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JPH10301325A - 熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法 - Google Patents

熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH10301325A
JPH10301325A JP12488997A JP12488997A JPH10301325A JP H10301325 A JPH10301325 A JP H10301325A JP 12488997 A JP12488997 A JP 12488997A JP 12488997 A JP12488997 A JP 12488997A JP H10301325 A JPH10301325 A JP H10301325A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
heat
wax
toner
pressure fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12488997A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanji Yoshimura
寛二 吉村
Shinichi Sata
晋一 佐多
Hiroyuki Kawachi
宏之 川地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP12488997A priority Critical patent/JPH10301325A/ja
Publication of JPH10301325A publication Critical patent/JPH10301325A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温定着性および耐ブロッキング性に優れ、か
つ耐オフセット性の向上と環境特性を両立し、感光体へ
のフィルミングを防止することができる熱圧力定着用カ
プセルトナーおよびその製造方法を提供すること。 【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶融
性芯材の表面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カプ
セルトナーにおいて、前記外殻の主成分が離型剤を含有
するハイブリッド樹脂であることを特徴とする熱圧力定
着用カプセルトナー、および少なくとも熱可塑性樹脂を
含有する熱溶融性芯材の表面に外殻が被覆されてなる熱
圧力定着用カプセルトナーの製造方法において、前記熱
溶融性芯材の原料モノマーと離型剤を含有するハイブリ
ッド樹脂とを用いてin situ重合することによ
り、前記熱溶融性芯材の表面に前記ハイブリッド樹脂を
被覆して外殻を形成する熱圧力定着用カプセルトナーの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法、静電記録法などにおいて形成される静電潜像の
現像に用いられる熱圧力定着用カプセルトナーおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱圧力定着用トナーにおいて、ワ
ックス成分を添加しなくても十分な耐オフセット性を有
することは可能であるが、特に複写速度、印字速度が速
く、定着ローラー系が大きい場合には、定着ローラーか
らの剥離性が悪く、ベタ画像においてオフセット現象が
発生する場合がある。
【0003】このような問題点に対して、ワックス成分
をトナーに添加し離型性を向上させる方法が知られてい
るが、トナーの保存安定性の観点から、ワックス成分は
高分子量のものが一般的に用いられ、重合性単量体に溶
解しないものがほとんどである。従って、懸濁重合法に
よりトナーを製造する場合、あらかじめ重合性単量体と
ワックス成分等を、サンドスターラーのような分散機を
用いて十分に粒子を解砕し、固液分散した後、重合を行
なうことによりトナーを製造する方法が用いられてい
る。しかしながら、このような方法でワックス成分を添
加した場合には、重合性単量体へのワックスの分散が悪
いため、遊離したワックスが存在し、これが感光体に移
行して印字を汚染する問題が生じやすいという欠点があ
る。
【0004】これに対し、特開平5−197203号公
報および特開平7−92736号公報には、パラフィン
系ワックスと特定の樹脂を用いたトナーおよびその製造
方法が開示されているが、こうした方法では、ワックス
の分散性は向上するものの、ワックス成分がトナーの中
心付近にのみ存在してトナーの表面近傍には存在しない
ことから、十分な効果を得るためには多量の添加量が必
要とされる。しかしながら、このように多量のワックス
を添加した場合には、トナー自体の機械的強度が脆くな
り、特に複写速度、印字速度の速い2成分現像方式のマ
シンでは、キャリアとの攪拌による機械的ストレスによ
りトナーが微粉砕され、キャリア汚染が発生して画像上
にかぶりが発生するという欠点があり、また非磁性一成
分現像方式を用いたマシンでは、薄層化ブレードにトナ
ーが融着し、白スジ等の画像劣化が生じるという欠点が
ある。
【0005】そこでトナーの表面の近傍にワックスを存
在させる技術として、特開平7−175260号公報に
殻材としてあらかじめワックス成分等の添加剤を分散さ
せた非晶質ポリエステルを用いるカプセルトナーが提案
されている。しかし、ポリエステルはその酸価が高いほ
ど、高温高湿下におけるトナーの帯電量の変動が大きい
という欠点がある。こうした課題に対し、特開平8−1
71231号公報には、外殻の主成分が縮重合により生
成した分子鎖と付加重合により生成した分子鎖が化学的
に結合した分子構造を有する樹脂を用いることによっ
て、高温高湿下における帯電安定性に優れたカプセルト
ナーが提案されているが、耐オフセット性についてはま
だ不十分な場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、低温定着性および耐ブ
ロッキング性に優れ、かつ耐オフセット性の向上と環境
特性を両立し、感光体へのフィルミングを防止すること
ができる熱圧力定着用カプセルトナーおよびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(1)
少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶融性芯材の表
面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カプセルトナー
において、前記外殻の主成分が離型剤を含有するハイブ
リッド樹脂であることを特徴とする熱圧力定着用カプセ
ルトナー、(2) 離型剤を含有するハイブリッド樹脂
が、縮重合系樹脂の分子鎖と付加重合系樹脂の分子鎖と
が、離型剤の存在下に、両反応性化合物を介して部分的
に化学結合した分子構造を有する樹脂である前記(1)
記載の熱圧力定着用カプセルトナー、(3) 離型剤を
含有するハイブリッド樹脂が、縮重合系樹脂の原料モノ
マー、付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性化合物
および離型剤を含有する混合物を用い、同一反応容器中
で縮重合反応と付加重合反応を行なうことによって得ら
れたものである前記(1)または(2)記載の熱圧力定
着用カプセルトナー、(4) 縮重合系樹脂がポリエス
テル、ポリエステル・ポリアミドまたはポリアミドであ
り、付加重合系樹脂がビニル系樹脂である前記(2)ま
たは(3)記載の熱圧力定着用カプセルトナー、(5)
離型剤がポリプロピレンワックス、ポリエチレンワッ
クス、ポリプロピレン・ポリエチレン共重合体ワック
ス、エステル系ワックス、フィッシャートロプシュワッ
クスまたはアミド系ワックスである前記(1)〜(4)
いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー、ならびに
(6) 少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶融性芯
材の表面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カプセル
トナーの製造方法において、前記熱溶融性芯材の原料モ
ノマーと離型剤を含有するハイブリッド樹脂とを用いて
in situ重合することにより、前記熱溶融性芯材
の表面に前記ハイブリッド樹脂を被覆して外殻を形成す
ることを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナーの製造
方法、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の熱圧力定着用カプセルト
ナーは、少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶融性芯
材の表面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カプセル
トナーにおいて、前記外殻の主成分が離型剤を含有する
ハイブリッド樹脂であることを特徴とするものである。
【0009】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーにお
いて、外殻の主成分となる「離型剤を含有するハイブリ
ッド樹脂」とは、縮重合系樹脂の分子鎖と付加重合系樹
脂の分子鎖とが、離型剤の存在下に、両反応性化合物を
介して部分的に化学結合した分子構造を有する樹脂であ
って、該樹脂中に離型剤が均一に分散し、その分散性が
非常に良好であるものをいう。
【0010】本発明において、離型剤を含有するハイブ
リッド樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例え
ば、縮重合系樹脂の原料モノマー、付加重合系樹脂の原
料モノマー、両反応性化合物および離型剤を含有する混
合物を用い、同一反応容器中で縮重合反応と付加重合反
応を行なうことによって得られたものであることが好ま
しい。このようにして得られる離型剤を含有するハイブ
リッド樹脂は、ハイブリッド樹脂のみを合成した後に離
型剤を単に混合させた場合とは異なり、離型剤の分散が
非常に良好となり、耐オフセット性が向上するばかりで
はなく、感光体へのフィルミング防止にも有効であり、
またトナーの流動性も向上し、さらに感光体から紙など
への転写媒体へのトナーの転写効率も向上する。
【0011】また、本発明においては、前記縮重合系樹
脂がポリエステル、ポリエステル・ポリアミドまたはポ
リアミドであり、前記付加重合系樹脂がビニル系樹脂で
あるハイブリッド樹脂が好適に用いられる。
【0012】従って、縮重合系樹脂の原料モノマーとし
ては、縮重合反応により、ポリエステル、ポリエステル
・ポリアミド、ポリアミド等を与えるものが好ましい。
【0013】前記ポリエステルの原料モノマーとして
は、2価または3価以上のアルコール成分と、2価また
は3価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン
酸エステル等のカルボン酸成分が用いられる。
【0014】2価のアルコール成分としては、例えば、
ポリオキシプロピレン(2.2) −2,2−ビス (4−ヒドロ
キシフェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)
−2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポ
リオキシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2) −2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキ
シプロピレン(2.0) −ポリオキシエチレン(2.0) −2,2
−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキ
シプロピレン(6) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニ
ル) プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサ
イド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2 −プロピレングリコ
ール、1,3 −プロピレングリコール、1,4 −ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,4 −ブテンジオー
ル、1,5 −ペンタンジオール、1,6 −ヘキサンジオー
ル、1,4 −シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェ
ノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0015】これらのなかでは、ビスフェノールAのア
ルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3 −プロピレングリコール
およびネオペンチルグリコールが好ましい。
【0016】3価以上のアルコール成分としては、例え
ば、ソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,
4 −ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタ
ントリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロ
ール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,
2,4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベ
ンゼン等が挙げられる。これらのなかでは、グリセロー
ルおよびトリメチロールプロパンが好ましい。
【0017】本発明においては、前記2価のアルコール
および3価以上のアルコールから単独でまたは複数を混
合して用いることができる。
【0018】また、2価のカルボン酸成分としては、例
えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン
酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、マロン酸等のジカルボン酸、n−ドデセニルコハク
酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、
イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−
オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオク
チルコハク酸等の炭素数1〜20の長鎖アルキル基もし
くはアルケニル基で置換されたコハク酸、およびこれら
の酸の無水物、またはアルキル(炭素数1〜12)エス
テル等が挙げられる。これらのなかでは、マレイン酸、
フマル酸、テレフタル酸およびアルケニル(炭素数2〜
20)コハク酸が好ましい。
【0019】3価以上のカルボン酸成分としては、例え
ば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸(トリメリット
酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ナ
フタレントリカルボン酸、1,2,4 −ブタントリカルボン
酸、1,2,5 −ヘキサントリカルボン酸、1,3 −ジカルボ
キシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパ
ン、1,2,4 −シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ
(メチレンカルボキシル) メタン、1,2,7,8 −オクタン
テトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体
酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が
挙げられる。これらのなでは、安価で、反応制御を容易
な点から、トリメリット酸またはその誘導体が好まし
い。
【0020】前記3価以上の多価カルボン酸またはその
誘導体は、樹脂の重合制御に有効であり、ヒートロール
定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないで
ローラー表面に付着し、次の紙に転移するというオフセ
ット現象を防止するために、縮重合系樹脂の原料モノマ
ー100重量部に対して0.2重量部以上、好ましくは
0.5重量部以上であることが望ましく、重合反応中に
ゲル化が生じるのを防ぐために、30重量部以下、好ま
しくは25重量部以下であることが望ましい。
【0021】本発明においては、前記2価のカルボン酸
等および3価以上のカルボン酸等から、単独でまたは複
数を混合して用いることができる。
【0022】前記ポリエステルの原料モノマーを重合さ
せる際には、反応を促進させるため、通常使用されてい
るエステル化触媒を適宜使用してもよい。かかるエステ
ル化触媒としては、例えば、酸化亜鉛、酸化第一錫、酸
化モノブチル錫、酸化ジブチル錫、ジブチル錫オキシ
ド、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられ、これらは単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。前
記エステル化触媒の使用量は、特に限定されないが、ポ
リエステルの原料モノマー100重量部に対して、通常
0.3〜10重量部程度が好ましい。
【0023】前記ポリエステル・ポリアミド、ポリアミ
ドの原料モノマーとしては、前記したポリエステルの原
料モノマー以外に、アミド成分を形成するための原料モ
ノマーが必要であり、かかる原料モノマーとしては、例
えばエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビ
スプロピルアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジ
アミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、6−
アミノカプロン酸、ε−カプロラクタム等のアミノカル
ボン酸類、プロパノールアミン等のアミノアルコールな
どが挙げられる。これらのなかでは、ヘキサメチレンジ
アミンおよびε−カプロラクタムが好ましい。
【0024】また、付加重合系樹脂の原料モノマーとし
ては、付加重合反応により、ビニル系樹脂を与えるもの
が好ましい。
【0025】前記ビニル系樹脂の原料モノマーとして
は、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4 −ジメチルスチレン、p
−クロロスチレン、ビニルナフタレン等のスチレン若し
くはスチレン誘導体;例えばエチレン、プロピレン、ブ
チレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフ
ィン類;例えば塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル
等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等のビニルエステル類;
例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリ
ル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリ
ル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウ
リル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステ
アリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2
−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアク
リル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタク
リル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メ
タクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタ
クリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メ
タクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタ
クリル酸メトキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
ジエチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸お
よびそのエステル;例えばビニルメチルエーテル等のビ
ニルエーテル類、例えばビニリデンクロリド等のビニリ
デンハロゲン化物;例えばN−ビニルピロール、N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニル化合物類が挙げられる。
【0026】これらのなかでは、スチレン、α−メチル
スチレン、プロピレン、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ス
テアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルお
よびメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0027】前記付加重合系樹脂の原料モノマーを重合
させる際には重合開始剤が用いられ、かかる重合開始剤
としては、例えば2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4 −ジメチル
バレロニトリル、その他のアゾ系またはジアゾ系重合開
始剤、およびジターシャリーブチルパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキ
サイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、キュメ
ンハイドロパーオキサイド、2,4 −ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられ
る。
【0028】前記重合開始剤は、重合体の分子量および
分子量分布を調節する目的で、または反応時間を調節す
る目的等で、2種類またはそれ以上を混合して使用する
こともできる。前記重合開始剤の使用量は、付加重合系
樹脂の原料モノマー100重量部に対して0.1〜20
重量部、好ましくは1〜10重量部であることが望まし
い。
【0029】付加重合系樹脂の原料モノマーを重合させ
る際には、必要に応じて架橋剤を用いることができる。
かかる付加重合系樹脂の原料モノマーの架橋剤として
は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、
ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジアクリレート、1,3 −ブチレングリ
コールジメタクリレート、1,6 −ヘキシレングリコール
ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポ
リプロピレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス
(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタ
ンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、フタル酸ジアリルなど、一般の架
橋剤を適宜(必要に応じて2種以上組み合わせて)用い
ることができる。これらのなかでは、ジビニルベンゼン
およびポリエチレングリコールジメタクリレートが好ま
しい。
【0030】これらの架橋剤の使用量は、付加重合系樹
脂の原料モノマー100重量部に対して0.001〜1
5重量部、好ましくは0.1〜10重量部で使用するの
が望ましい。15重量部以下が好ましいのは、ゲル化反
応を抑制して、反応制御を容易にするためである他、芯
材原料となる重合性単量体への溶解を容易にして、in
situ重合を速やかに進行させるためである。
【0031】本発明において、「両反応性化合物」と
は、前記縮重合系樹脂のモノマーと前記付加重合系樹脂
のモノマーのいずれとも反応し得る化合物をいう。
【0032】前記両反応性化合物としては、例えば次の
一般式(I)で表わされるものが挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】式中、R1 、R2 およびR3 は同一でも異
なっていてもよく、それぞれ水素原子、水酸基、アルキ
ル基、アルコキシ基、アリール基、ビニル基またはハロ
ゲン原子を示し、R1 とR2 、R2 とR3 は一緒になっ
て環を形成していてもよい。前記のアルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、ビニル基、または環はそれぞれ置
換基を有していてもよい。AおよびBは同一でも異なっ
ていてもよく、それぞれ単結合、一般式(II)で表わさ
れるアルキレン基または一般式(III)で表わされるフェ
ニレン基、
【0035】
【化2】
【0036】(R4 、R5 およびR6 は同一でも異なっ
ていてもよく、それぞれ水素原子、水酸基、アルキル
基、アルコキシ基、アリール基、ビニル基またはハロゲ
ン原子を示し、R4 とR5 は一緒になって環を形成して
いてもよい。前記のアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、ビニル基、または環はそれぞれ置換基を有してい
てもよい。R7 は、単結合または低級アルキレン基を示
す。mは0〜5の整数、nは0〜2の整数を示す)を示
し、XおよびYは同一でも異なっていてもよく、それぞ
れ、−R8 、−OR9 または−COOR10(R8 、R9
およびR10は水素原子または置換基を有していてもよい
低級アルキル基を示す)を示す。
【0037】ここで、これらの化合物は縮重合系樹脂の
原料モノマーおよび付加重合系樹脂の原料モノマーのい
ずれとも反応し得ることが必要であるが、1つの重合系
樹脂の原料モノマーが2種以上ある場合には、少なくと
もこのうちの1つと反応し得ればよい。
【0038】R1 〜R6 で示されるもののうち、アルキ
ル基としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜6、
特に1〜4のものが好ましく、例えばメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
tert−ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル
基は、フェニル基、ナフチル基、水酸基等で置換されて
いてもよい。また、アルコキシ基としては、例えばメト
キシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキ
シ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、これらの基は、水
酸基、カルボキシル基等で置換されていてもよい。アリ
ール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ベン
ジル基等が挙げられ、これらの基は、メチル基、エチル
基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、水酸基
等で置換されていてもよい。また、ビニル基は、水酸
基、フェニル基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキ
シル基等で置換されていてもよい。R1 とR2 、R2
3、R4 とR5 が一緒になって形成した環には、水酸
基、カルボキシル基等が置換していてもよい。ハロゲン
原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子が
好ましい。また、R7 で示される低級アルキレン基は炭
素数1〜4であることが好ましく、R8 、R9 およびR
10で示される低級アルキル基は炭素数1〜4であること
が好ましいが、その例としては、メチル基、エチル基等
が挙げられ、これらの低級アルキル基は水酸基等で置換
されていてもよい。
【0039】一般式(I)で表わされる化合物の代表的
なものとしては、以下の化合物(1)〜(35)が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】さらに上記のエチレン性モノカルボン酸の
低級アルキルエステル、上記のエチレン性ジカルボン酸
の無水物などが挙げられる。
【0044】前記両反応性化合物は、反応終了後の樹脂
の分散相の分散粒径を小さくして、着色剤等の分散性を
良好にするために有効であり、縮重合系樹脂の原料モノ
マー100重量部に対して0.5〜10重量部、特に
0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
【0045】本発明において用いられる離型剤として
は、例えば、ポリオレフィンワックス、脂肪酸金属塩、
脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪
酸、高級アルコール、パラフィンワックス、エステル系
ワックス、アミド系ワックス、多価アルコールエステ
ル、シリコーンワニス、脂肪族フロロカーボン、シリコ
ーンオイル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0046】前記ポリオレフィンワックスとしては、例
えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、
ポリプロピレン・ポリエチレン共重合体ワックス、ポリ
ブテンワックス等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩とし
ては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、カルシ
ウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミウム、
バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニ
ウム、マグネシウム等との金属塩;二塩基性ステアリン
酸鉛;オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コバル
ト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩;パルミチン酸と
アルミニウム、カルシウム等との金属塩;カプリル酸
塩;カプロン酸鉛;リノール酸と亜鉛、コバルト等との
金属塩;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と亜
鉛、カドミウム等との金属塩およびこれらの混合物等が
挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、例えばマレ
イン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ス
テアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステ
ル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレン
グリコールエステル等が挙げられる。前記部分ケン化脂
肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカ
ルシウム部分ケン化物等が挙げられる。前記高級脂肪酸
としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セラコレイン酸等およびこれらの混合物を挙げ
ることができる。前記高級アルコールとしては、例えば
ドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチル
アルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコ
ール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙
げることができる。前記パラフィンワックスとしては、
例えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフ
ィン、フィッシャートロプシュワックス、塩素化炭化水
素等が挙げられる。前記エステル系ワックスとしては、
例えば、カルナウバワックス、はぜろう、密ろう、鯨ろ
う、モンタンワックス等が挙げられる。前記アミド系ワ
ックスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン
酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベ
ヘニン酸アミド等の脂肪酸アミドワックス、メチレンビ
スステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、N,N'
−m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N'−m−
キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、
N,N'−イソフタル酸ビスステアリルアミド、N,N'−イソ
フタル酸ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド等が挙
げられる。前記多価アルコールエステルとしては、例え
ばグリセリンステアレート、グリセリンリシノレート、
グリセリンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレー
ト、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタ
ントリオレート等が挙げられる。前記シリコーンワニス
としては、例えばメチルシリコーンワニス、フェニルシ
リコーンワニス等が挙げられる。前記脂肪族フロロカー
ボンとしては、例えば四フッ化エチレン、六フッ化プロ
ピレンの低重合化合物あるいは特開昭53−124428号公報
に記載の含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
【0047】前記離型剤のなかでは、保存安定性および
耐オフセット性の観点から、ポリプロピレンワックス、
ポリエチレンワックス、ポリプロピレン・ポリエチレン
共重合体ワックス、エステル系ワックス、フィッシャー
トロプシュワックスおよびアミド系ワックスが好まし
い。
【0048】なお、本発明において使用されるフィッシ
ャートロプシュワックスは、石炭より合成石油を炭化水
素合成法により製造する際、副生するワックスである。
化学構造は、少数のメチル分枝をもつ飽和の長い直鎖炭
化水素であり、イソパラフィン含有量は、約10重量%
である。通常のパラフィンワックスに比べてより長い直
鎖構造を持ち、またマイクロワックスに比べると側鎖が
少ない直鎖状分子である。結晶構造は板状結晶で一般化
学式でCn 2n+2として表され、特に炭素数が15〜1
20のものが本発明のトナーに好適に使用される。
【0049】前記フィッシャートロプシュワックスとし
ては、例えば、サゾール社製の「サゾールワックス S
PRAY105」、「サゾールワックス SPRAY3
0」、「サゾールワックス SPRAY40」、「サゾ
ールワックス H1」、「サゾールワックス H1−N
6」、「サゾールワックス H1−N4」、「サゾール
ワックス C80」、「サゾールワックス C10
5」、「サゾールワックスH2」等が挙げられる。ま
た、本発明でいうフィッシャートロプシュワックスは酸
価3〜30mgKOH/gを有する酸化タイプのもの、
市販品としては、例えば、サゾール社製の「サゾールワ
ックス A1」、「サゾールワックス A2」、「サゾ
ールワックスA3」、「サゾールワックス A6」、
「サゾールワックス A7」、「サゾールワックス A
14」、「サゾールワックス A15」、「サゾールワ
ックスA28」等も包有されるものである。
【0050】前記離型剤の示差熱量計(セイコー電子工
業(株)製、商品名:DSC210)により測定した軟
化点は、保存安定性の観点から、50℃以上、好ましく
は55℃以上であることが望ましく、定着性の観点か
ら、160℃以下、好ましくは150℃以下であること
が望ましい。
【0051】前記離型剤の使用量は耐オフセット性の観
点から、ハイブリッド樹脂の原料モノマー100重量部
に対して1重量部以上、好ましくは5重量部以上である
ことが望ましく、感光体への汚染防止の観点から、ハイ
ブリッド樹脂の原料モノマー100重量部に対して30
0重量部以下、好ましくは150重量部以下、より好ま
しくは100重量部以下であることが望ましい。
【0052】以上のような原料を用いた離型剤を含有す
るハイブリッド樹脂の製造方法は、同一反応容器中で縮
重合反応と付加重合反応を行なうものである。かかる方
法においては、2つの重合反応の進行および完結は時間
的に同時である必要がなく、それぞれの反応機構に応じ
て反応温度および時間を適当に選択して反応を進行、完
結させればよい。
【0053】重合反応は、具体的には、例えば、付加重
合反応に適した温度条件下で縮重合系樹脂の原料モノマ
ーの混合物中に、付加重合系樹脂の原料モノマー、およ
び重合開始剤等の混合物を滴下し、両反応性化合物の存
在下、付加重合反応と並行して縮重合反応を部分的に行
なう工程と、得られた混合物の温度を前記条件下で保持
して付加重合反応のみを完結させる工程と、次いで反応
温度を上昇させて縮重合反応の重合度を上昇させる工程
とからなる方法により行なわれる。ここで離型剤は、縮
重合系樹脂の原料モノマーの混合物中に入れてもよく、
付加重合系樹脂の原料モノマー、架橋剤および重合開始
剤等の混合物中に入れてもよいが、好ましくは縮重合系
樹脂の原料モノマーの混合物中に入れるのが好ましい。
【0054】ここで、付加重合反応に適した温度条件
は、用いられる重合開始剤の種類にもよるが、通常50
〜180℃の温度範囲であることが好ましい。また、縮
重合反応の重合度を上昇させるのに最適な温度範囲は通
常190〜270℃である。このように反応容器中で独
立した2つの重合反応を進行させる方法により縮重合系
樹脂の分子鎖と付加重合系樹脂の分子鎖が、離型剤の存
在下に、両反応性化合物を介して部分的に化学結合した
ハイブリッド樹脂を効果的に得ることができる。
【0055】本発明においては、重合反応を行なう際
の、縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂の原
料モノマーの重量比(縮重合系樹脂の原料モノマー/付
加重合系樹脂の原料モノマー)は、50/50〜95/
5であることが好ましく、より好ましくは70/30〜
90/10である。付加重合系樹脂の割合がこの範囲を
越えると、外殻となるハイブリッド樹脂がin sit
u重合中に液滴の表面に出にくくなるため、トナーの保
存安定性が悪くなる傾向があり、この範囲未満では付加
重合系樹脂の性質のみが顕著になり本発明の効果が得ら
れにくい。
【0056】本発明に用いられる離型剤を含有するハイ
ブリッド樹脂のガラス転移点は、トナーの保存安定性を
向上させるために50℃以上、好ましくは55℃以上で
あることが望ましく、トナーの定着性を向上させるため
に80℃以下、好ましくは75℃以下であること望まし
い。なお、本発明において、ガラス転移点とは、示差走
査熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名:DSC
210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降
温速度10℃/分で室温まで冷却したサンプルを昇温速
度10℃/分で測定した際に、ガラス転移点以下のベー
スラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピーク
の頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度
とする。
【0057】前記離型剤を含有するハイブリッド樹脂の
酸価は、外殻となるハイブリッド樹脂がin situ
重合中に液滴の表面に出るのを容易にして、トナーの保
存安定性を向上させるために0.5(KOHmg/g)
以上、好ましくは1.0(KOHmg/g)以上である
ことが望ましく、外殻となるハイブリッド樹脂が水相へ
移行するのを容易にして、製造安定性を向上させるため
に50(KOHmg/g)以下、好ましくは30(KO
Hmg/g)以下、より好ましくは20(KOHmg/
g)以下であることが望ましい。なお、本発明において
酸価は、JISK0070に準拠した方法により測定す
ることができる。
【0058】本発明における離型剤を含有するハイブリ
ッド樹脂は外殻の主成分であり、その含有量は、外殻の
50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%で
あることが望ましい。また、前記ハイブリッド樹脂以外
に外殻に含有されてもよい樹脂としては、例えば、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエス
テルポリアミド、ポリウレア等が挙げられる。
【0059】本発明においては前記離型剤を含有するハ
イブリッド樹脂を外殻の主成分として用いることによ
り、外殻樹脂への離型剤の分散性が非常に良好となり、
耐オフセット性が向上するばかりでなく、トナーの流動
性も向上し、さらに感光体から紙等の転写媒体へのトナ
ーの転写効率も向上する。
【0060】本発明に用いられるカプセルトナーの熱溶
融性芯材は、少なくとも熱可塑性樹脂を含有するもので
ある。該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル
・ポリアミド、ポリアミド、ビニル樹脂等の熱可塑性樹
脂が挙げられ、好ましくはビニル系樹脂が挙げられる。
【0061】本発明においては、例えば、ビニル樹脂を
芯材樹脂として用いる場合、樹脂を構成する成分の内、
樹脂の主骨格形成にスチレンもしくはスチレン誘導体を
50〜90重量%用い、樹脂の軟化点等の熱特性の調節
にエチレン性モノカルボン酸もしくはそのエステルを1
0〜50重量%用いることが、芯材用樹脂のガラス転移
点を制御し易く好ましい。また、重合体の分子量および
分子量分布を調節する目的で、または反応時間を調節す
る目的等で、2種類またはそれ以上の重合開始剤を混合
して使用することもできる。
【0062】前記熱可塑性樹脂に由来する本発明のカプ
セルトナーのガラス転移点は、カプセルトナーの保存安
定性を維持するために、10℃以上、好ましくは20℃
以上であることが望ましく、カプセルトナーの定着強度
を維持するために60℃以下、好ましくは55℃以下で
あることが望ましい。
【0063】前記熱可塑性樹脂の原料モノマー、および
該原料モノマーを重合させる際に使用される重合開始
剤、架橋剤等は、前記ハイブリッド樹脂の原料モノマー
として例示されたモノマー、重合開始剤、架橋剤等と同
様のものを用いることができる。
【0064】本発明においては、必要に応じて外殻およ
び芯材の少なくとも一方に適宜選択された各種添加剤を
分散させることができる。ここで添加剤としては、着色
剤、荷電制御剤、流動性向上剤、クリーニング性向上
剤、導電性物質、体質顔料、繊維状物質等の補強充填
剤、酸化防止剤、老化防止剤等が挙げられ、これらは単
独でまたは2種以上を混合してもよい。
【0065】前記着色剤としては、従来のトナー用着色
剤に用いられている染料、顔料等のすべてを使用でき
る。本発明に用いられる着色剤としては、例えば、ファ
ーネスブラック法、サーマルブラック法、アセチレンブ
ラック法、チャンネルブラック法、ランプブラック法等
により製造される各種のカーボンブラック、カーボンブ
ラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボン
ブラック、ニグロシン染料、フタロシアニンブルー、パ
ーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカー
レット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベー
ス、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソル
ベントブルー35等およびそれらの混合物等を挙げること
ができる。着色剤の使用量は、通常、芯材の原料モノマ
ー樹脂100重量部に対して1〜15重量部程度である
ことが好ましい。
【0066】前記荷電制御剤としては、正および負のい
ずれの荷電制御剤も用いることができる。正の荷電制御
剤の具体例としては、特に限定されることなく、例えば
ニグロシン染料として「ニグロシンベースEX」、「オ
イルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボン
トロンN−01」、「ボントロンN−07」、「ボント
ロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリ
エント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として
含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム
塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリエント
化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブ
ロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(ヘキスト社製)
等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリエン
ト化学工業(株)製)、イミダゾール誘導体、例えば
「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、
四国化成(株)製)等を挙げることができる。
【0067】また、負の荷電制御剤の具体例としては、
特に限定されることなく、例えば含金属アゾ染料である
「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS
−31」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「T
−77」(保土谷化学工業(株)製)、「ボントロンS
−32」、「ボントロンS−34」、「ボントロンS−
36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイ
ゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業(株)
製)等;銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル
誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE−81」、
「ボントロンE−82」、「ボントロンE−84」、
「ボントロンE−85」(以上、オリエント化学工業
(株)製);4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARG
E NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダゾール誘
導体;ベンジル酸ホウ素錯体、例えば、「LR−14
7」(日本カーリット(株)製)等を挙げることができ
る。前記荷電制御剤は芯材の原料モノマー100重量部
に対して0.1〜8.0重量部、好ましくは0.2〜
5.0重量部使用することが望ましい。
【0068】前記流動性向上剤としては、例えばシリ
カ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン
酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロ
ンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰
石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガ
ラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができ
る。特にシリカの微粉末が好ましい。
【0069】なお、シリカ(SiO2 )の微粉末は、乾
式法および湿式法で製造されたもののいずれであっても
よい。また、無水シリカのほか、ケイ酸アルミニウム、
ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウ
ム、ケイ酸亜鉛などいずれであってもよいが、SiO2
を85重量%以上含むものが好ましい。また、シラン系カ
ップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオ
イル、側鎖にアミンを有するシリコーンオイルなどによ
り表面処理されたシリカの微粉末などを用いることがで
きる。
【0070】前記クリーニング性向上剤としては、ステ
アリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素
系高分子化合物の微粒子粉末などがある。更に現像性を
調整するための添加剤、例えばメタクリル酸メチル、メ
タクリル酸ブチル等の重合物の微粒子などを用いてもよ
い。
【0071】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、
製造設備や製造工程の簡素化という点から、前記熱溶融
性芯材の原料モノマーと前記離型剤を含有するハイブリ
ッド樹脂とを用いてin situ重合することによ
り、前記熱溶融性芯材の表面に前記ハイブリッド樹脂を
被覆して外殻を形成することにより製造することが好ま
しい。以下、in situ重合法による製造方法を例
にとり説明する。
【0072】本発明において、in situ重合法と
は、芯材の原料モノマー、離型剤を含有するハイブリッ
ド樹脂、および必要に応じて前記各種添加剤の混合液を
分散媒中に乳化分散させた際に、前記ハイブリッド樹脂
が液滴の表面に偏在(即ち、粒子の最外層に偏在)する
という性質を利用して、カプセルトナーの外殻形成を行
なう方法である。即ち、前記in situ重合法にお
いては、それぞれの溶解度指数の差によって混合液の液
滴中で芯材の原料モノマーとハイブリッド樹脂の分離が
起こり、その状態で重合が進行してカプセル構造が形成
される。この方法によると、外殻がほぼ均一な厚みを持
ったハイブリッド樹脂よりなる層として形成されるた
め、トナーの帯電特性が均質になるという特長を有す
る。また、ハイブリッド樹脂が付加重合系樹脂部分を有
しているため、芯材の原料モノマーへの溶解性がよく、
使用できる樹脂の物性が広く選択できる。
【0073】ところで、一般的なin situ重合に
よるカプセル化は、外殻となる樹脂のモノマー、開始剤
等を、分散相の内相もしくは外相の一方から供給し、重
合により外殻を形成してカプセル化物を得ることにより
行なわれる(「マイクロカプセル」三共出版(株)1987
年、近藤保、小石直純著)。一方、本発明におけるin
situ重合は、外殻樹脂の内部において、芯材樹脂
のモノマー、開始剤等が重合して芯材樹脂を形成するた
め、一般的なin situ重合によるカプセル化の場
合とは異なっているが、分散相の内相のみからモノマー
等が供給される点で両者は共通するため、本発明の方法
も広義のin situ重合に含まれるものである。
【0074】前記分散媒としては、水、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコ
ール、グリセリン、アセトニトリル、アセトン、イソプ
ロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が
挙げられる。これらを単独でまたは2種以上を混合して
用いることも可能である。
【0075】この方法による場合、分散質の凝集、合体
を防ぐために、前記分散媒中に分散安定剤を含有させて
おく必要がある。分散安定剤としては、例えばゼラチ
ン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリスチ
レンスルホン酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアク
リル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸
ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、アリル−アルキ
ル−ポリエーテルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナ
トリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウ
ム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ス
テアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、3,3 −ジ
スルホンジフェニル尿素−4,4 −ジアゾ−ビス−アミノ
−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト
−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,
5,5 −テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4 −ジア
ゾ−ビス−β−ナフトール−ジスルホン酸ナトリウム、
コロイダルシリカ、アルミナ、リン酸三カルシウム、水
酸化第二鉄、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、その
他を使用することができる。これらの分散安定剤は2種
以上を混合してもよい。
【0076】本発明における製造方法において、前記の
離型剤を含有するハイブリッド樹脂の添加量は、十分な
膜厚で外殻を形成して、保存安定性を向上させるため
に、芯材の原料モノマー100重量部に対して1重量部
以上、好ましくは3重量部以上であることが望ましく、
分散相の粘度を調整して微粒化を容易にし、製造安定性
を向上させるために、芯材の原料モノマー100重量部
に対して100重量部以下、好ましくは80重量部以
下、より好ましくは60重量部以下であることが望まし
い。
【0077】本発明においては、前記のようにして得ら
れるカプセルトナーを前駆体粒子として更にseed重
合を行なった熱圧力定着用カプセルトナーを用いてもよ
い。従って、本発明においてカプセルトナーとは、前記
のようなin situ重合法単独で得られるものの
他、in situ重合(1段目反応)とseed重合
(2段目反応)を組み合わせて得られるものをも含むも
のである。
【0078】即ち、seed重合は前記のようにして得
られるカプセルトナー(以下、前駆体粒子という場合が
ある)の水系懸濁液に少なくとも重合性単量体と重合開
始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体
粒子中の単量体成分を重合させるものである。例えば、
前記のin situ重合法による前駆体粒子の製造
後、懸濁状態のまま、直ちに少なくとも重合性単量体と
重合開始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させ、該前駆
体粒子中の単量体成分をseed重合させてもよい。こ
うすることにより製造工程をより簡略化できる。なお、
前駆体粒子中に吸収させる重合性単量体等は、予め水乳
濁液として添加してもよい。
【0079】添加する水乳濁液は、水に重合性単量体と
重合開始剤を分散安定剤と共に乳化分散させたものであ
り、他に架橋剤、オフセット防止剤、荷電制御剤等を含
有させることもできる。
【0080】seed重合に用いる重合性単量体として
は、前記の前駆体粒子の製造時に用いられるものと同じ
ものでもよい。また、重合開始剤、架橋剤および分散安
定剤も、前記の前駆体粒子の製造時に用いられるものと
同様のものを用いることができる。seed重合に用い
る架橋剤の使用量としては、耐オフセット性の観点か
ら、重合性単量体100重量部に対して、0.001重
量部以上、好ましくは0.1重量部以上であることが望
ましく、熱によるトナーの溶融を容易にして、熱圧力定
着性を向上させるために、重合性単量体100重量部に
対して、15重量部以下、好ましくは10重量部以下で
あることが望ましい。
【0081】また、トナーの保存安定性の更なる向上の
ため、前記離型剤を含有するハイブリッド樹脂等の親水
性外殻材を水乳濁液に添加してもよい。そのときの添加
量としては芯材100重量部に対し、通常1〜20重量
部、好ましくは3〜15重量部である。また、本発明で
はこのとき、添加する外殻用樹脂中に、前記した各種添
加剤を予め分散させておいてもよい。
【0082】外殻用樹脂に各種添加剤を分散させる場
合、その分散方法としては、通常公知の方法が用いら
れ、例えば2軸混練機、バンバリーミキサー、ニーダー
等の溶融混練分散の他、外殻用樹脂の製造時に溶融ブレ
ンドさせ分散させてもよい。
【0083】このような水乳濁液は、超音波発振機等に
より均一に分散させて調製することができる。
【0084】また、seed重合で用いる離型剤を含有
するハイブリッド樹脂の酸価は、1段目反応の場合と同
様に0.5〜50(KOHmg/g)であることが好ま
しく、より好ましくは1.0〜30(KOHmg/g)
である。
【0085】水乳濁液の添加量は、重合性単量体の使用
量が、前駆体粒子100重量部に対し10〜200重量
部となるように調整することが好ましい。10重量部以
上が好ましいのは、定着性改良の効果を向上させるため
であり、200重量部以下が好ましいのは、均一に単量
体を前駆体粒子中に吸収させ易くするためである。
【0086】水乳濁液の添加により、該重合性単量体は
前駆体粒子中に吸収されて前駆体粒子の膨潤が起こる。
そして、この状態で前駆体粒子中の単量体成分が重合す
る。即ち、前駆体粒子を種粒子とするseed重合であ
る。
【0087】このようにして更にseed重合させる
と、in situ重合法単独で製造されたカプセルト
ナーと比較して、つぎの点がより改善されることにな
る。即ち、in situ重合法で製造したカプセルト
ナーは、低温定着性と保存安定性の点で従来のものより
優れるが、seed重合法を更に行なうことにより、界
面化学的により均一な外殻が形成され、更に保存安定性
が優れるものとなる。また、芯材の重合性単量体を2段
(in situ重合反応およびseed重合反応)に
分けて重合させることができるため、さらに、架橋剤を
適宜使用することにより、芯材中の熱可塑性樹脂の分子
量制御が容易になり、低温定着性と耐オフセット性をよ
り良好にすることができる。特に高速での定着のみなら
ず低速での定着にも適したトナーを提供することができ
る。
【0088】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーの平
均粒子径は別段制約を受けるものではないが、通常3〜
30μmであることが好ましい。また、カプセルトナー
の外殻の厚さは耐ブロッキング性を向上させるために、
0.01μm以上であることが好ましく、熱溶融性を向
上させるために1μm以下であることが好ましい。
【0089】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、
磁性体微粉末を含有するものであるときには、単独で現
像剤として用いられ、また磁性体微粉末を含有しないも
のであるときは、非磁性一成分系現像剤、またはキャリ
アと混合して二成分系の現像剤を調製して用いることが
できる。キャリアとしては、特に限定されないが、鉄
粉、フェライト、ガラスビーズ等、またはそれらの樹脂
被覆したもの、更にはマグネタイト微粉、フェライト微
粉を樹脂中に練り込んだ樹脂キャリア等が用いられる。
トナーとキャリアを混合する際のトナーの使用量は、キ
ャリア100重量部に対して0.5〜20重量部である
ことが望ましい。また、キャリアの平均粒子径として
は、15〜500μm程度が好ましい。
【0090】本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、
熱と圧力を併用して紙等の記録材に定着させることによ
り良好な定着強度を与える。熱圧力定着方法としては、
熱と圧力が併用されていれば、公知の熱ローラー定着方
式、例えば特開平2−190870号公報に記載のように、記
録材上の未定着のトナー画像を加熱部と耐熱シートから
構成された加熱手段により、該耐熱性シートを介して加
熱溶融させ、定着せしめる定着方式、例えば特開平2−
162356号公報に記載のように、固定支持された加熱体
と、該加熱体に対向圧接し、且つフィルムを介して記録
材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、該トナー
の顕画像を記録材に加熱加圧定着する方式等の方法が挙
げられる。これらの方法は、いずれも本発明のカプセル
トナーを記録材に定着させるのに適したものである。
【0091】
【実施例】以下、製造例、実施例および試験例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
例等によりなんら限定されるものではない。
【0092】また、得られた結着樹脂の酸価およびガラ
ス転移点は以下の方法により測定した。 〔酸価〕JIS K0070に準拠した方法により測定
する。 〔ガラス転移点〕示差走査熱量計(セイコー電子工業
(株)製、商品名:DSC210)を用いて200℃ま
で昇温し、その温度から降温速度10℃/分で室温まで
冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定した際
に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピーク
の立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾
斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移点とする。
【0093】樹脂製造例1 ビニル系樹脂の原料モノマーとしてスチレン490gお
よびアクリル酸2−エチルヘキシル73g、両反応性化
合物としてアクリル酸25gならびに重合開始剤として
ジターシャリーブチルパーオキサイド22gを滴下ロー
トに入れた。ポリエステルの原料モノマーとして、ポリ
オキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン1425g、ポリオキシエチ
レン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン273gおよびテレフタル酸790g、エ
ステル化触媒としてジブチル錫オキシド5gならびに離
型剤としてフィッシャートロプシュワックス「サゾール
ワックス SPLAY105」(サゾール社製、軟化
点:105℃(示差走査熱量計(セイコー電子工業
(株)製、商品名:DSC210)により測定))87
8g(仕込モノマー100重量部に対して30重量部)
を、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー
および窒素導入管を装備したガラス製の5リットル容の
四つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で窒素雰囲
気下に、160℃の温度で撹拌しつつ、滴下ロートより
ビニル系樹脂の原料モノマー、両反応性化合物および重
合開始剤を一時間かけて滴下した。160℃に保持した
まま2時間付加重合反応を熟成させた後、230℃に昇
温して縮重合反応を行なわせた。高化式フローテスター
((株)島津製作所製、商品名:CFT−500)を用
いて測定した軟化点により重合度の追跡を行ない、軟化
点が107℃に達したときに反応を終了させた。得られ
た樹脂のガラス転移点は64.2℃と97.8℃であ
り、酸価は11(KOHmg/g)であった。得られた
樹脂をハイブリッド樹脂Aとする。
【0094】樹脂製造例2 樹脂製造例1において、フィッシャートロプシュワック
ス「SPLAY 105」(サゾール社製)を使用しな
かった以外は、樹脂製造例1と同様にして樹脂を得た。
得られた樹脂のガラス転移点はピーク1本で65.2℃
であり、酸価は11(KOHmg/g)であった。得ら
れた樹脂をハイブリッド樹脂Bとする。
【0095】樹脂製造例3 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物490
g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物19
2g、テレフタル酸166g、ドデセニル無水コハク酸
161g、無水トリメリット酸77gおよびジブチル錫
オキシド2.0gを温度計、ステンレス製攪拌機、流下
式コンデンサーおよび窒素導入管を装備したガラス製の
2リットル容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒータ
ー中で窒素雰囲気下に、220℃で反応させた。高化式
フローテスター((株)島津製作所製、商品名:CFT
−500)を用いて測定した軟化点により重合度の追跡
を行ない、軟化点が110℃に達したときに反応を終了
させた。得られた樹脂のガラス転移点は62℃であり、
酸価は12(KOHmg/g)であった。得られた樹脂
を樹脂Cとする。
【0096】実施例1 スチレン69重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル3
1重量部、ジビニルベンゼン0.4重量部およびカーボ
ンブラック「#44」(三菱化成(株)製)7.0重量
部に、ハイブリッド樹脂A20重量部、荷電制御剤「ボ
ントロンN−07」(オリエント化学工業(株)製)
1.0重量部および2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル5.0重量部を添加し、アトライター(三井三池化
工機(株)製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重
合性組成物を得た。次いで、2リットル容のガラス製セ
パラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4
重量%の水性コロイド溶液560gに前記の重合性組成
物240gを添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業
(株)製)を用いて15℃にて回転数12000rpm
で5分間乳化分散させた。次に、四つ口のガラス製の蓋
をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管およびステンレ
ススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター
中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、65℃ま
で昇温し、5時間反応させた後、90℃まで昇温し反応
を完結させた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を
溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、35℃にて12時
間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級
し、平均粒径8μmのカプセルトナーを得た。このカプ
セルトナー100重量部に疎水性シリカ微粉末「アエロ
ジルR−972」(日本アエロジル(株)製)0.4重
量部を加えて混合し、トナー1を得た。トナー1の芯材
中の樹脂に由来するガラス転移点は31.2℃、軟化点
は119.2℃であった。
【0097】比較例1 ハイブリッド樹脂B100重量部とフィッシャートロプ
シュワックス「サゾールワックス SPRAY105」
(サゾール社製)30重量部をヘンシェルミキサーで充
分に混合した後、バレル冷却装置を備えた2軸押出機で
混練し、冷却後粉砕し混練物Aを得た。実施例1におい
て、ハイブリッド樹脂Aを混練物Aに変えた以外は、実
施例1と同様にして比較トナー1を得た。比較トナー1
の芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は32.1℃、
軟化点は121.5℃であった。
【0098】比較例2 実施例1においてハイブリッド樹脂Aをハイブリッド樹
脂Bに変えた以外は、実施例1と同様にして比較トナー
2を得た。比較トナー2の芯材中の樹脂に由来するガラ
ス転移点は31.8℃、軟化点は120.7℃であっ
た。
【0099】比較例3 樹脂C100重量部とフィッシャートロプシュワックス
「サゾールワックスSPRAY105」(サゾール社
製)30重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した
後、バレル冷却装置を備えた2軸押出機で混練し、冷却
後粉砕し混練物Bを得た。実施例1においてハイブリッ
ド樹脂Aを混練物Bに変えた以外は、実施例1と同様に
して比較トナー3を得た。比較トナー3の芯材中の樹脂
に由来するガラス転移点は30.5℃、軟化点は12
2.5℃であった。
【0100】試験例1 トナー1、比較トナー1〜3を各々6重量部と250メ
ッシュから400メッシュの粒度を有するスチレン・メ
チルメタクリレート樹脂で被覆された球形フェライト粉
94重量部とをポリ容器に入れ、回転数150rpmで
20分間容器ごとローラー上で回転混合し、それぞれの
現像剤を調製した。次いで、市販の電子写真複写機(定
着装置中のローラー温度を可変にし、オイル塗布装置を
除去したもので、線速255mm/秒)を用い、以下に
示す方法に従って、耐オフセット性、帯電量、機内汚染
およびフィルミングを評価した。それぞれについての結
果を表1に示す。
【0101】〔耐オフセット性〕電子写真複写機の定着
温度を100〜240℃にコントロールして、コピー試
験を行ない、オフセットを生じない最低温度および最高
温度を測定し、耐オフセット域を調べる。
【0102】〔帯電量〕35℃で相対湿度(以下、RH
という)85%の環境下で1万枚連続コピーを行ない、
それぞれの現像剤の、初期の帯電量と1万枚印刷後の帯
電量を次に述べるブローオフ式帯電量測定装置を用いて
測定する。即ち、ファラデーケージとコンデンサー、エ
レクトロメーターを備えた比電荷測定装置を用い、ま
ず、500メッシュ (キャリア粒子の通過しない大きさ
に適宜変更可能) のステンレスメッシュを備えた真鍮性
の測定セルに、調製した現像剤をW(g)(0.15〜0.20
g) 入れる。次に吸引口から5秒間吸引した後、気圧レ
ギュレーターが0.6kgf/cm2 を示す圧力で5秒間ブロー
を行い、トナーのみをセルから除去する。この時のブロ
ー開始から2秒後の電位計の電圧をV(volt)とする。こ
こでコンデンサーの電気容量をC (μF)とすると、この
トナーの比電荷Q/mは下式により求められる。 Q/m(μC/g)=C×V/m ここで、mはW(g)中の現像剤中に含まれるトナーの
重量であるが、現像剤中の重量をT(g)、現像剤の重
量をD(g)とした場合、試料のトナーの濃度はT/D
×100(%)と表され、mは下式により求められる。 m(g)=W×(T/D)
【0103】〔機内汚染〕35℃でRH85%の環境下
で1万枚連続コピーを行ない、機内汚染の様子を目視に
て評価する。
【0104】〔フィルミング〕35℃でRH85%の環
境下で1万枚連続コピーを行ない、感光体上のフィルミ
ングの様子を目視にて評価し、画質への影響を確認す
る。
【0105】
【表1】
【0106】以上の結果からわかるように、トナー1は
耐オフセット域が広く、低温定着性にも優れており、機
内汚染も発生しない。しかしながら、比較トナー1は帯
電推移は良好であるが、感光体へのフィルミングが発生
する。また、比較トナー2はオフセット域が狭く、また
比較トナー3は機内汚染が発生するという欠点がある。
【0107】
【発明の効果】本発明により、低温定着性および耐ブロ
ッキング性に優れ、かつ耐オフセット性の向上と環境特
性を両立し、感光体へのフィルミングを防止することが
できる熱圧力定着用カプセルトナーを提供することが可
能となった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶
    融性芯材の表面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カ
    プセルトナーにおいて、前記外殻の主成分が離型剤を含
    有するハイブリッド樹脂であることを特徴とする熱圧力
    定着用カプセルトナー。
  2. 【請求項2】 離型剤を含有するハイブリッド樹脂が、
    縮重合系樹脂の分子鎖と付加重合系樹脂の分子鎖とが、
    離型剤の存在下に、両反応性化合物を介して部分的に化
    学結合した分子構造を有する樹脂である請求項1記載の
    熱圧力定着用カプセルトナー。
  3. 【請求項3】 離型剤を含有するハイブリッド樹脂が、
    縮重合系樹脂の原料モノマー、付加重合系樹脂の原料モ
    ノマー、両反応性化合物および離型剤を含有する混合物
    を用い、同一反応容器中で縮重合反応と付加重合反応を
    行なうことによって得られたものである請求項1または
    2記載の熱圧力定着用カプセルトナー。
  4. 【請求項4】 縮重合系樹脂がポリエステル、ポリエス
    テル・ポリアミドまたはポリアミドであり、付加重合系
    樹脂がビニル系樹脂である請求項2または3記載の熱圧
    力定着用カプセルトナー。
  5. 【請求項5】 離型剤がポリプロピレンワックス、ポリ
    エチレンワックス、ポリプロピレン・ポリエチレン共重
    合体ワックス、エステル系ワックス、フィッシャートロ
    プシュワックスまたはアミド系ワックスである請求項1
    〜4いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー。
  6. 【請求項6】 少なくとも熱可塑性樹脂を含有する熱溶
    融性芯材の表面に外殻が被覆されてなる熱圧力定着用カ
    プセルトナーの製造方法において、前記熱溶融性芯材の
    原料モノマーと離型剤を含有するハイブリッド樹脂とを
    用いてinsitu重合することにより、前記熱溶融性
    芯材の表面に前記ハイブリッド樹脂を被覆して外殻を形
    成することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナーの
    製造方法。
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