JPH11302197A - ヒアルロン酸安定化組成物 - Google Patents
ヒアルロン酸安定化組成物Info
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- JPH11302197A JPH11302197A JP12271598A JP12271598A JPH11302197A JP H11302197 A JPH11302197 A JP H11302197A JP 12271598 A JP12271598 A JP 12271598A JP 12271598 A JP12271598 A JP 12271598A JP H11302197 A JPH11302197 A JP H11302197A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 長期保存しても、ヒアルロン酸の低分子化お
よびpH変化が極めて少ないヒアルロン酸含有組成物、
特に溶液組成物を提供する。 【解決手段】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩と、酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グ
リシン、リンゴ酸および乳酸から選ばれる1又は2以上
の物質またはその薬学的に許容される塩とを含有する、
ヒアルロン酸含有組成物を提供する。
よびpH変化が極めて少ないヒアルロン酸含有組成物、
特に溶液組成物を提供する。 【解決手段】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩と、酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グ
リシン、リンゴ酸および乳酸から選ばれる1又は2以上
の物質またはその薬学的に許容される塩とを含有する、
ヒアルロン酸含有組成物を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒアルロン酸を含
有する組成物に関し、より詳細には、組成物の溶液を長
期保存してもpH変化及び分子量低下が極めて少ないヒ
アルロン酸含有組成物に関する。また本発明は、ヒアル
ロン酸含有溶液のpH変化抑制剤に関する。
有する組成物に関し、より詳細には、組成物の溶液を長
期保存してもpH変化及び分子量低下が極めて少ないヒ
アルロン酸含有組成物に関する。また本発明は、ヒアル
ロン酸含有溶液のpH変化抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に最も近い先行技術について説明
する。
する。
【0003】特開平8−104642号公報には、ヒア
ルロン酸溶液にクエン酸および/またはクエン酸塩が添
加されてなるヒアルロン酸ナトリウム注射液用安定化組
成物が記載されている。
ルロン酸溶液にクエン酸および/またはクエン酸塩が添
加されてなるヒアルロン酸ナトリウム注射液用安定化組
成物が記載されている。
【0004】特開平9−227385号公報には、(A)
ヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸塩、および
(B)ポリカルボン酸およびその塩、ポリオール、糖質並
びにアミノ酸およびその塩よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の粘度安定化剤を含有してなり、且つ37℃
における粘度が2,000センチポアズ未満である水溶
液からなることを特徴とする眼手術補助剤が記載されて
いる。ポリカルボン酸およびその塩として具体的には、
クエン酸ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーが
記載されている。
ヒアルロン酸および/またはヒアルロン酸塩、および
(B)ポリカルボン酸およびその塩、ポリオール、糖質並
びにアミノ酸およびその塩よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の粘度安定化剤を含有してなり、且つ37℃
における粘度が2,000センチポアズ未満である水溶
液からなることを特徴とする眼手術補助剤が記載されて
いる。ポリカルボン酸およびその塩として具体的には、
クエン酸ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーが
記載されている。
【0005】特開平10−72376号公報には、(A)
ヒアルロン酸およびヒアルロン酸塩よりなる群から選ば
れる少なくとも一種の第1の化合物、並びに(B)粘度安
定化剤として、ポリオール、ポリカルボン酸、ポリカル
ボン酸塩および糖質よりなる群から選ばれる少なくとも
一種の第2の化合物を含有してなり、粘度が2〜200
0mm2/Sであることを特徴とする点眼水溶液が記載さ
れている。ポリカルボン酸およびその塩として具体的に
は、クエン酸ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマ
ーが記載されている。ポリカルボン酸として具体的に
は、クエン酸およびカルボキシビニルポリマーが記載さ
れている。またポリカルボン酸塩として具体的には、ク
エン酸塩およびエデト酸二ナトリウムが記載されてい
る。
ヒアルロン酸およびヒアルロン酸塩よりなる群から選ば
れる少なくとも一種の第1の化合物、並びに(B)粘度安
定化剤として、ポリオール、ポリカルボン酸、ポリカル
ボン酸塩および糖質よりなる群から選ばれる少なくとも
一種の第2の化合物を含有してなり、粘度が2〜200
0mm2/Sであることを特徴とする点眼水溶液が記載さ
れている。ポリカルボン酸およびその塩として具体的に
は、クエン酸ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマ
ーが記載されている。ポリカルボン酸として具体的に
は、クエン酸およびカルボキシビニルポリマーが記載さ
れている。またポリカルボン酸塩として具体的には、ク
エン酸塩およびエデト酸二ナトリウムが記載されてい
る。
【0006】上記先行技術は、いずれもヒアルロン酸の
安定化(低分子化の抑制)を主目的としているが、pH
変化を抑制するという技術思想については記載もないし
示唆もない。
安定化(低分子化の抑制)を主目的としているが、pH
変化を抑制するという技術思想については記載もないし
示唆もない。
【0007】また酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン
酸、グリシン、リンゴ酸及び乳酸からなる物質群から選
ばれる1又は2以上の物質またはその薬学的に許容され
る塩をヒアルロン酸に共存させた組成物や、これらの物
質をヒアルロン酸含有組成物のpH変化抑制剤として用
いることについて記載も示唆もない。
酸、グリシン、リンゴ酸及び乳酸からなる物質群から選
ばれる1又は2以上の物質またはその薬学的に許容され
る塩をヒアルロン酸に共存させた組成物や、これらの物
質をヒアルロン酸含有組成物のpH変化抑制剤として用
いることについて記載も示唆もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特に医薬品としてヒア
ルロン酸製剤を提供するためには、ヒアルロン酸製剤の
長期保存による種々の変化を極力抑え、ヒアルロン酸製
剤製造時の物性を極力維持せしめることが望まれる。
ルロン酸製剤を提供するためには、ヒアルロン酸製剤の
長期保存による種々の変化を極力抑え、ヒアルロン酸製
剤製造時の物性を極力維持せしめることが望まれる。
【0009】第1に、ヒアルロン酸は長期保存によって
低分子化するため、その低分子化が抑制された安定なヒ
アルロン酸製剤を提供することが望まれてきており、こ
れについては前記したような先行技術が存在する。加え
て、長期保存によるpHの変化が極めて少ないヒアルロ
ン酸製剤が提供できれば、長期保存後であってもヒアル
ロン酸製剤製造時の物性にさらに近い状態でヒアルロン
酸製剤が提供できる。
低分子化するため、その低分子化が抑制された安定なヒ
アルロン酸製剤を提供することが望まれてきており、こ
れについては前記したような先行技術が存在する。加え
て、長期保存によるpHの変化が極めて少ないヒアルロ
ン酸製剤が提供できれば、長期保存後であってもヒアル
ロン酸製剤製造時の物性にさらに近い状態でヒアルロン
酸製剤が提供できる。
【0010】特に低濃度のヒアルロン酸溶液製剤を提供
し保存する場合においては、低分子化等の物性変化が非
常に起こりやすいため、ヒアルロン酸溶液製剤製造時の
物性に極力近い状態のまま保持せしめることが特に必要
とされる。
し保存する場合においては、低分子化等の物性変化が非
常に起こりやすいため、ヒアルロン酸溶液製剤製造時の
物性に極力近い状態のまま保持せしめることが特に必要
とされる。
【0011】本発明の目的は、長期保存してもヒアルロ
ン酸が安定に保持、すなわち低分子化が極力抑制され、
かつpH変化が極めて少ないヒアルロン酸含有組成物を
提供することである。
ン酸が安定に保持、すなわち低分子化が極力抑制され、
かつpH変化が極めて少ないヒアルロン酸含有組成物を
提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒアルロ
ン酸含有組成物に共存せしめる物質について鋭意検討を
行った。ヒアルロン酸にクエン酸を共存させた公知の組
成物では、長期保存によるヒアルロン酸の低分子化は抑
制されるものの、pHは比較的大きく変化することが示
された。
ン酸含有組成物に共存せしめる物質について鋭意検討を
行った。ヒアルロン酸にクエン酸を共存させた公知の組
成物では、長期保存によるヒアルロン酸の低分子化は抑
制されるものの、pHは比較的大きく変化することが示
された。
【0013】さらに検討を行った結果、ヒアルロン酸に
添加剤、具体的には酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミ
ン酸、グリシン、リンゴ酸又は乳酸を共存させると、長
期保存によるヒアルロン酸の低分子化が抑制されるだけ
でなく、pHの変化も顕著に抑制されることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
添加剤、具体的には酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミ
ン酸、グリシン、リンゴ酸又は乳酸を共存させると、長
期保存によるヒアルロン酸の低分子化が抑制されるだけ
でなく、pHの変化も顕著に抑制されることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち本発明は、下記のヒアルロン酸含
有組成物(以下、単に「本発明組成物」という)であ
る。
有組成物(以下、単に「本発明組成物」という)であ
る。
【0015】(A)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩と、下記物質群から選ばれる1又は2以上の物
質またはその薬学的に許容される塩とを含有するヒアル
ロン酸含有組成物。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
される塩と、下記物質群から選ばれる1又は2以上の物
質またはその薬学的に許容される塩とを含有するヒアル
ロン酸含有組成物。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
【0016】(B)下記の性質を有する溶液組成物である
上記(A)記載のヒアルロン酸含有組成物。 (性質) (1)組成物のpHが6〜8である。 (2)組成物を遮光かつ60℃の条件下で2週間保存した
ときに、下記の性質を有する。 (a)保存開始時のpHを基準としたとき、保存後のpH
の変化が±0.1以下である。 (b)保存開始時のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の重量平均分子量を100%とした時、保存後
の当該重量平均分子量の相対値が70%以上である。
上記(A)記載のヒアルロン酸含有組成物。 (性質) (1)組成物のpHが6〜8である。 (2)組成物を遮光かつ60℃の条件下で2週間保存した
ときに、下記の性質を有する。 (a)保存開始時のpHを基準としたとき、保存後のpH
の変化が±0.1以下である。 (b)保存開始時のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の重量平均分子量を100%とした時、保存後
の当該重量平均分子量の相対値が70%以上である。
【0017】(C)組成物中のヒアルロン酸またはその薬
学的に許容される塩の重量平均分子量が50万〜400
万である、上記(A)又は(B)記載の組成物。
学的に許容される塩の重量平均分子量が50万〜400
万である、上記(A)又は(B)記載の組成物。
【0018】(D)組成物中のヒアルロン酸またはその薬
学的に許容される塩の濃度が0.05〜2.5%(W/V)
である、上記(A)〜(C)のいずれか1つに記載の組成物。
学的に許容される塩の濃度が0.05〜2.5%(W/V)
である、上記(A)〜(C)のいずれか1つに記載の組成物。
【0019】(E)組成物中のヒアルロン酸またはその薬
学的に許容される塩の濃度が0.05〜0.4%(W/V)
である、上記(D)記載の組成物。
学的に許容される塩の濃度が0.05〜0.4%(W/V)
である、上記(D)記載の組成物。
【0020】(F)組成物中の下記物質群から選ばれる1
又は2以上の物質またはその薬学的に許容される塩の濃
度が0.01〜10%である、上記(A)〜(E)のいずれか
1つに記載の組成物。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
又は2以上の物質またはその薬学的に許容される塩の濃
度が0.01〜10%である、上記(A)〜(E)のいずれか
1つに記載の組成物。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
【0021】(G)組成物中のエンドトキシン濃度が、
0.1EU/mL以下である、上記(A)〜(F)のいずれか
1つに記載の組成物。
0.1EU/mL以下である、上記(A)〜(F)のいずれか
1つに記載の組成物。
【0022】(H)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩が、ヒアルロン酸ナトリウムである、上記(A)
〜(G)のいずれか1つに記載の組成物。
される塩が、ヒアルロン酸ナトリウムである、上記(A)
〜(G)のいずれか1つに記載の組成物。
【0023】また本発明は、下記のヒアルロン酸含有溶
液のpH変化抑制剤(以下、単に「本発明抑制剤」とい
う)である。
液のpH変化抑制剤(以下、単に「本発明抑制剤」とい
う)である。
【0024】(I)下記物質群から選ばれる1又は2以上
の物質またはその薬学的に許容される塩からなる、ヒア
ルロン酸含有溶液のpH変化抑制剤。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
の物質またはその薬学的に許容される塩からなる、ヒア
ルロン酸含有溶液のpH変化抑制剤。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明組成物についてさら
に詳細に説明する。
に詳細に説明する。
【0026】<1>ヒアルロン酸またはその薬学的に許
容される塩 本発明組成物で用いるヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の由来は特に限定されず、鶏冠、臍帯、ヒ
アルロン酸を産生する微生物等から分離、精製されたヒ
アルロン酸を用いることができる。特に、高純度に精製
され、医薬として混入が許されない物質を実質的に含ま
ないものが好ましい。
容される塩 本発明組成物で用いるヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の由来は特に限定されず、鶏冠、臍帯、ヒ
アルロン酸を産生する微生物等から分離、精製されたヒ
アルロン酸を用いることができる。特に、高純度に精製
され、医薬として混入が許されない物質を実質的に含ま
ないものが好ましい。
【0027】ヒアルロン酸の薬学的に許容される塩とし
ては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウ
ム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩等の無機塩基との塩、又はジエタノールアミン
塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基
との塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることがで
きる。なかでもヒアルロン酸ナトリウムであることが好
ましい。
ては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウ
ム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩等の無機塩基との塩、又はジエタノールアミン
塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基
との塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることがで
きる。なかでもヒアルロン酸ナトリウムであることが好
ましい。
【0028】ヒアルロン酸またはその薬学的に許容され
る塩の重量平均分子量は、特に限定されないが、50万
〜400万程度が好ましく、60万〜250万程度がよ
り好ましく、60万〜120万程度がさらに好ましい。
る塩の重量平均分子量は、特に限定されないが、50万
〜400万程度が好ましく、60万〜250万程度がよ
り好ましく、60万〜120万程度がさらに好ましい。
【0029】本発明組成物中のヒアルロン酸またはその
薬学的に許容される塩の濃度も特に限定されないが、溶
液組成物として提供する場合は0.05〜2.5%(W/
V)であることが好ましい。また本発明組成物は特に低濃
度のヒアルロン酸含有溶液組成物において非常に有用で
あることから、本発明組成物中を溶液組成物として提供
する場合のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される
塩の濃度は0.05〜0.8%(W/V)であるものがより
好ましく、0.05〜0.4%(W/V)であるものが特に
好ましい。
薬学的に許容される塩の濃度も特に限定されないが、溶
液組成物として提供する場合は0.05〜2.5%(W/
V)であることが好ましい。また本発明組成物は特に低濃
度のヒアルロン酸含有溶液組成物において非常に有用で
あることから、本発明組成物中を溶液組成物として提供
する場合のヒアルロン酸またはその薬学的に許容される
塩の濃度は0.05〜0.8%(W/V)であるものがより
好ましく、0.05〜0.4%(W/V)であるものが特に
好ましい。
【0030】なおヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の誘導体も、本発明において用いることができ
る。
される塩の誘導体も、本発明において用いることができ
る。
【0031】<2>添加剤 本発明組成物で用いる添加剤は、酒石酸、コハク酸、酢
酸、グルタミン酸、グリシン、リンゴ酸及び乳酸からな
る群から選ばれる1又は2以上の物質若しくはその薬学
的に許容される塩であり、本発明組成物中のヒアルロン
酸またはその薬学的に許容される塩を安定化(低分子化
を抑制)し、本発明組成物のpH変化を抑制する作用を
有する。この作用は、公知の添加剤であるクエン酸ナト
リウムに比して顕著である。なお後述の実施例に記載さ
れている低分子化抑制およびpH変化抑制の結果からみ
ると、これらの添加剤の中でも乳酸、グルタミン酸、酒
石酸、リンゴ酸またはコハク酸が好ましく、特に乳酸ま
たはグルタミン酸が好ましい。
酸、グルタミン酸、グリシン、リンゴ酸及び乳酸からな
る群から選ばれる1又は2以上の物質若しくはその薬学
的に許容される塩であり、本発明組成物中のヒアルロン
酸またはその薬学的に許容される塩を安定化(低分子化
を抑制)し、本発明組成物のpH変化を抑制する作用を
有する。この作用は、公知の添加剤であるクエン酸ナト
リウムに比して顕著である。なお後述の実施例に記載さ
れている低分子化抑制およびpH変化抑制の結果からみ
ると、これらの添加剤の中でも乳酸、グルタミン酸、酒
石酸、リンゴ酸またはコハク酸が好ましく、特に乳酸ま
たはグルタミン酸が好ましい。
【0032】上記添加剤の薬学的に許容される塩として
は、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウ
ム塩等の無機塩基との塩、又はジエタノールアミン塩、
シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との
塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることができ
る。
は、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウ
ム塩等の無機塩基との塩、又はジエタノールアミン塩、
シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との
塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることができ
る。
【0033】上記添加剤は、生理学上許容され、医薬と
して使用できる程度の純度であり、かつ医薬として混入
が許されない物質を実質的に含まないものが好ましい。
して使用できる程度の純度であり、かつ医薬として混入
が許されない物質を実質的に含まないものが好ましい。
【0034】上記添加剤は、活性炭処理等によりエンド
トキシン濃度を低減させておくことが好ましい。
トキシン濃度を低減させておくことが好ましい。
【0035】本発明組成物中の上記添加剤の濃度も特に
限定されないが、溶液組成物として提供する場合は0.
01〜10%(W/V)であることが好ましく、0.01〜
1%(W/V)であることがより好ましく、0.1〜1%(W/
V)であることが極めて好ましい。
限定されないが、溶液組成物として提供する場合は0.
01〜10%(W/V)であることが好ましく、0.01〜
1%(W/V)であることがより好ましく、0.1〜1%(W/
V)であることが極めて好ましい。
【0036】本発明組成物で用いる上記添加剤は、その
まま本発明抑制剤の有効成分として用いることができ、
これにより本発明抑制剤が提供される。
まま本発明抑制剤の有効成分として用いることができ、
これにより本発明抑制剤が提供される。
【0037】本発明組成物は、上述のヒアルロン酸また
はその薬学的に許容される塩と、添加剤とを混合するこ
とによって製造することができる。なお、本発明組成物
を溶液組成物として提供する場合には、上述のヒアルロ
ン酸またはその薬学的に許容される塩および添加剤を、
生理学的に許容され、かつ上述のヒアルロン酸またはそ
の薬学的に許容される塩および添加剤を溶解可能な溶媒
に溶解することによって製造することができる。上述の
ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩および添
加剤を溶解可能な溶媒としては、例えば水(蒸留水)や生
理食塩液等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
はその薬学的に許容される塩と、添加剤とを混合するこ
とによって製造することができる。なお、本発明組成物
を溶液組成物として提供する場合には、上述のヒアルロ
ン酸またはその薬学的に許容される塩および添加剤を、
生理学的に許容され、かつ上述のヒアルロン酸またはそ
の薬学的に許容される塩および添加剤を溶解可能な溶媒
に溶解することによって製造することができる。上述の
ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩および添
加剤を溶解可能な溶媒としては、例えば水(蒸留水)や生
理食塩液等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0038】なお本発明組成物を溶液組成物として製造
する際には、本発明組成物のpHが6〜8となるよう
に、必要に応じて適宜pHを調整する必要がある。もち
ろん、上述のヒアルロン酸またはその薬学的に許容され
る塩および添加剤を溶媒に溶解させた時のpHが既に6
〜8の範囲にあるならば、敢えてpHを調整する必要は
ない。しかしこの場合でも、pH6〜8の範囲における
所望の特定pHに調整するために、必要に応じて適宜p
Hを調整することもできる。
する際には、本発明組成物のpHが6〜8となるよう
に、必要に応じて適宜pHを調整する必要がある。もち
ろん、上述のヒアルロン酸またはその薬学的に許容され
る塩および添加剤を溶媒に溶解させた時のpHが既に6
〜8の範囲にあるならば、敢えてpHを調整する必要は
ない。しかしこの場合でも、pH6〜8の範囲における
所望の特定pHに調整するために、必要に応じて適宜p
Hを調整することもできる。
【0039】pHの調整方法は特に限定されないが、例
えば後述の緩衝剤を適宜添加してpHを調整する方法が
挙げられる。
えば後述の緩衝剤を適宜添加してpHを調整する方法が
挙げられる。
【0040】本発明組成物を溶液組成物として製造する
際には、本発明組成物の生理食塩液に対する浸透圧比が
1.0〜1.2となるように、必要に応じて適宜浸透圧
比を調整することが好ましい。もちろん、上述のヒアル
ロン酸またはその薬学的に許容される塩および添加剤を
溶媒に溶解させた時の生理食塩液に対する浸透圧比が既
に1.0〜1.2の範囲にあるならば、敢えて浸透圧比
を調整する必要はない。しかしこの場合でも、前記浸透
圧比の範囲における所望の特定浸透圧比に調整するため
に、必要に応じて適宜浸透圧比を調整することもでき
る。
際には、本発明組成物の生理食塩液に対する浸透圧比が
1.0〜1.2となるように、必要に応じて適宜浸透圧
比を調整することが好ましい。もちろん、上述のヒアル
ロン酸またはその薬学的に許容される塩および添加剤を
溶媒に溶解させた時の生理食塩液に対する浸透圧比が既
に1.0〜1.2の範囲にあるならば、敢えて浸透圧比
を調整する必要はない。しかしこの場合でも、前記浸透
圧比の範囲における所望の特定浸透圧比に調整するため
に、必要に応じて適宜浸透圧比を調整することもでき
る。
【0041】浸透圧比の調整方法は特に限定されない
が、例えば後述の緩衝剤、塩化ナトリウム等の塩類、糖
類等を適宜添加する方法等が挙げられる。
が、例えば後述の緩衝剤、塩化ナトリウム等の塩類、糖
類等を適宜添加する方法等が挙げられる。
【0042】このようにして得られた溶液組成物として
の本発明組成物は、さらに活性炭に接触させることによ
って、エンドトキシン濃度を0.1EU/mL以下とす
ることが好ましい。
の本発明組成物は、さらに活性炭に接触させることによ
って、エンドトキシン濃度を0.1EU/mL以下とす
ることが好ましい。
【0043】<3>本発明組成物の性質 本発明組成物は、上述したヒアルロン酸またはその薬学
的に許容される塩と、上述した添加剤とを含有している
組成物であり、溶液組成物とした場合に下記の性質を有
していることを特徴とする。 (1)組成物のpHが6〜8である。 (2)組成物を遮光かつ60℃の条件下で2週間保存した
ときに、下記の性質を有する。 (a)保存開始時のpHを基準としたとき、保存後のpH
の変化が±0.1以下である。 (b)保存開始時のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の重量平均分子量を100%とした時、保存後
の当該重量平均分子量の相対値が70%以上である。
的に許容される塩と、上述した添加剤とを含有している
組成物であり、溶液組成物とした場合に下記の性質を有
していることを特徴とする。 (1)組成物のpHが6〜8である。 (2)組成物を遮光かつ60℃の条件下で2週間保存した
ときに、下記の性質を有する。 (a)保存開始時のpHを基準としたとき、保存後のpH
の変化が±0.1以下である。 (b)保存開始時のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の重量平均分子量を100%とした時、保存後
の当該重量平均分子量の相対値が70%以上である。
【0044】溶液組成物としての本発明組成物のpH
は、pHメーターを用いる等、当業者に周知慣用の技術
を用いて測定することができる。
は、pHメーターを用いる等、当業者に周知慣用の技術
を用いて測定することができる。
【0045】また、本発明組成物中のヒアルロン酸また
はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、極限
粘度からLaurent式等を用いて求める方法や、光散乱法
等、当業者に周知慣用の技術を用いて測定することがで
きる。
はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、極限
粘度からLaurent式等を用いて求める方法や、光散乱法
等、当業者に周知慣用の技術を用いて測定することがで
きる。
【0046】なお、溶液組成物としての本発明組成物中
のエンドトキシン濃度は、0.1EU/mL以下である
ことが好ましい。本発明組成物中のエンドトキシン濃度
は、当業者に周知慣用のエンドトキシンの測定法を用い
て測定することができるが、カブトガニ・アメボサイト
・ライセート成分を用いるリムルス試験法が好ましい。
なおEU(エンドトキシン単位)は、日本工業規格 生
化学試薬通則(JISK 8008)に従って測定・算
出できる。
のエンドトキシン濃度は、0.1EU/mL以下である
ことが好ましい。本発明組成物中のエンドトキシン濃度
は、当業者に周知慣用のエンドトキシンの測定法を用い
て測定することができるが、カブトガニ・アメボサイト
・ライセート成分を用いるリムルス試験法が好ましい。
なおEU(エンドトキシン単位)は、日本工業規格 生
化学試薬通則(JISK 8008)に従って測定・算
出できる。
【0047】また溶液組成物としての本発明組成物の生
理食塩液に対する浸透圧比は1.0〜1.2であること
が好ましい。
理食塩液に対する浸透圧比は1.0〜1.2であること
が好ましい。
【0048】なお本発明組成物には、生理学的に許容さ
れ、本発明組成物中のヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の低分子化を引き起こさず、本発明組成物
の長期保存によるpH変化を惹起せず、かつ上述した本
発明組成物の性質を維持する限りにおいて、さらに他の
物質を適宜添加してもよい。このような物質としては、
医薬担体や薬理活性成分等を挙げることができる。
れ、本発明組成物中のヒアルロン酸またはその薬学的に
許容される塩の低分子化を引き起こさず、本発明組成物
の長期保存によるpH変化を惹起せず、かつ上述した本
発明組成物の性質を維持する限りにおいて、さらに他の
物質を適宜添加してもよい。このような物質としては、
医薬担体や薬理活性成分等を挙げることができる。
【0049】医薬担体としては、慣用の賦形剤、結合
剤、滑沢剤、着色剤、崩壊剤、緩衝剤、等張化剤、保存
剤、無痛化剤、界面活性剤、乳化剤、溶解補助剤、懸濁
化剤、分散剤、基剤、粘着剤等、通常医薬に用いられる
ものが例示される。これら医薬担体の中でも、本発明組
成物の長期保存によるpH変化をより一層抑制するため
に、緩衝剤を添加することが好ましい。緩衝剤は、pH
6〜8の範囲で緩衝作用を発揮するものが好ましく、例
えば、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二
カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナト
リウム、アミノ酢酸、安息香酸ナトリウム、エタノール
アミン、アルギニン、エチレンジアミンまたはこれらの
混合物が例示されるが、これらに限定されるものではな
い。
剤、滑沢剤、着色剤、崩壊剤、緩衝剤、等張化剤、保存
剤、無痛化剤、界面活性剤、乳化剤、溶解補助剤、懸濁
化剤、分散剤、基剤、粘着剤等、通常医薬に用いられる
ものが例示される。これら医薬担体の中でも、本発明組
成物の長期保存によるpH変化をより一層抑制するため
に、緩衝剤を添加することが好ましい。緩衝剤は、pH
6〜8の範囲で緩衝作用を発揮するものが好ましく、例
えば、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二
カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナト
リウム、アミノ酢酸、安息香酸ナトリウム、エタノール
アミン、アルギニン、エチレンジアミンまたはこれらの
混合物が例示されるが、これらに限定されるものではな
い。
【0050】薬理活性成分としては、コンドロイチン硫
酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタ
ン硫酸等のグリコサミノグリカン等が挙げられる。
酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタ
ン硫酸等のグリコサミノグリカン等が挙げられる。
【0051】本発明組成物は、そのまま医薬品として投
与するための最終剤形として用いることができ、あるい
は他の最終剤形医薬品の原料として使用することもでき
る。
与するための最終剤形として用いることができ、あるい
は他の最終剤形医薬品の原料として使用することもでき
る。
【0052】本発明組成物をそのまま医薬品として投与
する場合の最終剤形は、投与方法、投与部位等に応じて
当業者が適宜設定することができるが、例えば注射剤、
点眼剤、外用剤等が例示される。この場合、本発明組成
物をアンプル、バイアル、注射用シリンジ、点眼用容
器、外用剤用容器等の適当な容器に充填・密封し、その
まま流通させあるいは保存して投与に供することができ
る。
する場合の最終剤形は、投与方法、投与部位等に応じて
当業者が適宜設定することができるが、例えば注射剤、
点眼剤、外用剤等が例示される。この場合、本発明組成
物をアンプル、バイアル、注射用シリンジ、点眼用容
器、外用剤用容器等の適当な容器に充填・密封し、その
まま流通させあるいは保存して投与に供することができ
る。
【0053】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、この実施例は本発明の一例を示すものであ
り、これに限定されるものではない。
説明するが、この実施例は本発明の一例を示すものであ
り、これに限定されるものではない。
【0054】まず、本実施例において共通して用いた方
法等について説明する。
法等について説明する。
【0055】下記処方により、ヒアルロン酸含有組成物
(溶液組成物)を製造した。 ヒアルロン酸ナトリウム (鶏冠由来、重量平均分子量82万〜95万) 0.08% 塩化ナトリウム 0.9% リン酸二水素ナトリウム 0.1mM リン酸水素二ナトリウム 1.5mM 添加剤 0.6%
(溶液組成物)を製造した。 ヒアルロン酸ナトリウム (鶏冠由来、重量平均分子量82万〜95万) 0.08% 塩化ナトリウム 0.9% リン酸二水素ナトリウム 0.1mM リン酸水素二ナトリウム 1.5mM 添加剤 0.6%
【0056】このヒアルロン酸含有組成物を遮光かつ6
0℃の条件下で2週間保存して、保存開始時、1週間目
及び2週間目のそれぞれの時点における重量平均分子量
及びpHを測定した。なお重量平均分子量は、第十三改
正日本薬局方一般試験法第36項粘度試験法に従って極
限粘度を測定し、Laurentらの式により算出した。また
保存開始時の重量平均分子量を100%とした時の相対
値を算出した。
0℃の条件下で2週間保存して、保存開始時、1週間目
及び2週間目のそれぞれの時点における重量平均分子量
及びpHを測定した。なお重量平均分子量は、第十三改
正日本薬局方一般試験法第36項粘度試験法に従って極
限粘度を測定し、Laurentらの式により算出した。また
保存開始時の重量平均分子量を100%とした時の相対
値を算出した。
【0057】またpHは、ガラス電極によるpH計によ
って測定し、保存開始時のpHとの差を算出した。
って測定し、保存開始時のpHとの差を算出した。
【0058】(実施例1)添加剤として、未添加(添加
剤を加えない)、クエン酸ナトリウム(公知)、酒石酸ナ
トリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン
ゴ酸ナトリウムおよびエデト酸ナトリウム(エチレンジ
アミン四酢酸;EDTA)をそれぞれ用いて、前述の処方で
ヒアルロン酸含有組成物を製造し、前述の条件で保存し
て、前述の方法で重量平均分子量及びpHを測定・算出
した。
剤を加えない)、クエン酸ナトリウム(公知)、酒石酸ナ
トリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン
ゴ酸ナトリウムおよびエデト酸ナトリウム(エチレンジ
アミン四酢酸;EDTA)をそれぞれ用いて、前述の処方で
ヒアルロン酸含有組成物を製造し、前述の条件で保存し
て、前述の方法で重量平均分子量及びpHを測定・算出
した。
【0059】重量平均分子量の結果を表1に、pHの結
果を表2に示す。なお表の中で、開始時、1Wおよび2
Wは、それぞれ保存開始時、1週間目および2週間目を
意味する。またNDは測定・算出していないことを意味
する。
果を表2に示す。なお表の中で、開始時、1Wおよび2
Wは、それぞれ保存開始時、1週間目および2週間目を
意味する。またNDは測定・算出していないことを意味
する。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】(実施例2)添加剤として、未添加(添加
剤を加えない)、クエン酸ナトリウム(公知)、L−グル
タミン酸、グリシンおよび乳酸ナトリウムをそれぞれ用
いて、前述の処方でヒアルロン酸含有組成物を製造し、
前述の条件で保存して、前述の方法で重量平均分子量及
びpHを測定・算出した。
剤を加えない)、クエン酸ナトリウム(公知)、L−グル
タミン酸、グリシンおよび乳酸ナトリウムをそれぞれ用
いて、前述の処方でヒアルロン酸含有組成物を製造し、
前述の条件で保存して、前述の方法で重量平均分子量及
びpHを測定・算出した。
【0063】重量平均分子量の結果を表3に、pHの結
果を表4に示す。
果を表4に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】以上の結果から、添加剤を添加しない(未
添加)場合は、pHの変化は少ないが分子量の低下が大
きいことが明らかとなった。また添加剤として公知のク
エン酸ナトリウムを用いた場合は分子量の低下は少ない
がpHの変化が大きいことが明らかとなった。また添加
剤としてポリカルボン酸の一種であるエデト酸ナトリウ
ムを用いた場合は、pHの変化は少ないが分子量の低下
が大きいことが明らかとなった。
添加)場合は、pHの変化は少ないが分子量の低下が大
きいことが明らかとなった。また添加剤として公知のク
エン酸ナトリウムを用いた場合は分子量の低下は少ない
がpHの変化が大きいことが明らかとなった。また添加
剤としてポリカルボン酸の一種であるエデト酸ナトリウ
ムを用いた場合は、pHの変化は少ないが分子量の低下
が大きいことが明らかとなった。
【0067】それに対し、添加剤として酒石酸ナトリウ
ム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、L−グルタ
ミン酸、グリシン、リンゴ酸ナトリウムまたは乳酸ナト
リウムをそれぞれ用いた場合は、分子量の低下も少な
く、またpHの変化も少ないことが明らかとなった。
ム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、L−グルタ
ミン酸、グリシン、リンゴ酸ナトリウムまたは乳酸ナト
リウムをそれぞれ用いた場合は、分子量の低下も少な
く、またpHの変化も少ないことが明らかとなった。
【0068】このように、ポリカルボン酸(塩)の中で
も、特定のポリカルボン酸(塩)のみがヒアルロン酸の低
分子化抑制とpH変化抑制の両方の効果を兼ね備えてい
ることが本発明者らにより初めて明らかにされた。
も、特定のポリカルボン酸(塩)のみがヒアルロン酸の低
分子化抑制とpH変化抑制の両方の効果を兼ね備えてい
ることが本発明者らにより初めて明らかにされた。
【0069】
【発明の効果】本発明組成物は、ヒアルロン酸またはそ
の薬学的に許容される塩と、添加剤として下記物質群か
ら選ばれる1又は2以上の物質またはその薬学的に許容
される塩とを含有している。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
の薬学的に許容される塩と、添加剤として下記物質群か
ら選ばれる1又は2以上の物質またはその薬学的に許容
される塩とを含有している。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸
【0070】このような組成物構成を選択することによ
り、特に溶液組成物形態において長期保存によるヒアル
ロン酸の低分子化及びpH変化を公知の組成物に比して
顕著に抑制でき、これにより、長期保存後であっても組
成物製造時の物性に極めて近い組成物を提供することが
できる。また本発明組成物の構成を選択することによ
り、本発明組成物を溶液組成物として製造する際、ヒア
ルロン酸を溶媒と混合して溶解させる時のヒアルロン酸
の低分子化を抑制することができる。したがって本発明
組成物は、特に低分子化等の物性変化が起こりやすい低
濃度のヒアルロン酸溶液において極めて有用である。
り、特に溶液組成物形態において長期保存によるヒアル
ロン酸の低分子化及びpH変化を公知の組成物に比して
顕著に抑制でき、これにより、長期保存後であっても組
成物製造時の物性に極めて近い組成物を提供することが
できる。また本発明組成物の構成を選択することによ
り、本発明組成物を溶液組成物として製造する際、ヒア
ルロン酸を溶媒と混合して溶解させる時のヒアルロン酸
の低分子化を抑制することができる。したがって本発明
組成物は、特に低分子化等の物性変化が起こりやすい低
濃度のヒアルロン酸溶液において極めて有用である。
【0071】このような本発明組成物を用いることによ
り、長期保存が可能、取扱いが容易、安全かつ有効な医
薬品を提供することができる。
り、長期保存が可能、取扱いが容易、安全かつ有効な医
薬品を提供することができる。
【0072】また、本発明抑制剤は上記添加剤からなる
ヒアルロン酸含有溶液のpH変化抑制剤であり、ヒアル
ロン酸含有溶液のpH変化のみならず低分子化も顕著に
抑制することができる。
ヒアルロン酸含有溶液のpH変化抑制剤であり、ヒアル
ロン酸含有溶液のpH変化のみならず低分子化も顕著に
抑制することができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩と、下記物質群から選ばれる1又は2以上の物質
またはその薬学的に許容される塩とを含有するヒアルロ
ン酸含有組成物。 (物質群)酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリ
シン、リンゴ酸、乳酸 - 【請求項2】 下記の性質を有する溶液組成物である請
求項1記載のヒアルロン酸含有組成物。 (性質) (1)組成物のpHが6〜8である。 (2)組成物を遮光かつ60℃の条件下で2週間保存した
ときに、下記の性質を有する。 (a)保存開始時のpHを基準としたとき、保存後のpH
の変化が±0.1以下である。 (b)保存開始時のヒアルロン酸またはその薬学的に許容
される塩の重量平均分子量を100%とした時、保存後
の当該重量平均分子量の相対値が70%以上である。 - 【請求項3】 組成物中のヒアルロン酸またはその薬学
的に許容される塩の重量平均分子量が50万〜400万
である、請求項1又は2記載の組成物。 - 【請求項4】 組成物中のヒアルロン酸またはその薬学
的に許容される塩の濃度が0.05〜2.5%(W/V)で
ある、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。 - 【請求項5】 組成物中のヒアルロン酸またはその薬学
的に許容される塩の濃度が0.05〜0.4%(W/V)で
ある、請求項4記載の組成物。 - 【請求項6】 組成物中の下記物質群から選ばれる1又
は2以上の物質またはその薬学的に許容される塩の濃度
が0.01〜10%である、請求項1〜5のいずれか1
項記載の組成物。 (物質群) 酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリシン、リ
ンゴ酸、乳酸 - 【請求項7】 組成物中のエンドトキシン濃度が、0.
1EU/mL以下である、請求項1〜6のいずれか1項
記載の組成物。 - 【請求項8】 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容さ
れる塩が、ヒアルロン酸ナトリウムである、請求項1〜
7のいずれか1項記載の組成物。 - 【請求項9】 下記物質群から選ばれる1又は2以上の
物質またはその薬学的に許容される塩からなる、ヒアル
ロン酸含有溶液のpH変化抑制剤。 (物質群) 酒石酸、コハク酸、酢酸、グルタミン酸、グリシン、リ
ンゴ酸、乳酸
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12271598A JPH11302197A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ヒアルロン酸安定化組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12271598A JPH11302197A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ヒアルロン酸安定化組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302197A true JPH11302197A (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=14842811
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12271598A Pending JPH11302197A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ヒアルロン酸安定化組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11302197A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005154305A (ja) * | 2003-11-21 | 2005-06-16 | Showa Yakuhin Kako Kk | ヒアルロン酸含有組成物の製造方法 |
US7807657B2 (en) | 2002-08-16 | 2010-10-05 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Separate type medical material |
JP2011152428A (ja) * | 2001-11-05 | 2011-08-11 | Seikagaku Kogyo Co Ltd | 上皮膨隆高維持用組成物 |
WO2012118194A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-07 | 電気化学工業株式会社 | 樹脂製バレルを有するシリンジ内にヒアルロン酸又はその塩を含む水溶液を充填してなるプレフィルドシリンジ |
WO2012118192A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-07 | 電気化学工業株式会社 | ヒアルロン酸またはその塩を含む水溶液 |
EP2540284A3 (en) * | 2011-06-30 | 2013-01-09 | DePuy Mitek, Inc. | Compositions and methods for stabilized polysaccaride formulations |
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US9682099B2 (en) | 2015-01-20 | 2017-06-20 | DePuy Synthes Products, Inc. | Compositions and methods for treating joints |
WO2017131130A1 (ja) | 2016-01-29 | 2017-08-03 | 生化学工業株式会社 | コンドロイチン硫酸及びヒアルロン酸を含有する安定化された水性組成物 |
US11090328B2 (en) | 2010-12-28 | 2021-08-17 | Medos International Sarl | Compositions and methods for treating joints |
-
1998
- 1998-04-17 JP JP12271598A patent/JPH11302197A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011152428A (ja) * | 2001-11-05 | 2011-08-11 | Seikagaku Kogyo Co Ltd | 上皮膨隆高維持用組成物 |
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US9561260B2 (en) | 2010-12-28 | 2017-02-07 | Depuy Mitek, Llc | Compositions for treating joints comprising bone morphogenetic protein and hyaluronic acid |
US8927491B2 (en) | 2010-12-28 | 2015-01-06 | Depuy Mitek, Llc | Methods for forming compositions for treating joints comprising bone morphogenetic protein and hyaluronic acid |
CN103442721A (zh) * | 2011-03-02 | 2013-12-11 | 电气化学工业株式会社 | 含透明质酸或透明质酸盐的水溶液 |
JPWO2012118192A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2014-07-07 | 電気化学工業株式会社 | ヒアルロン酸またはその塩を含む水溶液 |
JP5957440B2 (ja) * | 2011-03-02 | 2016-07-27 | デンカ株式会社 | ヒアルロン酸またはその塩を含む水溶液 |
WO2012118192A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-07 | 電気化学工業株式会社 | ヒアルロン酸またはその塩を含む水溶液 |
WO2012118194A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-07 | 電気化学工業株式会社 | 樹脂製バレルを有するシリンジ内にヒアルロン酸又はその塩を含む水溶液を充填してなるプレフィルドシリンジ |
EP2540284A3 (en) * | 2011-06-30 | 2013-01-09 | DePuy Mitek, Inc. | Compositions and methods for stabilized polysaccaride formulations |
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US10532069B2 (en) | 2015-01-20 | 2020-01-14 | DePuy Synthes Products, Inc. | Compositions and methods for treating joints |
WO2017131130A1 (ja) | 2016-01-29 | 2017-08-03 | 生化学工業株式会社 | コンドロイチン硫酸及びヒアルロン酸を含有する安定化された水性組成物 |
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