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JPH10287506A - 抗菌剤、抗菌性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

抗菌剤、抗菌性樹脂組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10287506A
JPH10287506A JP9095644A JP9564497A JPH10287506A JP H10287506 A JPH10287506 A JP H10287506A JP 9095644 A JP9095644 A JP 9095644A JP 9564497 A JP9564497 A JP 9564497A JP H10287506 A JPH10287506 A JP H10287506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
group
resin
polymer
antibacterial agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9095644A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Arima
弘朗 在間
Shiro Sakai
史郎 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO, KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK filed Critical KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
Priority to JP9095644A priority Critical patent/JPH10287506A/ja
Publication of JPH10287506A publication Critical patent/JPH10287506A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性金属成分を用い、コーティング剤など
の樹脂組成物での分散性、樹脂との親和性、被膜特性を
改善でき、抗菌活性の高い抗菌剤を得る。 【解決手段】 酸素原子、窒素原子、イオウ原子などの
原子を含む官能基を有するポリマーで構成されたポリマ
ー粒子(架橋構造を有する平均粒子径0.1nm〜10
0μm)と、前記官能基に対して化学結合(配位結合な
ど)して担持させた抗菌性金属成分(銀成分など)とで
抗菌剤を構成する。抗菌性金属成分の担持量は、金属換
算で、全体の0.01〜50重量%程度である。この抗
菌剤は、樹脂との親和性が高く抗菌性樹脂組成物(コー
ティング用樹脂組成物など)として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の微生物(細
菌,カビ類など)に対して抗菌性を有効に発現する抗菌
剤およびその製造方法、前記抗菌剤を含み、コーティン
グ剤などとして有用な抗菌性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、清潔志向の高まりなどにより様々
な製品の抗菌処理が検討されている。この抗菌処理は、
通常、抗菌剤をプラスチックに練り込んだり、抗菌剤を
含有する塗料をコーティングする方法などにより行われ
ている。抗菌剤は、有機系抗菌剤と、抗菌活性を有する
金属イオン(銀、亜鉛、銅など)をゼオライト、シリカ
ゲルなどの粒子状無機担体に担持させた無機系抗菌剤と
に大別できる。有機系抗菌剤は、抗菌効果、即効性、有
機基材への分散性に優れているものの基材からの溶出、
人体への安全性、菌における薬剤耐性の発現、耐熱性な
どの点で問題がある。これに対して、無機系抗菌剤は、
種々の利点、例えば、耐熱性、広い抗菌スペクトル、薬
剤耐性が獲得しにくい、人体への安全性などに優れ、現
在、抗菌剤の主流となっている。
【0003】一方、抗菌剤の抗菌活性は、抗菌剤を含有
する製品表面のみで発現する。従って、高価な抗菌剤を
効率よく利用するためには、抗菌剤を製品の表面にコー
ティングするのが有効である。
【0004】しかし、無機系抗菌剤を基材表面のコーテ
ィングに適用すると、種々の問題が生じる。例えば、無
機系抗菌剤は、基本的に親水性のゼオライト、シリカゲ
ルなどを担体とするため、コーティング剤に配合する
と、i)抗菌剤をコーティング剤に均一に分散するのが
困難であり、ii)担体粒子径および比重が比較的大きい
ため、コーティング剤中で沈降して分離しやすく、菌と
の接触頻度を高めて十分な抗菌効果を発現させるために
は多量の抗菌剤を配合する必要がある。さらに、iii)
有機バインダーとの密着性が劣るため、抗菌剤がコーテ
ィング膜表面から脱落しやすいとともに、コーティング
膜の機械的強度も低下し、iv)コーティング膜の透明性
を損なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、無機系の抗菌性金属成分を用いるにも拘らず、高い
抗菌活性を有効に発現できる抗菌剤およびその抗菌剤を
含む抗菌性樹脂組成物、並びにそれらの製造方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、コーティング剤
などの樹脂組成物として利用しても、分散性、有機高分
子との親和性、被膜特性に優れる抗菌剤およびそれを含
む抗菌性樹脂組成物、並びにそれらの製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討の結果、抗菌性金属成分を有機
高分子の担体に担持させると、抗菌性コーティング剤な
どとして有用な抗菌性樹脂組成物が得られることを見い
だし、本発明を完成した。すなわち、本発明の抗菌剤
は、金属イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属
成分が、ポリマー粒子に化学的に結合して担持されてい
る。この抗菌剤において、通常、酸素原子、窒素原子、
イオウ原子およびリン原子からなる群から選択される少
なくとも1つの原子を含む官能基を介して、抗菌性金属
成分は、ポリマー粒子と化学的に結合している。前記ポ
リマー粒子は、架橋構造を有していてもよく、多孔質で
あってもよい。ポリマー粒子の平均粒子径は、0.1n
m〜100μm程度である。抗菌性金属成分には、銀、
白金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、ク
ロムなどから選択された少なくとも1つの金属成分が含
まれ、抗菌性金属成分の担持量は、金属換算で、全体の
0.01〜70重量%程度である。本発明の方法では、
金属イオン又は金属化合物で構成された抗菌性金属成分
を、ポリマー粒子の官能基に化学的に結合して担持させ
ることにより抗菌剤を製造する。本発明には、前記抗菌
剤と樹脂とを含む樹脂組成物、前記抗菌剤とバインダー
樹脂とを含むコーティング用樹脂組成物も含まれる。上
記抗菌性樹脂組成物は、抗菌剤と樹脂(バインダー樹
脂)とを混合することにより製造できる。
【0007】本明細書において、抗菌性金属成分の「担
持」とは、抗菌性が発現する限り、抗菌性金属成分がポ
リマー粒子の表面及び/又は内部に保持されていること
を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
[ポリマー粒子]ポリマー粒子の種類は、樹脂組成物の
バインダー樹脂や溶剤に対して非溶解性(難解性又は不
溶性)であれば特に限定されない。ポリマー粒子を構成
するポリマーには、例えば、合成高分子、天然高分子、
包接化合物などが例示され、好ましくは合成高分子であ
る。
【0009】ポリマー粒子を構成する合成高分子として
は、例えば、変性オレフィン系樹脂[エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチ
レン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エポキシ変
性ポリエチレン、エポキシ変性ポリプロピレンなど]、
スチレン系樹脂[ポリスチレン、スチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アル
キルエステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸
エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無
水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン共
重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体
(SB樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)など]、アクリル系樹脂
[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸
エステルの単独又は共重合体など]、ポリビニルアルコ
ール、酢酸ビニル系樹脂[ポリ酢酸ビニル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体など]、ビニルエーテル系樹脂[ポ
リビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテ
ル、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体な
ど]、ハロゲン含有樹脂[ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデンなど]、ポリエステル(ポリC2-4 アルキレン
テレフタレート,ポリC2-4 アルキレンナフタレート,
共重合ポリエステル樹脂,変性ポリエステル樹脂な
ど)、ポリアミド(共重合ポリアミド樹脂,変性ポリア
ミド樹脂を含む)、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアミノ酸などの熱可塑性樹脂の他、熱硬化
性又は架橋性樹脂[不飽和ポリエステル樹脂、ジアリル
フタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン、フェノール
樹脂、アミノ樹脂(ポリ尿素(尿素樹脂),グアナミン
樹脂,メラミン樹脂など)、ポリシランなど]が例示で
きる。
【0010】天然高分子としては、例えば、セルロー
ス、部分疎水化(例えばアセチル化)セルロース、デン
プン、キチン、キトサン、ゼラチン、ポリペプチド、ポ
リヌクレオチドなどが例示できる。包接化合物として
は、例えば、シクロデキストリン、クラウンエーテル誘
導体、シクロファン誘導体などが例示できる。これらの
ポリマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。
【0011】抗菌性金属成分の抗菌活性を有効に発現さ
せるため、ポリマー粒子は多孔質であってもよい。多孔
質ポリマー粒子の比表面積は、例えば、10〜1000
2/g、好ましくは50〜1000m2 /g、さらに
好ましくは100〜1000m2 /g程度である。
【0012】粉粒状ポリマー粒子を構成するポリマー
は、通常、抗菌性金属成分に対して化学結合可能な官能
基、例えば、ハロゲン原子(特に塩素又は臭素原子)、
特に酸素原子、窒素原子、イオウ原子およびリン原子か
らなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む官
能基を有している。酸素原子を含む官能基としては、例
えば、カルボキシル基又はその誘導体基(酸ハライド
基,酸無水物基など)、ヒドロキシル基、アシル基(ホ
ルミル,アセチル基などのC1-4 アシル基など)、カル
ボニル基、アセチルアセトン構造を含むポリカルボニル
基、エーテル基、ポリエチレングリコール構造を含むポ
リエーテル基、クラウンエーテル基、カテコール構造を
含む芳香族ポリヒドロキシル基、サリチル酸構造を含む
芳香族ヒドロキシカルボニル基、フタル酸構造を含むポ
リカルボン酸基、エポキシ基、複素環基(フリル基,ク
ロマニル基など)などが例示できる。
【0013】窒素原子を含む官能基としては、例えば、
アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ,エチ
ルアミノ基などのモノC1-4 アルキルアミノ基など)、
ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ,ジエチルアミノ
基などのジC1-4 アルキルアミノ基など)、アゾ基、ア
ミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、シアノ基、窒
素含有複素環基(ピロリル基,イミダゾリル基、ピリジ
ル基、ビピリジル基、ピロリル基、ピペリジニル基,ピ
ペラジニル基,キノリル基、ベンズイミダゾリル基、フ
ェナンスロリル基など)、アザクラウンエーテル基など
が例示できる。
【0014】イオウ原子を含む官能基としては、メルカ
プト基(チオール基)、チオキソ基、チエニル基、チオ
アセチル基、アルキルチオニル基、チオカルバモイル
基、スルホニル基、チオカルボキシル基、スルホン酸基
(スルホ基)、スルフィン酸基(スルフィノ基)、チオ
尿素基(チオウレイド基)、チアクラウンエーテル基、
チオエーテル基、複素環基(チオフェニル基など)など
が例示できる。リン原子を含む官能基としては、リン酸
基などが例示できる。
【0015】酸素原子および窒素原子を含む官能基とし
ては、例えば、ニトロ基、アミド基、イミド基、ウレイ
ド基、アミノヒドロキシエチル基のようなアミノアルコ
ール基、アミノフェノール基、キノリノ基、イミジノ酢
酸基のようなアミノポリカルボン酸基、オキシム基、ア
ミドオキシム基、複素環基(モルホリノ基,モルホリニ
ル基など)などが例示できる。
【0016】上記官能基は複数組み合わせることができ
る。官能基の種類によって金属イオン又は金属化合物と
の結合の強さが異なるので、種類の異なる官能基を複数
組み合わせて用いることにより、ポリマー粒子からの金
属イオン又は金属化合物の放出を制御できる。
【0017】官能基の種類は抗菌性金属成分の種類に応
じて選択できる。好ましい官能基には、酸素含有官能基
[例えば、カルボキシル基、ポリカルボニル基、クラウ
ンエーテル基、ポリカルボン酸基など]、窒素含有官能
基[例えば、アザクラウンテル基、窒素含有複素環基
(イミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基など)な
ど]、イオウ含有官能基[チオール基、チオウレイド
基、チオカルバモイル基など]が含まれる。このような
官能基と、抗菌性金属成分(例えば、銀成分)とを組合
わせると、錯体を有効に形成できる。
【0018】ポリマー粒子の官能基濃度は、例えば、ポ
リマー粒子1g当たり、0.01〜10ミリモル程度で
ある。
【0019】ポリマー粒子は架橋構造を有していてもよ
い。架橋構造を有するポリマー粒子は、自己架橋ポリマ
ー粒子(例えば、熱硬化性樹脂の硬化又は架橋粒子な
ど)であってもよく、架橋剤を用いた架橋ポリマー粒子
であってもよい。このような架橋ポリマー粒子は耐熱性
が高く、焼き付け塗料、押し出し成形などのように、高
温(例えば、300℃程度)に晒されても高い耐性を示
す。架橋剤としては、ポリマーの官能基の種類に応じて
選択でき、例えば、重合性不飽和単量体を原料とするポ
リマー(ビニル重合型ポリマー)では、通常、共重合性
単量体として多官能重合性単量体[ジビニルベンゼン、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ又
はテトラ(メタ)アクリレートなど]が使用される。
【0020】縮合又は付加反応性単量体を原料とするポ
リマー(縮合型又は付加縮合型ポリマー)では、ポリマ
ーの官能基に対して反応性の2以上の官能基を有する化
合物が使用できる。ポリマーが複数のカルボキシル基又
は酸無水物基を有する場合、例えば、多価金属イオン
(マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ジルコニ
ウムイオンなど);ポリイソシアネート(トリレンジイ
ソシアネートなど);ポリアミン(エチレンジアミン、
ヒドラジン、フェニレンジアミンなど);複数のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂など);ビ
スオキサゾリン化合物(1,3−ビス(オキサゾリ−2
−イル)ベンゼンなど)などが挙げられる。
【0021】ポリマーがヒドロキシル基を有する場合、
例えば、ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネー
トなど);多価カルボン酸又はその反応性誘導体(アジ
ピン酸、フタル酸、これらの酸ハライド、無水マレイン
酸、無水フタル酸などの酸無水物);加水分解性シリル
基を有する化合物(ジクロロジメチルシラン、ジクロロ
テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシランなど);複数のメチロー
ル基又はアルコキシメチル基を有する化合物(尿素樹
脂,メラミン樹脂など);ビスオキサゾリン化合物
(1,3−ビス(オキサゾリ−2−イル)ベンゼンな
ど)などが挙げられる。
【0022】ポリマーがアミノ基、アミド基などを有す
る場合、例えば、ポリイソシアネート(トリレンジイソ
シアネートなど);多価カルボン酸又はその反応性誘導
体(アジピン酸、フタル酸、これらの酸ハライド、無水
マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物);加水分解
性シリル基を有する化合物(ジクロロジメチルシラン、
ジクロロテトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシランなど);複数のエ
ポキシ基を有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂な
ど);ビスオキサゾリン化合物(1,3−ビス(オキサ
ゾリ−2−イル)ベンゼンなど)などが挙げられる。
【0023】架橋構造を有するポリマー粒子としては、
例えば、ジビニルベンゼンなどの多官能重合性単量体を
架橋剤とする架橋ポリマー粒子(架橋スチレン系樹脂粒
子,架橋アクリル系樹脂粒子など)、架橋熱硬化性樹脂
粒子(架橋シリコーン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、架
橋グアナミン樹脂粒子,架橋メラミン樹脂粒子など)が
例示できる。
【0024】ポリマー粒子の架橋度は、例えば、架橋剤
換算で、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20
重量%、より好ましくは1〜10重量%程度である。
【0025】ポリマー粒子は、抗菌活性を高めるため、
必要によりさらに有機系抗菌剤を含有していてもよい。
ポリマー粒子の形状は、球状、板状、棒状、花弁状など
のいずれであってもよい。ポリマー粒子の平均粒子径
は、例えば、0.1nm〜100μm、好ましくは1n
m〜30μm(例えば、1nm〜5μm)、より好まし
くは5nm〜10μm(特に10nm〜1μm)程度で
あり、10〜500nm程度であってもよい。
【0026】ポリマー粒子の粒径は用途に応じて前記の
範囲から選択できるが、ナノサイズのポリマー粒子を用
いると、樹脂組成物において均一に分散できることに加
えて、樹脂組成物中の抗菌性金属成分の含有量を高める
ことができ、少ない添加量で高い抗菌効果を得ることが
できる。さらに、ポリマー粒子に対する抗菌性金属成分
の担持状態(抗菌性金属成分に対する配位性の異なる官
能基のポリマー粒子への導入など)、抗菌性金属成分の
周囲環境(ポリマー粒子の親水性乃至疎水性)のコント
ロールにより抗菌性金属成分の放出を制御でき、速効性
ないし持続性の抗菌剤を得ることができる。
【0027】[抗菌性金属成分]本発明の抗菌剤におい
て、抗菌性金属成分は、ポリマー粒子に化学結合して担
持されている。特に、抗菌性金属成分は、前記官能基
(特に、酸素原子、窒素原子、イオウ原子およびリン原
子からなる群から選択される少なくとも1つの原子を含
む官能基)を介して、ポリマー粒子に化学結合してい
る。なお、「化学結合」「化学的結合」とは、イオン結
合および配位結合の双方を含む意味に用いる。
【0028】抗菌性金属成分は、抗菌性を有する金属イ
オンおよび金属化合物で構成されており、これらの抗菌
性金属成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。抗菌性を有する金属イオンとしては、例えば、銀イ
オン(銀(I)または(II)イオン)、白金イオン、銅イオ
ン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、モ
リブデンイオンおよびクロムイオンを挙げることができ
る。好ましい抗菌性金属イオンは、銀(I)イオン、銅イ
オンおよび亜鉛イオン、特に銀イオンである。
【0029】抗菌性を有する金属化合物としては、銀、
白金、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデンおよ
びクロムから選択された少なくとも一種の金属化合物が
例示でき、通常、前記ポリマーの官能基に対して反応性
又は配位性の金属化合物が使用できる。前記金属化合物
は金属錯体であってもよく、この金属錯体は、アニオン
性、カチオン性又は中性のいずれであってもよい。アニ
オン性錯体の場合、対カチオンは、抗菌性を有する第四
級アンモニウム(フェニルジメチルアルキルアンモニウ
ム、ジデシルジメチルアンモニウム、セチルトリメチル
アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなど)である
のが好ましい。
【0030】好ましい金属化合物には、銀化合物、例え
ば、ハロゲン化銀(AgCl,AgBrなど)、ハロゲ
ン酸塩や過ハロゲン酸塩(AgClO4 ,AgCl
3 ,AgBrO3 ,AgIO3 など)、無機酸塩(硫
酸銀,硝酸銀、炭酸銀など)、有機酸塩(酢酸銀,シュ
ウ酸銀など)、錯体(ジシアノ錯体,ジチオスルファイ
ト錯体,ジアンミン錯体,ジクロロ錯体など)が含まれ
る。前記抗菌性金属成分は、前記ポリマーの官能基に対
して反応又は配位可能であるのが好ましい。例えば、前
記抗菌性金属成分(銀成分など)は、前記ポリマーの官
能基に対して配位し、錯体(チオール錯体,チオウレイ
ド錯体,ピリジル錯体,ビピリジル錯体,フェナントロ
リル錯体,ヒスチジル錯体など)を形成してもよい。
【0031】抗菌性金属成分の担持量は、抗菌性を損な
わない範囲であればよく、例えば、金属換算で、高分子
化合物微粒子の全重量の0.01〜70重量%、好まし
くは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜1
5重量%である。
【0032】本発明の好ましい抗菌剤には、例えば、架
橋構造を有するとともに、酸素含有官能基、窒素含有官
能基、イオウ含有官能基などを有し、平均粒子径1nm
〜10μm(例えば、1nm〜3μm,好ましくは10
〜500nm、特に50〜500nm程度)のポリマー
粒子(架橋スチレン系樹脂粒子など)と、このポリマー
粒子の前記官能基に対して化学結合(特に配位結合)し
て担持された抗菌性銀成分とで構成されている。この抗
菌剤において、抗菌性銀成分の担持量は、銀換算で、全
体の0.05〜30重量%(好ましくは1〜10重量
%)程度である。
【0033】[抗菌剤の製造方法]本発明の抗菌剤は、
抗菌性金属成分を、ポリマー粒子の官能基に化学的に結
合して担持させることにより調製できる。前記ポリマー
粒子は、粉砕および分級、懸濁重合、乳化重合などの慣
用の方法を利用して調製できる。架橋構造を有するポリ
マー粒子は、重合造粒法[架橋構造を形成するための架
橋剤と,抗菌性金属成分と化学結合可能な官能基を有す
る重合性単量体とで構成された単量体混合物を、i)水
性媒体中、乳化剤の存在下で重合する懸濁重合法、ii)
水性媒体中、乳化剤の存在下又は非存在下で重合する乳
化重合法、iii)非水性媒体中、分散安定剤の存在下で
重合する分散重合法など];液中硬化法[iv)抗菌性金
属成分に対して化学結合可能な官能基を含むポリマーの
溶液を、前記ポリマーの貧溶媒に添加混合して媒体中で
ポリマー粒子を生成させた後、架橋剤を添加して硬化す
る方法、v)架橋剤とポリマーとの混合液を、ポリマー
に対する貧溶媒に添加混合して媒体中でポリマー粒子を
生成させた後、硬化する方法];分散造粒法[vi)架橋
剤とポリマーとの混合物を噴霧乾燥するスプレードライ
法など]などが採用できる。なお、自己架橋性を有する
熱硬化性樹脂の架橋ポリマー粒子は、架橋剤を用いるこ
となく、上記と同様にして調製できる。
【0034】なお、抗菌性金属成分に対して化学結合可
能な官能基は、ポリマーの原料となる前記単量体や架橋
剤に由来してもよく、生成したポリマーに高分子反応な
どを利用して導入してもよい。高分子反応を利用してポ
リマーに前記官能基を導入する方法としては、例えば、
キレート樹脂などの金属イオン吸着性樹脂の調製方法に
準じた慣用の方法が採用できる。例えば、メルカプト
基,ビピリジル基は、Ueyama, N, et al. Inorg. Chem.
Acta. 89, 19-23 (1984)に記載されている方法に準じ
て導入できる。イミダゾール基の導入は、例えば、クロ
ロメチル基を有するポリマーと、例えば、ヒスチジンと
を反応させることにより行うことができる。
【0035】ポリマー粒子に対する抗菌性金属成分の担
持は、例えば、必要によりポリマー粒子を溶媒で膨潤さ
せ、抗菌性金属成分を含む溶液を添加混合し、抗菌性金
属成分をポリマーに化学結合させることにより行うこと
ができる。抗菌性金属成分を担持させた後、ポリマーの
貧溶媒と良溶媒を用いて洗浄し、乾燥することにより、
本発明の抗菌剤が得られる。
【0036】本発明の抗菌剤は、抗菌性金属成分とポリ
マー粒子とが化学結合しているので、高い抗菌活性を長
期間に亘り発現する。しかも、ポリマー粒子が担体とし
て機能するため、有機高分子との親和性が高い。従っ
て、本発明の抗菌剤は、樹脂と組み合わせて抗菌性樹脂
組成物を構成するのに有用である。
【0037】[抗菌性樹脂組成物]抗菌性樹脂組成物に
おいて、樹脂は、用途に応じて広い範囲から選択でき
る。樹脂としては、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂
(ポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル基,酸
無水物基やエポキシ基などで変性されたポリエチレンや
変性ポリプロピレンなど)、アクリル系樹脂(ポリメタ
クリル酸メチル,カルボキシル基含有アクリル樹脂,ヒ
ドロキシル基含有アクリル樹脂,エポキシ基含有アクリ
ル樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン,AS樹
脂、ABS樹脂、スチレンと(メタ)アクリル系単量体
との共重合体など)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニ
ル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,酢酸ビニル−塩化
ビニル共重合体など)、ビニルアルコール系重合体(ポ
リビニルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重
合体など)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルな
ど)、ポリエステル樹脂(ポリアルキレンテレフタレー
ト,ポリアルキレンナフタレート、共重合ポリエステル
樹脂、変性ポリエステル樹脂など)、ポリウレタン樹
脂、ポリアミド樹脂、ゴムなど]、熱硬化性樹脂[エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂,メラ
ミン樹脂など)など]、光硬化性樹脂[エポキシ(メ
タ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポ
リエステル(メタ)アクリレートなどの光硬化性オリゴ
マー、多官能性(メタ)アクリレート,窒素含有モノマ
ーなどの光硬化性モノマー]などが例示できる。樹脂
は、水溶性樹脂であってもよく有機溶媒可溶性樹脂であ
ってもよい。さらに、樹脂は、水性分散体(エマルジョ
ン,ラテックスなど)、非水性分散体(オルガノゾルな
ど)として使用できる。これらの樹脂は単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。
【0038】本発明の樹脂組成物は、押出し成形、射出
成形などの成型加工に利用される成形用樹脂を含む抗菌
性成形用樹脂組成物や、接着剤用樹脂を含む樹脂組成物
あってもよいが、塗料などのコーティング剤用樹脂(有
機バインダー樹脂)を含むコーティング用樹脂組成物で
あるのが好ましい。
【0039】コーティング用樹脂組成物の形態は、粉粒
体で構成された粉体コーティング剤、溶媒が水性溶媒で
構成された水性コーティング剤、溶媒が有機溶媒で構成
された溶剤型コーティング剤などのいずれであってもよ
い。水性溶媒としては、水単独、水と水溶性有機溶媒
(アルコール類,ケトン類,エーテル類,セロソルブ類
など)との混合溶媒が例示でき、有機溶媒としては、ヘ
キサンなどの脂肪族炭化水素類,シクロヘキサンなどの
脂環族炭化水素類,トルエンなどの芳香族炭化水素類,
酢酸エチルなどのエステル類,メチルエチルケトンなど
のケトン類,エーテル類,これらの混合溶媒などが例示
できる。
【0040】前記抗菌剤は樹脂に対して親和性の高いポ
リマー粒子を含んでいるため、樹脂組成物に多量に添加
しても樹脂組成物の特性の低下を抑制できる。そのた
め、抗菌剤の使用量は、広い範囲から選択でき、例え
ば、固形分換算で、樹脂100重量部に対して0.01
〜200重量部、好ましくは0.1〜100重量部、さ
らに好ましくは0.5〜50重量部程度である。
【0041】本発明の抗菌性樹脂組成物は、種々の添加
剤、例えば、安定剤(酸化防止剤,紫外線吸収剤,熱安
定剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、界
面活性剤、充填剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴
剤、レべリング剤などを含んでいてもよい。
【0042】抗菌性樹脂組成物(又はコーティング用樹
脂組成物)は、前記抗菌剤と、樹脂又はバインダー樹脂
と、必要により溶媒や添加剤などを混合することにより
調製できる。樹脂組成物の調製には、樹脂組成物の形態
に応じて、慣用の装置、問えば、混練機、分散機、混合
機などが利用できる。
【0043】このような抗菌性樹脂組成物は高い抗菌活
性を長期間に亘り持続できる。特に、製品の表面で抗菌
性を有効に発現させるためには、抗菌剤を含む塗布膜
(コーティング膜)を形成するのが有利である。塗布膜
の厚みは、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜3
00μm程度の範囲から適当に選択できる。コーティン
グ膜は、慣用のコーティング方法(スプレーコーティン
グ,ロールコーティング,グラビアロールコーティング
など)でコーティング用樹脂組成物を基材に塗布し、乾
燥(必要により加熱硬化)又は光照射(紫外線照射な
ど)させることにより形成できる。基材としては、紙、
木材、プラスチック、ガラスを含むセラミックス、金属
などが利用できる。
【0044】本発明の抗菌剤を塗料などのコーティング
剤に利用すると、抗菌剤を均一かつ容易に分散させるこ
とができ、分散安定性が高く、沈降分離などが生じるの
を防止できる。そのため、少量の抗菌剤であっても抗菌
剤の活性を有効に発現できる。さらに、有機バインダー
との親和性や密着性が高いので、均一で機械的強度が高
く、透明性の高いコーティング膜を形成できる。
【0045】
【発明の効果】本発明では、抗菌剤の抗菌性金属成分が
ポリマー粒子に化学結合しているため、無機系の抗菌性
金属成分を用いるにも拘らず、高い抗菌活性を有効かつ
長期間に亘り発現できる。また、コーティング剤などの
樹脂組成物として利用しても、抗菌剤は、分散性、有機
高分子との親和性、被膜特性に優れる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 [塩素含有架橋ポリスチレン微粒子の調製]スチレン
(7.8g,0.075モル)、クロロメチル化スチレ
ン(3.5g,0.023モル)およびエチレングリコ
ールジメタクリレート(0.4g,0.002モル)の
混合液を、過硫酸カリウム(0.2g)を用いてソープ
フリー乳化重合を行い、粒子径200〜300nmの塩
素含有架橋ポリスチレン(スチレン−クロロメチル化ス
チレン共重合体)微粒子を得た。
【0047】[銀錯体担持ポリマー微粒子の調製]ジオ
キサン(27g)およびアセトン(30g)の混合溶媒
にチオ尿素(2.85g)を溶解した後、この溶液に前
記塩素含有架橋ポリスチレン微粒子(5g,塩素含有量
7ミリモル)を分散し、3時間還流した。反応混合液を
冷却した後、溶媒を減圧留去し、ポリマー微粒子をテト
ラヒドロフランに再分散した後、水酸化ナトリウム/メ
タノール混合液を添加して3時間還流した。反応混合液
を冷却した後、弱酸性になるまで0.1N塩酸を添加
し、室温で0.5時間撹拌した。次いで、アルゴンガス
気流下、反応混合液にポリマー微粒子が収縮するまで水
を添加し、液層をデカンテーションにより除去し、メタ
ノールを添加してポリマー微粒子を2回洗浄した。前記
テトラヒドロフランによる膨潤と、メタノールによる収
縮洗浄操作を5回繰り返し、減圧乾燥し、チオール基を
導入したポリマー粒子を得た。
【0048】得られたポリマー微粒子をテトラヒドロフ
ランで膨潤させた後、過塩素酸銀(1.5g)のテトラ
ヒドロフラン溶液20mlを添加し、1時間撹拌した
後、前記テトラヒドロフランによる膨潤と、メタノール
による収縮洗浄操作を5回繰り返し、減圧乾燥すること
により、銀錯体担持ポリマー微粒子を得た。ポリマー微
粒子中の銀含有量は10.5重量%であった。
【0049】実施例2 実施例1と同様にして調製した塩素含有架橋ポリスチレ
ン(スチレン−クロロメチル化スチレン共重合体)の微
粒子(5g)と、臭化水素/酢酸混合液とを用いて、臭
素含有架橋ポリスチレン(スチレン−ブロモメチル化ス
チレン共重合体)微粒子を得た。このポリマー微粒子
(5g)をテトラヒドロフラン30mlに分散し、ビピ
リジル(0.75g,4.8ミリモル)を溶解し、n−
ブチルリチウム(4.8ミリモル)のヘキサン溶液を添
加し、室温で6時間撹拌した。反応混合液にポリマー微
粒子が収縮するまで水を添加し、液層をデカンテーショ
ンにより除去し、メタノールを添加してポリマー微粒子
を2回洗浄した。次いで、前記テトラヒドロフランによ
る膨潤と、メタノールによる収縮洗浄操作を5回繰り返
し、減圧乾燥し、ビピリジル基を導入したポリマー粒子
を得た。次いで、実施例1と同様にしてチオ尿素(1.
5g)と反応させてチオール基も導入した。
【0050】得られたポリマー微粒子をテトラヒドロフ
ランで膨潤させた後、過塩素酸銀(1.5g)のテトラ
ヒドロフラン溶液20mlを添加し、1時間撹拌した
後、前記テトラヒドロフランによる膨潤と、メタノール
による収縮洗浄操作を5回繰り返し、減圧乾燥すること
により、銀錯体担持ポリマー微粒子を得た。ポリマー微
粒子中の銀含有量は8.9重量%であった。
【0051】実施例3 クロロメチル化ポリスチレンビーズ(ジビニルベンゼン
2重量%架僑,塩素含有量0.97ミリモル/g,ナカ
ライテスク社製)を用いて実施例1と同様にしてチオー
ル基を導入し、次いで銀イオンと反応させて銀担持ポリ
マービーズを得た。ビーズ中の銀含有量は4.3重量%
であった。
【0052】実施例4 スチレンに代えてメチルメタクリレート(7.8g,
0.078モル)を用いる以外、実施例1と同様にし
て、塩素含有架橋ポリマー微粒子を調製し、次いで、チ
オール基、続いて銀イオンを導入し、銀担持ポリマー微
粒子を得た。ポリマー微粒子中の銀含有量は9.8重量
%であった。
【0053】実施例5 実施例1と同様にして調製した塩素含有架橋ポリスチレ
ン微粒子(5g)をジメチルホルムアミド(DMF)3
0mlに分散し、この混合液にL−ヒスチジンメチルエ
ステル(2.8g,14ミリモル)を添加し、50℃で
6時間反応させた。反応混合液を冷却した後、遠心分離
により反応混合液からポリマー微粒子を分離した。回収
したポリマー微粒子を少量のDMFで膨潤させた後、メ
タノールを添加して収縮させた。この膨潤・収縮操作を
5回繰り返してポリマー微粒子を洗浄し、減圧乾燥して
イミダゾール基を導入したポリマー微粒子を得た。この
ポリマー微粒子と過塩素酸銀(1.5g)とを実施例1
と同様にして反応させ、銀錯体担持ポリマー微粒子を得
た。ポリマー微粒子中の銀含有量は5.1重量%であっ
た。
【0054】そして、試験菌株(S. aureus ATCC 538、
およびE. coli ATCC 8739)について混釈法により抗菌
性を評価したところ、実施例1〜5で得られたいずれの
抗菌剤(銀担持ポリマー粒子)にも抗菌活性が認められ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 57/00 A01N 57/00 Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオン又は金属化合物で構成された
    抗菌性金属成分が、ポリマー粒子に化学的に結合して担
    持されている抗菌剤。
  2. 【請求項2】 酸素原子、窒素原子、イオウ原子および
    リン原子からなる群から選択される少なくとも1つの原
    子を含む官能基を介して、抗菌性金属成分が、ポリマー
    粒子と化学的に結合している請求項1記載の抗菌剤。
  3. 【請求項3】 ポリマー粒子が架橋構造を有する請求項
    1記載の抗菌剤。
  4. 【請求項4】 ポリマー粒子が多孔質である請求項1記
    載の抗菌剤。
  5. 【請求項5】 ポリマー粒子の平均粒子径が、0.1n
    m〜100μmである請求項1記載の抗菌剤。
  6. 【請求項6】 抗菌性金属成分が、銀、白金、銅、亜
    鉛、ニッケル、コバルト、モリブデンおよびクロムから
    なる群より選択される少なくとも1つの金属成分である
    請求項1記載の抗菌剤。
  7. 【請求項7】 抗菌性金属成分の担持量が、金属換算
    で、全体の0.01〜70重量%である請求項1記載の
    抗菌剤。
  8. 【請求項8】 架橋構造を有するとともに、酸素含有官
    能基、窒素含有官能基又はイオウ含有官能基を有し、平
    均粒子径1nm〜30μmのポリマー粒子と、このポリ
    マー粒子の前記官能基に対して化学結合して担持された
    抗菌性銀成分とで構成され、抗菌性銀成分の担持量が、
    銀換算で、全体の0.05〜30重量%である請求項1
    記載の抗菌剤。
  9. 【請求項9】 金属イオン又は金属化合物で構成された
    抗菌性金属成分を、ポリマー粒子の官能基に化学的に結
    合して担持させる抗菌剤の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の抗菌剤と樹脂とを含む
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の抗菌剤とバインダー樹
    脂とを含むコーティング用樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の抗菌剤と樹脂とを混合
    する抗菌性樹脂組成物の製造方法。
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