JPH11146999A - ドラム式洗濯乾燥機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】乾燥工程中の洗濯物の乾燥具合を検知して、過
乾燥，未乾燥を防止することのできる乾燥終了判定を行
うドラム式洗濯乾燥機を提供する。 【解決手段】洗濯開始前の洗濯物の重量と、乾燥途中の
洗濯物の重量を測定し、その比較、および、時間推移よ
り、残り乾燥時間を設定するような、重量測定装置，重
量情報記憶装置，制御装置を有するドラム式洗濯機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ドラム式洗濯乾燥
機など洗濯乾燥一体型洗濯機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ドラム式洗濯機を主とした従来の一般的
な洗濯乾燥機では、洗濯から乾燥までを自動的に行うこ
とを特徴としている。特に、洗濯物を入れて開始ボタン
を押すと、洗濯物の量や布質までを検知し、それに適し
た水量，時間を設定し、さらには、洗剤の種類までも自
動的に設定する機能を持つものもある。

【０００３】しかしながら、特に乾燥に関しては、初期
の段階で適当な時間を見積もることは容易でなく、温度
センサーや湿度センサーを用いて、適当な条件の下で乾
燥工程を終了するという方法を採っている。この方法
は、元来、衣類乾燥機において用いられているものであ
る。例えば、特開平7−31782号公報による公知例は、乾
燥終了検知を行うサーミスタ（温度センサー）の温度検
知精度を上げることにより乾燥時の乾きむらや未乾燥を
防止しようとするものである。また、特開平5−317590
号公報記載の例では、洗濯槽の入口と出口とに温度セン
サーを設置しており、検知された温度差の変化を利用し
て槽内の乾燥状態を把握しようとしたものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
は、ドラム内または洗濯槽内の洗濯物の乾燥終了の判定
を、槽内の温度の変化や、入口と出口の温度差の変化を
用いて行うものであるが、以下のような問題点があげら
れる。

【０００５】この方法は、乾燥進行中の乾燥の進み具合
を検知するものでなく、乾燥終了直前あるいは終了後の
温度の推移を利用したものである。また、温度センサー
の応答速度に遅れがあることも加わって、温度の変化が
検知されるまでに時間を要する。そのため、乾燥終了後
も運転を継続する過乾燥を前提としており、洗濯物を高
温にして傷める可能性があるとともに、電気使用量を増
加させることにもなっている。

【０００６】また、乾燥途中に何らかの外乱などによる
温度変化を検知すると、未乾燥のまま乾燥工程を終了し
てしまうことがある。これらの問題は、内部の洗濯物の
乾燥具合を間接的に表わす温度を用いているために生じ
る問題である。

【０００７】本発明の目的は、特別なセンサーなどを用
いず、従来のドラム式洗濯機が有する機能を有効に活用
して、洗濯物の乾燥具合を検知する方法を提供するもの
であり、これを用いて過乾燥を前提としない乾燥終了判
定、および、未乾燥の防止を実現したドラム式洗濯機乾
燥機を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のドラム式洗濯機
は、請求項１に記載したように、洗濯機本体と、本体に
弾性支持され水を保持する外槽と、外槽内に位置して軸
受で外槽に支持され、洗濯物を内包して水平軸周りに回
転する多孔性の回転ドラムと、駆動系，給排水系，乾燥
系，制御系などからなるドラム式洗濯機において、洗濯
開始前にドラムを回転させてその負荷量より洗濯物の重
量情報を得る重量測定手段と、その重量情報を記憶する
記憶装置と、さらに、乾燥工程時に測定した洗濯物の重
量と前記の記憶した重量とを比較する比較装置と、比較
結果を用いて乾燥工程の制御を行う制御装置とにより構
成した乾燥工程制御手段を持つようにしたものである。

【０００９】本発明のように、洗濯前の洗濯物の重量
と、乾燥工程時の洗濯物の重量との比較を用いる乾燥度
検知手段とすることにより、乾燥工程の各時点での乾燥
の具合（乾燥度）を知ることができる。

【００１０】また、本発明の請求項２に記載したよう
に、乾燥工程時の洗濯物の重量の時間推移から予測した
乾燥工程の残り時間を用いて、乾燥工程終了の判定を行
うことにより、乾燥工程末期の過乾燥や乾燥工程終了時
の未乾燥の可能性を減じることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図を用いて本発明の実施の
形態について説明する。図１は一般的なドラム式洗濯機
の全体構成図であり、本発明に関わるドラム式洗濯機も
本図のような構成をとっている。図１を用いて、ドラム
式洗濯機の構造、および、乾燥空気の流れについて説明
する。

【００１２】図１において、１は洗濯機のフレーム、２
は吊ばね４によってフレーム１に弾性支持され、水を保
持する外槽、３は外槽２内に位置し、水平軸を回転軸と
して回転しうるように軸受け１３で外槽２に支持された
ドラム、５は洗濯物を出し入れする扉、６は主に洗濯物
の飛び出しや水のもれを防止するベローズ、７は洗濯物
を持ち上げるリフタ、８は外槽２の振動を吸収低減する
ダンパである。ドラム３はモータ１０による動力がベル
ト１２，プーリ１１により伝達されて回転するように連
結されている。

【００１３】図中に示した矢印は乾燥空気の流れを示す
ものである。乾燥ファン１５より送り出された空気は、
ヒータ１６により熱せられ、乾燥ダクト１７を通って槽
内に送られる。槽内で洗濯物の水分を吸って湿った空気
は凝縮ベローズ１８，凝縮ダクト１９を通って、乾燥フ
ァンへと還流される。この間、凝縮ダクト１９で、冷却
水給水管２５より供給される冷却水との熱交換により水
分が凝縮し、空気は除湿されて乾燥空気となる。凝縮し
た水分は冷却水とともに配水管２０を通って排出され
る。

【００１４】次に、図２および図３を用いて、従来の乾
燥終了判定方法および、本発明による乾燥具合の判定方
法について説明する。

【００１５】図２は従来の乾燥終了判定方法の一つであ
る、槽内に設置した温度センサーを用いて乾燥終了を判
定する方法を、乾燥工程時の温度変化の推移を用いて説
明した図である。

【００１６】乾燥工程を開始すると、予熱区間を経たあ
と、温度一定の乾燥進行区間に入る。乾燥終了直前、お
よび、乾燥終了後には、槽内の温度が上昇し、図中に示
したように、ある一定の温度ΔＴの上昇を検知した時点
で乾燥工程を終了するものである。この方法では、乾燥
終了直前、あるいは、乾燥終了後の温度上昇を利用する
ため、また、温度センサの応答の遅れなども加わって、
洗濯物が乾燥状態となった後も運転を続けなくてはなら
ない。また、乾燥途中の外乱による温度変化を検知して
未乾燥のまま乾燥工程を終了してしまうこともあり、そ
れを防止するためにΔＴを大きくとることが必要とな
る。

【００１７】このため、洗濯物が過乾燥状態となり、高
温による洗濯物の傷みや使用電力量の増大が問題とな
る。また、乾燥途中では温度一定の状態が続くため、乾
燥率や乾燥終了までの時間などを予測するのが困難であ
る。

【００１８】図３は本発明に関連する乾燥具合検知方法
の基となる考え方を、洗濯物の重量の時間変化を用いて
説明した図である。

【００１９】図中の曲線は洗濯物の重量の推移を示して
おり、乾燥時間の経過とともに重量は減少していく。洗
濯物の重量は、洗濯開始前に測定されるとともに、乾燥
工程のある時間間隔ごとに測定され、記憶装置に記憶し
ておく。洗濯開始前の重量と、ある時点における重量と
の比較により、その時点での乾燥具合（乾燥度）や過去
のデータから予測される残りの乾燥時間をある程度正確
に予測できるようになる。この方法によれば、乾燥終了
の時間を修正しながら予測することができ、また、外乱
等による槽内の局所的な温度変化に影響されることなく
乾燥の具合を知ることができる。この乾燥終了までの時
間は、使用者に乾燥終了までの時間を伝える時間表示に
も使用することができる。

【００２０】図４は本発明を構成する制御系の実施例を
示したものである。図の３１は洗濯から乾燥までの全工
程を制御する制御装置であり、この中には、洗濯物の重
量を記憶する重量記憶装置３３や、重量比較や乾燥時間
予測等を行う比較・演算装置３２を含んでいる。３４は
洗濯物の重量を測定する重量測定装置で、例えば、電動
機に通電される電流値を計測する装置を用いることがで
きるが、本発明はそれに限定されるものではない。３６
は各種情報を使用者に伝える表示装置であるが、乾燥工
程においては、残り時間や乾燥度を表示するようにした
ものである。

【００２１】次に、本発明を用いた乾燥工程の制御の流
れについての実施例を図５を用いて説明する。まず全工
程の最初に洗濯物の重量を測定する。洗濯物の重量は、
例えばドラムを回転させたときの電動機への通電電流値
として計測する。この重量情報は記憶装置中に記憶して
おく。

【００２２】洗濯，脱水が終了して乾燥工程に入るが、
乾燥工程では、ある時間間隔で槽内の洗濯物の重量を測
定する。この測定は、最初に行う重量測定と同様に、ド
ラムを連続的に回転したまま行うことができ、乾燥工程
を中断したりするなどの妨げになることはない。乾燥工
程で得られた重量情報についても、重量記憶装置３３に
記憶されるとともに、初期に得られて記憶されている重
量情報と比較され、その時点での乾燥度が求められる。
また、乾燥工程中の何回かの測定データも記憶してお
き、これを用いて乾燥終了までの時間を予測し、その時
間を基に乾燥時間を設定するとともに、残り時間として
表示するようにする。

【００２３】以上の制御は重量測定ごとに繰り返し行う
ため修正が可能であり、乾燥終了が近づいたときには時
間間隔を細かくするなどして精度を高めることができ
る。乾燥工程の終了判定は、例えば、初期重量に対して
の乾燥率が１００％になったときなどとすればよい。

【００２４】なお、乾燥度は以下のように定義してい
る。

【００２５】 （乾燥度）＝（初期重量）／（現時点での重量）×１００ （％） 図６は最初からぬれた洗濯物を洗濯から乾燥まで一貫し
て行うような場合にも適用できるように、本発明の重量
測定を用いた乾燥度検知手段と、温度センサーを用いた
従来の方法とを組み合わせた実施例について示したフロ
ーチャートである。

【００２６】図に示すように、全工程の開始時に使用者
が選択可能な「節電乾燥（通常）」、「しっかり乾燥
（最初からぬれた物）」のスイッチを用意しておき、最
初からぬれた洗濯物に対しては「しっかり乾燥」を選択
するように指示しておく。図で示したように、使用者が
「節電乾燥（通常）」を指示した場合は本発明による乾
燥度検知手段を用いた乾燥終了方法を、「しっかり乾
燥」を選択した場合には、過乾燥を行う従来の方法を用
いるようにすることにより、上記のような洗濯物に対し
ても対応できるドラム式洗濯機とすることができる。

【００２７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１の発明によれば、洗濯物の重量情報を測定する重量測
定装置と、その重量情報を記憶する記憶装置および重量
情報を用いて比較や演算を行う比較・演算装置を含む制
御装置を用いて、洗濯前の洗濯物の重量と、乾燥工程時
の洗濯物の重量との比較を用いる乾燥度検知手段を構成
することにより、乾燥工程の各時点での乾燥の具合（乾
燥度）を知ることができる。

【００２８】また、本発明の請求項２に記載したよう
に、乾燥工程時の洗濯物の重量の時間推移から予測した
乾燥工程の残り時間を用いて、乾燥工程終了の判定を行
うことにより、乾燥工程末期の過乾燥を防止でき、高温
化による洗濯物の傷みをなくし、電力使用量を低減でき
る省エネルギー型のドラム式洗濯機を実現することがで
きる。また、未乾燥など乾燥工程終了時の乾燥むらの可
能性も低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例であるドラム式洗濯機の全体構
成図。

【図２】従来の乾燥終了判定方法に関する説明図。

【図３】本発明による乾燥具合を判定する方法について
の説明図。

【図４】本発明の実施例を示すブロック図。

【図５】本発明の乾燥具合検知方法を用いた乾燥工程の
流れを示す説明するフローチャート。

【図６】本発明と従来方法を組み合わせた実施例を示す
フローチャート。

【符号の説明】

１…フレーム、２…外槽、３…ドラム、４…吊ばね、５
…扉、６…ベローズ、７…リフタ、８…ダンパ、９…
脚、１０…モータ、１１…プーリ、１２…ベルト、１３
…軸受筒、１５…乾燥ファン、１６…乾燥ヒータ、１７
…乾燥ダクト、１８…凝縮ベローズ、１９…凝縮ダク
ト、２０…排水管、２１…排水ポンプ、２２…排水口、
２３…給水弁、２４…取水管、２５…冷却水給水管。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗濯機本体と、本体に弾性支持され水を保
   持する外槽と、外槽内に位置して軸受で外槽に支持さ
   れ、洗濯物を内包して水平軸周りに回転する多孔性の回
   転ドラムと、駆動系，給排水系，乾燥系，制御系などか
   らなるドラム式洗濯機において、洗濯物の重量情報を測
   定する重量測定装置と、その重量情報を記憶する記憶装
   置および重量情報を用いて比較や演算を行う比較・演算
   装置を含む制御装置より構成され、乾燥工程時に測定し
   た洗濯物の重量と洗濯初期に測定した重量との比較・演
   算による乾燥度検知手段を有することを特徴とするドラ
   ム式洗濯機。
2. 【請求項２】請求項１において、乾燥工程時の洗濯物の
   重量の時間推移から予測した乾燥工程の残り時間を用い
   て、乾燥工程終了の判定を行うことを特徴とするドラム
   式洗濯機。