JPH1018024A - 被覆硬質部材 - Google Patents
被覆硬質部材Info
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- JPH1018024A JPH1018024A JP17609896A JP17609896A JPH1018024A JP H1018024 A JPH1018024 A JP H1018024A JP 17609896 A JP17609896 A JP 17609896A JP 17609896 A JP17609896 A JP 17609896A JP H1018024 A JPH1018024 A JP H1018024A
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- Japan
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- layer coating
- coating
- film
- intermediate layer
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 基体との密着性に優れ、耐摩耗性、耐欠損性
に優れた被覆硬質部材を提供する。 【解決手段】 基体の表面に(TiaMbZrc)CxN
1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1
種の元素であり、それぞれのモル比率が、0.3≦a≦
0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦c≦0.4,
0≦X≦1からなる厚さ0.1〜3.0μmの中間層被
膜を介して、(TiaMb)CxN1-xで表した場合、Mが
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、それぞ
れのモル比率が、0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦
0.7,0≦X≦1からなる被膜を硬質層被膜として
0.1〜10μmの厚さで形成することを特徴とする被
覆硬質部材である。
に優れた被覆硬質部材を提供する。 【解決手段】 基体の表面に(TiaMbZrc)CxN
1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1
種の元素であり、それぞれのモル比率が、0.3≦a≦
0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦c≦0.4,
0≦X≦1からなる厚さ0.1〜3.0μmの中間層被
膜を介して、(TiaMb)CxN1-xで表した場合、Mが
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、それぞ
れのモル比率が、0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦
0.7,0≦X≦1からなる被膜を硬質層被膜として
0.1〜10μmの厚さで形成することを特徴とする被
覆硬質部材である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性、耐欠損
性に優れた切削工具、耐摩工具として用いられる被覆硬
質部材に関する。
性に優れた切削工具、耐摩工具として用いられる被覆硬
質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、切削工具ないし耐摩工具の耐摩耗
性、耐欠損性を改善するために物理蒸着法(以下、PV
D法と称する。)、ないし化学蒸着法(以下、CVD法
と称する。)により、炭化タングステン基超硬合金、炭
窒化チタン基サーメット、および高速度鋼等の基体にT
iN、Ti(C,N)、CrN等の周期律表IVa,Va,VIa
族の炭化物、窒化物、炭窒化物の硬質層被膜を基体上に
被覆した被覆工具が多く用いられている。特にPVD法
で作製されたものは成膜温度が500℃と低いために被
膜と母材との反応が殆どなく、母材強度を活かすことが
できる。そのためミリング用スローアウエイチップ、エ
ンドミル等に多く用いられている。
性、耐欠損性を改善するために物理蒸着法(以下、PV
D法と称する。)、ないし化学蒸着法(以下、CVD法
と称する。)により、炭化タングステン基超硬合金、炭
窒化チタン基サーメット、および高速度鋼等の基体にT
iN、Ti(C,N)、CrN等の周期律表IVa,Va,VIa
族の炭化物、窒化物、炭窒化物の硬質層被膜を基体上に
被覆した被覆工具が多く用いられている。特にPVD法
で作製されたものは成膜温度が500℃と低いために被
膜と母材との反応が殆どなく、母材強度を活かすことが
できる。そのためミリング用スローアウエイチップ、エ
ンドミル等に多く用いられている。
【0003】しかしながら、最近では切削速度の高速度
化や高硬度材の切削が必要となっていることから、前記
Ti系の炭化物、窒化物、炭窒化物では耐酸化性が劣る
ため刃先が高温になる切削条件では被膜の劣下が激し
く、被膜からの粒子の脱落、ヒートクラック、チッピン
グ等が発生して切削寿命が短くなるという問題があっ
た。そこで、当初は抵抗の温度依存性などを生かした温
度センサーなどのデバイス用に開発された(Ti,A
l)N膜が着目されるようになった。この被膜は高温で
の耐酸化性が前記硬質層被膜よりも優れており刃先が高
温になる高速切削領域でも優れた性能を発揮し、さらに
ビッカース硬度も2300〜3000と高く耐摩耗性に
も優れている。そのため、切削工具への検討も多く行わ
れるようになっている。
化や高硬度材の切削が必要となっていることから、前記
Ti系の炭化物、窒化物、炭窒化物では耐酸化性が劣る
ため刃先が高温になる切削条件では被膜の劣下が激し
く、被膜からの粒子の脱落、ヒートクラック、チッピン
グ等が発生して切削寿命が短くなるという問題があっ
た。そこで、当初は抵抗の温度依存性などを生かした温
度センサーなどのデバイス用に開発された(Ti,A
l)N膜が着目されるようになった。この被膜は高温で
の耐酸化性が前記硬質層被膜よりも優れており刃先が高
温になる高速切削領域でも優れた性能を発揮し、さらに
ビッカース硬度も2300〜3000と高く耐摩耗性に
も優れている。そのため、切削工具への検討も多く行わ
れるようになっている。
【0004】基体と硬質層被膜との間に中間層被膜を形
成したり積層方向にある特定元素の添加量を増加もしく
は減少させることにより添加量を傾斜させて、基体との
馴染みを良くすることにより、基体と硬質層被膜との密
着性を高めたり内部応力を低減することができることが
知られている。例えば特開平6−32223号公報に
は、基体と元素周期律表IVa,IIIb族元素およびNからな
る窒化化合物の被膜の間に両者の構成元素からなる混合
層を形成したことを特徴とした膜被着物について記載さ
れている。また特開平6−17228号公報には、基体
表面にTiとAl,Hf,Zrのうち1元素から選ばれ
る2元系の窒化物を形成し、さらに表面に向かうにつれ
炭素量を増やしていき被膜表面が前記2元系の炭窒化物
を形成することを特徴とした傾斜硬質被覆超硬合金につ
いて記載されている。
成したり積層方向にある特定元素の添加量を増加もしく
は減少させることにより添加量を傾斜させて、基体との
馴染みを良くすることにより、基体と硬質層被膜との密
着性を高めたり内部応力を低減することができることが
知られている。例えば特開平6−32223号公報に
は、基体と元素周期律表IVa,IIIb族元素およびNからな
る窒化化合物の被膜の間に両者の構成元素からなる混合
層を形成したことを特徴とした膜被着物について記載さ
れている。また特開平6−17228号公報には、基体
表面にTiとAl,Hf,Zrのうち1元素から選ばれ
る2元系の窒化物を形成し、さらに表面に向かうにつれ
炭素量を増やしていき被膜表面が前記2元系の炭窒化物
を形成することを特徴とした傾斜硬質被覆超硬合金につ
いて記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記硬
質層被膜として(Ti,Al)N膜を基体上に形成した
場合、従来の上記の各種の方法を用いても基体との馴染
みが悪いため基体との密着性が低く、さらに内部応力も
高いという問題があった。本発明は、前記問題点を解決
したものであり、表面硬質層被膜の(Ti,Al)N
膜,さらには(Ti,Al)C膜,(Ti,Al)CN
膜との密着性に優れ、基体との密着性にも優れた中間層
被膜を形成することにより、耐摩耗性、耐欠損性に優れ
た被覆硬質部材を提供することを目的とする。
質層被膜として(Ti,Al)N膜を基体上に形成した
場合、従来の上記の各種の方法を用いても基体との馴染
みが悪いため基体との密着性が低く、さらに内部応力も
高いという問題があった。本発明は、前記問題点を解決
したものであり、表面硬質層被膜の(Ti,Al)N
膜,さらには(Ti,Al)C膜,(Ti,Al)CN
膜との密着性に優れ、基体との密着性にも優れた中間層
被膜を形成することにより、耐摩耗性、耐欠損性に優れ
た被覆硬質部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目標を
達成するために基体と硬質層被膜である(Ti,Al)
N膜との密着性を高めるための方法をいろいろと検討し
た結果、基体の表面にTi、Zrを含む3元系ないし4
元系の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる中間層被膜を
形成することによって基体と中間層被膜、中間層被膜と
硬質層被膜との密着性が高くなり耐摩耗性が向上すると
いう知見を得た。さらに前記中間層被膜は、(Ti,A
l)C,(Ti,Al)CN硬質層被膜との密着性にも
優れていることを見い出した。すなわち、本発明はPV
DまたはCVD法によって、基体の表面に(TiaMbZ
rc)CxN1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素であり、それぞれのモル比率が、
0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦
c≦0.4,0≦X≦1からなる厚さ0.1〜3.0μ
mの炭化物、窒化物または炭窒化物からなる中間層被膜
を介して、(TiaMb)CxN1-xで表した場合、MがH
f、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる
群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、それぞれ
のモル比率が、0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.
7,0≦X≦1からなる炭化物、窒化物または炭窒化物
からなる被膜を硬質層被膜として0.1〜10μmの厚
さで形成することを特徴とする被覆硬質部材である。さ
らに、前記中間層被膜が基体の表面側から前記硬質層被
膜に向かいZr添加量を漸次減少させた被覆硬質部材で
ある。
達成するために基体と硬質層被膜である(Ti,Al)
N膜との密着性を高めるための方法をいろいろと検討し
た結果、基体の表面にTi、Zrを含む3元系ないし4
元系の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる中間層被膜を
形成することによって基体と中間層被膜、中間層被膜と
硬質層被膜との密着性が高くなり耐摩耗性が向上すると
いう知見を得た。さらに前記中間層被膜は、(Ti,A
l)C,(Ti,Al)CN硬質層被膜との密着性にも
優れていることを見い出した。すなわち、本発明はPV
DまたはCVD法によって、基体の表面に(TiaMbZ
rc)CxN1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素であり、それぞれのモル比率が、
0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦
c≦0.4,0≦X≦1からなる厚さ0.1〜3.0μ
mの炭化物、窒化物または炭窒化物からなる中間層被膜
を介して、(TiaMb)CxN1-xで表した場合、MがH
f、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる
群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、それぞれ
のモル比率が、0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.
7,0≦X≦1からなる炭化物、窒化物または炭窒化物
からなる被膜を硬質層被膜として0.1〜10μmの厚
さで形成することを特徴とする被覆硬質部材である。さ
らに、前記中間層被膜が基体の表面側から前記硬質層被
膜に向かいZr添加量を漸次減少させた被覆硬質部材で
ある。
【0007】本願発明の硬質被膜は、特にZrを含んだ
中間層被膜を有しているので、炭化タングステン基超硬
合金、炭窒化チタン基サーメット、および高速度鋼等の
基体との密着性に優れており、内部応力の発生も少な
い。さらに表面部はZrを含んでいないので耐酸化性に
優れた硬質層被膜を形成することが出来る。さらに基体
側よりZr添加量を硬質層被膜に向かって漸次減少させ
た中間層被膜を有する場合には、Zrの添加量が穏やか
に減少するので、中間層被膜と硬質層被膜の間の密着性
がさらに優れており、また内部応力の発生もさらに少な
い。
中間層被膜を有しているので、炭化タングステン基超硬
合金、炭窒化チタン基サーメット、および高速度鋼等の
基体との密着性に優れており、内部応力の発生も少な
い。さらに表面部はZrを含んでいないので耐酸化性に
優れた硬質層被膜を形成することが出来る。さらに基体
側よりZr添加量を硬質層被膜に向かって漸次減少させ
た中間層被膜を有する場合には、Zrの添加量が穏やか
に減少するので、中間層被膜と硬質層被膜の間の密着性
がさらに優れており、また内部応力の発生もさらに少な
い。
【0008】中間層被膜の組成は(TiaMbZrc)Cx
N1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少なくと
も1種の元素であり、それぞれの比率がモル比率で、
0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦
c≦0.4,0≦X≦1からなる膜とする。Tiのモル
比率の限定理由は0.3未満では下地膜として十分な密
着性が得られないからであり、0.8を越えると靱性が
低下して膜が脆くなるからである。またHf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選ば
れた少なくとも1種の元素であるMのモル比率の限定理
由は0.2未満では靱性が低下して膜が脆くなるからで
あり、0.7を越えると耐酸化性が低下するからであ
る。Zr添加量の範囲を0.01〜0.4としたのは、
0.4を超えると被膜自体が脆くなったり耐酸化性が著
しく低下するからであり、0.01より少ないと密着性
が低下するからである。また中間層被膜の厚さを0.1
〜3.0μmと限定したのは、0.1μm未満では膜が
薄すぎて所望の密着性が得られず、3.0μmを超える
と被膜自体が脆くなるからである。
N1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少なくと
も1種の元素であり、それぞれの比率がモル比率で、
0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦
c≦0.4,0≦X≦1からなる膜とする。Tiのモル
比率の限定理由は0.3未満では下地膜として十分な密
着性が得られないからであり、0.8を越えると靱性が
低下して膜が脆くなるからである。またHf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選ば
れた少なくとも1種の元素であるMのモル比率の限定理
由は0.2未満では靱性が低下して膜が脆くなるからで
あり、0.7を越えると耐酸化性が低下するからであ
る。Zr添加量の範囲を0.01〜0.4としたのは、
0.4を超えると被膜自体が脆くなったり耐酸化性が著
しく低下するからであり、0.01より少ないと密着性
が低下するからである。また中間層被膜の厚さを0.1
〜3.0μmと限定したのは、0.1μm未満では膜が
薄すぎて所望の密着性が得られず、3.0μmを超える
と被膜自体が脆くなるからである。
【0009】さらに硬質層被膜が(TiaMb)CxN1-x
で表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、W及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素であり、それぞれのモル比率で、0.3≦a≦
0.8,0.2≦b≦0.7,0≦X≦1からなる膜と
する。Tiのモル比率の限定理由は0.3未満では硬度
が低く磨耗が進み易いからであり、0.8を越えると耐
酸化性が低下して切削寿命が短くなるからである。また
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であるMのモル
比率の限定理由は0.2未満では靱性が低下して膜が脆
くなるからであり、0.7を越えると耐酸化性が低下す
るからである。また表面層の厚さを0.1〜10μmと
限定したのは、0.1μm未満では膜が薄すぎて所望の
耐酸化性、耐摩耗性が得られず、10μmを超えると密
着性が低下したり、残留応力が大きくなりすぎて膜が剥
離し易くなるからである。
で表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、W及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素であり、それぞれのモル比率で、0.3≦a≦
0.8,0.2≦b≦0.7,0≦X≦1からなる膜と
する。Tiのモル比率の限定理由は0.3未満では硬度
が低く磨耗が進み易いからであり、0.8を越えると耐
酸化性が低下して切削寿命が短くなるからである。また
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であるMのモル
比率の限定理由は0.2未満では靱性が低下して膜が脆
くなるからであり、0.7を越えると耐酸化性が低下す
るからである。また表面層の厚さを0.1〜10μmと
限定したのは、0.1μm未満では膜が薄すぎて所望の
耐酸化性、耐摩耗性が得られず、10μmを超えると密
着性が低下したり、残留応力が大きくなりすぎて膜が剥
離し易くなるからである。
【0010】また本発明の被膜のC,N混合比の異なる
被膜を重ねて多層構造としたり、C,N比を連続的に変
化させ傾斜組成被膜とすることも耐摩耗性を得るのに有
効であり本発明の技術範囲に含まれる。さらにまた本発
明は被膜を形成する基体を限定するものではなく、WC
超硬合金やサーメット、ハイス、或いは耐摩合金等用途
に応じて適宜選択すれば良い。
被膜を重ねて多層構造としたり、C,N比を連続的に変
化させ傾斜組成被膜とすることも耐摩耗性を得るのに有
効であり本発明の技術範囲に含まれる。さらにまた本発
明は被膜を形成する基体を限定するものではなく、WC
超硬合金やサーメット、ハイス、或いは耐摩合金等用途
に応じて適宜選択すれば良い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明を詳
細に説明する。 (実施例1)84WC−3TiC−1TiN−3TaC
−9vol%Coの組成になるように市販の2.5μm
のWC粉末1.5μmのTiC粉末、同TiN粉末、
1.2μmのTaC粉末およびCo粉末をボールミルに
て96時間混合し乾燥、造粒の後スローアウエイチップ
形状にプレスし、焼結後所定の工具形状に加工し、超硬
工具を得た。この超硬工具上に各種Tiと、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選
ばれる金属との2元系ないし3元系の合金ターゲット、
及びZrの合金ターゲットを用意して、アークイオンプ
レーティング法により表1に示す各種被膜を作成した。
最初に、TiとZrを含む3元系ないし4元系の中間層
被膜を0.5μm作成した。次に、2元系ターゲットの
電流値は一定にし、Zrターゲットの電流値を徐々に下
げていくことによりZr添加量を硬質層被膜に向かい漸
次減少させた中間層被膜を2.0μm作成し、最後にZ
rターゲットの電流値を零にして2元系ないし3元系の
硬質層被膜を0.5μm作成した。表1に各試験片のス
クラッチ試験機による臨界荷重値の評価結果を示す。さ
らに表2にZrを含む中間層被膜を形成しない従来の場
合の同様のスクラッチ試験機による評価結果を示す。
細に説明する。 (実施例1)84WC−3TiC−1TiN−3TaC
−9vol%Coの組成になるように市販の2.5μm
のWC粉末1.5μmのTiC粉末、同TiN粉末、
1.2μmのTaC粉末およびCo粉末をボールミルに
て96時間混合し乾燥、造粒の後スローアウエイチップ
形状にプレスし、焼結後所定の工具形状に加工し、超硬
工具を得た。この超硬工具上に各種Tiと、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからなる群から選
ばれる金属との2元系ないし3元系の合金ターゲット、
及びZrの合金ターゲットを用意して、アークイオンプ
レーティング法により表1に示す各種被膜を作成した。
最初に、TiとZrを含む3元系ないし4元系の中間層
被膜を0.5μm作成した。次に、2元系ターゲットの
電流値は一定にし、Zrターゲットの電流値を徐々に下
げていくことによりZr添加量を硬質層被膜に向かい漸
次減少させた中間層被膜を2.0μm作成し、最後にZ
rターゲットの電流値を零にして2元系ないし3元系の
硬質層被膜を0.5μm作成した。表1に各試験片のス
クラッチ試験機による臨界荷重値の評価結果を示す。さ
らに表2にZrを含む中間層被膜を形成しない従来の場
合の同様のスクラッチ試験機による評価結果を示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】表1、表2より、どの被膜も中間層被膜に
Zrを添加した3元系ないし4元系の膜を形成している
ため、従来例である2元系ないし3元系の単層膜よりも
臨界荷重値が大きくなり密着性が向上していることがわ
かる。
Zrを添加した3元系ないし4元系の膜を形成している
ため、従来例である2元系ないし3元系の単層膜よりも
臨界荷重値が大きくなり密着性が向上していることがわ
かる。
【0015】(実施例2)84WC−3TiC−1Ti
N−3TaC−9vol%Coの組成になるように市販
の2.5μmのWC粉末1.5μmのTiC粉末、同T
iN粉末、1.2μmのTaC粉末およびCo粉末をボ
ールミルにて96時間混合し乾燥、造粒の後スローアウ
エイチップ形状にプレスし、焼結後所定の工具形状に加
工した。この超硬工具上にアークイオンプレーティング
法により各種合金ターゲットを用意し表3、表4に示す
ような被膜を3.0μm形成した。前記と同様に被膜の
構成はそれぞれ中間層被膜:0.5μm、Zr添加量を
硬質層被膜に向かい漸次減少させた中間層被膜:2.0
μm、硬質層被膜:0.5μmとなっている。
N−3TaC−9vol%Coの組成になるように市販
の2.5μmのWC粉末1.5μmのTiC粉末、同T
iN粉末、1.2μmのTaC粉末およびCo粉末をボ
ールミルにて96時間混合し乾燥、造粒の後スローアウ
エイチップ形状にプレスし、焼結後所定の工具形状に加
工した。この超硬工具上にアークイオンプレーティング
法により各種合金ターゲットを用意し表3、表4に示す
ような被膜を3.0μm形成した。前記と同様に被膜の
構成はそれぞれ中間層被膜:0.5μm、Zr添加量を
硬質層被膜に向かい漸次減少させた中間層被膜:2.0
μm、硬質層被膜:0.5μmとなっている。
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】そしてこれらの被覆超硬工具を下記切削条
件によりフライス切削を行い、最大摩耗量が0.2mm
に達するまでの切削長を求めた結果を合わせて表3、4
に示す。 被削材 SKD61(HB:190〜220) 切削速度 250m/min 送り 0.2mm/刃 切り込み 2.0mm 切削油 なし また従来材として各2元系の単層被膜をアークイオンプ
レーティング法により同一形状の超硬工具上に作製し、
評価した結果を表5に示す。さらに中間層被膜のZr添
加量を本発明の範囲外とした比較例を表6に示す。
件によりフライス切削を行い、最大摩耗量が0.2mm
に達するまでの切削長を求めた結果を合わせて表3、4
に示す。 被削材 SKD61(HB:190〜220) 切削速度 250m/min 送り 0.2mm/刃 切り込み 2.0mm 切削油 なし また従来材として各2元系の単層被膜をアークイオンプ
レーティング法により同一形状の超硬工具上に作製し、
評価した結果を表5に示す。さらに中間層被膜のZr添
加量を本発明の範囲外とした比較例を表6に示す。
【0019】
【表5】
【0020】
【表6】
【0021】表3、4、5からわかるように、中間層被
膜にZrを添加した3元系ないし4元系の膜を形成する
ことによって最大摩耗量が0.2mmに達するまでの切
削長も従来材よりも延び、耐摩耗性が向上することがわ
かる。また表6より比較例のように中間層被膜のZr添
加量が0.4を超えると、前記切削長が短くなり耐摩耗
性も低下することから、添加量は0.01〜0.4が良
いことがわかる。
膜にZrを添加した3元系ないし4元系の膜を形成する
ことによって最大摩耗量が0.2mmに達するまでの切
削長も従来材よりも延び、耐摩耗性が向上することがわ
かる。また表6より比較例のように中間層被膜のZr添
加量が0.4を超えると、前記切削長が短くなり耐摩耗
性も低下することから、添加量は0.01〜0.4が良
いことがわかる。
【0022】
【発明の効果】本発明の被覆硬質合金は基体の表面にT
i、ZrとHf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及び
Alからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含
む窒化物、炭化物、炭窒化物を中間層被膜とし、硬質層
被膜にTiとHf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及
びAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素か
らなる窒化物、炭化物、炭窒化物の膜を形成することに
より、基体との密着性を向上させ、耐酸化性、耐摩耗性
に優れ格段に長い寿命が得られるものである。
i、ZrとHf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及び
Alからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含
む窒化物、炭化物、炭窒化物を中間層被膜とし、硬質層
被膜にTiとHf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及
びAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素か
らなる窒化物、炭化物、炭窒化物の膜を形成することに
より、基体との密着性を向上させ、耐酸化性、耐摩耗性
に優れ格段に長い寿命が得られるものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 基体の表面に(TiaMbZrc)CxN
1-xで表した場合、MがHf、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、W及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1
種の元素であり、それぞれのモル比率が、0.3≦a≦
0.8,0.2≦b≦0.7,0.01≦c≦0.4,
0≦X≦1からなる厚さ0.1〜3.0μmの中間層被
膜を介して、(TiaMb)CxN1-xで表した場合、Mが
Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びAlからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、それぞ
れのモル比率が、0.3≦a≦0.8,0.2≦b≦
0.7,0≦X≦1からなる被膜を硬質層被膜として
0.1〜10μmの厚さで形成することを特徴とする被
覆硬質部材。 - 【請求項2】 前記中間層被膜が基体の表面側から前記
硬質層被膜に向かいZr添加量を漸次減少させたことを
特徴とする請求項1に記載の被覆硬質部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17609896A JPH1018024A (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 被覆硬質部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17609896A JPH1018024A (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 被覆硬質部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1018024A true JPH1018024A (ja) | 1998-01-20 |
Family
ID=16007669
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17609896A Pending JPH1018024A (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 被覆硬質部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1018024A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0999290A1 (en) * | 1998-10-27 | 2000-05-10 | Shinko Kobelco Tool Co., Ltd. | Wear-resistant coated member |
US7211138B2 (en) | 2003-02-07 | 2007-05-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Hard film, method of forming the same and target for hard film formation |
EP1992713A2 (en) | 2004-09-30 | 2008-11-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Hard coating excellent in wear resistance and in oxidation resistance and target for forming the same |
US7510608B2 (en) | 2006-01-20 | 2009-03-31 | Kobe Steel Ltd. | Hard coating film |
-
1996
- 1996-07-05 JP JP17609896A patent/JPH1018024A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0999290A1 (en) * | 1998-10-27 | 2000-05-10 | Shinko Kobelco Tool Co., Ltd. | Wear-resistant coated member |
US6296928B1 (en) | 1998-10-27 | 2001-10-02 | Mmc Kobelco Tool Co., Ltd. | Hard coating coated member having excellent wear resistance |
US7211138B2 (en) | 2003-02-07 | 2007-05-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Hard film, method of forming the same and target for hard film formation |
EP1992713A2 (en) | 2004-09-30 | 2008-11-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Hard coating excellent in wear resistance and in oxidation resistance and target for forming the same |
US7521131B2 (en) | 2004-09-30 | 2009-04-21 | Kobe Steel, Ltd. | Hard coating excellent in wear resistance and in oxidation resistance and target for forming the same |
US7601440B2 (en) | 2004-09-30 | 2009-10-13 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Hard coating excellent in wear resistance and in oxidation resistance and target for forming the same |
US7510608B2 (en) | 2006-01-20 | 2009-03-31 | Kobe Steel Ltd. | Hard coating film |
US7592061B1 (en) | 2006-01-20 | 2009-09-22 | Kobe Steel, Ltd. | Hard coating film |
DE102006047414B4 (de) * | 2006-01-20 | 2012-11-29 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Harte Beschichtung und Verfahren zu deren Herstellung |
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