JPH033958Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、積層燃料電池に関するものである。

〔従来の技術〕

近年、溶融炭酸塩型の積層燃料電池が提案され
ている。この燃料電池は、第１図に示すように、
例えばLi₂CO₃或いはK₂CO₃等の炭酸塩を多孔質
状物質に浸み込ませたマトリツクス方式、或いは
上記炭酸塩を保持材と一緒にプレス成型したペー
スト方式によつて形成された板状のタイル１（電
解質板）を、カソード２とアノード３によつて両
面から挟み、且つ上記アノード３側にH₂ガス等
の燃料５を供給すると共に、前記カソード２側に
CO₂を含んだ空気からなる酸化ガス４を供給する
ことにより、前記カソード２側において １／２O₂＋CO₂＋2e^-→CO² ₃ ^- が、またアノード３側において CO² ₃ ^-＋H₂→CO₂＋H₂O＋2e^- の反応が行われ、炭酸イオンの良導体であるタイ
ル１をカソード２とアノード３で挟んでカソード
２とアノード３との間に発生する電位差により発
電が行われ、前記カソード、タイル、アノードを
集電子板６を介して多層に積層することにより電
圧が高められるようになつている。

前記集電子板６としで全体の構成をコンパクト
にまとめるために、図示するように凹凸７を備え
て前記酸化ガス４と燃料５をカソード２とアノー
ド３に分離して導くようにした仕切板８を設ける
ことが考えられる。

しかし、第１図に示すように、内部マニホルド
（内部分岐）方式によつて酸化ガス４と燃料５と
を、各層のタイル１及び仕切板８を通過させてカ
ソード２側とアノード３側の夫々に分離して導
き、又導出する際、そのシール性を厳しく保持す
る必要がある。即ちH₂とO₂が共存し、且つ高い
反応温度条件（600〜700℃に制御されている）に
あるために、その混合によつて爆発する危険性が
あり、シール性が非常に重要となる。また同時
に、構成が簡単で組立が容易にでき、安価に実施
できると共に、酸化ガス４及び燃料５がカソード
２及びアノード３の平面に対して良好な広がりを
持つて分配されることが効率向上の面から要求さ
れる。

〔考案の目的〕

本考案は、上記要望に鑑み、カソード及びアノ
ードに対して酸化ガス及び燃料を分離して供給
し、又導出するに際し、簡単な構成によつて、高
信頼度のシール性と良好な流量分配性を確保する
ことを目的とする。

〔考案の構成〕

本考案は、くり抜き部にカソードを収容したカ
ソード側スペーサと、くり抜き部にアノードを収
容したアノード側スペーサによつて両面を挾むよ
うにしたタイル（電解質板）を、仕切板を介して
複数積層して矩形の積層体を構成し、且つ該積層
体の平行な２辺の一側に前記積層体を貫通する方
向に酸化ガス供給流路と燃料供給流路を備え、他
側に酸化ガス排出流路と燃料排出流路を備えて前
記カソードへの酸化ガスの給排とアノードへの燃
料の給排を分離して行うようにした積層燃料電池
において、前記カソード側スペーサに、前記酸化
ガス供給流路と酸化ガス排出流路を前記くり抜き
部に連通するオリフイス及び傾斜切欠部を形成
し、又前記アノード側スペーサに、前記燃料供給
流路と燃料排出流路を前記くり抜き部に連通する
オリフイス及び傾斜切欠部を形成し、且つ前記カ
ソード側スペーサと仕切板とアノード側スペーサ
とを予め一体に構成したことを特徴とする積層燃
料電池に係るものである。

〔実施例〕

以下図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

第２図は本考案の一例を示すもので、カソード
２を収容するカソード側スペーサ１０とアノード
３を収容するアノード側スペーサ９によつて凹凸
７を有する仕切板８を挟んで、該仕切板８と各ス
ペーサ９，１０とをロウ付け等にて予め一体に構
成することにより集電子板１１とし、該集電子板
１１介してタイル１を多数積層し、平面矩形形状
の積層体を構成する。

また、前記タイル１、集電子板１１にはカソー
ド２側に酸化ガス４を供給する複数の酸化ガス供
給流路１２を一側に、また複数の酸化ガス排出流
路１３を他側に設け、同様にして複数の燃料供給
流路１４と燃料排出流路１５を、前記酸化ガス供
給流路１２及び酸化ガス排出流路１３に対して１
つ置きになるような位置に設ける。図中１６は酸
化ガス入口、１７は酸化ガス出口、１８は燃料入
口、１９は燃料出口を示す。

第３図は更に詳細を示すもので、カソード側ス
ペーサ１０は、カソード２をその内側に位置させ
るようにしたくり抜き部２０を中央に有し、且つ
該くり抜き部２０が、第４図に示す如く傾斜切欠
部２１及びオリフイス２２を介して酸化ガス供給
流路１２及び酸化ガス排出流路１３のみに連通さ
れるようになつている。

またアノード側スペーサ９は、アノード３をそ
の内側に位置させるようにしたくり抜き部２３を
中央に有し、且つ該くり抜き部２３が、傾斜切欠
部２４とオリフイス２５を介して燃料供給流路１
４及び燃料排出流路１５のみに連通されるように
なつている。

また、仕切板８は、下面において１２から１３
に向かう酸化ガスの流れ、及び上面において１４
から１５に向かう燃料の流れを形成する流路を保
持するようにした凹凸７を有している。該凹凸７
は第５図Ａ，Ｂに示すように色々な形状とするこ
とができる。

上記したように、仕切板８の下面に、オリフイ
ス２２、傾斜切欠部２１及びくり抜き部２０を介
してカソード２側にのみ連通するようにしたカソ
ード側スペーサ１０を設け、また上面に、オリフ
イス２５、傾斜切欠部２４及びくり抜き部２３を
介してアノード３側のみに連通すようにしたアノ
ード側スペーサ９を設けたことにより、それらを
重ねて接着するのみ、酸化ガス４と燃料５とを完
全に分離したままカソード及びアノードの全面に
分配性良く供給、排出を行うことができる。

また、組立に際しても、上方に順次積重ねるの
みで接着することができるので、組立が容易であ
り、また構成がシンプル且つコンパクトとなり精
度を要求される部分も殆んどないとから、安価に
実施することができる。

尚、本考案は上記実施例にのみ限定されるもの
ではなく、スペーサの形状等は種々変更し得るこ
と、その他本考案の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて種々変更を加え得ること、等は勿論である。

〔考案の効果〕

上述したように本考案の積層燃料電池によれ
ば、次のような優れた効果を奏し得る。

(i) カソード側スペーサ、仕切板及びアノード側
スペーサをロウ付け等によつて一体に構成した
集電子板により、酸化ガス及び燃料のカソード
及びアノードへの給排を完全に分離して高いシ
ール性を確保することができる。

(ii) シール性の向上により装置の安全性の向上が
図れる。

(iii) 積層するのみで簡単に組立てることができ、
シンプル且つコンパクトとなる。

(iv) 構成が簡単で高い精度を要求される個所がな
いので、安価に実施することができる。

(v) カソード側スペーサ、アノード側スペーサに
各給排流路とくり抜き部を連通するオリフイス
及び傾斜切欠部を設けていることにより、酸化
ガス及び燃料のカソード及びアノードに対する
分配性が良好となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は積層燃料電池の原理構成を示す説明
図、第２図は本考案の一実施例を示す縦断面図、
第３図は集電子板を構成するカソード側スペー
サ、仕切板及びアノード側スペーサの詳細を示す
説明図、第４図はカソード側スペーサの一部を示
す拡大平面図、第５図Ａ，Ｂは第３図の仕切板を
Ｖ方向から見た際の凹凸の形状例を示す説明図で
ある。 １はタイル、２はカソード、３はアノード、４
は酸化ガス、５は燃料、７は凹凸、８は仕切板、
９はアノード側スペーサ、１０はカソード側スペ
ーサ、１１は集電子板、１２は酸化ガス供給流
路、１３は酸化ガス排出流路、１４は燃料供給流
路、１５は燃料排出流路、２０，２３はくり抜き
部、２１，２４は傾斜切欠部、２２，２５はオリ
フイスを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. くり抜き部にカソードを収容したカソード側ス
   ペーサと、くり抜き部にアノードを収容したアノ
   ード側スペーサによつて両面を挾むようにしたタ
   イル（電解質板）を、仕切板を介して複数積層し
   て矩形の積層体を構成し、且つ該積層体の平行な
   ２辺の一側に前記積層体を貫通する方向に酸化ガ
   ス供給流路と燃料供給路を備え、他側に酸化ガス
   排出流路と燃料排出流路を備えて前記カソードへ
   の酸化ガスの給排とアノードへの燃料の給排を分
   離して行うようにした積層燃料電池において、前
   記カソード側スペーサに、前記酸化ガス供給流路
   と酸化ガス排出流路を前記くり抜き部に連通する
   オリフイス及び傾斜切欠部を形成し、又前記アノ
   ード側スペーサに、前記燃料供給流路と燃料排出
   流路を前記くり抜き部に連通するオリフイス及び
   傾斜切欠部を形成し、且つ前記カソード側スペー
   サと仕切板とアノード側スペーサとを予め一体に
   構成したことを特徴とする積層燃料電池。