JPH0155052B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、折曲げ加工製品の製造方法および装
置、特に頂部の一側に第１垂下部を、他側に第２
垂下部をそれぞれ有する板金製ワークの前記第２
垂下部の下縁を前記第１垂下部側へ折曲げて鉤形
部を有する製品を得る方法および装置に関する。

(2) 従来の技術 前記ワークを鉤形の折曲げ刃を有する折曲げダ
イに被着し、その折曲げ刃から突出する第２垂下
部の下縁を第１垂下部側へ鉤形に折曲げると、そ
の鉤形部が折曲げ刃を抱込む状態となるので、製
品を折曲げダイ上方へ離型することができなくな
る。また製品を折曲げダイ側へ横移動させて鉤形
部を折曲げ刃から外そうとしても、第１垂下部が
折曲げダイに当接しているため前記横移動も不可
能である。

そこで、従来は折曲げダイを薄く形成して第１
垂下部と折曲げダイとの間に離型用空間を設け、
加工後その空間を利用して製品を折曲げダイ側へ
横移動し鉤形部を折曲げ刃より外すようにしてい
る。

(3) 発明が解決しようとする問題点 しかしながら折曲げダイを薄く形成すると、折
曲げダイ上におけるワークの押え代が少なくなる
のでワークの固定が不安定となり、そのため折曲
げ加工精度が悪くなるといつた問題がある。

本発明はこのような問題を解決し得る前記製造
方法および装置を提供することを目的とする。

Ｂ 発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本発明に係る折曲げ加工製品の製造方法は、前
記鉤形部に対応する鉤形折曲げ刃を有する固定部
と、該固定部に隣接して配設され、折曲げ加工時
に上昇し、また離型時に下降する可動部とを備え
た折曲げダイを用い、前記ワークの前記第１垂下
部を前記可動部側に、また前記第２垂下部を前記
固定部側にそれぞれ位置させて前記ワークを前記
折曲げダイに被着し、次いで前記鉤形部を形成し
て前記製品を得る折曲げ加工工程と；前記可動部
を下降させて前記製品の前記第１垂下部と前記固
定部間に、該第１垂下部の該固定部側への横移動
を許容すべく前記鉤形部の折曲げ長さよりも幅広
の離型用空間を形成する工程と；前記製品を前記
固定部側へ押動して前記鉤形部を前記折曲げ刃よ
り外す離型工程と；を用いることを特徴とする。

また本発明に係る折曲げ製品の製造装置は、前
記ワークを被着する折曲げダイと、該ダイと協働
して前記ワークに前記鉤形部を形成する折曲げポ
ンチとを備え、前記折曲げダイは、前記ワークの
前記第２垂下部側に位置し前記鉤形部に対応する
鉤形折曲げ刃を有する固定部と、前記ワークの前
記第１垂下部側に位置し該固定部に隣接して配設
された可動部とよりなり、前記ワークの折曲げ加
工時には前記可動部が上昇して該ワークの被着を
許容し、また前記製品の離型時には前記可動部が
下降して該製品の前記第１垂下部と前記固定部間
に、該第１垂下部の該固定部側への横移動を許容
すべく前記鉤形部の折曲げ長さより幅広の離型用
空間を形成し得るように、前記可動部を昇降自在
に構成し、前記折曲げダイにピアシングポンチと
協働するダイ孔を設けたことを特徴とする。

(2) 作用 折曲げ加工時には可動部が上昇しているので、
ワークの押え代を十分にとることができる。また
加工後は可動部が下降して製品の第１垂下部と折
曲げダイの固定部間に離型用空間が形成され、そ
の空間により第１垂下部の固定部側への横移動が
許容される。したがつて製品を固定部側へ押動す
れば鉤形部が折曲げ刃より外れる。

さらに折曲げダイにピアシングポンチと協働す
るダイ孔を設けたので、折曲げ加工と同時にピア
シング加工が行われる。

(3) 実施例 第１、第２図は製品としての自動車用アウタパ
ネルを得るために用いられる板金製ワークＷを示
し、そのワークＷは本体１とその本体１の外縁に
連接された折曲げ縁２とを有する。折曲げ縁２は
平坦な頂部３と、その一側より本体１に向けて下
り勾配の第１垂下部４₁と、頂部３の他側より下
り勾配の連設部５と、その連設部５より略鉛直に
垂下する第２垂下部４₂とよりなる。本体１には
後述するカムスライドを通すための挿通口６が形
成される。

第３、第４図に示すように、前記ワークＷの頂
部３に複数のシール係止孔７をピアシング加工に
より形成し、また第２垂下部４₂の下縁を第１垂
下部４₁側け折曲げて鉤形部８を形成し、さらに
挿通口６の外側を剪断することにより窓孔９を形
成すると、アウタパネルＰが得られる。このアウ
タパネルＰにおいては、その離型を可能にするた
め頂部３の幅ａが鉤形部８の折曲げ長さｂよりも
広く設定されている。

以下、第５〜第７図により前記アウタパネルＰ
の製造について説明する。

折曲げ加工、ピアシング加工および剪断加工を
行う製造装置は、昇降自在な上部ホルダ１０と、
その下方に固定される下部ホルダ１１を備えてい
る。

下部ホルダ１１上面には窓孔９を形成するため
の剪断ダイ１２が固定され、その剪断ダイ１２と
協働する剪断ポンチ１３が剪断ダイ１２の上方に
おいて上部ホルダ１０の下面に取付けられてい
る。剪断ポンチ１３の外周にはワーク押圧用パツ
ド１４が複数のハンガピン１５により上部ホルダ
１０より吊持され、その上部ホルダ１０とパツド
１４間には複数のクツシヨンばね１６が介装され
る。

剪断ダイ１２の一側部には折曲げダイ１７が設
けられる。折曲げダイ１７は側方に突出する鉤形
の折曲げ刃１８を備えた固定部１９と、その固定
部１９の剪断ダイ１２間の溝２０に昇降自在に摺
合された可動部２１とよりなる。固定部１９は前
記ワークＷにおける連設部５下面を受ける頂面２
２を有し、また可動部２１は前記ワークＷにおけ
る頂部３および第１垂下部４₁の下面を受ける頂
面２３を有する。また可動部２１は各シール係止
孔７に対応した位置に配設される。溝２０の対向
する内面にはそれぞれ上下方向に延びる案内溝２
４が形成され、その案内溝２４に可動部２１のフ
ランジ２５が摺合される。フランジ２５の上面と
両案内溝２４の上端面間には戻しばね２６が縮設
され、そのばね２６の弾発力により可動部２１が
下方へ付勢されている。

可動部２１の下方において、下部ホルダ１１の
上面には可動部２１を昇降する第１カムスライド
２７₁が摺動自在に設けられる。第１カムスライ
ド２７₁は下部平坦面２８と、その下部平坦面２
８に連設され、それより上り勾配の傾斜面２９
と、その傾斜面２９に連設される上部平坦面３０
を有し、それら三面２８〜３０に可動部２１の下
端面が摺動し得るようになつている。

第１カムスライド２７₁における下部平坦面２
８側の端面とそれと対向して下部ホルダ１１に立
設されたばね受３１との間には戻しばね３２が縮
設され、そのばね３２の弾発力によつて第１カム
スライド２７₁が第５図左方へ摺動してストツパ
３３に当接すると下部平坦面２８に可動部２１の
下端面が当接して可動部２１の頂面２３が溝２０
における剪断ダイ１２側の内縁２０ａよりも下方
に位置する。３４は第１カムスライド２７₁の案
内ロツドである。

第１カムスライド２７₁における上部平坦面３
０側の端部には、斜面３５を有する作動部３６が
立設され、その作動部３６は剪断ダイ１２の開口
部１２ａを貫通している。作動部３６の上方にお
いて上部ホルダ１０の下面には前記斜面３５に摺
接し得る斜面３７を持つ第１カムドライバ３８₁
が取付けられる。この第１カムドライバ３８₁に
より第１カムスライド２７₁を第５図右方へ摺動
させることができる。

折曲げダイ１７の折曲げ刃１８側方において、
下部ホルダ１１の上面には斜面３９を持つ第２カ
ムスライド２７₂が摺動自在に設けられ、その第
２カムスライド２７₂は折曲げ刃１８と協働する
折曲げポンチ４０を備えている。第２カムスライ
ド２７₂の上方において上部ホルダ１０の下面に
は第２カムスライド２７₂の斜面３９と摺設し得
る斜面４１を持つ第２カムドライバ３８₂が取付
けられる。この第２カムドライバ３８₂により第
２カムスライド２７₂を折曲げダイ１７に向けて
第５図左方へ摺動させることができる。ばね受３
１と第２カムスライド２７₂との間には戻しばね
４２が縮設され、そのばね４２の弾発力によつて
第２カムスライド２７₂を第５図右方へ摺動させ
て折曲げポンチ４０を折曲げダイ１７より離間さ
せるようになつている。４３ａは案内ロツド４３
の端部に設けられた第２カムスライド２７₂のス
トツパ、４８は下部ホルダ１１に立設されて第２
カムドライバ３８₂と摺合する案内部材である。

折曲げダイ１７の可動部２１にはその頂面２３
に開口するピアシング加工用のダイ孔４４が形成
され、そのダイ孔４４の上方において上部ホルダ
１０の下面にはピアシングポンチ４５が取付けら
れる。パツド１４にはピアシングポンチ４５の案
内孔４６が形成される。

次に前記装置によるアウタパネルＰの製造作業
について説明する。

第５図に示すように上部ホルダ１０を上昇させ
た状態においては、第１カムスライド２７₁は戻
しばね３２の弾発力により左方に摺動してストツ
パ３３に当接し、折曲げダイ１７の可動部２１は
戻しばね２６の弾発力により下降してその下端面
は第１カムスライド２７₁の下部平坦面２８に当
接している。また第２カムスライド２７₂は戻し
ばね４２の弾発力により右方に摺動してストツパ
４３に当接し、折曲げポンチ４０が折曲げ刃１８
より離間している。

前記ワークＷの本体１を剪断ダイ１２の頂面４
７に載置し、また連設部５を固定部１９の頂面２
２に載置して第２垂下部４₂を鉤形折曲げ刃１８
の側面に添わせる。この場合第１カムスライド２
７₁の作動部３６はワークＷの挿通口６内に位置
するので、作動部３６とワークＷとが干渉するこ
とはない。

次いで上部ホルダ１０を下降させると、先ず第
１カムドライバ３８₁の斜面３７が第１カムスラ
イド２７₁の斜面３５に摺接するので第１カムス
ライド２７₁が第５図右方へ摺動し、これにより
第６図、第７図ａに示すように折曲げダイ１７に
おける可動部２１の下端面が第１カムスライド２
７₁の傾斜面２９を経て上部平坦面３０に摺接す
るので、可動部２１が上昇し、その頂面２３がワ
ークＷの第１垂下部４₁および頂部３の下面に当
接する。次いで第７図ａに示すようにパツド１４
によりワークＷの本体１が剪断ダイ１２の頂面４
７に押圧され、また折曲げ縁２が固定および可動
部１９，２０に被着されたように押圧される。ま
た第２カムドライバ３８₂の斜面４１が第２カム
スライド２７₂の斜面３９に摺接するので第２カ
ムスライド２７₂が第５図左方へ摺動し、これに
より第７図ｂに示すようにワークＷの第２垂下部
４₂の下縁が折曲げ刃１８と折曲げポンチ４０と
の協働で第１垂下部４₁側へ折曲げられて鉤形部
８が形成される。さらにピアシングポンチ４５が
ワークＷの頂部３を貫通するので、そのピアシン
グポンチ４５とダイ孔２０との協働でシール係止
孔７が形成され、さらにまた剪断ポンチ１３と剪
断ダイ１２との協働で窓孔９が形成される。

上記工程によりアウタパネルＰが得られる。

前記加工後上部ホルダ１０を上昇させると、第
１および第２カムスライド２７₁，２７₂が第５図
に示すように左方および右方へ戻しばね３２，４
２の弾発力よりそれぞれ摺動する。

第５図、第７図ｃに示すように第１カムスライ
ド２７₁の前記摺動により折曲げダイ１７の可動
部２１が戻しばね２６の弾発力で下降し、その下
端面が第１カムスライド２７₁の下部平坦面２８
に摺接する。これにより可動部２１の頂面２３が
アウタパネルＰの第１垂下部４₁よりも下方に位
置し、第１垂下部４₁内面と固定部１９間には鉤
形部８の折曲げ長さｂよりも幅広の離型用空間Ｓ
が形成される。

この状態においてアウタパネルＰを固定部１９
側へ押動すると、第７図ｃ鎖線示のように第１垂
下部４₁の横移動が前記空間Ｓにより許容され、
鉤形部８が折曲げ刃１８より外れて離型が行われ
る。

なお、本発明は前記形状のワークに限らず、前
記折曲げ縁またはワーク全体を横断面逆Ｖ字形に
形成してその一方の傾斜部を第１垂下部とし、他
方の傾斜部を連設部としてその下縁に第２垂下部
を連設したもの、横断面逆Ｕ字形のもの、第１お
よび第２垂下部を頂面に対して直角に形成したも
の等にも適用することができる。

Ｃ 発明の効果 本発明に係る製造方法によれば、折曲げ加工時
には可動部を上昇させるので、ワークの押え代を
十分にとつてワークを確実に固定し、折曲げ加工
精度を良好にすることができ、また離型時には可
動部を下降させるので、製品を横移動してその鉤
形部を鉤形折曲げ刃より容易に外すことができ、
これにより高精度な折曲げ加工製品を能率良く得
ることができる。

また本発明に係る製造装置によれば、前記折曲
げ加工と同時にピアシング加工を行うことが可能
となり、これにより両作業の能率を向上し製品の
コストを低減することができ、また両加工装置を
別々に設ける場合に比べて、装置の簡素化を図
り、その上装置の設置スペースの節減を達成する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はワークの要部の平面図、第２図は第１
図−線拡大断面図、第３図は製品の要部の平
面図、第４図は第３図−線拡大断面図、第５
図は本発明装置の一実施例における加工前の縦断
側面図、第６図は同装置の加工後の縦断側面図、
第７図は加工工程説明図である。 Ｓ……離型用空間、Ｐ……製品としてのアウタ
パネル、Ｗ……ワーク、２……頂部、４₁，４₂…
…第１、第２垂下部、８……鉤形部、１７……折
曲げダイ、１８……折曲げ刃、１９……固定部、
２１……可動部、４０……折曲げポンチ、４４…
…ダイ孔、４５……ピアシングポンチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 頂部の一側に第１垂下部を、他側に第２垂下
   部をそれぞれ有する板金製ワークの前記第２垂下
   部の下縁を前記第１垂下部側へ折曲げて鉤形部を
   有する製品を得るに当り、前記鉤形部に対応する
   鉤形折曲げ刃を有する固定部と、該固定部に隣接
   して配設され、折曲げ加工時に上昇し、また離型
   時に下降する可動部とを備えた折曲げダイを用
   い、前記ワークの前記第１垂下部を前記可動部側
   に、また前記第２垂下部を前記固定部側にそれぞ
   れ位置させて前記ワークを前記折曲げダイに被着
   し、次いで前記鉤形部を形成して前記製品を得る
   折曲げ加工工程と；前記可動部を下降させて前記
   製品の前記第１垂下部と前記固定部間に、該第１
   垂下部の該固定部側への横移動を許容すべく前記
   鉤形部の折曲げ長さよりも幅広の離型用空間を形
   成する工程と；前記製品を前記固定部側へ押動し
   て前記鉤形部を前記折曲げ刃より外す離型工程
   と；よりなる折曲げ加工製品の製造方法。 ２ 頂部の一側に第１垂下部を、他側に第２垂下
   部をそれぞれ有する板金製ワークの前記第２垂下
   部の下縁を前記第１垂下部側へ折曲げて鉤形部を
   有する製品を得るための製造装置であつて、前記
   ワークを被着する折曲げダイと、該ダイと協働し
   て前記ワークに前記鉤形部を形成する折曲げポン
   チとを備え、前記折曲げダイは、前記ワークの前
   記第２垂下部側に位置し前記鉤形部に対応する鉤
   形折曲げ刃を有する固定部と、前記ワークの前記
   第１垂下部側に位置し該固定部に隣接して配設さ
   れた可動部とよりなり、前記ワークの折曲げ加工
   時には前記可動部が上昇して該ワークの被着を許
   容し、また前記製品の離型時には前記可動部が下
   降して該製品の前記第１垂下部と前記固定部間
   に、該第１垂下部の該固定部側への横移動を許容
   すべく前記鉤形部の折曲げ長さより幅広の離型用
   空間を形成し得るように、前記可動部を昇降自在
   に構成し、前記折曲げダイにピアシングポンチと
   協働するダイ孔を設けてなる折曲げ加工製品の製
   造装置。