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JPH11176571A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子の製造方法

Info

Publication number
JPH11176571A
JPH11176571A JP9362856A JP36285697A JPH11176571A JP H11176571 A JPH11176571 A JP H11176571A JP 9362856 A JP9362856 A JP 9362856A JP 36285697 A JP36285697 A JP 36285697A JP H11176571 A JPH11176571 A JP H11176571A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
sealing
sealing plate
substrate
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9362856A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Yasukawa
浩司 安川
Hiroyuki Endo
広行 遠藤
Osamu Onizuka
理 鬼塚
Akira Ebisawa
晃 海老沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP9362856A priority Critical patent/JPH11176571A/ja
Publication of JPH11176571A publication Critical patent/JPH11176571A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8426Peripheral sealing arrangements, e.g. adhesives, sealants
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8428Vertical spacers, e.g. arranged between the sealing arrangement and the OLED

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止不良を改善することで、外気や水分等の
影響を極力排除し、経時劣化が少なく、初期性能を長期
間維持できる長寿命の有機EL素子の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明の有機EL素子の製造方法は、有
機EL構造体が積層された基板上に、封止用接着剤を介
して封止板を配置し、710〜250mmHgの圧力下
で、前記封止板を前記基板に加圧接着する有機EL素子
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物を用い
た有機EL素子の製造方法に関し、さらに詳細には、基
板上に積層された有機EL構造体を保護するために、封
止板を基板上に固定する接着方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機EL素子が盛んに研究されて
いる。これは、ホール注入電極上にトリフェニルジアミ
ン(TPD)などのホール輸送材料を蒸着により薄膜と
し、その上にアルミキノリノール錯体(Alq3)など
の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMgなどの仕
事関数の小さな金属電極(電子注入電極)を形成した基
本構成を有する素子で、10V前後の電圧で数100か
ら数10,000cd/m2ときわめて高い輝度が得られる
ことで注目されている。
【0003】ところで、有機EL素子は、水分に非常に
弱いという問題がある。水分の影響により、例えば、発
光層と電極層との間で剥離が生じたり、構成材料が変質
してしまったりして、ダークスポットと称する非発光領
域が生じたり、所定の品位の発光が維持できなくなって
しまう。
【0004】この問題を解決するための方法として、例
えば、特開平5−36475号公報、同5−89959
号公報、同7−169567号公報等に記載されている
ように、有機EL積層構造体部分を被う気密ケース、封
止層等を基板上に密着固定して外部と遮断する技術が知
られている。
【0005】しかし、このような封止層等を設けたとし
ても、やはり、駆動時間の経過に伴って、発光輝度が減
少したり、ダークスポットが生じたり、これが拡大した
りして素子が劣化し、ひいては、発光不良が悪化して使
用不能になってしまう場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、封止
不良を改善することで、外気や水分等の影響を極力排除
し、経時劣化が少なく、初期性能を長期間維持できる長
寿命の有機EL素子の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、有機EL
素子を劣化させる要因について、種々の検討を行った。
そして、素子の劣化の原因の1つとして、封止板を基板
上に固定し、有機EL構造体を密封するための封止用接
着剤が剥離したり、これに気道ないし気孔が生じたりし
て、有機EL構造体の密閉が十分に行われていないこと
が判明した。つまり、有機EL構造体が、剥離した部分
や、気道から侵入する水分その他の気体等と反応してし
まって、素子が劣化するのである。
【0008】このような封止用接着剤の封止不良は、封
止板を接着する際に生じる封止空間内の内圧と密接な関
係がある。つまり、封止板を基板上に接着する際に加圧
接着するが、このとき、封止用接着剤で囲まれた内部空
間のガスは、体積減少に伴い、圧力が増加する。そし
て、この内部圧力の影響で接着剤が剥離したり、内部ガ
スが接着剤層を通じて抜け出る際にガスの抜け道、つま
り気道が生じ、これがそのまま塞がることなく残ってし
まい、封止不良が生じる。
【0009】従って、上記目的は以下の構成により達成
することができる。
【0010】(1) 有機EL構造体が積層された基板
上に、封止用接着剤を介して封止板を配置し、710〜
250mmHgの圧力の雰囲気中で、前記封止板を前記
基板に加圧接着する有機EL素子の製造方法。 (2) 前記圧力が650〜450mmHgである上記
(1)の有機EL素子の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子の製造方法
は、有機EL構造体が積層された基板上に封止用接着剤
を介して封止板を配置し、710〜250mmHg、好
ましくは650〜450mmHgの圧力の雰囲気中で、
前記封止板を前記基板に加圧接着する。
【0012】このように減圧下で封止板を基板に加圧接
着することにより、高圧になる封止ガスは外部に排出さ
れやすくなる。また、封止ガスが封止用接着剤を押し広
げて形成した気道も、減圧下では容易に埋め戻されて消
失し、気密性が確保される。
【0013】圧力がこれより低いと、封止初期に、接着
剤層から形成されるシールラインにマイクロクラックが
生じ、気密性が低下してしまう。
【0014】圧力がこれより高いと、封止している間
に、シールラインが乱れ、気密性が低下してしまう。ま
た、後述のスペーサーの大きさ(厚さ)にまで押し潰さ
れず、封止用接着剤層の厚みにバラツキが生じやすく、
気密性が低下してしまう。
【0015】減圧は、加圧接着前から行っても、加圧接
着時から開始してもよいが、加圧接着前の方が好まし
い。また、接着剤の硬化は、通常、常圧で行う。常圧に
戻すと、接着剤層は数μm 程度であるため、接着剤層を
通して気体が入り込む力よりも封止板を押さえつける力
の方が大きいため、接着剤層の厚みがより均一になり、
気密性が向上する。
【0016】次に、図を参照しつつ、本発明の有機EL
素子の製造方法について説明する。
【0017】図1〜3は、本発明の有機EL素子の製造
方法の一例を示す概略断面図である。各図において、本
発明で製造される有機EL素子は、基板1上に形成され
ている有機EL構造体2と、この有機EL構造体2の上
に所定の空隙を有するように配置される封止板3とを有
する。この封止板3の接続部は、封止板3を基板1から
所定の距離に維持するスペーサー4と、封止板3を固定
し、有機EL構造体2を密閉するための封止用接着剤5
とが配置されている。そして、封止板3を基板1に加圧
接着する際には、上定盤6を用いて加圧する。
【0018】まず、図1に示されるように、有機EL構
造体2を基板1上に積層する。そして、大気中、また
は、Ar、He、N2 等の不活性ガス等の封止ガス雰囲
気中で、封止用接着剤5を封止板3に塗布する。この例
では、封止板3の接続部に、粒状のスペーサー4が混入
されている封止用接着剤5を塗布する。通常、封止板の
接着剤が塗布される領域、つまり接続部が、少なくとも
封止板が配置されたときに、有機EL構造体が積層され
ている領域と重ならないように塗布する。従って、一般
には、封止板または基板の外周部に塗布される。封止用
接着剤が塗布される温度としては、室温前後が好まし
い。また、このときの圧力は、常圧でも、710〜25
0mmHgでもよいが、650〜450mmHgが好ま
しい。
【0019】次いで、大気中で接着剤を塗布した場合
は、好ましくは真空排気を行い、水を除去した後、封止
ガスで置換する。真空排気は室温で行ってもよいが、4
0〜80℃に加熱して行うのが好ましい。
【0020】これ以後の封止作業は、グローブボックス
等を用い、Ar、He、N2 等の不活性ガス等の封止ガ
ス雰囲気中において行う。また、この封止ガスの水分含
有量は、100ppm以下、より好ましくは10ppm
以下、特に1ppm以下であることが好ましい。この水
分含有量に下限値は特にないが、通常0.1ppm程度
である。このような封止ガスを用いることにより、有機
EL構造体のホール注入電極、有機層、電子注入電極、
または、これらの界面と水分等との化学反応等による劣
化が抑制され、初期性能が長期間維持できる。
【0021】なお、有機EL構造体2は、グローブボッ
クス中で、図示しない下定盤上に載置される。これに先
立ち、予備室にて、系内をAr置換し、真空排気する作
業を繰り返し、その後、グローブボックス内に搬入され
る。また、封止用接着剤5を塗布した封止板3も、好ま
しくは真空排気、Ar置換した後、グローブボックス内
に搬入される。
【0022】次に、図2に示されるように、封止板3を
基板1や有機EL構造体2に対して適切な配置位置とな
るように位置決めした状態で、上定盤6に固定し、上定
盤6で封止板3を押さえていき、封止板3と基板1とを
貼り合わせる。このときの系内の圧力は、710〜25
0mmHgが好ましく、特に650〜450mmHgが
好ましい。また、このときの温度は、30〜40℃が好
ましい。加熱する場合、有機EL構造体への影響がより
少なくなるように、封止板側から加熱することが好まし
い。
【0023】次に、図3に示されるように、封止板3を
上定盤6でさらに押さえつけて、基板1と封止板3とを
加圧し、接着する。このとき、基板1と封止板3とにか
ける圧力は、特に規制されるものではないが、通常0.
05〜30kg/cm2 、特に0.1〜20kg/cm2 の範囲
が好ましい。加圧接着することにより、接着剤は混入さ
れているスペーサー4の大きさ(厚さ)にまで押し潰さ
れ、所定の高さに封止板が配置される。この場合、封止
用接着剤5の粘度が低い方が、確実にスペーサーの高さ
にまで押しつぶすことができ、高さ、つまり接着層の厚
みのバラツキも生じにくくなるので好ましい。そして、
このときの系内の圧力は、710〜250mmHgが好
ましく、特に650〜450mmHgが好ましい。接着
する時、接着剤5で囲まれた領域の内部の封止ガスは圧
縮されて高圧になるが、周囲が減圧されているので、接
着剤を押し広げて気道を作り、外部へと排出される。そ
して、内圧が減少すると、気道が埋め戻され、有機EL
構造体2を密封してしまう。加圧する間は、真空排気を
続けて真空度を保つ方が好ましい。加圧する時間は、3
〜5分間が好ましい。また、このときの温度は、30〜
40℃が好ましい。
【0024】その後、通常は室温前後で、接着剤5がU
V硬化型の封止用接着剤であれば、紫外線を所定量照射
して接着剤5を硬化させ、有機EL素子を得る。接着剤
の硬化は、減圧したままで行っても、常圧に戻して行っ
てもよいが、常圧で行う方が好ましい。
【0025】得られた有機EL素子の概略構成を外観平
面図として図4に示す。
【0026】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、より好ましくはガラスが好ましい。
このようなガラス材として、例えば、ソーダ石灰ガラ
ス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケ
イ酸ガラス、シリカガラス等のガラス組成のものが好ま
しい。また、その製板方法としては、ロールアウト法、
ダウンロード法、フュージョン法、フロート法等が好ま
しい。ガラス材の表面処理法としては、研磨加工処理、
SiO2バリヤーコート処理等が好ましい。これらの中
でも、フロート法で製板されたソーダ石灰ガラスで、表
面処理の無いガラス材が安価に使用でき、好ましい。
【0027】封止板の高さを調整する手段としては、特
に制限されるものではないが、スペーサーを用いること
が好ましい。スペーサーを用いることにより、安価で、
容易に所望の高さを得ることができる。スペーサーの材
料としては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビー
ズ、ガラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ
等が好ましい。スペーサーは、通常、粒径の揃った粒状
物であるが、その形状は特に限定されるものではなく、
スペーサーとしての機能に支障のないものであれば種々
の形状であってもよい。その大きさとしては、円換算の
直径が1〜20μm 、より好ましくは1〜10μm 、特
に2〜8μm が好ましい。このような直径のものは、粒
長100μm 以下程度であることが好ましく、その下限
は特に規制されるものではないが、通常1μm 程度であ
る。
【0028】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0029】スペーサーは、予め封止用接着剤中に混入
されていても、接着時に混入してもよい。封止用接着剤
中におけるスペーサーの含有量は、好ましくは0.01
〜30wt%、より好ましくは0.1〜5wt%である。
【0030】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、好ましくはカチオン硬化タイプの紫外線硬化
型エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。有機E
L積層構造体部分の各層構成材料のガラス転移温度が1
40℃以下、特に80〜100℃程度である。そのた
め、通常の熱硬化型の接着剤を用いると、その硬化温度
が140〜180℃程度であるので、接着剤の硬化の際
に有機EL構造体が軟化してしまい、特性の劣化が生じ
てしまう。一方、紫外線硬化型接着剤の場合は、このよ
うな有機EL構造体の軟化は生じない。しかし、現在一
般に用いられている紫外線硬化型接着剤は、アクリル系
であるため、硬化の際に成分中のアクリルモノマーが揮
発し、それが上記有機EL構造体の各構成材料に悪影響
を及ぼし、その特性を劣化させてしまう。そこで、本発
明においては、以上のような問題のない、あるいは極め
て少ない接着剤である、上記のカチオン硬化タイプの紫
外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることが好まし
い。
【0031】なお、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤と
して市販されているものの中には、紫外線加熱硬化併用
型のエポキシ樹脂接着剤が含まれる場合がある。この場
合には、ラジカル硬化タイプのアクリル系樹脂と加熱硬
化タイプのエポキシ樹脂が混合あるいは変性してある場
合が多く、前記のアクリル系樹脂のアクリルモノマーの
揮発の問題や熱硬化型エポキシ樹脂の硬化温度の問題が
解決していないので、本発明の有機EL素子に用いる接
着剤としては好ましくない。
【0032】カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキ
シ樹脂接着剤とは、主たる硬化剤として紫外線等の光照
射による光分解でルイス酸触媒を放出するルイス酸塩型
硬化剤を含み、光照射により発生したルイス酸が触媒と
なって主成分であるエポキシ樹脂がカチオン重合型の反
応機構により重合し、硬化するタイプの接着剤である。
【0033】上記接着剤の主成分であるエポキシ樹脂と
しては、エポキシ化オレフィン樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、ノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。また、上
記硬化剤としては、芳香族ジアゾニウムのルイス酸塩、
ジアリルヨードニウムのルイス酸塩、トリアリルスルホ
ニウムのルイス酸塩、トリアリルセレニウムのルイス酸
塩等が挙げられる。
【0034】接着剤の塗布量は、使用するスペーサーの
大きさなどにより異なるが、通常1〜100mg/cm2
より好ましくは1〜10mg/cm2 程度が好ましい。
【0035】また、接着剤層の厚みとしては、通常封止
板の配置位置の高さ、すなわち積層されている有機EL
構造体の厚みと、この有機EL構造体上に所定の空隙を
確保できる厚みを加えたものとなり、特に制限されるも
のではないが、通常500〜1μm、特に好ましくは2
0〜2μm程度である。
【0036】上定盤としては、対面が平行であり、封止
板を水平に保ち、均等に圧力を加えられるものであれ
ば、特に制限されるものではない。また、図示例の上定
盤6には、真空チャック用に、排気穴61が設けられて
いる。
【0037】次に、本発明の有機EL素子を構成する有
機EL構造体について説明する。本発明の有機EL構造
体は、基板上にホール注入電極と、電子注入電極と、こ
れらの電極間に設けられた1種以上の有機層とを有す
る。有機層は、それぞれ少なくとも1層のホール輸送層
および発光層を有し、その上に電子注入電極を有し、さ
らに最上層として保護電極を設けてもよい。なお、ホー
ル輸送層はなくてもよい。電子注入電極は、蒸着、スパ
ッタ法等、好ましくはスパッタ法で成膜される仕事関数
の小さい金属、化合物または合金で構成される。
【0038】ホール注入電極としては、通常、基板側か
ら発光した光を取り出す構造であるため、透明な電極が
好ましく、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO
(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO2 、I
23 等が挙げられるが、ITO、IZOが好まし
い。In23 に対するSnO2 の混合比は、1〜20w
t%が好ましく、さらには5〜12wt%が好ましい。I
23 に対するZnOの混合比は、1〜20wt%が好
ましく、さらには5〜12wt%が好ましい。その他にS
n、Ti、Pb等が酸化物の形で、酸化物換算にして1
wt%以下含まれていてもよい。
【0039】ホール注入電極は、蒸着法等によっても形
成できるが、スパッタ法により形成することが好まし
い。ITO、IZO電極の形成にスパッタ法を用いる場
合、好ましくはIn2 3 にSnO2 やZnOをドープ
したターゲットを用いる。スパッタ法によりITO透明
電極を成膜した場合、蒸着により成膜したものよりも発
光輝度の経時変化が少ない。スパッタ法としてはDCス
パッタが好ましく、その投入電力としては、0.1〜4
W/cm2 の範囲が好ましい。特にDCスパッタ装置の電
力としては、好ましくは0.1〜10W/cm2、特に
0.2〜5W/cm2の範囲が好ましい。また、成膜レー
トは2〜100nm/min 、特に5〜50nm/min の範囲
が好ましい。
【0040】スパッタガスとしては、特に制限するもの
ではなく、Ar、He、Ne、Kr、Xe等の不活性ガ
ス、あるいはこれらの混合ガスを用いればよい。このよ
うなスパッタガスのスパッタ時における圧力としては、
通常0.1〜20Pa程度でよい。
【0041】ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十
分行える一定以上の厚さを有すれば良く、通常5〜50
0nm、特に10〜300nmの範囲が好ましい。
【0042】成膜される電子注入電極の構成材料として
は、電子注入を効果的に行う低仕事関数の物質が好まし
い。例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、C
a、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Z
r、Cs、Er、Eu、Ga、Hf、Nd、Rb、S
c、Sm、Ta、Y、Yb等の金属元素単体、あるい
は、BaO、BaS、CaO、HfC、LaB6、Mg
O、MoC、NbC、PbS、SrO、TaC、Th
C、ThO2、ThS、TiC、TiN、UC、UN、
UO2、W2C、Y23、ZrC、ZrN、ZrO2等の
化合物を用いると良い。また、安定性を向上させるため
には、金属元素を含む2成分、3成分の合金系を用いる
ことが好ましい。合金系としては、例えばAl・Ca
(Ca:5〜20at%)、Al・In(In:1〜10
at%)、Al・Li(Li:0.1〜20at%未満)、
Al・R〔RはY,Scを含む希土類元素を表す〕等の
アルミニウム系合金やIn・Mg(Mg:50〜80at
%)等が好ましい。これらの中でも、特にAl単体やA
l・Li(Li:0.4〜6.5(ただし6.5を含ま
ず)at%)または(Li:6.5〜14at%)、Al・
R(R:0.1〜25、特に0.5〜20at%)等のア
ルミニウム系合金が、圧縮応力が発生しにくく、好まし
い。したがって、スパッタターゲットとしては、通常、
このような電子注入電極構成金属、合金を用いる。これ
らの仕事関数は4.5eV以下であり、特に仕事関数が
4.0eV以下の金属、合金が好ましい。
【0043】電子注入電極の成膜にスパッタ法を用いる
ことにより、成膜された電子注入電極膜は、蒸着の場合
と比較して、スパッタされる原子や原子団が比較的高い
運動エネルギーを有するため、表面マイグレーション効
果が働き、有機層界面での密着性が向上する。また、プ
レスパッタにより真空中で表面酸化物層を除去したり、
逆スパッタにより有機層界面に吸着した水分や酸素を除
去できるので、クリーンな電極−有機層界面や電極を形
成でき、その結果、高品位で安定した有機EL素子が形
成できる。ターゲットとしては、前記組成範囲の合金
や、金属単独でも良く、これらに加えて添加成分のター
ゲットを用いても良い。さらに、蒸気圧の大きく異なる
材料の混合物をターゲットとして用いても、生成する膜
とターゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように
蒸気圧等による使用材料の制限もない。また、蒸着法と
比較して、材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜
質の均一性に優れ、生産性の点で有利である。
【0044】スパッタ法により形成された電子注入電極
は緻密な膜なので、粗な蒸着膜と比較して、膜中への水
分の進入が非常に少なく、化学的安定性が高く、長寿命
の有機EL素子が得られる。
【0045】スパッタ時のスパッタガスの圧力は、0.
1〜5Paの範囲が好ましく、この範囲でスパッタガスの
圧力を調節することにより、前記範囲のLi濃度のAl
Li合金を容易に得ることができる。また、成膜中にス
パッタガスの圧力を前記範囲内で変化させることによ
り、上記Li濃度勾配を有する電子注入電極を容易に得
ることができる。また、成膜ガス圧力と基板ターゲット
間距離の積が20〜65Pa・cmを満たす成膜条件にする
ことが好ましい。
【0046】スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使
用される不活性ガスや、反応性スパッタではこれに加え
てN2、H2、O2、C24、NH3等の反応性ガスが使用
可能である。
【0047】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法等も可能であるが、成膜レートの制御が容
易であり、有機EL素子構造体へのダメージを少なくす
るためにはDCスパッタ法を用いることが好ましい。D
Cスパッタ装置の電力としては、好ましくは0.1〜1
0W/cm2、特に0.5〜7W/cm2の範囲が好ましい。
また、成膜レートは5〜100nm/min 、特に10〜5
0nm/min の範囲が好ましい。
【0048】電子注入電極薄膜の厚さは、電子注入を十
分行える一定以上の厚さとすれば良く、1nm以上、好ま
しくは3nm以上とすればよい。また、その上限値には特
に制限はないが、通常、膜厚は3〜500nm程度とすれ
ばよい。
【0049】本発明の有機EL素子は、電子注入電極の
上、つまり有機層と反対側に保護電極を設けてもよい。
保護電極を設けることにより、電子注入電極が外気や水
分等から保護され、構成薄膜の劣化が防止され、電子注
入効率が安定し、素子寿命が飛躍的に向上する。また、
この保護電極は、非常に低抵抗であり、電子注入電極の
抵抗が高い場合には配線電極としての機能も有する。こ
の保護電極は、Al、Alおよび遷移金属(ただしTi
を除く)、Tiまたは窒化チタン(TiN)のいずれか
1種または2種以上を含有し、これらを単独で用いた場
合、それぞれ保護電極中に少なくとも、Al:90〜1
00at%、Ti:90〜100at%、TiN:90〜1
00 mol%程度含有されていることが好ましい。また、
2種以上用いるときの混合比は任意であるが、AlとT
iの混合では、Tiの含有量は10at%以下が好まし
い。また、これらを単独で含有する層を積層してもよ
い。特にAl、Alおよび遷移金属は、後述の配線電極
として用いた場合、良好な効果が得られ、TiNは耐腐
食性が高く、封止膜としての効果が大きい。TiNは、
その化学量論組成から10%程度偏倚していてもよい。
さらに、Alおよび遷移金属の合金は、遷移金属、特に
Sc,Nb,Zr,Hf,Nd,Ta,Cu,Si,C
r,Mo,Mn,Ni,Pd,PtおよびW等を、好ま
しくはこれらの総計が10at%以下、さらに好ましくは
5at%以下、特に好ましくは2at%以下含有していても
よい。遷移金属の含有量が少ないほど、配線材として機
能させた場合の薄膜抵抗は下げられる。
【0050】保護電極の厚さは、電子注入効率を確保
し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するた
め、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以
上、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは1
00〜1000nmの範囲が好ましい。保護電極層が薄す
ぎると、本発明の効果が得られず、また、保護電極層の
段差被覆性が低くなってしまい、端子電極との接続が十
分ではなくなる。一方、保護電極層が厚すぎると、保護
電極層の応力が大きくなるため、ダークスポットの成長
速度が速くなってしまう。なお、配線電極として機能さ
せる場合の厚さは、電子注入電極の膜厚が薄いために膜
抵抗が高く、これを補う場合には通常100〜500nm
程度、その他の配線電極として機能される場合には1
00〜300nm程度である。
【0051】電子注入電極と保護電極とを併せた全体の
厚さとしては、特に制限はないが、通常100〜100
0nm程度とすればよい。
【0052】電極成膜後に、前記保護電極に加えて、S
iOX 等の無機材料、テフロン、塩素を含むフッ化炭素
重合体等の有機材料等を用いた保護膜を形成してもよ
い。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の
厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は、前記の
反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着
法、PECVD法等により形成すればよい。
【0053】そして、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために、素子上に封止板を配置する。封止板は、湿気等
の侵入を防ぐために、前記の封止用接着材を用いて、ガ
ラス板等の封止板を接着し密封する。ガラス板以外にも
金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0054】次に、本発明のEL素子に設けられる有機
物層について述べる。
【0055】発光層は、ホール(正孔)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合によ
り励起子を生成させる機能を有する。発光層には、比較
的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好まし
い。
【0056】ホール注入輸送層は、ホール注入電極から
のホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送
する機能および電子を妨げる機能を有するものであり、
電子注入輸送層は、陰電極からの電子の注入を容易にす
る機能、電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げ
る機能を有するものである。これらの層は、発光層に注
入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領
域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0057】発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さお
よび電子注入輸送層の厚さは、特に制限されないが、形
成方法によっても異なるが、通常5〜500nm程度、特
に10〜300nmとすることが好ましい。
【0058】ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸
送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光
層の厚さと同程度または1/10〜10倍程度とすれば
よい。ホールまたは電子の各々の注入層と輸送層とを分
ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とす
るのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上
限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm
程度である。このような膜厚については、注入輸送層を
2層設けるときも同じである。
【0059】本発明の有機EL素子の発光層には、発光
機能を有する化合物である蛍光性物質を含有させる。こ
のような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−2
64692号公報に開示されているような化合物、例え
ばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物
から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、ト
リス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリ
ノールまたはその誘導体を配位子とする金属錯体色素な
どのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アン
トラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン
誘導体等が挙げられる。さらには、特願平6−1105
69号のフェニルアントラセン誘導体、特願平6−11
4456号のテトラアリールエテン誘導体等を用いるこ
とができる。
【0060】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントと
しての使用が好ましい。このような場合の発光層におけ
る化合物の含有量は0.01〜10wt% 、さらには0.
1〜5wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合
わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特
性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可
能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上す
る。
【0061】ホスト物質としては、キノリノラト錯体が
好ましく、さらには8−キノリノールまたはその誘導体
を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このよう
なアルミニウム錯体としては、特開昭63−26469
2号、特開平3−255190号、特開平5−7073
3号、特開平5−258859号、特開平6−2158
74号等に開示されているものを挙げることができる。
【0062】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]等がある。
【0063】また、8−キノリノールまたはその誘導体
のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であって
もよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)
、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−
クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム
(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ
−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル
−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノ
ラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメ
チルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,
3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナ
フトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)
(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,
4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8
−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチ
ル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キ
ノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリ
ノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノ
リノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等が
ある。
【0064】このほか、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス
(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム
(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キ
ノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−
2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −
μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4
−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オ
キソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−
ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオ
ロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ
−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル
−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であっても
よい。
【0065】このほかのホスト物質としては、特願平6
−110569号に記載のフェニルアントラセン誘導体
や特願平6−114456号に記載のテトラアリールエ
テン誘導体なども好ましい。
【0066】発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0067】また、発光層は、必要に応じて、少なくと
も1種のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種の電
子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、
さらに、この混合層中にドーパントを含有させることが
好ましい。このような混合層における化合物の含有量
は、0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% と
することが好ましい。
【0068】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるた
め、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命
がのびるという利点がある。また、前述のドーパントを
このような混合層に含有させることにより、混合層自体
のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長
を長波長に移行させることができるとともに、発光強度
を高め、素子の安定性を向上させることもできる。
【0069】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール
注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物
の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送層
用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、
例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持
つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
【0070】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3)を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0071】ホール注入輸送層用の化合物としては、強
い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送
材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチ
リルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を
用いるのが好ましい。
【0072】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度によるが、一般的には、ホール注
入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化
合物の重量比が、1/99〜99/1、さらに好ましく
は10/90〜90/10、特に好ましくは20/80
〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0073】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚み以上で、有機化合物層の膜厚未満とすることが
好ましい。具体的には1〜85nmとすることが好まし
く、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすること
が好ましい。
【0074】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させて
コーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形
成する。
【0075】また、ホール注入輸送層には、例えば、特
開昭63−295695号公報、特開平2−19169
4号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234
681号公報、特開平5−239455号公報、特開平
5−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用すると
きは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0076】ホール注入輸送層をホール注入層とホール
輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用
の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いるこ
とができる。このとき、ホール注入電極(ITO等)側
からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積
層することが好ましい。また、陽電極表面には薄膜性の
良好な化合物を用いることが好ましい。このような積層
順については、ホール注入輸送層を2層以上設けるとき
も同様である。このような積層順とすることによって、
駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポット
の発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場
合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も均
一かつピンホールフリーとすることができるため、ホー
ル注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸
収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や
再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホール注
入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着する
ことにより形成することができる。
【0077】また、必要に応じて設けられる電子注入輸
送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム
(Alq3)等の8−キノリノールまたはその誘導体を
配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキ
サジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導
体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニ
ルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用い
ることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたもの
であってもよく、このような場合はトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電
子注入輸送層の形成は、発光層と同様に、蒸着等によれ
ばよい。
【0078】電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層
とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合
物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることが
できる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値
の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このよ
うな積層順については、電子注入輸送層を2層以上設け
るときも同様である。
【0079】基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む
色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコン
トロールしてもよい。
【0080】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0081】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0082】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0083】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0084】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0085】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。また、ITO、IZOの成膜時にダメージを受けな
いような材料が好ましい。
【0086】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0087】ホール注入輸送層、発光層および電子注入
輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから、
真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用い
た場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm
以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を
超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を
高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく
低下する。
【0088】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりするこ
とができる。
【0089】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0090】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパル
ス駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜2
0V程度とされる。
【0091】
【実施例】次に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。
【0092】<実施例1>コーニング社製7059ガラ
ス基板上に、ITO透明電極(ホール注入電極)を膜厚
85nmで64ドット×7ラインの画素(一画素当たり2
80μm ×280μm )を構成するよう成膜、パターニ
ングした。そして、パターニングされたホール注入電極
が形成された基板を、中性洗剤、アセトン、エタノール
を用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げ
て乾燥した。次いで、表面をUV/O3 洗浄した後、真
空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10
-4Pa以下まで減圧した。そして、4,4’,4”−トリ
ス(−N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミ
ノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)を蒸着速
度0.2nm/sec.で40nmの厚さに蒸着し、ホール注入
層とした。次に、減圧状態を保ったまま、N,N’−ジ
フェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ
−1,1’−ビフェニル(以下、TPD)を蒸着速度
0.2nm/sec.で35nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層
とした。次に、減圧を保ったまま、トリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム(以下、Alq3 )を蒸着速度
0.2nm/sec.で50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸
送・発光層とした。次に、減圧を保ったまま、MgAg
を共蒸着(2元蒸着)で蒸着速度比Mg:Ag=1:1
0にて200nmの厚さに成膜し、電子注入電極とした。
さらに、減圧を保ったまま、このEL素子基板をスパッ
タ装置に移し、Alターゲットを用いたDCスパッタ法
により、スパッタ圧力0.3PaにてAl保護電極を20
0nmの厚さに成膜した。この時、スパッタガスにはAr
を用い、投入電力は500W、ターゲットの大きさは4
インチ径、基板とターゲットの距離は90mmとした。
【0093】次に、有機EL構造体が積層された基板上
に、図1〜3と同様にして、封止板を接着した。封止板
としてはコーニング社製7059ガラスを、紫外線硬化
型エポキシ樹脂接着剤としてはスリーボンド製の30Y
184Gを用いた。まず、大気中で、封止板に、封止用
接着剤100mgを未硬化の状態で塗布した。次に、接着
剤を塗布した封止板をグローブボックスの予備室に移
し、水分を除去するために、60℃、10-2Torrで真空
排気を1時間行った後、グローブボックス内に移し、上
定盤に固定した。また、有機EL構造体が積層された基
板は、予備室にて、Ar置換を行った後、グローブボッ
クス内の下定盤上に固定した。グローブボックス内は封
止ガスのAr置換し、それから、再び同条件で真空排
気、Ar置換を行った。
【0094】次いで、710mmHgに減圧し、上定盤
で封止板を押さえていき、封止板と基板とを貼り合わせ
た。そして、真空排気を続けて系内の圧力を710mm
Hgに減圧したまま、40℃で、封止板を上定盤でさら
に押さえつけて、5分間、3kg/cm2の圧力で加圧接着
した。このようにして、ガラス基板と封止板との間に、
スペーサーの大きさに相当する接着剤の薄層を形成し、
有機EL構造体を密封した。このとき、接着剤中には7
μm のスペーサーを1wt%分散させ、接着剤の膜厚が7
μm となるようにした。
【0095】次いで、グローブボックスにArを入れ
て、常圧に戻した。そして、ガラス基板越しに、接着剤
面に対して、メタルハライドランプを用い、積算光量が
6000mJとなるようにUV光を照射し、接着剤を硬化
させた。
【0096】(素子の劣化の評価)得られた有機EL素
子について、大気雰囲気中で直流電圧を印加し、10mA
/cm2の定電流密度で駆動し、初期状態ではダークスポ
ットの発生が認められないことを確認した。次いで、温
度65℃、湿度90%の加速条件下で300時間保存し
た後、同一条件で駆動し、ダークスポットの発生につい
て評価した。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】<実施例2>実施例1において、系内の圧
力が650mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0099】<実施例3>実施例1において、系内の圧
力が550mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0100】<実施例4>実施例1において、系内の圧
力が450mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0101】<実施例5>実施例1において、系内の圧
力が250mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0102】<比較例1>実施例1において、系内の圧
力が760mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0103】<比較例2>実施例1において、系内の圧
力が150mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0104】<比較例3>実施例1において、系内の圧
力が100mmHgで封止板を基板に加圧接着した他
は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。得られ
た有機EL素子について、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0105】表1から明らかなように、本発明の製造方
法により得られた有機EL素子は、ダークスポットの
径、個数とも比較例のものよりも減少しており、素子が
長寿命であることがわかる。
【0106】
【発明の効果】以上のように、本発明により、封止不良
が改善されて、外気や水分等の影響を極力排除でき、経
時劣化が少なく、初期性能を長期間維持できる長寿命の
有機EL素子の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における、有機EL素子の封
止板接着時の具体的な構成例を示した概略断面図で、封
止板を基板上に配置した状態を示した図である。
【図2】本発明の製造方法における、有機EL素子の封
止板接着時の具体的な構成例を示した概略断面図で、封
止板を基板上に重ね合わせた状態を示した図である。
【図3】本発明の製造方法における、有機EL素子の封
止板接着時の具体的な構成例を示した概略断面図で、封
止板を基板上に加圧密着した状態を示した図である。
【図4】本発明で製造される有機EL素子の具体的な構
成例を示した概略平面図でである。
【符号の説明】
1 基板 2 有機EL構造体 3 封止板 4 スペーサー 5 封止用接着剤 6 上定盤 61 排気穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海老沢 晃 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機EL構造体が積層された基板上に、
    封止用接着剤を介して封止板を配置し、 710〜250mmHgの圧力の雰囲気中で、前記封止
    板を前記基板に加圧接着する有機EL素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記圧力が650〜450mmHgであ
    る請求項1の有機EL素子の製造方法。
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