながら、それ自体は、例
えばホスファイト、例えばジエチルクロロホスファイト、1,2−フェニレンク
ロロホスファイト、エチルジクロロホスファイト、エチレンクロロホスファイト
またはテトラエチルピロホスファイトと反応させることにより誘導体化し得る。
アミノ基を有するこのような化合物の誘導体は、例えば、カルバミン酸ハライド
またはイソシアナートであり、ここで、反応に関与するアミノ基は、それぞれ、
ハロカルボニル、例えばクロロカルボニルで置換するか、またはイソシアナート
基の形で修飾する。
アミド結合を形成する縮合は、それ自体既知の方法で、例えば、Houben-Weyl
、「Methoden der organischen Chemie」、第4版、Volume15/II(1974)、Volume
IX(1995)、VolumeEll(1985)、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、「ペプチド」(
E.GrossおよびJ.Meienhofer編)、Volume1および2、Academic Press、Londonおよ
びNew York、1979/1980、またはM.Bodansky「ペプチド合成の原則」、Springer-
Verlag、Berlin 1984のような標準的な著作に記載されているように行うこと
ができる。
遊離カルボン酸と適当なアミンとの縮合は、好ましくは、慣用的な縮合剤の1
つの存在下、またはカルボン酸無水物またはカルボン酸ハライド、例えばクロリ
ド、または活性化カルボン酸エステル、例えばp−ニトロフェニルエステルを用
いて行うことができる。慣用的な縮合剤は、例えば、カルボジイミド、例えばジ
エチル−、ジプロピル−、またはジシクロヘキシル−カルボジイミド、または特
に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド、また、
適当なカルボニル化合物、例えばカルボニルイミダゾール、1,2−オキサゾリ
ウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3'−
スルホネートおよび2−tert−ブチル−5−メチルイソキサゾリウム過塩素酸塩
、または適当なアシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボ
ニル−1,2−ジヒドロキノリン、N,N,N',N'−テトラアルキルウロニウム化
合物、例えばO−べンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロリン酸、または特にO−(1,2−ジヒドロ−2−オ
キソ−1−ピリジル)−N,N−N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオ
ロホウ酸、また、活性化リン酸誘導体、例えばジフェニルホスホリルアジド、ジ
エチルホスホリルシアニド、フェニル−N−フェニルホスホロアミドクロリデー
ト、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドまたは1−
ベンゾトリアゾリルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオ
ロリン酸である。
所望により、有機塩基、好ましくは3級アミン、例えばトリ−低級アルキルア
ミン、特にエチルジイソプロピルアミンまたはより特定するとトリエチルアミン
、および/またはヘテロ環状塩基、例えば4−ジメチルアミノピリジンまたは好
ましくはN−メチルモルホリンまたはピリジンを加え得る。
活性化エステル、反応性無水物または反応性環状アミドと対応するアミンとの
縮合は、慣用的に、有機塩基、例えば単純なトリ−低級アルキルアミン、例えば
トリエチルアミンまたはトリブチルアミン、または上記の有機塩基の1つの存在
下行う。所望により、例えば、遊離カルボン酸で記載したように、縮合剤をさら
に使用する。
酸無水物とアミンとの縮合は、例えば、無機炭酸塩、例えばアンモニウムまた
はアルカリ金属炭酸塩、または炭酸水素塩、例えば炭酸ナトリウムまたはカリウ
ムまたは炭酸水素塩の存在下(所望により硫酸塩と共に)行うことができる。
カルボン酸クロリド、式VIで示される酸から誘導された例えばクロロ炭酸誘導
体は、対応するアミンを用いて、好ましくは、有機アミン、例えば上記のトリ−
低級アルキルアミンまたはヘテロ環状塩基の存在下、適当な場合には、硫酸水素
塩または水酸化物、好ましくはアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム
の存在下で縮合する。
縮合は、好ましくは、不活性、非プロトン性、好ましくは無水の溶媒または溶
媒混合物中、例えばカルボン酸アミド、例えばホルムアミドまたはジメチルホル
ムアミド、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、四塩化炭素またはクロロ
ベンゼン、ケトン、例えばアセトン、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン
またはジオキサン、エステル、例えば酢酸エチル、またはニトリル、例えばアセ
トニトリル、またはその混合物中、適宜、低温または高温で、例えば約−40℃
〜約+100℃、好ましくは約−10℃〜約+70℃、アリールスルホニルエス
テルを使用する場合には約+100℃〜+200℃、必要であれば不活性雰囲気
下、例えば窒素またはアルゴン雰囲気下で行う。
水性、例えばアルコール性溶媒、例えばエタノール、または芳香族性溶媒、例
えばベンゼンまたはトルエンもまた使用し得る。アルカリ金属水酸化物が塩基と
して存在する場合、アセトンもまた、適当な場合、添加し得る。
縮合は、R.Merrifieldを起源とする固相合成法として知られる技術に従って行
うことができ、例えば、Angew.Chem.97、801-812(1985)、Naturwissenschaften 71
、252-258(1984)またはR.A.Houghten、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82、5131-5
135(1985)に記載されている。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。
工程c)(アミド結合の形成)
式VIIおよびVIIIで示される出発物質において、反応に関与するか、または反
応条件下で反応しないものを除く官能基は、互いに別々に、工程a)で記載した
保護基の1つにより保護する。
工程は、工程b)と全く類似であるが、式VIIで示される化合物を、式Vで示
される化合物の代わりに使用し、式VIIIで示される化合物を式VIで示される化合
物の代わりに使用する。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。
工程d)(アミド結合の形成)
同一のアシル基を導入するに適した、式IXで示される出発物質および式VIIIa
で示される酸、またはその反応性誘導体において、反応に関与するか、または反
応条件下で反応しない基を除く官能基は、互いに別々に、工程a)で記載した保
護基の1つにより保護する。
式IXで示される好ましい出発物質(これは、保護基により保護し得る)は、出
発物質に関する章で下記する。
工程は、工程b)と全く類似しているが、式IXで示される化合物を、式Vで示
される化合物の代わりに使用し、式VIIIaで示される化合物を式VIで示される化
合物の代わりに使用する。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。
工程e)(2級窒素原子のアルキル化)
式I'および式Xで示される出発物質またはその反応性誘導体において、反応
に関与するか、または反応条件下で反応しないものを除く官能基は、互いに別々
に、工程a)で記載した保護基の1つにより保護する。
脱離基Xは、強無機酸または有機酸によりエステル化されたヒドロキシ、例え
ば、鉱酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素
酸によりエステル化されたヒドロキシ、強有機スルホン酸、例えば非置換である
か、または例えばフッ素などのハロゲンにより置換された低級アルカンスルホン
酸により、または芳香族スルホン酸、例えば非置換であるか、またはメチルなど
の低級アルキル、臭素などのハロゲン、および/またはニトロにより置換された
ベンゼンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p−ブロモトルエンスルホン酸
またはp−トルエンスルホン酸によりエステル化されたヒドロキシ、およびアジ
化水素酸によりエステル化されたヒドロキシから選択される、特に、離核性脱離
基である。
置換は、1次または2次求核置換条件下で行うことができる。
例えば、式X(式中、Xは高い電子殻分極率を有する脱離基であり、例えばヨ
ウ素である)で示される化合物の1つは、極性非プロトン性溶媒中、例えばアセ
トン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホ
ルムアミド中で使用できる。反応はまた、水中、所望により溶解剤として有機溶
媒、例えばエタノール、テトラヒドロフランまたはアセトンを加えて行うことが
できる。置換反応は、適宜、低温または高温で、例えば約−40℃〜約100℃
で、好ましくは約−10℃〜約50℃で、所望により窒素またはアルゴン雰囲気
下などの不活性ガス下で行う。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。
工程f)(2級アミノ基の還元的アルキル化)
式I'及び式X*で示される出発物質およびその反応性誘導体において、反応
に関与するか、または反応条件下で反応しない基を除く官能基は、互いに別々に
、工程a)で記載した保護基の1つにより保護する。
式Iで示される化合物の反応性誘導体は、例えば、対応する亜硫酸水素塩付加
物、または、特に、アルコール、例えば低級アルカノールのついた式X*で示さ
れる化合物のセミアセタールまたはケタール;またはメルカプタン、例えば低級
アルカンスルフィドのついた式X*で示される化合物のチオアセタールである。
式X*で示される遊離アルデヒドが好ましい。
還元的アルキル化は、好ましくは、触媒、特に貴金属触媒、例えば白金または
特にパラジウム(これは、好ましくは、担体物質、例えば炭素に結合している)、
または重金属触媒、例えばラネーニッケルの存在下、常圧または0.1〜10メ
ガパスカル(MPa)で水素化するか、または、錯体ハイドライド、例えばボロ
ハイドライド、特にアルカリ金属シアノボロハイドライド、例えばシアノボロハ
イドライドナトリウムを用いて、適当な酸、好ましくは比較的弱酸、例えば低級
アルカンカルボン酸または特にスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存
在下;慣用的な溶媒中、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール
中、水の存在下または非存在下で還元することにより行う。
保護基の遊離は、「保護基の除去」の標題で記載した方法に従って行い得る。保護基の除去
式Iで示される所望の最終生成物の構成成分でない保護基、例えばカルボキシ
、アミノおよびヒドロキシ保護基の除去は、それ自体既知の方法で、例えば加溶
媒分解、特に加水分解、アルコール分解または酸分解により、または還元、特に
水素化分解または化学的還元、および光分解により(これは、適宜、段階的また
は同時に)行い、また酵素的方法を使用することも可能である。保護基の除去は
、例えば、保護基に関連する章に前記した標準的な著作に記載されている。
例えば、保護カルボキシ、例えばtert−低級アルコキシカルボニル、2位が三
置換シリル基により、または1位が低級アルコキシまたは低級アルキルチオによ
り置換された低級アルコキシカルボニル、または非置換または置換ジフェニルメ
トキシカルボニルは、適宜、求核性化合物、例えばフェノールまたはアニソール
を加えて、適当な酸、例えばギ酸、塩化水素またはトリフルオロ酢酸で処理する
ことにより遊離カルボキシに変換できる。カルボキシは、低級アルコキシカルボ
ニルから、塩基、例えば水酸化物、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばNaO
HまたはKOHにより遊離できる。非置換または置換ベンジルオキシカルボニル
は、例えば、水素化分解により、すなわち、金属水素化触媒、例えばパラジウム
触媒の存在下、水素を用いて処理することにより除去できる。加えて、適当に置
換したベンジルオキシカルボニル、例えば4−ニトロベンジルオキシカルボニル
は、還元により、例えばアルカリ金属ジチオン酸塩、例えばジチオン酸ナトリウ
ムを用いて、または還元金属、例えば亜鉛、または還元金属塩、例えばクロム(I
I)塩、例えば塩化クロム(II)を用いて、慣用的には水素発生剤(これは、金属に
より、発生期水素が産生する)、例えば酸、特に適当なカルボン酸、例えば非置
換または置換、例えばヒドロキシ置換低級アルカンカルボン酸、例えば酢酸、ギ
酸、グリコール酸、ジフェニルグリコール酸、乳酸、マンデル酸、4−クロロマ
ンデル酸または酒石酸の存在下、またはアルコールまたはチオールの存在下、好
ましくは水を加え、遊離カルボキシに変換できる。上記のように、還元金属また
は金属塩で処理することにより、2−ハロ−低級アルコキシカルボニル(適当な
場合には、2−ブロモ−低級アルコキシカルボニル基を対応する2−ヨード−低
級アルコキシカルボニル基に変換した後)またはアロイルメトキシカルボニルは
、遊離カルボキシに変換できる。アロイルメトキシカルボニルは、求核性、好ま
しくは塩形成試薬、例えばチオフェノール酸ナトリウムまたはヨウ化ナトリウム
で処理することにより除去できる。2−(三置換シリル)−低級アルコキシカルボ
ニル、例えば2−トリ−低級アルキルシリル−低級アルコキシカルボニルはまた
、フッ化物アニオンを生成するフッ化水素酸の塩、例えばアルカリ金属フッ化物
、例えばフッ化ナトリウムまたはカリウムを用いて、適当な場合には大環状ポリ
エーテル(「クラウンエーテル」)の存在下、または有機4級塩基、例えばテト
ラ−低級アルキルアンモニウムフッ化物またはトリ−低級アルキルアリール−低
級アルキルアンモニウムフッ化物、例えばテトラアルキルアンモニウムフッ化物
またはテトラブチルアンモニウムフッ化物を用いて、非プロトン性、極性溶媒中
、例えばジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルアセトアミド中で処理す
ることにより遊離カルボキシに変換できる。有機シリルオキシカルボニル形、例
えば、トリ−低級アルキルシリルオキシカルボニル、例えばトリメチルシリルオ
キシカルボニルで保護したカルボキシは、慣用的な方法で、加溶媒分解により、
例えば水、アルコールまたは酸、またはさらに上記したフッ化物で処理すること
により遊離できる。エステル化カルボキシは、酵素的に、例えば、エステラーゼ
または適当なペプチダーゼ、例えばトリプシンを用いて遊離できる。
保護アミノ基は、それ自体既知の方法で、保護基の特徴に従って、種々の方法
で、好ましくは加溶媒分解または還元により遊離する。低級アルコキシカルボニ
ルアミノ、例えばtert−ブトキシカルボニルアミノは、酸、例えば鉱酸、例えば
ハロゲン化水素、例えば塩化水素または臭化水素、または硫酸またはリン酸(し
かし好ましくは塩化水素)の存在下、または強有機酸、例えばトリハロ酢酸、例
えばトリフルオロ酢酸、またはギ酸の存在下、極性溶媒中、例えば水、またはエ
ーテル、好ましくは環状エーテル、例えばジオキサン中、除去でき;2−ハロ−
低級アルコキシカルボニルアミノ(適当な場合には、2−ブロモ−低級アルコキ
シカルボニルアミノ基を2−ヨード−低級−アルコキシカルボニルアミノ基に変
換した後)は上記のように、または、ギ酸などの液体有機カルボン酸中に直接溶
解して除去でき、アロイルメトキシカルボニルアミノまたは4−ニトロベンジル
オキシカルボニルアミノは、例えば、適当な還元剤、例えば亜鉛を用いて、適当
なカルボン酸、例えば酢酸水溶液の存在下、除去できる。アロイルメトキシカル
ボニルアミノはまた、求核性、好ましくは塩形成試薬、例えばチオフェノール酸
ナトリウムを用いて除去でき、4−ニトロベンジルオキシカルボニルアミノはま
た、アルカリ金属亜ジチオン酸塩、例えばジチオン酸ナトリウムで処理すること
により除去できる。非置換または置換ジフェニルメトキシカルボニルアミノ、te
rt−低級アルコキシカルボニルアミノまたは2−(三置換シリル)−低級アルコキ
シカルボニルアミノ、例えば2−トリ−低級アルキルシリル−低級アルコキシカ
ルボニルアミノは、適当な酸、例えばギ酸またはトリフルオロ酢酸で処理するこ
とにより除去でき;非置換または置換ベンジルオキシカルボニルアミノは、例え
ば、水素化分解により、すなわち、適当な水素化触媒、例えば白金またはパラジ
ウム触媒の存在下、水素で処理することにより除去でき;非置換または置換トリ
アリールメチルアミノまたはホルミルアミノは、例えば、酸、例えば鉱酸、例え
ば塩化水素酸、または有機酸、例えばギ酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸を用い
て、適当な場合には水の存在下、処理することにより除去でき、シリルアミノ形
で保護したアミノ基は、例えば加水分解またはアルコール分解により遊離できる
。2−ハロアセチル、例えば2−クロロアセチルにより保護したアミノ基は、塩
基の存在下、チオ尿素を用いて、または、チオレート塩、例えばチオ尿素のアル
カリ金属チオレートを用いて処理し、続いて、得られた置換生成物を加溶媒分解
、例えばアルコール分解または加水分解することにより遊離でき;アミノは、ト
リフルオロアセチルアミノから、例えば、塩基、例えばアルカリ金属水酸化物ま
たは炭酸塩、例えばNa2CO3またはK2CO3を用いて、極性溶媒中、例えばア
ルコール、例えばメタノール中、水の存在下または非存在下、0℃〜100℃の
温
度で、特に還流温度で、水素化分解することにより遊離される。2−(三置換シ
リル)−低級アルコキシカルボニル、例えば2−トリ−低級アルキルシリル−低
級アルコキシカルボニルにより保護されたアミノ基は、フッ化物アニオンを生成
するフッ化水素酸の塩を用いて、対応する保護カルボキシ基の遊離に関する上記
のように、遊離アミノ基に変換できる。同等に、窒素などのヘテロ原子に直接結
合したシリル、例えばトリメチルシリルは、フッ化物イオンを用いて除去できる
。
アジド基形で保護したアミノは、例えば、還元により、例えば水素化触媒、例
えば酸化白金、パラジウムまたはラネーニッケルの存在下、水素を用いて接触水
素化することにより、またはメルカプト化合物、例えばジチオトレイトールまた
はメルカプトエタノールを用いて還元することにより、または、酢酸などの酸の
存在下で亜鉛で処理することにより遊離アミノに変換される。接触水素化は、好
ましくは、不活性溶媒中、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中、
または水と有機溶媒(例えばアルコールまたはジオキサン)の混合物中、約20
℃〜25℃で、または、冷却または加熱しながら行う。
適当なアシル基により、トリ−低級アルキルシリル基により、または非置換ま
たは置換1−フェニル−低級アルキルにより保護されたヒドロキシ基は、対応す
る保護アミノ基と類似の方法で遊離する。2,2−ジクロロアセチルにより保護
されたヒドロキシ基は、例えば、塩基性加水分解により遊離され、tert−低級ア
ルキルまたは2−オキサ−または2−チア−脂肪族または−環状脂肪族炭化水素
基により保護されたヒドロキシ基は、酸分解により、例えば、鉱酸または強カル
ボン酸、例えばトリフルオロ酢酸で処理することにより遊離される。二価保護基
、好ましくは、例えば、低級アルキルによりモノまたはジ置換されたメチレン基
、例えば低級アルキリデン、例えばイソプロピリデン、シクロアルキリデン、例
えばシクロヘキシリデン、またはベンジリデンにより保護された隣接ヒドロキシ
およびアミノ基は、酸加溶媒分解により、特に、鉱酸または強有機酸の存在下で
遊離できる。トリ−低級アルキルシリル基は、同様に、酸分解により、例えば鉱
酸、好ましくはフッ化水素酸、または強カルボン酸により除去する。2−ハロ−
低級アルコキシカルボニルは、上記の還元剤、例えば還元金属、例えば亜鉛、還
元金
属塩、例えばクロム(11)塩を用いて、または硫黄化合物、例えば亜ジチオン酸ナ
トリウムまたは好ましくは硫化ナトリウムおよび二硫化炭素を用いて除去する。
いくつかの保護官能基が存在する場合には、所望により、1つ以上のこのよう
な保護基が、例えば酸分解により、例えばトリフルオロ酢酸で処理することによ
り、または水素および水素化触媒、例えば炭素上パラジウム触媒を用いて、同時
に除去できるように、保護基を選択することができる。また、逆に、全てが同時
に除去できないように、むしろ、望む順序で対応する中間体を得るような、基を
選択することができる。追加の工程段階
追加の工程段階(これは、任意である)において、反応に関与しない出発化合
物の官能基は、非保護であり得るか、または保護形であり、例えば、それらは、
工程a)に上記の1つ以上の保護基により保護され得る。保護基は最終生成物中
に残るか、または、それらの一部または全てを「保護基の除去」の標題で記載し
た方法の1つに従って除去し得る。
塩形成基を有する式Iで示される化合物の塩は、それ自体既知の方法に従って
製造できる。例えば、式Iで示される化合物の酸付加塩は、例えば、酸または適
当なアニオン交換試薬で処理することにより得られる。
塩は、慣用的な方法、例えば適当な塩基性試薬で処理することにより遊離化合
物に変換できる。
立体異性体混合物、例えば、ジアステレオ異性体混合物は、それ自体既知の方
法で、適当な分割方法を用いて対応する異性体に分割できる。例えば、ジアステ
レオ異性体混合物は、分別結晶、クロマトグラフィー、溶媒分配およびその他に
より、個々のジアステレオ異性体に分割できる。このような分割は、1つの出発
物質の段階か、または式Iで示される化合物自体を用いて行うことができる。
式I(式中、R5は、フェニルである)で示される化合物において、そのフェ
ニル基を、例えば、接触水素化により、特に、重金属酸化物、例えばロジウム/
白金混合酸化物の存在下、例えばニシムラ触媒を用いて、好ましくは極性溶媒中
、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール中、0℃〜80℃で、
特
に10℃〜40℃で、1〜10atmの水素圧で、好ましくはおよそ常圧で水素化
できる。一般反応条件
本明細書中の全工程段階は、それ自体既知の反応条件下で、しかし、好ましく
は特記した条件下で、溶媒または希釈剤、好ましくは、使用する試薬に対して不
活性な溶媒または希釈剤、またはそれらのための溶媒の非存在下または通常存在
下、触媒、縮合剤または中和剤、例えばイオン交換体、例えばH+形のカチオン
交換体の非存在下または存在下、反応の性質および/または反応物に依存して、
低温、常温または高温で、例えば約−100℃〜約190℃の温度範囲で、好ま
しくは−80℃〜約150℃で、例えば−80℃〜−60℃で、室温で、−20
℃〜40℃で、または使用する溶媒の沸点で、常圧で、または密封容器で所望に
より加圧下、および/または不活性雰囲気下、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気
下、行うことができる。
全出発物質および中間体の場合において、塩形成基が存在する場合には、塩が
存在し得る。反応が影響を受けないのであれば、塩はまた、このような化合物の
反応の間にも存在し得る。
全反応段階において、形成されるあらゆる異性体混合物は、「追加の工程段階
」の標題で記載した方法と類似の方法で、個々の異性体、例えばジアステレオ異
性体またはエナンチオマーに、またはあらゆる所望の異性体混合物、例えばラセ
ミ体またはジアステレオ異性体混合物に分割できる。
ある場合、例えば水素化の場合、例えば、個々の異性体がより簡単に得られる
ように、立体選択的反応を行うことが可能である。
溶媒(これから、特定の反応に適当な溶媒を選択できる)は、例えば、水、エ
ステル、例えば低級アルキル低級アルカン酸塩、例えば酢酸エチル、エーテル、
例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えば
テトラヒドロフラン、液体芳香族炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、ア
ルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−または2−プロパノール、
ニトリル、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、
酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、塩基、例えばヘテロ環状窒素塩基、例
えばピリジン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカン酸無水物、例えば酢酸無
水物、環状、直鎖または分枝炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたは
イソペンタン、またはこれらの溶媒混合物、例えば水溶液を含む(工程の記載に
特記していない限りにおける)。このような溶媒混合物はまた、例えばクロマト
グラフィーまたは分配などの後処理にも使用できる。
本発明は、任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として使用し
、残りの段階を行うか、または工程を任意の段階で停止させる形か、または出発
物質を反応条件下で形成させるか、または反応性誘導体または塩の形で使用する
形か、または本発明の工程に従って得られる化合物を工程条件下で生成し、さら
にその場で処理する形の工程にも関し、好ましいとして上記した化合物、特に、
特に好ましい、特により好ましいおよび/または特に非常に好ましいとして記載
した化合物が得られる出発物質を使用することが好ましい。
式Iで示される化合物の製造は、好ましくは、実施例で与えられる工程および
工程段階に類似の方法で行う。
式Iで示される化合物(その塩も含む)はまた、水和物の形で得られるか、ま
たはその結晶は、例えば、結晶化に使用した溶媒を含み得る。医薬組成物:
本発明は、式I、特に式Iaで示される化合物を含む医薬組成物にも関する。
本発明の薬理学的に許容される化合物は、例えば、有効量の有効成分を、著し
い量の無機または有機の固体または液体の医薬的に許容される担体と共にまたは
混合して含む医薬組成物の調製に使用し得る。
本発明はまた、レトロウイルスプロテアーゼ、特にレトロウイルスアスパラギ
ン酸プロテアーゼ、例えばHIV−1またはHIV−IIgagプロテアーゼの阻害
に反応性を示す疾患、例えばレトロウイルス疾患、例えばAIDSまたはその前
段階の処置または予防のための、恒温動物、特にヒトへの投与に適した医薬組成
物に関し、この医薬組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容される担体と共に
、レトロウイルスプロテアーゼの阻害に有効な量の式Iで示される化合物、また
は
その医薬的に許容されるその塩を含む。
本発明に記載の医薬組成物は、恒温動物(ヒトおよび動物)に対して、経腸、
例えば、直腸または経口、または非経腸、例えば経鼻、筋肉内または静脈内投与
するための組成物であり、これは、有効量の医薬有効成分を、単独で、またはか
なりの量の医薬的に許容される担体と共に含む。有効成分の用量は、恒温動物の
種、体重、年齢および個々の状態、個々の薬物動態学データ、処置する疾患およ
び投与形態に依存する。
本発明はまた、ウイルス、特にレトロウイルスが原因の疾患、特にAIDSま
たはその前段階の処置法にも関し、ここで、治療有効量の本発明に記載の式Iで
示される化合物、またはその医薬的に許容される塩を、記載した疾患の1つ、特
にAIDSまたはその前段階のために、該処置が必要である、特に、恒温動物、
例えばヒトに投与する。恒温動物、例えば約70kgの体重のヒトに投与する用量
は、1日1人あたり、好ましくは1〜3回の単用量(これは例えば同じサイズで
あり得る)に分割して、約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1.5g、例え
ば約50mg〜1000mgである。通常、小児には成人の用量の半分を投与する。
医薬組成物は、約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%の有効成分
を含む。本発明に記載の医薬組成物は、例えば、単一用量形、例えばアンプル、
バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤またはカプセル剤形であり得る。
本発明の医薬組成物はそれ自体既知の方法、例えば、慣用的な溶解、凍結乾燥
、混合、造粒または糖衣化により製造される。
有効成分の溶液、およびまた懸濁液、および特に等張性水溶液または懸濁液を
好ましくは使用し、有効成分を単独で、または担体、例えば、マンニトールと共
に含む凍結乾燥組成物の場合、このような水溶液または懸濁液を使用前に調製す
ることが可能である。医薬組成物は滅菌し得、および/または、例えば、保存剤
、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、溶解剤、浸透圧を調整するための塩
および/または緩衝液などの添加剤を含み得、それ自体既知の方法、例えば慣用
的な溶解または凍結乾燥法により調製する。この溶液または懸濁液は、粘度増加
物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセル
ロ
ース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどを含み得る。
油中懸濁液は、油成分として、注射の用途に慣用的である植物性の合成または
半合成油を含む。酸成分として、8〜22、特に12〜22炭素原子を有する長
鎖脂肪酸を含む、このような特に液体の脂肪酸エステルとして、例えば、ラウリ
ン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリ
ン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、または対応する不飽和酸、例え
ば、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸またはリノール酸(所
望により抗酸化剤、例えばビタミンE、β−カロテンまたは3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシトルエンを添加する)を記載し得る。これらの脂肪酸エ
ステルのアルコール成分は、最大6炭素原子を有し、モノ−またはポリ−水酸基
、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−水酸基アルコール、例えば、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノールまたはその異性体、
特にグリコールおよびグリセロールである。従って、脂肪酸エステルの以下の例
を記載する:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソ
プロピル、「Labrafil M 2375」(トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセロー
のトリグリセリド、Huls AG、Germany)、しかし特に植物油、例えば綿実油、扁
桃油、オリーブ油、ヒマシ油、大豆油およびより特定するとアメリカホドイモ油
およびゴマ油。
注射組成物は、滅菌条件下、慣用的な方法で調製し;同様に、組成物をアンプ
ルまたはバイアルに導入し、容器に封をする。
経口投与用の医薬組成物は、有効成分を固形担体と結合させ、所望により、得
られた混合物を造粒し、所望によりまたは必要に応じて、適当な添加剤を加えた
後、混合物を加工して錠剤、糖衣錠またはカプセル剤を得ることができる。また
、有効成分をプラスチック担体に組み込むと、一定量の有効成分を拡散または放
出できる。
適当な担体は、特に充填剤、例えば糖、例えばラクトース、サッカロース、マ
ンニトールまたはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシ
ウム、例えば、リン酸トリカルシウムまたはリン酸水素カルシウム、および結合
剤、例えばコーン、小麦、米またはジャガイモデンプンを用いたデンプン・ペー
スト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニル
ピロリドン、および/または、所望により崩壊剤、例えば上記のデンプン、また
カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸また
はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムである。添加剤は、特に、流度調節剤お
よび滑沢剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステ
アリン酸マグネシウムまたはカルシウム、および/またはポリエチレングリコー
ルである。糖衣コアに、適当で、所望により腸溶性のコーティングを施し、ここ
では、適当な有機溶媒中で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレングリコールおよび/または二酸化チタニウムを含み得るとりわけ濃縮
糖溶液、またはコーティング溶液、または、腸溶性コーティングの調製のために
、適当なセルロース調製物溶液、例えばフタル酸エチルセルロースまたはフタル
酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用する。
カプセル剤は、ゼラチンからなる硬ゼラチンカプセル剤、および、ゼラチンお
よび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールからなる軟封カプセル剤で
ある。硬ゼラチンカプセル剤は、顆粒形の有効成分を、例えば、充填剤、例えば
ラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または滑沢剤、例えばタルクま
たはステアリン酸マグネシウム、および所望により安定化剤と共に含み得る。カ
プセル剤では、有効成分は好ましくは、適当な油状添加剤、例えば脂肪酸、パラ
フィン油または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁し、同様に、安
定化剤および/または抗菌剤を加えることができる。
このような油としては、酸成分として、8〜22、特に12〜22炭素原子を
有する長鎖脂肪酸を含むこのような油、特に液体脂肪酸エステルとして、例えば
、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、
マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、または対応する不飽和
酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸またはリノー
ル酸
(所望により抗酸化剤、例えばビタミンE、β−カロテンまたは3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを添加する)を記載し得る。これらの脂肪
酸エステルのアルコール成分は、最大6炭素原子を有し、モノ−またはポリ−水
酸基、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−水酸基アルコール、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノールまたはその異性
体、特にエチレンまたはプロピレングリコールおよびグリセロールである。従っ
て、脂肪酸エステルの以下の例を記載する:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イ
ソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、「Labrafil M 2375」(トリオレイン
8〜C12の鎖長をもつ飽和脂肪酸のトリグリセリド、Huls AG、Germany)、しかし
特に植物油、例えば綿実油、扁桃油、オリーブ油、ヒマシ油、アメリカホドイモ
油、大豆油およびより特定するとゴマ油。パラフィン油でもよい。安定化剤、例
えば乳化剤、湿潤剤または界面活性剤、結合剤、例えばコーン、小麦、米または
ジャガイモデンプンを用いたデンプン・ペースト、ゼラチン、トラガカント、メ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(好ましい)、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、シクロデキストリンおよび/またはポリビニルピ
ロリドン、および/または抗菌剤もまた加え得る。適当な乳化剤は、特に、オレ
イン酸、脂肪酸ポリヒドロキシアルコールエステル型の非イオン性界面活性剤、
例えば、ソルビタンモノラウラート、モノオレアート、モノステアラートまたは
モノパルミテート、ソルビタントリステアラートまたはトリオレアート、脂肪酸
ポリヒドロキシアルコールエステルのポリオキシエチレン付加物、例えば、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウラート、モノオレアート、モノステアラート
、モノパルミテート、トリステアラートまたはトリオレアート、ポリエチレング
リコール脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチルステアラート、ポリオキシエ
チレングリコール(300または400)ステアラート、ポリエチレングリコー
ル2000ステアラート、特に、プルロニック型(登録商標)(Wyandotte Chem.Co
rp.;BASFのトレードマーク、FRG)またはシンペロニック型(登録商標)(ICI)のエ
チレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーである。例えば、もし
有効成分が記載の油に溶けないのであれば、例えば、約1〜100mmの粒子サイ
ズを有する懸濁液の形で存在する。
着色剤または色素を、例えば、見分けるために、または有効成分の量が異なる
ことを示すために、錠剤または糖衣コーティングまたはカプセル壁に加え得る。出発物質
:
本発明はまた、新規出発物質および/または中間体およびその製造法に関する
。使用した出発物質および選択した反応条件は、好ましくは、好ましいと記載し
た化合物が得られる条件である。
全出発物質の製造において、問題となる反応に関与しない遊離官能基は非保護
形または保護形であり得、それらは、例えば、工程a)で上記した保護基により
保護し得る。これらの保護基は、「保護基の除去」の標題で記載した反応により
、適当な時期に除去できる。
工程a)の出発物質は既知であるか、または、もし新規であれば、それ自体既
知の方法で製造でき;例えば、式IIIで示される化合物はヒドラジンまたはその
適当な誘導体から製造でき、式IVで示される化合物は、例えば記載の側鎖R5の
1つを有する適当なアミノ酸またはその類似体から製造できる。
式IIIで示される化合物は、例えば、式
H2N−NH−R11 (XI)
〔これはそれ自体既知であり、工程a)に記載の保護基を導入することによりヒ
ドラジンから製造でき、ここで、R11は水素または工程b)に上記のアミノ保護
基、特に、tert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル
、アリール−低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニルまた
は9−フルオレニルメトキシカルボニル、または上記のアシルアミノ保護基の1
つ、特にトリフルオロアセチルである〕
で示される化合物から、工程e)に上記の式Xで示される化合物とのアルキル化
により、または、部分式
[式中、
R6は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される基の反応により、式X*で示される適当なカルボニル化合物、または
その反応性誘導体〔この両方共、工程f)で定義されている〕の、式XIで示され
る化合物の遊離アミノ基またはそのアシル誘導体と反応させ、次いで、得られた
ヒドラゾンを還元して、式
(ただし、全記載化合物の基は上記で定義した通りであり、反応に関与しない問
題の試薬中の官能基は、必要であれば保護する)
で示されるヒドラジン誘導体を形成し、保護基R11を除去し、工程b)で上記の
条件下で、式VIで示される酸、または工程b)で記載したその酸誘導体と縮合す
ることにより得ることができる。
工程f)で上記に定義したように、式XIIで示される化合物の製造に使用する
、部分式Aで示される基の導入に適当な、化合物X*で示されるカルボニル化合
物、またはその反応性誘導体は、アルデヒドまたはその反応性誘導体であり、式
XIで示される化合物と反応させ続いて還元した後、その反応性カルボニル基は部
分式Aの記載の基の1つの構成成分であり、例えば好ましくは4−フェニルベン
ズアルデヒドまたは4−(2−シアノフェニル)ベンズアルデヒドである。
カルボニル化合物と式XIで示される化合物とが反応し、対応するヒドラゾンが
形成する反応は、カルボニル化合物とアミンとの反応に慣用的に使用される条件
下で、好ましくは極性有機溶媒、例えば、エーテル、例えばテトラヒドロフラン
またはジエチルエーテル、アルコール、例えばメタノールまたはエタノール、カ
ルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、またはエステル、例えば酢酸エ
チル、または水溶液中、好ましくはメタノール中、およびまた、酸触媒、例えば
カルボン酸、例えばギ酸または酢酸、またはスルホン酸、例えばp−トルエンス
ルホン酸などの存在下または非存在下で、0℃から反応混合物の還流温度で、好
ましくは20℃から反応混合物の還流温度で行う。
式
[式中、
R6およびR11は式XIIで定義した通りである]
で示される化合物が得られる。
得られた式XII*で示されるヒドラゾンの還元は、好ましくは、適当な触媒の
存在下で水素化することにより、または、酸の存在下、錯体ハイドライドを用い
て行う。水素化に適当な触媒として、所望により、例えば適当な担体、例えば硫
酸バリウム、酸化アルミニウムまたは炭素(活性炭素)に適用したもの、または
例えばラネーニッケルなどの骨格触媒の形の、金属、例えばニッケル、鉄、コバ
ルトまたはルテニウム、または貴金属またはその酸化物、例えばパラジウムまた
はロジウムまたはその酸化物を使用する。接触水素化に慣用的に使用される溶媒
は、例えば、水、アルコール、例えばメタノールまたはエタノール、エステル、
例えば酢酸エチル、エーテル、例えばジオキサン、塩化炭化水素、例えばジクロ
ロメタン、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、またはカルボン酸
、例えば氷酢酸、またはこれらの溶媒混合物である。水素化は、慣用的な装置を
用いて、好ましくは、10℃〜250℃の温度で、特に室温〜100℃で、好ま
しくは水素圧1〜200バールで、特に1〜10バールで行う。錯体ハイドライ
ド、特にボロハイドライド、例えばアルカリ金属シアノボロハイドライド、例え
ばシアノボロハイドライドナトリウムを用いて還元するために、好ましくはアル
コール、例えばメタノールまたはエタノール、または水とのその混合物中、好ま
しくは弱酸、例えばスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、またはカルボ
ン酸、例えば酢酸を使用する(例えば、Tetrahedron 49,8605-8628(1993)参照)
。
工程f)に記載したものと類似の条件下で、式XIで示される化合物を、工程f
)で定義した式X*で示される化合物またはその反応性誘導体で直接還元するこ
とによりアルキル化することも可能である。
また、式XIで示される化合物の製造に特に好ましいものは、J.Chem.Soc.Perki
n 1,1712(1975)に記載したものと類似の反応条件である。
式IIIで示される化合物はまた、例えば、上記で定義した式XII*(式中、R11
は水素〔R11が保護基の場合、例えば、保護基を除去することにより得られる)
である〕で示される化合物を、直接、工程b)で上記の反応条件下の縮合を用い
て、工程b)に記載の式VIで示される酸、またはその酸誘導体と反応させ、式
[式中、基は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される化合物を形成し、次いで、式XII*で示されるヒドラゾンの還元に記
載の反応条件と類似の条件下で還元することにより式IIIで示される化合物に変
換する。
式III*で示される化合物は、式III’(これは、前記に定義した通りである)
で示される対応する化合物から、後者を上記の式X*で示される化合物と反応さ
せることにより、式X*で示されるカルボニル化合物と式XIで示されるヒドラジ
ンとの反応で上記したものと類似の条件下で式III*で示されるヒドラゾンを形
成する。
式IVで示される化合物は、例えば、式
[式中、
R12は水素、または工程a)で記載のアミノ保護基の1つ、特に、tert−低級ア
ルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル、アリール−低級アルコ
キシ−カルボニル、例えばベンジルオキシカルボニルまたは9−フルオレニルメ
トキシカルボニル、または工程a)で記載のアシルアミノ保護基の1つ、特にト
リフルオロアセチルであり、R5は式Iで示される化合物で定義した通りである
]
で示されるアミノ酸の還元により、式
[式中、
基は最後に定義した通りである]
で示されるアルデヒドを形成し、次いで、このアルデヒドをイリド化合物、好ま
しくは硫黄イリド化合物と反応させ、式
[式中、
基は最後に定義した通りである]
で示されるエポキシドを形成し、保護基R12〔得られた遊離アミノ化合物(式中
、R12=水素である)は、例えば、酸付加塩の形で安定である〕の除去および最
後に得られた化合物のアミノ基を式VIII(式中、基は式VIIIで定義した通りであ
る)で示される酸を用いて、工程b)に記載の条件と類似の適当な条件下で、最
後にアシル化することにより得ることができる。
式XIIIで示されるアミノ酸の、対応する式XIVで示されるアルデヒドへの還元
は、例えば、対応するアルコールへの還元、および次いで、記載のアルデヒドへ
の酸化により行う。
アルコールへの還元〔遊離化合物、または[工程a)に記載のように、必要で
あれば、保護基の導入後]式
[式中、
基は式XIIIで示される化合物で定義された通りである]
で示されるものを有するR12によりN−保護された化合物〕は、例えば、式XII
で示される遊離化合物から得られたヒドラゾンの水素化で記載した条件下での、
工程b)に記載の酸ハロゲン化物または他の活性化カルボン酸誘導体の水素化に
より、または例えばボロハイドライドナトリウムなどの錯体ハイドライドを用い
て行う。次の得られたアルコールの酸化は、例えば、ヒドロキシ基を、スルホキ
シド、例えばジメチルスルホキシドを用いて、ヒドロキシ基を活性化する試薬、
例えば塩化カルボン酸、例えば塩化オキサリルの存在下、不活性溶媒中、例えば
ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、および/または非環状または環状
エーテル、例えばテトラヒドロフラン中、−80℃〜0℃、例えば−78℃〜−
50℃で酸化することにより、または、クロム酸またはその誘導体、例えばクロ
ム酸ピリジニウムまたはクロム酸tert−ブチル、ニクロム酸/硫酸、ヘテロ環状
塩基の存在下における三酸化硫黄、例えばピリジン/SO3、およびまた、硝酸、
軟マンガン鉱または二酸化セレンを用いて、水中、有機溶媒中、例えばハロゲン
化溶媒、例えば塩化メチレン、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド
、またはジ−低級アルキルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド中、塩基
性アミン、例えばトリ−低級アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下
または非存在下、−50℃〜100℃の温度で、好ましくは−10℃〜50℃で
酸化することにより、または、例えば金属銀、銅、銅−クロム酸化物または酸化
亜鉛の存在下、約200℃〜400℃(接触チューブ内)で接触脱水素化し、次
いで急速に冷却することにより可能である。
アミノ酸のアルデヒドへの直接的還元はまた、例えば、部分的に効力を減じた
パラジウム触媒の存在下で水素化することにより、または対応するアミノ酸エス
テル、例えば低級アルキルエステル、例えばエチルエステルを、錯体ハイドライ
ド、例えばボロハイドライド、例えばボロハイドライドナトリウム、または好ま
しくはアルミニウムハイドライド、例えばリチウムアルミニウムハイドライド、
リチウムトリ(tert−ブトキシ)アルミニウムハイドライドまたは特にジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドを用いて、非極性溶媒中、例えば炭化水素または芳
香族溶媒、例えばトルエン中、−100℃〜0℃、好ましくは−70℃〜−30
℃で還元し、次いで、例えばセミカルバゾンの対応する酸性塩、例えばセミカル
バジド塩酸塩を用いて、水性溶媒系、例えばアルコール/水、例えばエタノール
/水中、−20℃〜60℃の温度、好ましくは10〜30℃で反応させて対応す
るセミカルバゾンを形成し、得られたセミカルバゾンを、反応性アルデヒド、例
えばホルムアルデヒドと、不活性溶媒中、例えば極性有機溶媒、例えばカルボン
酸アミド、例えばジメチルホルムアミド中、−30℃〜60℃の温度で、好まし
くは0℃〜30℃で反応させ、次いで、酸、例えば強鉱酸、例えばハロゲン化水
素を用いて、水溶液中、所望により前記で使用した溶媒の存在下、−40℃〜5
0℃の温度で、好ましくは−10℃〜30℃で反応させることにより可能である
。対応するエステルは、アミノ酸を、対応するアルコール、例えばエタノールを
用いて、工程b)の縮合で使用した条件下と類似の条件下で、例えばハロゲン化
無機酸、例えば塩化チオニルとの反応により、有機溶媒混合物中、例えば芳香族
およびアルコール性溶媒混合物、例えばトルエンおよびエタノール中、−50℃
〜50℃の温度で、好ましくは−10℃〜20℃で反応させることにより得られ
る。
式XIVで示される化合物の製造は、J.Org.Chem.47,3016(1982)またはJ.Org.C
hem.43,3624(1978)に記載の反応条件下と類似した条件下、特に好ましい方法
で行う。
式XIVで示される化合物の式XVで示されるエポキシドへの変換に適した硫黄イ
リドは、例えば、ジアルキルスルホニウムメチリド、例えば、ジメチルスルホニ
ウムメチリド、アルキル−またはフェニル−ジアルキルアミノスルホキソニウム
メチリド、例えば、メチル−またはフェニル−ジメチルアミノスルホキソニウム
メチリド、またはジアルキルスルホキソニウムメチリド、例えばジメチル−また
はジエチル−スルホキソニウムメチリドである。
問題の硫黄イリド化合物は、その場で、対応するスルホニウムまたはスルホキ
ソニウム塩、および塩基、例えば水素化ナトリウムから、二極性非プロトン性溶
媒中、例えばジメチルスルホキシド、またはエーテル、例えばテトラヒドロフラ
ンまたは1,2−ジメトキシエタン中で製造し、次いで、式XIVで示される化合物
と反応させる。反応は、通常、室温で、冷却しながら、例えば−20℃まで下げ
て、または穏やかに加熱しながら、例えば40℃まで上げて行う。同時に形成さ
れたスルフィド、スルフィンアミドまたはスルホキシドを、次の水性後処理で除
去する。
硫黄イリドとの反応は、J.Org.Chem.50,4615(1985)に記載した条件と類似し
た特に好ましい方法で行う。
式XVで示される化合物はまた、上記に定義した式XIVで示される化合物から、
これをトリ−低級アルキルシリルメチルグリニャール化合物(これは例えば対応
するハロメチルシラン、例えばクロロメチル−トリメチルシランから調製する)
を用いて、不活性溶媒中、例えばエーテル、例えばジオキサンまたはジエチルエ
ーテル中、0℃〜50℃の温度で、例えば室温〜約40℃で反応させ、次いで、
シリル基を除去して脱離し、例えばルイス酸、例えばBF3を用いて(アミノ保護
基R12は好ましくは除去する)、不活性溶媒中、例えばエーテル、例えばジエチ
ルエーテル、またはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、またはその混
合物中、−50℃〜還流温度、特に0℃〜30℃で二重結合を形成し、必要であ
れば、上記で定義したように、アミノ保護基R12を導入して再度アシル化し、得
られた二重結合を、好ましくはペルカルボン酸、例えばm−クロロペル安息香酸
またはモノペルフタル酸(例えば、マグネシウム塩形)を用いて、不活性溶媒中
、例えばハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、またはアルコール、例え
ばメタノール、低級アルカノイルニトリル、例えばアセトニトリル、水またはそ
の混合物中、−20℃〜混合物の還流温度で、例えば10℃〜50℃で、酸化し
てオキシランを形成する。
式IVで示される化合物は、上記に定義した市販もされている式XIII*で示され
るアルコールを直接出発物質として、このアルコールを工程c)で定義した式VI
IIで示される酸またはその反応性誘導体を用いて、そこで記載の条件下で反応さ
せ、必要であれば、工程a)で記載したように保護基を導入し、適当な時期に「
保護基の除去」の標題に記載のように除去すると、式XIII*(式中、R12位は式
XI
IIで示される酸由来の対応するアシル基で置換されている)で示される化合物の
類似化合物が得られる;得られた化合物を式XIII*で示されるアルコールの酸化
で記載したものと類似の条件下で酸化し、対応する式
[式中、
基は定義した通りである]
で示されるアルデヒドを形成し、次いでこのアルデヒドを、式XIVで示される化
合物の式XVで示される化合物への変換で記載したように、例えばイリド化合物を
用いて、式IVで示される化合物へと変換する。
工程b)、c)およびd)の出発物質は既知であるか、または新規であれば、
それ自体既知の方法に従って製造できる:例えば、式Vで示される化合物は式XI
I(式中、R11は保護基であり、残りの基は式Vで示される化合物で定義した通
りである)で示される化合物および式IV(式中、基は式Iで示される化合物で定
義した通りである(工程b))で示される適当なエポキシドから製造でき;式VII
で示される化合物は、式III(式中、基は式Iで示される化合物で定義した通り
である)で示される適当なヒドラジン誘導体および式XV(式中、R12は保護基で
あり、残りの基は式Iで示される化合物で定義した通りである(工程c))で示さ
れる適当なエポキシドから製造でき;式IXで示される化合物は式XII(式中、R1 1
は水素であり、残りの基は式Iで定義した通りである)で示される適当なヒド
ラジン誘導体および式XV(式中、R12は保護基であり、残りの基は式Iで示され
る化合物で定義した通りである(工程d))で示される適当なエポキシドから、工
程a)と類似の方法で、工程a)および「保護基の除去」の標題に記載のように
所望により保護基を使用および除去して、(保護基R11およびR12は好ましくは
それぞれ式XIおよびXIIIで示される化合物の定義で上記した通りである)製造で
きる。
式I'(式中、置換基は上記で定義した通りである)で示される化合物は、例え
ば、式III’
[式中、
基は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示される遊離化合物から、工程b)に記載したものと類似の方法で、式IVで示
される化合物と反応させることにより製造できる、ただし、反応に関与しない存
在する全ての官能基は工程b)に記載のように保護し得、反応後、再び遊離し得
る。
式III'で示される化合物は、上記に定義した式XIで示される化合物から、式VI
(式中、基は上記で定義した通りである)で示される酸、またはその反応性酸誘
導体を、式XIIで示される化合物の反応に記載したものと類似の方法で、式VIで
示される酸と反応させ、次いで、「保護基の除去」の標題で記載した方法の1つ
に従って保護基R11を除去することにより得られる。
本発明に関する中間体は、特に、
(a)式IX(式中、R5はシクロヘキシルまたは特にフェニルであり、R6はシア
ノフェニルまたはフェニル、好ましくは2−シアノフェニルまたは特にフェニル
である)で示される化合物;
(b)式III(式中、R6はシアノフェニルまたはフェニル、好ましくは2−シア
ノフェニルまたは特にフェニルであり、R7、R8およびR9は、各々、低級アル
キル、特にメチルであり、R10は低級アルコキシカルボニル、特にメトキシカル
ボニルである)で示される化合物;
(c)式IV(式中、R1は低級アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル
であり、R2、R3およびR4は、各々、低級アルキル、特にメチルであり、R5は
シクロヘキシルまたは特にフェニルである)で示される化合物;
(d)式V(式中、R1は低級アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル
であり、R2、R3およびR4は、各々、低級アルキル、特にメチルであり、R5は
シクロヘキシルまたは特にフェニルであり、R6はシアノフェニルまたはフェニ
ル、好ましくは2−シアノフェニルまたは特にフェニルである)で示される化合
物;および/または
(e)式VII(式中、R5はシクロヘキシルまたは特にフェニルであり、R6はシ
アノフェニルまたはフェニル、好ましくは2−シアノフェニルまたは特にフェニ
ルであり、R7、R8およびR9は、各々、低級アルキル、特にメチルであり、R1 0
は低級アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニルである)で示される化
合物、
または各場合において、少なくとも1つの塩形成基が存在する場合、医薬的に許
容されるその塩、または(式IVで示される化合物の場合を除いて)アミノ保護基
を有するその誘導体に関する。
2つのアミノ保護基が存在する場合には、それらは同一であるかまたは異なる
。
使用するアミノ保護基は、例えば、工程a)で上記したアミノ保護基である。
好ましくは、保護基を、それぞれ式XIおよびXIIIで示される化合物のR11および
R12に好ましいとして記載した基から選択する、対応する化合物である。
式Iで示される保護化合物の製造は、例えば、前記した工程のいずれか1つに
従って、特に式IIIおよびIV〔式中、官能基は、工程a)に記載のように保護基
で保護し得る〕で示される化合物から行う。
式VI、VIIIおよびVIIIaで示される酸および式Xで示される化合物、および、
式XIIで示される化合物の製造に使用する部分式Aで示される基の導入に適当な
アルデヒドは既知であるか、または新規であれば、それ自体既知の方法で製造で
きる。
式VIで示される酸の製造は、例えば、対応するピロ炭酸ジ−低級アルキルエス
テル(特に、ピロ炭酸ジメチルエステル;Aldrich、Buchs、Switzerland)また
は好ましくはハロギ酸低級アルキルエステル、例えばクロロギ酸低級アルキルエ
ステル(特に、クロロギ酸メチルエステル、Fluka、Buchs、Switzerland)など
の、低級アルコキシカルボニル基の導入に適当な低級アルコキシカルボン酸の誘
導体と、式
[式中、
R7、R8およびR9は式VIで示される化合物で定義した通りであり、特に、各々
、メチル(または1つが水素で2つがメチル)である]
で示されるアミノ酸を用いて、工程b)のアシル化で記載したものと類似の条件
下、特に水性アルカリ金属水酸化物溶液中、例えば水酸化ナトリウム水溶液中、
ジオキサンの存在下、20〜100℃の温度で、特に50〜70℃で反応させる
ことにより行う。
従って、式VIIIで示される化合物は、式
[式中、
R2、R3およびR4は式Iで示される化合物で定義した通りであり、特に1つは
水素であり、2つはメチル(または3つ全部がメチル)である]
で示されるアミノ酸から得ることができ、式VIIIaで示される化合物は、式
[式中、R'2、R'3およびR'4基は、各々、式VIII'で示される化合物で定義し
た通りである(低級アルキル、水素ではない)]
で示されるアミノ酸から、低級アルコキシカルボニル基の導入に適当な低級アル
コキシカルボン酸の誘導体と反応させることにより得ることができる。
式XVI、XVIIおよびXVIIIで示されるアミノ酸は、既知であるか、またはそれ自
体既知の方法で製造できる。これらは好ましくは(α炭素原子に関して)(S)形
である。
式Xで示される化合物は、例えば、下記のように製造できる:
出発物質は、式
[式中、
R6は、式Iで定義した通りである]
で示される化合物である。これらの化合物は、例えば、ウルマン・ビアリール合
成法(Chem.Rev.38,139(1946)および64,613(1964)参照)により、2つの
フェニル環の結合部位に、各々、フェニル環およびハロゲン原子、特に、結合さ
せる成分の1つに塩素または臭素、他方にヨウ素を有する、式XIXで示される化
合物の成分を銅触媒反応させ;対応するビフェニルイルオキサゾリン(J.Am.Che
m.Soc.97,7383(1975)参照)および例えばオキシ塩化リンによるその開裂を
経由して、対応する化合物〔式中、R6はシアノフェニル(特に、2−シアノフェ
ニル)(Tetrahedron Lett.(1983),1437参照)である〕を形成するか、またはNi(
0)触媒ジアリールカップリングを経由して(J.Org.Chem.42,1821(1977)参照
;また、J.Med.Chem.34(8),2525-2547(1991)参照)(特に、3−シアノフェニ
ルR6を有する化合物の製造はJ.Med.Chem.34(8),2525-2547(1991)、およびp
−ブロモベンゾニトリルおよびp−CH3−フェニル−ZnClを経由する4−シ
アノフェニルR6を用いた製造はJ.Org.Chem.42(10),1821(1977)に類似参照)
得ることができる。
次いで、メチル基は、フリーラジカルハロゲン化により、例えば、塩素または
臭素、特にN−クロロ−またはN−ブロモ−アミン、例えばN−ブロモスクシン
イミドを用いて、好ましくは塩化炭化水素中、例えば塩化メチレンまたはクロロ
ホルム中、所望により、触媒量のフリーラジカル反応開始剤、例えば過酸化物、
例えば過酸化ジベンゾイル(例えば、0.1〜0.01、例えば0.07当量)、ま
たはアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリルの存在下、対応する式X(
式中、Xはハロゲン、特に塩素または臭素である)で示される化合物に変換でき
る。
次いで、この化合物は、
(i)加水分解により(例えばアルカリ水酸化物溶液、例えばNaOHの存在下
、しばしば相間移動触媒と共に)式
[式中、
R6は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示されるアルコールに変換することができ、次いで、ここに、ハロゲン化無機
酸、例えばハロゲン化チオニルまたはホスホリル(例えば、塩化物、臭化物また
はヨウ化物)と反応させることにより他のハロゲン基Xを導入することが可能で
あり;または、適当な他の有機または無機酸、例えば強有機スルホン酸(例えば
、酸塩化物の形で使用する)と反応させることにより式Xで示される他の化合物
に変換することができ;または、それらは
(ii)慣用的な方法の求核置換反応により、異なる基Xを導入し、式Xで示され
る他の化合物に直接変換できる。
式XIIで示される化合物の製造に使用される部分式Aの基を導入するに適当な
式X*で示されるアルデヒドは、例えば、上記に定義したように、式Xaで示さ
れる化合物から、クロム酸またはその誘導体、例えばクロム酸ピリジニウムまた
はクロム酸tert−ブチル、二クロム酸塩/硫酸、ヘテロ環状塩基の存在下の三酸
化硫黄、例えばピリジン/SO3、硝酸、軟マンガン鉱または二酸化セレンを用い
て、水中、有機溶媒中、例えば塩化メチレンなどのハロゲン化溶媒、例えばジメ
チルホルムアミドなどのカルボン酸アミド、または例えばジメチルスルホキシド
などのジ−低級アルキルスルホキシド中、塩基性アミン、例えばトリエチルアミ
ンなどのトリ−低級アルキルアミンの存在下または非存在下、−50℃〜100
℃の温度で、好ましくは−10℃〜50℃で酸化することにより;ヒドロキシ基
を、例えばジメチルスルホキシドなどのスルホキシドを用いて、例えば塩化オキ
サリルなどのヒドロキシ基を活性化する試薬の存在下、不活性溶媒中、例えばジ
クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、および/または例えばテトラヒドロフ
ランなどの非環状または環状エーテル中、−80℃〜−50℃で酸化することに
より;または、金属銀、銅、銅クロム酸化物または酸化亜鉛の存在下、約200
℃〜400℃(接触チューブ中)で、次いで急速に冷却しながら接触脱水素反応
することにより;またはそれらは購入できるか、または、例えば4−フェニルベ
ンズアルデヒド(Fluka、Buchs、Switzerland)または4−(2−シアノフェニル
)ベンズアルデヒド(Biomed.Chem.Lett.3,2667-2670(1993)およびJ.Med.Chem
.34,2525(1991)の記載参照)のように、それ自体既知の方法に従って製造で
きる。対応する反応性誘導体は、それから、それ自体既知の方法で製造する(例
えば、濃硫酸水素ナトリウム水溶液中の反応による亜硫酸水素塩化合物;塩化ア
ンモニウムまたは塩化水素(アセタール)などの酸の非存在下(セミ−アセター
ル)または存在下における関連するアルコールを用いた反応によるセミアセター
ルまたはアセタール;および、酸なしで対応するメルカプタンを用いた反応によ
るチオアセタール)。
両方の窒素原子が保護された、式IX(式中、R5およびR6は式Iで示される化
合物で定義した通りである)で示される出発物質、またはその前駆体(これは、
「保護基の除去」の標題に記載の方法に従って保護基を除去することにより式IX
で示される遊離化合物、または式IXで示される化合物の塩に変換することができ
る)は、式XX
[式中、
Rp1およびRp2は、各々、アミノ保護基または水素であり、他の基は式Iで示さ
れる化合物で定義した通りである]
で示されるオキソ化合物の還元により製造でき;
この化合物は、適当な錯体ハイドライドを用いて、または適当な触媒の存在下に
おいて水素を用いて水素化し、式XXI
[式中、基は式XXで示される化合物で定義した通りである]
で示されるヒドラゾンから出発したアシル転移により製造し、
この化合物は、好ましくは、式XXII
[式中、
Rp1'はアミノ保護基であり、R5およびR6は式Iで示される化合物で定義した
通りである]
で示されるニトリルから、(好ましくは、式XXIII
[式中、
基は式XXIIで示される化合物で定義した通りである]
で示されるイミノ化合物を経由した)選択的接触水素化、および式XXIV
[式中、
Rp2は式XXで示される化合物で定義した通りである]
で示されるヒドラジン誘導体との反応により得られ、官能基に対する別の適当な
保護基が存在し得る場合には;選択的接触水素化の間にヒドラジン誘導体を加え
(または、接触水素化が完了した場合にのみ、(さらに)得られた式XXIIIで示さ
れるイミノ化合物と反応させる)、
式XXIIで示される化合物は、好ましくは、式XXV
[式中、
Rp1'はアミノ保護基であり、R5は式Iで示される化合物で定義した意味の1つ
を有する]
で示されるアルデヒドから、式XXVI
[式中、
R6は式Iで示される化合物で定義した通りである]
で示されるカルボン酸の反応性誘導体を用いて、シアニド塩の存在下、反応させ
ることにより製造し;式XXからXXVIまでの化合物は遊離形であるか、または塩形
成基が存在し、反応条件が許容する場合にはその塩形で使用する。
適当なアミノ保護基は、特に、全述の反応において行うあらゆる還元および/
または水素化で除去されないアミノ保護基である。しかし、その他に許容される
ものは、これらの還元で除去可能な保護基であり、必要であれば、各反応段階で
慣用的な方法により新しい保護基を導入することが可能である。対応するアミノ
保護基は工程a)で定義しており、当業者にはよく知られている。
式XXで示されるオキソ化合物の還元は、好ましくは、錯体ハイドライド、例え
ばボロハイドライドまたは金属ハイドライド、特にボラン/テトラヒドロフラン(
BH3/THF)(特に好ましい)、ボラン/硫化ジメチル(BH3/(CH3)S)、テト
ラ(n−ブチル)アンモニウムボロハイドライド((CH3−CH2−CH2−CH2)
NBH4)、トリアルコキシボロハイドライド、例えばトリ−低級アルコキシボロ
ハイドライド、アルカリ金属ボロハイドライド、例えばリチウム、ナトリウムま
たはカリウムボロハイドライド、リチウムトリエチルボロハイドライド(スーパ
ー−ハイドライド(登録商標))、カリウムトリ(sec−ブチル)ボロハイドライド(
K−セレクトリド(登録商標))、カリウムトリ(シアミル)ボロハイドライド(KS
−セレクトリド(登録商標))、リチウムトリ(sec−ブチル)ボロハイドライド(L
−セレクトリド(登録商標))、リチウムトリ(シアミル)ボロハイドライド(LS−
セレクトリド(登録商標))、ナトリウムトリ(sec−ブチル)ボロハイドライド(N
−セレクトリド(登録商標))、アルカリ金属アミノボロハイドライドまたはアル
カリ金属(一または二置換アミノ)ボロハイドライド、例えばリチウムアミノボロ
ハイドライド、ナトリウムジメチルアミノボロハイドライド、リチウムジエチル
アミノボロハイドライド、リチウムジ−n−プロピル−アミノ−ボロハイドライ
ド、リチウムジイソプロピルアミノボロハイドライド、リチウム−1−アザヘプ
タノ−ボロハイドライド、リチウムピロリジノ−ボロハイドライド、リチウムモ
ルホリノ−ボロハイドライド、リチウムピペリジノ−ボロハイドライド、リチウ
ム(N−エチル−N−フェニル−アミノ)ボロハイドライド、ナトリウムビス(2
−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(ビトリド(登録商標))、リチウ
ムアルミニウムハイドライド、リチウムトリ(メトキシ)アルミニウムハイドライ
ド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(ダイバール)またはリチウムトリ(t
ert−ブトキシ)アルミニウムハイドライドを用いて、適当な溶媒または溶媒混合
物中、特にエーテル、例えばテトラヒドロフラン(特に好ましい)、ジ−低級アル
キルエーテル、例えばジエチルエーテルまたはジオキサン、またはハロゲン化炭
化水素、例えばジクロロメタンまたはクロロホルム中、好ましくは
−10℃〜80℃の温度で、特に0℃〜60℃で、例えば0℃〜室温で行う(試
薬および反応条件については、Heterocycles 14,1437(1980);Tetrahedron Let
t.33(32),4533(1992);US 4 895 943;Synthet.Commun.21,1579(1991);J.Che
m.Soc.Perkin I,1011(1986);J.Org.Chem.45,1(1980);またはBioorganic &
Medicinal Chemistry Letters 4(16),2055(1994)参照)。
適当な錯体ハイドライドを用いた、または適当な触媒の存在下で水素を用いた
水素化、および式XXIで示されるヒドラゾンから出発するアシル転移を行う場合
、方法は好ましくは下記の通りである:
初めに水素化を行う:
水素化に適当な錯体ハイドライドとして、特にアルカリ金属ボロハイドライド
、例えばアルカリ金属シアノボロハイドライド、特にナトリウムシアノボロハイ
ドライド(NaBH3CN)を、酸、好ましくは比較的強酸、例えば鉱酸、例えば
硫酸、リン酸、塩酸、臭素酸またはフッ化水素酸、または特に有機スルホン酸、
例えばアルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、または芳香族スルホン酸
、特に4−トルエンスルホン酸の存在下で使用して、反応は適当な溶媒中、特に
エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン中(Tetrahedron Lett.49
,8605(1993))、水の存在下またはその非存在下、好ましくは0℃〜80℃の温度
で、特に10℃〜60℃、例えばおよそ室温で使用する。
所望により担体上の、例えば活性炭素上、酸化アルミニウムまたは硫酸バリウ
ム上の、適当な触媒、特にニッケル、ロジウム、ルテニウム、パラジウムおよび
プラチナ触媒、より特定するとラネーニッケルまたはパラジウムまたは白金触媒
の存在下、水素を用いる水素化を、好ましくは、0.1〜200バール、好まし
くは1〜100バール、好ましくは20℃〜120℃の温度で、特に40℃〜1
00℃で、好ましくは有機溶媒、例えばアルカノール、例えばメタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノール、エーテ
ル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン、アミド、
例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジエチルホルムアミド、芳香
族炭化水素、例えばトルエンまたはキシレン、脂肪族モノカルボン酸、例えば低
級アルカン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、イソ−およ
びn−吉草酸、またはエステル、例えば脂肪族モノカルボン酸のアルキルエステ
ル、例えばギ酸メチルまたはエチルエステル、酢酸メチル、エチル、n−ブチル
またはイソブチルエステル、炭酸のエステル、例えば炭酸ジメチルまたはジエチ
ル、または記載の溶媒の混合物、特に酢酸、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールまたは酢酸エチルとのこれらの
アルコールとの混合物の存在下行う。
錯体ハイドライドを用いた水素化が、適当な触媒存在下における水素を用いた
水素化よりも好ましい。
ホウ酸錯体が得られ、これは、例えば、水層および溶媒として酢酸エチルなど
のエステルを含む有機層間における分配および(所望により、硫酸マグネシウム
などで乾燥後)ホウ酸錯体を含む層を蒸発により濃縮するなどで後処理し単離す
るか、またはその場で直接使用する。
続く式XXIの酸素原子から式XXのヒドラジン窒素原子へのP−(R6)−C6H5−
C(=O)−基のアシル転移は、好ましくは、塩基性反応条件下、特に水性塩基、
特に水性アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウムまたはナトリウムの存在
下、さらに溶媒、例えばエーテル、好ましくはジオキサンまたはジ−低級アルコ
キシ−低級アルカン、例えば1,2−ジメトキシエタンの非存在下または存在下
、好ましくは−10℃〜60℃の温度で、特に0℃〜30℃で行い、式XXで示さ
れる対応する化合物が得られる。
式XXIIで示される化合物におけるニトリル基の選択的接触水素化は、好ましく
は、式XXIVのヒドラジン誘導体の存在下、式XXIIIで示されるイミノ化合物を単
離せずに、それ自体既知の触媒の型を用いて、特にコバルト、ニッケルおよび貴
金属触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムおよびルテニウム触媒(これは遊
離形、または例えば活性炭素、酸化アルミニウムまたは硫酸バリウムなどの担体
と結合させて使用し、特に例えば活性炭素または酸化アルミニウムなどの担体上
のロジウム、または特にラネーニッケルが好ましい)を用いて;水素、好ましく
は分子状水素の存在下;酸、無機酸または有機酸を使用することができ、特に無
機プロトン酸、例えばHCl、HBrおよびHFなどのハロゲン化水素酸、リン酸
または硫酸、または有機プロトン酸、例えばベンゼンスルフィン酸などのスルフ
ィン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸などの非置換または置換芳香
族スルホン酸、好ましくは1〜18炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸、例
えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ハロゲン化脂肪族モノカルボン酸、例えばクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリ
クロロ酢酸またはトリフルオロ酢酸、好ましくは2〜12炭素原子を有する脂肪
族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸またはセバ
シン酸、非置換または置換芳香族モノまたはジカルボン酸、例えば安息香酸、ト
ルイル酸、ナフトエ酸、フタル酸またはテレフタル酸;好ましくは、弱酸、例え
ば1〜4炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸、プロピオン酸、
酪酸または特に酢酸;酸および式XXIVのヒドラジン誘導体は、有利には、式XXII
で示される化合物に基づき少なくとも等量使用し、ヒドラジン誘導体は好ましく
は等量から2倍のモル量を使用し、酸を等量から4倍のモル量を使用し、適当な
場合には、過剰の酸を直接溶媒として使用でき;有機または水性有機溶媒または
溶媒混合物の存在下または非存在下、特にアルコール、例えば低級アルカノール
、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタ
ノールまたはペンタノール、または脂肪族または環状エーテル、例えばジエチル
エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロ
ピラン、テトラヒドロフランまたはジオキサンの存在下;または、環状または脂
肪族アミド、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリド
ン、ホルムアミド、酸部分に1〜3炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のN
,N−ジアルキルアミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミド、および/または記載した
溶媒と水との混合物、特に好ましくはC1−C4アルカノール中、特にメタノール
またはエタノール、またはそれと水との混合物中;好ましくは0℃〜150℃の
温度で、特に20℃〜60℃で;常圧または加圧下、好ましくは常圧から10バ
ール
まで、好ましくは4バールまでで行う。
また、初めに水素化して式XXIIIで示されるイミノ化合物とし、単離せずに、
または完全にまたは部分的に単離し、次いで、式XXIVで示されるヒドラジン誘導
体と反応させる(反応条件は、好ましくは、最後に記載したものと一致する)こ
とが可能である。
式XXIVで示されるカルボン酸の反応性誘導体と反応させるために、反応性誘導
体として、特に、式XXVII
[式中、
R6は、式Iで示される化合物で定義した通りであり、Xはハロゲン、特に塩素
であるか、または酸素原子を介して結合した酸の基、特に対応するカルボン酸、
例えば式IX自体のカルボン酸のアシルオキシ基[p−(R6)−C6H5−C(=O)
−O−基(対称無水物)]または、特に例えばアセチルオキシなどの低級アルカノ
イルオキシ、または例えばイソブチルオキシカルボニルオキシなどの低級アルコ
キシカルボニルオキシである]
で示される化合物を使用し;シアニド塩として、好ましくはアルカリ金属シアニ
ド、特にシアン化カリウムまたはナトリウムを使用し;反応は、好ましくは、4
級アンモニウム塩、特にトリカプリルメチルアンモニウムハライド、例えばトリ
カプリルメチルアンモニウムクロリド(アリコート)、テトラアルキルアンモニウ
ムハライド、例えばテトラブチルアンモニウムクロリド、トリアルキル−アリー
ル−低級アルキルアンモニウムハライド、例えばトリエチルベンジルアンモニウ
ムクロリド、ベンジルシンコニウムハライド、例えばベンジルシンコニウムクロ
リド、ベンジルシンコニジニウムハライド、例えばベンジルシンコニジニウムク
ロリド、またはベンジルキニニウムハライド、例えばベンジルキニニウムクロリ
ドの存在下、適当な溶媒混合物中、例えばハロゲン化炭化水素と水との混合物、
特に塩化メチレン/水、1,1−ジクロロエタン/水またはクロロホルム/水、また
は脂肪族エーテルと水との混合物、例えばジアルキルエーテル/水、例えばジエ
チルエーテル/水、または環状エーテル/水、例えばテトラヒドロフラン/水また
はジオキサン/水(特に高い塩濃度の場合には層分離)中で行う。反応は、好ま
しくは、−20℃〜50℃の温度で、特に約0℃〜室温で行う。
式XXVIで示される化合物の反応性酸誘導体および式XXVで示されるアルデヒド
から出発して、式XXIIで示される化合物を形成する反応は、好ましくは、立体選
択的に行い、シアノ基を有する不斉炭素原子が(R)配置である得られた式XXIIで
示される化合物の、シアノ基を有する不斉炭素原子が(S)配置であるものに対す
るモル比は約3:1よりも大きく、特に4:1〜10:1である。
別にまた、式XXVで示されるアルデヒドとシアン化水素酸との反応を、アーモ
ンドまたはアーモンド抽出物または精製(S)−オキシニトリラーゼ自体の存在下
、アーモンドから得ることができる酵素(S)−オキシニトリラーゼの存在下、ま
たは、好ましくは、細胞形、細胞抽出物形または精製形で使用できるSorghum bi
color由来の酵素(R)−オキシニトリラーゼの存在下、立体選択的に行い、次い
で、上記のように(Tetrahedron Asymmetry 7(3),663-666(1996))式XXVIで示
される酸またはその反応性酸誘導体を用いて、有機溶媒中、アシル化することが
できる。
出発物質はまた、EP 0 521 827に記載の方法により製造できるか、またはそこ
に記載の原料から得られる。
式Iで示される化合物の製造のための出発物質の製造は、好ましくは、実施例
に記載の方法および工程段階と類似する。実施例
:
下記の実施例は本発明を説明するためのものであり、その範囲を制限するため
のものではない。
温度は摂氏(℃)で示す。温度を特定しない場合、反応は室温で行う。Rf値
(問題となる物質の浸透伝達の、溶媒前端の浸透伝達に対する比を示す)は、指
示した溶媒系を用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)により薄層シリカゲル
・プレート(Merck、Darmstadt、Germany)で測定する。
互いの溶媒の定量比は、常に、容積(v/v)で与えられる。カラムクロマトグ
ラフィーの溶出系の定義における定量比は、一部、容積により与えられる。
ペプチド化学で慣用的に使用される名称は、天然α−アミノ酸の二価基を示す
ために使用する。「tert−ロイシル」基は、tert−ロイシン(α−tert−ブチル
−グリシン)の基である。既知のα炭素原子の立体配置は、接頭辞(L)−または
(D)−で示される。
他の略称を使用する:
Anal. 元素分析
atm 物理気圧
圧力単位
1atmは1.013バールに相当する
塩基性alox 塩基性酸化アルミニウム
食塩水 飽和塩化ナトリウム溶液
calc. 計算値
CDCl3 重クロロホルム
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO−d6 ヘキサ重ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
FAB−MS 高速原子衝撃質量分析
h 時間
MeOH メタノール
min 分
m.p. 融点1
H−NMR プロトン核磁気共鳴
Rf TLCにおける浸透伝達/溶出前端の比
sat. 飽和
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60プ
レート、MerckN Darmdtadt)実施例1:1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(N−メトキシカルボニル)−( L
)−tert−ロイシル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メト キシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
1−(4−ビフェニルイル)−2−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−
(N−メトキシカルボニル)−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザ
ヘキサン(実施例1f)56.4g(95.3mmol)およびN−メチルモルホリン(
Fluka、Buchs、Switzerland)31.4mlのDMF650ml溶液を、20分間かけ
て、N−(メトキシカルボニル)−(L)−tert−ロイシン(実施例1g)18.0
4g(95.3mmol)およびO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)
−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(Fluka、Bu
chs、Switzerland)28.4g(95.3mmol)のDMF180ml溶液に滴下して
加える。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、水7lに注ぐ。直ち
に形成した懸濁液を濾過し、残渣を水1lで洗浄する。粗生成物を酢酸エチル2.
5lに溶かし、有機層を水(2×)および食塩水(1×)で洗浄し、硫酸マグネ
シウムで乾燥させ濃縮すると約1lの用量の残渣が得られる。次いで、結晶化を
行い、5℃でヘキサン2lを加えて完結させる。結晶塊を濾別し、ヘキサンで洗
浄する;40℃で乾燥した後、わずかに黄色の生成物が得られる。さらに精製す
るために、生成物を熱MeOH(65℃)1lに溶かし、再度、結晶化するために
蒸発させて約200mlの用量の残渣とする。不均一な混合物を0℃で6時間撹拌
する。次いで、結晶を濾別し、氷冷メタノールで洗浄し、45℃で24時間真空
乾燥させると、表題化合物が白色の固体形で得られる:m.p.206−207℃;1
H−NMR(CDCl3)δ=7.6−7.15(m、14H);6.75(s、br、1H)
;6.51(d、J=10、1H);5.28(d、J=9、1H);5.13(d、J=
9、1H);4.87(s、br、1H);4.18−3.85(m、4H);3.65(s、
3H);3.60(s、3H);3.6(m、2H);2.95(d、J=8、2H);2.8
3(d、J=12、1H);2.60(dd、J=12、3、1H);1.98(m、1H)
;0.78(s、9H)、0.82および0.78(2d、J=7、6H)。FAB−M
S(M+H)+=690。元素分析(C38H51N5O7・0.2H2O)C:計算値65.
82、実測値65.98;H:計算値7.47、実測値7.49;N:計算値10.
10、実測値10.12。TLC Rf(酢酸エチル)=0.61。
出発物質は下記のように製造する:
1a)N1−(Tert−ブトキシカルボニル)−N2−(4−ビフェニルイルメチル)− ヒドラゾン
4−ビフェニルカルバルデヒド(=4−フェニルベンズアルデヒド;Aldrich
、Buchs、Switzerland)75.8g(0.416mol)を、室温で、N−(tert-ブト
キシカルボニル)−ヒドラジン(=tert−ブチルカルバゼート、Aldrich、Buchs
、Switzerland)50g(0.378mol)の無水EtOH750ml溶液に加える。
添加が完了したら、反応混合物を16時間加熱還流する。次いで、約200mlの
溶媒を蒸留除去する。反応混合物の残りを水500mlで希釈し、生成物が結晶化
し始める。0℃に冷却して結晶化を完了させ、固体を濾過して単離し、1lの水
で洗浄し、60℃で乾燥させると、表題化合物が得られる:m.p.188−189
℃1H−NMR(CD3OD)δ=7.92(s、1H);7.78および7.65(AB
システム、J=8、4H);7.63(m、2H);7.5−7.3(m、3H);1.5
2(s、9H)。
1b)N1−(Tert−ブトキシカルボニル)−N2−(4−ビフェニルイルメチル)− ヒドラジン
炭素上5%パラジウム9.4gを実施例1a)由来の表題化合物(ヒドラゾン)
94.4g(0.318mol)のMeOH2.5l溶液に加え、混合物を1atmの水素圧
で室温で2時間水素化する。理論量の水素が吸収されたら、触媒を濾別し、濾液
を蒸発により濃縮する。残渣を1lのヘキサンで懸濁すると、表題化合物が固体
形で得られる。さらに、ヘキサン溶液を数日間静置することにより表題化合物を
得ることができる:m.p.84−85℃。1H−NMR(CD3OD)δ=7.55(m
、4H);7.50−7.38(m、5H);3.95(s、2H);1.45(s、9H)。
1c)1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(tert-ブトキシカルボニル)−アミノ −4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(トリフルオロアセチル)−アミノ−6− フェニル-2−アザヘキサン
実施例1b)由来の表題化合物(ヒドラジン)46g(154.3mmol)および
2(S)−N−(トリフルオロアセチル)アミノ−1−フェニル−3(R)−3,4−
エポキシブタン(EP0 521 827に従って製造、実施例16d)40g(154.3m
mol)の無水イソプロパノール800ml溶液を16時間加熱還流する。次いで、
イソプロパノール500mlを蒸留して除去し、残った反応混合物を0℃に冷却す
ると、表題化合物が結晶化し始める。固体を濾別し、2回イソプロパノール50
0mlで洗浄する。さらに精製するために、得られた粗生成物を1lのヘキサンで
懸濁し、ヘキサンから分離し、塩化メチレンに溶かす。塩化メチレン溶液を蒸発
により完全に濃縮した後、表題化合物が白色の固体形で得られる。M.p.189−
190℃。1H−NMR(CD3OD)δ=7.55−7.10(m、14H)、4.25
(m、1H)、3.88−3.72(m、3H)、3.05−2.70(m、4H)、1.31
(s、9H)。元素分析(C30H34N3O4F3)C:計算値64.62、実測値64.4
9;H:計算値6.15、実測値6.15;N:計算値7.54、実測値7.46。
1d)1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミ ノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
1M炭酸カリウム水溶液484mlを、実施例1c)由来の表題化合物54g(9
6.8mmol)のMeOH1.5ml溶液に還流温度(64℃)で滴下して加える。2.
5時間後、反応が完了したら、大部分のMeOHを減圧下で蒸留除去する。不均
一な反応混合物を、酢酸エチル2lおよび水500mlで希釈する。有機層を1回
食塩水1lで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発により完全に濃縮する
。乾燥すると表題化合物が白色固体形で得られる。M.p.134−136℃。1H
−NMR(CD3OD)δ=7.60−7.15(m、14H);3.98−3.75(m、
2H);3.55(m、1H)、3.0−2.55(m、5H);1.30(s、9H)。元素
分析(C28H35N3O3)C:計算値72.86;実測値72.72;H:計算値7.6
4、実測値7.56;N:計算値9.10、実測値9.07。
1e)1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミ ノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリ ル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
トリエチルアミン77ml(554mmol)を、N−(メトキシカルボニル)−(L)
−バリン(製造については、Chem.Lett.、p.705(1980)参照)25.9g(148
mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチル−カルボジイミド(塩
酸塩)(Fluka、Buchs、Switzerland)53.1g(277mmol)および1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール水和物25g(185mmol)のDMF800ml懸濁液に加
る。30分後、実施例1d)由来の表題化合物42.6g(92.2mmol)溶液を、
20分間かけて滴下して加え、反応混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、溶
媒を減圧下で蒸留除去し、残渣を酢酸エチル2.5lおよび水1.8lに分配する。
さらに、固体を完全に溶解するために、MeOH200mlおよびトリエチルアミ
ン150mlが必要である。有機層を水(3×)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(
2×)、水(2×)および食塩水(2×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ
、蒸発により濃縮する。このようにして、表題化合物が白色固体の形で得られる
。M.p.191−192℃。元素分析(C37H49N5O7・0.3H2O)C:計算値
67.29、実測値67.26;H:計算値7.46、実測値7.53;N:計算値
8.97、実測値8.94。
1f)1−(4−ビフェニルイル)−2−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)− N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−ア ザヘキサン
実施例1e)由来の表題化合物57.2g(92.4mmol)を、ジオキサン中4
N塩酸200mlおよびMeOH20mlの混合物に溶かし、室温で放置する。TL
C(19:1クロロホルム:MeOH、v:v)から、反応は3時間で完了する。反
応溶液を蒸発により濃縮し、残渣を再度ジオキサン250mlに溶かす。凍結乾燥
後、表題化合物が無定形の白色固体の形で得られる。1H−NMR(CD3OD)δ
=7.7−7.15(m、14H);4.17(s、br、2H);3.95(s、br、1H)
、3.75−3.55(m、2H);3.63(s、3H);3.05−2.70(m、4H)
、1.85(m、1H);0.75および0.72(2d、J=7、6H)。FAB-MS
(M+H)+=519。TLC Rf(12:1塩化メチレン:MeOH、v:v)=0.5
0。
1g)N−(メトキシカルボニル)−(L)−tert−ロイシン
クロロギ酸メチルエステル(Fluka、Buchs、Switzerland)23.5ml(305
mmol)を、20分間かけて、2N水酸化ナトリウム水溶液252ml(504mmol
)およびジオキサン80mlからなる混合物中の(L)−tert−ロイシン(=2(S)
−アミノ−3,3−ジメチル酪酸=L−α−tert-ブチルグリシン;Fluka、Buchs
、Switzerland)20g(152mmol)溶液に加え、反応溶液を60℃で14時間
加熱する。反応溶液を室温まで冷却した後、2回塩化メチレンで洗浄する。水層
を4N塩酸水溶液でpH2に酸性化し、3回酢酸エチルで抽出する。有機相を合
わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発により濃縮すると生成物が凝固し始める
。ヘキサンで凝固した固体を懸濁すると白色粉末形の表題化合物が得られる。M.
p.106−108℃。1H−NMR(CD3OD)δ=4.0(m、1H);3.65(s
、3H);1.01(s、9H)。元素分析(C8H15NO4・0.02H2O)C:計算
値50.69、実測値50.69;H:計算値8.00、実測値7.95;N:計算
値7.39、実測値7.35。
下記の化合物はこの応用例で記載のものと類似の方法で製造する:実施例2:1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(N−メトキシカルボニル−(L )−バリニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカル ボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物を、実施例1と類似の方法で、1−(4−ビフェニルイル)−2−アミノ
−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−tert−
ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサンおよびN−(メトキシカル
ボニル)−(L)−バリン(製造については、Chem.Lett.、p.705(1980)参照)から
製造する。1H−NMR(CD3OD)δ=7.6−7.1(m、14H);4.15(t、
br、J=8、1H);4.0および3.95(ABシステム、J=12、2H);3.
88(s、1H);3.75(m、1H);3.65(s、3H);3.61(s、3H);3.
0−2.55(m、4H);2.70(m、1H);0.83(s、9H);0.64および
0.60(2s、6H)。FAB−MS(M+H)+=690。TLC Rf(30:1塩
化メチレン:メタノール、v:v)=0.48。
出発物質は下記のように製造する:
2a)1−(4−ビフェニルイル)−2−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)− N−(N−メトキシカルボニル)−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニ ル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例1f)と類似の方法で、1−(4−ビフェニルイル)−2−N
−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(
N−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2
−アザヘキサンから出発して製造する。1H−NMR(CD3OD)δ=7.6−7.
15(m、14H);4.2(br、3H);3.95+3.65(2s、br、2H);3.7
0−3.60(m、2H);3.65(s、3H);3.0−2.7(m、4H);0.80(
s、9H)。FAB−MS(M+H)+=533。TLC Rf(19:1塩化メチレン
:メタノール、v:v)=0.50。
2b)1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミ ノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−tert −ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物を、実施例1e)と類似の方法で、N−メトキシカルボニル−(L)−バ
リンの代わりにN−メトキシカルボニル−(L)−ロイシン(実施例1g)を用い
て製造する。1H−NMR(CD3OD)δ=7.6−7.15(m、14H);4.05
(m、1H);3.86(s、2H);3.70(m、2H);3.65(s、3H);3.0−
2.55(m、4H);1.32(s、9H);0.85(s、9H)。FAB−MS(M+
H)+=633、TLC Rf(19:1塩化メチレン:メタノール、v:v)=0.57
。実施例3:1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−N−(N−メトキシ カルボニル−(L)−バリル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N− メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−ア ザヘキサン
氷冷しながら、ジエチルホスホリルシアニド0.33ml(2mmol)およびトリ
エチルアミン1.12ml(8mmol)を、1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル
]−2−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−
(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン630mg(
1mmol)およびN−(メトキシカルボニル)−(L)−バリン(製造については、Ch
em.Lett.、p.705(1980)参照)のDMF8ml溶液に添加する。反応混合物を室
温で24時間放置し、水および酢酸エチルに注ぎ、層を分離する。有機層を1回
、水、飽和炭酸水素溶液、水、10%クエン酸、水および食塩水で洗浄する。粗
生成物をヘキサン:酢酸エチル4:1(v/v)を用いてシリカゲルクロマトグラ
フィーにより精製する。生成物の画分を蒸発により完全に濃縮し、残渣をヘキサ
ンで懸濁すると、表題化合物が白色の固体形で得られる。FAB−MS(M+H)+
=715。元素分析(C39H50N6O7・0.3H2O)C:計算値65.04;実測
値64.7;H:計算値7.08;実測値7.0;N:計算値11.67;実測値1
1.3。TLC Rf(4:1ヘキサン:酢酸エチル、v:v)=0.58。
出発物質は下記のように製造する:3a)1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−アミノ−4(S)−ヒドロ キシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ −6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例1f)と類似の方法で、1−[4−(2−シアノフェニル)−フ
ェニル]−2−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(
S)−N−(N−メトキシカルボニル)−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フ
ェニル−2−アザヘキサンから出発して製造する。FAB−MS(M+H)+=5
58。元素分析(C32H39N5O4Cl2・1.02H2O)C:計算値59.22;実
測値61.6;H:計算値6.68;実測値7.0;N:計算値10.79;実測値
10.6。TLC Rf(19:1塩化メチレン:メタノール、v:v)=0.54。3b)1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−(tert−ブトキシカルボニ ル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル)−( L)−tert−ロイシル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例3)と類似の方法で、N−メトキシカルボニル−(L)−バリ
ンの代わりにN−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシン(実施例1g)を
用いて、1−[4−(2−シアノフェニル)−フェニル]−2−(tert−ブトキシカ
ルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−アミノ−6−フェニル−2
−アザヘキサンから製造する。FAB−MS(M+H)+=658。元素分析(C37
H47N5O6・0.21H2O)C:計算値67.17;実測値66.4;H:計算値
7.22;実測値7.3;N:計算値10.59;実測値10.2。TLC Rf(3
:1ヘキサン:酢酸エチル、v:v)=0.57。3c)1−[4−(2−シアノフェニル)−フェニル]−2−(tert−ブトキシカルボ ニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−アミノ−6−フェニル−2−ア ザヘキサン
化合物は、実施例1d)と類似の方法で、1−[4−(2−シアノフェニル)フェ
ニル]−2−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S
)−N−(トリフルオロアセチル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサンか
ら製造する。FAB−MS(M+H)+=487。元素分析(C29H34N4O3・0.
13H2O)C:計算値71.24;実測値71.25;H:計算値7.06;実測
値7.12;N:計算値11.46;実測値11.14。TLC Rf(9:1塩化
メチレン:メタノール、v:v)=0.41。3d)1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−(tert−ブトキシカルボニ ル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(トリフルオロアセチル)−ア ミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例1c)と類似の方法で、N'−(tert−ブトキシカルボニル)−
N2−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−ヒドラジンから製造する。m.p.1
48−150℃。FAB−MS(M+H)+=583。元素分析(C31H33F3N4O4
)C:計算値63.91;実測値63.46;H:計算値5.71;実測値5.70
;N:計算値9.62;実測値9.38;F:計算値9.78;実測値9.84。T
LC Rf(1:1ヘキサン:酢酸エチル、v:v)=0.68。3e)N1−(Tert−ブトキシカルボニル)−N2−[4−(2−シアノフェニル)フェ ニル]−ヒドラジン
化合物は、実施例1b)に類似の方法で、N1−(tert-ブトキシカルボニル)−
N2−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−ヒドラゾンから製造する。1H−N
MR(CDCl3)δ=7.76(d、J=7、1H);7.68−7.38(m、7H);
6.12(s、br、1H);4.05(s、2H);0.95(s、9H)。FAB−MS(
M+H)+=324。TLC Rf(1:1ヘキサン:酢酸エチル、v:v)=0.52。3f)N1−(Tert−ブトキシカルボニル)−N2−[4−(2−シアノフェニル)フェ ニル]−ヒドラゾン
化合物は、実施例1a)と類似の方法で、4−(2−シアノフェニル)−ベンズ
アルデヒド(製造については、BioMed.Chem.Lett.3(12)、p.2667(1993);J.Med.
Chem.34、p.2525(1991)参照)を用いて製造する。1H−NMR(CDCl3)δ=
7.93(s、br、1H);7.88(s、br、1H);7.79(d、J=8、2H);7
.75(d、J=8、1H);7.63(td、J=8および1、1H);7.57(d、
J=9、2H);7.52(dd、J=8および<1、1H);7.43(td、J=8お
よび<1、1H);1.51(s、9H)。FAB−MS(M+H)+=332。元素分
析(C19H19N3O2)C:計算値71.01;実測値70.1;H:計算値5.96
;実測値6.1;N:計算値13.07;実測値12.8。TLC Rf(3:1ヘキ
サン:酢酸エチル、v:v)=0.24。実施例4:1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル)−2−N−(N−メトキシ カルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)− N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−ア ザヘキサン
化合物は、実施例3)と類似の方法で、1−[4−(2−シアノフェニル)フェ
ニル]−2−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニ
ル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサンおよびN−(メト
キシカルボニル)−(L)−tert−ロイシン(実施例1g)から製造する。1H−N
MR(CD3OD)δ=7.82(d、J=8、1H);7.72(td、J=8および<
1、1H);7.55−7.45(m、6H);7.25−7.2(m、4H);7.13(m
、1H);4.15(t、br、J=7、1H);4.08および3.96(ABシステム
、
J=12、2H);3.80(d、br、J=7、1H);3.75(br、1H);3.6
7(br、1H);3.63(s、3H);3.60(s、3H);2.95(m、1H);2.
86(m、2H);2.7(d、br、J=12、1H);1.87(m、1H);0.78(m
、6H);0.70(s、9H)。FAB−MS(M+H)+=715。TLC Rf(酢
酸エチル)=0.71。
出発物質は下記のように製造する:4a)1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−アミノ−4(S)−ヒドロ キシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フ ェニル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例1f)と類似の方法で、1−[4−(2−シアノフェニル)フェ
ニル]−2−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S
)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2
−アザヘキサンから出発して製造する。FAB−MS(M+H)+=544。元素
分析(C31H37N5O4・0.99HCl・1.29H2O)C:計算値61.75;実
測値61.71;H:計算値6.78;実測値6.84;N:計算値11.61;実
測値11.14;Cl実測値6.07。TLC Rf(9:1塩化エチレン:メタノー
ル、v:v)=0.72。4b)1−[4−(2−シアノフェニル)フェニル]−2−(tert−ブトキシカルボニ ル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−( L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン
化合物は、実施例3)と類似の方法で、1−[4−(2−シアノフェニル)フェ
ニル]−2−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S
)−アミノ−6−フェニル-2−アザヘキサン(実施例3c)およびN−メトキシ
カルボニル−(L)−バリンから出発して製造する。FAB−MS(M+H)+=6
44。元素分析(C36H45N5O6・0.19H2O)C:計算値66.81;実測値
66.49;H:計算値7.07;実測値7.12;N:計算値10.82;実測値
10.68。TLC Rf(1:1ヘキサン:酢酸エチル、v:v)=0.21。実施例5:1−(4−ビフェニルイル)−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−2,5− ビス[N−(N−メトキシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ]−6−フ ェニル−2−アザヘキサン
N−(メトキシカルボニル)−(L)−tert−ロイシン(実施例1g)161mg(
0.849mmol)およびO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N
,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(Fluka、Buchs、S
witzerland)253mg(0.849mmol)のDMF1.6ml溶液を30分間撹拌し
、次いで、1−(4−ビフェイルイル)−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−2,5−
ジアミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン塩酸塩200mg(0.425mmol)
およびN−メチルモルホリン(Fluka、Buchs、Switzerland)280μlのDMF
2ml溶液を加える。混合物を室温で62時間撹拌し、次いで、水40mlに注ぐ。
1時間後、得られた懸濁液を濾過する。残渣をクロマトグラフィー(SiO2;塩
化メチル/メタノール30:1)にかけ、ジイソプロピルエーテル/ヘキサンを用
いて塩化メチレンから沈殿させると、表題化合物が白色固体形で得られる:FA
B−MS(M+H)+=704。元素分析(C39H53N5O7・0.48H2O)C:計
算値65.56、実測値65.60;H:計算値7.89、実測値7.60;N:計
算値9.80、実測値9.64;H2O:計算値1.21、実測値1.21。TLC
Rf(塩化メチレン/メタノール30:1)=0.24。
出発物質は下記のように製造する:5a)1−(R)−シアノ−N−2−(S)−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ− 3−フェニルプロピル−4−(フェニル)ベンゾエート
シアン化カリウム8.34g(128mmol)溶液を、0℃で、Boc−(L)−フェ
ニルアラニル12.46g(50mol)、ビフェニルカルボニルクロリド(Aldrich、
Buchs、Switzerland)13.00g(60mmol)およびN−ベンジルシンコニウム
クロリド924mg(2.2mmol)のTHF200ml溶液に滴下して加える(塩基性
酸化アルミニウムを通して濾過する)(滴下添加時間20分)。その後、冷却浴を
取り外し、反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、酢酸エチルおよび水各2
00mlで希釈し、層を分離し;有機層を0.1N塩酸および10%炭酸水素溶液
で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ濃縮する。シアノ
ヒドリンエステルがエピマー混合物(1−(R)−/1−(S)=4.2:1)の形で得
られる。分析データを、ジイソプロピルエーテルから結晶化した純粋な1−(R)
−エピマー(表題化合物)のサンプルからとる:m.p.118−120℃。1H−
NMR(CDCl3)δ=8.10−8.00(m、2H)、7.55−7.6(m、4H);
7.55−7.25(m、8H);5.65(d、J=4.8Hz、1H);4.80(d、J
=9Hz、1H);4.50(m、1H);3.20(dd、J=14.4、8.2Hz、1
H);3.00(dd、J=14.4、8.2Hz、1H);1.40(s、9H)。FAB
−MS(M+H)+=457。元素分析(C28H28N2O4)C:計算値73.66;実
測値73.52;H:計算値6.18;実測値6.06;N:計算値6.14;実測
値6.14。TLC:Rf(4:1ヘキサン:酢酸エチル)0.39。5b)N−1−(Tert−ブトキシカルボニル)−N−2−{3−(S)−[(tert−ブ トキシカルボニル)アミノ]−2(R)−(4−ビフェニルイル)カルボニルオキシ− 4−フェニル−ブチリデン}−ヒドラゾン
酢酸2.4ml(42mmol)およびtert−ブチルカルバゼート5.7g(43mmol)
を、実施例5a)由来のシアノヒドリンエステルの(4.2:1)混合物19.7
5g(40mol)のメタノール400ml溶液に加え、エタノールで湿らせたラネー
ニッケル10gの存在下、室温で、1atmの水素圧で8時間水素化を行う。反応混
合物を塩化メチレンで希釈し、セライト(登録商標)濾過する(Celite Corpのト
レードマーク;ケイ藻土に基づく濾過助剤)。濾液を蒸発により濃縮し、再度塩
化メチレンに溶解し、水および10%炭酸水素溶液各500mlで洗浄し、硫酸ナ
トリウムで乾燥させ、再度蒸発により濃縮する。粗生成物をアセトニトリルから
結晶化し、ジアステレオ異性体的に純粋なヒドラゾンの形で表題化合物が得られ
る:m.p.178−180℃。1H−NMR(CDCl3)δ=8.12(d、J=7.8H
z、2H);7.82(s、br、1H);7.70−7.57(m、4H);7.55−7.
35(m、3H);7.32−7.1(m、6H);5.62(t、br、J=5Hz、1H)
;4.94(d、br、J=8Hz、1H);4.38(m、br、1H);2.95(m、2H
);1.47(s、9H);1.32(s、9H)。FAB−MS(M+H)+=574。元
素分析(C33H39N3O6)C:計算値69.09;実測値69.13;H:計算値
6.85;実測値6.75;N:計算値7.32;実測値7.42。TLC:Rf(1
0:1塩化メチレン:THF)0.65。5c)1−(4−ビフェニルイル)−1−オキソ−5−(S)−2,5−[ジ(tert−ブ チルオキシカルボニル)]アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザ ヘキサン
シアノボロハイドライドナトリウム1.16g(18.5mmol)を、室温で、ヒ
ドラゾン(実施例5b)由来の表題化合物)9.63g(16.8mmol)のTHF9
0ml懸濁液に加える(塩基性酸化アルミニウム上で濾過する)。4−トルエンス
ルホン酸水和物(Fluka、Buchs、Switzerland)3.52g(18.5mmol)のTH
F34ml溶液を、室温で撹拌しながら反応混合物に滴下して加える(滴下添加時
間20分)。さらに1.5時間後、後処理のために、反応混合物を酢酸エチル15
0mlで希釈し、飽和塩化ナトリウム溶液、10%炭酸水素溶液および飽和塩化ナ
トリウム溶液各150mlで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発
により濃縮する;黄色の油状物の形で対応するホウ酸塩錯体が得られる。この油
状物をジオキサン130mlに溶かし、0℃で1N水酸化ナトリウム溶液80mlで
希釈し、室温で16時間撹拌する。次いで、反応混合物を氷に注ぎ、1N塩酸7
9mlで中和し、各回塩化メチレン100mlを用いて3回抽出する。有機抽出物を
硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発により濃縮する。粗生成物をクロマトグラフィ
ー(SiO2;塩化メチレン中、2%→10%THF)により精製し、ジイソプ
ロピルエーテルで懸濁した無色の無定形固体の形の表題顔愚物が得られる:m.p.
125−128℃。1H−NMR(DMSO−d6、150℃)δ=8.66(br、1
H);7.62(m、4H);7.58(d、J=7.5Hz、2H);7.45(t、J=7
.5Hz、2H);7.38(m、1H);7.26(m、4H);7.17(m、1H);5.
72(d、br、J=10Hz、1H);4.4(br、1H);3.92(br、1H);3.
83(m、1H);3.71(m、1H);3.54(d、br、1H);2.92(dd、J=
14、7Hz、1H);2.80(dd、J=14、7Hz、1H);1.32(s、9H)
;1.29(s、9H)。FAB−MS(M+H)+=576。元素分析(C33H41N3
O6)C:計算値68.85;実測値68.88;H:計算値7.18;実測値7.1
9;
N:計算値7.30;実測値7.31;TLC:Rf(10:1塩化メチレン:TH
F)0.58。5d)1−(4−ビフェニルイル)−5(S)−2,5−[ジ(tert−ブトキシカルボニ ル)アミノ]−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン
ボラン/THF錯体(THF中1M;Fluka、Buchs、Switzerland)10ml(1
0mmol)を、0℃で、1−(4−ビフェニルイル)−1−オキソ−5(S)−2,5
−[ジ(tert−ブチルオキシカルボニル)]アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェ
ニル−2−アザヘキサン1.02g(1.77mmol)のTHF10ml溶液に加える
(塩基性酸化アンモニウムを通して濾過する)。この温度で1.5時間後、冷却浴
を取り外し、反応混合物を室温で2.5時間撹拌する。次いで、反応混合物を1
N水酸化ナトリウム溶液20mlに注ぐ。激しいガスの発生が停止したら、混合物
を水で希釈し、塩化メチレン500mlで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾
燥させ、濃縮する。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2;塩化メチレン/T
HF49:1)で精製し、ジイソプロピルエーテルで懸濁した後、表題化合物が
得られる:m.p.185−186℃、1H−NMR(DMSO−d6、150℃)δ=
7.6(m、2H);7.53(m、2H);7.42(m、4H);7.32(m、1H);7
.23−7.12(m、6H);5.55(d、br、J=10Hz、1H);4.15(d、
J=4Hz、1H);3.95(s、2H);3.84(m、1H);3.68(m、1H);
2.9−2.75(m、4H)、1.33(s、9H);1.31(s、9H)、FAB−M
S(M+H)+=562、元素分析(C33H43N3O5)C:計算値70.56;実測値
70.16;H:計算値7.72;実測値7.80;N:計算値7.48;実測値7
.24、TLC:Rf(19:1塩化メチレン:THF)0.66。
実施例5d)の別法
N2雰囲気下、1.00Mジイソブチルアルミニウムハイドライド2.1ml(2.
1mmol)の塩化メチレン溶液を、氷冷1−(4−ビフェニルイル)−1−オキソ−
5(S)−2,5−[ジ(tert−ブチルオキシカルボニル)]アミノ−4(S)−ヒドロ
キシ−6−フェニル−2−アザヘキサン200mg(0.347mmol)のTHF(
泡状)5mlにゆっくりと滴下して加える。2時間後、酢酸エチル7mlを加え、3
0
分後にメタノール70mlを加える。反応混合物を室温まで加熱し、2時間撹拌し
;水0.5mlおよび硫酸ナトリウム5gを加え、反応を完了させるため混合物をさ
らに1時間撹拌する。塩を濾別し、濾液を蒸発により濃縮する。シリカゲルクロ
マトグラフィー(溶出液2:1ヘキサン/酢酸エチル)にかけると、記載の物理
学的データをもつ1−(4−ビフェニルイル)−5(S)−2,5−[ジ(tert−ブト
キシカルボニル)−アミノ]−4(S)−6−フェニル−2−アザヘキサン(実施例
8a)が得られる。5e)1−(4−ビフェニルイル)−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−2,5−ジア ミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン塩酸塩
1−(4−ビフェニルイル)−5(S)−2,5−[ジ(tert−ブトキシカルボニル)
−アミノ]−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン300mg(
0.534mmol)の4N HCl/ジオキサン10ml溶液を室温で90分間撹拌する
。ジオキサンで希釈し凍結乾燥すると、表題化合物が得られ、これは実施例5に
直接使用する。実施例6:ゼラチン溶液
有効成分として前記実施例(例えば、実施例1の表題化合物)に記載した式I
で示される化合物の1つの、溶解剤として20%シクロデキストリンを含有する
滅菌濾過水溶液を、加熱しながら無菌条件下で、保存剤としてフェノールを含有
する無菌ゼラチン溶液と混合し、溶液1.0m1が下記の組成を有するようにする
。
有効成分 3mg
ゼラチン 150mg
フェノール 4.7mg
溶解剤として20%シクロデキストリンを含有する蒸留水 1.0ml実施例7:注射用の無菌乾燥物質
有効成分として前記実施例(例えば、実施例1の表題化合物)に記載した式I
で示される化合物の1つの5mgを、溶解剤であるマンニトール20mgおよび20
%シクロデキストリンを含有する水溶液1mlに溶かす。溶液を滅菌濾過し、無菌
条件下、2mlアンプルに導入し、凍結乾燥させる。使用前に、凍結乾燥物を蒸留
水1mlまたは生理学的食塩水1mlに溶かす。溶液を筋肉内または静脈内投与する
。製剤はまた、ダブル−チャンバー使い捨てシリンジに導入できる。実施例8:鼻用スプレー
前記実施例(例えば、実施例1の化合物)に記載した式Iで示される化合物の
1つの細かく砕いた(<5.0mm)粉末500mgを、有効成分として、ミグリオ
ール812(登録商標)3.5mlおよびベンジルアルコール0.08gからなる混
合物に懸濁する。懸濁液を、定量バルブを備えた容器に導入する。フレオン12
(登録商標)(ジクロロジフルオロメタン;デュポンのトレードマーク)5.0gを、
加圧下、バルブを通して容器に導入する。「フレオン」を振盪によりミグリオー
ル/ベンジルアルコール混合物中に溶かす。スプレー容器には、約100回の単
用量が含まれており、これは個々に投与できる。実施例9:フィルム被膜錠剤
以下の構成物質を、各100mgの有効成分を含む10000個の錠剤を調製す
るために加工する:
有効成分 1000g
コーンスターチ 680g
コロイド状ケイ酸 200g
ステアリン酸マグネシウム 20g
ステアリン酸 50g
カルボキシメチルナトリウムデンプン 250g
水 適量
有効成分である前記実施例に記載の式Iで示される化合物の1つ(例えば、実
施例1由来の化合物)、コーンスターチ50gおよびコロイド状ケイ酸からなる混
合物を、コーンデンプン250gおよび脱塩水2.2kgから調製したデンプンペー
ストを用いて加工し、湿潤塊を形成する。この塊を3mmのメッシュサイズのふる
いを通し、流動床乾燥器で45℃で30分間乾燥させる。乾燥した顆粒を1mmメ
ッシュサイズのふるいを通し、コーンスターチ330g、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸およびカルボキシメチルナトリウムデンプンからなる前以て
ふ
るいをかけた混合物(1mmのふるい)と混合し、わずかに凸の錠剤を形成する。実施例10:カプセル剤(I)
結晶状1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(N−メトキシカルボニル)−(L)
−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)
−バリル)−アミノ−6−フェニル−2−アザヘキサン(有効成分)を、慣用的
なナイフ・ミキサー(例えば、Turmix)(粒子サイズ約1〜100μm)を用いて微
粉化する。プルロニックF68(登録商標)(ポリエチレンおよびポリプロピレン
グリコールのブロックポリマー;Wyandotte Chem.Corp.、Mishigan、USA;また
、Emkalyx、Franceからも入手できる;BASFのトレードマーク)は、同様に、慣用
的なミキサーを用いて微粉化し、微粉内容物をふるい(0.5mm)して除去し、
下記のようにさらに使用する。ゴマ油16.00gをガラスビーカーに入れ、微粉
化した有効成分1.20g、プルロニックF68(登録商標)の微粉内容物1.2
0gおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(Shin-Etsu Chemicals Ltd.、T
okyo、JPのセルロースHP-M-603)1.20gを、歯付き撹拌器(直径:46mm)(撹
拌速度:2000rev/分)と組合せた撹拌装置(IKA-Werk、FRG)を用いて撹拌し
ながら加える。指示した速度で20分間撹拌した後、ペースト状の稠度をもつ懸
濁液が得られ、硬ゼラチンカプセル剤(20×40mm;R.P.Scherer AG、Eberba
ch、FRG)に導入する。実施例11:カプセル剤(II)
1カプセルにつき、有効成分1−(4−ビフェニルイル)−2−N−(N−メト
キシカルボニル−(L)−tert−ロイシル)−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−5(S
)−N−(N−メトキシカルボニル−(L)−バリル)−アミノ−6−フェニル−2
−アザヘキサン100mgを含有する10000個のカプセル剤を調製するために
、下記の構成物質を以下のように加工する:
有効成分 1000g
プルロニックF68(登録商標) 1000g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1000g
ゴマ油 1000g
(構成物質の起源については実施例10を参照)
ゴマ油を加熱可能な容器(Fryma)に入れ、プルロニックF68(登録商標)
を拡散させる。容器を60℃に加熱し、プルロニックF68(登録商標)を撹拌
しながら(約2時間)拡散させる。撹拌および均質化しながら、混合物を約30
℃に冷却する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび有効成分を拡散させ
、撹拌および均質化しながら(約1時間)、油状塊中に拡散させる。ペースト状の
稠度をもつ懸濁液を、慣用的な装置を用いて、硬ゼラチンカプセル剤(サイズ0
;例えば、ElancoまたはParke-Davies(Caprogel)から得られる)または軟ゼラ
チンカプセル剤(20mm;R.P.Scherer AG、Eberbach、FRG)に導入する。実施例12:HIV−1プロテアーゼに関するIC50値
上記の試験系において(RRSNQVSQNYPIVQNIQGRRを用いて
)、実施例1〜5について下記のIC50値が得られる:
実施例 IC50(μM)
1 0.051
2 0.085
3 0.038
4 0.043
5 0.058実施例13:MT−2−細胞に関するED90値
上記した試験系において(HIV−1で感染したMT−2−細胞)、上記1〜5
について下記のED90が得られる:
実施例 ED90(μM)
1 3
2 3
3 10
4 3
5 3実施例14:経口投与後のマウスの血液レベル
上記した試験系において(120mg/kgの有効成分を経口投与後のBALB/c
マウスを用いて)、下記の血漿レベルが得られる:
実施例 血漿濃度(投与後の時間)
30分 90分
1 6.33 5.35
2 0.64 1.11
3 1.42 1.95
4 1.68 1.93
5 5.53 4.91
─────────────────────────────────────────────────────
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AU,BA,BB,BG
,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,HU,
IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,LR,L
T,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL
,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,US,
UZ,VN
(72)発明者 カプラロ,ハンス―ゲオルク
スイス、ツェーハー―4310ラインフェルデ
ン、ハープスブルガーシュトラーセ60番
(72)発明者 ラン,マルク
フランス、エフ―68200ミュルーズ、リ
ュ・ドゥ・バルドワエ24番