JPH11335764A - 押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム押出合金および熱交換器用高強度アルミニウム合金押出材の製造方法 - Google Patents
押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム押出合金および熱交換器用高強度アルミニウム合金押出材の製造方法Info
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Abstract
を損なうこと耐圧強度を高めて熱交換効率の向上を可能
にする。 【解決手段】 Mn:0.3〜1.2% Si:0.1
〜1.1%を含み、所望により、Cu:0.1〜0.6
% Fe:0.1〜1.1%のうち1種又は2種を含む
高強度の高強度アルミニウム押出合金を、530℃〜6
00℃で3〜15時間加熱する均質化処理を行い、その
後、450℃〜550℃で0.1〜2時間加熱する均熱
処理を行って押出を行う。 【効果】 良好な押出性を確保した上で押出チュー
ブの高強度化ができ、よって熱媒体圧力を高めて熱交換
効率の高い熱交換器を得ることができる。
Description
自動車用熱交換器に好適な、押出性に優れた熱交換器用
高強度アルミニウム押出合金および熱交換器用高強度ア
ルミニウム合金押出材の製造方法に関するものである。
チューブ材は複数孔を有するホロー形状等のように、断
面形状が非常に複雑で細かいことから押出性(押出力が
小さく、押出速度が速いものほど押出性が良い)を重視
してAA1050合金や強度を高めるために、これにM
nやCuなどを0.2%程度添加した材料が用いられて
いる。ところで、これまでのカークーラ等の冷媒には特
定フロン(商標)が使用されてきていたが、近年の環境
問題からフロン22(商標)に変更されて、現在はこれ
が主流になってきている。この冷媒でも環境に悪影響を
及ぼすことから、さらなる改良がなされている。いずれ
にしても、現状では、環境に対する害を小さくしようと
すればするほど冷媒のもつ熱交換効率は低下する。そこ
で、従来と同等の性能(熱交換効率)を発揮するために
はこれまで以上に媒体圧力を高める必要があるが、その
場合にはチューブ材の強度が問題になってくる。したが
って、熱交換器に使用される材料に高強度(高耐圧性)
の要求が高まってきている。また、自動車には、上記の
ようなカークーラとは別に自動車用熱交換器としてイン
タークーラが組み込まれているものがある。このインタ
ークーラの製造方法としては、これまでは溶接機により
板を造管してチューブを作製し、このチューブの内部に
インナーフィンを組み付けてろう付によりこれらを接合
する手法が採用されており、上記チューブ材にはA30
03合金を芯材とし両面にAl−Si系のろう材を貼り
合わせたブレージングシートが用いられてきた。ところ
が、このような製法では工程の数が多く、製造コストが
かかりすぎるなどの問題があった。また、近年インター
クーラにも性能向上のために高い耐圧強度が求められて
きている。したがって、インタークーラ用のチューブ材
でも高強度の押出合金を用いて押出によって製造するこ
とが要望されている。
方法としては、従来材において、より多くのMnを含有
させることが考えられる。ところが、上記したように熱
交換器用の押出チューブ等では高い押出性が必要とされ
ているところ、上記Mnの含有量の増加は、この押出性
を大きく低下させ、その結果、生産性が低下するだけで
なく、目的の形状が得られなかったり、押出金型の損傷
が起こりやすくなるなどの問題を引き起こす。このため
従来は、良好な押出性を保ったままで押出材の高強度化
を図ることは困難であると考えられていた。
のであり、良好な押出性を確保した上で、耐圧強度を向
上させた熱交換器用高強度アルミニウム押出合金および
熱交換器用高強度アルミニウム合金押出材の製造方法を
提供することを目的とする。
め、本発明の押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニ
ウム押出合金のうち第1の発明は、重量%で、Mn:
0.3〜1.2% Si:0.1〜1.1%を含み、残
部Alと不可避不純物からなることを特徴とする。第2
の発明の押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム
押出合金は、第1の発明において、さらに、重量%で、
Cu:0.1〜0.6% Fe:0.1〜1.1%のう
ち1種又は2種を含むことを特徴とする。第3の発明の
押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム押出合金
は、第1又は第2の発明において、成分中のMnとSi
の含有量(重量%)の比が、Mn/Si=1.1〜4.
5であることを特徴とする。第4の発明の押出性に優れ
た熱交換器用高強度アルミニウム押出合金は、第1〜第
3の発明において、さらに、重量%で、Mg:0.05
〜0.5%を含むことを特徴とする。
ニウム合金押出材の製造方法は、上記いずれかのアルミ
ニウム合金に、530℃〜600℃で3〜15時間加熱
する均質化処理を行い、その後、450℃〜550℃で
0.1〜2時間加熱する均熱処理を行ってから押出を行
うこと特徴とする。
いて説明する。 Mn:0.3〜1.2% Mnは、金属間化合物として晶出または析出し、ろう付
後の強度を向上させる。また、SiとAl−Mn−Si
系の化合物を形成して強度を向上させる。さらに、電位
を貴にするので、フィンとの電位差が大きくとれ、外部
耐食性が向上する作用もある。これら作用を得るために
は0.3%以上の含有が必要であり、さらには0.45
%以上含有させるのが望ましく、0.6%以上含有させ
るのが一層望ましい。なお、Mnを多く含有することに
よる押出性の低下は後述するようにSiの含有によって
避けているが、過剰のMn含有は、Siの含有にも拘わ
らず押出性を低下させる。この観点からMnの上限は
1.2%とする。また、同様の理由でさらに上限を1.
0%とするのが望ましい。
n系化合物(Mnのみを含有したAlの化合物、例えば
Al6Mn)である晶出物あるいは析出物の形成により
押出性が著しく低下する。ところが、Siを含有させる
と、Al−Mn−Si系化合物が形成されて必要以上に
Al−Mn系化合物が形成されるのを防止し、よって押
出性を著しく向上させる作用が得られる。また、マトリ
ックスに固溶したり、Al−Mn−Si系化合物を形成
することにより、ろう付後の強度を向上させる作用もあ
る。これらの作用を得るためには0.1%以上の含有が
必要である。さらには、特に押出性を向上させるという
点で0.2%以上含有させるのが望ましく、0.3%以
上含有させるのが一層望ましい。一方、過剰のSi含有
は、合金の融点を低下させてろう付け時に材料の溶融を
招き、また晶出物の形成により却って押出性を低下させ
るので、上限を1.1%とする。なお、同様の理由で上
限を0.9%とするのが望ましい。
るためには、成分中のMnとSiの含有量(重量%)の
比が、Mn/Si=1.1〜4.5の範囲内になるよう
に、それぞれの含有量を定めるのが望ましい。ここで、
上記比が1.1未満であると、Mnに比べてSi量が相
対的に多くなり、押出性が低下するという問題がある。
一方、上記比が4.5を越えると、Mn量に比べてSi
量が相対的に少なく、Mn含有による押出性の低下をS
i含有によって十分に補完して良好な押出性を確保する
ことが難しくなる。なお、上記と同様の理由によりMn
/Si比を1.5以上、または3.5以下とするのが望
ましい。
1.1% Cuは固溶してろう付後の強度を向上させ、Feは金属
間化合物として晶出または析出してろう付後の強度を向
上させる。さらに、Cuは電位を貴にするためフィンと
の電位差が大きくとれ、外部耐食性が著しく向上する。
また、Feは、Al−Mn−Fe系あるいはAl−Mn
−Fe−Si系の化合物を形成して押出性を向上させ
る。これらの作用を得るため、所望によりCu、Feの
1種または2種を含有させるが、十分な作用を得るため
には、個々に0.1%以上の含有が必要であり、さらに
Cuで0.2%以上、Feで0.3%以上含有させるの
が望ましい。一方、過剰のCu、Feの含有は、これら
成分が表面に晶出して腐食速度を速め、また、押出性を
低下させるので、Cuで0.6%、Feで1.1%を上
限とする。さらには、Cuで0.5%、Feで0.7%
を上限とするのが望ましい。
ろう付け性を向上させる作用があるので、所望により含
有させる。この作用を十分に得るためには0.05%以
上の含有が必要である。一方、過剰の含有は押出性を低
下させるので、0.5%を上限とする。なお、真空ろう
付けではなく、雰囲気ろう付けを行う際には、Mgを含
有していると、このMgとフラックス(特にフッ化物
系)とが反応して高融点被膜を形成してろう付け性を低
下させるので、雰囲気ろう付けにおいてはMgを含有さ
せないのが望ましい。
る方法の発明に関し、その製造条件の限定理由を以下に
説明する。 均質化処理:530℃〜600℃、3〜15時間加熱 この均質化処理では、鋳造後の偏析等を解消する作用が
あるが、重要な作用としてMn−Si化合物を形成し
て、上記したように押出性を向上させる点が挙げられ
る。この作用を得るためには、530℃以上の加熱温度
で3時間以上加熱する必要がある。なお、Mn−Si化
合物をより確実に形成するためには、加熱温度を550
℃以上、加熱時間を6時間以上とするのが望ましく、さ
らに加熱温度を570℃以上、加熱時間を8時間以上と
するのが望ましい。一方、加熱温度が600℃を超える
とそれ以上の効果が得られず製造コストがアップするだ
けでなく、材料が溶融するという問題があり、また、加
熱時間が15時間を超えると、生産性が低下する問題が
あるため、それぞれ上限を定めた。
2時間加熱 熱間押出に際し、適切な温度に加熱するとともに、Mn
−Si化合物の生成を促すために、上記条件にて均熱処
理を行う。なお、Mn−Si化合物の生成をより促すた
めには、加熱時間を0.5時間以上とするのが望まし
い。
した成分を目標として常法により溶製することができ、
その製造方法は特に限定されない。この合金を用いて押
出材を製造する際には、溶製された合金に上記した均質
化処理を施すのが望ましい。その後は、少なくとも押出
前に上記した均熱化処理を施した後、押出がなされる。
なお、上記均質化処理および均熱化処理における加熱方
法や加熱炉の構造等についても特に限定されるものでは
ない。さらに、上記押出においては押出形状は特に限定
されるものではないが、熱交換器の形状等に応じて押出
形状が選定される。この押出に際しては、材料の押出性
が良好であるので、ホロー形状のものを多孔ダイを用い
て良好に押出することも可能である。また、押出に際し
ての押出方法(方式)も特に限定されるものではなく、
押出形状等に合わせて適宜常法の方法を採用することが
できる。
て使用されるものであり、通常は熱媒体を流通させるチ
ューブ材に用いられる。また、熱交換器の使用場所も特
に限定されるものではないが、特に耐食性が必要とされ
る自動車用熱交換器に好適である。また、その際にも熱
交換器で有れば、コンデンサ、エバポレータ、インター
クーラー等の適宜の用途に使用することができる。ま
た、上記押出材は、耐食性を向上させるために、所望に
より表面にZn溶射を行うことも可能であり、その場
合、3〜20g/m2量で押出材表面に被膜を形成する
ことができる。押出材は、熱交換器用部品として使用す
るに際し、他部材(例えばフィン材やヘッダー)と組み
付けて、通常はろう付けにより接合する。なお、ろう付
けに際にしての雰囲気や加熱温度、時間については本発
明としては特に限定されるものではなく、ろう付け方法
も特に限定されない。上記により得られる熱交換器は、
良好な押出性により効率的に製造がなされるとともに、
高耐圧特性を有しており、使用に際しては、熱交換効率
を上げるべく媒体の圧力を挙げることが可能になる。ま
た、良好な耐食性を有しており、例えば厳しい腐食環境
にある自動車においても良好な耐久性を発揮する。
表1に示す組成のアルミニウム合金について、常法に基
づき溶解・鋳造を行って直径15cmのビレットを製作
した。このビレットに、575℃で10時間加熱する均
質化処理A(本発明方法)または、500℃で5時間加
熱する均質化処理B(比較方法)を施した。均熱処理終
了後、直ちに図1に示すように、複数の媒体通路用穴2
を有する断面形状の押出材1を得るべく押出を行い、そ
の際に押出性の評価を行った。押出性は押し出す際の押
出力と押出速度および十分な形状が得られているかどう
かを総合的に評価し、◎(非常に良好)、○(良好)、
△(やや不良)、×(不良)で評価した。また、ろう付
け後の強度を測定する目的で、上記押出によって得られ
た各押出材に高純度窒素ガス雰囲気中で600℃で3分
のろう付相当熱処理を施した後、引張り試験を行った。
上記評価および試験の結果については表2に示した。
ウム合金を用いて本発明方法により押出材を得た場合に
は、いずれも良好な押出性と高い強度を有しており、押
出性を損なうことなく強度を高めることが可能になって
いる。一方、比較合金を用いた場合には、本発明方法に
よって押出材を得ても、押出性または強度のいずれかに
おいて劣っていた。なお、本発明の合金を用いて比較方
法によって押出を行った押出材No.12については、
発明方法によって押出を行ったもの(No.2)に比べ
て相対的には押出性に劣っていた。
高強度アルミニウム押出合金によれば、重量%で、M
n:0.3〜1.2% Si:0.1〜1.1%を含む
ので、押出性を損なうことなく高強度特性を得ることが
でき、熱交換効率の高い熱交換器を得ることが可能にな
る。また、本発明の合金に、530℃〜600℃で3〜
15時間加熱する均質化処理を行い、その後、450℃
〜550℃で0.1〜2時間加熱する均熱処理を行って
から押出を行えば、押出性を一層かつ確実に向上させる
ことができる。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、Mn:0.3〜1.2% S
i:0.1〜1.1%を含み、残部Alと不可避不純物
からなることを特徴とする押出性に優れた熱交換器用高
強度アルミニウム押出合金 - 【請求項2】 さらに、重量%で、Cu:0.1〜0.
6% Fe:0.1〜1.1%のうち1種又は2種を含
むことを特徴とする請求項1に記載の押出性に優れた熱
交換器用高強度アルミニウム押出合金 - 【請求項3】 成分中のMnとSiの含有量(重量%)
の比が、Mn/Si=1.1〜4.5であることを特徴
とする請求項1または2に記載の押出性に優れた熱交換
器用高強度アルミニウム押出合金 - 【請求項4】 さらに、重量%で、Mg:0.05〜
0.5%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウ
ム押出合金 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの合金に、53
0℃〜600℃で3〜15時間加熱する均質化処理を行
い、その後、450℃〜550℃で0.1〜2時間加熱
する均熱処理を行ってから押出を行うこと特徴とする熱
交換器用高強度アルミニウム合金押出材の製造方法
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