JPH1072495A - 免疫関連因子 - Google Patents
免疫関連因子Info
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- JPH1072495A JPH1072495A JP9153218A JP15321897A JPH1072495A JP H1072495 A JPH1072495 A JP H1072495A JP 9153218 A JP9153218 A JP 9153218A JP 15321897 A JP15321897 A JP 15321897A JP H1072495 A JPH1072495 A JP H1072495A
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Abstract
ものである。 【解決手段】 免疫応答に関わる新規なポリペプチドを
コードする新規なDNA、そのDNAがコードするポリ
ペプチド、及びそのDNAを有する発現ベクター、さら
に該ポリペプチドを特異的に認識する抗体からなる。
Description
し、更に詳しくは、ヒト由来細胞が発現する新規ポリペ
プチド、及びその製造方法に関する。本発明はまた、遺
伝子工学的技術を用いてクローニングされた該ポリペプ
チドの遺伝子に関する。また本発明は該ポリペプチドの
アミノ酸配列から合成されたDNA断片並びにRNA断
片に関する。また本発明は遺伝子工学的技術を応用して
作製される該ポリペプチドをコードするDNAとベクタ
ーDNAからなる組換えDNA体に関する。本発明はま
た、遺伝子工学的技術を応用して作製される該ポリペプ
チドを発現する形質転換細胞に関する。更に本発明は、
遺伝子工学の技術を応用した、該ポリペプチドの製造方
法に関する。更にまた本発明は、該ポリペプチドと特異
的に結合する抗体に関する。
細胞から成り、器官、或いは組織を形成して免疫反応を
担っている。リンパ器官は、リンパ球がリンパ系幹細胞
から分化、増殖して機能を持つ効果細胞にまで成熟する
場である1次リンパ器官と、リンパ球が相互に或いは抗
原と反応し得る環境を作り出し、いったん起こった免疫
応答を広める役目を果たす2次リンパ器官とに分類され
る。
る主要器官の一つであり、皮質、傍皮質(T細胞領域)
及び中心部の髄索から成る。皮質に存在する胚中心(二
次濾胞)や濾胞樹状細胞(Follicular de
ndritic cells:FDC)がT細胞依存性
抗原刺激特異的なB細胞の増殖分化の誘導などに深く関
わっていると考えられている。
要であると考えられており、リンパ球間での細胞間相互
作用においてはサイトカインとともにCD40/CD4
0LやCD80、CD86とそのリガンドであるCD2
8などの接着分子を介したシグナルが重要な役割を果た
していることが明らかになりつつある。しかし、リンパ
球の支持組織としてリンパ球の活性化に関与するリンパ
節については組織、細胞の性状を含めて活性化の機構に
ついてよくわかっていない。
で抗原提示細胞と応答性細胞との細胞間相互作用を解析
することは重要である。リンパ節は二次免疫応答におい
て重要な役割を果たしているが、リンパ節組織細胞とリ
ンパ球細胞間の細胞間相互作用に関わる因子については
まだ明らかになっていない。従って本発明の目的はリン
パ節組織細胞に特異的に発現し、免疫応答に関わる新規
ポリペプチドを提供することにある。
に発現する遺伝子のクローニングは、例えばサブトラク
ションクローニング法、ディファレンシャルディスプレ
ー法(P.Liangand A.B.Pardee,
Science,257,967,1992)、ディフ
ァレンシャルスクリーニング法、また、適当なプローブ
を用いたクロスハイブリダイゼーション法などを用いて
行われる。
の細胞に特異的に発現する遺伝子のcDNAを取得し、
該cDNAをプローブとしてcDNAライブラリーをス
クリーニングすることにより遺伝子をクローニングする
方法である。即ち、目的とする特定の細胞、つまりリン
パ節からメッセンジャーRNA(mRNA)を精製し、
そして対照となる細胞、即ち生物種が同一で異なる系列
の細胞、例えば末梢血、胸腺、脾臓などからもRNAを
抽出する。
鋳型とし、逆転写酵素でcDNAを合成する。合成時に
α−32PdNTPを加えることでcDNAを標識するこ
とができる。標識されたcDNAと鋳型となったmRN
Aは安定な二本鎖DNA−RNAハイブリッドを形成し
ているが、アルカリ存在下で高温処理することによりm
RNAのみを分解し一本鎖cDNAを精製する。この一
本鎖cDNAと対照細胞から抽出したRNAを混合し、
適当な条件下で静置すると塩基配列の相補性に依存して
安定な二本鎖DNA−RNAハイブリッドを形成する。
を鋳型として合成されたcDNAはハイブリッドを形成
するが、リンパ節に特異的に発現しているmRNAを鋳
型としたcDNAは一本鎖のままである。ハイドロキシ
アパタイトカラムで二本鎖DNA−RNAハイブリッド
と一本鎖cDNAとを分離し、一本鎖cDNAのみを精
製する。このステップを繰り返すことで目的とした細胞
に特異的なcDNAを濃縮することができる。濃縮され
た特異的cDNAは放射性同位元素で標識されているの
で、cDNAライブラリーをスクリーニングするプロー
ブとして使用することができる。
NAmapTMKit(GenHunter Corp
oration社製)を用い、添付のプロトコールに従
って行うことができる。即ち、目的の細胞、つまりリン
パ節から抽出したRNAからアンカープライマー[T1
2MG、T12MA、T12MT、T12MC(M:
A,G,Cミクスチュアー)]を用いてcDNAを合成
し、次に、このcDNAを鋳型としてランダム 10m
er プライマー(AP1〜AP20)とアンカープラ
イマーにより35S存在下でPCRを行う。
ル電気泳動によって分離する。対照となる細胞、例えば
末梢血、胸腺、脾臓などから抽出したRNAについて同
様の操作を行って得た電気泳動像を前述の電気泳動像と
比較し、リンパ節において強く増幅されているバンドを
特定し、バンドの位置のゲルを切り出す。切りだしたゲ
ル断片からDNAを抽出し、それを鋳型としてPCRに
よってバンドを増幅し、適当なベクター、例えばpT7
Blueベクター(Novagen社製)にサブクロー
ニングし、塩基配列を決定することができる。
目的の細胞から精製したmRNAから作製したcDNA
ライブラリーを、目的の細胞のmRNAから合成した32
P標識cDNAプローブと対照の細胞のmRNAから作
製したプローブを用いてスクリーニングし、目的細胞の
プローブとのみハイブリダイズするクローンを選択する
方法である。即ち、リンパ節から精製したmRNAから
常法に従ってcDNAライブラリーを作製する。そのラ
イブラリーから2組のレプリカフィルターを作製する。
型とし、逆転写酵素でcDNAを合成する。合成時にα
−32PdNTPを加えることでcDNAを標識すること
ができる。標識されたcDNAと鋳型となったmRNA
は安定な二本鎖DNA−RNAハイブリッドを形成して
いるが、アルカリ存在下で高温処理することによりmR
NAのみを分解し、一本鎖cDNAを精製する。同様に
して対照の細胞、例えば末梢血、脾臓、胸腺などから精
製したmRNAを鋳型にして32Pで標識された一本鎖c
DNAを作製する。
リンパ節ライブラリーから作製したフィルターとハイブ
リダイゼーションを行う。X線フィルムのオートラジオ
グラフィー像を比較し、リンパ節cDNAプローブにの
みハイブリダイズするクローンを選ぶことによりリンパ
節に特異的に発現する遺伝子をクローニングすることが
できる。
の細胞のcDNAライブラリーを適当なDNAをプロー
ブとしてストリンジェンシーの低い条件でハイブリダイ
ゼーションを行い、陽性クローンを得る。得られたクロ
ーンをプローブとしてノーザンハイブリダイゼーション
を行い目的細胞にのみ発現しているクローンを選択す
る。本発明者らは、本発明のリンパ節特異的に発現する
新規なポリペプチド遺伝子を取得するために上述したサ
ブトラクションスクリーニング法、ディファレンシャル
ディスプレー法を試みたが目的とする遺伝子のクローニ
ングには至らなかった。
L、2)VCAM−1、3)Htkリガンド(以下Ht
k−Lという)(国際公開番号 WO96/1121
2)、の遺伝子断片をそれぞれプローブとしてリンパ節
cDNAライブラリーのクロスハイブリダイゼーション
によるスクリーニングを試みた。
に属するタイプII型の膜糖蛋白である(D.Holle
nbaugh,et al.,EMBO J.,11,
4313,1993)。活性化T細胞に発現し、成熟B
細胞上に発現するCD40との相互作用によってT細胞
依存性のB細胞活性化において重要な補助刺激シグナル
が伝達され、その結果、B細胞の増殖並びに抗体産生が
誘導されると考えられている。従って、CD40Lに関
連した、リンパ節に特異的に発現し免疫応答に関与する
因子が存在する可能性が考えられる。
り血管内皮細胞に発現するリンパ球接着機能をもつ接着
分子であり、白血球の再循環や炎症局所への白血球浸潤
に関与するとともに、FDCに恒常的に発現し、活性化
B細胞を結合してリンパ濾胞の形成と胚中心におけるB
細胞の選択に関与していると考えられている(A.S.
Freedman,et al.,Science,2
49,1030,1990)。しかし、一方では当初、
生体の炎症反応に重要な役割を果たしていると考えられ
ていたが、炎症部位の血管内皮細胞についての発現が低
いことから、炎症部位への浸潤には関係ないとも見られ
ている。従って、VCAM−1に関連した、リンパ節に
特異的に発現し免疫応答に関与する因子が存在する可能
性が考えられる。
るチロシンキナーゼのリガンドの一つであり、神経系、
造血系の未分化細胞の分化・増殖に関与しているとの知
見に基づき、同リガンドファミリーが免疫担当細胞の成
熟・分化にも関与している可能性があると考えられる。
断片をプローブとしたスクリーニングの結果、複数の陽
性クローンを得たが新規、かつリンパ節に特異的に発現
するクローンを取得することはできなかった。しかし、
Htk−L遺伝子断片の一部をプローブとしてリンパ節
cDNAライブラリーのスクリーニングを試み、48ク
ローンの陽性クローンを単離し、各々についてノーザン
ハブリダイゼーションを行って発現組織の解析を行った
結果、リンパ節、虫垂に特異的に発現する本発明の新規
ポリペプチド遺伝子のクローニングに成功した。
の全長を含むcDNAを取得し、塩基配列を決定し、該
ポリペプチドの全長のアミノ酸配列を決定した。次に、
該ポリペプチドの全長cDNAを用いて該ポリペプチド
の発現系を作製し、組換え該ポリペプチドを得た。更
に、該組換えポリペプチドを免疫原として抗体を作製
し、精製法を確立し本発明を完成した。
で表されるアミノ酸配列を含む新規なポリペプチドが提
供される。また、本発明の他の態様によれば、配列表の
配列番号1で表されるアミノ酸配列を含有する、配列番
号2で表されるアミノ酸配列を含む新規なポリペプチド
が提供される。また、本発明の他の態様によれば、配列
表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含有するポリ
ペプチドをコードするDNAが提供される。また、本発
明の他の態様によれば、配列表の配列番号2で表される
アミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDN
Aが提供される。
表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含有するポリ
ペプチドをコードするDNAを含む塩基配列と、宿主細
胞中で発現可能なベクターDNAとを連結してなる組換
えDNA体が提供される。更に又、本発明の他の態様に
よれば、配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列を
含有するポリペプチドをコードするDNAを含む塩基配
列と、宿主細胞中で発現可能なベクターDNAとを連結
してなる組換えDNA体が提供される。更にまた、本発
明の他の態様によれば、配列表の配列番号1で表される
アミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするDN
Aを含む塩基配列と、宿主細胞中で発現可能なベクター
DNAとを連結してなる組換えDNA体により形質転換
された細胞が提供される。
列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列を含有するポ
リペプチドをコードするDNAを含む塩基配列と、宿主
細胞中で発現可能なベクターDNAとを連結してなる組
換えDNA体により形質転換された細胞が提供される。
更にまた、本発明の他の態様によれば、配列表の配列番
号1で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドを
産生し得る細胞を培地中にて培養し、その培養液中に該
ポリペプチドを産生させ、培養液から培養上清を回収
し、回収した培養上清から該ポリペプチドを分離・精製
することを含む該ポリペプチドの製造方法が提供され
る。
列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列を含有するポ
リペプチドを産生し得る細胞を培地中にて培養後細胞を
集め、これを破壊した後、細胞抽出液を該ポリペプチド
と特異的に結合することを特徴とする抗体を用いて免疫
沈降させることにより、ポリペプチドを分離・精製する
ことを含む該ポリペプチドの製造方法が提供される。更
にまた、本発明の他の態様によれば、配列表の配列番号
2で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドの少
なくとも一部と特異的に結合する抗体が提供される。
列表の配列番号4の塩基配列の少なくとも18個の連続
した塩基配列を含有するセンスDNA、該センスDNA
に相補的なアンチセンスDNAからなる群より選ばれる
単離されたDNA断片、及び該センスDNA及び該アン
チセンスDNAを、それぞれ、メチル化、メチルフォス
フェート化、チオフォスフェート化または脱アミノ化す
ることにより得られる、該センスDNA及び該アンチセ
ンスDNAの誘導体からなる群より選ばれる単離された
DNA断片が提供される。
列表の配列番号4の塩基配列に相補的な少なくとも18
個の連続した塩基配列を含有するアンチセンスRNA、
該アンチセンスRNAに相補的なセンスRNAからなる
群より選ばれる単離されたRNA断片、及び該アンチセ
ンスRNA及び該センスRNAを、それぞれ、メチル
化、メチルフォスフェート化、チオフォスフェート化ま
たは脱アミノ化することにより得られる、該アンチセン
スRNA及び該センスRNAの誘導体からなる群より選
ばれる単離されたRNA断片が提供される。
ーニング方法について以下に詳細に述べる。本発明の新
規なポリペプチドの遺伝子は該ポリペプチドを産生して
いる組織または細胞、例えばリンパ節の遺伝子ライブラ
リーからクローニングすることができる。遺伝子ライブ
ラリーは目的とする細胞からmRNAを精製し、該mR
NAから単鎖の相補DNA(cDNA)を、次いで二重
鎖DNAを合成し、該相補DNAをファージまたはプラ
スミドで宿主を形質転換することにより作製することが
できる。
チオシアネート法(T.Maniatis et a
l.,Molecular cloning 2nd
edition,Cold Spring Harbo
r Lab.,1989)などによって調製することが
できる。次に、常法に従ってmRNAを得る。この際、
mRNA Purification Kit(ファル
マシア社製)を用いることができる。この様にして得ら
れたmRNAを鋳型とし、例えば岡山バーグの方法(M
olecular and Cellular Bio
logy,2,161,1982及び、同誌,3,28
0,1983)に従いcDNAを合成し、得られたcD
NAをプラスミドに組み込む。
例えば大腸菌由来のpBR322、pUC18、pUC
19、pUC118、pUC119(いずれも宝酒造社
販)などが挙げられるが、その他のものであっても宿主
内で複製増殖できるものであればいずれをも用いること
ができる。またcDNAを組み込むファージベクターと
しては、例えばλgt10、λgt11などが挙げられ
るが、その他のものであっても宿主内で増殖できるもの
であれば用いることができる。この様にして得られたプ
ラスミドは適当な宿主、例えばエシェリヒア(Esch
erichia)属菌、バチルス(Bacillus)
属菌などにカルシウムクロライド法などを用いて導入す
る。
ェリヒア コリK12HB101、MC1061、LE
392、JM105などが挙げられる。上記バチルス属
菌の例としては、バチルス サチリスMI114などが
挙げられる。またファージベクターは、例えば増殖させ
た大腸菌にインビトロパッケージング法[Proc.N
atl.Acad.Sci.(1978)71,244
2]を用いて導入することが出来る。
DNAを含有する該ポリペプチド産生細胞のcDNAラ
イブラリーを作製することが出来る。該cDNAライブ
ラリーから該ポリペプチドをコードするDNAをクロー
ニングする方法としては、例えばファージベクターλg
t10を用いて作製した該ポリペプチドcDNAライブ
ラリーとHtkリガンド遺伝子(国際公開番号 WO9
6/11212:寄託番号FERM BP−5008)
のEcoRI消化DNA断片(配列表の配列番号13)
をプローブとして用いたプラークハイブリダイゼーショ
ン法などが挙げられる。
たクローンの発現組織を例えばノーザンブロットハイブ
リダイゼーションによって解析し、リンパ節に特異的に
発現するクローンを得ることができる。このようにして
得られたDNAの塩基配列を例えばサンガーらの方法
[Sanger,F.,et al.Proc.Nat
l.Acad.Sci.(1977)74,5463]
によって決定することができる。以上のようにして該ポ
リペプチドをコードするDNAが得られる。該ポリペプ
チドをコードするDNAを含むDNAの塩基配列を配列
表の配列番号4に示した。
ドン(ATG)から1696番目で終わる終止コドン
(TGA)まで、532個のアミノ酸配列をコードし得
るオープンリーディングフレームが存在した。該オープ
ンリーディングフレームから翻訳したアミノ酸配列を配
列表の配列番号2に示した。該アミノ酸配列をKyte
−Doolitleの方法(J.Mol.Biol.1
57:105,1982)に従って、アミノ酸配列から
疎水性部分、親水性部分を解析した。その結果、本発明
のポリペプチドは細胞膜タンパクとして、細胞上に発現
されることが予想された。尚、本新規ポリペプチドcD
NAの全塩基配列を含むプラスミドp#53−4を大腸
菌JM109(東洋紡社製)に遺伝子導入して得た形質
転換体をJM109−pUCLICと命名した。この形
質転換体株は工業技術院生命工学工業技術研究所にE.
coli:JM109−pUCLICとして平成8年1
0月30日に寄託され、受託番号はFERM P−15
921である。
チドのアミノ酸配列は、配列表の配列番号2のアミノ酸
配列の−16番から−1番にあたる16アミノ酸から構
成されるシグナルペプチド、配列表の配列番号2のアミ
ノ酸配列の1番から436番にあたる436アミノ酸か
ら構成される細胞外部分、配列表の配列番号2のアミノ
酸配列の437番から459番にあたる23アミノ酸か
ら構成される細胞膜貫通部分、配列表の配列番号2のア
ミノ酸配列の460番から516番にあたる57アミノ
酸から構成される細胞内部分より構成される。ただし、
各部分はあくまでもアミノ酸配列から予測されたドメイ
ン構成であり、実際に細胞上および溶液中での存在形態
は、上記の構成と若干異なることも十分考えられ、上記
に一応規定された各ドメインの構成アミノ酸が、5から
10アミノ酸配列前後することも考えられる。
列は、配列表の配列番号2のアミノ酸配列の50番から
159番に当たるアミノ酸配列であり、後述するポリI
gレセプターにホモロジーが最も高いドメインのアミノ
酸配列を示す。また、配列表の配列番号1に記載したア
ミノ酸配列は、配列表の配列番号2のアミノ酸配列の1
番から428番に当たる部分のアミノ酸配列、すなわち
シグナルペプチドを除く上記の細胞外部分のアミノ酸配
列を示す。
糖鎖が付加される部分はN−アセチル−D−グルコサミ
ンがN−グリコシド結合可能な部分として、配列表の配
列番号2のアミノ酸配列の151番及び260番のアス
パラギン残基が挙げられる。また、N−アセチル−D−
ガラクトサミンのO−グリコシド結合を推定する部分と
して、セリンまたはスレオニン残基の頻出する部分が考
えられるが、特にその可能性の高い部分として、配列表
の配列番号2のアミノ酸配列の160番のセリン残基が
挙げられる。これらの糖鎖が付加されたタンパクの方が
ポリペプチドそのものよりも一般に生体内での分解に対
して安定性であり、また強い生理活性を有していると考
えられる。
遺伝子配列並びにアミノ酸配列をジェンバンク(Gen
bank、1995年10月、リリース91)において
検索したところ、最も類似性のある物質として、ポリI
gレセプター(polymeric immunogl
obulin receptor)(Mostov,
K.E.et al.Nature,308,37,1
984,:Krajci,P.et al.,Bioc
hem.Biophys.Res.Commun.15
8,783,1989、ジャンピエール、特許公表 平
5−501118号参照)が挙げられたが、全長として
は有意なホモロジーは見出されず、最も類似性の高い部
分は配列表の配列番号2の50番から159番にあたる
領域であったが、この部分においても相同性は45%程
度と極めて低いものであった。
な物質である。また、プローブとして用いたHtk−L
分子のcDNAとのホモロジーは、配列表の配列番号4
の511番から700番に見いだされたが47%程度し
かなく、またアミノ酸としてのホモロジーも19%しか
なかった。
ターは5個の免疫グロブリン様ドメインをもつ膜貫通型
タンパク質であり、細胞外の第一ドメインで二量体Ig
Aと結合し、これを上皮細胞へと取り込む。次に、細胞
内輸送小胞として上皮細胞の腸管腔側へ移動し腸管側細
胞膜と癒合することによって分泌型IgAが腸管腔へ分
泌される。分泌に際しポリIgレセプターは蛋白質分解
酵素により細胞膜付近で切断され、分泌成分(secr
etory component:SC)としてIgA
やJ鎖とともに分泌型IgAを構成する。分泌型IgA
は以下に示す機構により腸管粘膜において感染防御機能
を発揮する。即ち、分泌型IgAは特異抗原との間に架
橋を起こしやすく、その結果分泌型IgAが結合した微
生物の運動や増殖を著しく抑制する。
富むため抗原と結合して親水性の高い複合体をつくり粘
液層内への抗原親和性を高めると考えられる。これは同
時に疎水性に富む細胞膜への抗原の親和性を低下させる
ことにもつながり、細菌などが上皮細胞へ接着すること
を阻害する。分泌型IgAは細菌表面分子に対する抗体
であることが多く、細菌表面に存在する上皮細胞への接
着分子を遮蔽することにより感染防御機能を発揮する。
また、分泌型IgAや分泌型IgA抗原複合物はFcレ
セプターを介してリンパ球、マクロファージ、単球など
に結合し、抗原特異的IgA免疫応答を更に高め、粘膜
に於ける二次免疫応答持続に働いていると考えられてい
る(Maliszewski,C.R.et al.,
J.Exp.Med.,172,1665,199
0)。
gAとして上述のような免疫作用を発揮するためにはポ
リIgレセプターが必須であり、粘膜が皮膚同様生体の
内外を分ける隔壁であり、外界からの侵襲に対する粘膜
の防御機構が生体にとって極めて重要であることから、
ポリIgレセプターは感染防御の観点から重要な分子の
一つである。
上記のポリIgレセプターのアミノ酸配列を詳細に比較
したところ、ポリIgレセプターの抗体結合ドメインで
ある第一ドメインと本新規ポリペプチドの配列表の配列
番号3が最も高いホモロジーを示し約45%であり、該
ポリペプチドが抗体結合活性を有することが示唆され
た。また、細胞内部分の配列表の配列番号2のスレオニ
ンを含む469番から472番の4アミノ酸はポリIg
レセプターのトランスサイトーシスに関わるリン酸化部
位である664番目のセリンを含む662番から665
番の4アミノ酸(Hirt,R.P.et al.,C
ell,74,245,1993)と配列相同性が認め
られた。
えば免疫沈降法、酵素免疫測定法、また、表面プラズモ
ン共鳴センサーであるBIAcore(フアルマシアバ
イオテク社製)を用いて調べることができる。免疫沈降
法とは抗体を用いて目的のタンパク質を微小なスケール
で精製して解析する実験法である。つまり、目的のタン
パク質を含む溶液に抗体とプロテインAビーズを加え、
抗原−抗体−プロテインAビーズ複合体を形成させて、
遠心して分離する。この複合体についてSDS−PAG
E、ウエスタンブロットなどを行い、目的のタンパク質
と結合しているタンパク質の探索を行うことができる。
は以下のようにして行うことができる。まず、相互作用
する分子の一方をリガンドとしてセンサーチップ上に固
定し、他方をアナライトとしてセンサーチップ上にイン
ジェクトする。インジェクトされたアナライトは一定の
流速でセンサーチップ上に供給され、固定化されたリガ
ンド中に拡散していくことになる。両者にアフイニテイ
ーが存在すればアナライトはリガンドと結合し、アナラ
イトがセンサーチップ上に濃縮される。そのときのセン
サーチップのマス変化が光学的に検出されリアルタイム
にセンサーグラムが描かれ、結合曲線として観察するこ
とができる(実験医学別冊 バイオマニュアルUPシリ
ーズ タンパク質の分子間相互作用実験法 羊土社)。
抗体との分子間相互作用を、実施例10に記載した酵素
免疫測定法を用いて検出した。即ち、実施例8に記載の
方法に従って取得した本発明の新規なポリペプチドの細
胞外部分蛋白を96穴のイムノプレート(ヌンク社製)
に固定し、次にヒト免疫グロブリンを含む溶液を反応さ
せ、本新規ポリペプチドとヒト免疫グロブリンの複合体
を形成させる。次いでヒト免疫グロブリンを特異的に認
識するペルオキシダーゼ標識抗ヒト免疫グロブリンヤギ
抗体を反応させ、ペルオキシダーゼに対する基質を作用
させて吸光度を測定する。本新規ポリペプチドの細胞外
部タンパク質の吸光度は対照に比べ有意に高く、本発明
の新規ポリペプチドがヒト抗体と結合する活性を有して
いることが示された。従って、本発明の新規ポリペプチ
ドは、2次リンパ器官であるリンパ節、虫垂において、
抗原抗体複合体と結合することによって抗原特異的な二
次免疫応答を誘導する因子の一つとして働いている可能
性が極めて高いことが示唆された。
号3で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを構
成成分とし、好ましくは配列表の配列番号1、更に好ま
しくは配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を有
するポリペプチドを構成成分とする。また本発明のポリ
ペプチドは配列表の配列番号1または2または3のアミ
ノ酸配列の一部を欠くもので有り得るし、ポイントミュ
ーテーションの手法により部分的に変異させることもで
きるものであって、いずれにせよ本発明のポリペプチド
の配列表の配列番号1または2または3の性質を失わな
いものは本発明に含まれる。
末端に多少のアミノ酸残基、ペプチド残基が付加される
ことも有り得る。更にまた、そのアミノ酸配列中にN−
アセチル−D−グルコサミンやN−アセチル−D−ガラ
クトサミンなどの糖鎖が、N−グリコシドあるいはO−
グリコシド結合してなるものも本発明に含まれる。上記
の該ポリペプチドの変異体と該ポリペプチドとのアミノ
酸配列の相同性は、通常60%以上であることが好まし
く、特に70%以上が好ましく、さらに80%以上が好
ましく、とりわけ90%以上である場合が好ましい。
のポリペプチドをコードするDNAは目的によりそのま
ま、または所望により制限酵素で消化して使用すること
ができる。クローン化されたDNAから発現させたい領
域を切り出し、発現に適したベクター中のプロモーター
の下流に連結して発現型ベクターを得ることができる。
のポリペプチドの発現させる形態としては、配列表の配
列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを
コードするcDNAを用いる方法でもよい。しかしなが
ら、この状態では膜結合型であり、精製、製剤化などを
より効率的に行うために、実施例4及び6に記載したよ
うに、配列表の配列番号1に記載したアミノ酸配列、す
なわち該ポリペプチドの細胞外部分のみを発現させるこ
とができ、またその方が好ましい。したがって、細胞外
部分を含有する形態を配列表の配列番号4に記載のアミ
ノ酸配列をコードするDNAを用い、分泌型で発現、生
産させることも可能である。
物でもかまわないが、複合体の形態を有するポリペプチ
ドでも可能である。本発明で使用する”複合体”は2種
類以上の物質を単に混ぜ合わせた混合物ではなく、1種
類もしくは2種類以上の化合物が共有結合を含む何らか
の結合様式を有してなる化合物、コンジュゲート、また
はコンプレックスの総称を意味する。そのような例とし
ては、イムノグロブリンとのキメラタンパクのジスルフ
ィド結合による共有結合を介した複合体、または実施例
6で作製されたFLAG配列を有するポリペプチドと抗
FLAG抗体による抗原抗体反応を介した複合体などの
形態が挙げられる。
タンパク質として発現させて抗体のヒンジ部分によりジ
スルフィド結合をした多量体として発現させる方法、ま
た、抗体認識部位をC末端もしくはN末端に発現するキ
メラタンパクとして発現させ、発現させた該ポリペプチ
ドの細胞外部分を含むポリペプチドをC末端もしくはN
末端の抗体認識部位を特異的に認識する抗体と反応させ
ることにより多量体を形成させる方法が挙げられる。
域部分のみとの融合タンパクを発現させて、ジスルフィ
ド結合にて2量体を形成させる方法、もしくはその他の
該ポリペプチドの活性に何等影響を与えない方法でジス
ルフィド結合を生じさせる形のペプチドをC末端、N末
端もしくはその他の部位に発現するように作成された融
合タンパクから構成された2量体以上の高い比活性を有
する多量体型該ポリペプチドを得ることもできる。
酸配列をコードするDNAをアミノ酸に翻訳するさいに
フレームの合う形で2つ以上直列に並べ多量体構造を発
現させる方法などもある。その他、現在知られている2
量体以上の多量体構造を持たせるあらゆる方法が適応可
能である。したがって、遺伝子工学的な技術により2量
体もしくはそれ以上の形態を有す形の該ポリペプチド、
もしくは配列表の配列番号3もしくは1に記載のアミノ
酸配列の1部もしくは全部を含有してなる化合物に関し
ても本発明に含まれる。かくして得られた該複合体を用
いれば、研究用試薬として新規免疫関連因子の生理活性
探索が可能である。該免疫関連因子はリンパ節、虫垂に
特異的に高い発現が認められる。これらの部位の組織を
分離し、あるいは各種細胞株を利用して、該複合体を作
用させることにより、インビトロの生理活性探索が可能
である。さらにこのアッセイ系を応用すれば、該複合体
の作用を阻害する化合物のスクリーニングが可能であ
る。
NAはその5’末端に翻訳開始コドンを有し、又3’末
端には翻訳終結コドンを有していてもよい。これらの翻
訳開始コドンや翻訳終結コドンは、適当な合成DNAア
ダプターを用いて付加することもできる。さらに該DN
Aを発現させるにはその上流にプロモーターを接続す
る。ベクターとしては上記の大腸菌由来のプラスミド、
枯草菌由来のプラスミド、酵母由来プラスミド、或いは
λファージなどのバクテリオファージおよびレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスなどの動物ウィルスなどが挙
げられる。
は、遺伝子発現に用いる宿主に対応して適切なプロモー
ターであればいかなるものでもよい。形質転換する際の
宿主がエシェリヒア属菌である場合はtacプロモータ
ー、trpプロモーター、lacプロモーターなどが好
ましく、宿主がバチルス属菌である場合はSPO1プロ
モーター、SPO2プロモーターなどが好ましく、宿主
が酵母である場合はPGKプロモーター、GAPプロモ
ーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
由来のプロモーター、レトロウィルスのプロモーター、
メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモ
ーターなどがそれぞれ利用できる。この様にして構築さ
れた該ポリペプチドをコードするDNAを含有する発現
プラスミドを用いて、形質転換体を製造する。宿主とし
ては例えばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、動
物細胞などが挙げられる。動物細胞としては、例えばサ
ル細胞であるCOS−1、Vero、チャイニーズハム
スター細胞CHO、カイコ細胞SF9などが挙げられ
る。
をコードするDNAを含有する発現プラスミドで形質転
換された形質転換体が得られる。各形質転換体をそれぞ
れ公知の方法により、適当な培地中で適当な培養条件に
より培養することによって該ポリペプチドを製造するこ
とができる。上記培養物から該ポリペプチドを分離精製
するには、例えば下記の方法により行うことができる。
抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体或いは
細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リ
ゾチーム及び/または凍結融解などによって菌体或いは
細胞を破壊した後、遠心分離や濾過により該ポリペプチ
ドの粗抽出液を得る方法などを適宜用い得る。緩衝液中
に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン
X−100などの界面活性剤が含まれていてもよい。培
養液中に該ポリペプチドが分泌される場合には、培養終
了後、それ自体公知の方法で菌体或いは細胞と上清とを
分離し上清を集める。この様にして得られた培養上清、
或いは抽出液中に含まれる該ポリペプチドは、実施例9
に記載した方法により得た該ポリペプチドに対する抗体
により精製することができる。
研究用試薬として、また該ポリペプチド単独で、あるい
は少なくとも1種の薬剤として投与可能な担体、希釈液
または賦型剤を添加して適当な剤型とし、リンパ球の活
性化を制御し、免疫関連疾患及び感染症の治療用薬剤と
しても使用される。対象となる免疫関連疾患としては、
例えば重症複合免疫不全症などの免疫不全症、あるい
は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの
自己免疫疾患が挙げられる。本発明のポリペプチドを医
薬品として用いる場合には本発明のポリペプチドの凍結
乾燥品を、注射用蒸留水にて溶解もしくは懸濁して使用
することが望ましい。例えば0.1から1000μg/
mlの濃度に調製した注射剤、点滴剤として提供するこ
とが簡便である。また、マウスに対して本発明のポリペ
プチド1mg/kgを腹腔内投与した実験において、マ
ウスの死亡例は確認されなかったことから、医薬品とし
て使用可能であることが確認された。
りの投与量は、年齢、性別、体重、症状などによって異
なるが、一般に約0.1μg〜100mg/kgであ
り、1日当り1回または必要に応じて数回投与すること
ができる。また本発明の新規なポリペプチドを注射剤と
して用いる場合、ショ糖、グリセリン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、各種無機
塩のpH調整剤等を添加剤として加えることができる。
を用いて、ゲノムから該ポリペプチド遺伝子の発現を制
御し得るプロモーター配列を取得することが可能であ
り、該プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子など
のレポーター遺伝子を連結し、適当な細胞にトランスフ
ェクトし、該細胞を各種の検体、例えば任意の配列を有
するペプチド、または各種の化合物、または各種の微生
物による発酵生産物などを用いて刺激し、レポーター遺
伝子の発現を比較することにより該ポリペプチド遺伝子
の発現を誘導する因子、或いは阻害する因子をスクリー
ニングすることが可能である。
治療方法への適応として固定化することが可能である。
固定化の方法としては該ポリペプチドのアミノ基、カル
ボキシル基を利用したり、適当なスペーサーを用いた
り、上記の架橋剤を用いたりして、培養容器に該ポリペ
プチドを共有結合させることができる。したがって、固
体表面に存在する形態を有し、さらに少なくとも新規ポ
リペプチド活性を有し、さらに配列表の配列番号1及び
2及び3からなる群より選ばれるアミノ酸配列の一部も
しくは全部のアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含
む化合物に関しても本発明に含まれる。
列番号4の遺伝子配列の一部もしくは全部をコードする
DNAを用いれば、ノーザンブロットが可能である。し
たがって、本遺伝子の発現を調べる方法として、配列表
の配列番号4の一部の遺伝子配列を有する12merか
ら16mer以上、好ましくは18mer以上の相補し
得る核酸、つまりアンチセンスDNA、RNA、及びそ
れらがメチル化、メチルフォスフェート化、脱アミノ
化、またはチオフォスフェート化された誘導体によって
行うことが出来る。また、これらのセンス及びアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法で
も本遺伝子の発現を調べることが可能である。
法、もしくはPCR法でマウス、ラット等の他の生物の
本遺伝子のホモログの検出や遺伝子クローニングができ
る。また、さらに人を含めたゲノム上の遺伝子のクロー
ニングも同様に可能である。従って、そのようにしてク
ローニングされたこれら遺伝子を用いれば、本ポリペプ
チドの更に詳細な機能も明らかにすることが出来る。例
えば、近年の遺伝子操作技術を用いれば、トランスジェ
ニックマウス、ジーンターゲッティングマウス、また、
本遺伝子と関連する遺伝子を共に不活化したダブルノッ
クアウトなどのあらゆる方法を用いることが出来る。ま
た、本遺伝子のゲノム上の異常があれば、遺伝子診断、
遺伝子治療への応用も可能である。
チドを特異的に認識する抗体を用いれば、本発明のポリ
ペプチドの検出、測定が可能であり、本発明のポリペプ
チドの異常に起因する疾患などの診断薬として使用でき
得る。また、本抗体を用いて特定の免疫担当細胞群を分
離することが可能である。また、本発明に述べたあらゆ
る形態をとった該ポリペプチド、すなわち配列表の配列
番号1及び2及び3からなる群より選ばれるアミノ酸配
列の一部もしくは全部のアミノ酸配列を含有するポリペ
プチドを含む化合物およびそれらから構成される複合体
を組み合わせてなるものは本発明に含まれるものとす
る。
換え体宿主としての大腸菌の取扱いに必要な一般的な操
作は当業者間で通常行われているものであり、例えばM
aniatisらの実験操作書(T.Maniatis
et al.,Molecular Cloning
A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory
1982,1989)に従えば容易に実施できる。使
用する酵素、試薬類もすべて市販の製品を用いることが
でき、特に断らない限り、製品で指定されている使用条
件に従えば、完全にそれらの目的を達成することができ
る。
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例 1 cDNAクローニングと同定 (1)ヒトHtkL遺伝子(国際公開番号 WO96/
11212)をEcoRIで切断後、アガロースゲル電
気泳動を行い約0.25kbのDNA断片(配列表の配
列番号13)を含むゲル断片を切りだした。ゲル断片か
ら、Geneclean II (BIO101社製)を用
いて添付のプロトコールに従いDNAを抽出し、得られ
たDNA断片をDNAラベリングキット(Megapr
ime DNA labeling system:A
mersham社製)を用いて放射性同位元素32Pにて
標識してcDNAスクリーニング用プローブとした。
5μl及び脱イオン水を加えて全量を33μlとして沸
騰水浴を5分間行い、その後、dNTPを含む反応緩衝
液10μl、α−32P−dCTP5μl、及びT4DN
Aポリヌクレオチドキナーゼ溶液2μlを加えて、37
℃で10分間水浴し、更にその後、セファデックスカラ
ム(Quick Spin Column Sepha
dex G−50:ベーリンガーマンハイム社製)で精
製し、5分間沸騰水浴をしたのち、2分間氷冷後使用し
た。
NAライブラリー(CLONTECH社製)のファージ
液の一部をとりSMバッファー(0.1M NaCl、
8mMMgSO4 ・7H2O、50mM Tris−H
Cl(pH7.5)、0.01%gelatin)で数
種の希釈度で希釈したものを、E.coli NM51
4から作製したファージプレーティングセルに感染さ
せ、L培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、
0.5%NaCl)の寒天プレートにプラークを形成さ
せることによりタイトレーションした結果、タイターは
2×105 pfu/mlであった。
40万クローンを、(1)で調製したDNAプローブを
用いてプラークハイブリダイゼーションによりスクリー
ニングし、48個のポジティブクローンを得た。即ち、
上記ライブラリーのファージ液2mlをE.coli
NM514に感染させてL培地の寒天プレート上に形成
させた4×105 個のプラークを、ナイロンフィルター
(Hybond N+:Amersham社製)に転写
し、転写したナイロンフィルターをアルカリ処理(1.
5M NaCl、0.5M NaOHを染み込ませた濾
紙上に7分間放置)し、次いで、中和処理(1.5M
NaCl、0.5M Tris−HCl(pH7.
2)、1mM EDTAを染み込ませた濾紙上に3分間
放置)を2回行い、次にSSPE溶液(0.36M N
aCl、0.02M リン酸ナトリウム(pH7.
7)、2mM EDTA)の2倍溶液中で5分間振とう
後洗浄し、風乾した。その後、0.4M NaOHを染
み込ませた濾紙上に20分間放置し、5倍濃度のSSP
E溶液で5分間振とう後洗浄し、再度風乾した。
以下に述べる条件でハイブリダイゼーションを行った。
ハイブリダイゼーションは各々の成分の最終濃度が5倍
濃度の(以下5×と示す)SSPE溶液、5倍濃度のデ
ンハルト液(和光純薬社製)、0.5%SDS(ドデシ
ル硫酸ナトリウム)、及び20μg/mlの沸騰水浴に
より変性したサケ精子DNAであるプレハイブリダイゼ
ーション液中に浸し、50℃にて2時間振とうしたの
ち、前述の方法で32P標識されたプローブを含むプレハ
イブリダイゼーション液と同一組成のハイブリダイゼー
ション液に浸し、50℃にて16時間振とうして行っ
た。
2×SSPE溶液に浸し、室温にて15分間振とうして
洗浄し、それを4回行った。洗浄を終了したフィルター
を増感スクリーンを使用して、24時間オートラジオグ
ラフィーを行った。その結果、強く露光された部分に相
応する寒天領域よりファージを抽出し、再度上記の工程
に従ってプラークハイブリダイゼーションを行い48種
の純化λgt10組換え体を得た。これら48種の組換
え体からグロスバーガーらの方法(Grossberg
er et al.,Nucleic Acids R
esearch(1987)15,6737)に従って
λgt10組換え体DNAを抽出した。
換え体DNAのひとつをEcoRIで切断後、アガロー
スゲル電気泳動を行ったところ約2kbのインサートc
DNAが認められ、このcDNA断片を含むゲル断片を
切りだした。次に、ゲル断片からGeneclean I
I (BIO101社製)を用いて添付のプロトコールに
従いDNAを抽出した。得られた約2kbのDNA断片
をpuc18(宝酒造社製)のEcoRI部位にサブク
ローニングしてプラスミドp#53−4とした。塩基配
列決定のためにディレーションミュータント(dele
tion mutant)を作製した。
用ディレーションキット(宝酒造社製)を用いた。各ミ
ュータントの塩基配列をサンガーらの方法(Sange
r,F.,et al.Proc.Natl.Aca
d.Sci.(1977)74,5463)によって決
定し、2kbcDNA断片の全塩基配列を決定した。決
定した塩基配列を配列表の配列番号4に示した。塩基配
列の決定はDNA蛍光シーケンサー(アプライドバイオ
システム社製:Applied Biosystem)
を用い、添付のマニュアルに従って行なった。
ドン(ATG)から1696番目で終わる終止コドン
(TGA)まで、532個のアミノ酸配列をコードし得
るオープンリーディングフレームが存在した。該オープ
ンリーディングフレームから翻訳したアミノ酸配列を配
列表の配列番号2に示した。プラスミドp#53−4の
遺伝子の方向は、puc18ベクターのlacZ遺伝子
と逆方向、即ち、配列表の配列番号4に示した5’側が
puc18ベクターのマルチクローニングサイトのHi
ndIII 側に存在した。
あらかじめmRNAが転写されているフィルターである
Clontech社 Human Multiple
Tissue Northern Blot、Huma
n Multiple Tissue Norther
n Blot II 、Human Multiple T
issue Northern Blot III、Hum
an Immune System Multiple
Tissue Northern Blotを用い、
プラスミドp#53−4を制限酵素PstIにて消化し
て、1%のアガロースゲルで電気泳動を行い、588b
pの断片(配列表の配列番号4の614番目から120
1番目)を切り出し、Geneclean II (BIO
101社製)を用いて精製した遺伝子断片を前掲のDN
Aラベリングキット(MegaPrime DNA l
abeling system:Amersham社
製)にて前述の方法で32P標識し発現を調べた。
垂で顕著な発現が認められた。また、小腸においても発
現が認められ、さらに胃、腎臓、胸腺、脾臓で極めて微
弱な発現が認められた。しかしながら、心臓、脳、胎
盤、肺、肝臓、骨格筋、膵臓、前立腺、精巣、卵巣、大
腸、末梢血白血球、甲状腺、脊髄、気管、副腎、骨髄、
そして、胎児肝においては全く発現が認められなかっ
た。以上のことから、本免疫関連因子は免疫担当組織に
特異的に発現されており、特にリンパ節に特異的に著明
な発現が認められ、また末梢血白血球に発現が認められ
ないことから二次免疫応答に関連し、また、リンパ球自
身ではなくリンパ節の組織細胞に特異的な因子であるこ
とが考えられた。さらに小腸における発現は腸管におけ
る免疫組織であるパイエル板に由来すると推察される。
ド全長の遺伝子を動物細胞に導入するため、配列表の配
列番号4に記載のポリペプチドをコードするDNA、お
よびコダック社製IBI FLAGを用いて、配列表の
配列番号2のアミノ酸配列のC末端に8アミノ酸、すな
わちアミノ酸配列としてAsp TyrLys Asp
Asp Asp Asp Lysを持つポリペプチド
(以下FLAG、配列表の配列番号12)を付加したポ
リペプチドをコードするDNAをプラスミドpSV2−
dhfr(ATCC 37146)のdhfr遺伝子部
位に各々別々につなぎ、それぞれ免疫関連因子の全長発
現プラスミドpSV2Fu、pSV2FuFLAGを作
製した。
するポリペプチド発現細胞の発現ベクター作製にあたっ
て、配列表の配列番号4の5’非転写領域を除き制限酵
素HindIII サイトを付加するため、5’−ACAA
GCTTACGTCACCAGCAGGAGGGCA−
3’の配列であるオリゴDNA(プライマー1、配列表
の配列番号5)、5’−GGTGCCTGTTGACA
GATGAG−3’の配列であるオリゴDNA(プライ
マー2、配列表の配列番号6)をプライマーとして用い
て、p#53−4をテンプレートとして用いてPCRを
行った。およそ310bpのDNAが増幅されているこ
とをアガロースゲル電気泳動で確認後、このPCR産物
を実施例1(3)記載の方法にて精製して制限酵素Hi
ndIII及びHincIIにて処理し、同様に処理したp
uc18ベクター(宝酒造社製)にサブクローニングし
た。
ミドDNAを精製して、シークエンスをして遺伝子配列
を確認し、遺伝子配列に誤りがなく目的の遺伝子配列、
すなわち配列表の配列番号4のDNA配列の98番から
367番の配列を持ったフラグメントであることを確認
した。以下、本フラグメントを有するプラスミドをpL
IC−1とする。
チド遺伝子の3’非転写領域を除き制限酵素BamHI
サイトを付加するため、5’−GAAAGGGTCAC
CTTAATTCAGAT−3’の配列であるオリゴD
NA(プライマー3、配列表の配列番号7)、5’−T
CGGATCCTCAGGGTCCTGGATTTCT
CTC−3’の配列であるオリゴDNA(プライマー
4、配列表の配列番号8)をプライマーとして用いて、
プラスミドp#53−4をテンプートとして用いてPC
Rを行った。およそ150bpのDNAが増幅されてい
ることをアガロースゲル電気泳動で確認後、このPCR
産物を実施例1(3)記載の方法にて精製し、pT7B
lueベクター(Novagen社製)にサブクローニ
ングした。
ミドDNAを精製して、シークエンスをして遺伝子配列
を確認し、遺伝子配列に誤りがなく目的の遺伝子配列、
すなわち配列表の配列番号4のDNA配列の1552番
から1696番の配列を持ったフラグメントであること
を確認した。以下、本フラグメントを有するプラスミド
をpLIC−2とする。
チド全長アミノ酸配列のC末端に8アミノ酸、すなわち
アミノ酸配列としてAsp Tyr Lys Asp
Asp Asp Asp Lysを持つポリペプチド
(FLAG、配列表の配列番号12)を付加したポリペ
プチドをコードする遺伝子配列を持つ発現ベクターの作
製にあたって、同様な方法で上記のプライマー3、5’
−AAGGATCCTCATTTATCATCATCA
TCTTTATAATCGGGTCCTGGATTTC
TCTCTGG−3’の配列であるオリゴDNA(プラ
イマー5、配列表の配列番号9)をプライマーとしてP
CRを行い、pT7Blueベクターにサブクローニン
グして、4クローンをシークエンスし、遺伝子配列を確
認して、目的の遺伝子配列、すなわち配列表の配列番号
4のDNA配列の1552番から1693番の配列の
3’端に5’−GATTATAAAGATGATGAT
GATAAATGA−3’(FLAG:配列表の配列番
号12)がつながった配列を有するフラグメントである
ことを確認した。以下、本フラグメントを有するベクタ
ーをpLIC−3とする。
I 及び、HincIIで消化し、実施例1(3)と同様な
方法で精製したおよそ4.2kbpの遺伝子断片に、上
記と同様にpLIC−1を制限酵素HindIII 及び、
HincIIで消化して得た310bpの断片をDNA
Ligaion Kit Ver.2(宝酒造社製)を
用いて連結してプラスミドpLIC−4とした。さら
に、pLIC−4を制限酵素HindIII 及び、Eco
RIで消化して、実施例1(3)と同様の方法にて精製
して得た約1.8kbpのDNA断片を、pBlues
criptII KS+ベクター(STRATAGENE
社製)のHindIII 、EcoRI部位にサブクローニ
ングしてプラスミドpLIC−5を得た。
制限酵素BstPIとBamHIにて消化し、アガロー
スゲル電気泳動にておよそ4.4kbpのフラグメン
ト、すなわち配列表の配列番号4のDNA配列の98番
から1557番の配列の5’末端の先にpBluesc
riptIIの制限酵素サイトのHindIII からBam
HIまでの部分がつながったフラグメントを切り出し、
前述の方法で精製した。この遺伝子断片をF1とする。
同様に、pLIC−2及びpLIC−3について制限酵
素BstPI及びBamHI消化を行い、それぞれ約1
50bp、約180bpのDNA断片を精製した。
る。そして、F1とF2、F1とF3をおのおの前述の
方法でつなぎ、制限酵素HindIII 及びBamHIで
配列表の配列番号2のポリペプチドをコードする部分の
遺伝子断片が切り出されるベクターpBSFu1及び制
限酵素HindIII 及びBamHIで配列表の配列番号
2のポリペプチドのC末端にFLAGアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードする部分に対応する遺伝子断
片が切り出されるベクターpBSFu2を作製した。
Fu1、pBSFu2を制限酵素HindIII 、Bam
HIにて消化し、電気泳動にておよそ1.6kbpのD
NA断片、すなわち新規ポリペプチドのアミノ酸配列を
コードするDNA断片部分を含むDNA断片を分離、精
製した。この2種のDNA断片を前掲のpSV2−dh
frを制限酵素HindIII 及びBglIIで処理して、
dhfr遺伝子を除いたものにT4 DNAリガーゼ
(宝酒造社製)にて連結し、新規ポリペプチドの発現ベ
クターを構築した。以上のように作製されたFLAG配
列を含まないベクターをpSV2Fu、FLAG配列を
含むベクターをpSV2FuFLAGとする。
ドするポリペプチドの細胞外部分、つまり配列表の配列
番号1に記載のポリペプチドを含有するポリペプチドを
動物細胞に産生させる発現プラスミドpSV2ECFL
AGを構築した。すなわち、配列表の配列番号1のポリ
ペプチド細胞外部分アミノ酸配列のポリペプチドのC末
端に8アミノ酸、すなわちアミノ酸配列としてAsp
TyrLys Asp Asp Asp Asp Ly
sを持つポリペプチド(FLAG:配列表の配列番号1
2)を付加したポリペプチドをコードする遺伝子配列を
持つ発現ベクターの作製にあたって、全長の場合と同様
な方法で、5’−AAAGGTCCTAGGAACCA
TTGGG−3’の配列であるオリゴDNA(プライマ
ー6、配列番号10)、5’−AAGGATCCTCA
TTTATCATCATCATCTTTATAATCT
TCTGGAAAAGTACGCTTCACG−3’の
配列であるオリゴDNA(プライマー7、配列表の配列
番号11)をプライマーとして、配列表の配列番号4の
遺伝子を含むp#53−4をテンプレートとして用いて
PCRを行った。
ることをアガロースゲル電気泳動で確認後、このPCR
産物を実施例1(3)記載の方法にて精製して、pT7
Blueベクターにサブクローニングした。その後、5
クローンのコロニーからプラスミドDNAを精製して、
シークエンスをして遺伝子配列を確認し、遺伝子配列に
誤りがなく目的の遺伝子配列、すなわち配列表の配列番
号4のDNA配列の1078番から1429番の配列の
3’端に5’−GATTATAAAGATGATGAT
GATAAATGA−3’(配列表の配列番号12)が
つながった配列を有するフラグメントであることを確認
し、プラスミドpLIC−6とした。
BlnI及びBamHI(宝酒造社製)にて消化し、配
列表の配列番号4のDNA配列の1083番以降の配列
のDNA断片を除去した約4kbpのDNA断片に、同
様に、pLIC−6を制限酵素BlnI及びBamHI
で消化して得た約360bpのDNA断片をT4 DN
Aリガーゼで連結してプラスミドpBSECを得た。こ
のようにして作製されたベクターpBSECを制限酵素
HindIII 、BamHIにて消化し、電気泳動にてお
よそ1.4kbpのDNA断片、すなわち新規ポリペプ
チドの細胞外領域のアミノ酸配列をコードするDNA配
列を含むDNA断片を分離し精製した。
V2−dhfrを制限酵素HindIII 及びBglIIで
処理してdhfr遺伝子を除いたものにT4 DNAリ
ガーゼ(宝酒造社製)にて連結し、新規ポリペプチド
(配列表の配列番号1)のアミノ酸配列のC末端にFL
AG配列を有するポリペプチドを産生しうるプラスミド
を作製した。以上のように作製された発現プラスミドを
pSV2ECFLAGとする。
1(理化学研究所、細胞開発銀行より入手可能、No.
RCB0005)を実施例3に記載した方法で得た発現
プラスミドpSV2Fu、並びにpSV2FuFLAG
を用いて形質転換させた。即ち、D−MEM(ダルベッ
コ改編MEM培地、GIBCO−BRL社製)10%F
CSにて培養した上記の細胞を、形質転換前日に培地を
交換し、細胞数を直径10cmの細胞培養用ディッシュ
あたり5×106 個にして10mlの上記培地を加え一
晩培養した。翌日、遠心分離にて細胞を沈澱させ、PB
S(−)にて2回遠心洗浄後、1mM MgCl2 、P
BS(−)に1×107cells/mlとなるように
して細胞を調製した。
導入装置を用いたエレクトロポレーション法で行った。
上記の細胞懸濁液500μlをエレクトロポレーション
専用セル(0.4cm)に取り、発現ベクターpSV2
FuまたはpSV2FuFLAG及び、pSV2−ne
o(ATCC 37150)を各々20μg加え、氷中
で5分間放置する。その後、間を1分間室温で放置し
て、2回の3μF、450Vの電圧をかけた。その後、
氷中で5分間放置後、直径10cm細胞培養用ディッシ
ュで上記の培地10mlで3日間培養を行った。
a社製)を400μg/mlとなるように加えた培地に
交換し、その後、2日おきに培地の1/3を交換して1
0日間ほど培養を続けた。10日後、ディッシュ上に形
成されたコロニーをトリプシン溶液(GIBCO−BR
L社製)を使ってはがし、クローン化された遺伝子の安
定発現細胞株を得た。以降は、このようにして作製され
たBalb/3T3の配列表の配列番号2に記載のアミ
ノ酸配列を含有するポリペプチドの安定発現細胞株をB
alb/FULLと示し、配列表の配列番号2に記載の
アミノ酸配列を含有するポリペプチドのC末端にFLA
Gアミノ酸配列を有するポリペプチドの安定発現細胞株
をBalb/FULLFLAGと示す。また、同時に同
じ方法でpSV2−neoのみを遺伝子導入したコント
ロールの形質転換細胞株を作製しこれをBalb/CO
Nと示す。
能、RCB0539)を実施例4に記載の方法で得たプ
ラスミドpSV2ECFLAGを用いて、実施例5に記
載の方法と同様の方法にて形質転換させた。即ち、D−
MEM(ダルベッコ改編MEM培地、GIBCO−BR
L社製)10%FCSにて培養した上記細胞を、形質転
換前日に培地を交換し、細胞数を直径10cmの細胞培
養用ディッシュあたり5×106 個にして10mlの上
記培地を加え一晩培養した。翌日、遠心分離にて細胞を
沈澱させ、PBS(−)にて2回遠心洗浄後、1mM
MgCl2 、PBS(−)に1×107 cells/m
lとなるようにして細胞を調製した。遺伝子導入はBi
o−Rad社製の遺伝子導入装置を用いたエレクトロポ
レーション法で行った。
レーション専用セル(0.4cm)に取り、発現ベクタ
ーpSV2ECFLAGを20μg加え、氷中で5分間
放置する。その後、間を1分間室温で放置して、2回の
3μF、450Vの電圧をかけた。その後、氷中で5分
間放置後、直径10cm細胞培養用ディッシュで上記の
培地10mlで培養を行った。遺伝子導入の翌日、培地
を無血清のD−MEM(GIBCO−BRL社製)に置
換し、以後4日間おきに交換し、2週間にわたって培養
上清を分取した。分取した培養上清を各々セントリコン
30(アミコン社製)にてバッファーを培地からPBS
(−)に交換及び10倍に濃縮した。
た検出 実施例6に記載の方法で作製した形質転換細胞上清中に
配列表の配列番号1に示すポリペプチドを含有するポリ
ペプチドが産生されていることを確認するため、以下の
ようにウエスタンブロットにて確認した。すなわち、濃
縮した培養上清をACIジャパン社製のSDS−PAG
E用電気泳動槽及びSDS−PAGE用ポリアクリルア
ミドゲル(グラディエントゲル5〜20%)を用い、添
付の取扱い説明書に従ってSDS−PAGEを行った。
サンプルは2−メルカプトエタノール(2−ME)を加
え加熱処理した還元条件下のサンプルと、その処理を行
わなかった非還元条件下のサンプルについて行い、マー
カーとしてはAmersham社製レインボーマーカー
(高分子量用)を用い、サンプルバッファー、泳動バッ
ファーについては添付の取扱い説明書に従って作製し
た。SDS−PAGE終了後、アクリルアミドゲルをP
VDFメンブランフィルター(BioRad社製)にB
ioRad社製ミニトランスブロットセルにより転写し
た。
SA(Sigma社製)、TBS−T(20mM Tr
is、137mM NaCl(pH7.6)、0.1%
Tween 20)に4℃一晩揺すりながらブロッキン
グした。一次抗体としてマウスモノクローナル抗体An
ti−FLAG M2(コダック社製)、二次抗体とし
てペルオキシダーゼ標識抗マウスIg羊抗体(Amer
sham社製)を反応させた。抗体の反応時間は各々室
温で一時間反応させ、各反応間はTBS−Tにて10分
間室温で揺すり洗浄する操作を3回づつ繰り返した。
am社製ECLウエスタンブロッティング検出システム
の反応液に五分間浸し、サランラップに包んでX線フィ
ルムに感光させた。その結果、還元条件、非還元条件の
サンプルともおよそ50kダルトン程度の蛋白が検出で
きた。以上の結果から、目的の配列表の配列番号1に記
載のアミノ酸配列のC末端にFLAG配列を有するポリ
ペプチドの産生細胞を得ることができた。
の培養上清を5リットル作製した。これらの培養上清を
コダック社製Anti−FLAG M2 Affini
ty Gelカラムに通して、組換えポリペプチドをカ
ラムに吸着させた。カラムのサイズは1cm×3cmで
容積はおよそ2mlであり、流速は全て1ml/mi
n.で行った。吸着後、カラムをPBS(−)20ml
で洗浄し、その後、0.5MTrisーグリシン(pH
3.0)で溶出した。溶出画分を2mlずつ分取し、
0.5MTris−HCl(pH9.5)200μlづ
つ加えて、各々の画分を上記の方法でSDS−PAGE
を行った。
トワコーIIで添付の説明書に従い染色した。その結果、
実施例7に記載したウエスタンブロットの結果と同様の
大きさのバンドに精製タンパクが得られていることが確
認できた。この結果から、配列表の配列番号1に記載の
アミノ酸配列のC末端にFLAG配列を有するポリペプ
チドを純品で得ることが出来た。より高純度なポリペプ
チドを得るために、上記の方法で精製された組換えポリ
ペプチドをゲル濾過にて精製を行った。
コン社製セントリコン30にて濃縮及びPBS(−)へ
のバッファー交換を行い、ゲル濾過はファルマシア社製
FPLCシステムを用い、同社のSuperose12
カラムにて行った。実施例7のウエスタンブロット結果
と同様の分子量の位置に溶離されるメインピークを分取
した。以下、このように精製された配列表の配列番号1
に記載のアミノ酸配列のC末端にFLAG配列を有する
ポリペプチドをEXFLAG−PTNと示す。
の方法に従いマウスモノクローナル抗体を作成した。即
ち、実施例8で作製した精製組換えポリペプチドEXF
LAG−PTNをBalb/cマウス(日本エスエルシ
ー社製)に1匹あたり10μgを皮下・皮内に免疫し
た。2回の免疫後、眼底採血を行い血清中の抗体価の上
昇を認めた後、3回目の免疫を行ってからマウスの脾臓
細胞を取り出し、マウスミエローマ細胞株P3X63A
g8(ATCC TIB9)とポリエチレングリコール
法にて細胞融合を行った。
ハイブリドーマを選択し、酵素抗体法にて該ポリペプチ
ドの細胞外部分を認識する抗体を培地中に産生している
ハイブリドーマ株を分離し、該ポリペプチドを特異的に
認識するマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマ株が樹立された。このようにして樹立されたハイ
ブリドーマの培養上清をファルマシア社製Mab Tr
apG II を用いて、添付のプロトコールに従って抗該
ポリペプチドモノクローナル抗体を精製し作製した。
精製されたポリペプチドを実施例7に記載の条件でウェ
スタンブロットを行った。その結果、実施例7で示した
ウェスタンブロット結果と同様の分子量の単一バンドが
検出でき、本モノクローナル抗体は該ポリペプチドを特
異的に認識できることが明らかになった。
外部分蛋白であるEXFLAG−PTNを用いて、ヒト
抗体との結合性を確認した。即ち、96穴のイムノプレ
ート(ヌンク社製)にEXFLAG−PTN(100n
g/ml)を100μl分注した。室温で1時間以上静
置した後、溶液をすて、0.05%Tween 20を
含むPBS(−)(以下PBS/Tweenと略す)で
2回洗浄した。次に、1倍濃度のBlock Ace
(大日本製薬社製)を100μlずつ分注し、室温で1
時間静置した。溶液をすて、PBS/Tweenで2回
洗浄後、PBS/Tweenで1000倍に希釈したH
UMANIMMUNOGLOBULIN STANDA
RD(CAPPEL社製)を100μlずつ分注し、室
温で1時間静置した。
2回洗浄後、PBS/Tweenで500倍に希釈した
ペルオキシダーゼ標識抗ヒト免疫グロブリンヤギ抗体
(E.Yラボラトリーズ社製)を100μlずつ分注
し、室温で1時間静置した。PBS/Tweenで4回
洗浄した後、0.1M Na2 HPO4 、0.05Mク
エン酸からなる緩衝液5mlに1mgのテトラメチルベ
ンジジン(シグマ社製)、50μlの30%過酸化水素
水(和光純薬社製)を加えて作製した発色液を50μl
ずつ分注し、室温で5分から10分静置した。2N硫酸
を50μlずつ分注して反応を止めた。対象実験1とし
てEXFLAG−PTNの替わりに牛血清アルブミン
(100ng/mg)100μlを用い、他は上記の方
法に従って操作を行った。また、対照実験2としてHU
MAN IMMUNOGLOBULINSTANDAR
Dの替わりに牛血清アルブミン(100ng/ml)1
00μlを用い、他は上記の方法に従って操作を行っ
た。
て、プレートリーダー(BIO−RAD社製)で450
nmの吸光度を測定した。吸光度は、EXFLAG−P
TN、対照1、対照2についてそれぞれ1.2、0.
9、1.0となり、EXFLAG−PTNは対照に比べ
有意に高い吸光度を示した。即ち、本発明の新規免疫関
連因子はヒト免疫グロブリンと結合することが示され
た。
異的に発現することから免疫応答に関連する免疫疾患及
び感染症に関わる研究や治療に有用に用いることができ
る。
Claims (16)
- 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
むポリペプチド。 - 【請求項2】 ポリペプチドが配列番号1で表されるア
ミノ酸配列よりなる請求項1に記載のポリペプチド。 - 【請求項3】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
む、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する請求項
1に記載のポリペプチド。 - 【請求項4】 配列番号3で表されるアミノ酸配列を含
むポリペプチド。 - 【請求項5】 糖鎖が結合してなる配列番号1で表され
るアミノ酸配列を含む請求項1に記載のポリペプチド。 - 【請求項6】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
むポリペプチドと、それ以外のポリペプチドとの複合体
の形態を有するポリペプチド。 - 【請求項7】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
有するポリペプチドをコードするDNA。 - 【請求項8】 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含
有するポリペプチドをコードするDNA。 - 【請求項9】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
有するポリペプチドをコードするDNAと、宿主細胞中
で発現可能なベクターDNAとを連結してなる組換えD
NA体。 - 【請求項10】 配列番号2で表されるアミノ酸配列を
含有するポリペプチドをコードするDNAと、宿主細胞
中で発現可能なベクターDNAとを連結してなる組換え
DNA体。 - 【請求項11】 請求項9または10に記載した組換え
DNA体により形質転換された細胞。 - 【請求項12】 請求項1に記載のポリペプチドを産生
し得る細胞を培地に培養し、産生されたポリペプチドを
採取することを特徴とするポリペプチドの製造方法。 - 【請求項13】 細胞が請求項11に記載の細胞である
請求項12に記載のポリペプチドの製造方法。 - 【請求項14】 請求項3に記載のポリペプチドと特異
的に結合することを特徴とする抗体。 - 【請求項15】 配列番号4の塩基配列の少なくとも1
8個の連続した塩基配列を含有するセンスDNA、該セ
ンスDNAに相補的なアンチセンスDNAからなる群よ
り選ばれる単離されたDNA断片、及び該センスDNA
及び該アンチセンスDNAを、それぞれメチル化、メチ
ルフォスフェート化、チオフォスフェート化または脱ア
ミノ化することにより得られる、該センスDNA及び該
アンチセンスDNAの誘導体からなる群より選ばれる単
離されたDNA断片。 - 【請求項16】 配列番号4の塩基配列に相補的な少な
くとも18個の連続した塩基配列を含有するアンチセン
スRNA、該アンチセンスRNAに相補的なセンスRN
Aからなる群より選ばれる単離されたRNA断片、及び
該アンチセンスRNA及び該センスRNAを、それぞ
れ、メチル化、メチルフォスフェート化、チオフォスフ
ェート化または脱アミノ化することにより得られる、該
アンチセンスRNA及び該センスRNAの誘導体からな
る群より選ばれる単離されたRNA断片。
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