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JPH1121578A - 過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物およびその製造法 - Google Patents

過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物およびその製造法

Info

Publication number
JPH1121578A
JPH1121578A JP9695498A JP9695498A JPH1121578A JP H1121578 A JPH1121578 A JP H1121578A JP 9695498 A JP9695498 A JP 9695498A JP 9695498 A JP9695498 A JP 9695498A JP H1121578 A JPH1121578 A JP H1121578A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkaline earth
earth metal
water
mol
overbased
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9695498A
Other languages
English (en)
Inventor
Sanae Ueda
早苗 上田
Yukio Takagi
幸夫 高木
Jun Imai
潤 今井
Haruhiko Takeya
晴彦 竹矢
Koichi Tsumura
興一 津村
Makoto Nishishita
誠 西下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by COSMO SOGO KENKYUSHO KK, Cosmo Oil Co Ltd filed Critical COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Priority to JP9695498A priority Critical patent/JPH1121578A/ja
Priority to EP98919495A priority patent/EP0989178A4/en
Priority to PCT/JP1998/002012 priority patent/WO1998050500A1/ja
Publication of JPH1121578A publication Critical patent/JPH1121578A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)
  • Solid Fuels And Fuel-Associated Substances (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩基価が高く、100℃で1000cSt以
下の粘度を有し、加水分解安定性と油溶性に優れる過塩
基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物、及び塩基
価が高く、加水分解安定性と油溶性に優れる過塩基性硫
化アルカリ土類金属フェネート濃縮物の製造法を提供す
る。 【解決手段】 アルカリ土類金属試薬、アルカリ土類金
属試薬1モル当たり1〜100当量のフェノール類およ
び硫黄、またはこれらと水を反応器に仕込み、その仕込
み混合物に二価アルコールを反応器内圧力が10〜25
0kPa−Gの状態で加え、反応させ、次いで過剰量の
二価アルコールおよび少なくとも過剰量の水を留去して
得られた蒸留塔底物をアルカリ土類金属試薬1モルあた
り0.3〜0.8モルの水の存在下に二酸化炭素処理
し、かつアルカリ土類金属試薬1モルあたり0.001
〜0.3モルの脂肪酸類を遅くとも二酸化炭素処理まで
に存在せしめ、さらに二酸化炭素処理物中の過剰量のフ
ェノール類を留去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油または燃料
油の清浄分散剤、またはアルカリ清浄剤として有用な新
規な過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物お
よび新規な過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃
縮物の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ土類金属フェネートは、内燃機
用潤滑油に添加して使用される主要添加剤であって、主
として内燃機関内で燃料の燃焼によって発生する酸性物
質を中和して金属の腐食、潤滑油の劣化を抑制し、併せ
てスラッジやその前駆体の油中への分散を促進して機関
部品の固着や摩耗を抑制させる目的で使用される。この
利用目的において、耐熱性、油溶性は重要であり、その
向上のためにアルキルフェノールの硫化を行う事は、公
知の技術である。塩基価は酸中和能力の指標であり、こ
の数値が大きいほど添加剤の酸中和能力は高く、一般に
アルキルフェノールの1/2モル量以上のアルカリ土類
金属またはアルカリ土類金属イオンを含むものを「過塩
基性」アルカリ土類金属フェネートと称している。塩基
価の向上は、添加剤の経済性向上の見地から重要な研究
開発課題であって、これまでに多くの試みが報告されて
いる。例えば、特表平1〜501399、特表平1〜5
01400では、全質量に対して2〜40質量%のカル
ボン酸類をフェネート中に含ませて、金属付加反応を1
回もしくは複数回行うことにより塩基価300mgKO
H/gを越え、粘度が100℃で1000cSt以下の
製品を得ることに成功している。しかしながら、これら
の方法では、高塩基価かつ低粘度という2つの好ましい
特性を同時に満足する製品を得るためには、金属付加反
応を2回以上繰り返すことが必要であった。また、特願
平4〜75252(特開平5〜238976)、特願平
4〜238898(特開平6〜65192)、特願平4
〜355682(特開平6〜184581)の方法によ
れば、過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートの塩基
価を向上させることは可能であるが、色相が暗く、油溶
性に乏しいといった欠点を有していた。また、特表平1
〜501399、特表平1〜501400では、脂肪酸
の添加による塩基価の向上が提案されているが、金属付
加反応を複数回行う必要があるため、工程数が増え、製
造コストが高くなるといった欠点を有していた。
【0003】本発明者らは、これまでに課題解決の方法
としてアルカリ土類金属試薬に対して過剰量のアルキル
フェノールを用いる過塩基性硫化アルカリ土類金属フェ
ネートの製造法において、従来の技術ではフェネートの
安定性を低下させる要因として二酸化炭素処理前に系外
へ除去されるべき水を、硫化金属付加反応終了後の中間
生成物から過剰の二価アルコールと反応生成水を留去し
た後に、特定量存在させて二酸化炭素処理すること、お
よび二酸化炭素処理以前に脂肪酸類を特定量添加する方
法を提案しており、一回の金属付加反応のみで、塩基価
250〜400mgKOH/gかつ100℃での粘度1
000cSt以下の製品を得る事に成功している。しか
しながら、400mgKOH/gを上回る塩基価を有
し、かつ100℃での粘度が1000cSt以下である
製品を得ることは依然として困難であった。
【0004】一方、当該製品は、船舶用機関の潤滑油添
加剤として多く使用されるされるため、水分、水蒸気に
対する安定性が要求される。一般に、市販のアルカリ土
類金属フェネート型添加剤は、加水分解安定性の高い添
加剤として使用されるが、潤滑油としての使用状態(塩
基価30mgKOH/g)に希釈し、ASTM D26
19−88に規定する加水分解安定性試験方法において
銅触媒を使用せずに試験を行った場合、24時間後の塩
基価保持率が30%程度であった。上記のように、従来
のアルカリ土類金属フェネート類で、塩基価が高く、し
かも加水分解安定性の優れたものは知られていなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塩基
価が高く、100℃で1000cSt以下の粘度を有
し、加水分解安定性と油溶性に優れる過塩基性硫化アル
カリ土類金属フェネート濃縮物、及び塩基価が高く、加
水分解安定性と油溶性に優れる過塩基性硫化アルカリ土
類金属フェネート濃縮物の製造法を与えることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決するために種々検討を重ねた結果、驚くべき
ことに、反応原料や反応剤の使用量を特定の範囲にする
こと、二価アルコールの反応器への添加順序及び二価ア
ルコールの反応器への添加工程における反応圧力が製品
の塩基価及び加水分解安定性に大きく影響することを見
い出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、アルカリ土類金属酸
化物、アルカリ土類金属水酸化物もしくはそれらの混合
物(以下、アルカリ土類金属試薬という)、アルカリ土
類金属試薬1モル当たり1〜100当量のフェノール類
および硫黄、またはこれらと水を反応器に仕込み、その
仕込み混合物に二価アルコールを反応器内圧力が10〜
250kPa−Gの状態で加え、反応させ、次いで過剰
量の二価アルコールおよび少なくとも過剰量の水を留去
して得られた蒸留塔底物をアルカリ土類金属試薬1モル
あたり0.3〜0.8モルの水の存在下に二酸化炭素処
理し、かつアルカリ土類金属試薬1モルあたり0.00
1〜0.3モルの脂肪酸類を遅くとも二酸化炭素処理ま
でに存在せしめ、さらに二酸化炭素処理物中の過剰量の
フェノール類を留去することを特徴とする過塩基性硫化
アルカリ土類金属フェネート濃縮物の製造法を提供する
ものである。
【0008】また、本発明は、塩基価が350〜500
mgKOH/gであり、100℃における粘度が100
0cSt以下であり、脂肪酸類が全量の1〜20質量%
であり、SAE規格40番の潤滑油基油で塩基価30m
gKOH/gに希釈し、銅触媒を添加せずにASTM
D2619−88の加水分解安定性試験方法と同様の操
作で加水分解を行い、24時間後のサンプルを遠心分離
して得られる上澄み油の塩基価保持率が70%以上であ
ることを特徴とする過塩基性硫化アルカリ土類金属フェ
ネート濃縮物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるフェノール類
は、たとえば、炭素数4〜36個、好ましくは炭素数8
〜32個の炭化水素側鎖、例えばアルキル基、アルケニ
ル基、アラルキル基等を有するフェノール類を挙げるこ
とができる。これらのフェノール類の具体例としては、
ブチル、アミル、オクチル、ノニル、ドデシル、セチ
ル、エチルヘキシル、トリアコンチル等の炭化水素基、
あるいは流動パラフィン、ワックス、オレフィン重合体
(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)の石
油炭化水素から誘導される基を有するフェノール類が挙
げられる。フェノール類は、単独、あるいは2種以上の
混合物にて使用される。フェノール類は、通常約130
℃以下、好ましくは約120℃以下で液状になり得るも
のが望ましい。
【0010】アルカリ土類金属試薬としては、通常アル
カリ土類金属の酸化物あるいは水酸化物もしくはそれら
の混合物が用いられる。例えばカルシウム、バリウム、
ストロンチウム、マグネシウム等の酸化物あるいは水酸
化物が用いられる。フェノール類の使用量は、アルカリ
土類金属試薬1モル当たり1〜100当量であり、好ま
しくは1.6〜10当量である。アルカリ土類金属試薬
に対するフェノール類の量が少な過ぎると中間体がゲル
化してそれ以上反応が進まないため、目的とする良好な
生成物が得られない。また、アルカリ土類金属試薬に対
するフェノール類の量が多過ぎると原料に対する製品の
収率が低下するばかりか、フェノール類の回収に費やす
ユーティリティーや時間が大となり、経済的に不利であ
る。
【0011】次に、二価アルコールとしては、比較的低
沸点かつ低粘度で反応性に富むものが使用される。二価
アルコールは、炭素数2〜6を有することが好ましく、
特にエチレングリコール、プロピレングリコール等が好
ましい。二価アルコールは、フェノール類とアルカリ土
類金属試薬との反応による油溶性物質への転化を助け、
安定化し、一部は製品フェネート中に取り込まれて多当
量化フェネートを構成するものである。本発明法におい
ては、金属付加反応は、反応促進効果のある水を添加し
て行っても、添加しないで行っても良く、添加して行う
場合、二価アルコールの使用量は、アルカリ土類金属試
薬1モル当たり約0.15〜3.0モル、特に約0.3
〜1.5モルが好ましい。また水を添加しないで行う場
合、二価アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1
モル当たり、約1.0〜3.0モル、特に約1.2〜
2.0モルが好ましい。二価アルコールの使用量が少な
すぎると反応原料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転
化率が低下し、多すぎるとフェノール類への金属付加反
応は円滑に進行するが、反応生成物から過剰の二価アル
コールを蒸留留去する時間およびユーティリティーが過
大にかかってしまう。
【0012】硫黄の使用量は、アルカリ土類金属試薬1
モル当たり0.001〜3.0モル、好ましくは0.0
1〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.4モ
ルを用いる。硫黄の使用量を低減するにつれ製品の粘度
は低下するが、多すぎると製品の過塩基性が低下するた
め塩基価の高い製品が得にくくなるばかりでなく、製品
の粘度が著しく高くなってしまうため目的である低粘度
かつ高塩基価の製品が得られなくなってしまう。
【0013】フェノール類へのアルカリ土類金属試薬の
金属付加反応工程において反応を促進するために反応系
中に水を添加する場合は、蒸留水はもちろん缶水や工業
用水、金属付加反応で生成する水などが使用出来その品
質に特に制限はなく、冷水、温水、水蒸気等どのような
状態の水でも使用出来る。金属付加反応促進のために用
いる水の反応器への添加は水単独で行ってもよいし、一
部あるいは全部をフェノール類や二価アルコールなど他
の原料との混合物として添加してもよい。反応器への水
の添加時期は特に制限はなく、水以外の全反応原料が混
合される前でも後でも良いが、全反応原料混合後約1時
間以内に添加するのが好ましい。
【0014】反応系中への金属付加反応促進のために用
いる水の添加量は、使用するアルカリ土類金属試薬1モ
ル当たり約0.01〜10モル、望ましくは0.1〜
2.0モルである。外部から水を反応系中に添加して金
属付加反応を行うと、水を添加しない以外は同一の条件
で反応を行う場合に比べて反応が円滑に進行し、反応原
料特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が高くなる。
従って反応系中へ添加する水が少なすぎるとアルカリ土
類金属試薬の製品転化率が低下してしまう。また逆に多
すぎれば反応後の蒸留工程が簡略化されるという利点が
失なわれる。
【0015】二酸化炭素処理の際に共存させる水の添加
は、フェノール類、二価アルコール、アルカリ土類金属
試薬、および硫黄を加えたもの、またはこれに水を加え
たものより成る原料混合物を反応させ、硫化金属付加反
応を完了した後、蒸留を行って水および過剰の二価アル
コールを留去した後に行われるのが一般である。二酸化
炭素処理の際に共存させる水は、上記の金属付加促進の
ために用いた水と同様に、その品質、状態に制限はな
い。反応系中の水の量は、アルカリ土類金属試薬1モル
当たり0.3〜0.8モル、さらに好ましくは0.3〜
0.6モルに調節する。系中に過剰の二価アルコールが
存在する場合はその留去に当たって最初に添加した水
や、反応により生成した水等の系内の水はすべて前留分
として留出してしまうので、二価アルコールの過剰分を
留去したのち、所定量の水を添加する必要がある。一
方、系中に過剰の二価アルコールが存在しない場合は、
硫化金属付加反応前に反応促進のために添加した水や反
応中生成した水など、反応終了後系中に存在する水から
所定量の水のみを残して過剰分のみを留去しても良い
が、残存量が不明確である場合は、水全量をいったん留
去した後に所定量の水を添加するのがよい。二酸化炭素
処理の際に共存させる水の量は、多くなるにしたがって
製品の塩基価は向上するが、多すぎると製品が加水分解
されすぎ、塩基価、油溶性の低下の原因となり、少なす
ぎると製品の塩基価を向上させる効果が十分に得られな
くなる。
【0016】二酸化炭素処理前に存在させる脂肪酸類と
しては、たとえば、炭素数10〜30、好ましくは16
〜24の脂肪酸、またはそれらの塩で、塩の場合アルカ
リ土類金属塩であることが好ましい。アルカリ土類金属
としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム、スト
ロンチウムなどが挙げられる。また、アルキル基の部分
が直鎖のものであればなお好ましい。脂肪酸類の具体例
としては、たとえば、デカン酸、カプリン酸、ラウリン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などがあ
げられるが、好ましくはステアリン酸である。当該脂肪
酸類は、分子量分布を有する混合物であって良く、ステ
アリン酸純度60〜70%程度の市販ステアリン酸が使
用できる。脂肪酸類の量は、アルカリ土類金属試薬1モ
ル当たり0.001〜0.3モル、好ましくは0.01
〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.3モ
ル、そして最も好ましくは0.05〜0.2モルであ
る。添加する脂肪酸類の量が少ないとフェネートの塩基
価のさらなる向上が認められず、色相および油溶性が低
下する。また多すぎると塩基価が低下する。
【0017】本発明において、反応物、反応中間体、あ
るいは製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を
有する希釈剤もしくは溶剤(以下、希釈剤という。)を
加えることができる。たとえば金属付加反応工程または
二酸化炭素処理を終えたのちの反応生成物中から過剰の
未反応フェノール類を蒸留で回収する際、高沸点で、か
つ適当な粘度を有する希釈剤の存在下で行うことによっ
て反応塔底物は液状の望ましい状態で得ることができ
る。なお、通常は未反応フェノール類の留出に伴って希
釈剤の一部も留出する。したがって、回収フェノール類
を繰り返し反応に供する場合には希釈剤としては反応に
直接悪影響を与えないものが望ましい。また、希釈剤の
存在下に反応を行ってもよい。好ましい希釈剤の例とし
てはパラフィン系、ナフテン系、芳香族系、あるいは混
合系の基油などの適当な粘度の石油留分、例えば、沸点
約220〜550℃で粘度が100℃で約2〜40cS
tの潤滑油留分を挙げることができる。その他の有機溶
媒でも疎水性、かつ、親油性を示し、反応時や製品の用
途面において無害であれば希釈剤として用いることがで
きる。例えば炭素数8〜24の高級アルコールも使用す
ることができる。
【0018】本発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属フ
ェネート濃縮物の製造法においては、先ず、アルカリ土
類金属試薬、フェノール類および硫黄、またはこれらと
水を反応器に仕込み、仕込み混合物を形成する。また、
これらに脂肪酸類を一緒に仕込んでもよい。これらの反
応原料及び反応剤の仕込み順序は、特に制限なく、適宜
選定すればよい。
【0019】上記の仕込み混合物には、二価アルコール
を反応器内圧力が0〜250kPa−Gの状態で加える
ことができる。なお、本発明でいう充分な性状を有する
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物を得る
には、10〜250kPa−Gの状態、特に20〜23
0kPa−Gの状態で二価アルコールを添加するのが好
ましい。この圧力範囲で二価アルコールを上記仕込み混
合物に添加することにより、塩基価が高く、加水分解安
定性に優れた過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート
濃縮物を製造することができる。二価アルコールの添加
は、反応器内圧力が上記の範囲で行われるが、二価アル
コールの全量の少なくとも60質量%以上、好ましくは
80質量%以上を上記の範囲で行うことが好ましい。
【0020】二価アルコールを添加する際の仕込み混合
物の温度は、60℃以上が好ましく、特に120℃以上
が好ましい。二価アルコールを添加する際の仕込み混合
物の上限温度は、通常仕込み混合物の沸点以下である
が、好ましくは200℃以下である。添加する二価アル
コールも、予めこの温度範囲に加熱しておくことが好ま
しい。また、二価アルコールの添加時間は、通常20〜
90分であり、好ましくは30〜60分である。二価ア
ルコールの添加終了後、温度約60〜200℃、好まし
くは約90〜190℃の範囲で反応させる。圧力は特に
制限されず、0.01〜21気圧・Aの範囲、好ましく
は0.1〜11気圧・Aが選択される。この反応は、通
常1〜9時間の範囲内でほぼ終了する。
【0021】二酸化炭素処理工程は、金属付加反応終了
後、系内の過剰の二価アルコール類および少なくとも過
剰の水を留去し、最初に脂肪酸類を添加していない場合
あるいは最初に添加した脂肪酸類量が少ない場合には、
所定量となるように脂肪酸類を添加し、かつ所定量の水
を系内に存在せしめた後、反応温度約50〜230℃、
好ましくは80〜200℃の温度条件下で二酸化炭素と
反応させる。この反応は減圧、常圧、加圧、いずれの条
件で行っても良い。通常0.01〜51気圧・A、好ま
しくは0.1〜31気圧・Aの範囲が採用される。反応
は一般には二酸化炭素の吸収が実質的に停止するまで行
われ、20分〜10時間、通常20分〜3時間である。
ここで得られた生成物を必要に応じて更に二酸化炭素雰
囲気下、0〜20気圧・G、好ましくは0〜10気圧・
Gの圧力で約100〜230℃において数分〜十数時間
保持する。二酸化炭素処理により生成物は潤滑油添加
剤、燃料油添加剤としての性能、なかでもエンジン油に
添加したときのエンジン油への油溶性、安定性がさらに
向上する。
【0022】脂肪酸類の添加時期については、反応器へ
の原料の添加時から二酸化炭素処理工程前であればいつ
でも良いが、好ましくは、二酸化炭素処理時に添加する
水を入れる前までが良い。二酸化炭素処理後の反応生成
物にアルカリ土類金属試薬と二価アルコールをまたは必
要に応じて脂肪酸類を添加し、再び上記のような金属付
加反応を行い、次いで二酸化炭素処理の操作を1回以上
繰り返すことによってさらに金属付加をすることも可能
である。二酸化炭素処理後の反応生成物中の未反応フェ
ノール類は経済上などの面から、これらの一部、もしく
は大部分を回収することが好ましく、またこの回収フェ
ノール類を原料として再び使用することもできる。な
お、ここで未反応フェノール類の蒸留を高沸点の鉱油な
ど、通常の希釈剤の存在下で行うと、蒸留残留物は液状
の好ましい形で得ることができる。該蒸留残留物中の不
溶解性物質はフェノール類の回収前、あるいは回収後に
ろ過または遠心分離等の操作により除去することができ
る。
【0023】本発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属フ
ェネート濃縮物は、塩基価が350〜500mgKOH
/g、好ましくは400〜500mgKOH/gであ
り、100℃における粘度が1000cSt以下、好ま
しくは100〜1000cStであり、さらに、脂肪酸
類が全量の1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%
である。ここで、粘度は、JIS K−2283の試験
方法により、ツァイトフックスクロスアーム粘度計で測
定した値である。また、本発明の過塩基性硫化アルカリ
土類金属フェネート濃縮物は、SAE粘度規格40番の
潤滑油基油で塩基価30mgKOH/gに希釈し、総量
の5質量%の水と93℃、24時間接触せしめた後の塩
基価保持率が70%以上であり、好ましくは80%以上
であり、特に好ましくは90%以上である。本発明の過
塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物は、上記
性状を有するものであり、この性状を有するが故に、塩
基価が高く、加水分解安定性と油溶性に優れる。
【0024】本発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属フ
ェネート濃縮物は、フェノール類、二価アルコール、ア
ルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属水酸化物もしくは
それらの混合物(以下、アルカリ土類金属試薬という)
および硫黄を反応させることにより得られるが、上記本
発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物
の製造法により得られるものが特に好ましい。本発明の
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物は、潤
滑油または燃料油の清浄分散剤またはアルカリ清浄剤と
して使用できる。適用できる潤滑油は、特に制限なく、
たとえば、マリンエンジン油、発電用エンジン油、作動
油などが挙げられる。また、適用できる燃料油も、特に
制限なく、たとえば、ボイラー用重油などが挙げられ
る。潤滑油または燃料油に添加する過塩基性硫化アルカ
リ土類金属フェネート濃縮物の添加量は任意であるが、
塩基価30mgKOH/g程度の舶用エンジン油におい
ては通常1〜10質量%であり、好ましくは3〜10質
量%である。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、これらは単に例示であって本発明を制限す
るものではない。
【0026】実施例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1lのオー
トクレーブに、純度97.9%のドデシルフェノール5
31.2g(1.9モル)、純度96.0%の酸化カル
シウム40.91g(0.7モル)および硫黄3.37
g(0.105モル)(酸化カルシウム1モル当たり
0.15モル)、ステアリン酸25.2g(0.091
モル)(酸化カルシウム1モル当たり0.13モル)を
封入し、撹拌した。得られた懸濁液を125℃に加熱
し、この懸濁液に、純度94.5%のエチレングリコー
ル65.21g(1.05モル)を125℃、60kP
a−Gの圧力下30分間で添加し、これを130℃で約
500kPa−Gの加圧、密閉の条件下、約3.0時間
撹拌後、該反応系内を徐々に減圧しながら、生成した
水、一部の未反応のエチレングリコールおよび少量のド
デシルフェノールを留去することにより、液状蒸留残留
物791.9gが得られた。この際の最終留出温度は1
41℃(5mmHg)であった。次に、該蒸留残留物7
91.9gに水5.67g(0.32モル)(酸化カル
シウム1モル当たり0.45モル)を添加した後、温度
150℃で減圧状態から30分間二酸化炭素を吸収させ
た。この時のオートクレーブへの二酸化炭素の供給速度
は、0.315l/minとした。次いで、178℃に
昇温し、ゲージ圧5.0気圧になるまで再び二酸化炭素
で加圧し、2.0時間保持して反応生成物829.1g
を得た。この反応生成物に希釈剤として150ニュート
ラル油58.92gを加えた。この反応生成物を1lの
三口梨型フラスコに820.78g移し、減圧蒸留して
少量のエチレングリコールおよび未反応のドデシルフェ
ノールの大部分を留去して、蒸留残留物171.58g
を得た。その際の最終留出温度は225℃(3mmH
g)であった。その後、この蒸留残留物を多量のヘキサ
ンで希釈し、遠心分離により不溶解物2.15gを除去
後、多量に加えたヘキサンを蒸留除去することにより最
終生成物167.09gを得た。最終製品の性状と、S
AE規格40番の潤滑油基油で塩基価30mgKOH/
gに希釈し、銅触媒を添加せずにASTM D2619
−88の加水分解安定性試験方法と同様の操作で93℃
で加水分解を行った。24時間後のサンプルを遠心分離
して得られる上澄み油の塩基価を測定した結果、加水分
解後の塩基価保持率は95%であった。
【0027】実施例2 水の添加量を酸化カルシウム1モル当たり0.5モルと
した以外は実施例1と同様に行った。最終生成物の収量
は164.39gであった。最終製品の性状と、SAE
規格40番の潤滑油基油で塩基化30mgKOH/gに
希釈し、ASTM D2619−88の加水分解安定性
試験方法において銅触媒を使用せずに試験を行った24
時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0028】実施例3 ドデシルフェノールの添加量を酸化カルシウム1ml当
たり3.0モル、水の添加量を酸化カルシウム1モル当
たり0.4モル、硫黄の添加量を酸化カルシウム1モル
当たり0.2モル、ステアリン酸添加量を酸化カルシウ
ム1モル当たり0.1モルとした以外は実施例1と同様
に行った。最終生成物の収量は163.68gであっ
た。最終製品の性状と、SAE規格40番の潤滑油基油
で塩基化30mgKOH/gに希釈し、ASTM D2
619−88 の加水分解安定性試験方法において銅触
媒を使用せずに試験を行った24時間後の塩基価保持率
を表1に示す。
【0029】実施例4 エチレングリコール添加時の反応器圧力を200kPa
−Gとした以外は実施例1と同様に行った。最終生成物
の収量は167.71gであった。最終製品の性状と、
SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化30mgKOH
/gに希釈し、ASTM D2619−88 の加水分
解安定性試験方法において銅触媒を使用せずに試験を行
った24時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0030】実施例5 エチレングリコール添加時の反応器圧力を200kPa
−Gとした以外は実施例2と同様に行った。最終生成物
の収量は166.01gであった。最終製品の性状と、
SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化30mgKOH
/gに希釈し、ASTM D2619〜88 の加水分
解安定性試験方法において銅触媒を使用せずに試験を行
った24時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0031】実施例6 ステアリン酸0.91モルに代えて、0.46モルのス
テアリン酸カルシウムを用い、酸化カルシウムを1.4
4モルとした以外は、実施例1と同様に実施した。最終
生成物の収量は165.91gであった。最終製品の性
状と、SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化30mg
KOH/gに希釈し、ASTM D2619〜88 の
加水分解安定性試験方法において銅触媒を使用せずに試
験を行った24時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0032】比較例1 エチレングリコール添加時の反応器圧力を300kPa
−Gとした以外は実施例3と同様に行った。最終生成物
の収量は165.61gであった。最終製品の性状と、
SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化30mgKOH
/gに希釈し、ASTM D2619〜88 の加水分
解安定性試験方法において銅触媒を使用せずに試験を行
った24時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0033】比較例2 一般的に市販されているカルシウムフェネート型添加剤
製品の性状と、SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化
30mgKOH/gに希釈し、ASTM D2619−
88 の加水分解安定性試験方法において銅触媒を使用
せずに試験を行った24時間後の塩基価保持率を表1に
示す。
【0034】比較例3 エチレングリコール添加時の反応器圧力を0kPa−G
とした以外は実施例3と同様に行った。エチレングリコ
ール添加時には、空気の流入を防止するため、10ml
/分の流速で窒素ガスを流通させ、排気ガスには反応生
成水と考えられる蒸気の発生が確認された。最終生成物
の収量は163.32gであった。最終製品の性状と、
SAE規格40番の潤滑油器油で塩基価30mgKOH
/gに希釈し、ASTM D2619−88の加水分解
安定性試験方法において同触媒を使用せずに試験を行っ
た24時間後の塩基価保持率を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】応用例 実施例の過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮
物を、SAE規格40番の潤滑油基油で塩基化30mg
KOH/gに希釈し、清浄性試験をした結果、いずれの
潤滑油も優れた清浄性を示した。
【0037】
【発明の効果】本発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属
フェネート濃縮物の製造法によれば、高い塩基価を有し
かつ潤滑油への溶解性が良好で加水分解安定性に優れた
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートが得られる。
また、本発明の過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネー
ト濃縮物は、低粘度であり、高い塩基価を有し、かつ潤
滑油への溶解性が良好で加水分解安定性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 135/20 C10M 135/20 // C10L 1/24 C10L 1/24 10/04 10/04 C10N 10:04 20:00 20:02 30:00 30:04 40:25 70:00 (72)発明者 高木 幸夫 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 今井 潤 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 竹矢 晴彦 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 津村 興一 和歌山県海草郡下津町下津27−1 株式会 社コスモペトロテック下津工場内 (72)発明者 西下 誠 東京都港区芝浦1−1−1 コスモ石油株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金
    属水酸化物もしくはそれらの混合物(以下、アルカリ土
    類金属試薬という)、アルカリ土類金属試薬1モル当た
    り1〜100当量のフェノール類および硫黄、またはこ
    れらと水を反応器に仕込み、その仕込み混合物に二価ア
    ルコールを反応器内圧力が10〜250kPa−Gの状
    態で加え、反応させ、次いで過剰量の二価アルコールお
    よび少なくとも過剰量の水を留去して得られた蒸留塔底
    物をアルカリ土類金属試薬1モルあたり0.3〜0.8
    モルの水の存在下に二酸化炭素処理し、かつアルカリ土
    類金属試薬1モルあたり0.001〜0.3モルの脂肪
    酸類を遅くとも二酸化炭素処理までに存在せしめ、さら
    に二酸化炭素処理物中の過剰量のフェノール類を留去す
    ることを特徴とする過塩基性硫化アルカリ土類金属フェ
    ネート濃縮物の製造法。
  2. 【請求項2】塩基価が350〜500mgKOH/gで
    あり、100℃における粘度が1000cSt以下であ
    り、脂肪酸類が全量の1〜20質量%であり、SAE規
    格40番の潤滑油基油で塩基価30mgKOH/gに希
    釈し、銅触媒を添加せずにASTM D2619−88
    の加水分解安定性試験方法と同様の操作で加水分解を行
    い、24時間後のサンプルを遠心分離して得られる上澄
    み油の塩基価保持率が70%以上であることを特徴とす
    る過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物。
JP9695498A 1997-05-07 1998-03-26 過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート濃縮物およびその製造法 Pending JPH1121578A (ja)

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EP98919495A EP0989178A4 (en) 1997-05-07 1998-05-06 LUBRICATING OIL COMPOSITION, HYPERBASIC ALKALINE EARTH METAL SULFIDE PHENATE CONCENTRATE FOR USE IN THE PREPARATION OF THIS COMPOSITION AND PROCESS FOR PREPARING THE CONCENTRATE
PCT/JP1998/002012 WO1998050500A1 (fr) 1997-05-07 1998-05-06 Composition d'huile lubrifiante, concentre de phenate de sulfure de metal alcalino-terreux hyperbasique utilise dans la preparation de cette composition et procede de preparation du concentre

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008075085A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Infineum Internatl Ltd 潤滑油組成物

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