JPH0362731B2 - - Google Patents
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Description
つて、特に車両用タイヤ、コンベアベルト等のゴ
ム工業製品に用いられ、老化後のゴムと金属との
接着性に優れた複合材に関するものである。 (従来の技術) 近年、車両用タイヤやコンベアベルトなどに要
求される性能は多岐にわたつている。特に車両用
タイヤにおいては、ラジアルタイヤが、乗用車用
タイヤからトラツク・バス用大型タイヤに至るま
で主流商品となつており、トレツドゴム配合技術
の発達もあいまつて、タイヤ寿命が著しく向上し
てきている。更に、トラツク・バス用大型タイヤ
は、第1次寿命終了後、トレツド部の更生による
第2次、ときには、第3次までも使用される。従
つて、車両用タイヤのベルト及びカーカスは、こ
の数10万Kmにも及ぶ使用に耐えなければならな
い。 上記のラジアルタイヤは、その操縦安定性能、
構造耐久性能、耐摩耗性能及び耐パンク性能の向
上のため、ベルト又はカーカスにゴム層を被覆し
たスチールコード材が用いられる。 このようなタイヤにおいて、ゴムと金属との接
着性が問題となる。 通常、ゴムと金属材とは、加硫時にゴム中に配
合された硫黄と、金属材のめつき中の銅が反応
し、ゴムと金属材の界面に硫化物を形成すること
により接着されている。タイヤ走行中、ゴム材の
ヒステリシスロスによる発熱のため、この接着が
破壊されたとき、該スチールコードとその被覆ゴ
ム層間が剥離し、いわゆるセパレーシヨンを発生
させ、タイヤの走行が不能となる。 又、タイヤのトレツド若しくはサイドウオール
が走行中に外傷を受けることがある。この外傷が
前記スチールコード材まで達した場合、外傷部か
ら侵入した水分が走行中の発熱により気化し、ス
チールコードのフイラメント間に侵入し、スチー
ルコードとその被覆ゴムとの接着を破壊し前記セ
パレーシヨンを誘発する。 さらに、タイヤに充填した空気内に水分が含ま
れている場合、ゴム厚の薄いタイヤ内部から水分
が侵入してスチールコードに至り、前述と同様の
セパレーシヨンを誘発することもある。 従来このような現象を防止するため、ゴムとス
チールコードとの接着性を改善する様々な技術が
公開されている。 その1つは、スチールコードを被覆するゴムの
配合の技術である。 ゴム中に有機酸コバルト塩を添加すると前記接
着性が向上することは、1950年代より見出され、
その量・種類について多くの研究がなされてい
る。例えば、特開昭60−42440号公報には、硫黄
と有機酸コバルト塩の各々の量の最適化による接
着性の向上が開示されている。さらにホワイトカ
ーボン、レゾルシン、ヘキサメチレンテトラアミ
ンを配合するHRH系組成物が提唱されている。 しかしながら、有機酸コバルト塩を多量に添加
すると未加硫ゴムを劣化や高温加硫、長時間加硫
或いは走行後の熱老化による接着力の低下を引き
起こし、HRH系ゴム組成物は、環境汚染、ゴム
焼け等生産時の問題を有する。 また、金属材のめつきの改良に関する技術があ
る。 特公昭51−8389号公報、特開昭55−105548号公
報にはニツケルを含有するめつき層が開示され、
さらに、三種乃至四種の金属を含有する合金めつ
きが、特開昭55−45884号公報、特開昭55−71887
号公報、特開昭55−105548号公報、特開昭56−
826045号公報、特開昭54−89940号公報、特開昭
61−243194公報及び特開昭61−72545号公報等に
開示されている。 (発明が解決しようとする課題) 本発明は、熱老化後の接着性及び湿熱老化後の
接着性(以下「耐熱性」及び「耐湿熱性」とい
う)を、他の問題、特に、生産時の問題を引き起
こすことなく従来のものよりさらに向上させたゴ
ムトレツド金属材とからなる複合材を提供するこ
とを目的とし、改良されためつき層を有する金属
材と、該金属材に適切な配合内容を有するゴムと
の組合せにより、この目的を達成するものであ
る。 (課題を解決するための手段) 本発明は、ゴム100重量部に対し、有機酸コバ
ルト塩0.5重量部以下と硫黄3〜6重量部と加硫
促進剤としてN−オキシジエチレン−2−ベンゾ
チアゾリルスルフエンアミドまたはN−tert−ブ
チル−2−ベンゾチアゾリルスルフエンアミドを
含有するゴム組成物と、銅・亜鉛・ニツケルから
なる三元合金めつきを施した金属材とからなる複
合材料である。 ここで有機酸コバルト塩としては、ナフテン酸
コバルト、オレイン酸コバルト、マレイン酸コバ
ルト又はステアリン酸コバルト等が適用される
が、特に、コバルト含有量が8〜10%のものが初
期接着性の点で好ましい。 また、金属材の形状は、複合材料が適用される
工業製品によつて自由に選択することができる
が、前述のコンベアベルトまたは車両用タイヤに
本発明の複合材料を適用する場合は、金属コー
ド、特に、スチールコードとして用いられる。 (作用) 有機酸コバルト塩はゴム100重量部に対し、従
来は、0.5重量部を越えないと初期接着性が劣る
とされてきた。しかし、本発明は、加硫促進材と
してN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリ
ルスルフエンアミドまたはN−tert−ブチル−2
−ベンゾチアゾリルスルフエンアミドを加え、
銅・亜鉛・ニツケルからなる三元合金めつきを施
した金属材と組み合わせることにより、有機酸コ
バルト塩含有量が0.5重量部以下の場合、さらに、
有機酸コバルト塩含有量が0、即ち、有機酸コバ
ルト塩を全く含まない場合においても充分な接着
力が生じさせるものである。したがつて、多量の
有機酸コバルト塩を原因とする生産時の問題及び
加硫後の老化を防止することができる。 ここで、本発明に係るゴム組成物の硫黄含有量
が3重量部未満の場合、充分な初期接着力が得ら
れず、6重量部をこえると前記耐熱性が低下す
る。 また、前記加硫促進剤は、0.5〜2重量部の範
囲にあることが望ましい。0.5重量部より少ない
と加硫が遅くなりやすく、接着が低下する場合が
ある。また、2重量部より多いとゴムのモジユラ
スが高くなりすぎて、接着やゴム自身の破壊強度
に悪影響を及ぼすことがある。 次に、本発明で使用される金属材のめつきとし
ては、銅・亜鉛・ニツケルからなる三元合金めつ
きを要求とする。このめつきの組成としては、銅
60〜75重量%、ニツケル4〜10重量%、残りを亜
鉛とするめつき合金が好適に用いられる。銅含有
率が60重量%未満では初期接着力が劣り、75重量
%を越えるとニツケル/亜鉛含有量が少なくな
り、耐熱性・耐湿熱性が不足する。ニツケルは多
くの量を必要とせず、4重量%以上あれば充分で
あるが、10重量%を越えると接着反応を阻害し必
要な初期接着力が得られにくくなる。 (実施例) 第1表に示す基本ゴム配合で、硫黄及びステア
リン酸コバルトを変量し、第2表に基づいて加硫
促進剤を変更、変量したゴムを作成した。
るゴム配合である。 次に1×5/0.25のスチールコードに第3表を
示す組成のめつきを施したものを作成した。
コードを各々数種類を組合わせて一定条件で加硫
し、第4表に示す条件下で老化させた後、ゴムを
コードから機械的に剥離させたときの剥離力を測
定し、また、そのときのコード表面のゴム付状態
を目視による10点法で評価した。その結果を第5
表(1)(2)及び第6表(1)(2)に示す。数値が大きい方が
良好な結果を表す。
は耐湿熱性、条件(ニ)は耐熱性の測定条件を表す。
〜18とスチールコードB〜Hとの組合せが、本発
明による複合材料である。 第5表(1)(2)は、前記目視による剥離状態を10点
法で表したものであり、数値が大きい方が良好な
結果を示す。 第6表(1)(2)は、前記剥離力の測定結果を表わ
す。 本発明による複合材料は全ての条件において良
好な結果を示した。さらに、ゴム配合1〜3、7
〜9、13〜18は、有機酸コバルト塩を用いずに良
好な接着性を有する複合材料を得ることが可能と
なつた。この効果は、特に、スチールコードC〜
Fと組み合わせることによつて顕著である。 (発明の効果) 本発明により、ゴムと金属材との接着を、初期
及び熱老化後、湿熱老化後にわたつて向上させ、
さらに、環境汚染、ゴム焼け等の生産時にあける
諸問題を解決することが可能となつた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ゴム100重量部に対し、有機酸コバルト塩0.5
重量部以下と硫黄3〜6重量部と加硫促進剤とし
てN−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリル
スルフエンアミドまたはN−tert−ブチル−2−
ベンゾチアゾリルスルフエンアミドを含有するゴ
ム組成物と、銅・亜鉛・ニツケルからなる三元合
金めつきを施した金属材とからなる複合材料。 2 前記三元合金めつきの組成が、銅60〜75重量
%、ニツケル4〜10重量%、残りを亜鉛とするこ
とを特徴とする請求項1記載の複合材料。 3 前記加硫促進剤が0.5重量部以上2重量部以
下であることを特徴とする請求項1記載の複合材
料。 4 前記有機酸コバルト塩のコバルト含有量が8
〜10%であることを特徴とする請求項1乃至3の
いずれかに記載の複合材料。 5 有機酸コバルト塩を全く含まないことを特徴
とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複合材
料。
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