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JPH11246639A - 含フッ素樹脂水性分散体の製造方法 - Google Patents

含フッ素樹脂水性分散体の製造方法

Info

Publication number
JPH11246639A
JPH11246639A JP6941198A JP6941198A JPH11246639A JP H11246639 A JPH11246639 A JP H11246639A JP 6941198 A JP6941198 A JP 6941198A JP 6941198 A JP6941198 A JP 6941198A JP H11246639 A JPH11246639 A JP H11246639A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
aqueous dispersion
monomer
fluororesin
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6941198A
Other languages
English (en)
Inventor
Etsuzo Marumoto
悦造 丸本
Akihito Iida
晃人 飯田
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP6941198A priority Critical patent/JPH11246639A/ja
Publication of JPH11246639A publication Critical patent/JPH11246639A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】光沢が高く、耐汚染性、耐候性および耐水性に
優れる塗膜を与える含フッ素樹脂水性分散体の製造方法
を提供する。 【解決手段】下記工程からなる製造方法。 工程(1):(a)フルオロオレフィンおよび(b)カ
ルボン酸ビニルエステル、アクリル酸シクロヘキシルエ
ステルおよびアクリル酸アルキルエステルより選ばれる
1種の単量体、またはこれらと(c)その他の共重合性
単量体を、水性媒体中で乳化重合して(a)10〜70
モル%、(b)20〜80モル%および(c)0〜30
モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工程。 工程(2):前記工程(1)の単量体(d)加水分解性
シリル基を有するエチレン性不飽和単量体を、上記工程
(1)で得られた含フッ素樹脂水性分散体の存在下に乳
化重合して(a)10〜70モル%、(b)20〜80
モル%、(c)0〜30モル%および(d)0.5〜2
0モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、耐水性お
よび耐汚染性に優れた塗膜を形成し、例えば、塗料など
に有用な含フッ素樹脂水性分散体の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】塗料の分野において、耐候性に優れる含
フッ素樹脂塗料が注目されており、クロロトリフルオロ
エチレン、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはアル
キルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエ
ーテルからなる含フッ素共重合体(特開昭57−341
07号公報)ならびにクロロトリフルオロエチレン、脂
肪族ビニルエステルおよびヒドロキシル基含有アリルエ
ーテルからなる含フッ素共重合体(特開昭61−576
09号公報)等の有機溶剤型塗料用の含フッ素共重合体
が提案されている。上記有機溶剤型含フッ素共重合体か
らなる塗料組成物からは高光沢な塗膜が得られ、しかも
塗工および塗膜の硬化が容易であるという利点がある
が、有機溶剤を多量に使用するため、人体への有害性や
環境汚染の問題がある。したがって、人体への有害性や
環境汚染の少ない水性の含フッ素樹脂塗料の開発が要望
されている。
【0003】一方、水性の含フッ素樹脂塗料に関して
は、既に幾つかの提案があり、例えば特開平2−225
550号公報には、フルオロオレフィン、ポリオキシエ
チレン基含有マクロモノマーおよびヒドロキシル基含有
モノマーからなる共重合体の水性分散体が開示されてい
る。しかしながら、塗料技術分野の全般にわたって共通
することであるが、水性塗料では、有機溶剤型塗料と同
等水準の優れた物性の塗膜を得ることは容易ではなく、
上記公報で開示された水性分散体においても、得られる
塗膜の光沢および硬度が不十分であり、現在のところ、
実用的な性能を有する水性含フッ素樹脂塗料は得られて
いない。
【0004】本発明者らは、フルオロオレフィン、カル
ボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を有
しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステル、アクリ
ル酸アルキルエステル、加水分解性シリル基を有するエ
チレン性不飽和単量体を構成成分とする含フッ素樹脂水
性分散体を使用した水性塗料から、光沢、耐汚染性、耐
候性および耐水性に優れる塗膜が得られることを見出
し、先に特許出願をしている。しかしながら、さらに検
討を重ねた結果、前記水性塗料の貯蔵安定性についてさ
らに改良の余地があることがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢が高
く、耐汚染性、耐候性および耐水性に優れる塗膜を与え
る含フッ素樹脂水性分散体の製造方法であって、長期保
管後の成膜性が低下せず、かつ貯蔵安定性に優れる含フ
ッ素樹脂水性分散体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、最初に特定の組成
からなる単量体を乳化重合し、さらに前記重合で得られ
た樹脂の水性分散体の存在下に、加水分解性シリル基含
有単量体を含む特定の単量体混合物を重合させるという
2段階重合により得られる含フッ素樹脂水性分散体が、
塗料用組成物として長期保管後も良好な成膜性を保持
し、かつ貯蔵安定性に優れることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、下記工程(1)およ
び工程(2)からなることを特徴とする含フッ素樹脂水
性分散体の製造方法である。 工程(1):(a)フルオロオレフィンおよび(b)カ
ルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を
有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよび
アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少
なくとも1種の単量体、またはこれらと(c)その他の
共重合性単量体からなる単量体混合物を、水性媒体中で
乳化重合して前記(a)〜(c)の単量体単位の割合
が、全単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜
70モル%、(b)20〜80モル%および(c)0〜
30モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工
程。 工程(2):前記(a)および(b)またはこれらと
(c)の単量体ならびに(d)加水分解性シリル基を有
するエチレン性不飽和単量体を、上記工程(1)で得ら
れた含フッ素樹脂水性分散体の存在下に乳化重合して前
記(a)〜(d)の単量体単位の割合が、全単量体単位
の合計量を基準として、(a)10〜70モル%、
(b)20〜80モル%,(c)0〜30モル%および
(d)0.5〜20モル%である含フッ素樹脂の水性分
散体を得る工程。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本発明における含フッ素樹脂水性分散体は前
記のとおり、工程(1)および工程(2)からなる2段
重合によって製造される。工程(1)の重合(以下、1
段目の重合という)に用いられる単量体のうち、(a)
フルオロオレフィンとしては、クロロトリフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプ
ロピレン等が挙げられ、好ましくは、取扱いの容易さの
点でクロロトリフルオロエチレンである。
【0009】1段目の重合における(b)単量体の1種
であるカルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニルおよ
びステアリン酸ビニル等の直鎖状脂肪族カルボン酸のビ
ニルエステル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2
−エチルヘキサン酸ビニル、炭素数が9の分岐状カルボ
ン酸の異性体混合物であるバーサティック酸ビニルエス
テルおよび炭素数が10の分岐状カルボン酸の異性体混
合物であるバーサティック酸ビニルエステル等の分岐状
カルボン酸のビニルエステル、ならびに安息香酸ビニル
等の芳香族カルボン酸ビニルエステルが挙げられる。こ
れらの中でも、直鎖または分岐状カルボン酸ビニルエス
テルが好ましい。
【0010】また、シクロヘキシル基に置換基を有して
も良いアクリル酸シクロヘキシルエステルとしては、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ターシャリーブチ
ルシクロヘキシル、アクリル酸ヒドロキシメチルシクロ
ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルメチル、アクリル
酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチルおよびアクリ
ル酸トリシクロデシニルなどが例示される。
【0011】さらに、アクリル酸アルキルエステルとし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、
アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、ア
クリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸
ステアリルなどが例示される。
【0012】また、上記(a)および(b)の単量体以
外に、これらと共重合可能な(c)その他の単量体(以
下、所望単量体という)を共重合させても良く、それら
の中でもカルボキシル基もしくはその塩、またはスルホ
ン基もしくはその塩などの親水性官能基を有するラジカ
ル重合性単量体(以下、親水性単量体という)が好まし
い。カルボキシル基を有する親水性単量体の具体例とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、フマル酸およびビニル酢酸などが挙
げられ、スルホン基を有する親水性単量体の具体例とし
ては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸などが挙げられる。上記単量体の塩として
は、アンモニア、アミンまたはアルカリ金属による塩が
好ましい。これらの中でも、好ましい親水性単量体とし
てアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸またはそれらの塩が挙げら
れる。
【0013】また、その他の所望単量体として、フッ化
ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニ
ル等のハロゲン化オレフィン;エチレン、プロピレン、
イソブチレン等のα−オレフィン;エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテ
ル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニ
ルエーテル、ヒドロキシエチルクロトネート、N−メチ
ロールアクリルアミド等の水酸基を有するエチレン性不
飽和単量体;メタクリルアミド、アクリルアミド、ジエ
チルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、アミノプロピルビニルエーテル等のア
ミノ基を有するエチレン性不飽和単量体;メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ネオペンチル、メ
タクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、
メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタ
クリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)
アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、
(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アク
リルヘプタデカフルオロオクチルエチル、メタクリル酸
シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル;酢
酸アリル、酪酸アリル、エチルアリルエーテル等が挙げ
られる。
【0014】前記1段目の重合で得られる含フッ素樹脂
における前記(a)〜(c)の単量体単位の割合は、全
単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜70モ
ル%、(b)20〜80モル%および(c)0〜30モ
ル%であり、(a)20〜60モル%、(b)30〜7
0モル%および(c)0〜15モル%であることが好ま
しい。(a)の割合が70モル%を越えると含フッ素樹
脂水性分散体の成膜性が低下し、10モル%未満である
と耐候性が低下する。(b)の割合が80モル%を越え
ると耐候性が低下し、20モル%未満であると塗膜の光
沢が低下する。
【0015】前記1段目の重合において1段目の重合に
おいて未反応で存在する(a)、(b)および(c)単
量体は、そのまま後記工程(2)の重合における単量体
として用いることも可能であるが、(a)以外の単量体
は、その仕込み量の90重量%以上が共重合しているこ
とが好ましい。
【0016】本発明における製造方法において、工程
(2)の重合(以下、2段目の重合という)における単
量体(a)〜(c)の単量体の具体例は、前記1段目の
重合に用いる単量体と同じである。2段目の重合におい
ては、前記単量体(a)および(b)以外に(d)加水
分解性シリル基を有するエチレン性不飽和単量体が必須
単量体であり、該加水分解性シリル基を有するエチレン
性不飽和単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルエチ
ルジエトキシシラン等のアルコキシビニルシラン;γー
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γー(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエト
キシシラン等のγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルアルコキシシラン;トリメトキシシリルプロピルビニ
ルエーテルおよびトリエトキシシリルプロピルビニルエ
ーテル等のアルコキシシリルアルキルビニルエーテル;
トリメトキシシリルデカン酸ビニルおよびトリエトキシ
シリルデカン酸ビニル等のアルコキシシリルカルボン酸
ビニルが挙げられる。これらの中でも、重合反応性およ
び安定性に優れる点で、加水分解性基としてエトキシ基
を有するアルコキシビニルシランおよびγ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルアルコキシシランが好まし
い。
【0017】前記2段目の重合で得られる含フッ素樹脂
における前記(a)〜(d)の単量体単位の割合は、全
単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜70モ
ル%、(b)20〜80モル%、(c)0〜30モル%
および(d)0.5〜20モル%であり、(a)20〜
60モル%、(b)30〜70モル%、(c)0〜15
モル%および(d)1〜15モル%であることが好まし
い。(a)の割合が70モル%を越えると含フッ素樹脂
水性分散体の成膜性が低下し、10モル%未満であると
耐候性が低下する。(b)の割合が80モル%を越える
と耐候性が低下し、20モル%未満であると塗膜の光沢
が低下する。また、(d)の割合が0.5モル%未満で
あると塗膜の硬度が劣り、20モル%を超えると、水性
分散体の安定性が低下する。
【0018】1段目の重合により得られる水性分散体中
の含フッ素樹脂(以下、1段目フッ素樹脂という)と2
段目の重合により得られる水性分散体中の含フッ素樹脂
(以下、2段目フッ素樹脂という)の好ましい重量比は
20:1〜1:10であり、さらに好ましくは10:1
〜1:5である。20:1の割合より2段目フッ素樹脂
が少ないと塗膜の耐水性が低下する恐れがあり、一方、
1:10より2段目フッ素樹脂が多いと含フッ素樹脂水
性分散体の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
【0019】1段目フッ素樹脂および2段目フッ素樹脂
の好ましいガラス転移温度は0℃〜80℃であり、さら
に好ましくは20℃〜80℃である。ガラス転移温度
が、0℃未満であると夏場の高温時に塗膜が軟化し、汚
染物質が付着し易くなり、一方、80℃を越えると塗膜
にクラックが発生し易い。
【0020】1段目フッ素樹脂および2段目フッ素樹脂
の好ましい分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量で1
0,000〜1,000,000である。含フッ素共重
合体の数平均分子量が10,000未満であると塗膜の
機械的強度が不足し易く、一方、1,000,000を
越えると、得られる塗料の成膜性に劣ることがある。
【0021】次に、1段目および2段目の重合方法につ
いて、概要を説明する。1段目の重合は、乳化剤の存在
下に水性媒体中において、ラジカル発生型重合開始剤の
存在下に、重合温度20〜100℃程度でかつ圧力1〜
200kg/cm2G で耐圧オートクレーブを用い、3〜40
時間の反応時間で行う。使用する単量体は、全量を初期
にバッチ仕込みしてもよいし、一部の単量体または、単
量体と乳化剤のプレエマルションを重合の進行とともに
逐次添加することもできる。必要に応じて、重合系に炭
酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウ
ムおよびリン酸2ナトリウムなどのpH調整剤を加えて
もよい。また、重合媒体の一部として、水以外の親水性
の有機溶媒を併用しても良い。
【0022】1段目の重合から2段目の重合に移るとき
は、1段目の重合で得られる含フッ素樹脂水性分散体を
反応器から取り出して、2段目の重合に用いる単量体と
同時に添加して重合させてもよいし、1段目の単量体の
消費量をガスクロマトグラフィー等で分析することによ
り反応経過を確認した後、1段目の重合で得られる含フ
ッ素樹脂水性分散体を反応器から取り出さず、そのまま
2段目の重合に用いる単量体を仕込んで2段目の重合を
行ってもよい。この時、1段目の重合において未反応の
単量体は2段目の重合に使用する単量体の一部となる。
また、2段目の重合条件は、基本的には1段目の重合条
件と同一で良い。なお、2段目の重合終了時には、通常
未反応のフルオロオレフィンが重合系に残存するので、
これをパージする。パージされた未反応のフルオロオレ
フィンは常法に従い、回収して再度重合に供することが
できる。
【0023】上記1段目および2段目の重合で使用され
る乳化剤としては、アニオン系乳化剤およびノニオン系
乳化剤の併用が好ましく、それらの好ましい使用量は、
仕込みの単量体全量100重量部当たり、アニオン系乳
化剤が0.5〜5重量部であり、ノニオン系乳化剤が2
〜8重量部である。アニオン系およびノニオン乳化剤の
使用量がそれぞれの好ましい上限量を越えると、得られ
る塗膜の耐水性が低下し易い。また、得られる塗膜の耐
水性の面から、乳化剤の使用量は少ないほど好ましい。
【0024】アニオン系乳化剤の具体例としては、ラウ
リル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル硫酸ナトリウムおよびアルカンス
ルホン酸ナトリウム等の長鎖アルキル基型アニオン系乳
化剤、ならびにパーフルオロオクタノイックアシッドカ
リウム塩またはそのアンモニウム塩およびパーフルオロ
オクタンスルホン酸ナトリウム塩またはそのアンモニウ
ム塩等のフルオロアルキル基型アニオン系乳化剤等が挙
げられる。これらの中でも、ラウリル硫酸アンモニウム
またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好まし
い。
【0025】ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂
肪酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、好ましく
はポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルである。
【0026】1段目および2段目の重合で使用されるラ
ジカル発生型重合開始剤の具体例としては、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパ
ーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイドおよびサクシニックアシッドパー
オキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニト
リル、アゾビスイソバレロニトリルおよびアゾビスアミ
ジノプロパン塩酸塩および2,2’−アゾビス[2−
(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン]ジハイドロクロライド等のアゾ化合物;ならびに過
硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムなどの無機過酸
化物等が挙げられる。また、レドックス系開始剤を使用
してもよく、その場合には、前記過酸化物とともに亜硫
酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ロンガリットお
よびアスコルビン酸等の還元剤を併用する。
【0027】前記1段目の重合および2段目の重合によ
り得られた含フッ素樹脂水性分散体は、芯部分と殻部分
を形成するいわゆるコアシェル型の樹脂が形成されてい
るものと推定され、2段目の重合で用いる加水分解性シ
リル基含有単量体を含む含フッ素樹脂がシェル部分を形
成するため、含フッ素樹脂水性分散体が長期保管後も良
好な成膜性を保持し、かつ貯蔵安定性に優れるものと予
想している。
【0028】本発明の製造方法で得られた含フッ素樹脂
水性分散体を塗料として使用するにあたり、該含フッ素
樹脂水性分散体にブチルセロソルブアセテート等の成膜
助剤を添加して塗料用組成物とすることが好ましく、さ
らに、顔料、金属粉および各種の塗料添加剤を配合する
ことができる。好ましい顔料としては、酸化チタン、酸
化鉄、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエローおよ
びキナクリドン等が挙げられ、好ましい金属粉として
は、ステンレス粉、アルミニウム粉およびブロンズ粉等
が挙げられる。また、その他の添加剤としては、顔料分
散剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、増粘剤、凍結防止
剤、防かび剤および防錆剤等が挙げられる。
【0029】前記塗料用組成物は、鋼板、ステンレス、
アルミ、コンクリート、モルタル、プラスチックおよび
木材等の基材に好適に塗布でき、塗装法としては、スプ
レー、はけ、ロールまたはバーコーター等のいずれも採
用できる。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。 <実施例1> 1段目の重合:攪拌機を備えた2リットルのオートクレ
ーブに純水570g、アニオン乳化剤としてドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、ノニオン乳化剤
としてエマルゲン906とエマルゲン930〔いずれも
花王(株)のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル〕をそれぞれ12.4g加え、次いでバーサティック
酸ビニル[シェル化学(株)製商品名ベオバ9、炭素数
が9の分岐脂肪族カルボン酸のビニルエステル](以
下、V−9という)148g、バーサティック酸ビニル
[シェル化学(株)製商品名ベオバ10、炭素数が10
の分岐脂肪族カルボン酸のビニルエステル](以下、V
−10という)148g、アクリル酸(以下、AAとい
う)7.3gおよびpH調整剤として炭酸水素アンモニ
ウムを8.0g仕込んだ。その後、脱気と窒素置換を3
回繰り返した後脱気し、クロロトリフルオロエチレン
(以下、CTFEという)280gを仕込み、40℃ま
で昇温し1時間攪拌した後、過硫酸アンモニウム2.7
gを水30gに溶解した開始剤水溶液および亜硫酸水素
ナトリウム0.51gを水20gに溶解した還元剤水溶
液を、5.5時間かけて圧入し、全体で7.5時間重合
を行った。
【0031】次いで、上記で得られた反応液の一部をガ
スクロマトグラフィー(以下、GCという)で分析し
て、CTFE以外の単量体の反応率がほぼ100モル%
であることを確認した後、水性分散体の一部を取出し、
固形分濃度および含フッ素樹脂の単量体単位の分析等の
測定を行った。その結果、固形分濃度は44重量%であ
り、また、含フッ素樹脂のフッ素元素分析結果は19.
1重量%であり、Tgは39℃であった。フッ素含有量
およびCTFE以外の単量体のGC分析結果から算出し
た1段目フッ素樹脂の組成はCTFE/V−9/V−1
0/AA=50/24/23/3(モル%)であった。
【0032】2段目の重合:上記重合で得られた含フッ
素樹脂水性分散体と、上記重合で未反応のCTFEが存
在するオートクレーブに、単量体としてV−9を42
g、V−10を42g、ビニルトリメトキシシラン(以
下、VTRIMSという)を20gおよびAAを2.4
g仕込み、40℃まで昇温して1時間攪拌した後、過硫
酸アンモニウム1.3gを水30gに溶解した開始剤水
溶液と、亜硫酸水素ナトリウム0.25gを水20gに
溶解した還元剤水溶液とを4時間かけて圧入し、重合を
5.5時間行った。重合終了後、未反応のCTFEをパ
ージし、内圧が−500mmHgになるまで窒素置換と
減圧脱気を行った後、オートクレーブを開放して固形分
50重量%の含フッ素樹脂水性分散体(以下、E1とい
う)を得た。得られた水性分散体の平均粒径は0.1μ
m であり、Tgは41℃であった。また、1段目フッ素
樹脂:2段目フッ素樹脂の比は2.8:1(重量比)で
あった。
【0033】上記2段階の重合で得られた樹脂のフッ素
含有量は19.6wt%であった。この値と前記1段目
重合体におけるCTFEの含有量から、2段目重合体の
含有量を求め、その他の単量体については重合転換率に
基づいて2段目重合体での含有量を求めた。その結果、
2段目フッ素樹脂の単量体組成は、CTFE/V−9/
V−10/VTRIMS/AA=50/19/18/1
1/2(モル%)であった。上記で得られたE1をベー
スに試験例1、2および3の評価試験を実施した。
【0034】<実施例2>1段目の重合に、CTFE/
V−9/V−10/AA=280g/148g/148
g/7.3gの組成の単量体を仕込んだ以外は実施例1
と同様に重合を行い、CTFE/V−9/V−10/A
A=50/24/23/3(モル%)の1段目フッ素樹
脂を得た。引き続き、2段目の重合に、アクリル酸シク
ロヘキシル(以下、CHAという)/ビニルトリエトキ
シシラン(以下、VTRIESという)/AA=68g
/25g/2.4gを仕込んで重合を行い、含フッ素樹
脂水性分散体(以下、E2という)を得た。平均粒径は
0.1μm であり、Tgは40℃であった。1段目フッ
素樹脂と2段目フッ素樹脂の重量比は3.8:1であっ
た。また、2段目フッ素樹脂の単量体組成を算出した結
果は、CTFE/CHA/VTRIES/AA=34/
49/14/3(モル%)であった。上記で得られたE
2をベースに試験例1、2および3の評価試験を実施し
た。
【0035】<実施例3>1段目の重合に、CTFE/
CHA/AA=280g/239g/7.3gの組成の
単量体を仕込んだ以外は実施例1と同様に重合を行い、
CTFE/CHA/AA=34/63/3(モル%)の
1段目フッ素樹脂を得た。引き続き、2段目の重合に、
V−9/V−10/トリメトキシシリルプロピルメタク
リレート(以下、MTRIMSという)/AA=42g
/42g/33g/2.4gを仕込んで重合を行い、含
フッ素樹脂水性分散体(以下、E3という)を得た。平
均粒径は0.1μm であり、Tgは53℃であった。ま
た、1段目フッ素樹脂と2段目フッ素樹脂の重量比は
1.8:1であった。2段目フッ素樹脂の単量体組成を
算出した結果は、CTFE/V−9/V−10/MTR
IMS/AA=50/19/18/10/3(モル%)
であった。上記で得られたE3をベースに試験例1、2
および3の評価試験を実施した。
【0036】<実施例4>1段目の重合用に、CTFE
/CHA/AA=280g/239g/7.3gの組成
の単量体を仕込み、実施例1と同様にして重合を行い、
CTFE/CHA/AA=34/63/3(モル%)の
1段目フッ素樹脂を得た。引き続き、2段目の重合用に
CHA/トリエトキシシリルプロピルメタクリレート
(以下、MTRIESという)/AA=69g/39g
/2.4gを仕込んで重合を行い、含フッ素樹脂水性分
散体(以下、E4という)を得た。平均粒径は0.1μ
m であり、Tgは60℃であった。また、1段目フッ素
樹脂と2段目フッ素樹脂の重量比は2.4:1であっ
た。2段目フッ素樹脂の単量体組成を算出した結果は、
CTFE/CHA/MTRIES/AA=34/48/
15/3(モル%)であった。上記で得られたE4をベ
ースに試験例1、2および3の評価試験を実施した。
【0037】<比較例1>1段目の重合に、CTFE/
V−9/V−10/VTRIES/AA=280g/1
48g/148g/25g/7.3gの組成の単量体を
仕込んだ以外は実施例1と同様に重合を行い、CTFE
/V−9/V−10/VTRIES/AA=50/22
/21/4/3(モル%)の1段目フッ素樹脂を得た。
引き続き、2段目の重合用にV−9/V−10/AA=
42g/42g/2.4gを仕込んで重合を行い、含フ
ッ素樹脂水性分散体(以下、E5という)を得た。平均
粒径は0.1μm であり、1段目フッ素樹脂と2段目フ
ッ素樹脂の重量比は3.8:1であった。2段目フッ素
樹脂の単量体組成を算出した結果は、CTFE/V−9
/V−10/AA=50/24/23/3(モル%)で
あった。複合重合体のTgは38℃であった。上記で得
られたE5をベースに試験例1、2および3の評価試験
を実施した。
【0038】<比較例2>CTFE/CHA/VTRI
MS/AA=280g/307g/20g/7.3gの
組成の単量体を仕込んだ以外は実施例1の1段目の重合
と同様に重合を行い、CTFE/CHA/VTRIMS
/AA=34/59/4/3(モル%)の含フッ素樹脂
水性分散体(以下、E6という)を得た。平均粒径は
0.1μm であり、Tgは63℃であった。上記で得ら
れたE6をベースに試験例1、2および3の評価試験を
実施した。
【0039】<試験例1> 最低造膜温度の変化 上記実施例1〜4および比較例1〜2で得られた含フッ
素樹脂水性分散体(E1〜E6)を用いて、下記の試験
を行った。E1〜E6をそれぞれ密封容器に入れ、50
℃×60日保管し、保管前後の最低造膜温度を測定し、
その結果を下記表1に示す。最低造膜温度とはエマルシ
ョンを塗布乾燥した時に均一で透明な皮膜を形成する最
低の温度であり、温度勾配をもたせた金属板上でエマル
ションを塗布乾燥させ、均一で透明な皮膜を形成する最
低の温度を測定し、最低造膜温度の変化が5℃未満を
○、および最低造膜温度の変化が5℃以上を×とした。
【0040】
【表1】
【0041】<試験例2>上記実施例1〜4および比較
例1〜2で得られた含フッ素樹脂水性分散体(E1〜E
6)を用いて、下記表2に示す重量割合で配合しクリア
塗料を調製した。
【0042】
【表2】 (配合割合:重量比) BCA :ブチルセロソルブアセテート 硬化触媒:ジブチル錫ジラウレートの10重量%のBCA溶液
【0043】上記で得られた塗料用組成物をエポキシ塗
料を塗装したスレート板(JISA5403,サイズ3
×70×150mm)に刷毛で乾燥塗膜が30μmとな
るように塗装し、塗装板を常温で1週間乾燥させた後、
以下の試験を行った。塗装板を40℃温水に7日間浸漬
させ、取り出した2時間後に白化程度を目視で観察し
た。また、試験前後の60゜光沢値を測定し、保持率を
算出した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】<試験例3>酸化チタン[石原産業(株)
製、商品名CR−97]200.0g、顔料分散剤[サ
ンノプコ(株)製、商品名SNディスパーサント502
7]10.0g、消泡剤[ダウコーニング(株)製、商
品名FSアンチフォーム013B]1.0g、イオン交
換水98.0gおよびガラスビーズ260gをホモディ
スパーを用いて混合、分散させて得られたミルベース
(以下、ミルという)からガラスビーズを除去した後、
含フッ素樹脂水性分散体E1〜E6に下記表4に示す重
量割合で混合、攪拌して白塗料を調製した。
【0046】
【表4】 (配合割合:重量比) BCA :ブチルセロソルブアセテート 増粘剤 :旭電化(株)製、商品名アデカノールUH420の10重量%水 溶液 硬化触媒:ジブチル錫ジラウレートの10重量%のBCA溶液
【0047】0.6mm厚のアルミ板(アロジン処理
材、JISA−5052P)に川上塗料(株)製、商品
名ウレオール800(アクリルウレタン塗料)を塗装
し、常温で1日乾燥した後、上記により得られた白塗料
用組成物をバーコーターで乾燥膜厚が30μmになるよ
うに塗装した。塗装板は常温で1週間乾燥させた後、以
下の試験を行い、その結果を表5に示す。 1)光沢値:JIS K5400に記載の方法で60゜
光沢値を測定した。 2)耐汚染性:得られた塗装板を名古屋市南部工業地帯
において、45度の角度で6カ月間、暴露試験を行い、
試験前後の色差(ΔE値)を測定した。 3)耐候性:QUV(Qパネル社製蛍光紫外線耐候性試
験機)を用いて、連続で4時間紫外線を照射し、次いで
4時間塗面からイオン交換水をスプレーするというサイ
クルを繰り返し、2000時間後の60゜光沢保持率を
示した。
【0048】
【表5】
【0049】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる含フッ
素樹脂水性分散体は光沢が高く、耐候性、耐汚染性およ
び耐水性に優れた塗膜を与えるだけでなく、長期保管後
の成膜性が低下せず、かつ貯蔵安定性に優れるため、各
種塗料用途などに幅広く利用することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 214:18 218:04 220:18 230:08)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記工程(1)および工程(2)からなる
    ことを特徴とする含フッ素樹脂水性分散体の製造方法。 工程(1):(a)フルオロオレフィンおよび(b)カ
    ルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を
    有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよび
    アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少
    なくとも1種の単量体、またはこれらと(c)その他の
    共重合性単量体からなる単量体混合物を、水性媒体中で
    乳化重合して前記(a)〜(c)の単量体単位の割合
    が、全単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜
    70モル%、(b)20〜80モル%および(c)0〜
    30モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工
    程。 工程(2):前記(a)および(b)またはこれらと
    (c)の単量体ならびに(d)加水分解性シリル基を有
    するエチレン性不飽和単量体を、上記工程(1)で得ら
    れた含フッ素樹脂水性分散体の存在下に乳化重合して前
    記(a)〜(d)の単量体単位の割合が、全単量体単位
    の合計量を基準として、(a)10〜70モル%、
    (b)20〜80モル%,(c)0〜30モル%および
    (d)0.5〜20モル%である含フッ素樹脂の水性分
    散体を得る工程。
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