JPH11158649A - 耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents
耐食性に優れた表面処理鋼板Info
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- JPH11158649A JPH11158649A JP34587097A JP34587097A JPH11158649A JP H11158649 A JPH11158649 A JP H11158649A JP 34587097 A JP34587097 A JP 34587097A JP 34587097 A JP34587097 A JP 34587097A JP H11158649 A JPH11158649 A JP H11158649A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 リン酸塩処理後の後処理皮膜中に6価クロム
を含むことなく優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を
提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板等の表面に、リン酸塩
処理皮膜を0.1〜6g/m2の付着量で形成し、その
上層に有機高分子マトリックスにキレート形成基を有す
る高分子キレート化剤を主成分とする高分子キレート化
剤皮膜を形成したことを特徴とし、高分子キレート化剤
皮膜の高分子マトリックスが皮膜を形成して腐食を抑制
すること、塗装後の腐食環境中において腐食によって生
成した金属イオンを皮膜中のフリーのキレート形成基が
捕捉し、安定な金属錯体構造を形成することによって腐
食の促進を抑制すること等により優れた耐食性と塗装性
が得られる。
を含むことなく優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を
提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板等の表面に、リン酸塩
処理皮膜を0.1〜6g/m2の付着量で形成し、その
上層に有機高分子マトリックスにキレート形成基を有す
る高分子キレート化剤を主成分とする高分子キレート化
剤皮膜を形成したことを特徴とし、高分子キレート化剤
皮膜の高分子マトリックスが皮膜を形成して腐食を抑制
すること、塗装後の腐食環境中において腐食によって生
成した金属イオンを皮膜中のフリーのキレート形成基が
捕捉し、安定な金属錯体構造を形成することによって腐
食の促進を抑制すること等により優れた耐食性と塗装性
が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途に最適な表面処理鋼板に関し、製品を取扱う作業
者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さらに
は使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶出
などの環境問題に適応するために、塗料組成物や皮膜中
に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀等
の重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼板に関す
るものである。
材用途に最適な表面処理鋼板に関し、製品を取扱う作業
者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さらに
は使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶出
などの環境問題に適応するために、塗料組成物や皮膜中
に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀等
の重金属を全く含まない環境適応型表面処理鋼板に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】金属表面にリン酸塩処理を施し、耐食性
と塗料密着性を向上させる技術は古くから知られ、従
来、家電製品や建材用の鋼板として、亜鉛系めっき鋼板
の表面に塗料密着性及び塗装後耐食性を向上させるため
のリン酸塩処理を施した鋼板が広く用いられている。一
般にリン酸塩処理皮膜を形成した鋼板表面には、6価ク
ロムを含む溶液により後処理(以下、“クロムシーリン
グ処理”という)が施され、耐食性と塗装性のより一層
の改善が図られている。このクロムシーリング処理はリ
ン酸塩処理鋼板の耐食性を著しく向上させ、且つ比較的
簡単に行うことができる経済的な処理方法である。
と塗料密着性を向上させる技術は古くから知られ、従
来、家電製品や建材用の鋼板として、亜鉛系めっき鋼板
の表面に塗料密着性及び塗装後耐食性を向上させるため
のリン酸塩処理を施した鋼板が広く用いられている。一
般にリン酸塩処理皮膜を形成した鋼板表面には、6価ク
ロムを含む溶液により後処理(以下、“クロムシーリン
グ処理”という)が施され、耐食性と塗装性のより一層
の改善が図られている。このクロムシーリング処理はリ
ン酸塩処理鋼板の耐食性を著しく向上させ、且つ比較的
簡単に行うことができる経済的な処理方法である。
【0003】しかし、クロムシーリング処理は公害規制
物質である6価クロムを使用するものであるため、処理
工程においてクロム酸塩が人体に悪影響を与えること、
排水処理後のクロムスラッジの廃棄処理が困難であるこ
と、またクロメート処理後の製品から6価クロムが溶出
するおそれがあること等、種々の問題を有している。こ
のため、クロム酸類の使用管理基準が厳しくなるにした
がい、クロメート処理工場の管理、排水処理、クロメー
ト処理物による二次汚染等が問題とされ、これに対応し
て各工場では排水関係をクローズド化し、クロムイオン
が外部に排出されるのを極力防止する対策を講じてい
る。また、ユーザー側における防錆油やプレス油を脱脂
する工程で、アルカリ系の脱脂液を用いる際には、脱脂
液中へのクロムの溶出がかなり多くなるため、脱脂液の
脱クロム処理が必要となる。
物質である6価クロムを使用するものであるため、処理
工程においてクロム酸塩が人体に悪影響を与えること、
排水処理後のクロムスラッジの廃棄処理が困難であるこ
と、またクロメート処理後の製品から6価クロムが溶出
するおそれがあること等、種々の問題を有している。こ
のため、クロム酸類の使用管理基準が厳しくなるにした
がい、クロメート処理工場の管理、排水処理、クロメー
ト処理物による二次汚染等が問題とされ、これに対応し
て各工場では排水関係をクローズド化し、クロムイオン
が外部に排出されるのを極力防止する対策を講じてい
る。また、ユーザー側における防錆油やプレス油を脱脂
する工程で、アルカリ系の脱脂液を用いる際には、脱脂
液中へのクロムの溶出がかなり多くなるため、脱脂液の
脱クロム処理が必要となる。
【0004】従来、このようなリン酸塩処理鋼板のクロ
ムシーリング処理に代る無公害な後処理方法として、例
えば特公平7−42423号には、チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム及びこれらの混合物からなる金属元素を
含むイオンと、ポリアルケニルフェノール・ポリマー誘
導体をベースとする特定のポリマーからなる処理組成物
が提案されている。
ムシーリング処理に代る無公害な後処理方法として、例
えば特公平7−42423号には、チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム及びこれらの混合物からなる金属元素を
含むイオンと、ポリアルケニルフェノール・ポリマー誘
導体をベースとする特定のポリマーからなる処理組成物
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この処理組成
物は主としてアルミニウム材の表面処理を狙いとしたも
のであり、亜鉛系めっき表面のリン酸塩処理の後処理に
適用しても耐食性の向上はあまり期待できず、特に、亜
鉛めっきの白錆抑制については効果が少ない。また、高
価なチタン、ジルコニウム、ハフニウムを処理液中の必
須成分としているため処理液コストが高く、安価で且つ
効果が大きいクロムシーリング処理の代替とすることは
コストや性能面からして非常に難しい。したがって本発
明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、リン
酸塩処理後の後処理皮膜中に6価クロムを含むことなく
優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供することに
ある。
物は主としてアルミニウム材の表面処理を狙いとしたも
のであり、亜鉛系めっき表面のリン酸塩処理の後処理に
適用しても耐食性の向上はあまり期待できず、特に、亜
鉛めっきの白錆抑制については効果が少ない。また、高
価なチタン、ジルコニウム、ハフニウムを処理液中の必
須成分としているため処理液コストが高く、安価で且つ
効果が大きいクロムシーリング処理の代替とすることは
コストや性能面からして非常に難しい。したがって本発
明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、リン
酸塩処理後の後処理皮膜中に6価クロムを含むことなく
優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面にリン酸塩処
理皮膜を形成した後の後処理皮膜として、キレート形成
基を有する高分子キレート化剤を主成分とする皮膜(高
分子キレート化剤皮膜)を形成することにより、環境や
人体に悪影響を及ぼすおそれのあるクロムシーリング処
理を行うことなく、無公害で且つ耐食性に優れた表面処
理鋼板が得られることを見い出した。
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面にリン酸塩処
理皮膜を形成した後の後処理皮膜として、キレート形成
基を有する高分子キレート化剤を主成分とする皮膜(高
分子キレート化剤皮膜)を形成することにより、環境や
人体に悪影響を及ぼすおそれのあるクロムシーリング処
理を行うことなく、無公害で且つ耐食性に優れた表面処
理鋼板が得られることを見い出した。
【0007】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g/m2の付
着量で形成し、その上層に有機高分子マトリックスにキ
レート形成基を有する高分子キレート化剤を主成分とす
る高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とする
耐食性に優れた表面処理鋼板。
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g/m2の付
着量で形成し、その上層に有機高分子マトリックスにキ
レート形成基を有する高分子キレート化剤を主成分とす
る高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とする
耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0008】[2] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(B)の成分を含む高分子キレー
ト化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた
表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(B)の成分を含む高分子キレー
ト化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた
表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部
【0009】[3] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(C)の成分を含む高分子キレー
ト化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた
表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(C)の成分を含む高分子キレー
ト化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた
表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部
【0010】[4] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(B)および(C)の成分を含む
高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐
食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部
系めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6
g/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主
成分とし、さらに下記(B)および(C)の成分を含む
高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐
食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部
【0011】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスの数平均分子量が300以上であり、高分子キレー
ト化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであることを特徴
とする耐食性に優れた表面処理鋼板。 [6] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、
高分子キレート化剤の有機高分子マトリックスの数平均
分子量が1000以上であり、高分子キレート化剤皮膜
の膜厚が0.01〜5μmであることを特徴とする耐食
性に優れた表面処理鋼板。
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスの数平均分子量が300以上であり、高分子キレー
ト化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであることを特徴
とする耐食性に優れた表面処理鋼板。 [6] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、
高分子キレート化剤の有機高分子マトリックスの数平均
分子量が1000以上であり、高分子キレート化剤皮膜
の膜厚が0.01〜5μmであることを特徴とする耐食
性に優れた表面処理鋼板。
【0012】[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの表面処理鋼
板において、高分子キレート化剤が有するキレート形成
基が、アミノ酸基、カルボキシル基、シチオカルバミン
酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザンセート基、ホス
ホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジチオ酸基、リン
酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオキシム基の中か
ら選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とす
る耐食性に優れた表面処理鋼板。
板において、高分子キレート化剤が有するキレート形成
基が、アミノ酸基、カルボキシル基、シチオカルバミン
酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザンセート基、ホス
ホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジチオ酸基、リン
酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオキシム基の中か
ら選ばれる1種または2種以上からなることを特徴とす
る耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0013】[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの表面処理鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化
合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
は2種以上からなることを特徴とする耐食性に優れた表
面処理鋼板。
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化
合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
は2種以上からなることを特徴とする耐食性に優れた表
面処理鋼板。
【0014】このような本発明の表面処理鋼板におい
て、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面のリン酸塩処理皮膜の上層に後処理皮膜として形
成されたキレート形成基を有する高分子キレート化剤皮
膜は、高分子マトリックスが有機樹脂と同様に皮膜を形
成して腐食を抑制する作用が得られるだけでなく、塗装
後の腐食環境中において、腐食によって生成した金属イ
オンを皮膜中のフリーのキレート形成基が捕捉し、安定
な金属錯体構造を形成することによって腐食の促進を抑
制する作用が得られ、これらの複合的な作用により優れ
た耐食性と塗装性が得られる。
て、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面のリン酸塩処理皮膜の上層に後処理皮膜として形
成されたキレート形成基を有する高分子キレート化剤皮
膜は、高分子マトリックスが有機樹脂と同様に皮膜を形
成して腐食を抑制する作用が得られるだけでなく、塗装
後の腐食環境中において、腐食によって生成した金属イ
オンを皮膜中のフリーのキレート形成基が捕捉し、安定
な金属錯体構造を形成することによって腐食の促進を抑
制する作用が得られ、これらの複合的な作用により優れ
た耐食性と塗装性が得られる。
【0015】本発明の表面処理鋼板は、塗装用途だけで
なく無塗装用途にも適用することもでき、このような無
塗装用途に適用する場合には、高分子キレート化剤皮膜
中に防錆添加剤や固形潤滑剤等を添加し、より優れた耐
食性、潤滑性を付与することができる。
なく無塗装用途にも適用することもでき、このような無
塗装用途に適用する場合には、高分子キレート化剤皮膜
中に防錆添加剤や固形潤滑剤等を添加し、より優れた耐
食性、潤滑性を付与することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜
中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合め
っき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)等
を用いることができる。
由を説明する。本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜
中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合め
っき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)等
を用いることができる。
【0017】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の表面処理鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板等を用い
ることができる。また、鋼板面に予めNi等の薄目付め
っきを施し、その上に上記のような各種めっきを施して
もよい。めっき方法としては、電解法(水溶液中での電
解または非水溶媒中での電解)、溶融法および気相法の
うち、実施可能ないずれの方法を採用することもでき
る。
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の表面処理鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板等を用い
ることができる。また、鋼板面に予めNi等の薄目付め
っきを施し、その上に上記のような各種めっきを施して
もよい。めっき方法としては、電解法(水溶液中での電
解または非水溶媒中での電解)、溶融法および気相法の
うち、実施可能ないずれの方法を採用することもでき
る。
【0018】上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面にはリン酸塩処理皮膜が形成され、
その上層にキレート形成基を有する高分子キレート化剤
を主成分とする高分子キレート化剤皮膜が形成される。
リン酸塩処理皮膜の付着量は0.1〜6g/m2とす
る。付着量が0.1g/m2未満では耐食性、塗料密着
性が不十分である。一方、付着量が6g/m2を超える
と不必要に処理時間が長くなったり、或いは処理液を消
費するだけでなく、加工性も低下する。上記リン酸塩処
理皮膜を形成するためのリン酸塩処理では通常用いられ
ているリン酸塩処理液を用いることができ、処理液の種
類や処理条件等は特に限定されない。例えば、亜鉛系め
っき鋼板用としては日本パーカライジング(株)製のパ
ルボンド3312、パルボンドL3020、パルボンド
L3080、日本ペイント(株)製のグラノジンSD5
000等を用いることができる。
系めっき鋼板の表面にはリン酸塩処理皮膜が形成され、
その上層にキレート形成基を有する高分子キレート化剤
を主成分とする高分子キレート化剤皮膜が形成される。
リン酸塩処理皮膜の付着量は0.1〜6g/m2とす
る。付着量が0.1g/m2未満では耐食性、塗料密着
性が不十分である。一方、付着量が6g/m2を超える
と不必要に処理時間が長くなったり、或いは処理液を消
費するだけでなく、加工性も低下する。上記リン酸塩処
理皮膜を形成するためのリン酸塩処理では通常用いられ
ているリン酸塩処理液を用いることができ、処理液の種
類や処理条件等は特に限定されない。例えば、亜鉛系め
っき鋼板用としては日本パーカライジング(株)製のパ
ルボンド3312、パルボンドL3020、パルボンド
L3080、日本ペイント(株)製のグラノジンSD5
000等を用いることができる。
【0019】次に、上記リン酸塩処理皮膜の上層に形成
される高分子キレート化剤皮膜について説明する。金属
表面を腐食抑制剤(インヒビター)を用いて化学吸着法
により防食する手法は古くから知られており、主に鉄の
防食方法として、冷却水系、ボイラー系、給水・給湯系
等のような水と金属とが常時接触する環境下で、水中に
アミン系、リン酸系吸着剤を添加する方法が実用化され
ている。
される高分子キレート化剤皮膜について説明する。金属
表面を腐食抑制剤(インヒビター)を用いて化学吸着法
により防食する手法は古くから知られており、主に鉄の
防食方法として、冷却水系、ボイラー系、給水・給湯系
等のような水と金属とが常時接触する環境下で、水中に
アミン系、リン酸系吸着剤を添加する方法が実用化され
ている。
【0020】本発明は、これら水回り配管系の防食とは
もちろん目的・用途が異なり、建材、家電、自動車等の
用途の鋼板の耐食性、塗装性の向上を目的としている。
ところが、従来ではこのような防錆鋼板の表面処理皮膜
として、キレート形成基を有する化合物を主体とする皮
膜が実用化された例はほとんどない。これは、従来使用
されているキレート化剤は一般に低分子量(通常、分子
量300未満)であるため、塗料用高分子樹脂のような
連続皮膜を形成することが困難である、等の理由により
十分な防食機能が得られなかったためである。
もちろん目的・用途が異なり、建材、家電、自動車等の
用途の鋼板の耐食性、塗装性の向上を目的としている。
ところが、従来ではこのような防錆鋼板の表面処理皮膜
として、キレート形成基を有する化合物を主体とする皮
膜が実用化された例はほとんどない。これは、従来使用
されているキレート化剤は一般に低分子量(通常、分子
量300未満)であるため、塗料用高分子樹脂のような
連続皮膜を形成することが困難である、等の理由により
十分な防食機能が得られなかったためである。
【0021】上記の課題を克服するために本発明者らが
鋭意研究を重ねた結果、有機高分子マトリクスにキレー
ト形成基を付与した高分子キレート化剤を主成分とする
皮膜が、亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム系めっき鋼板
をリン酸塩処理後した後の後処理皮膜として、優れた耐
食性、塗装性向上効果を有することを見い出したもので
ある。
鋭意研究を重ねた結果、有機高分子マトリクスにキレー
ト形成基を付与した高分子キレート化剤を主成分とする
皮膜が、亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム系めっき鋼板
をリン酸塩処理後した後の後処理皮膜として、優れた耐
食性、塗装性向上効果を有することを見い出したもので
ある。
【0022】このような高分子キレート化剤皮膜による
防食機構は必ずしも明確でないが、(1)従来用いられ
ていたような低分子量のキレート化剤ではなく、有機高
分子を主体とする高分子キレート化剤とすることにより
均一な皮膜を形成できること、(2)形成した皮膜を有
する鋼板を腐食環境下に曝したときに、アノード溶解に
よって溶出した金属イオンをキレート形成基が捕捉し、
電気的に中和された緻密な高分子錯体構造が生成するこ
とにより腐食の進行が抑制されること、等により優れた
防食効果が得られるものと考えられる。
防食機構は必ずしも明確でないが、(1)従来用いられ
ていたような低分子量のキレート化剤ではなく、有機高
分子を主体とする高分子キレート化剤とすることにより
均一な皮膜を形成できること、(2)形成した皮膜を有
する鋼板を腐食環境下に曝したときに、アノード溶解に
よって溶出した金属イオンをキレート形成基が捕捉し、
電気的に中和された緻密な高分子錯体構造が生成するこ
とにより腐食の進行が抑制されること、等により優れた
防食効果が得られるものと考えられる。
【0023】本発明において、有機高分子マトリクスに
付与するキレート形成基としては、アミノ酸基、カルボ
キシル基、シチオカルバミン酸基、ポリアミノ基、チオ
ール基、ザンセート基、ホスホメチルアミノ基、チオウ
レイド基、ジチオ酸基、リン酸基、β−ジケトン基、ヒ
ドロキサムオキシム基が挙げられ、これらの中から選ば
れる1種または2種以上のキレート形成基を有する高分
子キレート化剤を用いることが好ましい。また、上記ア
ミノ酸基には、例えば、グリシン基、β−アラニン基、
イミノジ酢酸基等が含まれる。また、塗料組成物中でこ
れらの高分子キレート化剤を安定に存在させるために、
必要に応じてキレート形成基がアンモニアやアルカリ金
属等のカチオンとの塩として存在していてもよい。
付与するキレート形成基としては、アミノ酸基、カルボ
キシル基、シチオカルバミン酸基、ポリアミノ基、チオ
ール基、ザンセート基、ホスホメチルアミノ基、チオウ
レイド基、ジチオ酸基、リン酸基、β−ジケトン基、ヒ
ドロキサムオキシム基が挙げられ、これらの中から選ば
れる1種または2種以上のキレート形成基を有する高分
子キレート化剤を用いることが好ましい。また、上記ア
ミノ酸基には、例えば、グリシン基、β−アラニン基、
イミノジ酢酸基等が含まれる。また、塗料組成物中でこ
れらの高分子キレート化剤を安定に存在させるために、
必要に応じてキレート形成基がアンモニアやアルカリ金
属等のカチオンとの塩として存在していてもよい。
【0024】本発明において、上記のキレート形成基を
有する高分子化合物のマトリックスとなる有機ポリマー
の構造や合成方法に制限はなく、いずれ構造ないし合成
方法のものでもよい。例えば、有機高分子マトリックス
としては、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプン等が挙げられ、これらの中
から選ばれる1種または2種以上を用いることができ
る。また、これらの中でも特に、ポリエチレン、ポリエ
チレンイミン、ポリアミノ化合物、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂等が好ましい。
有する高分子化合物のマトリックスとなる有機ポリマー
の構造や合成方法に制限はなく、いずれ構造ないし合成
方法のものでもよい。例えば、有機高分子マトリックス
としては、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプン等が挙げられ、これらの中
から選ばれる1種または2種以上を用いることができ
る。また、これらの中でも特に、ポリエチレン、ポリエ
チレンイミン、ポリアミノ化合物、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂等が好ましい。
【0025】有機高分子マトリックスの数平均分子量に
も特別な制約はないが、好ましくは300以上、より好
ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以
上、特に好ましくは50000以上1000000以下
とする。分子量が300未満では耐食性向上効果が小さ
く、一方、1000000を超えるような分子量では塗
料組成物がゲル化する等の問題が生じるため好ましくな
い。
も特別な制約はないが、好ましくは300以上、より好
ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以
上、特に好ましくは50000以上1000000以下
とする。分子量が300未満では耐食性向上効果が小さ
く、一方、1000000を超えるような分子量では塗
料組成物がゲル化する等の問題が生じるため好ましくな
い。
【0026】以上のような高分子キレート化剤として
は、例えば、排水処理中の重金属や飛灰中の重金属の補
集を目的として工業化されている重金属補集剤を利用す
ることができる。例えば、ミヨシ油脂(株)製のエポフ
ロックL−1、エポフロックL−2、栗田工業(株)製
のウエルクリンK−100、ウエルクリンK−200等
が挙げられる。勿論、上記以外の合成品を用いても構わ
ない。
は、例えば、排水処理中の重金属や飛灰中の重金属の補
集を目的として工業化されている重金属補集剤を利用す
ることができる。例えば、ミヨシ油脂(株)製のエポフ
ロックL−1、エポフロックL−2、栗田工業(株)製
のウエルクリンK−100、ウエルクリンK−200等
が挙げられる。勿論、上記以外の合成品を用いても構わ
ない。
【0027】本発明における高分子キレート化剤皮膜
は、鋼板を塗装下地用途として使用する場合には上述し
た高分子キレート化剤のみからなる皮膜としても構わな
いが、上述したような無塗装用途で使用する場合には、
さらに耐食性、加工性を向上させることが好ましく、必
要に応じて以下に述べるような防錆添加剤や固形潤滑剤
を配合することが好ましい。以下、これらの添加成分に
ついて説明する。
は、鋼板を塗装下地用途として使用する場合には上述し
た高分子キレート化剤のみからなる皮膜としても構わな
いが、上述したような無塗装用途で使用する場合には、
さらに耐食性、加工性を向上させることが好ましく、必
要に応じて以下に述べるような防錆添加剤や固形潤滑剤
を配合することが好ましい。以下、これらの添加成分に
ついて説明する。
【0028】高分子キレート化剤皮膜には、防食効果を
さらに高める目的で、必要に応じて、シリカ、ポリリン
酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩等の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
剤を配合することができる。
さらに高める目的で、必要に応じて、シリカ、ポリリン
酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩等の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
剤を配合することができる。
【0029】シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュ
ームドシリカのいずれを用いてもよい。コロイダルシリ
カとしては、例えば、スノーテックス O、スノーテッ
クスN、スノーテックス 20、スノーテックス 30、
スノーテックス 40、スノーテックス C、スノーテッ
クス S(以上、日産化学(株)製)等を用いることが
できる。また、ヒュームドリシカとしては、例えば、A
EROSIL R971、AEROSIL R812、A
EROSIL R811、AEROSIL R974、A
EROSIL R202、AEROSIL R805、A
EROSIL130、AEROSIL 200、AER
OSIL 300、AEROSIL 300CF(以上、
日本アエロジル(株)製)等を用いることができる。
ームドシリカのいずれを用いてもよい。コロイダルシリ
カとしては、例えば、スノーテックス O、スノーテッ
クスN、スノーテックス 20、スノーテックス 30、
スノーテックス 40、スノーテックス C、スノーテッ
クス S(以上、日産化学(株)製)等を用いることが
できる。また、ヒュームドリシカとしては、例えば、A
EROSIL R971、AEROSIL R812、A
EROSIL R811、AEROSIL R974、A
EROSIL R202、AEROSIL R805、A
EROSIL130、AEROSIL 200、AER
OSIL 300、AEROSIL 300CF(以上、
日本アエロジル(株)製)等を用いることができる。
【0030】皮膜中に添加されたシリカは、腐食環境下
で緻密で安定な金属の腐食生成物の生成に寄与し、この
腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによっ
て、腐食の促進を抑制するものと考えられる。また、シ
リカ以外の防錆添加剤として、公知のポリリン酸塩(例
えば、ポリリン酸アルミ:テイカK−WHITE 8
0、テイカK−WHITE 84、テイカK−WHIT
E 105、テイカK−WHITE G105、テイカK
−WHITE 90(以上、テイカ(株)製))、リン
酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウ
ム、亜リン酸亜鉛等)、モリブテン酸塩、リンモリブデ
ン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウム)、フ
ィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩等
を用いることもできる。
で緻密で安定な金属の腐食生成物の生成に寄与し、この
腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによっ
て、腐食の促進を抑制するものと考えられる。また、シ
リカ以外の防錆添加剤として、公知のポリリン酸塩(例
えば、ポリリン酸アルミ:テイカK−WHITE 8
0、テイカK−WHITE 84、テイカK−WHIT
E 105、テイカK−WHITE G105、テイカK
−WHITE 90(以上、テイカ(株)製))、リン
酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウ
ム、亜リン酸亜鉛等)、モリブテン酸塩、リンモリブデ
ン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウム)、フ
ィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩等
を用いることもできる。
【0031】防錆添加剤の配合量は、固形分の割合で高
分子キレート化剤100重量部に対して1〜100重量
部とする。配合量が1重量部未満では、耐食性向上効果
が少ない。一方、配合量が100重量部を超えると、塗
装性や加工性が低下するので好ましくない。防錆添加剤
のより好ましい配合量は5〜80重量部である。
分子キレート化剤100重量部に対して1〜100重量
部とする。配合量が1重量部未満では、耐食性向上効果
が少ない。一方、配合量が100重量部を超えると、塗
装性や加工性が低下するので好ましくない。防錆添加剤
のより好ましい配合量は5〜80重量部である。
【0032】さらに、高分子キレート化剤皮膜には、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤を配合するこ
とができる。この固形潤滑剤としては、以下のようなも
のが挙げられる。 (1)ポリオレフィンワックス等の炭化水素系化合物:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂系化合物:例えば、ポリフルオロエチ
レン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等 (3)脂肪酸アミド系化合物:例えば、ステアリン酸ア
ミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミ
ド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、
エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤を配合するこ
とができる。この固形潤滑剤としては、以下のようなも
のが挙げられる。 (1)ポリオレフィンワックス等の炭化水素系化合物:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂系化合物:例えば、ポリフルオロエチ
レン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等 (3)脂肪酸アミド系化合物:例えば、ステアリン酸ア
ミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミ
ド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、
エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等
【0033】(4)金属石けん類:例えば、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウ
ム、パルミチン酸カルシウム等 (5)金属硫化物:例えば、二硫化モリブデン、二硫化
タングステン (6)その他:例えば、グラファイト、フッ化黒鉛、窒
化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫
酸塩等
酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウ
ム、パルミチン酸カルシウム等 (5)金属硫化物:例えば、二硫化モリブデン、二硫化
タングステン (6)その他:例えば、グラファイト、フッ化黒鉛、窒
化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫
酸塩等
【0034】以上の固形潤滑剤の中でも、特にポリエチ
レンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、ヘキスト社製のセリダスト 96
15A、セリダスト 3715、セリダスト 3620、
セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサンワック
ス 131−P、サンワックス 161−P、三井石油化
学(株)製のケミパールW−100、ケミパール W−
200、ケミパール W−500、ケミパール W−80
0、ケミパール W−950等を用いることができる。
レンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、ヘキスト社製のセリダスト 96
15A、セリダスト 3715、セリダスト 3620、
セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサンワック
ス 131−P、サンワックス 161−P、三井石油化
学(株)製のケミパールW−100、ケミパール W−
200、ケミパール W−500、ケミパール W−80
0、ケミパール W−950等を用いることができる。
【0035】フッ素樹脂系化合物としては、テトラフル
オロエチレン微粒子が好適であり、ダイキン工業(株)
製のルブロン L−2、ルブロン L−5、三井・デュポ
ン社製のMP1100、MP1200、旭アイシーアイ
フロロポリマーズ(株)製のフルオンディスパージョン
AD1、フルオンディスパージョン AD2、フルオン
L140J、フルオン L150J、フルオン L15
5J等を用いることができる。
オロエチレン微粒子が好適であり、ダイキン工業(株)
製のルブロン L−2、ルブロン L−5、三井・デュポ
ン社製のMP1100、MP1200、旭アイシーアイ
フロロポリマーズ(株)製のフルオンディスパージョン
AD1、フルオンディスパージョン AD2、フルオン
L140J、フルオン L150J、フルオン L15
5J等を用いることができる。
【0036】また、これらの固形潤滑剤なかで、ポリオ
レフィンワックスとテトラフルオロエチレンを併用して
添加することにより、特に優れた潤滑効果が期待でき
る。固形潤滑剤の配合量は、固形分の割合で高分子キレ
ート化剤100重量部に対して1〜80重量部とする。
固形潤滑剤の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏し
く、一方、80重量部を超えると塗装性が低下する。固
形潤滑剤の好ましい配合量は3〜40重量部である。
レフィンワックスとテトラフルオロエチレンを併用して
添加することにより、特に優れた潤滑効果が期待でき
る。固形潤滑剤の配合量は、固形分の割合で高分子キレ
ート化剤100重量部に対して1〜80重量部とする。
固形潤滑剤の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏し
く、一方、80重量部を超えると塗装性が低下する。固
形潤滑剤の好ましい配合量は3〜40重量部である。
【0037】さらに、高分子キレート化剤皮膜には他の
添加剤として、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ
系金属錯塩染料、水溶性アゾ系金属錯塩染料等)、有機
着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニ
ン系有機顔料等)、無機顔料(例えば、酸化チタン
等)、キレート剤(例えば、チオール等)、導電性顔料
(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケル等の金属粉
末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等)、カップ
リング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカッ
プリング剤等)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加
することができる。
添加剤として、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ
系金属錯塩染料、水溶性アゾ系金属錯塩染料等)、有機
着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニ
ン系有機顔料等)、無機顔料(例えば、酸化チタン
等)、キレート剤(例えば、チオール等)、導電性顔料
(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケル等の金属粉
末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等)、カップ
リング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカッ
プリング剤等)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加
することができる。
【0038】以上述べたような高分子キレート化剤皮膜
は、上記リン酸塩処理皮膜の上層にクロムシーリング処
理皮膜を介することなく形成される。高分子キレート化
剤皮膜の乾燥膜厚は任意であるが、好ましくは0.01
〜5μmとする。膜厚が0.01μm未満では耐食性が
不十分であり、一方、加工性が要求される用途では膜厚
が5μmを超えると加工性が低下する。より好ましい膜
厚は0.1〜3μmである。
は、上記リン酸塩処理皮膜の上層にクロムシーリング処
理皮膜を介することなく形成される。高分子キレート化
剤皮膜の乾燥膜厚は任意であるが、好ましくは0.01
〜5μmとする。膜厚が0.01μm未満では耐食性が
不十分であり、一方、加工性が要求される用途では膜厚
が5μmを超えると加工性が低下する。より好ましい膜
厚は0.1〜3μmである。
【0039】高分子キレート化剤皮膜は、上述した高分
子キレート化剤を主成分とする塗料組成物をリン酸塩処
理が施された亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系め
っき鋼板の表面に塗布し、乾燥させることにより製造さ
れる。
子キレート化剤を主成分とする塗料組成物をリン酸塩処
理が施された亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系め
っき鋼板の表面に塗布し、乾燥させることにより製造さ
れる。
【0040】高分子キレート化剤を主成分とする塗料組
成物をリン酸塩処理が施されためっき鋼板の表面に塗布
する方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法等の任
意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコータ
ー(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイズコータ
ー、ダイコーター等のいずれの方法を用いてもよい。ま
た、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理また
はスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法に
より塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行う
ことも可能である。通常、浸漬処理では常温〜80℃程
度の塗料組成物液中にリン酸塩処理めっき鋼板を浸漬す
る。また、スプレー処理では、常温〜80℃程度の塗料
組成物液をリン酸塩処理めっき鋼板に適当なスプレー圧
条件下でスプレー処理する。
成物をリン酸塩処理が施されためっき鋼板の表面に塗布
する方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法等の任
意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコータ
ー(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイズコータ
ー、ダイコーター等のいずれの方法を用いてもよい。ま
た、スクイズコーター等による塗布処理、浸漬処理また
はスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法に
より塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行う
ことも可能である。通常、浸漬処理では常温〜80℃程
度の塗料組成物液中にリン酸塩処理めっき鋼板を浸漬す
る。また、スプレー処理では、常温〜80℃程度の塗料
組成物液をリン酸塩処理めっき鋼板に適当なスプレー圧
条件下でスプレー処理する。
【0041】通常、塗料組成物の塗布後には、水洗する
ことなく加熱乾燥を行う。但し、塗料組成物の塗布後に
水洗工程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ド
ライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用
いることができる。加熱処理は、到達板温で50〜30
0℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが
望ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多
量に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が3
00℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に
欠陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
ことなく加熱乾燥を行う。但し、塗料組成物の塗布後に
水洗工程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ド
ライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用
いることができる。加熱処理は、到達板温で50〜30
0℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが
望ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多
量に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が3
00℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に
欠陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0042】本発明は、以上述べたような高分子キレー
ト化剤皮膜を両面または片面に有する鋼板を含むもので
ある。したがって、本発明鋼板の形態としては、例え
ば、以下のようなものがある。 (1)片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜、片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜、片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜 (3)両面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜
ト化剤皮膜を両面または片面に有する鋼板を含むもので
ある。したがって、本発明鋼板の形態としては、例え
ば、以下のようなものがある。 (1)片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜、片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜、片面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜 (3)両面:めっき皮膜−リン酸塩処理皮膜−高分子キ
レート化剤皮膜
【0043】
【実施例】[実施例1]家電、建材、自動車部品用の表
面処理鋼板として、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理後、リン酸塩
処理を施し、水洗乾燥した後、塗料組成物をロールコー
ターにより塗布し、加熱乾燥した。なお、皮膜の膜厚は
塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロー
ルの圧下力、回転速度等)により調整した。得られた表
面処理鋼板について、皮膜外観の評価と耐食性(耐白錆
性)、塗料密着性および加工性の各評価試験を行った。
その結果を、使用しためっき鋼板の種類、高分子キレー
ト化剤皮膜の組成、膜厚、乾燥温度とともに表6〜表2
0に示す。
面処理鋼板として、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理後、リン酸塩
処理を施し、水洗乾燥した後、塗料組成物をロールコー
ターにより塗布し、加熱乾燥した。なお、皮膜の膜厚は
塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロー
ルの圧下力、回転速度等)により調整した。得られた表
面処理鋼板について、皮膜外観の評価と耐食性(耐白錆
性)、塗料密着性および加工性の各評価試験を行った。
その結果を、使用しためっき鋼板の種類、高分子キレー
ト化剤皮膜の組成、膜厚、乾燥温度とともに表6〜表2
0に示す。
【0044】本実施例における表面処理鋼板の製造条件
を以下に示す。 (1) めっき鋼板 板厚0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼
板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム系めっきを施
し、下地めっき鋼板として用いた。使用しためっき鋼板
を表1に示す。 (2) リン酸塩処理 表面をアルカリ脱脂した後、表面調整(日本パーカライ
ジング(株)製の“プレパレンZ”を用いたスプレー処
理)を行い、さらにリン酸塩処理(日本パーカライジン
グ(株)製の“パルポンド3312”を用いたスプレー
処理)を行った後、水洗・乾燥した。リン酸塩処理皮膜
の付着量は2g/m2とした。
を以下に示す。 (1) めっき鋼板 板厚0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼
板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム系めっきを施
し、下地めっき鋼板として用いた。使用しためっき鋼板
を表1に示す。 (2) リン酸塩処理 表面をアルカリ脱脂した後、表面調整(日本パーカライ
ジング(株)製の“プレパレンZ”を用いたスプレー処
理)を行い、さらにリン酸塩処理(日本パーカライジン
グ(株)製の“パルポンド3312”を用いたスプレー
処理)を行った後、水洗・乾燥した。リン酸塩処理皮膜
の付着量は2g/m2とした。
【0045】(3) 高分子キレート化剤を主成分とする塗
料組成物 下記する高分子キレート化剤等の水溶液を主体とし、必
要に応じて、これに防錆添加剤、固形潤滑剤を添加し
て、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所要
時間分散させ、塗料組成物を得た。 (3-1) 高分子キレート化剤 表2にNo.1〜No.3として示す高分子キレート化
剤を用いた。また、比較例として同表のNo.4、N
o.5、No.6に示す、低分子量のキレート化剤であ
るEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)水溶液、従
来から防錆剤として用いられているタンニン酸水溶液及
びクロムシーリング処理液を用いた。
料組成物 下記する高分子キレート化剤等の水溶液を主体とし、必
要に応じて、これに防錆添加剤、固形潤滑剤を添加し
て、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所要
時間分散させ、塗料組成物を得た。 (3-1) 高分子キレート化剤 表2にNo.1〜No.3として示す高分子キレート化
剤を用いた。また、比較例として同表のNo.4、N
o.5、No.6に示す、低分子量のキレート化剤であ
るEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)水溶液、従
来から防錆剤として用いられているタンニン酸水溶液及
びクロムシーリング処理液を用いた。
【0046】(3-2) 防錆添加剤 必要に応じて、表3に示すシリカ、表4に示すポリリン
酸塩等の防錆添加剤を用いた。 (3-3) 固形潤滑剤 必要に応じて、表5に示す固形潤滑剤を用いた。
酸塩等の防錆添加剤を用いた。 (3-3) 固形潤滑剤 必要に応じて、表5に示す固形潤滑剤を用いた。
【0047】表面処理鋼板の品質性能の評価は以下のよ
うにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
うにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0048】(2) 耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。なお、防錆添加剤を含まない皮膜を形成したものに
ついては48時間後の耐白錆性で評価し、一方、防錆添
加剤(シリカまたはシリカ以外の防錆添加剤)を含む皮
膜を形成したものについては、48時間後の耐白錆性だ
けでは防錆添加剤無添加のものに対する優位差が現われ
ないため、より厳しい試験条件である72時間後の耐白
錆性でも評価した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。なお、防錆添加剤を含まない皮膜を形成したものに
ついては48時間後の耐白錆性で評価し、一方、防錆添
加剤(シリカまたはシリカ以外の防錆添加剤)を含む皮
膜を形成したものについては、48時間後の耐白錆性だ
けでは防錆添加剤無添加のものに対する優位差が現われ
ないため、より厳しい試験条件である72時間後の耐白
錆性でも評価した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0049】(3) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、貼着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、貼着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0050】(4) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0051】[実施例2]家電、建材、自動車部品用の
表面処理鋼板として、表1に記載のNo.1のめっき鋼
板(表面粗さ(Ra)1.0μm)の表面をアルカリ脱
脂処理後、リン酸塩処理を施し、水洗乾燥した後、表2
1に示す塗料組成物をロールコーターにより塗布し、加
熱乾燥した。得られた表面処理鋼板について、皮膜外観
の評価と耐食性(耐白錆性)、塗料密着性および加工性
の各評価試験を行った。その結果を、使用しためっき鋼
板の種類、高分子キレート化剤皮膜の組成、膜厚、乾燥
温度とともに表22及び表23に示す。なお、リン酸塩
処理条件、表面処理鋼板の品質性能の評価方法は上記実
施例1と同様とした。
表面処理鋼板として、表1に記載のNo.1のめっき鋼
板(表面粗さ(Ra)1.0μm)の表面をアルカリ脱
脂処理後、リン酸塩処理を施し、水洗乾燥した後、表2
1に示す塗料組成物をロールコーターにより塗布し、加
熱乾燥した。得られた表面処理鋼板について、皮膜外観
の評価と耐食性(耐白錆性)、塗料密着性および加工性
の各評価試験を行った。その結果を、使用しためっき鋼
板の種類、高分子キレート化剤皮膜の組成、膜厚、乾燥
温度とともに表22及び表23に示す。なお、リン酸塩
処理条件、表面処理鋼板の品質性能の評価方法は上記実
施例1と同様とした。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【表19】
【0071】
【表20】
【0072】
【表21】
【0073】
【表22】
【0074】
【表23】
【0075】
【発明の効果】以上述べたように本発明の表面処理鋼板
は、リン酸塩処理後の後処理皮膜が製造時の処理液や製
品の皮膜成分中に6価クロムを全く含まず、しかも建
材、家電、自動車等の用途の表面処理鋼板として高度の
耐食性を有し、また、皮膜外観、塗料密着性等にも優れ
ている。
は、リン酸塩処理後の後処理皮膜が製造時の処理液や製
品の皮膜成分中に6価クロムを全く含まず、しかも建
材、家電、自動車等の用途の表面処理鋼板として高度の
耐食性を有し、また、皮膜外観、塗料密着性等にも優れ
ている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (8)
- 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g
/m2の付着量で形成し、その上層に有機高分子マトリ
ックスにキレート形成基を有する高分子キレート化剤を
主成分とする高分子キレート化剤皮膜を形成したことを
特徴とする耐食性に優れた表面処理鋼板。 - 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g
/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主成
分とし、さらに下記(B)の成分を含む高分子キレート
化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた表
面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部 - 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g
/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主成
分とし、さらに下記(C)の成分を含む高分子キレート
化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れた表
面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部 - 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、リン酸塩処理皮膜を0.1〜6g
/m2の付着量で形成し、その上層に下記(A)を主成
分とし、さらに下記(B)および(C)の成分を含む高
分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とする耐食
性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
部 - 【請求項5】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
ックスの数平均分子量が300以上であり、高分子キレ
ート化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであることを特
徴とする請求項1、2、3または4に記載の耐食性に優
れた表面処理鋼板。 - 【請求項6】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
ックスの数平均分子量が1000以上であり、高分子キ
レート化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであることを
特徴とする請求項1、2、3または4に記載の耐食性に
優れた表面処理鋼板。 - 【請求項7】 高分子キレート化剤が有するキレート形
成基が、アミノ酸基、カルボキシル基、シチオカルバミ
ン酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザンセート基、ホ
スホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジチオ酸基、リ
ン酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオキシム基の中
から選ばれる1種または2種以上からなることを特徴と
する請求項1、2、3、4、5または6に記載の耐食性
に優れた表面処理鋼板。 - 【請求項8】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
ックスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
は2種以上からなることを特徴とする請求項1、2、
3、4、5、6または7に記載の耐食性に優れた表面処
理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34587097A JPH11158649A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34587097A JPH11158649A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11158649A true JPH11158649A (ja) | 1999-06-15 |
Family
ID=18379558
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34587097A Pending JPH11158649A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11158649A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007217482A (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-30 | Tokuyama Corp | 重合体被覆無機粒子 |
KR20180003586A (ko) * | 2015-05-29 | 2018-01-09 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 전자 강판의 절연 피막 |
-
1997
- 1997-12-01 JP JP34587097A patent/JPH11158649A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007217482A (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-30 | Tokuyama Corp | 重合体被覆無機粒子 |
KR20180003586A (ko) * | 2015-05-29 | 2018-01-09 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 전자 강판의 절연 피막 |
CN107614752A (zh) * | 2015-05-29 | 2018-01-19 | 新日铁住金株式会社 | 电磁钢板的绝缘覆膜 |
EP3305942A4 (en) * | 2015-05-29 | 2018-08-01 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Insulating coating film for electromagnetic steel sheet |
US11332831B2 (en) | 2015-05-29 | 2022-05-17 | Nippon Steel Corporation | Insulating coating for electrical steel sheet |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060905 |
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