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JPH11335832A - イオン注入方法及びイオン注入装置 - Google Patents

イオン注入方法及びイオン注入装置

Info

Publication number
JPH11335832A
JPH11335832A JP13794498A JP13794498A JPH11335832A JP H11335832 A JPH11335832 A JP H11335832A JP 13794498 A JP13794498 A JP 13794498A JP 13794498 A JP13794498 A JP 13794498A JP H11335832 A JPH11335832 A JP H11335832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
vacuum vessel
pulse
arc
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP13794498A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuki Yamashita
信樹 山下
Toshiya Watanabe
俊哉 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP13794498A priority Critical patent/JPH11335832A/ja
Publication of JPH11335832A publication Critical patent/JPH11335832A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑で立体形状の基材であっても、イオン注
入を良好に行う。 【解決手段】 複数のアーク式蒸発源12では、カソー
ド14とアノード15間にパルスアーク電圧を印加して
アーク放電を発生させて、プラズマ16を生成する。各
フィルター13は、磁場によりプラズマ16中の金属イ
オン20のみを引き出して、真空容器1の周囲の面の位
置から基材2に向けて、金属イオン20を供給する。一
方、ガスプラズマ発生装置21は、材料ガスのプラズマ
23を、真空容器1の周囲の面の位置から基材2に向け
て供給する。パルスバイアス電源24から基材2に、負
のパルスバイアス電圧を印加すると、金属イオン20及
び材料ガスイオン27が、基材2に引き込まれて注入さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種回転機械の軸
受けやスライド等の摺動部材、工具等、耐摩耗性を要求
される部材へイオン注入を均一に行うことのできるイオ
ン注入方法及びイオン注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種回転機械の軸受けやスライドなどの
摺動部材、工具等、耐摩耗性を要求される部材等の金属
材料にイオン注入を行うことにより、耐摩耗性、耐食性
等、表面の機械的特性が向上する。
【0003】この場合、一般的に用いられる従来方法
は、真空中で注入したい元素を含むガスをプラズマ化
し、発生したイオンを、直流高電圧(数10kV〜数1
00kV)をかけた引き出し加速電極を用いて電界によ
り引き出し、加速して、そのイオンをイオンビームとい
う形で、被処理材料に注入するものである。
【0004】注入したい元素を含むガスが、窒素等、常
温でガス状であり、不活性な場合は良いが、金属等のイ
オン注入を用いるには、充分な圧力の金属蒸気を発生さ
せることや金属プラズマを安定にかつ長時間発生させる
ことが難しい。
【0005】また、金属の直接の蒸発を用いず、塩化
物、ふっ化物と言った液体及びガス状の化合物を用いた
場合は、その供給は容易となるが、装置の腐食、金属の
電極への付着を招き、メンテナンスを頻繁に行う必要が
あり、長時間の運転が困難である。
【0006】さらに、この様な方法でイオン注入を行う
場合、平面状の被処理材料であればビームを垂直に入射
させればよいが、立体形状の被処理材料に注入を行うた
めには、ビームに対し被処理材料を回転、並進、揺動の
組み合わさった複雑な動きで、駆動させる必要がある。
従って、注入の被処理材料全面への均一性が得られ難
く、注入処理に長時間を有する。
【0007】また、先に述べたイオンビームを用いた注
入以外にも、金属薄膜を被覆する装置としては、イオン
プレーティング法が提案されている。この薄膜作製装置
の一例を、図2に示す。
【0008】図2に示す装置では、真空排気装置(図示
省略)によって真空排気される真空容器1と、その内部
に設けられていて処理しようとする基材2を保持するホ
ルダー3と、この基材2に対向して設置した金属材料4
を収納したハース5を備えている。ホルダー3は、絶縁
体11により真空容器1から絶縁されている。また真空
容器1内には、図示しないガス源からガス6が導入され
る。
【0009】金属材料4を収納したハース5の上方に
は、電子ビーム発生装置8が備え付けてある。電子ビー
ム発生装置8から発生した大電流の電子ビーム7を金属
材料4に照射し加熱蒸発させる。
【0010】ホルダー3およびそれに保持される基材2
には、直流バイアス電源9から、真空容器1に対して負
の直流バイアス電圧が印加される。このバイアス電圧の
大きさは、例えば、数10V〜数1000V程度であ
る。
【0011】膜形成に際しては、真空容器1内を排気し
た後に、所要のアルゴン等の希ガス6を導入し、基材2
にバイアス電圧を印加した状態で、電子ビーム発生装置
8より、ハース5上の金属材料4に電子ビーム7を照射
する。そうすると、金属材料4が加熱蒸発させられると
共に、大電流により金属材料4上に生成した図示しない
プラズマにより、蒸発物質10の一部がイオン化する。
そしてこのイオン化した蒸発物質10が、負のバイアス
電圧が印加された基材2に引き付けられ堆積成長し、薄
膜が形成する。ガス6が反応ガスの場合は、金属材料4
と反応ガスとが化合した化合物薄膜が形成される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図2に示すよ
うな従来装置では、金属薄膜の被覆を行うことはできて
も、金属イオン注入を行うことはできない。また何らか
の手段で、ガスイオンを発生させても、そのイオンの注
入も行うことができない。なぜなら、基材2に金属イオ
ン等を注入するためには、前述したバイアス電圧よりも
遙かに大きいバイアス電圧、例えば数10kV〜数10
0kV程度のバイアス電圧を印加し、イオンを基材2に
向けて加速しなければならない。ところが、この様な直
流高電圧を印加すると瞬時に異常放電が発生し、バイア
ス電源9が停止してしまう。この様な理由により、この
装置でイオン注入を行うことはできない。
【0013】本発明は、上記従来技術に鑑み、複雑・立
体形状の基材に対し、均一にイオン注入可能であり、し
かも長時間の連続運転が可能である、安価なイオン注入
方法及びイオン注入装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、真空容器内にこの真空容器に対して絶縁状
態で基材を保持し、金属またはその化合物からなるカソ
ードとアノードとの間のアーク放電によってカソード物
質を蒸発させてカソード物質を含む蒸気,パーティクル
及び金属のプラズマを発生させ、前記プラズマ中の金属
イオンのみを磁界により引き出し、この金属イオンを、
前記真空容器の各周囲の面の位置から前記基材に向けて
供給し、材料ガスをプラズマ化して材料ガスのプラズマ
を発生させ、この材料ガスのプラズマを、前記真空容器
の各周囲の面の位置から前記基材に向けて供給し、真空
容器の電位を基準にして負のパルスバイアス電圧や負の
直流バイアス電圧を前記基材に印加することを特徴とす
る。
【0015】また本発明の構成は、真空容器と、前記真
空容器に対して絶縁状態で基材を前記真空容器内に保持
するホルダーと、金属またはその化合物からなるカソー
ドとアノードとの間のアーク放電によってカソード物質
を蒸発させてカソード物質を含む蒸気,パーティクル及
び金属のプラズマを発生する複数のアーク式蒸発源と、
各アーク式蒸発源と前記真空容器の各面とを連通してお
り、前記プラズマ中の金属イオンのみを磁界により引き
出して通し、この金属イオンを、前記真空容器の各周囲
の面の位置から前記ホルダーに保持された基材に向けて
供給する複数のフィルターと、前記真空容器の各面に連
通状態で取り付けられており、材料ガスをプラズマ化し
て材料ガスのプラズマを、前記真空容器の各周囲の面の
位置から前記ホルダーに保持された基材に向けて供給す
る複数のガスプラズマ発生装置と、前記ホルダーに保持
された基材に対して、真空容器の電位を基準にして負の
パルスバイアス電圧をスイッチの切り替えにより印加す
るパルスバイアス電源と、前記ホルダーに保持された基
材に対して、真空容器の電位を基準にして負の直流バイ
アス電圧をスイッチの切り替えにより印加する直流バイ
アス電源と、を有することを特徴とする。
【0016】また本発明の構成は、前記パルスバイアス
電源は、負のパルスバイアス電圧が10kV以上、40
0kV以下であり、パルス幅が1μs〜1ms及び繰返
し周波数が100Hz〜1kHzである電圧を発生する
ことを特徴とする。
【0017】また本発明の構成は、前記アーク式蒸発源
は、パルスアーク放電電圧を出力するパルスアーク電源
と直流アーク放電電圧を出力する直流アーク電源とを有
すると共に、スイッチングによりパルスアーク放電電圧
と直流アーク放電電圧とを選択的に印加でき、前記パル
スバイアス電源は、前記パルスアーク放電電圧に同期し
ていてしかもそれよりもパルス幅の長い負のパルスバイ
アス電圧を出力することを特徴とする。
【0018】また本発明の構成は、前記直流バイアス電
圧は、10V以上、1kV以下の負の直流バイアス電圧
を出力することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態にかか
るイオン注入方法及びイオン注入装置を図面に基づき詳
細に説明する。
【0020】図1は本発明の実施の形態にかかるイオン
注入装置を示す構成図である。このイオン注入装置は、
図示されない真空排気装置によって真空排気される真空
容器1を備えている。この真空容器1内には、処理しよ
うとする基材2を保持するホルダー3が設けられてい
る。このホルダー3は絶縁体11を介して真空容器1に
支持されている。絶縁体11は、真空容器1とホルダー
3との間をシールして真空状態を保持する機能と、真空
容器1とホルダー3との間の絶縁を保つ機能を有してい
る。また、このホルダー3には、必要に応じて、回転機
構を設けてもよい。
【0021】真空容器1には、フィルター13を介し
て、複数台のアーク式蒸発源12が、基材2を取り囲む
ように連通状態で取り付けられている。フィルター13
は、90°に曲げられた管13−Aと、管13−Aに巻
かれた磁場発生用コイル13−Bとでなり、磁場発生用
コイル13−Bは図示されない直流電源に接続されてい
る。各フィルター13の出口は、真空容器1の各面に形
成されており、真空容器1内の基材2に向かって臨んで
いる。
【0022】図1は装置縦断面図であるが、真空容器1
は直方体であるため、図示はしていないが、実際には、
真空容器1の前面及び背面にもアーク式蒸発源12及び
フィルター13が取り付けられている。
【0023】各アーク式蒸発源12は、金属またはその
化合物からなるカソード14を有していて、カソード1
4とアノード15との間でアーク放電を起こさせて、カ
ソード14を局所的に溶解させてカソード物質を蒸発さ
せる。その際、各カソード14の前方に、アーク放電に
よって、カソード物質を含む蒸気,パーティクル及び金
属のプラズマ16が生成される。
【0024】このプラズマ16のうち、蒸気、パーティ
クルの大部分は管13−Aの内面に付着するが、プラズ
マ16中の金属イオン20のみは管内に発生している磁
界に沿って10eV以下の低いエネルギーで真空容器1
に引き出される。また、各アーク式蒸発源12には、ア
ーク放電起動用のトリガー電極等が設けられているが、
その図示は省略している。
【0025】各アーク式蒸発源12には、カソード14
側を負としてカソード14とアノード15間に直流アー
ク放電電圧を供給する直流アーク電源17と、カソード
14側を負としてカソード14とアノード15との間に
パルスアーク放電電圧を供給するパルスアーク電源18
とを備えており、必要に応じて切り替えスイッチ19で
それぞれの電源の切り替えを行うことができる。
【0026】このように、真空容器1の周囲には複数台
のアーク式蒸発源12が配置されており、また、複数の
フィルター13は、各アーク式蒸発源12と真空容器1
の各面とを連通しており、プラズマ16中の金属イオン
20のみを磁界により引き出して通し、この金属イオン
20を、真空容器1の各周囲の面の位置からホルダー3
に保持された基材2に向けて供給する。
【0027】この結果、金属イオン20が基材2の周囲
から基材2に向けて供給される。つまり、基材2から見
ると、周囲の各方向から基材2に向かって金属イオン2
0が供給され、金属イオン20は基材2の全面を囲うよ
うに搬送される。
【0028】また真空容器1には、複数台のガスプラズ
マ発生装置21が基材2を囲むように、連通状態で取り
付けられている。真空容器1は直方体であるため、図示
はしていないが、実際には、真空容器1の前面及び背面
にもガスプラズマ発生装置21が取り付けられている。
【0029】ガスプラズマ発生装置21は材料ガス導入
口22より導入された材料ガスを、熱フィラメントによ
る電子励起、高周波放電等でプラズマ化する。この結
果、真空容器1内に材料ガスのプラズマ23が発生す
る。
【0030】このようにガスプラズマ発生装置21が、
真空容器1の各面に連通状態で取り付けられているた
め、材料ガスのプラズマ23を、真空容器1の各周囲の
面の位置からホルダー3に保持された基材2に向けて供
給することができる。
【0031】この結果、材料ガスのプラズマ23が基材
2の周囲から基材2に向けて供給される。つまり、基材
2から見ると、周囲の各方向から基材2に向かって材料
ガスのプラズマ23が供給され、材料ガスのプラズマ2
3は基材2の全面を囲うように搬送される。
【0032】ホルダー3には、真空容器1を基準にして
負のパルスバイアス電圧を印加するパルスバイアス電源
24、負の直流電圧を印加する直流バイアス電源25が
切り替えスイッチ26を介して接続されている。このた
め、切り替えスイッチ26の切り替え動作により、ホル
ダー3ひいてはそれに保持された基材2に、負のパルス
バイアス電圧や負の直流電圧が印加される。
【0033】以上のような構成となっているイオン注入
装置を用いた各種の処理例を次に示す。
【0034】[処理例1:金属イオン注入]各アーク式
蒸発源12に金属または金属化合物からなるカソード1
4を取り付け、ホルダー3に基材2を取り付け、真空容
器1内を1×10-5 torr 以下に真空排気する。
【0035】各アーク式蒸発源12に各パルスアーク電
源18よりパルスアーク放電電圧を供給し、各アーク式
蒸発源12にアーク放電を発生させ、その前方に、カソ
ード物質を含む蒸気,パーティクル及び金属のプラズマ
16が生成される。
【0036】次にフィルター13の磁場発生用コイル1
3−Bを作動させると、この内、蒸気、パーティクルの
大部分は管13−Aの内面に付着するが、プラズマ16
中の金属イオン20のみは管内に発生している磁界に沿
って数10eVの低いエネルギーで真空容器1に引き出
される。
【0037】その状態で、ホルダー3及びそれに取り付
けられた基材2に、パルスバイアス電源24から負のパ
ルスバイアス電圧を印加すると、金属イオン20がその
電圧によって基材2に引き込まれ、注入される。この場
合、パルスバイアス電源24は、パルスバイアス電圧
が、パルスアーク放電電圧に同期していて、しかも、パ
ルスアーク放電電圧のパルス幅よりもパルス幅の長い負
のパルスバイアス電圧を出力する。
【0038】これは、金属またはその化合物からなるカ
ソード14にアーク放電電圧が印加されているとき、基
材2にバイアス電圧が印加されていない場合、イオンが
低いエネルギー(10eV以下)で付着し、成膜が起き
るためである。
【0039】パルスバイアス電圧が、パルスアーク放電
電圧に同期していて、しかも、それよりもパルス幅の長
い負のパルスバイアス電圧を出力するパルスバイアス電
源24とすることにより、金属イオンの注入のみを行う
ことができる。
【0040】また、負のパルスバイアス電圧は10kV
以上、200kV以下であり、10kV未満ではイオン
のエネルギーが低すぎて注入は殆ど起こらず、400k
V以上では産業応用上、装置規模、操作性等に問題があ
り実用的ではない。
【0041】パルスバイアス電圧のパルス幅は1μs〜
1msで、パルス幅を1μs未満とすると、単位時間当
たりの注入量が大幅に減り、処理時間が長くなり、経済
的に成り立たず、1ms以上とすると異常放電の発生が
頻発し、イオン注入が不可能となるためである。
【0042】[処理例2:ガスイオン注入]ホルダー3
に基材2を取り付け、真空容器1内を1×10-5 torr
以下に真空排気する。材料ガス導入口22より、窒素ガ
ス、炭化水素ガス等を導入し、圧力を、1×10-3 tor
r 以下として、ガスプラズマ発生装置21で熱フィラメ
ントによる電子励起、高周波放電等でプラズマ化する。
この結果、真空容器1内に材料ガスのプラズマ23が発
生する。
【0043】この状態でホルダー3及びそれに取り付け
られた基材2に、パルスバイアス電源24から負のパル
スバイアス電圧を印加すると、材料ガスのプラズマ23
中の材料ガスイオン27が引き出され、それが基材2に
引き込まれ注入される。
【0044】[処理例3:金属、ガスイオン注入]ホル
ダー3に基材2を取り付け、真空容器1内を1×10-5
torr 以下に真空排気する。アーク式蒸発源12、ガス
プラズマ発生装置21の両方を作動させ、この状態でホ
ルダー3及びそれに取り付けられた基材2に、パルスバ
イアス電源24から負のパルスバイアス電圧を印加す
る。
【0045】この場合、パルスバイアス電源24は、パ
ルスバイアス電圧が、パルスアーク放電電圧に同期して
いて、しかも、パルスアーク放電電圧のパルス幅よりも
パルス幅の長い負のパルスバイアス電圧を出力する。こ
れにより、金属イオン20、材料ガスイオン27の両者
が基材2に引き込まれ、注入される。
【0046】[処理例4:金属イオン注入後に金属膜成
膜]処理例1の処理を行った後に、各アーク式蒸発源1
2に各直流アーク電源17より直流のアーク放電電圧を
供給し、各アーク式蒸発源12にアーク放電を発生さ
せ、ホルダー3及びそれに取り付けられた基材2に、1
0V以上,1kV以下の負の直流電圧を直流バイアス電
源25により印加すると、金属イオン20が基材2に付
着し、金属膜が形成される。
【0047】この場合、直流電圧10V未満では、膜質
が低下し、1kV以上ではエッチング効果により膜が形
成しない。また、金属イオン注入により、金属膜と基材
との間に、基材材料と金属膜材料が混合した境界層が形
成しているため、密着性にも優れる。
【0048】[処理例5:金属、ガスイオン注入に化合
物膜成膜]処理例3の処理を行った後に、ガスプラズマ
発生装置21は作動させたままで、各アーク式蒸発源1
2に各直流アーク電源17より直流のアーク放電電圧を
供給し、各アーク式蒸発源12にアーク放電を発生さ
せ、ホルダー3及びそれに取り付けられた基材2に、1
0V以上,1kV以下の負の直流電圧を直流バイアス電
源25により印加すると、金属イオン20、材料ガスイ
オン27からなる化合物膜が形成される。また、金属、
ガスイオン注入により、化合物膜と基材との間に、基材
材料と化合物膜材料が混合した境界層が形成しているた
め、密着性にも優れる。
【0049】
【発明の効果】以上実施の形態と共に具体的に説明した
ように、本発明では、真空容器内にこの真空容器に対し
て絶縁状態で基材を保持し、金属またはその化合物から
なるカソードとアノードとの間のアーク放電によってカ
ソード物質を蒸発させてカソード物質を含む蒸気,パー
ティクル及び金属のプラズマを発生させ、前記プラズマ
中の金属イオンのみを磁界により引き出し、この金属イ
オンを、前記真空容器の各周囲の面の位置から前記基材
に向けて供給し、材料ガスをプラズマ化して材料ガスの
プラズマを発生させ、この材料ガスのプラズマを、前記
真空容器の各周囲の面の位置から前記基材に向けて供給
し、真空容器の電位を基準にして負のパルスバイアス電
圧や負の直流バイアス電圧を前記基材に印加する方法の
構成としたり、真空容器と、前記真空容器に対して絶縁
状態で基材を前記真空容器内に保持するホルダーと、金
属またはその化合物からなるカソードとアノードとの間
のアーク放電によってカソード物質を蒸発させてカソー
ド物質を含む蒸気,パーティクル及び金属のプラズマを
発生する複数のアーク式蒸発源と、各アーク式蒸発源と
前記真空容器の各面とを連通しており、前記プラズマ中
の金属イオンのみを磁界により引き出して通し、この金
属イオンを、前記真空容器の各周囲の面の位置から前記
ホルダーに保持された基材に向けて供給する複数のフィ
ルターと、前記真空容器の各面に連通状態で取り付けら
れており、材料ガスをプラズマ化して材料ガスのプラズ
マを、前記真空容器の各周囲の面の位置から前記ホルダ
ーに保持された基材に向けて供給する複数のガスプラズ
マ発生装置と、前記ホルダーに保持された基材に対し
て、真空容器の電位を基準にして負のパルスバイアス電
圧をスイッチの切り替えにより印加するパルスバイアス
電源と、前記ホルダーに保持された基材に対して、真空
容器の電位を基準にして負の直流バイアス電圧をスイッ
チの切り替えにより印加する直流バイアス電源と、を有
する装置の構成とした。
【0050】かかる構成としたため、本発明によるイオ
ン注入方法及びイオン注入装置によれば、各アーク式蒸
発源から真空容器に導かれた金属イオンと、ガスプラズ
マ発生装置で発生させた材料ガスのイオンを、高電圧の
パルスバイアス電圧により基材に引き込みイオン注入を
行うことができる。しかも、複数のアーク式蒸発源及び
ガスプラズマ発生装置は基材を囲うように設置してあ
り、金属イオン、材料ガスイオンは基材の全面を囲うよ
うに搬送される。更に、これに高電圧により基材へのイ
オンの引き込みという効果も加わり、複雑な形状の基材
に対しても均一にイオン注入を行うことができる。ま
た、加速電極等も不要でメンテナンスも容易で、生産性
が高く、コスト安となる。
【0051】また本発明では、前記パルスバイアス電源
は、負のパルスバイアス電圧が10kV以上、400k
V以下であり、パルス幅が1μs〜1ms及び繰返し周
波数が100Hz〜1kHzである電圧を発生する構成
とした。
【0052】かかる構成としたため、イオン注入が確実
に行われると共に、産業応用上の問題も発生しない。
【0053】また本発明では、前記アーク式蒸発源は、
パルスアーク放電電圧を出力するパルスアーク電源と直
流アーク放電電圧を出力する直流アーク電源とを有する
と共に、スイッチングによりパルスアーク放電電圧と直
流アーク放電電圧とを選択的に印加でき、前記パルスバ
イアス電源は、前記パルスアーク放電電圧に同期してい
てしかもそれよりもパルス幅の長い負のパルスバイアス
電圧を出力する構成とした。
【0054】かかる構成としたため、良好にイオン注入
ができ成膜の発生を防止できる。
【0055】また本発明では、前記直流バイアス電圧
は、10V以上、1kV以下の負の直流バイアス電圧を
出力する構成とした。
【0056】このため、イオン注入後に基材に低い電圧
の直流バイアスを印加することにより、密着性の高い良
質の金属及び化合物膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るイオン注入装置を示
す構成図。
【図2】従来の薄膜作成装置の一例を示す構成図。
【符号の説明】
1 真空容器 2 基材 3 ホルダー 12 アーク式蒸発源 13 フィルター 13−A 管 13−B 磁場発生コイル 14 カソード 15 アノード 16 プラズマ 17 直流アーク電源 18 パルスアーク電源 19 切り替えスイッチ 20 金属イオン 21 ガスプラズマ発生装置 22 材料ガス導入口 23 材料ガスのプラズマ 24 パルスバイアス電源 25 直流バイアス電源 26 切り替えスイッチ 27 材料ガスイオン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内にこの真空容器に対して絶縁
    状態で基材を保持し、 金属またはその化合物からなるカソードとアノードとの
    間のアーク放電によってカソード物質を蒸発させてカソ
    ード物質を含む蒸気,パーティクル及び金属のプラズマ
    を発生させ、 前記プラズマ中の金属イオンのみを磁界により引き出
    し、この金属イオンを、前記真空容器の各周囲の面の位
    置から前記基材に向けて供給し、 材料ガスをプラズマ化して材料ガスのプラズマを発生さ
    せ、この材料ガスのプラズマを、前記真空容器の各周囲
    の面の位置から前記基材に向けて供給し、 真空容器の電位を基準にして負のパルスバイアス電圧や
    負の直流バイアス電圧を前記基材に印加することを特徴
    とするイオン注入方法。
  2. 【請求項2】 真空容器と、 前記真空容器に対して絶縁状態で基材を前記真空容器内
    に保持するホルダーと、 金属またはその化合物からなるカソードとアノードとの
    間のアーク放電によってカソード物質を蒸発させてカソ
    ード物質を含む蒸気,パーティクル及び金属のプラズマ
    を発生する複数のアーク式蒸発源と、 各アーク式蒸発源と前記真空容器の各面とを連通してお
    り、前記プラズマ中の金属イオンのみを磁界により引き
    出して通し、この金属イオンを、前記真空容器の各周囲
    の面の位置から前記ホルダーに保持された基材に向けて
    供給する複数のフィルターと、 前記真空容器の各面に連通状態で取り付けられており、
    材料ガスをプラズマ化して材料ガスのプラズマを、前記
    真空容器の各周囲の面の位置から前記ホルダーに保持さ
    れた基材に向けて供給する複数のガスプラズマ発生装置
    と、 前記ホルダーに保持された基材に対して、真空容器の電
    位を基準にして負のパルスバイアス電圧をスイッチの切
    り替えにより印加するパルスバイアス電源と、 前記ホルダーに保持された基材に対して、真空容器の電
    位を基準にして負の直流バイアス電圧をスイッチの切り
    替えにより印加する直流バイアス電源と、を有すること
    を特徴とするイオン注入装置。
  3. 【請求項3】 前記パルスバイアス電源は、負のパルス
    バイアス電圧が10kV以上、400kV以下であり、
    パルス幅が1μs〜1ms及び繰返し周波数が100H
    z〜1kHzである電圧を発生することを特徴とする請
    求項2のイオン注入装置。
  4. 【請求項4】 前記アーク式蒸発源は、パルスアーク放
    電電圧を出力するパルスアーク電源と直流アーク放電電
    圧を出力する直流アーク電源とを有すると共に、スイッ
    チングによりパルスアーク放電電圧と直流アーク放電電
    圧とを選択的に印加でき、前記パルスバイアス電源は、
    前記パルスアーク放電電圧に同期していてしかもそれよ
    りもパルス幅の長い負のパルスバイアス電圧を出力する
    ことを特徴とする請求項2のイオン注入装置。
  5. 【請求項5】 前記直流バイアス電圧は、10V以上、
    1kV以下の負の直流バイアス電圧を出力することを特
    徴とする請求項2のイオン注入装置。
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