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JPH10286097A - プリンアラビノシドの酵素的製造法 - Google Patents

プリンアラビノシドの酵素的製造法

Info

Publication number
JPH10286097A
JPH10286097A JP11334297A JP11334297A JPH10286097A JP H10286097 A JPH10286097 A JP H10286097A JP 11334297 A JP11334297 A JP 11334297A JP 11334297 A JP11334297 A JP 11334297A JP H10286097 A JPH10286097 A JP H10286097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
purine
phosphorylase
arabinoside
dna
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11334297A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoki Hamamoto
智樹 浜本
Takanori Miyashita
孝徳 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamasa Shoyu KK
Original Assignee
Yamasa Shoyu KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamasa Shoyu KK filed Critical Yamasa Shoyu KK
Priority to JP11334297A priority Critical patent/JPH10286097A/ja
Publication of JPH10286097A publication Critical patent/JPH10286097A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンアラビノシドの効率的な製造法を
提供する。 【解決手段】 ヌクレオシドホスホリラーゼを用いてプ
リンとウラシルアラビノシドとからプリンアラビノシド
を製造する方法において、ヌクレオシドホスホリラーゼ
としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼとウリジンホ
スホリラーゼを併用し、2つの酵素の使用割合が酵素単
位(ユニット)としてプリンヌクレオシドホスホリラー
ゼをウリジンホスホリラーゼの1.5倍以上使用するこ
とを特徴とするプリンアラビノシドの酵素的製造法に関
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンアラビノシ
ドの酵素的製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビダラビン(アデニンアラビノシド)お
よびフルダラビン(フルオロアデニンアラビノシド)に
代表されるプリンアラビノシドまたはその5’−リン酸
体は、抗ウイルス活性または抗ガン活性を有し、いくつ
かの化合物は医薬品として実際に臨床上使用されてい
る。プリンアラビノシドの酵素的製造法としては、ヌク
レオシドホスホリラーゼを用いた方法が既に報告されて
いる(特公昭60−41598、特公昭61−348
0、特公昭62−10157、特公昭62−1427
7、特公昭62−14278、特公昭62−1427
9、特公昭62−15199、特公昭62−1520
0、特開昭56−8695、特開昭56−8696、特
開昭57−118797など参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の酵素的製造法の
うち、ヌクレオシドホスホリラーゼとしてプリンヌクレ
オシドホスホリラーゼとウリジンホスホリラーゼを併用
する方法も既に報告されているものの(特開昭56−8
695)、この方法とても合成収率の点で必ずしも満足
する方法とはなり得なかった。したがって、本発明は、
プリンアラビノシドの効率的な製造法の提供を目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、上記従来法
(特開昭56−8695)においてはプリンヌクレオシ
ドホスホリラーゼがウリジンホスホリラーゼと等量もし
くは若干多めに使用されている点に着目し、この2つの
酵素の使用割合を検討した結果、プリンヌクレオシドホ
スホリラーゼをウリジンホスホリラーゼの1.5倍以上
使用することによりプリンアラビノシドの合成収率を有
意に向上させることができることを見いだし、本発明を
完成させた。すなわち、本発明は、ヌクレオシドホスホ
リラーゼを用いてプリンとウラシルアラビノシドとから
プリンアラビノシドを製造する方法において、ヌクレオ
シドホスホリラーゼとしてプリンヌクレオシドホスホリ
ラーゼとウリジンホスホリラーゼを併用し、2つの酵素
の使用割合が酵素単位(ユニット)としてプリンヌクレ
オシドホスホリラーゼをウリジンホスホリラーゼの1.
5倍以上使用することを特徴とするプリンアラビノシド
の酵素的製造法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
(1)酵素の調製 本発明で使用するプリンヌクレオシドホスホリラーゼ
(E.C.2.4.2.1)およびウリジンホスホリラ
ーゼ(E.C.2.4.2.3)は公知の酵素であり、
プリンアラビノシドの合成に使用できるものであれば特
別のものに制限されるものではない。具体的には、プリ
ンヌクレオシドホスホリラーゼとしてはプリン塩基とア
ラビノース−1−リン酸からプリンアラビノシドを合成
する反応を触媒するものであればよく、ウリジンホスホ
リラーゼとしてはウラシルアラビノシドをウラシルとア
ラビノース−1−リン酸に分解する反応を触媒するもの
であればよい。このような酵素は既に数多く報告されて
おり、そのいくつかは酵素をコードする遺伝子の塩基配
列まで報告されている(特開昭56−8695、Proc.
Natil.Acad. Sci. U.S.A., 88, 7185-7189(1991)、Nucl
eic Acids Res., 17, 6741(1989)、Biosci. Biotech. B
iochem., 59, 1987-1990(1995))。
【0006】したがって、本発明で使用する酵素の調製
は、通常の組換えDNA手法にて容易に行うことができ
る。すなわち、既に報告され、本発明の方法で使用可能
なプリンヌクレオシドホスホリラーゼまたはウリジンホ
スホリラーゼの構造遺伝子の一部に相当するオリゴヌク
レオチドを合成し、該オリゴヌクレオチドをプローブと
して大腸菌などの微生物の遺伝子バンクよりプリンヌク
レオシドホスホリラーゼまたはウリジンホスホリラーゼ
をコードする遺伝子を含有するDNA断片を選出するれ
ばよい。クローン化に用いる宿主は特に限定されない
が、操作性および簡便性から大腸菌を宿主とするのが適
当である。
【0007】通常、選出したDNA断片をプラスミドベ
クターなどにクローン化しても、該DNA断片はプロモ
ーターを有していないか、あるいはプロモーターを有し
ていても異種微生物内で効率的に機能できないことが多
く、コードされた遺伝子の高発現は通常起こらないとさ
れている。また、コーディング領域以外の余分なDNA
を有していると、たとえプラスミドベクター上に存在し
ている他の遺伝子のプロモーターからのリードスルー
(read through)転写によっても、その高発現が起こり
うることがあり、好ましいことではない。このため、目
的とする遺伝子の高発現を具体化するためには、クロー
ン化したDNA断片の塩基配列を解析し、該遺伝子のコ
ーディング領域を特定するとともに不要な配列を除去
し、宿主微生物に応じて該遺伝子が微生物菌体中で高発
現となるように発現制御シグナル(転写開始および翻訳
開始シグナル)をその5'上流に連結した組換え発現ベ
クターを構築する必要がある。DNA塩基配列の決定
は、常法により行うことができ、たとえばマキサムーギ
ルバートの方法(Methods in Enzymology, 65, 499(198
0))もしくはダイデオキシチェインターミネーター法
(Methods in Enzymology, 101, 20(1983))などを応用
して行うことができる。
【0008】目的とするプリンヌクレオシドホスホリラ
ーゼ遺伝子またはウリジンホスホリラーゼ遺伝子を異種
微生物内で大量発現させるために使用する発現制御シグ
ナルとしては、人為的制御が可能で、酵素遺伝子の発現
量を飛躍的に上昇させるような強力な転写開始並びに翻
訳開始シグナルを用いることが望ましい。このような転
写開始シグナルとしては、宿主として大腸菌を用いる場
合は、lacプロモーター、trpプロモーター、ta
cプロモーター(Proc. Natl. Acsd. Sci. USA., 80, 2
1(1983)、Gene, 20, 231(1982))、trcプロモーター
(J. Biol. Chem., 260, 3539(1985))などを、酵母を
宿主とする場合にはグリセルアルデヒドー3ーフォスフ
ェート・デハイドロゲナーゼ(J. Biol. Chem., 254, 2
078(1980))や抑制性酸性フォスファターゼ(Nucl. Aci
ds. Res., 11, 1657(1983))などの遺伝子の発現制御シ
グナルなどをそれぞれ例示することができる。
【0009】ベクターとしては、種々のプラスミドベク
ター、ファージベクターなどが使用可能であるが、微生
物菌体内で複製可能であり、適当な薬剤耐性マーカーと
特定の制限酵素切断部位を有し、菌体内のコピー数の高
いプラスミドベクターを使用することが望ましい。具体
的に大腸菌を宿主とする場合には、pBR322(Gen
e, 2, 95(1975))、pUC18,同19(Gene, 33, 10
3(1985))などを例示することができる。また、酵母を
宿主とする場合には、YEp13(ATCC 37115)、YE
p24(ATCC 37051)などを例示することができる。プ
リンヌクレオシドホスホリラーゼまたはウリジンホスホ
リラーゼの各構造遺伝子の調製、クローニングした遺伝
子と発現調製シグナルとの連結などの方法は、一般の技
術者、特に分子生物学、遺伝子工学の分野に属する技術
者にとっては周知の技術であり、具体的には、たとえば
「Molecular Cloning」(Maniatisら編、Cold Spring H
arbor、New York(1982))に記載の方法に従って行うこ
とができる。
【0010】作製した組換えベクターを用いて宿主微生
物を形質転換する。宿主となる微生物は安全性は高く取
り扱いやすいものであれば特に限定されない。たとえ
ば、大腸菌、酵母などDNA組換え操作に常用されてい
る微生物を使用することができる。その中でも、大腸菌
が取り扱い上、およびプリンアラビノシド合成上有利で
あり、たとえば組換え実験に使用されるK−12株、C
600菌、JM105菌、JM109菌などが使用可能
である。微生物を形質転換する方法は既に多くの方法が
報告されており、宿主として使用する微生物に応じて適
宜選択すればよい。たとえば、大腸菌を宿主として使用
する場合、低温下、塩化カリシュウム処理して菌体にプ
ラスミドを導入する方法(J. Mol. Biol., 53, 159(197
0))により大腸菌を形質転換することができる。また、
酵母を宿主とする場合には、プロトプラスト法(Proc.
Natl. Acsd. Sci.USA., 75, 1929(1978))、あるいはア
ルカリ金属処理法(J. Bacteriol., 153,163(1983))な
どを採用することができる。
【0011】得られた形質転換体は当該微生物が増殖可
能な培養中で増殖させ、さらにクローン化したプリンヌ
クレオシドホスホリラーゼ遺伝子またはウリジンホスホ
リラーゼ遺伝子の発現を誘導して菌体内に該酵素が大量
に蓄積するまで培養を行う。形質転換体の培養は、炭素
源、窒素源などの当該微生物の増殖に必要な栄養源を含
有する培地を用いて常法に従って行えばよい。たとえ
ば、大腸菌を宿主として使用する場合、培地として2x
TY培地(Methods in Enzymology, 100, 20(1983))、
LB培地、M9CA培地(Molcular Cloning, 前述)な
どの大腸菌の培養に常用されている培地を用い、20〜
40℃の培養温度で必要により通気、攪拌しながら培養
する。また、ベクターとしてプラスミドを用いた場合に
は、培養中におけるプラスミドの脱落を防ぐために適当
な抗生物質(プラスミドの薬剤耐性マーカーに応じ、ア
ンピシリン、テトラサイクリンなど)の薬剤を適当量培
養液に加えて培養する。
【0012】培養中にプリンヌクレオシドホスホリラー
ゼ遺伝子またはウリジンホスホリラーゼ遺伝子の発現を
誘導する必要がある場合には、用いたプロモーターで常
用されている方法で該遺伝子の発現を誘導する。たとえ
ば、lacプロモーターやtrcプロモーターを使用し
た場合には、培養中期に発現誘導剤であるイソプロピル
−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を適当量添
加する。ヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子の発現を誘
導した後、該遺伝子産物を菌体内に大量蓄積させるた
め、さらに数時間の培養を継続して酵素源としての培養
物を得る。
【0013】本発明の方法に使用する酵素源としては、
上記培養物、培養菌体、菌体を処理して得られる菌体処
理物、または菌体から調製された粗酵素もしくは精製酵
素を例示することができる。たとえば、菌体を酵素源と
して使用する場合、培養物から膜分離あるいは遠心分離
などにより回収された菌体を適当な緩衝液に懸濁させた
ものを酵素源として使用すればよい。また、回収した菌
体を適当な緩衝液に懸濁し、超音波処理、フレンチプレ
ス処理などにより溶菌させ、菌体残渣を遠心分離により
除去して得られる無細胞抽出液を粗酵素液として使用す
ることができる。さらに精製が必要とされる場合でも、
熱処理、硫安塩析処理、透析処理、エタノールなどの溶
媒処理、各種クロマトグラフィー処理などの酵素精製に
通常使用されている処理を単独で、またはせいぜい2種
類の組み合わせただけの簡便な手段で高度に精製された
酵素標品を調製できる。
【0014】(2)プリンアラビノシドの酵素的製造法 本発明方法は、上記のようにして得られたプリンヌクレ
オシドホスホリラーゼおよびウリジンホスホリラーゼを
併用するとともに、2つの酵素の使用割合が酵素単位
(ユニット)としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ
をウリジンホスホリラーゼの1.5倍以上使用し、プリ
ンとウラシルアラビノシドとからプリンアラビノシドを
製造しようとするものである。反応に使用するプリンお
よびウラシルアラビノシドはいずれも公知化合物であ
り、目的とするプリンアラビノシドに対応して適宜取捨
選択すればよい。
【0015】反応条件は、使用した酵素の至適条件を適
宜決定して行えばよく、具体的には反応温度として20
〜95℃、反応pHとして3〜10の各範囲内から適宜
選定し得る。反応は、必要によりリン酸を1〜100m
M含む緩衝液中、1〜1000mMのプリン、1〜10
00mMのウラシルアラビノシドおよび0.1〜100
(U/ml)のプリンヌクレオシドホスホリラーゼおよ
びウリジンホスホリラーゼを用い、1〜100時間程度
反応させることにより実施することができる。プリンヌ
クレオシドホスホリラーゼおよびウリジンホスホリラー
ゼの使用割合は、酵素単位(ユニット)としてプリンヌ
クレオシドホスホリラーゼをウリジンホスホリラーゼの
1.5倍以上、具体的には1.5〜100倍、好ましく
は1.5〜10倍、更に好ましく1.5〜5倍程度使用
する。反応後、得られたプリンアラビノシドは従来の方
法にて単離精製することができる。
【0016】
【発明の効果】本発明方法は、後述の実施例に示されて
いるように、使用したプリン当たり60%以上、化合物
によっては90%以上の収率で目的とするプリンアラビ
ノシドを合成することが可能であり、極めて実用的な方
法である。
【0017】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明がこれに限定されないことは明らかであ
る。実施例におけるDNAの調製、制限酵素による切
断、T4DNAリガーゼによるDNA連結、並びに大腸
菌の形質転換法は全て「Molecular cloning」(Maniati
sら編、Cold spring Harbor Laboratory, Cold Spring
Harbor, New York (1982))に従って行った。また、制
限酵素、AmpliTaqDNAポリメラーゼ、アルカ
リホスファターゼ、T4ポリヌクレオチドカイネース、
T4DNAリガーゼは宝酒造(株)より入手した。
【0018】実施例1:アデニンアラビノシド(アラ
A)の合成 (1)大腸プリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子の
クローニング 大腸菌K12株JM109菌(宝酒造(株)より入手)
の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochim. Biophy
s. Acta., 72, 619 (1963))で調製した。このDNA
をテンペレートとして、以下に示す2種類のプライマー
DNAを常法に従って合成し、PCR法により大腸菌プ
リンヌクレオシドホスホリラーゼ(deoD)遺伝子を
増幅した。
【0019】 プライマー(A):5'-ATGTTCTGATGGATTTGGGCGGAG-3' プライマー(B):5'-GATACTAAAAAGCCGGAGCAGTCT-3'
【0020】PCRによるdeoD遺伝子の増幅は、反
応液100ml中(50mM 塩化カリウム、10mM
トリス塩酸(pH8.3)、1.5mM 塩化マグネ
シウム、0.001%ゼラチン、テンペレートDNA
0.1mg、プライマーDNA(A)および(B)各々
0.2mM、AmpliTaqDNAポリメラーゼ
(2.5ユニット)をPerkin−Elmer Ce
tus Instrument社製 DNA Ther
mal Cyclerを用いて、熱変性(94℃、1
分)、アニーリング(57℃、1.5分)、ポリメライ
ゼーション(72℃、1.5分)のステップを25回繰
り返すことにより行った。
【0021】遺伝子増幅後、反応液をフェノール/クロ
ロホルム(1:1)混合液で処理し、水溶性画分に2倍
容のエタノールを添加しDNAを沈殿させた。沈殿回収
したDNAを文献(Molecular cloning、前述)の方法
に従ってアガロースゲル電気泳動により分離し、850
b相当のDNA断片を精製した。該DNAをBlunt
ing kit(宝酒造社より入手)で平滑処理を行
い、次にT4ポリヌクレオチドカイネースで5’末端を
りん酸化した後、制限酵素SmaI及びアルカリホスフ
ァターゼで処理したプラスミドpUC18(宝酒造社よ
り入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。連結
反応液を用いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得ら
れたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpUC
−EPuFを単離した。pUC−EPuFはpUC18
のlacプロモーター下流のSmaI切断部位に大腸菌
deoD遺伝子を含有するDNA断片が順方向で挿入さ
れたものである。
【0022】次にプラスミドpUCEPuFを制限酵素
EcoRI及びSalIで消化し、得られる860b相
当のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離、
回収した。該DNA断片と同じく制限酵素EcoRI及
びSalIで消化したプラスミドpTrc99A(Ph
armacia Biotech.社より入手)とT4
DNAリガーゼを用いて連結した。この連結反応液を用
いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得られたアンピ
シリン耐性形質転換体よりプラスミドpTrc−EPu
を単離した。pTrc−EPuは、pTrc99Aのt
rcプロモーター下流のEcoRI−SalI切断断片
に大腸菌deoD遺伝子を含有するEcoRI−Sal
IDNA断片が挿入されたものである。
【0023】(2)大腸菌プリンヌクレオシドホスホリ
ラーゼの調製 プラスミドpTrc−EPuを保持する大腸菌JM10
9菌を、100mg/mlのアンピシリンを含有する2
xYT培地300mlに植菌し、37℃で振とう培養し
た。4x108菌/mlに達した時点で、培養液に終濃
度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに37℃
で3時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離
(9,000xg,10分)により菌体を回収し、60
mlの緩衝液(50mM トリス塩酸(pH7.5)、
5mM EDTA、0.1%トライトンX−100、
0.2mg/mlリゾチーム)に懸濁した。37℃で1
時間保温した後、超音波処理を行い、菌体を破砕し、さ
らに遠心分離(20,000xg、10分)により菌体
残さを除去した。このように得られた上清画分を酵素標
品とした。酵素標品におけるプリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ活性を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸
菌JM109菌)と共に下記表に示す。なお、本発明に
おけるプリンヌクレオシドホスホリラーゼ活性は、山内
の方法(特開平4−4882)に従い、50℃における
イノシンの加リン酸分解活性を測定して算出した。
【0024】
【表1】
【0025】(3)大腸ウリジンホスホリラーゼ遺伝子
のクローニング 大腸菌K12株JM109菌(宝酒造(株)より入手)
の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochim. Biophy
s. Acta., 72, 619 (1963))で調製した。このDNA
をテンペレートとして、以下に示す2種類のプライマー
DNAを常法に従って合成し、PCR法により大腸菌プ
リンヌクレオシドホスホリラーゼ(udp)遺伝子を増
幅した。
【0026】 プライマー(A):5'-AGTGTCTTTTTGCTTCTTCTGACT-3' プライマー(B):5'-TACGCAAAAATACAAAAGGCCGAA-3'
【0027】PCRによるudp遺伝子の増幅は、反応
液100ml中(50mM 塩化カリウム、10mM
トリス塩酸(pH8.3)、1.5mM塩化マグネシウ
ム、0.001%ゼラチン、テンペレートDNA0.1
mg、プライマーDNA(A)および(B)各々0.2
mM、AmpliTaq DNAポリメラーゼ(2.5
ユニット)をPerkin−Elmer Cetus
Instrument社製 DNA Thermal
Cyclerを用いて、熱変性(94℃、1分)、アニ
ーリング(55℃、1.5分)、ポリメライゼーション
(72℃、1.5分)のステップを25回繰り返すこと
により行った。
【0028】遺伝子増幅後、反応液をフェノール/クロ
ロホルム(1:1)混合液で処理し、水溶性画分に2倍
容のエタノールを添加しDNAを沈殿させた。沈殿回収
したDNAを文献(Molecular cloning、前述)の方法
に従ってアガロースゲル電気泳動により分離し、850
b相当のDNA断片を精製した。該DNAをBlunt
ing kit(宝酒造社より入手)で平滑処理を行
い、次にT4ポリヌクレオチドカイネースで5’末端を
りん酸化した後、制限酵素SmaI及びアルカリホスフ
ァターゼで処理したプラスミドpUC18(宝酒造社よ
り入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。連結
反応液を用いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得ら
れたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミド pU
C−UrdFを単離した。pUC−UrdFはpUC1
8のlacプロモーター下流のSmaI切断部位に大腸
菌udp遺伝子を含有するDNA断片が順方向で挿入さ
れたものである。
【0029】次にプラスミドpUCEPuFを制限酵素
KpnI及びSalIで消化し、得られる870b相当
のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離、回
収した。該DNA断片と同じく制限酵素KpnI及びS
alIで消化したプラスミドpTrc99A(Phar
macia Biotech.社より入手)とT4DN
Aリガーゼを用いて連結した。この連結反応液を用いて
大腸菌JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリ
ン耐性形質転換体よりプラスミドpTrc−Urdを単
離した。pTrc−Urdは、pTrc99Aのtrc
プロモーター下流のEcoRI−SalI切断断片に大
腸菌udp遺伝子を含有するKpnI−SalIDNA
断片が挿入されたものである。
【0030】(4)大腸菌ウリジンホスホリラーゼの調
製 プラスミドpTrc−Urdを保持する大腸菌JM10
9菌を、100mg/mlのアンピシリンを含有する2
xYT培地300mlに植菌し、37℃で振とう培養し
た。4x108菌/mlに達した時点で、培養液に終濃
度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに37℃
で3時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離
(9,000xg,10分)により菌体を回収し、60
mlの緩衝液(50mM トリス塩酸(pH7.5)、
5mM EDTA、0.1% トライトンX−100、
0.2mg/ml リゾチーム)に懸濁した。37℃で
1時間保温した後、超音波処理を行い、菌体を破砕し、
さらに遠心分離(20,000xg、10分)により菌
体残さを除去した。このように得られた上清画分を酵素
標品とした。酵素標品におけるウリジンホスホリラーゼ
活性を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM1
09菌)と共に下記表に示す。なお、本発明におけるウ
リジンホスホリラーゼ活性は、山内の方法(特開平4−
4882)に従い、50℃におけるウリジンの加リン酸
分解活性を測定して算出した。
【0031】
【表2】
【0032】(5)アデニンアラビノシド(アラA)の
合成 60mMウラシルアラビノシド(アラU)、40mMア
デニン、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
5mlに上記調製した大腸菌プリンヌクレオシドホスホ
リラーゼ50ユニット(U)、大腸菌ウリジンホスホリ
ラーゼ25Uを添加し、50℃、48時間反応した。高
速液体クロマトグラフィーで定性、定量した結果、3
7.42mMのアラAが生成した(反応収率:93.6
% 対アデニン当り)。
【0033】実施例2;2,6−ジアミノプリンアラビ
ノシド(アラDap)およびグアニンアラビノシドの合
成 60mMアラU、50mM2,6−ジアミノプリン、2
0mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)5mlに実
施例1と同じ酵素を同じ単位で添加し、50℃、65時
間反応した。高速液体クロマトグラフィーで定性、定量
した結果、48.18mMのアラDapが生成した(反
応収率:96.4% 対2,6−ジアミノプリン当
り)。さらに、この反応液5mlに大腸菌アデノシンデ
アミナーゼ50U添加し、40℃、5時間反応すること
により生成した全てのアラDapがグアニンアラビノシ
ドに変換することも高速液体クロマトグラフィーにより
確認した。
【0034】実施例3;2−フルオロアデニンアラビノ
シド(フルダラビン) 米国特許5180824号を参考に2−フルオロアデニ
ンを調製した。すなわち、ジアミノプリン3gを42%
HBF4溶液中、氷冷下、亜硝酸ナトリウムを加えて攪
拌した。反応液を水で希釈し、吸着樹脂(溶出溶媒5%
エタノール)で精製し、溶媒を濃縮して析出する結晶を
ろ取して2−フルオロアデニン1g(収率33%)を得
た。次に、60mMアラU、50mM2−フルオロアデ
ニン、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、
30%(v/v)ジメチルスルオキサイド5mlに実施
例1と同じ酵素を同じ単位で添加し、50℃、65時間
反応した。高速液体クロマトグラフィーで定性、定量し
た結果、32mMのフルダラビンが生成した(反応収
率:64% 対2−フルオロアデニン当り)。反応液を
沸騰湯浴中でインキュベートして酵素反応を停止後、濃
縮することで析出してくる結晶をろ取してフルダラビン
を得た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヌクレオシドホスホリラーゼを用いてプ
    リンとウラシルアラビノシドとからプリンアラビノシド
    を製造する方法において、ヌクレオシドホスホリラーゼ
    としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼとウリジンホ
    スホリラーゼを併用し、2つの酵素の使用割合が酵素単
    位(ユニット)としてプリンヌクレオシドホスホリラー
    ゼをウリジンホスホリラーゼの1.5倍以上使用するこ
    とを特徴とするプリンアラビノシドの酵素的製造法。
  2. 【請求項2】 2つの酵素の使用割合が酵素単位(ユニ
    ット)としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼをウリ
    ジンホスホリラーゼの1.5〜100倍使用する、請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 2つの酵素の使用割合が酵素単位(ユニ
    ット)としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼをウリ
    ジンホスホリラーゼの1.5〜10倍使用する、請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 2つの酵素の使用割合が酵素単位(ユニ
    ット)としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼをウリ
    ジンホスホリラーゼの1.5〜5倍使用する、請求項1
    記載の方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533126A (ja) * 1998-12-23 2002-10-08 ノルファーマ エスピーエー 天然ヌクレオシドおよびその改変類縁体を産生するための組換え細菌株

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