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JPH11222402A - 抗菌性ポリマー粒子およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性ポリマー粒子およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11222402A
JPH11222402A JP2342598A JP2342598A JPH11222402A JP H11222402 A JPH11222402 A JP H11222402A JP 2342598 A JP2342598 A JP 2342598A JP 2342598 A JP2342598 A JP 2342598A JP H11222402 A JPH11222402 A JP H11222402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
group
polymer particles
polymer
hydrophilic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2342598A
Other languages
English (en)
Inventor
Chiharu Yamaguchi
千春 山口
Hisaji Matsui
久次 松井
Hiroaki Arima
弘朗 在間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2342598A priority Critical patent/JPH11222402A/ja
Publication of JPH11222402A publication Critical patent/JPH11222402A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性金属成分を用い、樹脂との親和性、被
膜特性が改善され、かつ抗菌活性の高い抗菌性ポリマー
粒子を得る。 【解決手段】 窒素原子を含む親水性ユニットと、酸素
原子,窒素原子およびイオウ原子から選択された少なく
とも1つの原子を含む官能基を有するユニットと、架橋
ユニットとを含む架橋構造を有する親水性高分子ゲルで
構成された親水性ポリマー粒子(平均粒子径0.1nm
〜100μm)に、前記官能基に対して配位結合可能な
抗菌性金属成分(銀成分など)を担持させ、抗菌性ポリ
マー粒子を得る。前記官能基には、カルボキシル基,ア
ミノ基,イミノ基,メルカプト基などが含まれる。抗菌
性金属成分の担持量は、金属換算で、全体の0.01〜
70重量%程度である。この抗菌性粒子は、樹脂との親
和性が高く抗菌性樹脂組成物(コーティング用樹脂組成
物など)として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の微生物(細
菌,カビ類など)に対して抗菌性を有効に発現する抗菌
性ポリマー粒子およびその製造方法、前記抗菌性ポリマ
ー粒子を含み、コーティング剤などとして有用な抗菌性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、様々な製品に抗菌処理が検討され
ている。この抗菌処理は、通常、有機系又は無機系抗菌
剤をプラスチックに混練したり、抗菌剤を含有する塗料
をコーティングする方法などにより行われている。前記
抗菌剤のうち有機系抗菌剤は、抗菌性、即効性、樹脂に
対する分散性に優れている。しかし、基材からの溶出、
耐熱性、人体に対する安全性のほか、菌が薬剤耐性を発
現するなどの問題がある。これに対して、抗菌活性を有
する金属イオン(銀、亜鉛、銅など)を無機担体(ゼオ
ライト、シリカゲルなどの粒子状無機担体)に担持させ
た無機系抗菌剤は、種々の利点、例えば、耐熱性、広い
抗菌スペクトル、薬剤耐性が獲得しにくい、人体への安
全性などに優れ、現在、抗菌剤の主流となっている。な
お、抗菌剤の抗菌活性は、抗菌処理した製品の表面で発
現するので、抗菌剤を効率よく利用するためには、抗菌
剤を製品の表面にコーティングするのが有効である。
【0003】しかし、無機系抗菌剤を基材表面のコーテ
ィングに適用すると、種々の問題が生じる。例えば、無
機系抗菌剤は、基本的に親水性のゼオライト、シリカゲ
ルなどを担体とするため、コーティング剤に配合する
と、i)抗菌剤をコーティング剤に均一に分散するのが
困難であり、ii)担体粒子径および比重が比較的大きい
ため、コーティング剤中で沈降して分離しやすく、菌と
の接触頻度を高めて十分な抗菌効果を発現させるために
は多量の抗菌剤を配合する必要がある。さらに、iii)
有機バインダーとの親和性,密着性が劣るため、抗菌剤
がコーティング膜表面から脱落しやすいとともに、コー
ティング膜の機械的強度も低下し、iv)コーティング膜
の透明性も損なう。さらに、無機系抗菌剤の種類によっ
ては、紫外線などの光線の照射により着色する場合があ
る。
【0004】一方、有機高分子に銀イオンを保持させた
抗菌剤も提案されている。特開平2−288804号公
報には、カルボキシル基含有重合体の水溶液又は分散液
と銀イオンとを含む消臭抗菌組成物が開示されている。
特開平4−173712号公報には、スルホン酸基をア
クリル重合体粒子の表面に銀イオンを担持させた抗菌剤
が開示されている。特開平8−151310号公報に
は、マレイン酸重合体と銀イオンの組み合わせで構成さ
れた抗菌性重合体、特開平8−165212号公報に
は、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸
−銀重合体粒子で構成された抗菌剤が開示されている。
しかし、これらの抗菌剤では、銀イオンが早期に溶出
し、長期間に亘り高い抗菌性を持続できない。特に、最
近や微生物が増殖しやすい高湿度環境下や水回り環境下
では、抗菌活性を有効に発現できず、持続性も十分でな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、無機系の抗菌性金属成分を用いるにも拘らず、高い
抗菌活性を長期間に亘り有効に発現できる抗菌性ポリマ
ー粒子およびその抗菌性ポリマー粒子を含む抗菌性樹脂
組成物、並びにそれらの製造方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、湿度又は水分の増加に伴って
抗菌性を有効に発現でき、環境応答性を備えた抗菌性ポ
リマー粒子およびその抗菌性ポリマー粒子を含む抗菌性
樹脂組成物、並びにそれらの製造方法を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、コーティング剤など
の樹脂組成物として利用しても、分散性、有機高分子と
の親和性、被膜特性に優れる抗菌性ポリマー粒子および
それを含む抗菌性樹脂組成物、並びにそれらの製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討の結果、抗菌性金属成分を親水
性ユニットを有する有機高分子の担体に担持させると、
湿度環境に応じて抗菌性金属成分を放出でき、高い抗菌
活性を長期間に亘り維持できること、有機高分子との親
和性が高く抗菌性コーティング剤などとして有用な抗菌
性樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成
した。すなわち、本発明の抗菌性ポリマー粒子は、金属
イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分が、
ポリマー粒子に化学的に結合して担持されている。この
抗菌性ポリマー粒子において、通常、酸素原子、窒素原
子、およびイオウ原子からなる群から選択される少なく
とも1つの原子を含む官能基を介して、抗菌性金属成分
は、ポリマー粒子と化学的に結合している。すなわち、
抗菌性ポリマーを構成するポリマー粒子は、親水性ユニ
ットと、酸素原子,窒素原子およびイオウ原子から選択
された少なくとも1つの原子を含み、かつ抗菌性金属成
分に対して化学的に結合可能な官能基を有するユニット
と、架橋ユニットとを含む架橋構造を有する親水性ポリ
マーで構成されている。ポリマー粒子の平均粒子径は、
0.1nm〜100μm程度であってもよい。前記抗菌
性金属成分としては、銀、白金、銅、亜鉛、ニッケル、
コバルト、モリブデン、クロムなどが例示できる。抗菌
性金属成分の担持量は、金属換算で、全体の0.01〜
70重量%程度である。前記抗菌性ポリマーは、金属イ
オン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分を、架
橋構造を有する親水性ポリマー粒子の官能基に化学的に
結合して担持させることにより製造できる。本発明の樹
脂組成物は、前記抗菌性ポリマー粒子と樹脂(バインダ
ー樹脂など)とを含んでおり、抗菌性コーティング樹脂
組成物などとして利用できる。この抗菌性樹脂組成物
は、前記抗菌性ポリマー粒子と樹脂(バインダー樹脂な
ど)とを混合することにより調製できる。
【0007】本明細書において、抗菌性金属成分の「担
持」とは、抗菌性が発現する限り、抗菌性金属成分がポ
リマー粒子の表面及び/又は内部に保持されていること
を意味する。「化学結合」「化学的結合」とは、イオン
結合および配位結合の双方を含む意味に用い、単に「配
位」という場合がある。また、「非架橋親水性ポリマ
ー」および「架橋構造を有する親水性ポリマー」を単に
「親水性ポリマー」と総称する場合がある。
【0008】
【発明の実施の形態】[親水性ポリマー粒子]ポリマー
粒子は、抗菌性金属成分が配位可能な官能基を有する親
水性ポリマーで構成されており、合成高分子、天然高分
子のいずれであってもよい。親水性ポリマー粒子は、架
橋構造を有しており、通常、溶剤に対して難溶性又は不
溶性である。担体として機能する親水性ポリマー粒子
は、親水性ユニットと、酸素原子,窒素原子およびイオ
ウ原子から選択された少なくとも1つの原子を含み、か
つ抗菌性金属成分に対して化学的に結合可能な官能基
(特に配位性基)を有する配位性ユニットと、架橋ユニ
ットとで構成されている。なお、親水性ポリマー粒子に
おいて、親水性ユニットと官能基を有する配位性ユニッ
トは同種又は異なっていてもよい。
【0009】親水性ユニットとしては、種々の親水性フ
ラグメントやセグメントが利用でき、例えば、カルボキ
シル基含有ユニット[(メタ)アクリル酸,無水マレイ
ン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー
で形成されたユニット],ヒドロキシル基含有ユニット
[酢酸ビニルの加水分解により生成するビニルアルコー
ルユニット,ヒドロキシC2-3 アルキル(メタ)アクリ
レートなどのヒドロキシル基含有モノマーで形成された
ユニット]、エーテル基含有ユニット[ビニルC1-4
ルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノ又はジ
(メタ)アクリレート,ポリエチレングリコールなどの
エーテル基含有モノマーで形成されたユニット]、窒素
含有ユニット[ビニルピロリドン,ビニルピリジン,
(メタ)アクリルアミド,メチロール(メタ)アクリル
アミド,N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)ア
クリレートなどの窒素含有モノマーで形成されたユニッ
ト]などが例示できる。親水性ポリマーは、異なる複数
の親水性ユニットを有していてもよく、親水性ユニット
は必要により塩を形成してもよい。
【0010】好ましい親水性ユニットには、水溶性ポリ
マーを形成し、かつ疎水性樹脂に対して親和性を有する
親水性ユニットが含まれ、このような親水性ユニットと
しては、窒素原子(特にアミド基又はN−置換アミド
基)を含むユニット(例えば、(メタ)アクリルアミ
ド,N−置換(メタ)アクリルアミドなどで形成される
親水性ユニット)などが例示できる。N−置換(メタ)
アクリルアミドとしては、例えば、N−メチル(メタ)
アクリルアミド,N−エチル(メタ)アクリルアミド,
N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミド、N−C1-6 アシル(メ
タ)アクリルアミドなどが例示できる。なお、親水性ユ
ニットをN−ブチルアクリルアミドなどのN−C1-6
ルキル(メタ)アクリルアミドで形成すると、ポリマー
粒子に感温性も付与できる。
【0011】配位性ユニットにおいて、酸素原子を含む
官能基(特に配位性基)としては、例えば、カルボキシ
ル基又はその誘導体基(酸ハライド基,酸無水物基な
ど)、ヒドロキシル基、アシル基(ホルミル,アセチル
基などのC1-4 アシル基など)、カルボニル基、アセチ
ルアセトン構造を含むポリカルボニル基、エーテル基、
クラウンエーテル基、カテコール構造を含む芳香族ポリ
ヒドロキシル基、サリチル酸構造を含む芳香族ヒドロキ
シカルボニル基、フタル酸構造を含むポリカルボン酸
基、エポキシ基、酸素含有複素環基(フリル基,クロマ
ニル基など)などが例示できる。
【0012】窒素原子を含む官能基(特に配位性基)と
しては、例えば、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ
基(モノC1-4 アルキルアミノ基,ジC1-4 アルキルア
ミノ基など)、アゾ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒ
ドラゾノ基、シアノ基、窒素含有複素環基(ピロリル
基,イミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピロ
リル基、ピペリジニル基,ピペラジニル基,キノリル
基、ベンズイミダゾリル基、フェナンスロリル基な
ど)、アザクラウンエーテル基などが例示できる。窒素
含有官能基として、アミノ基,イミノ基を利用する場合
が多く、窒素含有官能基は、ピリジル基などの複素環基
であってもよい。
【0013】イオウ原子を含む官能基(特に配位性基)
としては、メルカプト基(チオール基)、チオキソ基、
チエニル基、チオアセチル基、アルキルチオニル基、チ
オカルバモイル基、スルホニル基、チオカルボキシル
基、スルホン酸基(スルホ基)、スルフィン酸基(スル
フィノ基)、チオ尿素基(チオウレイド基)、チアクラ
ウンエーテル基、チオエーテル基、複素環基(チオフェ
ニル基など)などが例示できる。
【0014】親水性ポリマー粒子は、酸素原子,窒素原
子,イオウ原子などから選択された複数の原子を有する
官能基、例えば、酸素原子および窒素原子を含む官能基
を有していてもよい。このような官能基としては、例え
ば、ニトロ基、ウレイド基、アミノヒドロキシエチル基
のようなアミノアルコール基、アミノフェノール基、キ
ノリノ基、イミジノ酢酸基のようなアミノポリカルボン
酸基、オキシム基、アミドオキシム基、複素環基(モル
ホリノ基,モルホリニル基など)などが例示できる。
【0015】上記官能基は複数組み合わせることができ
る。官能基の種類によって金属イオン又は金属化合物と
の結合の強さが異なるので、種類の異なる官能基を複数
組み合わせて用いることにより、親水性ポリマー粒子か
らの抗菌性金属成分の放出を制御できる。
【0016】官能基の種類は抗菌性金属成分の種類に応
じて選択できる。好ましい官能基には、酸素含有官能基
[例えば、カルボキシル基など]、窒素含有官能基[例
えば、窒素含有複素環基(イミダゾリル基、ピリジル
基、ビピリジル基など)など]、イオウ含有官能基[チ
オール基、チオウレイド基など]が含まれる。このよう
な官能基と、抗菌性金属成分(例えば、銀成分)とを組
合わせると、錯体を有効に形成できる。
【0017】親水性ポリマー粒子に架橋構造を導入する
ための架橋ユニットは、自己架橋ポリマー粒子(例え
ば、熱硬化性樹脂の硬化又は架橋粒子など)などのよう
に縮合性基又はフラグメントで構成してもよく、架橋剤
で構成してもよい。架橋ポリマー粒子は耐熱性が高く、
焼き付け塗料などのように、高温(例えば、300℃程
度)に晒されても高い耐性を示す。架橋ユニットを構成
する架橋剤としては、重合性不飽和単量体を原料とする
ポリマー(ビニル重合型ポリマー)では、通常、多官能
重合性単量体[ジビニルベンゼン、メチレンビス(メ
タ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールトリ又はテトラ(メタ)アクリレートな
ど]が使用される。
【0018】縮合又は付加反応性単量体を原料とする親
水性ポリマー(縮合型又は付加縮合型ポリマー)では、
架橋剤として、ポリマーの官能基に対して2以上の反応
性官能基を有する化合物が使用できる。親水性ポリマー
が複数のカルボキシル基又は酸無水物基を有する場合、
架橋剤として、例えば、多価金属イオン(マグネシウム
イオン、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオンな
ど);ポリイソシアネート;ポリアミン;複数のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物;ビスオキサゾリン化合物
などが挙げられる。親水性ポリマーがヒドロキシル基を
有する場合、架橋剤として、例えば、ポリイソシアネー
ト;多価カルボン酸又はその反応性誘導体(酸ハライ
ド、酸無水物);加水分解性シリル基を有する化合物
(ジクロロジメチルシラン、ジクロロテトラメチルジシ
ロキサン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシランなど);複数のメチロール基又はアルコキシ
メチル基を有する化合物(尿素樹脂,メラミン樹脂な
ど);ビスオキサゾリン化合物などが挙げられる。親水
性ポリマーがアミノ基、アミド基などを有する場合、例
えば、ポリイソシアネート;多価カルボン酸又はその反
応性誘導体;加水分解性シリル基を有する化合物;複数
のエポキシ基を有するエポキシ化合物;ビスオキサゾリ
ン化合物などが架橋剤として使用できる。
【0019】親水性ポリマー粒子の架橋度は、例えば、
架橋ユニット(又は架橋剤)換算で、0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1
〜10重量%程度である。
【0020】架橋構造を有する親水性ポリマー粒子に
は、親水性を有する前記配位性ユニット(例えば、前
記カルボキシル基,窒素含有複素環基などの窒素含有
基,メルカプト基などを含むモノマーで形成されたユニ
ット)と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性単量体
などの架橋性モノマーや架橋剤で形成されるユニット)
との共重合体又は共縮合体、前記親水性ユニット
((メタ)アクリルアミド,N−置換(メタ)アクリル
アミドなどのモノマーで形成されたユニット)と、前記
配位性ユニット(例えば、前記カルボキシル基,窒素含
有官能基,メルカプト基などを含むモノマーで形成され
たユニット)と、架橋ユニット(例えば、多官能重合性
単量体などで形成されるユニット)との共重合体又は共
縮合体が含まれる。
【0021】これらの親水性ポリマー粒子は、さらに共
重合ユニットとして、例えば、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル,(メタ)アクリロニトリルなどの(メ
タ)アクリル系モノマー,スチレンなどの芳香族ビニル
モノマー,酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマ
ー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲ
ン含有モノマー,エチレン,プロピレンなどのオレフィ
ンなどで形成されたユニットを含んでいてもよく、必要
であれば、さらに変性してもよい。
【0022】好ましい親水性ポリマー粒子は、親水性高
分子ゲル[例えば、配位性ユニットを有する架橋重合体
(架橋ポリアクリル酸,架橋ポリビニルピリジンな
ど),アクリルアミドユニットと配位性ユニットを有す
る架橋重合体(架橋構造を有するアクリルアミド−(メ
タ)アクリル酸共重合体,架橋構造を有するアクリルア
ミド−ビニルピリジン共重合体,架橋構造を有するアク
リルアミド−メルカプトメチル置換スチレン共重合体,
架橋構造を有するアクリルアミド−(メタ)アクリル酸
−ビニルピリジン共重合体など]で構成できる。
【0023】親水性ポリマー粒子の官能基(配位性ユニ
ット)の濃度は、抗菌性金属成分の担持量に応じて選択
でき、例えば、ポリマー粒子1g当たり、0.01〜1
0ミリモル、好ましくは0.1〜5ミリモル程度であ
る。なお、配位性ユニットを有するモノマーの使用量
は、例えば、5〜100重量%、好ましくは10〜10
0重量%、さらに好ましくは25〜100重量%程度の
範囲から選択できる。
【0024】抗菌性金属成分の抗菌活性を有効に発現さ
せるため、親水性ポリマー粒子は多孔質であってもよ
い。多孔質粒子の比表面積は、例えば、10〜1000
2 /g、好ましくは50〜1000m2 /g、さらに
好ましくは100〜1000m 2 /g程度である。
【0025】粒子状親水性ポリマーの形状は、球状、板
状、棒状、花弁状などのいずれであってもよい。親水性
ポリマー粒子の平均粒子径は、乾燥状態で、例えば、
0.1nm〜100μm、好ましくは1nm〜30μm
(例えば、1nm〜5μm)、より好ましくは5nm〜
10μm(特に10nm〜1μm)程度であり、10〜
500nm程度であってもよい。親水性ポリマー粒子の
粒径は用途に応じて選択できるが、ナノサイズのポリマ
ー粒子を用いると、樹脂組成物における分散性、樹脂組
成物中の抗菌性金属成分の含有量を高めることができ、
少ない添加量で高い抗菌性を発現できる。さらに、親水
性ポリマー粒子に対する抗菌性金属成分の担持状態(例
えば、共重合などにより、抗菌性金属成分に対する配位
性の異なる複数の官能基のポリマー粒子への導入な
ど)、異なる官能基を有する複数のポリマー粒子の混
合、ポリマー粒子の親水性の程度(例えば、ポリマー粒
子の吸湿性や膨潤性)をコントロールすることにより、
周囲環境湿度などに応じて、抗菌性金属成分の放出を制
御でき、速効性ないし持続性の抗菌剤を得ることができ
る。
【0026】[抗菌性金属成分]親水性ポリマー粒子に
は、抗菌性金属成分が化学結合して担持されている。特
に、抗菌性金属成分は、前記官能基(酸素原子、窒素原
子、イオウ原子、リン原子などを含む官能基)を介し
て、親水性ポリマー粒子に化学結合している。抗菌性金
属成分は、抗菌性を有する金属イオンおよび金属化合物
で構成でき、これらの抗菌性金属成分は単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。抗菌性を有する金属イオ
ンとしては、例えば、銀イオン(銀(I)または(II)イオ
ン)、白金イオン、銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイ
オン、コバルトイオン、モリブデンイオンおよびクロム
イオンを挙げることができる。好ましい抗菌性金属イオ
ンは、銀(I)イオン、銅イオンおよび亜鉛イオン、特に
銀イオンである。
【0027】抗菌性を有する金属化合物としては、銀、
白金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデンおよ
びクロムから選択された少なくとも一種の金属化合物が
例示でき、通常、前記ポリマーの官能基に対して反応性
又は配位性の金属化合物が使用できる。前記金属化合物
は金属錯体であってもよく、この金属錯体は、アニオン
性、カチオン性又は中性のいずれであってもよい。アニ
オン性錯体の場合、対カチオンは、抗菌性を有する第四
級アンモニウム(フェニルジメチルアルキルアンモニウ
ム、ジデシルジメチルアンモニウム、セチルトリメチル
アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなど)である
のが好ましい。
【0028】好ましい金属化合物には、銀化合物、例え
ば、ハロゲン化銀(AgCl,AgBrなど)、ハロゲ
ン酸塩や過ハロゲン酸塩(AgClO4 ,AgCl
3 ,AgBrO3 ,AgIO3 など)、無機酸塩(硫
酸銀,硝酸銀、炭酸銀など)、有機酸塩(酢酸銀,シュ
ウ酸銀など)、錯体(ジシアノ錯体,ジチオスルファイ
ト錯体,ジアンミン錯体,ジクロロ錯体など)が含まれ
る。前記抗菌性金属成分(銀成分など)は、前記ポリマ
ーの官能基に対して配位し、錯体(チオール錯体,チオ
ウレイド錯体,ピリジル錯体,ビピリジル錯体,フェナ
ントロリル錯体,ヒスチジル錯体など)を形成してもよ
い。ポリマーの官能基に対して配位可能な抗菌性金属成
分を用いると、抗菌性金属成分の含有量を増大でき、抗
菌活性を長期間に亘り持続できる。また、抗菌活性が低
下しても、抗菌性金属イオンを含む水溶液に浸漬するこ
とにより、容易に再生できる。
【0029】抗菌性金属成分の担持量は、抗菌性を損な
わない範囲であればよく、例えば、金属換算で、親水性
ポリマー粒子の全重量の0.01〜70重量%、好まし
くは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量
%、特に5〜40重量%程度である。
【0030】本発明の好ましい抗菌剤には、例えば、窒
素含有親水性ユニットと、酸素含有官能基、窒素含有官
能基、イオウ含有官能基などの配位性ユニットと、架橋
ユニットとを有する、平均粒子径1nm〜10μm(例
えば、1nm〜3μm,好ましくは10〜500nm、
特に50〜500nm程度)の親水性ポリマー粒子と、
このポリマー粒子の前記官能基に対して化学結合(特に
配位結合)して担持された抗菌性銀成分とで構成されて
いる。この抗菌剤において、抗菌性銀成分の担持量は、
銀換算で、全体の1〜50重量%(好ましくは5〜40
重量%)程度である。なお、親水性ポリマー粒子は、抗
菌活性を高めるため、必要によりさらに有機系抗菌剤を
含有していてもよい。
【0031】[抗菌性ポリマー粒子の製造方法]本発明
の抗菌剤は、抗菌性金属成分を、親水性ポリマー粒子の
官能基に化学的に結合して担持させることにより調製で
きる。前記親水性ポリマー粒子は、粉砕および分級、懸
濁重合、乳化重合などの慣用の方法を利用して調製でき
る。架橋親水性ポリマー粒子の代表的な調製法として
は、沈殿重合法、例えば、非水系溶媒(特に水と親水性
溶媒との混合溶媒)中、重合開始剤を用いて、配位性ユ
ニットに対応する単量体と、親水性ユニットに対応する
単量体と、架橋構造を形成するための架橋剤とで構成さ
れた単量体混合物を重合する方法が例示できる。この方
法では、親水性溶媒の種類や水と親水性溶媒との割合を
調整することにより、親水性ポリマー粒子の粒子径をコ
ントロールでき、ナノオーダーの粒子径を有する親水性
ポリマー粒子を効率よく生成させることができる。親水
性溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロパ
ノール,ブタノールなどのアルコール類、アセトンなど
のケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエ
ーテル類や、これらの混合溶媒が例示できる。水と親水
性溶媒との割合は、例えば、前者/後者=1/99〜7
0/30(重量%)、好ましくは3/97〜50/50
(重量%)程度の範囲から適当に選択できる。この沈殿
重合法では、特に分散安定剤を用いることなく、生成し
た粒子サイズをコントロールできるとともに、粒子の洗
浄および回収が容易であり、低コストで親水性ポリマー
粒子を得ることができる。
【0032】また、架橋親水性ポリマー粒子は、抗菌性
金属成分が配位可能な官能基を含む親水性ポリマーの溶
液を、貧溶媒に添加混合して媒体中でポリマー粒子を生
成させた後、架橋剤を添加して硬化する方法、架橋剤と
親水性ポリマーとの混合液を、ポリマーに対する貧溶媒
に添加混合して媒体中でポリマー粒子を生成させた後、
硬化する方法、架橋剤と親水性ポリマーとの混合物を噴
霧乾燥するスプレードライ法などによっても得ることが
できる。なお、自己架橋性を有する熱硬化性樹脂の架橋
親水性ポリマー粒子は、架橋剤を用いることなく、上記
と同様にして調製できる。
【0033】なお、抗菌性金属成分が化学結合可能な官
能基は、ポリマーの原料となる前記単量体や架橋剤に由
来してもよく、生成したポリマーに高分子反応などを利
用して導入してもよい。高分子反応を利用してポリマー
に前記官能基を導入する方法としては、例えば、キレー
ト樹脂などの金属イオン吸着性樹脂の調製方法に準じた
慣用の方法が採用できる。例えば、メルカプト基,ビピ
リジル基は、Ueyama,N, et al. Inorg. Chem. Acta. 8
9, 19-23 (1984)に記載されている方法に準じて導入で
きる。イミダゾール基の導入は、例えば、クロロメチル
基を有するポリマーと、例えば、ヒスチジンとを反応さ
せることにより行うことができる。
【0034】ポリマー粒子に対する抗菌性金属成分の担
持は、例えば、必要によりポリマー粒子を溶媒で膨潤さ
せ、抗菌性金属成分を含む溶液を添加混合し、抗菌性金
属成分をポリマーに化学結合させることにより行うこと
ができる。抗菌性金属成分を担持させた後、ポリマーを
洗浄し、乾燥することにより、本発明の抗菌性ポリマー
粒子が得られる。
【0035】本発明の抗菌性ポリマー粒子は、抗菌性金
属成分と親水性ポリマー粒子とが化学結合しているの
で、高い抗菌活性を長期間に亘り発現する。特に、親水
性ポリマーで構成されているため、最近や微生物が繁殖
しやすい高湿度環境下では、吸水して粒子が膨らみ、粒
子内部の抗菌性金属成分を放出しやすくなり、環境応答
性を備えている。特に、微粒子(例えば、ナノサイズの
粒子)では、粒子内部の抗菌性金属成分が粒子表面に達
するまでの距離が短く、しかも粒子表面積の増大によ
り、抗菌性金属成分と細菌や微生物との接触効率を向上
できる。さらには、抗菌活性が低下した親水性ポリマー
粒子を、抗菌性金属成分を含む溶液(水溶液)に浸漬す
るだけで、再生することも可能である。さらに、抗菌性
金属成分を安定に担持でき、紫外線などを照射しても変
色することがない。しかも、担体が有機高分子であるた
め、疎水性および親水性有機高分子の双方に対する親和
性が高く、ポリマー粒子の分散性が高く、透明性の高い
抗菌性塗膜を形成することが可能である。従って、本発
明の抗菌性ポリマーは、樹脂(例えば、紫外線硬化性塗
料や水性塗料に用いられる樹脂など)と組み合わせて抗
菌性樹脂組成物を構成するのに有用である。
【0036】[抗菌性樹脂組成物]抗菌性樹脂組成物に
おいて、樹脂は、用途に応じて広い範囲から選択でき
る。樹脂としては、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂
(ポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル基,酸
無水物基やエポキシ基などで変性されたポリエチレンや
変性ポリプロピレンなど)、アクリル系樹脂(ポリメタ
クリル酸メチル,カルボキシル基含有アクリル樹脂,ヒ
ドロキシル基含有アクリル樹脂,エポキシ基含有アクリ
ル樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン,AS樹
脂、ABS樹脂、スチレンと(メタ)アクリル系単量体
との共重合体など)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニ
ル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,酢酸ビニル−塩化
ビニル共重合体など)、ビニルアルコール系重合体(ポ
リビニルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重
合体など)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルな
ど)、ポリエステル樹脂(ポリアルキレンテレフタレー
ト,ポリアルキレンナフタレート、共重合ポリエステル
樹脂、変性ポリエステル樹脂など)、ポリウレタン樹
脂、ポリアミド樹脂、ゴムなど]、熱硬化性樹脂[エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂,メラ
ミン樹脂など)など]、光硬化性樹脂[エポキシ(メ
タ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポ
リエステル(メタ)アクリレートなどの光硬化性オリゴ
マー、多官能性(メタ)アクリレート,窒素含有モノマ
ーなどの光硬化性モノマー]などが例示できる。これら
の樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
樹脂は、水溶性樹脂や有機溶媒可溶性樹脂であってもよ
い。さらに、樹脂は、水性分散体(エマルジョン,ラテ
ックスなど)、非水性分散体(オルガノゾルなど)とし
て使用できる。
【0037】本発明の樹脂組成物は、押出し成形、射出
成形などの成型加工に利用される成形用樹脂を含む抗菌
性成形用樹脂組成物や、接着剤用樹脂を含む樹脂組成物
あってもよいが、塗料などのコーティング剤用樹脂(バ
インダー樹脂)を含むコーティング用樹脂組成物である
のが好ましい。抗菌性ポリマー粒子を含む塗膜(コーテ
ィング膜)を形成すると、製品の表面で高い抗菌活性を
長期間に亘り有効に持続できる。コーティング用樹脂組
成物の形態は、粉粒体で構成された粉体コーティング
剤、溶媒が水性溶媒で構成された水性コーティング剤、
溶媒が有機溶媒で構成された溶剤型コーティング剤、紫
外線硬化型塗料などの無溶媒型コーティング剤などのい
ずれであってもよい。抗菌性ポリマー粒子の使用量は、
広い範囲から選択でき、例えば、固形分換算で、樹脂1
00重量部に対して0.01〜200重量部、好ましく
は0.1〜100重量部、さらに好ましくは0.5〜5
0重量部程度である。塗膜(抗菌層)の厚みは、例え
ば、1〜500μm、好ましくは5〜300μm程度の
範囲から適当に選択できる。
【0038】本発明の抗菌性樹脂組成物は、種々の添加
剤、例えば、安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤,熱安
定剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、界
面活性剤、充填剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴
剤、レべリング剤などを含んでいてもよい。
【0039】抗菌性樹脂組成物(又はコーティング用樹
脂組成物)は、前記抗菌性ポリマー粒子と、樹脂又はバ
インダー樹脂と、必要により溶媒や添加剤などを混合す
ることにより調製できる。樹脂組成物の調製には、樹脂
組成物の形態に応じて、慣用の装置、問えば、混練機、
分散機、混合機などが利用できる。
【0040】塗膜は、慣用のコーティング方法でコーテ
ィング用樹脂組成物を基材に塗布し、乾燥(必要により
加熱硬化)又は光照射(紫外線照射など)させることに
より形成できる。基材としては、紙、木材、プラスチッ
ク、ガラスを含むセラミックス、金属などが利用でき
る。
【0041】本発明の抗菌性ポリマー粒子(抗菌剤)を
塗料などのコーティング剤に利用すると、抗菌剤を均一
かつ容易に分散させることができ、分散安定性が高く、
沈降分離などが生じるのを防止できる。そのため、少量
の抗菌剤であっても抗菌剤の活性を有効に発現できる。
さらに、有機バインダーとの親和性や密着性が高いの
で、均一で機械的強度が高く、透明性の高いコーティン
グ膜を形成できる。
【0042】
【発明の効果】本発明では、抗菌剤の抗菌性金属成分が
架橋構造を有する親水性ポリマー粒子に化学結合してい
るため、無機系の抗菌性金属成分を用いるにも拘らず、
高い抗菌活性を有効かつ長期間に亘り発現でき、持続性
が高い。また、ポリマー粒子が親水性であるため、湿度
又は水分の増加に伴って抗菌性を有効に発現でき、環境
応答性を備えている。さらに、コーティング剤などの樹
脂組成物として利用しても、抗菌剤は、分散性、有機高
分子との親和性、被膜特性に優れる。
【0043】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 [架橋親水性ポリマー微粒子の調製]アクリルアミド4
g(0.056モル,72.2モル%),メチレンビス
アクリルアミド2.4g(0.0156モル,20.1
モル%),および4−(N,N−ジエチルジチオカーバ
メート)スチレン1.6g(0.006モル,7.7モ
ル%)の混合液を、エタノール86mlおよび水6ml
の混合溶媒に添加し、アゾビスイソブチロニトリル0.
05gを用いて、アルゴン雰囲気中、温度60℃で17
時間沈殿重合した。この反応において、温度60℃に加
熱した後、約2.5時間経過後に、重合系が白濁し、ポ
リマー粒子が生成した。
【0044】[加水分解]反応混合液に、エタノール1
00ml,水50mlおよび水酸化ナトリウム2gの混
合液を添加し、アルゴン雰囲気中、温度70℃で5時間
撹拌して加水分解した後、遠心分離し、沈殿粒子をエタ
ノール100mlおよび水100mlの混合溶媒で2回
洗浄した。メルカプト基を生成させるため、沈殿粒子を
水に添加し、1N−塩酸を添加してpHを約5に調整
し、1昼夜撹拌して加水分解した。次いで、混合液を遠
心分離し、沈殿粒子をエタノール100mlおよび水1
00mlの混合溶媒で3回洗浄し、さらに水150ml
で2回洗浄した。
【0045】[銀錯体担持ポリマー粒子の調製]洗浄し
た沈殿粒子に、硝酸銀1.05g(0.006モル)と
水150mlとの混合液を添加し、室温で2時間撹拌し
たところ、粒子は薄橙色に着色した。混合液を遠心分離
し、沈殿粒子を水150mlで1回、メタノール150
mlで2回洗浄し、減圧乾燥することにより、銀錯体担
持ポリマー粒子(平均粒子径約60〜90nm)を得た
(収量7.8g(乾燥固形分換算),水分含有量14.
9重量%,銀含有量22.8重量%,収率89.9
%)。
【0046】実施例2 [架橋親水性ポリマー微粒子の調製]アクリルアミド4
g(0.056モル),メチレンビスアクリルアミド
2.4g(0.0156モル),および4−ビニルピリ
ジン1.6g(0.0152モル)の混合液を、エタノ
ール86mlおよび水6mlの混合溶媒に添加し、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.05gを用いて、アルゴン
雰囲気中、温度60℃で17時間沈殿重合した。この反
応において、温度60℃に加熱した後、約1.5時間経
過後に、重合系が白濁し、ポリマー粒子が生成した。反
応混合液を遠心分離し、沈殿粒子を水150mlで2回
洗浄した。
【0047】[銀錯体担持ポリマー粒子の調製]洗浄し
た沈殿粒子に、硝酸銀2.58g(0.0152モル)
と水150mlとの混合液を添加し、室温で2時間撹拌
し。混合液を遠心分離し、沈殿粒子をメタノール150
mlで2回洗浄し、減圧乾燥することにより、銀錯体担
持ポリマー粒子(平均粒子径約90〜120nm)を得
た(収量8.6g(乾燥固形分換算),水分含有量1
3.3重量%,銀含有量35.2重量%)。
【0048】実施例3 [架橋親水性ポリマー微粒子の調製]アクリルアミド
4.5g(0.063モル),メチレンビスアクリルア
ミド2.4g(0.0156モル),およびアクリル酸
1.1g(0.0152モル)の混合液を、エタノール
86mlおよび水6mlの混合溶媒に添加し、アゾビス
イソブチロニトリル0.05gを用いて、アルゴン雰囲
気中、温度60℃で17時間沈殿重合した。この反応に
おいて、温度60℃に加熱した後、約0.5時間経過後
に、重合系が白濁し、ポリマー粒子が生成した。反応混
合液を遠心分離し、沈殿粒子を水150mlで2回洗浄
した。
【0049】[銀錯体担持ポリマー粒子の調製]洗浄し
た沈殿粒子に、硝酸銀2.58g(0.0152モル)
と水150mlとの混合液を添加し、室温で2時間撹拌
し。混合液を遠心分離し、沈殿粒子をメタノール150
mlで2回洗浄し、減圧乾燥することにより、銀錯体担
持ポリマー粒子(平均粒子径約90〜120nm)を得
た(収量11.5g(乾燥固形分換算),水分含有量1
3.9重量%,銀含有量25.7重量%)。
【0050】[抗菌性の評価]抗菌性を、以下のように
して、日本化学療法学会標準法に準じて最小発育疎外濃
度(MIC,ppm)により評価した。 (1)検体 実施例1〜3で得られた銀錯体担持ポリマー粒子 比較例1:市販の銀シリカゲル系抗菌剤(銀イオン量約
3重量%) 比較例2:市販の銀ゼオライト系抗菌剤(銀イオン量約
3重量%) (2)使用菌株 ブドウ球菌:スタフィロコッカス アウレウス(Staphy
lococcus aureus)209P JC-1 大腸菌:エシリシア コリ(Escherichia coli)NIHJ J
C-2 (3)培地 感受性測定用ブイヨン培地および感受性ディスク用寒天
培地を用いた。 (4)試験方法 各検体が不溶性であるため、精製水に懸濁して試験濃度
の10倍濃度の懸濁液を調製した。なお、試験に際して
は、培地9容量部に対して試験懸濁液1容量部の割合で
混合して用いた。一方、感受性ブイヨン培地を用いて試
験菌を37℃で1夜培養した後、同培地で適宜希釈して
106 cfu/mlの試験菌液を調製した。結果を表1
に示す。
【0051】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜3の抗菌性ポリマ
ー粒子では、市販品に比べて、高い抗菌性が発現する。
【0052】実施例4 実施例2で得られた銀錯体担持ポリマー粒子1重量部
と、紫外線硬化型塗料(東亞合成(株)製,アロニック
スUV−3701)99重量部とを混合し、得られた分
散混合液をポリエチレンテレフタレートフィルムにバー
コーターで塗布し、高圧水銀ランプを用いて紫外線を1
0分間照射することにより硬化膜を形成した。 比較例3 実施例2の銀錯体担持ポリマー粒子に代えて、比較例2
の抗菌剤を用いる以外、上記と同様にして硬化膜を形成
した。
【0053】実施例5 実施例2で得られた銀錯体担持ポリマー粒子1重量部
と、水性エマルジョン塗料(東亞合成(株)製,アロン
NS−1200)99重量部(固形分換算)とを混合
し、得られた分散混合液をポリエチレンテレフタレート
フィルムにバーコーターで塗布し、室温で乾燥し、コー
ティング膜を形成した。 比較例4 実施例2の銀錯体担持ポリマー粒子に代えて、比較例2
の抗菌剤を用いる以外、上記と同様にしてコーティング
膜を形成した。
【0054】そして、前記菌株に対する塗膜膜の抗菌性
を次のようにして調べた。ブドウ球菌(スタフィロコッ
カス アウレウス(Staphylococcus aureus)209P JC-
1)および大腸菌(エシリシア コリ(Escherichia col
i)NIHJ JC-2 )を普通ブイヨン培地(NB,栄研)で
37℃,18〜20時間培養した後、濃度1/500に
希釈した普通ブイヨン培地(NB,栄研)で適宜希釈
し、105 cfu/mlの試験菌液を調製した。直径3
5mmの目ツキンプラスチックシャーレ(Sumilon)に
試験菌液1mlを入れ、上記検体塗膜の膜面を下にして
試験菌液と接触させ、シャーレにフタを下後、シールし
て室温(25℃)で24時間放置した。なお、対照とし
て、菌液のみ(無処理)を用いて上記と同様に操作し
た。殺菌作用をスタート時の菌数と24時間経過後の菌
数を普通寒天培地(NA,栄研)を用いた混釈法により
測定し、その菌数の変動により評価した。表2に塗膜の
抗菌性を示す。
【0055】
【表2】 表2から明らかなように、実施例の抗菌性ポリマー粒子
では、市販品に比べて、高い抗菌性が発現する。なお、
実施例4で形成した硬化膜は、やや黄色に着色した以
外、透明性の高い硬化膜であった。一方、比較例3で形
成した硬化膜は、赤茶色に着色し、透明性も低下した。
このように、実施例2の抗菌性ポリマー粒子では、銀イ
オンが錯体として存在するためか、紫外線に対して安定
である。また、実施例2の抗菌性ポリマー粒子は、粒子
径が非常に小さく、しかも粒子が有機高分子で形成され
ているため、ベース樹脂(紫外線硬化型樹脂)との屈折
率の差がなく、透明性が高い。これに対して、比較例2
の抗菌剤は、銀イオンの安定性が小さいため、着色が生
じ、粒子径1〜3μm程度と大きく、しかもベース樹脂
との屈折率の差も大きいため、透明性が低下している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 59/20 A01N 59/20 Z 59/26 59/26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオン又は金属化合物で構成された
    抗菌性金属成分が、ポリマー粒子に化学的に結合して担
    持されている抗菌性ポリマー粒子であって、前記ポリマ
    ー粒子が、親水性ユニットと、酸素原子,窒素原子およ
    びイオウ原子から選択された少なくとも1つの原子を含
    み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的に結合可能な官
    能基を有するユニットと、架橋ユニットとを含む架橋構
    造を有する親水性ポリマーで構成されている抗菌性ポリ
    マー粒子。
  2. 【請求項2】 架橋構造を有する親水性ポリマーが、窒
    素原子を含む親水性ユニットと、カルボキシル基,ピリ
    ジル基およびメルカプト基から選択された少なくとも1
    つの官能基を含み、かつ抗菌性金属成分に対して化学的
    に結合可能な官能基を有するユニットと、架橋ユニット
    とを含む親水性高分子ゲルで構成されている請求項1記
    載の抗菌性ポリマー粒子。
  3. 【請求項3】 ポリマー粒子の平均粒子径が0.1nm
    〜100μmである請求項1記載の抗菌性ポリマー粒
    子。
  4. 【請求項4】 抗菌性金属成分が、銀、白金、銅、亜
    鉛、ニッケル、コバルト、モリブデンおよびクロムから
    なる群より選択される少なくとも1つの金属成分である
    請求項1記載の抗菌性ポリマー粒子。
  5. 【請求項5】 抗菌性金属成分の担持量が、金属換算
    で、全体の0.01〜70重量%である請求項1記載の
    抗菌性ポリマー粒子。
  6. 【請求項6】 窒素含有親水性ユニットと、酸素含有官
    能基、窒素含有官能基又はイオウ含有官能基を有するユ
    ニットと、架橋ユニットとを有する平均粒子径1nm〜
    10μmの親水性ポリマー粒子と、このポリマー粒子の
    前記官能基に対して化学結合して担持された抗菌性銀成
    分とで構成され、抗菌性銀成分の担持量が、銀換算で、
    全体の1〜50重量%である請求項1記載の抗菌性ポリ
    マー粒子。
  7. 【請求項7】 金属イオン又は金属化合物で構成された
    抗菌性金属成分を、酸素原子、窒素原子、イオウ原子お
    よびリン原子からなる群から選択される少なくとも1つ
    の原子を含み、かつ架橋構造を有する親水性ポリマー粒
    子の官能基に化学的に結合して担持させる抗菌性ポリマ
    ー粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の抗菌性ポリマー粒子と樹
    脂とを含む樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の抗菌性ポリマー粒子と樹
    脂とを混合する抗菌性樹脂組成物の製造方法。
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