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JPH1020099A - 走査型共焦点x線顕微鏡 - Google Patents

走査型共焦点x線顕微鏡

Info

Publication number
JPH1020099A
JPH1020099A JP8176159A JP17615996A JPH1020099A JP H1020099 A JPH1020099 A JP H1020099A JP 8176159 A JP8176159 A JP 8176159A JP 17615996 A JP17615996 A JP 17615996A JP H1020099 A JPH1020099 A JP H1020099A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
optical system
sample
microscope
scanning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8176159A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Sugizaki
克己 杉崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP8176159A priority Critical patent/JPH1020099A/ja
Publication of JPH1020099A publication Critical patent/JPH1020099A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体試料の鮮明な高解像度観察が可能な顕微
鏡を提供すること。 【解決手段】 少なくとも、X線源21、該X線源21から
のX線を試料ホルダー23に保持された試料4 に照射する
X線対物光学系34、試料4 を保持する試料ホルダー23、
該試料ホルダー23を走査させる走査駆動系32、及び前記
試料4 からのX線を検出するX線検出系31を備えた走査
型X線顕微鏡において、前記X線源21を点光源とし、か
つ、前記試料ホルダー23と前記X線検出系31との間に、
前記試料4 からのX線を集光するX線集光光学系35と、
ピンホール6 またはスリットを設けて共焦点光学系を形
成したことを特徴とする走査型共焦点X線顕微鏡。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共焦点光学系を用
いた走査型X線顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に進歩している医学や生物工
学の分野では、通常の可視光(波長λ=約400nm 〜800n
m )を用いる光学顕微鏡よりも分解能が高く、しかも生
きた試料(例えば、細胞、バクテリア、精子、染色体、
ミトコンドリア、べん毛など、以下生体試料という)を
も鮮明に観察することができる高解像度の顕微鏡を要求
する声が日増しに高まっている。
【0003】前記光学顕微鏡よりも分解能がはるかに高
い顕微鏡として電子顕微鏡がある。しかし、電子顕微鏡
は電子光学系が真空中に配置されるので、試料または試
料を収納する試料容器も真空中に配置する必要があり、
試料を直接真空中に配置する場合には、試料を生きた状
態で配置することは当然不可能であり、また生きた試料
を試料容器に収納して真空中に配置する場合には、電子
線を十分に透過する試料容器の窓材料がないため、生き
た試料を観察することができない。
【0004】そこで、生体試料の高解像度観察を可能と
するために、共焦点走査型顕微鏡や、可視光に代えて波
長λ=2 〜5nm のX線を用いるX線顕微鏡が検討され、
具体的にも開発されつつある。共焦点顕微鏡の光学系
は、1957年にM. Minsky により提案され、光源と検出器
にピンホールをそれぞれ付加した走査光学系の1つであ
る。近年、光学顕微鏡の分野では、光源にレーザーを利
用したレーザー共焦点顕微鏡が開発されているが、これ
は通常の光学顕微鏡に比べて高分解能、高画質であると
いう特徴を有し、生体試料の観察にも使用されている。
【0005】図4に共焦点光学系の概要を、図5に結像
性能の関係をそれぞれ簡単に示す。この様な配置を取っ
たときの光学特性は様々な角度からすでに検討されてお
り、これらの光学特性をまとめた代表的な著作に、Tony
Wilson とColin Sheppardの著によるTheory and Pract
ice of Scanning Optical Microscopyがある。共焦点光
学系は、図4(a) に示すように、光源1 、ピンホール2
、対物光学系3 、試料4 、集光光学系5 、ピンホール6
、及び検出器7 からなっている。
【0006】試料の像を走査して得る場合、試料を動か
して走査する方法と、ビームを動かして走査する二つの
方法がある。試料を走査する場合は、試料を保持する試
料ホルダーを走査させる走査駆動ステージを設け、スポ
ット光を走査する場合は、スポット光の走査光学系を設
ける。また、近年良く利用されているレーザー共焦点顕
微鏡は、図4(b) に示すように図4(a)の光源1 及び
ピンホール2 を、平行ビームであるレーザー光8 に置き
換え、図4(a)の対物光学系3 と同じ光学系を集光光
学系3とし、さらにレーザーの平行光と共役の位置にピ
ンホール6を配置して、このピンホール6を通った光を
検出する検出器7 を設けることにより試料の反射光を検
出するものであり、通常はビーム走査光学系10を付加し
て設ける。
【0007】このようなレーザー共焦点顕微鏡の分解能
等、基本的な結像性能は図4(a) に示す基本形の場合と
ほぼ同じであり、縦分解能だけ若干異なる振る舞いをす
る。図4の共焦点光学系にかかる結像性能の特徴を図5
に示す。図4の光源1により照明されたピンホール2
は、ピンホール2 が十分に小さい場合は点光源として作
用する。この点光源の像は、対物光学系3 により試料4
上に投影されてスポット光を形成する。
【0008】このとき、対物光学系3 が無収差である場
合は、このスポットは、図5(a) に示されるような、使
用する波長と開口数とで決まる回折限界像となる。この
スポット光は、試料4の透過率に依存した強度変調を受
けて集光光学系5によりピンホール6 上に投影される。
こうして、ピンホール6 を通過した光だけが検出器7 に
より検出される。ここで検出器7 は、逆にピンホールを
通して試料面上を見ていることになる。
【0009】ピンホール6 が十分小さく、集光光学系5
が無収差であるならば、試料面上では、使用波長と開口
数で決まる回折限界領域だけが見えることになる。な
お、対物光学系と集光光学系に同じものを使用した場合
は、対物光学系のスポット光の強度分布がそのまま検出
率になるような特性を示す。従って、共焦点光学系にお
いては、対物光学系3 で投影されたスポット光を集光光
学系5を通し、さらにピンホール6 を通して観察するこ
とになり、その実効的な光学性能を表す点像分布関数
は、対物光学系3 の点像分布関数と集光光学系5 の点像
分布関数の積で表され、実際には図5(b) のような光学
性能となる。
【0010】図5より明らかなように、共焦点光学系に
おいては、通常のスポット光の走査に比べてピークが若
干細くなり周辺光が減少する。これは分解能が向上し、
コントラストが改善されることを意味する。さらに、ピ
ンホールを通すことにより迷光などの影響も軽減される
ので、共焦点光学系を用いると、これを用いない通常の
顕微鏡結像に比べてコントラストのよい、明瞭な画像が
得られる。
【0011】なお、ここではピンホールを使った例につ
いて説明したが、スリットを用いると、1次元方向に対
して同様の効果が得られ、実際にスリットを用いた共焦
点光学系も利用されている。また、図5(c) 、(d) に示
されているように、開口に無限に細い輪帯を用いた場合
は、ピークの形状はさらに細くなり、後述する通常の輪
帯開口の結像に比べて周辺光が抑制される。
【0012】しかしながら、共焦点光学系を用いた共焦
点顕微鏡の分解能も通常の顕微鏡と同じように、対物レ
ンズの開口数(N.A.)と光の波長により制限されてお
り、分解能も光学顕微鏡の分解能の1/2 程度であり、分
解能を向上させるという意味においては、あまり顕著な
向上はない。一方、光の波長による分解能制限を克服す
るために、光より波長の短いX線顕微鏡が検討されてい
る。X線顕微鏡では、光の波長の1/100 程度に当たる波
長1〜10nmメートル程度のX線を用いるため、通常
の顕微鏡よりはるかに高い分解能が期待される。
【0013】ところで、X線の物質による吸収はX線の
波長、物質の原子番号などにより図6に示すように変化
する。一般には、同一物質に対してはX線の波長が長い
ほど物質に吸収されやすく、同一波長のX線に対しては
物質の原子番号が大きいほどX線を吸収しやすい。特に
波長23〜44ÅのX線波長域では、酸素原子を有する水
は、蛋白質などの炭素原子を有する有機物に比べてX線
透過率が大きい(X線吸収率が小さい)。つまり、X線
を使って観察すると、水と蛋白質との間のX線吸収率の
違いからコントラストが得られので、染色することなく
細胞の水中における構造を見分けることができる。
【0014】この波長域を水の窓(Water Window)と呼
び、この領域は生体観察にとって非常に有用なX線波長
域である。このように、X線顕微鏡は、水の窓領域のX
線を使用すれば、生物も高分解能、無染色でみられるな
どの特徴を有している。図7は、このようなX線顕微鏡
のうち、結像型X線顕微鏡の簡単な構造及び光学系の一
例を示したものである。
【0015】図7において、X線発生器21から出射した
X線は、X線照明光学系22により集光され、試料容器23
内に収納された試料4 を照明する。そして、試料4 を透
過したX線はX線拡大光学系24により試料像としてX線
撮像装置25上に結像される。X線発生器21からX線撮像
装置25までの光路長は、例えば2m程度である。また、
各光学系はX線の吸収を防止するために、排気装置27に
より真空排気された鏡筒用真空容器26内に配置されてい
る。
【0016】また、図7のような結像型X線顕微鏡の他
に図8に示すような走査型X線顕微鏡も提案され、開発
も進みつつある。この走査型X線顕微鏡では、X線発生
器21から出射したX線をX線対物光学系30により縮小、
集光することでX線のマイクロビームを形成し、該ビー
ムを試料容器23内に収納された試料4 に集光する。そし
て、試料4 を透過したX線の強度をX線検出器31により
検出する。
【0017】ここで、試料4 を収納した試料容器23は走
査駆動ステージ32に載置されており、該ステージは制御
装置33により駆動制御される。また、制御装置は、X線
検出器31の信号より画像を形成してモニター画面28上に
表示する。ところで、X線顕微鏡の結像光学系として
は、図9(a)に示すような全反射を利用した斜入射反
射型のX線ミラーを用いた光学系、図9(b)に示すよ
うな多層膜による反射鏡を利用した光学系、図9(c)
に示すようなフレネルゾーンプレートの光学系などが使
用されている。
【0018】図9(a)の斜入射ミラーでは、図に示す
ような回転双曲面と回転楕円面を組み合わせたWolter型
と呼ばれる光学系が良く用いられる。この光学系は、全
反射を利用するため、光の利用効率が良く、明るいとい
う利点がある。また、図9(b)の多層膜鏡では、図に
示すような同心の2枚の球面鏡を組み合わせたシュワル
ツシルト型と呼ばれる光学系が良く利用される。この光
学系は、比較的良く収差が補正されており、良好な結像
性能を示すという利点がある。
【0019】しかしながら、多層膜鏡は、前記水の窓と
呼ばれる波長域で有効に作用する多層膜が無く、この波
長域でX線顕微鏡に利用するのは、効率の面で困難であ
る。図9(c)のゾーンプレートは、分解能が最外周の
線幅によって決まるため、微細加工技術の向上に伴って
分解能の向上が望めるという利点がある。しかしなが
ら、ゾーンプレートは、X線の回折を利用しているた
め、最も効率の高い位相ゾーンプレートを使ったとして
も、X線の利用効率は20% 程度に制限される。
【0020】このようなX線顕微鏡に利用されるX線光
学系の分解能は、理論的には、使用波長と開口角(N.
A.)の大きさによって決まる。アッベの発見した結像理
論によれば、使用する波長をλとすれば、分解能Rは、R
=0.61・λ/N.A. となる。上式で表されるように、使用
波長λを小さくすれば、分解能もそれだけ良くなるが、
N.A.が小さいと、分解能が悪くなることを示している。
【0021】従って、X線顕微鏡は、通常の可視光を利
用した顕微鏡に比べ、1/100 以下の短い波長を使ってい
るにも関わらず、N.A.が通常の可視光の顕微鏡の1/10程
度の光学系しか組めないため、分解能は可視光顕微鏡の
1/10程度の値にとどまっている。 図9に、各X線光学
系の取る代表的な開口の形と遮蔽率を合わせて示す。ま
た、このようなX線顕微鏡に用いられるX線光学系は、
一般に輪帯の開口を有しているものが多い。輪帯開口
は、輪帯の幅を細くすればするほど一般的に分解能は向
上するが、コントラストは劣化する。この様子を図10
に示す。
【0022】図10において、(a) は円形開口、(b) は
1/2 の輪帯開口、(c) は、無限に細い輪帯開口の特性を
それぞれ示しており、図から明らかなように、輪帯が細
くなるに従ってピークが細くなり分解能は向上するが、
周辺光が増えるのでコントラストは劣化する。特に、回
転対称型のWolterのような斜入射光学系においては、輪
帯が細くなるので、コントラストの低い画像しか得られ
ない。そのため、分解能が高くても生体などの低コント
ラストの細かい構造を持つ試料の撮像では、分解能程度
の小さいものは、実際には良く見えないという問題点が
ある。
【0023】また、X線は波長が短いので、光(フォト
ン)エネルギーは、可視光に比べて1桁以上大きい。即
ち、X線顕微鏡は、水の窓領域という短波長領域のX線
を使用することにより生物も高分解能、無染色でみられ
るなど優れた特徴を有する反面、高エネルギーのX線を
生物試料に照射して観察するので、生体試料にダメージ
を与えやすいという問題点を有する。
【0024】さらに、現状のX線顕微鏡では、実験室規
模の出力の大きいX線源がないという問題点がある。X
線源としては、放射光、レーザープラズマX線源、電子
線励起のX線管などがあるが、放射光は小さなものでも
数メートル規模の大きさを持ち、非常に高価な装置であ
るため、実験室で容易に扱えるものではない。
【0025】また、レーザープラズマX線源も非常に強
力であるが、強力なX線源にするためには、励起するレ
ーザーに非常に高出力のものを使う必要があり、これも
数メートル規模の大きさを持ち、非常に高価である。そ
のため、実験室規模で利用できるX線源としては、X線
強度があまり大きくない小規模のレーザープラズマX線
源または電子線励起のX線管に限定されてしまう。
【0026】従って、X線顕微鏡においては、実験室規
模で利用できるX線源を用いることで生体試料へのダメ
ージを減らすと共に、比較的低強度のX線源を有効に利
用するために、できるだけ高効率のX線光学系である斜
入射光学系を使用することが好ましい。しかしながら、
高効率の斜入射光学系は、前述したように、細い輪帯開
口であるので、コントラストの悪い画像しか得られない
という問題点がある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】この様に、生体試料の
鮮明な高解像度観察を可能とするための顕微鏡の性能向
上への工夫がなされてきているが、前記共焦点顕微鏡や
X線顕微鏡でも十分な分解能の向上が得られず、さら
に、特に斜入射鏡を用いたX線顕微鏡ではコントラスト
の低い画像しか得られず、コントラストの低い生物など
の微細な構造を観察するのは困難であるという問題点が
ある。
【0028】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、生体試料の鮮明な高解像度観察が可能な顕微
鏡を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「少なくとも、X線源、該X線源からのX線を試料ホ
ルダーに保持された試料に照射するX線対物光学系、試
料を保持する試料ホルダー、該試料ホルダーを走査させ
る走査駆動系、及び前記試料からのX線を検出するX線
検出系を備えた走査型X線顕微鏡において、前記X線源
を点光源とし、かつ、前記試料ホルダーと前記X線検出
系との間に、前記試料からのX線を集光するX線集光光
学系と、ピンホールまたはスリットを設けて共焦点光学
系を形成したことを特徴とする走査型共焦点X線顕微鏡
(請求項1)」を提供する。
【0030】また、本発明は第二に、「前記点光源であ
るX線源は、レーザープラズマX線源であるか、或いは
X線の非点光源にピンホールを組み合わせたX線源であ
ることを特徴とする請求項1記載の走査型共焦点X線顕
微鏡(請求項2)」を提供する。また、本発明は第三に
「前記X線集光光学系に斜入射反射鏡を用いたことを特
徴とする請求項1または2記載の走査型共焦点X線顕微
鏡(請求項3)」を提供する。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明にかかる、少なくとも、X
線源、X線対物光学系、試料ホルダー、該試料ホルダー
を走査させる走査駆動系、及びX線検出系を備えた走査
型X線顕微鏡は、X線源を点光源とし、かつ、試料ホル
ダーとX線検出系との間に、試料からのX線を集光する
X線集光光学系と、ピンホールまたはスリットを設ける
ことにより共焦点光学系を形成し走査型共焦点X線顕微
鏡としたので、生体試料の鮮明な高解像度観察が可能で
ある。
【0032】本発明にかかる走査型共焦点X線顕微鏡が
前述した従来の共焦点顕微鏡やX線顕微鏡が有する問題
点を克服して、生体試料の鮮明な高解像度観察を可能に
した理由を以下に説明する。例えば図1に示すように、
走査型X線顕微鏡において、X線源を点光源とし(例え
ば、レーザープラズマX線源21の発光点の大きさを点と
みなせる程度まで小さくし)、かつ、生体試料4 を収納
した試料容器(試料ホルダーの一例)23とX線検出器
(X線検出系の一例)31の間に、X線集光光学系35と、
ピンホール6 またはスリットを設けることによりX線領
域における共焦点光学系が形成される。
【0033】前述したように共焦点の光学系にすると、
撮像に関係する実効的な点像分布関数は、試料上にマイ
クロビームを形成するX線対物光学系の点像分布関数
と、試料を透過したX線を集光して、検出器面上に投影
するX線集光光学系の点像分布関数との積で表される。
ところで、図1の走査型共焦点X線顕微鏡は、集光光学
系35としてWolter型の斜入射光学系を使用している。前
述したように、Wolter型のような斜入射光学系の結像特
性は一般的に薄い輪帯開口を持つため、スポットの形状
は輪帯開口の回折パターンとなる。
【0034】図10に示したように、輪帯開口の回折パ
ターンの特徴は円形開口の回折パターンに比べて中心の
スポット径が若干細くなり分解能が向上するが、中心の
スポットの回りにある回折光の強度が増してコントラス
トが低くなる。このような結像性能は、コントラストの
低い生物などの像を撮像する場合には、非常に問題とな
る。
【0035】しかしながら、本発明にかかる走査型共焦
点X線顕微鏡のように、斜入射光学系を共焦点配置の
(共焦点光学系を構成する)集光光学系35に用いた場合
は、対物光学系34の輪帯開口の回折パターンとの掛け合
わせた結像特性となる。そのため、対物光学系と集光光
学系(斜入射光学系)が同じN.A.を持つなら、中心のス
ポット形状はより狭くなり、しかも中心のスポット光回
りの回折光は抑制されるので、分解能が向上してコント
ラストの劣化が最小限になる。
【0036】その結果、生物などのコントラストが弱い
ものでも、コントラストを劣化させずに高分解能で観察
するのに適した光学系となる。従って、本発明にかかる
走査型共焦点X線顕微鏡によれば、生体試料の鮮明な高
解像度観察が可能である。本発明にかかる点光源である
X線源は、レーザープラズマX線源により、或いはX線
の非点光源にピンホールを組み合わせたX線源により構
成される(請求項2)。
【0037】なお、レーザープラズマX線源は、高出力
レーザーをターゲット(標的部材)上に集光してレーザ
ーエネルギーを微小領域に集中させることによりプラズ
マを発生させ、そのプラズマから発生する強力なX線を
X線源として用いている。プラズマからのX線は非常に
強力であり、様々な用途に応用されている。しかしなが
ら、強力なX線を得るためには、レーザービームを非常
に小さく集光しなければならないので、光源が非常に小
さくなる。
【0038】従って、本発明にかかる走査型共焦点X線
顕微鏡にレーザープラズマX線源を用いれば、元々X線
源の発光点の大きさが小さいので発光点の大きさを点と
みなせる程度(回折限界の大きさ以下)までさらに小さ
くして光源側のピンホールを省略できるので好ましく、
またX線の利用効率が高くなるので好ましい。しかも、
発光点の大きさを点とみなせる程度(回折限界の大きさ
以下)まで小さくすると、プラズマを励起するレーザー
のエネルギーがより集中されるので、励起レーザーも小
規模なもので済み、レーザープラズマX線源を小型化で
きるので非常に都合がよい。
【0039】さらに、レーザープラズマX線源における
X線の発生は、プラズマを励起するレーザーにより制御
できるので、試料を収納した試料容器の走査との同期を
取りやすいと言う利点もある。本発明にかかるX線集光
光学系に斜入射反射鏡を用いるとX線の利用効率がよい
ので好ましく、しかも前述したように、斜入射光学系を
共焦点配置の(共焦点光学系を構成する)集光光学系と
して同じN.A.を持つ対物光学系と組み合わせることによ
り、図2(c )の特性図に示すように分解能が向上して
コントラストの劣化が最小限になるので好ましい。
【0040】即ち、生物などのコントラストが弱いもの
でも、コントラストを劣化させずに高分解能で観察する
のに適した光学系を容易に形成できるので好ましい(請
求項3)。以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。
【0041】
【実施例】
<実施例1>図1は、本実施例の走査型共焦点X線顕微
鏡の構成を示す概略構成図である。本実施例の走査型共
焦点X線顕微鏡においては、高出力の励起レーザー40か
ら発する励起レーザー光をレーザー集光レンズ41により
金属ターゲット42上に集光してプラズマを形成し、この
プラズマから発生するX線を利用して、X線対物光学系
34により生体試料4上にX線マイクロビームを形成す
る。
【0042】本実施例では図に示すとおり、X線源には
レーザープラズマX線源21を用い、X線対物光学系34に
は、高い効率を示す斜入射反射型X線ミラーを用いてい
る。X線対物光学系34は、N.A.0.18の100 倍の光学系を
縮小側に用いているので、X線源側のN.A.は0.0018であ
り、使用するX線波長を3nm とすると、X線源側の回折
限界は約1.0 μmとなる。
【0043】従って、本実施例では励起レーザー40に波
長532nm のYAG レーザーの2倍高調波を利用し、レーザ
ー集光レンズ41のN.A.を0.5 程度にしているので、レー
ザーのスポットサイズは0.65μmとなり、レーザープラ
ズマX線源が十分点光源とみなせる。即ち、共焦点光学
系にするために改めてピンホールなどを挿入する必要が
なく、しかもX線を無駄にしなくても済む。
【0044】生体試料4 を収納した試料容器(試料ホル
ダーの一例)23は、走査X線像を得るために走査駆動ス
テージ(走査駆動系の一例)32の上に設置されており、
レーザープラズマX線源の励起レーザー40と同期して走
査される。本実施例では、励起用レーザー40としてQス
イッチYAG レーザーのようなパルスレーザーで高出力の
ものを用いているが、出力がパルス状であるためX線も
パルス状に発生する。従って、励起レーザーが発振して
いないときに走査駆動ステージ32を動作させる。
【0045】具体的には予め、1画素に対してパルスX
線を何発照射して1画素のデータを取得するかを画像の
コントラスト、フォトンノイズなどを考慮して決めてお
き、規定したパルス数のX線が照射された直後、次のパ
ルスX線が試料に照射される前に試料を次の画素まで移
動させて次の画素のデータを取得する。これらの制御は
制御装置33が行う。
【0046】生体試料4 を通過したX線は、同様に斜入
射反射型X線ミラーを用いたX線集光光学系35により拡
大されてピンホール6 上に投影され、検出器(X線検出
系の一例)31により検出される。本実施例では、X線集
光光学系に用いる斜入射鏡にX線対物光学系と同じもの
を用いているので、検出器側の回折限界は同様に1.0 μ
mであり、そのため0.5〜1 μm程度のピンホール6 を
用いている。
【0047】次に、本実施例の走査型共焦点X線顕微鏡
にかかる結像特性であるが、上述のように、X線対物光
学系とX線集光光学系に同じ斜入射鏡を用いている。そ
のX線対物光学系単体の結像特性は、図2(a) に示した
ようなものになる。尚、ここで用いている斜入射鏡は、
N.A.0.18で輪帯開口の遮蔽率(内側の遮蔽されているN.
A./ 外側のN.A.)は0.75、使用波長は3nm の場合であ
る。
【0048】X線集光光学系は、X線対物光学系と同一
のものを使用しているので、X線集光光学系の集光特性
は図2(b) に示したように、X線対物光学系の結像特性
と同じである。そのため、本実施例における共焦点X線
光学系の実効的な点像分布関数は、図2(c) のようにな
り、共焦点でない通常の走査型に比べてピークが細くな
るので、さらに分解能が向上し、しかも周辺光が低減さ
れてコントラストが向上している。
【0049】従って、本実施例の走査型共焦点X線顕微
鏡によれば、生体試料の鮮明な高解像度観察が可能であ
る。 <実施例2>図3は、本実施例の走査型共焦点X線顕微
鏡の構成を示す概略構成図である。本実施例の走査型共
焦点X線顕微鏡は、実施例1のX線対物光学系に多層膜
反射鏡を用いたものである。
【0050】一般的に、レーザープラズマX線源は、幾
つかの波長のX線を発生させるが、分析などに応用する
場合は、単色の方が良い場合もある。従って、X線対物
光学系に多層膜反射鏡を用いると、X線対物光学系によ
って集光されるX線は単色になり、例えば、吸収端を利
用した特定波長の吸収マッピングなどに応用する事がで
きる。
【0051】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の走査型共焦
点X線顕微鏡によれば、生体試料の鮮明な高解像度観察
が可能である。即ち、本発明の走査型共焦点X線顕微鏡
によれば、通常の共焦点顕微鏡を超える分解能が得ら
れ、X線顕微鏡で用いられるX線光学系の分解能及びコ
ントラストを向上させて、結像特性を改善することがで
きるので、生物などのコントラストの低い細かい構造を
観察することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1の走査型共焦点X線顕微鏡の構成
を示す概略構成図である。
【図2】は、実施例1の走査型共焦点X線顕微鏡にかか
る結像特性を示す説明図である。
【図3】は、実施例2の走査型共焦点X線顕微鏡の構成
を示す概略構成図である。
【図4】は、共焦点顕微鏡の概念図である。
【図5】は、共焦点顕微鏡の結像特性を示す説明図であ
る。
【図6】は、X線の物質による吸収を示す特性図であ
る。
【図7】は、結像型X線顕微鏡の概略構成図である。
【図8】は、走査型X線顕微鏡の概略構成図である。
【図9】は、X線光学素子の種類を説明する概念図であ
る。
【図10】は、輪帯開口の結像特性を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1 光源 2,6 ピンホール 3 対物光学系 4 試料(生体試料) 5 集光光学系 7 検出器 8 レーザー 9 ハーフミラー 10 走査光学系 21 X線発生器(レーザープラズマX線源) 22 X線照明光学系 23 試料容器(試料ホルダーの一例) 24 X線拡大光学系 25 X線撮像装置 26 真空容器 27 排気装置 28 モニター画面 30 X線対物光学系 31 X線検出器(X線検出系の一例) 32 走査駆動ステージ(走査駆動系の一例) 33 制御装置 34 斜入射型X線対物光学系 35 斜入射型X線集光光学系 36 多層膜反射鏡X線対物光学系 40 高出力レーザー 41 レーザー集光レンズ 42 ターゲット(標的部材) 以上

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、X線源、該X線源からのX
    線を試料ホルダーに保持された試料に照射するX線対物
    光学系、試料を保持する試料ホルダー、該試料ホルダー
    を走査させる走査駆動系、及び前記試料からのX線を検
    出するX線検出系を備えた走査型X線顕微鏡において、 前記X線源を点光源とし、かつ、前記試料ホルダーと前
    記X線検出系との間に、前記試料からのX線を集光する
    X線集光光学系と、ピンホールまたはスリットを設けて
    共焦点光学系を形成したことを特徴とする走査型共焦点
    X線顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記点光源であるX線源は、レーザープ
    ラズマX線源であるか、或いはX線の非点光源にピンホ
    ールを組み合わせたX線源であることを特徴とする請求
    項1記載の走査型共焦点X線顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記X線集光光学系に斜入射反射鏡を用
    いたことを特徴とする請求項1または2記載の走査型共
    焦点X線顕微鏡。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020084786A (ko) * 2001-05-04 2002-11-11 이재웅 선형 선 스캐닝을 이용하는 공초점 영상 형성 장치 및 방법
JP2008180731A (ja) * 2008-03-31 2008-08-07 Muradin Abubekirovich Kumakhov X線顕微鏡

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