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JPH11121276A - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

電子部品およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11121276A
JPH11121276A JP28511597A JP28511597A JPH11121276A JP H11121276 A JPH11121276 A JP H11121276A JP 28511597 A JP28511597 A JP 28511597A JP 28511597 A JP28511597 A JP 28511597A JP H11121276 A JPH11121276 A JP H11121276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
terminal electrode
electronic component
plating
intermetallic compound
paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP28511597A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Igarashi
克彦 五十嵐
Atsushi Masuda
淳 増田
Tomoko Uchida
知子 内田
Yasumichi Tokuoka
保導 徳岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP28511597A priority Critical patent/JPH11121276A/ja
Publication of JPH11121276A publication Critical patent/JPH11121276A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程が簡単で、生産コストも安く、抵抗
値の制御の容易な電子部品およびその製造用法を提供す
ることである。 【解決手段】 本発明の電子部品は、誘電体層と内部電
極とが交互に積層されて積層体を形成し、前記内部電極
と、前記積層体の端部に形成された端子電極とが電気的
に接続された電子部品であって、前記端子電極表面に、
端子電極の導電材金属とSnとの金属間化合物が形成さ
れていることを特徴とする。また、前記端子電極表面に
メッキによってSn膜を形成した後、熱処理によってS
nを端子電極中へ拡散させることにより本発明の電子部
品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性セラミック
誘電体層を有する積層型のキャパシタに、抵抗ないしイ
ンピーダンス要素を付加したCR複合電子部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器の多くには、電源として
スイッチング電源やDC−DCコンバータが用いられて
いる。これら電源に用いられるコンデンサは電源バイパ
ス用のコンデンサがある。この電源バイパス用のコンデ
ンサは、その電源容量やスイッチング周波数、併用され
る平滑コイル等の回路パラメータに応じて、低容量の積
層セラミックコンデンサと、高容量のアルミあるいはタ
ンタル等の電解コンデンサが用いられてきた。ところ
で、近年の積層セラミックコンデンサでは、誘電体およ
び内部導体の薄層化、積層化技術の進展にともない、積
層セラミックコンデンサの静電容量が電解コンデンサと
同等になってきており、電解コンデンサを積層セラミッ
クコンデンサに置き換えようとする試みがなされてい
る。しかしながら、積層セラミックコンデンサを電解コ
ンデンサに置き換えた場合、積層セラミックコンデンサ
の使用周波数帯におけるインピーダンスが低すぎる、す
なわち等価直列抵抗(ESR)が低すぎるために、三端
子レギュレーションの入力電圧のステップ状の変動によ
り、出力電力の波形の乱れが生じる。また電解コンデン
サを使用した場合、インピーダンスは積層セラミックコ
ンデンサよりも大きいものの、インピーダンスが大きす
ぎるために、発熱が生じやすくなり、また電源ラインの
平滑性も悪くなる。
【0003】そこで通常の積層セラミックコンデンサに
抵抗成分を付与したCR複合部品が提案されている。例
えば、特開昭55−82430号公報、特開平3−20
3202号公報、および特開平5−135903号公報
では、積層セラミックコンデンサの外表面に抵抗体を形
成している。しかしながら、これら方法で作製したチッ
プ部品は、この状態ではメッキ処理を行うことができな
いため、端子電極に直接ハンダ付けを行うことになる。
しかし、この場合はハンダ付きがあまり良くなく、メッ
キには及ばないのが現状である。また、メッキを行う場
合は、メッキ液から外表面の抵抗体を保護するために、
樹脂あるいはガラスなどのいわゆるコーティング材で抵
抗体を覆う必要があった。この方法は、工程数が多くな
ることと、コーティング材料によっては抵抗体に割れが
生じてしまう等の問題がある。また、コーティング材料
にガラスを用いた場合には、コーティングの際の熱処理
によって、抵抗体とコーティング材のガラスが反応し、
抵抗値の変動が起こってしまう。さらにCR複合チップ
を基板等に搭載する場合、抵抗が形成されている面を必
ず上面にしなければならない。これは基板面に接地する
と抵抗体に割れなどが生じるためである。
【0004】さらに、特許第2578264号公報に
は、外部電極の表面に金属酸化膜を形成して所望の等価
直列抵抗としたCR複合電子部品が開示されている。し
かしながら、同公報の実施例に記載されている製造方法
は、Niの端子電極を加熱処理して金属酸化膜を形成す
るもので、抵抗値の調整はバレル研磨によってこの金属
酸化膜を調整することにより行っている。この方法で
は、所望の抵抗値を得ることが困難であり、抵抗値の調
整も煩雑で量産性に優れていない。また、形成された金
属酸化膜の上に、さらにNi層を無電解メッキにより設
けているが、この方法では、端子電極部以外にメッキが
付着しないようにマスク等を設ける必要があり、製造工
程が非常に複雑になる。また、付着したメッキ膜と金属
酸化膜との接着性が非常に脆く、Niメッキ膜にリード
線を設けた場合、このリード線が容易に剥離してしま
う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情からなされたものであり、積層型セラミックコンデ
ンサに形成される端子電極表面にSn膜を形成し、熱処
理によって該Snを端子電極中へ拡散させることで、S
nが端子電極成分と抵抗の比較的高い金属間化合物を生
成する。該金属間化合物が抵抗としての機能を果たすこ
とができる。また、この上に電解メッキ膜を形成でき、
チップの方向性を持たない実装部品(SMD)となるE
SRの制御が容易な電子部品およびその製造方法を実現
できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(6)により達成される。
【0007】(1) 誘電体層と内部電極とが交互に積
層されて積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体
の端部に形成された端子電極とが電気的に接続された電
子部品であって、前記端子電極表面に、端子電極の導電
材金属とSnとの金属間化合物が形成されていることを
特徴とする電子部品。
【0008】(2) 前記端子電極の導電材が、Cu、
Ni、あるいはCu−Ni合金を主体とするものであっ
て、前記Snとの金属間化合物がCu3Sn、Cu6Sn
5、Ni3Sn、Ni3Sn4から選択される少なくとも1
種以上からなることを特徴とする(1)の電子部品。
【0009】(3) 等価回路がCRまたは(LC)R
直列回路を含むことを特徴とする(1)または(2)の
電子部品。
【0010】(4) 内部電極の導電材がNiを含有す
ることを特徴とする(1)〜(3)の電子部品。
【0011】(5) (1)ないし(4)に記載の電子
部品にメッキ処理を施したことを特徴とする電子部品。
【0012】(6) 前記端子電極表面にメッキによっ
てSn膜を形成した後、熱処理によってSnを端子電極
中へ拡散させることを特徴とする(1)〜(5)の電子
部品の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の詳細を説明す
る。
【0014】本発明は、端子電極の抵抗を高め、端子電
極が導体としての役割を果たすと同時に、抵抗の機能を
備えており、これによってESRを制御しうる電位部品
の製造方法およびそれによって得られる電子部品であ
る。その構成は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層
された積層型チップコンデンサにおいて、端子電極の表
面に、端子電極に含まれる導電材金属とSnとの金属間
化合物層を均一に形成するものである。このように形成
された金属間化合物の抵抗は比較的高く、これを端子電
極表面に層状に形成することにより、CRまたは(L
C)R直列回路が簡単に得られる。
【0015】さらに、ハンダ濡れ性およびハンダ食われ
性を改善するために、金属間化合物上にメッキ膜を形成
することが好ましい。
【0016】端子電極の導電材金属としては特に限定さ
れないが、安価であるという点から、好ましくはCu、
Ni、あるいはCu−Ni合金を主体とするものが用い
られる。この場合、前記Snとの金属間化合物としてC
3Sn、Cu6Sn5、Ni3Sn、Ni3Sn4が形成さ
れる。
【0017】このような構成により、ESRの付加され
たCR複合電子部品を得ることが可能である。ESRは
特に限定されるものではないが、1〜2000mΩ程度
であり、好ましくは10〜1000mΩである。この範
囲のESRを有することで、電源回路の電源バイパス用
コンデンサとして十分な性能を発揮することができる。
【0018】次に、本発明の電子部品の製造方法につい
て説明する。
【0019】本発明の電子部品は、ペーストを用いた通
常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、
これを焼成した後端子電極を形成する。その後、端子電
極表面にSn膜を形成し、熱処理により端子電極の導電
材とSnとの金属間化合物を形成する。必要に応じて、
この上にメッキ膜を形成する。
【0020】<誘電体層用ペースト>誘電体層を構成す
る誘電体材料としては、特に限定されるものではなく、
種々の誘電体材料を用いてよいが、例えば、酸化チタ
ン、チタン酸系複合酸化物、あるいはこれらの混合物等
が好ましい。酸化チタン系としては、必要に応じてNi
O、CuO、Mn34、Al23、MgO、SiO2
を総計0.001〜30wt%程度含むTiO2系が、
チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウムBa
TiO3等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は0.9
5〜1.20程度がよく、BaTiO3には、MgO、
CaO、Mn34、Y23、V25、ZnO、Zr
2、Nb25、Cr23、Fe23、P25、Na
2O、K2O等が総計0.001〜30wt%程度含有さ
れていてもよい。また、焼成温度、線膨張率の調整のた
め、(BaCa)SiO2ガラス等のガラスが含有され
ていてもよい。
【0021】誘電体原料の製造方法は特に限定されず、
例えばチタン酸系酸化物とチタン酸バリウムを用いる場
合、水熱合成したBaTiO3に、副成分原料を混合す
る方法を用いることができる。また、BaCO3とTi
2と副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる
乾式合成法を用いてもよい。また、共沈法、ゾル・ゲル
法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法等により得た沈殿
物と副成分原料との混合物を仮焼して合成してもよい。
なお、副成分には、酸化物や、焼成により酸化物となる
各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水
酸化物、有機金属化合物等の少なくとも1種を用いるこ
とができる。
【0022】誘電体材料の平均粒径は、目的とする誘電
体層の平均結晶粒径に応じて決定すればよいが、通常、
平均粒子径0.3〜1.0μm程度の粉末を用いる。
【0023】誘電体用ペーストは、誘電体原料と有機ビ
ヒクルとを混練して製造される。
【0024】有機ビヒクルは、バインダーを有機溶剤中
に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダ
ーは特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種
バインダーから適宜選択すればよい。また、用いる有機
溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法、利用する方
法に応じて、ターピネオール、ブチルカルビトール、ア
セトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれば
よい。
【0025】誘電体層の一層あたりの厚さは特に限定さ
れないが、通常5〜20μm程度である。また、誘電体
層の積層数は、通常、2〜300程度とする。
【0026】<内部電極用ペースト>内部電極用ペース
トの導電材は特に限定されないが、Ag、Pd、Pt、
Ni、Cu、Auより選ばれる少なくとも一種以上から
なることが好ましい。また、誘電体層構成材料に耐還元
性を有するものを使用することで、安価な卑金属を用い
ることができる。このため導電材としては、特にNiあ
るいはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、
Cr、Co、Al等から選択される1種以上の元素とN
iの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95wt%
以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金
中には、P等の各種微量成分が0.1wt%程度以下含
まれていてもよい。
【0027】上記した各種導電性金属や合金、あるいは
焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化
合物、レジネート等と上記した有機ビヒクルとを混練し
て調整する。
【0028】内部電極層の厚さは用途に応じて適宜決定
すればよいが、通常、0.5〜5μm程度であることが
好ましい。
【0029】<端子電極用ペースト>端子電極用ペース
トは、導電材とガラスフリットと有機ビヒクルから構成
される。端子電極用ペーストの導電材はAg、Au、P
t、Pd、Cu、Niから少なくとも一種以上から選ば
れ、好ましくは、安価であることからCu、Ni、ある
いは、それら合金を用いた方がよく、特にCuがより好
ましい。これら導電材に、焼結助剤、あるいはチップ素
体との接着を確保するためにガラスフリットが添加され
る。導電材の平均粒径は0.01〜10μmとする。こ
れよりも粒径が小さい場合、導電材粒子の凝集が激しく
なり、端子電極ペーストの塗布、乾燥時に、あるいは焼
成時に、端子電極にクラックが生じやすくなり、これよ
りも粒径が大きい場合、ペースト化が困難となる。ま
た、ガラスフリットの平均粒径は0.01〜30μmと
する。これよりも粒径が小さいとガラスのクラックを発
生させる原因となり、これよりも大きいと、ガラスの分
散が悪くなり、端子電極と素体との接着性が低下する。
【0030】これら導電材およびガラスフリットをビヒ
クル中に分散して端子電極ペーストを得る。
【0031】ガラスフリット組成は、特に限定されるも
のではないが、中性、あるは還元性雰囲気で端子電極を
焼成する必要上、それら雰囲気下でもガラスの機能を果
たすものであれば何でもよい。例えば、珪酸ガラス、ホ
ウケイ酸ガラス、アルミナ珪酸ガラスから選択されるガ
ラスフリットから一種または二種以上を用い、これに必
要に応じて、CaO、SrO、BaO、MgO、Zn
O、PbO、Na2O、K2O、MnO2等の添加物を所
定の組成比になるように混合したものを用いればよい。
ガラスの含有量は、特に限定されるものではないが、通
常、金属成分に対して、0.5〜15重量%程度であ
る。
【0032】有機ビヒクルとしては上述のものを用いれ
ばよい。
【0033】<有機ビヒクルの含有量>上記した各ペー
スト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常
の含有量、例えばバインダーは1〜5wt%程度、溶剤
は10〜50wt%とすればよい。また、各ペースト中
には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁
体等から選択される添加物が含有されていてもよい。こ
れらの総含有量は、10wt%以下とすることが好まし
い。
【0034】<グリーンチップの作製>印刷法を用いる
場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極用ペースト
を、PET等の基板上に印刷する。これらを交互に積み
重ね、熱圧着し、所定形状に切断してチップ化した後、
基板から剥離してグリーンチップとする。
【0035】また、シート法を用いる場合、誘電体層用
ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリー
ンシート上に内部電極層用ペーストを印刷し、これらを
交互に繰り返して積層し、所定形状に切断して、グリー
ンチップとする。
【0036】<脱バインダー工程>焼成前に行う脱バイ
ンダー処理の条件は、通常のものであってもよいが、内
部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる
場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
【0037】昇温速度:5〜300℃/時間、特に10
〜100℃/時間 保持温度:200〜400℃、特に250〜300℃ 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:空気中 <焼成工程>グリーンチップの焼成時の雰囲気は、内部
電極用のペーストの導電材の種類に応じて適宜選択すれ
ばよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用
いる場合、焼成雰囲気はN2を主成分とし、H2を1〜1
0%と、10〜35℃における水蒸気圧によって得られ
るH2Oガスを混合したものが好ましい。酸素分圧は1
-8〜10-12気圧とすることが好ましい。酸素分圧が
前記範囲未満であると、内部電極の導電材が異常焼結を
起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が
前記範囲を超えると、内部電極が酸化してしまう。
【0038】焼成時の保持温度は、1100〜1400
℃、特に1200〜1300℃とすることが好ましい。
保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であ
り、前記範囲を超えると、内部電極が途切れやすくな
る。また、焼成時の温度保持時間は、0.5〜8時間、
特に1〜3時間が好ましい。
【0039】<アニール工程>還元雰囲気で焼成した場
合、積層セラミックコンデンサにはアニールを施すこと
が好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための
処理であり、これにより、絶縁抵抗の加速寿命を著しく
長くすることができる。
【0040】アニール雰囲気の酸素分圧は、10-6気圧
以上、特に10-6〜10-8気圧とすることが好ましい。
酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困
難であり、前記範囲を超えると内部電極が酸化する。
【0041】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保
持温度が前記範囲未満であると、誘電体層の酸化が不十
分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなる傾向を示し、
前記範囲を超えると内部電極が酸化し、容量が低下する
だけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命も短くな
る。なお、アニール工程は昇温および降温だけから構成
してもよい。この場合、温度保持時間をとる必要はな
く、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持
時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。
雰囲気ガスには、加湿したN2ガスを用いることが好ま
しい。
【0042】なお、上記した脱バインダー処理、焼成お
よびアニールの各工程において、N2とH2とOや混合ガ
ス等を加湿するには、例えば、ウエッター等を使用すれ
ばよい。この場合の水温は、5〜75℃程度が好まし
い。
【0043】脱バインダー処理工程、焼成工程およびア
ニール工程は、連続して行っても、独立して行ってもよ
い。
【0044】これらを連続して行う場合、脱バインダー
処理後、冷却せず雰囲気を変更、独立して行ってもよ
い。これらを連続して行う場合、脱バインダー処理後、
冷却せず雰囲気を変更し、続いて焼成の保持温度まで昇
温して焼成を行い、ついで冷却し、アニール工程での保
持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行う
ことが好ましい。
【0045】また、これらを独立して行う場合は、脱バ
インダー処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定
時間保持した後室温まで降温する。その際の脱バインダ
ー雰囲気は連続して行う場合と同様なものとする。さら
にアニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し所定時
間保持した後、室温にまで降温する。その際のアニール
雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。ま
た、脱バインダー工程と、焼成工程とを連続して行い、
アニール工程だけを独立して行うようにしてもよく、脱
バインダー工程だけを独立して行い、焼成工程とアニー
ル工程を連続して行うようにしてもよい。
【0046】<端子電極層用ペーストの塗布工程>上記
により作製したした端子電極ペーストを焼結体チップに
塗布する。塗布の工程としては特に限定されるものでは
ないが、ディップ法等によればよい。端子電極ペースト
の塗布量は、特に限定されるものでなく、塗布する焼結
体チップの大きさなどにより適宜調整すればよいが、通
常、5〜100μm程度である。端子電極ペーストの塗
布後、乾燥する。乾燥は60〜150℃程度で、10分
〜1時間程度行うことが好ましい。
【0047】<端子電極層の焼き付け>上記のようにし
て端子電極層用ペーストを塗布、乾燥した後、チップ素
体への焼き付け(焼成)を行う。焼き付け条件は、例え
ば、N2の中性雰囲気あるいは、N2とH2との混合ガス
等の還元雰囲気中にて600〜1000℃にて0〜1時
間程度とすることが好ましい。
【0048】<金属間化合物層の形成>前記端子電極表
面に、端子電極の導電材金属とSnとの金属間化合物を
形成する。その方法は、例えば、湿式メッキ法によって
Sn膜を形成し、熱処理によってSnを端子電極中に拡
散反応させることによって均一な金属間化合物層を得る
ことができる。
【0049】Sn膜の膜厚は特に限定されないが、通常
0.1〜20μm程度である。また熱処理条件は特に限
定されないが、通常120〜200℃程度である。
【0050】生成する金属間化合物は特に端子電極をC
uとした場合には、Cu3SnおよびCu6Sn5のいず
れか一種以上であり、Niとした場合にはNi3Snお
よびNi3Sn4のいずれか一種以上であり、Cu−Ni
の合金系では、それらが共存している。
【0051】金属間化合物層の膜厚は特に限定されるも
のではないが、通常、0.1〜20μm程度である。
【0052】<メッキ層>必要に応じて、Ni、Sn、
ハンダ等、特にNi、Snの金属メッキ層を設けること
ができる。金属メッキ層を設けることにより、ハンダ濡
れ性およびハンダ食われ性が改善される。金属メッキ層
は1層または2層以上設けてもよく、特に好ましくはN
i、Snの順に層に形成したものが好ましい。
【0053】上記したような方法により、好ましい範囲
のESRが付加されたCR複合電子部品を得ることがで
きる。
【0054】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をより具体的に
説明する。
【0055】[実施例1]誘電体層の主原料としてBa
CO3(平均粒径:2.0μm)およびTiO2(平均粒
径:2.0μm)を用意した。Ba/Tiの原子比は
1.00である。また、これに加えて、BaTiO3
対し、添加物としてMnCO3を0.2wt%、MgC
3を0.2wt%、Y23を2.1wt%、(BaC
a)SiO3を2.2wt%を用意した。各原料粉末を
水中ボールミルで混合し、乾燥した。得られた混合粉を
1250℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を水中ボール
ミルで粉砕し、乾燥した。得られた仮焼粉に、有機バイ
ンダーとしてアクリル樹脂と有機溶剤として塩化メチレ
ンとアセトンを加えてさらに混合し、誘電体スラリーと
した。得られた誘電体スラリーを、ドクターブレード法
を用いて誘電体グリーンシートとした。
【0056】内部電極材料として、Ni粉末(平均粒
径:0.8μm)を用意し、これに有機バインダーとし
てエチルセルロースと、有機溶剤としてターピネオール
を加え、三本ロールを用いて混練し、内部電極ペースト
とした。
【0057】端子電極材料として、Cu粉末(平均粒
径:0.5μm)とCu粉末に対して、ホウケイ酸スト
ロンチウムガラスを7wt%用意し、これに有機バイン
ダーとしてアクリル樹脂と有機溶剤としてターピネオー
ルを加え、三本ロールを用いて混練し、端子電極ペース
トとした。
【0058】所定の厚みを得るため誘電体にグリーンシ
ートを数枚積層し、その上にスクリーン印刷法により内
部電極ペーストを印刷、その上にグリーンシートを積
層、このように内部電極の印刷されたシートとグリーン
シートを交互に積層して、最後にグリーンシートを所定
枚数積層し、熱圧着し、所定のチップ形状が焼成後に縦
×横×厚みが3.2×1.6×1.0mmになるように
切断し、グリーンチップを得た。
【0059】得られたグリーンチップを加湿したN2
2(N23%)還元雰囲気中、1300℃にて3時間保
持して焼成し、さらに加湿したN2酸素分圧10-7気圧
の雰囲気にて1000℃で2時間保持し、焼結体を得
た。得られた焼結体の両端部にCuを主体とした端子電
極ペーストを塗布し、乾燥を行い、N2中、770℃で
10分間保持して焼き付け、端子電極を形成した。
【0060】端子電極上に電解メッキ法でSn膜を10
μm形成し、その後120、150、180、200℃
で10時間放置して金属間化合物を端子電極表面に形成
した。金属間化合物は、200℃の試料ではCu6Sn5
とCu3Snが生成しており、それ以外の試料はCu3
nであることがX線回折により確認された。
【0061】さらに、Niメッキ、ハンダメッキを施
し、電子部品を得た。得られた試料の静電容量は1μF
であった。これらの電子部品の厚みおよびESRを測定
して得られた結果を表1に示す。なお、厚みは試料を任
意に10個研磨してSEM観察することにより測定し、
それらの平均値を用いた。また、ESRは試料40個の
平均値を用いた。
【0062】
【表1】
【0063】表1から明らかなように、従来のコンデン
サよりもESRが大きくなっており、熱処理条件によっ
てESRが制御できることがわかる。
【0064】これらのESRを所有した電子部品をDC
−DCコンバータのバイパスコンデンサとして用い、ス
イッチング周波数を100kHz〜40MHzに変化さ
せて動作させたところ、発振等による入力電圧の電圧変
動現象を生じることなく、正常に動作することが確認さ
れた。
【0065】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、端子電極
表面に金属間化合物層を形成することで、製造工程が簡
単で、生産コストが安く、抵抗値の制御も容易な電子部
品およびその製造方法を実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳岡 保導 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体層と内部電極とが交互に積層され
    て積層体を形成し、前記内部電極と、前記積層体の端部
    に形成された端子電極とが電気的に接続された電子部品
    であって、前記端子電極表面に、端子電極の導電材金属
    とSnとの金属間化合物が形成されていることを特徴と
    する電子部品。
  2. 【請求項2】 前記端子電極の導電材が、Cu、Ni、
    あるいはCu−Ni合金を主体とするものであって、前
    記Snとの金属間化合物がCu3Sn、Cu6Sn5、N
    3Sn、Ni3Sn4から選択される少なくとも1種以
    上からなることを特徴とする請求項1の電子部品。
  3. 【請求項3】 等価回路がCRまたは(LC)R直列回
    路を含むことを特徴とする請求項1または2の電子部
    品。
  4. 【請求項4】 内部電極の導電材がNiを含有すること
    を特徴とする請求項1〜3の電子部品。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし5に記載の電子部品にメ
    ッキ処理を施したことを特徴とする電子部品。
  6. 【請求項6】 前記端子電極表面にメッキによってSn
    膜を形成した後、熱処理によってSnを端子電極中へ拡
    散させることを特徴とする請求項1〜5の電子部品の製
    造方法。
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Cited By (6)

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