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JPH11508225A - 細菌のリポ蛋白質を用いた多糖類に対する免疫応答の誘導および増強 - Google Patents

細菌のリポ蛋白質を用いた多糖類に対する免疫応答の誘導および増強

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JPH11508225A
JPH11508225A JP8531844A JP53184496A JPH11508225A JP H11508225 A JPH11508225 A JP H11508225A JP 8531844 A JP8531844 A JP 8531844A JP 53184496 A JP53184496 A JP 53184496A JP H11508225 A JPH11508225 A JP H11508225A
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lipoprotein
cells
polysaccharide
lipo
polysaccharides
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JP8531844A
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Inventor
クリフォード エム. スナッパー
ジェイムズ ジェイ. モンド
カリン カピアウ
プエール ハウザー
ジーン−ポール プリールズ
Original Assignee
ヘンリー エム.ジャクソン ファンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディシン
スミスクリン ビーチャム バイオロジカルズ(エス.エイ.)
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、多糖類またはその他のT細胞非依存的抗原を細菌のリポ蛋白質と共に投与する(抗原およびリポ蛋白質の共有結合を含む)ことにより、これらの抗原に対する免疫応答を誘導または増強するための方法を提供する。好ましい態様において、本発明のリポ蛋白質はリポ蛋白質Dである。

Description

【発明の詳細な説明】 細菌のリポ蛋白質を用いた多糖類に対する免疫応答の誘導および増強 政府の権利 本明細書に説明される発明は、本発明者らに何ら特許権使用料を支払うことな く、政府の目的ために製造、認可、および使用される。 関連出願の相互参照 本出願は、1995年4月17日に提出された特許出願第08/422,830号の一部継続出 願である、1995年6月7日に提出された特許出願第08/472,640号の一部継続出願で ある。 発明の分野 本発明は、多糖類抗原およびその他のT細胞非依存的抗原に対する体液性免疫 応答の誘導における細菌のリポ蛋白質の使用に関する。 発明の背景 細菌類およびそれらの抗原成分に応答してのT細胞非依存的(TI)体液性免疫の 誘導についての細胞学的基盤についてはほとんど知られておらず、このため細菌 感染に対する十分な防御の開発努力が妨げられている。インフルエンザ菌(Haemo philus influenzae)のb型ポリリボシルリビトールリン酸(PRP)、肺炎球菌(Pneum ococcus)の莢膜多糖類(III型を含む)、B群連鎖球菌(Streptococcus)のセロカラ イド(serocharides)、および緑膿菌(P.aeruginosa)の莢膜多糖類(フイッシャー (Fisher)1型系統を含む)などの細菌類由来のTI抗原の流行性および重要性を考 慮すると、これは深刻な問題である。 知識が不足している一方で、免疫学者らは、免疫応答にはB細胞の増殖およびI gの分泌による刺激が必要であることを理解している。1994年9月30日に提出され た関連する特許出願第08/315,492号において、本発明者らは先に、T細胞非依存 的抗原のタイプ2クラスの反復性を模倣した構築物であるαδ-dexにより活性化 されたB細胞に、インビトロで強力なIg分泌応答を誘導させるためには、サイト カインIL-5、IL-3、GM-CSF、および/またはIFN-γの存在が必要であることを証 明した。IL-5を除くIL-3、GM-CSF、およびIFN-γのIg誘導活性には、IL-2の共刺 激が必要であった。この研究は、タイプ2T細胞非依存的抗原も同様に、サイト カイン の非存在下ではIg応答を刺激することができないかもしれないことを意味してい る。 TI抗原に対する免疫応答に必要なサイトカインの供給源はわかっていないが、 おそらくT細胞、NK細胞、単球、およびその他のサイトカイン生産性細胞である と考えられる。新生児、老人、HIV疾患の患者または化学療法中の患者など、免 疫が低下している(immunocompromised)患者は、至適な体液性免疫を誘導するた めの適当量のサイトカインを生産する、T細胞または機能的NK細胞もしくは単球 をもたないかもしれない。外部からの助けがなければ、これらの患者なTI抗原に 対する防御を行うことができないかもしれない。 さらに、免疫適格な通常の個体の、多糖類またはその他のTI抗原に対する免疫 応答は、一般に、小規模で結合活性が低い。これは、T細胞からの援護が得られ ないことを反映している。現在までのところ、多糖類抗原に対する免疫応答を起 こす最も効果的な方法は、T細胞のエピトープを多糖類に複合化する(すなわち、 複合化ワクチン)というものであった。T細胞の援護を刺激するこれらの構築物は 、多糖類に対する応答も増強させる。これらの複合化ワクチンは、恩恵をもたら す一方で、当業者はその使用に際して起こる多くの不都合も認識している。 抗原を大量接種してワクチン化した後など、個体が免疫応答を開始できる場合 であっても、その応答にはアジュバントの共投与が必要であるかもしれない。ヒ トで使われている最も一般的なアジュバントは、みょうばんなどのアルミニウム 化合物(リン酸塩および水酸化物)である。しかしながら、みょうばんは全ての抗 原のアジュバントとなるわけではなく(理由は完全にはわかっていないが、おそ らくは電荷の影響による)、みょうばんおよびその他の実験的なアジュバントは 炎症性反応を引き起こす可能性がある。 したがって、単独では、適当量のT細胞の援護またはサイトカイン由来の援護 を誘導できないかもしれない抗原、たとえば多糖類など、に対して免疫グロブリ ンを誘導する方法が当技術分野において必要であるだけでなく、このタイプの援 護が得られない個体における免疫応答を増強する方法も当技術分野において必要 である。現在利用可能なアジュバントが非効果的である場合、これらの抗原に対 する免疫応答を増強させる方法も当技術分野において必要である。 発明の概要 本発明は、微生物のリポ蛋白質または合成のリポ蛋白質のいずれかを共投与す ることによって、多糖類およびその他のTI抗原に対する免疫応答を誘導する方法 を提供することにより、これらの必要性に取り組むものである。この共投与には 、リポ蛋白質を抗原もしくはワクチンと一緒に注射すること、または抗原もしく はワクチンに共有結合させて注射すること、ならびにリポ蛋白質の合成的に作成 された活性部分を、抗原と共にもしくは抗原と共有結合させて注射することが含 まれる。本発明のリポ蛋白質により、免疫応答を増強させる方法も提供される。 好ましい態様において、本発明のリポ蛋白質はリポ蛋白質Dである。 図面の簡単な説明 図1は、αδ-dex+リポDを組み合わせて刺激した場合、αδ-dexのみの場合に 比べて、3H-TdRの取り込みが25倍以上に増強されたことを示すグラフである。 図2は、αδ-dex非存在下(実験A)または存在下(実験B)における、小型休止B 細胞によるIg分泌の誘導に関する2つのグラフであり、リポDのみでは有意なIg 分泌が刺激されなかったのに対して、リポDおよびαδ-dexの組み合わせの作用 によりIg分泌の誘導が10,000倍以上になったことを示している。 図3は、リポDが、非分画のB細胞が豊富な集団で見られたのと同様に、αδ-d exで活性化し分画精製したB細胞によるIgMの分泌および増殖の両方を共刺激する ことを示した一連の図である。 図4は、LPSを用いた場合と同程度までリポDがIgAクラスを共刺激することを 示した図である。 図5は、リポ-OSPAと共にαδ-dexで活性化された細胞によるIgM分泌の共刺激 を示したグラフである。 発明の詳細な説明 本発明は、リポ蛋白質の共投与によりTI抗原に対する免疫応答を誘導および増 強する方法を提供する。本明細書で用いられる免疫応答とは、外来物質に応答し た免疫グロブリンまたは抗体の体内の生産である。免疫応答の誘導とは、それま で存在していなかった免疫応答を確立することであり、免疫応答の増強とは、そ れまでに存在していた免疫応答を至適化または増加させることである。 上記の通り、本発明において対象となる外来物質とは、胸腺細胞(またはT細胞 )非依存的抗原またはTI抗原である。TI抗原は、T細胞が明確に関与しなくても、 直接B細胞を活性化することにより免疫応答を誘導することができる。反対に、 胸腺依存的抗原(TD)は抗体の合成のためにT細胞の助けが必要である。 TI抗原には2つのクラスがあることが知られている。細菌のリポ多糖類などの タイプ1抗原は、B細胞を「ポリクローナルに」、すなわち、B細胞の抗原特異性 とは無関係に、活性化することができる。タイプ2 TI抗原は、線状の性質およ び一定間隔で存在する反復性の高い決定子により特徴づけられる。このタイプの 抗原は、Ig受容体をB細胞の表面に架橋する、膜(m)Ig介在型シグナリングとして 知られる過程により、抗原特異的B細胞に結合する。 本発明者らの開発したポリクローナルインビトロモデルに基づく、TI抗原に対 する応答におけるmIg介在型シグナリングについて、多くのことが分かっている 。本発明者らは、多糖類の有する反復性のエピトープ特性を刺激するために、デ キストランに複合化させた抗IgD抗体(αδ-dex)を合成した。αδ-dexはmIgと多 価的に架橋し、強力で継続的なB細胞シグナリングを誘導する。小型の休止B細胞 による増殖を刺激するαδ-dexは、外来のサイトカイン非存在下ではIgの分泌を 誘導することができず、最近の研究で、TI抗原も同様にこれらのサイトカイン非 存在下ではIgの分泌を誘導できないことが示されている。 サイトカインの必要性は、それを最も必要とする人々、つまり免疫が低下して いる患者の治療の妨げとなりうる。機能的T細胞を欠くこれらの患者は、サイト カインを生産することができず、そのために、インフルエンザ菌(Haemophilus i nfluenzae)のb型ポリリボシルリビトールリン酸(PRP)、肺炎連鎖球菌(S.Pneumo nia)、B群連鎖球菌(Streptococcus)、髄膜炎菌(N.meningitides)、サルモネラ菌 (Salmonella)、緑膿菌(P.aeruginosa)のムコエキソ多糖類、および緑膿菌(P.a eruginosa)(フィッシャー(Fisher)タイプ1系統を含む)に由来する多糖類など、 臨床的に関連のあるTI抗原に感染する危険性がある。しかしながら、本発明のリ ポ蛋白質の共投与により、以下に詳細を示すとおり、サイトカインの非存在下で あっても、B細胞の増殖およびIg分泌がもたらされる。 リポ蛋白質はこれまでに、非mIg介在型シグナルをB細胞に伝えることが示され ている。メルチャーズ(Melchers)ら、49J.Exp.Med.(1975)142:473。しかし ながら、B細胞を活性化するリポ蛋白質の性質に関する先行の研究では、インビ ボで予め活性化された様々な段階のリンパ細胞の、比較的高密度で培養された異 質な細胞集団を使用していたため、B細胞と他の細胞型との相互作用が起こりや すい傾向にあった。これらの細胞は、活性化状態に先だって密度による分画がさ れていなかったため、これらの研究では、リポ蛋白質が休止B細胞のレベルで直 接作用するのか否か、別の細胞型がその作用に重要な役割を果たしているか否か 、およびリポ蛋白質を介するシグナリングが、細菌の細胞壁中にも存在するmIg を介したTI-2様の刺激を含む他のB細胞刺激と共に、どのようにして機能的に統 合されているのかといった問題が、解明されていないままである。 こうした他の研究とは対照的に、本発明につながる研究では、高度に濃縮し分 画精製したネズミ科の休止B細胞を使用した。このB細胞の特異的集団を用いたデ ータにより、強力な増殖およびIg分泌応答を誘導するよう、リポ蛋白質が他の刺 激と協調しながら作用することが示された。このデータは、合成リポペプチドが 、抗CD40抗体と協調して作用する場合にのみ、増殖およびIg分泌が有意に増強さ れたという、純度98%以上の小型の休止ヒトB細胞を用いた最近の実験において 得られた結果と一致している。 本発明のリポ蛋白質は、微生物由来のものまたは合成リポ蛋白質のいずれでも よい。微生物のリポ蛋白質は、一般に細菌の細胞壁の構成成分であり、様々な細 菌の細胞壁で同定されている異なるリポ蛋白質を含むが、それらに限定はされな い。エルダイル(Erdile),L.ら、Inf.and Imm.(1993)61:81。また、本発明の リポ蛋白質は、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のリポ蛋白質D およびボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)由来のリポ蛋白質-O SPAなど、それらをコードする遺伝子に由来するものでもよい。Id.およびソング (Song)ら、Infect.& Immun.(1995)63(2):696参照。 本発明のリポ蛋白質には、細菌のリポ蛋白質のアミノ末端に構造的に類似した Pam3Cysに代表されるような、合成の脂質部分も含まれる。クライン(Klein),B. ら、Immunology(1987)61:29。これらの合成脂質部分を小さなペプチドに複合 化させると、これらの分子の有する、B細胞を活性化する性質を模倣することが でき る。さらに、細菌のリポ蛋白質からこの脂質部分を取り除くと、機能が失われて しまう。 本発明の請求の範囲のリポ蛋白質には、リポ蛋白質Dで観察される増殖およびI g分泌能を付与する、それらの断片または一部分も含まれる。 実施例に示すとおり、これまでの研究とは対照的に、リポ蛋白質D、リポ蛋白 質-OSPA、またはPam3Cysのいずれにおいても単独では、有意な増殖またはIg分泌 を刺激しない。しかしながら、TI様の、多価的に架橋した抗原受容体と組み合わ せることにより、これらの分子は外来のサイトカイン非存在下でIg分泌を強く誘 導し、細胞増殖を顕著に増強させる。さらに、これらは非B細胞型の働きを必要 とすることなく、B細胞のレベルで直接的に作用する。これらのデータから、細 菌の侵入に応答して特異的なT細胞非依存的体液性免疫を誘導する、別の新規の 経路があることが示唆される。 本発明の請求の範囲のリポ蛋白質は、当業者に親しまれているいかなる方法に よっても抗原と共投与することができる。たとえば、リポ蛋白質は単に抗原と共 に注射してもよいし、または抗原に直接的に結合させて注射してもよい。共有結 合を含むいかなる形態の化学結合も本発明の範囲内に含まれる。共有結合の好ま しい方法は、1993年9月23日に提出された特許出願第07/124,491号の一部継続出 願である、1995年3月22日に提出された特許出願第18/408,717号の一部継続出願 である、1995年6月7日に提出された特許出願第08/482,661号に示されている、い わゆる「CDAP」複合化法であり、その開示は特に本明細書に参考文献として組み 込まれる。本発明はまた、リポ蛋白質および目的の抗原を含む融合蛋白質および /またはそれらの融合蛋白質をコードするDNAの注射をも包含する。 抗原に加えて、本発明の請求の範囲のリポ蛋白質は、1995年6月6日に提出され た特許出願第08/468,060号(1995年3月13日に提出された特許出願第08/402,565号 の一部継続出願)の二重複合化ワクチン(dual conjugate vaccine)および1995年5 月19日に提出された特許出願第08/444,727号(1993年2月10日に提出された特許出 願第08/055,163号の一部継続出願)の二重複合化ワクチン(dual conjugate vacci ne)などのワクチンと共に投与することもでき、それらの開示は特に本明細書に 参考文献として組み込まれる。抗原と同様、リポ蛋白質も当業者に親しまれてい る あらゆる方法でワクチンと共に投与することができる。上記の通り、リポ蛋白質 は単にワクチンと共に注射してもよいしまたは、いかなる形態の化学結合も本発 明の範囲内に含まれるが、たとえば上記のCDAP法によりワクチンと直接的に結合 させてもよい。 ワクチンとして使用する際、本発明の請求の範囲のリポ蛋白質は当業者に親し まれているいかなる方法によっても投与できるが、好ましくは血管内、筋肉内、 鼻腔内、経口および皮下注射により投与される。投与量は当業者により容易に決 定されるが、許容範囲は1回の接種あたり0.01μgから100μgである。二次追加 抗原刺激は、1週間から数カ月の範囲の間隔で与えてよい。T細胞が枯渇した動 物またはヒトで、同様のアプローチを利用できる。 リポ蛋白質Dをアジュバントとして使用するためには、典型的な投与量は一回 の接種あたり0.1から100μgであり、抗原もしくはワクチンと同じ部位または注 射とは異なる部位に投与される。 さらなる研究により、蛋白質Dの脂質化(lipidation)が、担体分子としての効 果を増強させるのに重要であることが少なくともマウスで示されており、他の種 でも同様である可能性がある。したがって、蛋白質-多糖類の複合体としてマウ スに注射した場合、蛋白質Dは抗多糖類反応の増強においてリポ蛋白質Dほど効果 的ではない。 以下に示す実施例により本発明をさらに明確に説明するが、これらは純粋に本 発明の例証として意図される。 実施例1 材料および方法 マウス DBA/2メスマウスを米国国立癌協会(National Cancer Institute)(Fre derick,MD)から入手し、7〜10週齢で用いた。実験は「実験動物のケアおよび使 用の手引き(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals),Institute of Animal Resources,National Research Council,Department of Health,Ed ucation,and Welfare Publ No.(National Institutes of Health)78〜」23に示 されている原理に従って行った。 培地 10%胎児ウシ血清(シグマ社(Sigma),St.Louis,MO)、L-グルタミン(2 mM)、2-メルカプトエタノール(0.05mM)、ペニシリン(50μg/ml)およびストレプ トマイシン(50μg/ml)を添加したRPMI 1640(バイオフルイッド(Biofluids),Roc kville,MD)を用いて細胞を培養した。 試薬 αδ-dexは、「ピーカンハ(Pecanha),L.ら、J.Immunol.(1991)146:83 3」に述べられている方法で、Hδa/1(マウスIgG2b(bアロタイプ)抗マウスIgD(a アロタイプ)モノクローナル抗体)を高分子量デキストラン(2×106M.W.)に複合化 することにより調製した。Pam3Cys(S-[2,3-ビス(パルミトイロキシ)-(2-RS)-プ ロピル]-N-パルミトイル-(R)-システイン)は、ベーリンガーマンハイムバイオケ ミカ(Boehringer Mnnheim Biochemica)より得た。ストック溶液は1mgのPam3Cys を1mlの95%エタノールに溶解して調製し、使用するまで-20℃で保存した。チャ イニーズハムスター卵細胞より調製したハツカネズミrIFN-γは、ゲネンテック 社(Genentech)(South San Francisco,CA)より得た。ハツカネズミ組み換えIL-1 、IL-2、IL-4、およびIL-5はステファニー・フォーゲル博士(Stephanie Vogel)(U SUHS,Bethesda,MD)、モーリス・ゲイトリー博士(Maurice Gately)(Hoffman-La Roche,Nutley,NJ)、アラン・レビン博士(Allan Levine)(Searle,St.Louis,MO )、およびリチャード・ホーデス博士(Richard Hodes)(NIH,Bethesda,MD)よりそ れぞれ得た。組み換えヒトTGF-β2は、ウェンディ・ウォーゲル氏(Wendy Wargell )(Celtrix Pharmaceuticals,Santa Clara,CA)より得た。組み換えハツカネズ ミIL-3およびGM-CSFはファーミンゲン社(Pharmingenn)より購入した。FITC-抗-C D3e mAB(2C11)およびFITC-ラットIgG1抗マウスIgA mAbは、ファーミンゲン社(Ph armingen)(San Diego,CA)より購入した。PEで標識したアフィニティー精製ヤギ 抗マウスIgMポリクローナル抗体はサザンバイオテクノロジーアソシエイツ(Sout hern Biotechnology Associates)(Birmingham,AL)より購入した。ラットIgG2b 抗マウスFcRIIモノクローナル抗体(2.4G2)は、腹水より精製した。 B 細胞の調製および培養 B細胞の豊富な細胞集団は、抗Thy-I、抗CD4、および 抗CD8モノクローナル抗体で処理後、マウス抗ラットIgkモノクローナル抗体およ び補体で処理することによりT細胞を除去した脾臓細胞より得た。細胞は70、65 、60および50%のパーコール溶液(比重はそれぞれ1.086、1.081、1.074、および 1.062g/ml)からなる非連続的パーコール勾配(ファーマシア社(Pharmacia),Pisc at away,NJ)により比重に従って分画した。比重の高い(小型、休止)細胞を70%か ら65%の界面から集めたところ、90%までがB細胞であった。特に示されない限 り、本明細書に報告する研究ではこれらの細胞を使用した。高度に精製されたB 細胞は、T細胞のない、小型休止脾臓細胞をFITC-抗CD3e+PE-抗IgM抗体により染 色した後、EPICS Elite サイトメーター(コウルター社(Coulter Corp.)Hialeah ,FL)により膜(m)IgM+CD3細胞の電気的に細胞分画することにより得た。分画し た細胞は直ちに再分析し、99%以上がB細胞であることが見いだされた。機能の 解析は96穴または24穴の平底コスター(Costar)プレート(コスター社(Costar),C ambridge,MA)内で行った。培養細胞は、全量200μl(96穴プレート)または1ml(2 4穴プレート)、1×105細胞/mlで、6%CO2を含む湿った空気中で37℃でインキュ ベーションした。 DNA 合成の測定 DNA合成は、4時間にわたる3H-TdR(2μCi/ウェル;6.7Ci/nmol ;1mCi=37GBq;ICN,Irvine,CA)の取り込みにより決定した。細胞をグラスファ イバーフィルタ上に回収し(PHD 細胞回収器、ケンブリッジテクノロジー(Cambri dge Technology),Watertown,MA)、[3H]-TdRの取り込みを液体シンチレーショ ンスペクトロメトリーにより決定した。 培養上清中の分泌Igアイソタイプ濃度の定量 Igアイソタイプ濃度はELISA解 析により測定した。培養上清中の分泌IgM、IgG3、(IgG1、IgG2b、IgG2a)およびI gAの濃度を決定するため、96穴平底ELISAプレート(ディナテックラボラトリーズ (Dynatech Laboratories,Inc.),Alexandria,VA)を非標識のアフィニティー精 製ヤギ抗マウスIgM、IgG3、IgG、およびIgAポリクローナル抗体(サザンバイオテ クノロジーアソシエイツ(Southern Biotechnology Associates),Birmingham,A L)でコーティングした。次に、プレートを洗浄し、FBSを含むバッファーでブロ ックし、様々に希釈した培養上清およびスタンダードと共にインキュベーション した。洗浄後、指示に従ってプレートをアルカリホスファターゼと複合化した、 アフィニティ精製ヤギ抗マウスIgM、IgG3、IgG1、IgG2b、IgG2a、およびIgAポリ クローナル抗体(サザンバイオテクノロジーアソシエイツ(Southern Biotechnolo gy Associates))と共にインキュベーションし、再度洗浄すると、プレートに結 合したアルカリホスファターゼと複合化した抗体によって、外来の4-メチルアン ビリフ ェリルリン酸(Sigma)が開裂し、蛍光を有する産物が生成する。IgE濃度の決定も 、同様の手順で行ったが、プレートをラットIgG2a抗マウスIgEモノクローナル抗 体(クローンEM95)[腹水より精製、フレッド・フィンケルマン博士(Fred Finkelma n),USUHS,Bethesda,MDより得た]でコーティングし、その後サンプルおよびス タンダード、次にアフィニティー精製したウサギ抗マウスIgEポリクローナル抗 体(イルディ・カトナ博士(Ildy Katona),USUHS,Bethesda,MD)、続いてアルカ リホスファターゼと複合化したアフィニティー精製ヤギ抗ウサギIgGポリクロー ナル抗体(サザンバイオテクノロジーアソシエイツ(Southern Biotechnology Ass ociates))で処理した点が異なっている。蛍光の定量は、3M FluoroFAST 96フル オロメーター(Mountainview,CA)で行い、濃度の分かっている精製ミエローマIg を用いて決定した検量線の外挿により、蛍光単位をIg濃度に変換した。各解析に おいて、他のIgアイソタイプ(IgM、IgD、IgG3、IgG1、IgG2b、IgG2a、およびIgE IgA)との顕著な交差反応性またはそれらによる干渉は、培養上清中には見いださ れなかった。 フローサイトメトリー解析 細胞はまず、終濃度5μg/mlのラットIgG2b抗Fcγ RII mAb(2.4G2)と共に20分間インキュベーションすることにより、次に最終濃度 10μg/mlで30分間加えるFITC-ラットIgG1抗マウスIgA mAbとの細胞親和性結合を 妨げた。全ての段階は4℃で行った。蛍光解析はFACScan(ベクトンディキンソン( Becton Dickinson),Mountain View,CA)により、対数増殖(logarithmic amplif ication)を用いて行った。前方および側方に散乱する特性およびヨウ化プロピジ ウム(propidium iodide)(シグマ社(Sigma))の放出に基づいて同定される、生存 可能な細胞のみを解析した。 実施例2 リポ-Dは単独では休止B細胞の有糸分裂に非効果的であるが、 mIgシグナリングと顕著な共同作用を示す 以前の報告により、リポ蛋白質-D(リポ-D)を含むリポ蛋白質は単独で実質的な B細胞増殖およびIg分泌を刺激することが示されている。これらの研究では、リ ンパ細胞の異質な集合体、特にかなりの高密度(1×106細胞/ml)で培養された細 胞が用いられた。よって、これらの研究では他の細胞型およびB細胞の活性化が 、これ らのリポ蛋白質の効果を媒介する重要なパラメータになっているか否かははっき りしていない。このため本発明者らは、比較的低い細胞濃度(1×105細胞/ml)で 培養し、高度に濃縮した小型休止B細胞の集合体に対するリポ-Dの効果を試験し た。以前の報告とは対照的に、リポ-Dを0.02〜5μg/ml添加したところ、休止B細 胞の増殖は弱いかまたは全く見られなかった(図1)。リポ-Dの濃度を40μg/mlに 上げても、やはり効果はなかった(データ示さず)。対照的に、B細胞はLPSに反応 して盛んに増殖した(データ示さず)。 本発明者らは先に、αδ-dexが、細菌の多糖類により媒介され、他の刺激が存 在ない場合においてB細胞の増殖を刺激するがIg分泌は刺激しないことから、mIg 依存的TI-2免疫のインビトロモデルとなることを示した。細菌が、抗原特異的刺 激および非特異的刺激を直接B細胞に与えるような成分を発現して体液性免疫を 誘発している、という仮説について調べるため、本発明者らは、最適および準最 適なαδ-dex濃度でリポ-Dの濃度をいろいろに変化させた場合の、B細胞の有糸 分裂(3H-TdRの取り込みで測定される)に与える複合刺激の効果を決定した。リポ -Dはそれ自身では比較的効果が弱いが、αδ-dexと顕著に共同作用して増殖を誘 導した。αδ-dexのみの場合に比べて、αδ-dexとリポ-Dの刺激を組み合わせた 場合には、25倍以上の3H-TdR取り込みが観察された(図1)。それ自身では増殖刺 激効果が比較的弱い、わずか0.3ng/mlのαδ-dexが、1μg/mlのリポ-Dと組み合 わせた場合は強く増殖を共刺激した。対照的に、30μg/mlの複合化していない2 価抗IgD抗体とリポ-Dとの場合には、増殖の共刺激は起こらなかった(データ示さ ず)ことから、多価のmIgとの架橋がこの効果に必要であることが示された。本発 明者らは先に、複合化していない抗IgD抗体が、MHCクラスII分子の発現をアップ レギュレートし、B細胞の大きさを増すことを示し、これがやはりB細胞の活性化 能をもたないことを報告した。 実施例3 リポ-Dおよびαδ-dexを組み合わせた刺激により、 外来のサイトカイン非存在下で強力なIgの分泌誘導が起こる 次の実験により、リポ-Dがαδ-dexの存在下または非存在下で、休止B細胞に よるIg分泌を誘導するか否かを決定した。リポ-D単独(0.2〜5μg/ml、図2、実 験A ;5〜20μg/ml、図2、実験B)では顕著なIg分泌刺激は起こらなかった。すでに 報告したとおり、αδ-dexはそれ自身では休止B細胞によるIg分泌を誘導する効 果は弱い。しかしながら、リポ-Dおよびαδ-dexを組み合わせて作用させると、 10,000倍以上のIgの分泌誘導が外来のサイトカイン非存在下で起こる(図2)。5 μg/mlのリポ-Dおよび0.3ng/mlのαδ-dexがIg分泌の共刺激に最適であることが わかった。リポ-Dおよびαδ-dexの濃度をそれ以上に高くまたは低くすると、そ れぞれ阻害的および非効果的になった。 実施例4 リポ-Dは直接B細胞に作用してその増殖およびIg分泌を共刺激する リポ-Dがαδ-dexと組み合わせた場合に増殖およびIg分泌を共刺激する際、休 止B細胞に直接作用しているのか否かを決定するために、本発明者らは高度に精 製したB細胞の集合体(>99% mIgM+CD3-)を、小型T細胞を欠く脾臓細胞をPE-抗Ig M+FITC-抗CD3で染色し、電気的に細胞分画する方法により得た。これに混入して いる大きな、活性化B細胞は、前方に散乱する特性(forword scatter profile)に 基づいてさらに取り除いた。図3に示す通り、リポ-Dはαδ-dexで活性化された 、分画精製したB細胞の増殖およびIgM分泌を、非分画のB細胞濃縮集合体で観察 されたのと同様に、共刺激した。よって、リポ-DはこのレベルのB細胞に直接作 用してこれらの効果を媒介する。 実施例5 αδ-dexで刺激されたB細胞をリポ-Dで活性化すると、 IgMが有力に分泌され、その他は主としてIgG3が少量分泌される 細菌に対するT細胞依存的な体液性免疫応答では、IgMおよびIgG3の生産におい て選択的傾向が見られることが多い。この実験で、αδ-dexで活性化したB細胞 による、リポ-Dに反応して合成されたIgのIgアイソタイプ特性を決定した。表1 に示すとおり、リポ-Dはαδ-dexで活性化した細胞の、主としてIgMの分泌を誘 導する。他に分泌されるIgはIgG(1%以下)であり、主としてIgG3であった。よ って、リポ-Dによる共刺激に反応したIgアイソタイプの分泌は、LPSのみで活性 化したB細胞で得られる結果と同様である。 リポ-DによるIgアイソタイプの生産 B細胞は5μg/mlのリポ-Dを0.3ng/mlのα δ-dexと組み合わせて刺激し、培養上清中の様々なIgアイソタイプの濃度を6日 後にELISA法により測定した。 実施例6 リポ-D単独では、サイトカインに依存したIg分泌の 共刺激物質としての効果は弱い αδ-dexによる活性化に反応したIgの分泌には、サイトカインの共同作用が必 要である。よって、IL-4+IL-5は、αδ-dexで活性化したB細胞において強いIg分 泌応答を誘導する。本発明者らは最近、αδ-dexで活性化した細胞内で働くIg分 泌応答を引き起こす第2のサイトカイン経路を決定した。よって、IL-3、GM-CSF 、およびIFN-γはそれぞれIL-I+IL-2の佐薬として働き、αδ-dexで活性化した 分画精製B細胞によるIg分泌を誘導する。B細胞を濃縮した、分画精製していない 細胞培養中では、IL-I+IL-2はそれ自身で、AsGm-1+の非B非T細胞の存在に依存す る分泌に依存する、Igの分泌を刺激する。そこで、リポ-Dがサイトカイン依存的 なIg分泌を共刺激する能力を決定するため、この実験ではIL-4+IL-5またはIL-I+ IL-2および/またはIL-3、GM-CSF、またはIFN-γのいずれかを、リポ-Dで刺激し たB細胞濃縮培養に添加して、Ig分泌をαδ-dexで刺激した同様の培養によるも のと直接比較した。表2に示すとおり、αδ-dexは上記のサイトカイン経路の両 方に応答して、Ig分泌を強く共刺激した。対照的に、リポ-DはこれらのIg分泌応 答の共刺激物質としては比較的効果が弱かった。特に、IL-4+IL-5は、リポ-Dで 刺激した細胞において相当のIg誘導活性を示した(αδ-dexを用いた場合の1600 倍に比べて8倍強。さらに、II-3+IL-2+IL-3の組み合わせでは、リポ-Dで活性化 した細胞によるIg分泌が、αδ-dexで活性化した細胞を用いた場合の380倍以上 の誘導に比べて、4倍強であった。よって、リポ-Dはそれ自身ではサイトカイン 依存的Ig分泌の共刺激物質としての効果は比較的弱い。 リポ-Dはサイトカイン介在型Ig分泌の比較的弱い共刺激物質である B細胞を リポ-D(5μg/ml)またはαδ-dex(3ng/ml)の存在下または非存在下で、示されて いるサイトカインを用いてまたは用いずに刺激し、6日後の培養上清中IgM濃度 をELISA法により測定した。サイトカインは培養の初期に、IFN-γのみ24時間後 に、以下の濃度で添加した:IL-1(150 U/ml)、IL-2(150 U/ml)、IL-3(100 U/ml) 、IL-4(3,000 U/ml)、IL-5(150 U/ml)、GM-CSF(100 U/ml)、IFN-γ(10 U/ml)。 実施例7 リポ-DはIgクラススイッチを誘導するための主要なシグナルを提供する 1995年3月8日に提出された関連特許出願第08/400,322号において、本発明者ら は最近、IL-4、IL-5およびIgAスイッチ因子であるTGF-βの存在下で、αδ-dex とLPSまたはCD40Lのいずれかとの組合せ作用を必要とする高効率IgAクラススイ ッチングの誘導のためのインビトロモデルを確立した。この系において、フロー サイトメトリー分析で評価されたように、10%以上のmIgA+細胞を得るために は、全ての刺激が必要であった。この実験において、本発明者らは、IgAクラス スイッチの共刺激において、リポ-DがLPSの代替となりうるか検討した。TGF-β の非存在下においては、培養開始4日後で、mIgA+細胞はほとんど検出されなか った(図5)。培養系からLPSを除去すると、以前報告されたように、mIgA+細胞 のパーセン テージは2%以下になった(データは示していない)。しかしながら、LPSをリ ポ-Dへ置き換えることにより、IgAクラススイッチング反応において、mIgA+細胞 が8%以上に復活した。このように、この系において、リポ-DはIgAクラススイ ッチングを誘導するための主要なシグナルを提供した。 実施例8 αδ-dexで活性化されたB細胞におけるリポ-Dによる増殖および Ig分泌の共刺激は、細菌リポ蛋白質の一般的性質であると考えられる 他の組換えリポ蛋白質である、ボレリア・バーグドルフェリ(Borrelia burgdor feri)由来のリポ-OSPA、ヒトライ病の原因物質および合成リポ蛋白質の共通構造 Pam3Cysを用いて、一連の類似実験を実施した。図5に示されるように、リポ-OS PAにより、αδ-dexで活性化された細胞のIgM分泌が強く共刺激された。さらに 、Pam3Cysもまた、分裂促進およびIg分泌を強く共刺激した。リポ-Dと同様に、 そして先行の研究とは対照的に、リポ-OSPAおよびPam3Cysは両方とも、単独では 小型の休止B細胞による細胞増殖もIg分泌も有意に増強させず、これらの効果を 媒介するためにはαδ-dexでの共刺激が必要であった。したがって、これらのデ ータから、イオン(ion)-B細胞の召集を必要とせずに強度の体液性免疫応答を誘 導するためには、B細胞に非特異的なシグナルを伝達する細菌のリポ蛋白質は一 般的に、mIgの架橋(多価抗原結合)によって媒介されるような特異的なB細胞 活性化シグナルと一緒に作用しなくてはならないことが示唆される。 実施例9 リポ蛋白質Dを、多糖類-蛋白質複合体と共に 与えることにより、抗多糖類反応を増強することができる ジフテリアトキソイド肺炎球菌(pneumococcal)多糖類(DT-Pn14)を、リポ蛋 白質Dの存在下または非存在下において、様々な投与量で注射した。リポ蛋白質D の存在により、DT-Pn14単独の場合に比較して、5〜10倍大きい抗多糖類反応 が誘導された。さらに、0.01μgのDT-Pn14はほとんど検出可能な反応を誘起しな かったが、リポ蛋白質Dと共に注射した場合は、有意な反応を誘導した。このこ とは、リポ蛋白質Dが、多糖類抗原に対する反応を増強するためのアジュバント として使用できることを示している。 各群5匹のDBA/2マウスに、リポ蛋白質Dの存在下または非存在下でDT-Pn14を 注射した。抗Pn14 ELISAを、28日後に測定した。 実施例10 リポ蛋白質Dは、T細胞欠損動物において抗多糖類反応を 増強することができる T細胞の欠失を誘導するため、マウスに、500μg〜1.0mgの抗CD4抗体(GK1 .5、ATCCより入手)を注射した。1日後、それらのマウスに、5.0μgの肺炎球菌 多糖類14型リポ蛋白質D(「PN14-LPD」)またはPN14単独のいずれかを注射した 。14日後、IgG1抗PN14反応を測定した。下記の表4で示されるように、リポ蛋 白質D複合体により、T細胞欠損マウスにおいて高レベルの抗PN14反応が刺激さ れた。 このように、リポ蛋白質Dは免疫能の正常な動物において抗多糖類反応を増強さ せるのみならず、T細胞欠損動物においても抗多糖類反応を増強させる。したが って、リポ蛋白質Dは、HIV患者のようなT細胞欠損個体において、抗多糖類反応 を 増強するための価値ある手段となりうる。 実施例11 抗多糖類反応に対する該蛋白質の効果を評価するために、インフルエンザb型 菌(Haemophilus influenzae type b)ポリリボシル-リビトールリン酸(polyribos yl-ribitol-phosphate)(PRP)に基づく異なるワクチンを調製した。これらの「Hi bワクチン」には、T細胞エピトープの供給源として破傷風トキソイド(TT)また はリポ蛋白質D(LPD)のいずれかを含有させた。ひとつのPRP-TT Hibワクチンは、 多糖類のCNBr活性化を利用して調製し、PRP-TTおよびPRP-LPD Hibワクチンは、 多糖類のCDAP活性化を利用して調製した。 各群10匹ずつの5週齢のメスOFAラットを、4週間間隔で2回、H.D.の1/4の ワクチンを皮下注射することにより免疫し、28日、42日、56日、69日お よび83日目に採血した。 抗PRR'P反応はELISA(チラミン化PRR'Pでコーティング)によって評価した。 「ロブスト(Robust)」と呼ばれるノンパラメトリック法を、異なる調製物によっ て誘導される抗PS力価を比較するために用いた。HIB 001A44を対照として用いた 。 表5aは抗多糖類反応を示している。リポ蛋白質D複合体であるPRP-LPDは、破傷 風トキソイド複合体であるPRP-TTに匹敵する1次抗多糖類反応を誘導したが、PR P-LPDは破傷風トキソイド多糖類と比較して、非常に高い(10倍以上)2次抗 多糖類反応を誘導した。表5bで示されるように、PRP-LPD複合体は、非常に低い 抗リポ蛋白質D反応を誘導した。 またこの実験から、抗多糖類反応は追加免疫後14日目と28日目とで同等で あることが示唆された。69日目(追加免疫後41日目)においては、リポ蛋白 質D複合体を含むいくつかの複合体で反応が低下し始めた。 さらに、組み合わせワクチンの効果を評価するために、DTPa.HBワクチン(ジフ テリア(Diphtheria)、破傷風トキソイド(tetanus toxoid)、B型肝炎による無細 胞の百日咳(acellular pertussis with Hepatitis B))を複合体と組み合わせた 。その組合せは抗多糖類反応を低下させなかった。 表5は、二つの異なる蛋白質、破傷風トキソイドおよびリポ蛋白質Dに基づく ワクチン間の抗多糖類反応(表5a)および抗蛋白質反応(表5b)を示している。 抗TT力価(括弧内の値)は、生理食塩水を注射したラットの血清を用いて測定した 。 実施例12 リポ蛋白質D構築物の抗原性および免疫原性 この実施例においては、Hib PRPならびに肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)PS14お よび6Bへリポ蛋白質Dを複合化させた複合体の効果を評価した。 該複合体は、CDAPによる活性化およびカップリング作用を利用して下記のよう に調製した(異なる多糖類/蛋白質比率にて)。該複合体を、抗PS抗体および抗 LPD抗体を使用してその抗原性についてインビトロにて調べ、遊離しているPSの 量を、免疫沈降によって測定した。該複合体の免疫原性は、ラットモデルで評価 し、ラットにおいて誘導される抗PS抗体の防御効果は、幼若ラット(Hibに対す る防御の場合)またはマウス(肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)6Bに対する防御の 場合)にて評価した。 材料および方法 Hib PRPならびに肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)多糖類6Bおよび14は、不活性化 された培養細胞から抽出し精製した。該精製物質は、残存する蛋白質、核酸、内 毒素、構造糖(structural sugar)および分子量分布の点で、WHOおよびUSの明細 書に合致していた。 インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)リポ蛋白質Dは大脳菌で発現させ 、従来のカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。該蛋白質の純度は、異な る方法(SDS-PAGE、CE、HPLC)で評価したところ、90%以上であった。 活性化されたHib PRP、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)多糖類6Bまたは肺炎連鎖 球菌(S.pneumoniae)多糖類14を、リポ蛋白質Dまたは破傷風トキソイドと複合化 させた。多糖類をリポ蛋白質または破傷風トキソイドに複合化するための2つの 方法が、本明細書に開示されている。 リポ DのPn14へのカップリング A.CDAPを用いる直接的複合化 Pn14は、生理食塩水で5mg/mlに調製し、氷冷する。CDAPはアセトニトリル中で 100mg/ml、0.2M TEA、リポ蛋白質D 6mg/mlは、10mMリン酸ナトリウム、0.2M NaC l、0.1%エンピゲン(Empigen)(カルバイオケム(CalBiochem)から入手した界面活 性剤)中、pH7.2に調製し、氷冷する。 活性化およびカップリングは、0〜4℃で実施する。CDAPは、Pn14の撹拌溶液 に、0.75mg CDAP/mg Pn14の比で、ゆっくり添加する。30秒後、TEAにてpHを10 に上昇させ(通常は使用したCDAPの約2倍容量)、全体で2分間、TEAにてpH10 に維持する。 2.5分後、リポ蛋白質Dを2.5mg蛋白質/mg Pn14の比で、撹拌しながら活性化PS に加える。pHは9〜9.5の範囲に維持する。 1時間後、反応を1/4容量の1Mグリシン(pH8.0)の添加により停止させる。 4℃で一晩インキュベーションした後、複合体をS500HR(ファルマシア)ゲル濾 過カラムを通過させ精製する。 蛋白質および多糖類を含む高分子量複合体をプールし、0.2マイクロフィルタ ーを用いて濾過する。蛋白質はロウリー(Lowry)法にて定量し、多糖類はレゾル シノール(resorcinol)分析にて定量する。 B.スペーサーを介したカップリング Pn14はCDAPで上述のように活性化する。2.5分後、1/2容量の0.5Mアジピンジヒ ドラジド(pH8.0)を添加する。1時間後、該溶液は生理食塩水中で完全に透析 する。 ヒドラジド含量はTNBSを用いて測定し、多糖類はレゾルシノール分析にて測定 する。 リポ蛋白質は、リース(Lees)らの方法(Vaccine,1994,12,1160)に従って、P n14-ヒドラジドに結合させる。簡潔に記載すると、Pn14-ヒドラジドを、ヨード アセチルN-ヒドロキシサクシニミド(SIA,シグマ社(Sigma))を用いてヨードア セチル化する。該蛋白質はS-アセチルチオアセチルN-ヒドロキシサクシニミド (SATA,シグマ社(Sigma))を用いてチオール化する。セントリコン30装置を用 いて脱塩および濃縮した後、両者を混合し、1/9容量の0.75M HEPES、0.5M ヒド ロキシルアミンを用いてpHを7.5まで上昇させる。4℃で一晩反応させた後、反 応を、0.2mMメルカプトエタノール中で1時間インキュベーションし、引き続き1 0mMヨードアセトアミド中で10分間インキュベーションし停止させる。複合体 は上述のように精製する。当業者であれば、蛋白質を多糖類に複合化させるため の他の方法もまた実施されうることを認識すると思われる。 実験結果 1.ラットにおける複合体の免疫原性 各群10匹のOFAラット(メス、5〜6週齢)に、多糖類2.5μg相当(PRPの場 合)または0.1〜10μg相当(肺炎球菌(pneumococcal)PS6BまたはPS14の場合)の 量の複合体を皮下注射(200μl)した。ラットは1カ月後に同量の複合体で追加免 疫し、抗体分析のための血液試料を、追加免疫の直前および15日後に採集した 。抗LPD抗体は、コーティング抗原として蛋白質Dを用いELISAによって測定した 。抗PS抗体は、コーティング抗原としてチラミン化PSを用いELISAによって測定 し、抗PS6Bまたは抗PS14を測定するために、血清にCPSを添加することによって (抗PS14の場合は1mg/ml、抗PS6Bの場合は5mg/ml)抗CPS抗体を吸着させた。特 異的抗体は、ペルオキシダーゼ標識抗ラット複合体を用いて検出した。全てのEL ISAにおいて、参照血清を用い、力価は4-パラメーター法を用いて任意の単位で 計算した。 2.受動防御試験 a)Hib 攻撃誘発に対する幼若ラットの防御 幼若OFAラット(4〜5日齢)に、抗PRP抗体を含有する(PBSにて)希釈した血清1 00μlを腹腔内(IP)注射した。24時間後、約5×104コロニー形成単位(CFU)の 対数増殖期のHib、イーガン(Eagan)系統を用いて、腹腔内経路でラットに攻撃誘 発した。24時間後にラットを殺し、血液試料を各ラットから採取した。細菌感 染は、血液の段階希釈液をチョコレート寒天に播種し、1日後にコロニーを計数 することによって測定した。血液100μlあたり10 CFU未満であるラットは、防御 されたと判断した。 b)肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)6Bによる致死的攻撃誘発に対するマウスの防御 各群10匹のマウス(異系交配OFI、6週齢、メス)に、抗PS 6B抗体含有血清 (1.5倍希釈血清、100μl)で受動免疫した24時間後に、103CFUの肺炎連鎖球 菌(S.pneumoniae)の6B型菌を腹腔内注射した。対照群には、非免疫動物の血清 、またはPS14複合体で免疫した動物の血清を注射した。各群における死亡数は、 18日間記録した。 該蛋白質としてTTの代わりにLPDを使用する場合、抗PS反応(抗PRP、抗PS6B) は、より高くなる(少なくとも10倍)。幼若ラットの受動防御モデルにおいて 、PRP-LPD複合体によって誘導される抗体は、PRP-TT複合体によって誘導される 抗体と比較して(等力価に調製された場合)、少なくとも同等かまたはより良い 。 受動マウス防御試験において、抗PS6B-LPD複合体で、完全防御が観察された。 結論 これらの結果から、試験した異なる莢膜多糖(PRP、PS 6B)について、LPDは 、TTと比較してより優れた蛋白質であることが実証される。 各群10匹ずつのOFAラット(5日齢)に、100μlの血清を腹腔内注射し、24時間後 に5×104CFU/ラット(イーガン(Eagan)系統)で腹腔内経路により攻撃誘発した。 細菌感染は24時間後に測定した。 血液100μl中、10 CFU未満のマウスは、防御されたと判断した。 対照は、血液1μl中、103〜106CFUである。 *何匹かのマウスは病気 5週齢のメスOFAマウスに、5倍希釈した100μlの血清を腹腔内注射し、マウスで 2回継代した100μlのPn6B系統(6/6B/52)を用いて24時間後に攻撃誘発した。 死亡率は攻撃誘発の18日後まで記録した。 実施例13 脂質化(lipidation)の効果を調べるために、ラットに、リポ蛋白質D(リポ- D)、蛋白質Dまたは破傷風トキソイドを肺炎球菌(pneumococcal)多糖類6Bに結合 させた複合体を、0.1から30μg注射した。リポ-D、蛋白質D、および肺炎球菌(pn eumococcal)多糖類6Bは、前述の5頁目および20頁目に記載されている方法に従っ て調製した。破傷風トキソイドは、当業者に知られている多くの供給源から容易 に得られる。複合体は、前述の20〜21頁目に記載されている方法に従って調製し た。蛋白質D複合体は、リポ蛋白質D複合体の調製に用いた方法と同じ方法によっ て調製した。 抗多糖類反応は、複合体の初回注射の28日後および追加免疫注射の28日後 に、ELISAによって測定した。表11に示すように、蛋白質D複合体を注射したマ ウスと比較して、リポ-D複合体を注射したマウスの方が、抗多糖類反応が有意に 高かった。 本発明の他の態様は、本明細書に開示した本発明の明細および実施例を考慮す ることにより、当業者には明らかであると思われる。本明細書および実施例は、 単なる例示であると考慮され、本発明の範囲および精神は以下の請求の範囲によ って示されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/568,342 (32)優先日 1995年12月6日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 スナッパー クリフォード エム. アメリカ合衆国 メリーランド州 ポトマ ック アイビーマウント テラス 7904 (72)発明者 モンド ジェイムズ ジェイ. アメリカ合衆国 メリーランド州 ポトマ ック グリーンリーフ アベニュー 11804 (72)発明者 カピアウ カリン ベルギー国 モンズ エルビソカル ビー −7050 アイモンツ クロス デ ハウツ 11 (72)発明者 ハウザー プエール ベルギー国 チャウモント ギステゥー ビー−1325 ルー インチェブルー 1エ イ (72)発明者 プリールズ ジーン−ポール ベルギー国 ブルッセル ビー−1200 ア ベニュー デ フェブリエール 7

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.抗原を投与することおよびリポ蛋白質を供投与することを含む、個体におい て多糖類または他のT細胞非依存的抗原に対する免疫応答を誘導するための方法 。 2.リポ蛋白質が微生物由来である、請求項1記載の方法。 3.リポ蛋白質がリポ蛋白質Dである、請求項2記載の方法。 4.リポ蛋白質が合成リポ蛋白質である、請求項1記載の方法。 5.抗原が、インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b)、肺炎連鎖 球菌(S.pneumonia)、B群連鎖球菌(Group B Streptococcus)、髄膜炎菌(N.meni ngitidis)、サルモネラ菌(Salmonella)および緑膿菌(P.aeruginosa)ムコエキソ 多糖類からなる群より選択されるひとつの細菌に由来する多糖類である、請求項 1記載の方法。 6.抗原を投与することおよびリポ蛋白質を供投与することを含む、多糖類また は他のT細胞非依存的抗原に対する免疫応答を増強するための方法。 7.リポ蛋白質が微生物由来である、請求項6記載の方法。 8.リポ蛋白質がリポ蛋白質Dである、請求項6記載の方法。 9.リポ蛋白質が合成リポ蛋白質である、請求項6記載の方法。 10.抗原が、インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b)、肺炎連 鎖球菌(S.pneumonia)、B群連鎖球菌(Group B Streptococcus)、髄膜炎菌(N.me ningitidis)、サルモネラ菌(Salmonella)および緑膿菌(P.aeruginosa)ムコエキ ソ多糖類からなる群より選択されるひとつの細菌に由来する多糖類である、請求 項6記載の方法。 11.リポ蛋白質Dに共有結合した臨床上関連のある多糖類を含むワクチン。 12.多糖類が、インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b)、肺炎 連鎖球菌(S.pneumonia)、B群連鎖球菌(Group B Streptococcus)、髄膜炎菌(N. meningitidis)、サルモネラ菌(Salmonella)および緑膿菌(P.aeruginosa)ムコエ キソ多糖類からなる群より選択されるひとつの細菌由来である、請求項11記載 のワクチン。 13.リポ蛋白質Dが、多糖類に直接的に共有結合されている、請求項11記載 の ワクチンの製造方法。 14.共有結合が、多糖類のCDAP活性化によるものである、請求項13記載の方 法。
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