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JPH0145516B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0145516B2
JPH0145516B2 JP17207781A JP17207781A JPH0145516B2 JP H0145516 B2 JPH0145516 B2 JP H0145516B2 JP 17207781 A JP17207781 A JP 17207781A JP 17207781 A JP17207781 A JP 17207781A JP H0145516 B2 JPH0145516 B2 JP H0145516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
raw material
boiling point
temperature
petroleum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP17207781A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS5874786A (ja
Inventor
Seiichi Kamimura
Shunichi Yamamoto
Takao Hirose
Hiroaki Takashima
Osamu Kato
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Oil Corp filed Critical Nippon Oil Corp
Priority to JP17207781A priority Critical patent/JPS5874786A/ja
Priority to US06/366,937 priority patent/US4521294A/en
Priority to CA000400889A priority patent/CA1181708A/en
Priority to DE8282301912T priority patent/DE3272976D1/de
Priority to EP82301912A priority patent/EP0063052B1/en
Publication of JPS5874786A publication Critical patent/JPS5874786A/ja
Publication of JPH0145516B2 publication Critical patent/JPH0145516B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は炭素繊維製造用原料としての優れた性
能を有するピツチの製造方法に関する。 現在、炭素繊維は主にポリアクリロニトリルを
原料として製造されている。しかしながらポリア
クリロニトリルを原料とした場合、原料が高価で
あり、また加熱炭化時において繊維状の原形がく
ずれ易く、さらに炭化収率も悪いという欠点があ
る。 近年、この点に着目してピツチを原料として炭
素繊維を製造する方法が数多く報告されている。
ピツチを原料として用いた場合、原料安価であ
り、また炭化収率が通常85〜95%と高いため、安
価に炭素繊維を製造できることが期待される。し
かしながら、ピツチを原料として得られる炭素繊
維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維に比べ弾
性率は高いものの、強度が劣るという問題があ
る。従つて、もしこの問題点を解決し、また弾性
率をさらに向上し得ることができれば、ピツチか
ら安価に高強度かつ高弾性率の炭素繊維を製造す
ることが可能となる。 最近になつて、市販の石油ピツチを熱処理して
メソ相(mesophase)と呼ばれる光学的異方性の
液晶を含有するピツチを得、このメソ相を含有す
るピツチを前駆体ピツチ(以後、溶融紡糸時にお
けるピツチを前駆体ピツチと呼ぶ)として用い、
この前駆体ピツチを溶融紡糸した後、不融化し、
次いで炭化あるいは更に黒鉛化することにより、
弾性率および強度が向上した炭素繊維が得られる
ことが報告された(特開昭49−19127号)。 しかしながら、ピツチが液晶を形成し得るか否
かは種々の要因により決まるものであり、また液
晶の構造や軟化点、粘度等の物性は原料ピツチに
大きく依存するものである。前記特開昭49−
19127号はメソ相を含有するピツチ(以後、メソ
相ピツチと略記する)の製造法に関するものであ
つて、良質のメソ相ピツチを形成するための原料
ピツチについては何ら言及していない。前記した
ように、良質のメソ相ピツチは原料ピツチに大き
く依存するものであり、最適な原料ピツチを見出
すことができれば弾性率および強度がさらに優れ
た炭素繊維を製造することが可能となる。それ
故、この最適の原料ピツチを見出だすことが当該
技術分野の重要な課題である。 例えば、コールタールピツチはカーボンブラツ
ク状のキノリンに不溶で不融性の物質を含有して
おり、これらは前駆体ピツチの不均一性の原因と
なり紡糸性を悪くさせるばかりか、炭素繊維の強
度および弾性率に悪影響を及ぼす。 一方、市販の石油ピツチやその他の合成ピツチ
の多くは、キノリンに不溶で不融性の物質をほと
んど含有していないが、これらのピツチを加熱処
理して前駆体ピツチを調製する段階で、キノリン
に不溶な高分子量成分が生成する。すなわち、こ
れらのピツチを熱処理すると熱分解と重縮合反応
が併発し、低分子量成分は徐々に高分子量化し、
キノリンに不溶の高分子量成分となり、また同時
に高分子量成分はさらに高分子量化する。これに
併つてピツチの軟化点も上昇する。このキノリン
不溶分がコールタール中のカーボンブラツク状物
質に類似の物質であれば、前述の如く紡糸以降の
工程で悪影響を及ぼす。また、前記のカーボンブ
ラツク状物質とは異なる物質であつたとしても、
多量のキノリン不溶分の存在と高い軟化点は溶融
紡糸の段階で悪影響を及ぼす。すなわち、前駆体
ピツチを溶融紡糸するためには前駆体ピツチが紡
糸可能な粘度になるまで紡糸温度を上げることが
必要であつて、前駆体ピツチの軟化点が余りにも
高過ぎれば、紡糸温度も当然高くせざるを得ず、
その結果、キノリン不溶分は一層高分子量化する
と共に、ピツチの熱分解が起こり軟質ガスが発生
し、均一な前駆体ピツチとはなり得ず、紡糸する
ことが事実上不可能となる。 このように前駆体ピツチは、比較的低い軟化点
で紡糸するために適当な粘度を持つていなければ
ならない。また、紡糸時さらには炭化時に揮発性
成分を実質的に含有するものであつてはならな
い。 このため、生成したキノリン不溶分を加圧過
や溶剤分別等の手段により除去することにより炭
素繊維製造用前駆体ピツチを調製することが行わ
れている(特開昭47−9804号、同50−142820号、
同55−1342号、同55−5954号)。しかしながら、
これらの手段を用いた場合には処理装置の複雑化
および処理費用の増大を招き、経済的観点から好
ましいものではない。 もし、原料ピツチとして優れた性能を有するピ
ツチを用いることにより、メソ相化の加熱段階で
キノリン不溶分となる高分子量成分を生成させな
いことができれば最も好ましいものである。 本発明者らは、これらの課題について鋭意研究
した結果、本発明を完成したものである。すなわ
ち、本発明者らは、前駆体ピツチを調製する段階
で高分子量成分の生成を抑制し、最適な粘度を有
し、また炭化初期の段階では芳香族平面が秩序だ
つて配列をし易い組成を持つことができる性能の
優れた原料ピツチを見出したものである。換言す
れば、本発明は軟化点が比較的低く保持され、か
つメソ相を容易に形成するような原料ピツチの製
造方法を提供するものである。 以下に本発明を詳述する。 本発明は、原料ピツチを加熱処理して得られる
前駆体ピツチを溶融紡糸した後、不融化処理およ
び炭化あるいは更に黒鉛化処理して炭素繊維を製
造するに当たり、該原料ピツチが、(1)石油類を水
蒸気分解した際に得られる沸点200℃以上の重質
油と、(2)石油類を流動接触分解した際に得られる
沸点200℃以上の重質油と、(3)石油類を水蒸気分
解した際に得られる沸点範囲160〜400℃の留分お
よび/または石油類を水蒸気分解した際に得られ
る沸点200℃以上の重質油を温度380〜480℃で加
熱処理した際に生成する沸点範囲160〜400℃の留
分を、水素化触媒の存在下に水素と接触させ、該
留分中に含有される芳香族系炭化水素の芳香族核
を10〜70%核水素化して得られる水素化油との混
合物を温度370〜480℃、圧力2〜50Kg/cm2・Gに
て熱処理して得られるものであることを特徴とす
る炭素繊維用原料ピツチの製造方法である。 本発明により得られる原料ピツチを用いてメソ
相化反応を行わせしめた場合、キノリン不溶分の
生成が抑制されるばかりか、ピツチが改質され、
最終製品である炭素繊維が高弾性率で、かつ高強
度となり得たことは全く予期され得ないものであ
つた。 これに対し、コールタールピツチ、市販の石油
ピツチあるいは合成ピツチを特開昭49−19127号
の方法に従つて加熱処理し、メソ相化を行つたと
ころ、生成ピツチの軟化点が340℃以上のもの、
固形分が沈積したもの、あるいは固形物が沈積し
ないまでもキノリン不溶分が70wt%以上にも達
したもの等、多くの場合、溶融紡糸が事実上不可
能であつた。また溶融紡糸を行い得た場合でも、
さらに不融化、炭化および黒鉛化処理して得た炭
素繊維の強度は120〜200Kg/mm2、弾性率は12〜
20ton/mm2程度であつた。また軟化点のものを紡
糸した場合には、紡糸物中に熱分解ガス発生に起
因する空孔が存在していた。 本発明において用いられる石油類を水蒸気分解
した際に得られる沸点200℃以上の重質油とはナ
フサ、灯油あるいは軽油等の石油類を通常700〜
1200℃で水蒸気分解して、エチレン、プロピレン
等のオレフイン類を製造する際に副生する重質油
であつて、実質的に沸点が200〜450℃の範囲内の
重質油である。 本発明において用いられる石油類を流動接触分
解した際に得られる沸点200℃以上の重質油とは、
灯油、軽油、るいは常圧残油等の石油類を天然あ
るいは合成のシリカ・アルミナ触媒あるいはゼオ
ライト触媒の存在下に450〜550℃、常圧〜20Kg/
cm2・Gにて流動接触分解することにより、ガソリ
ン等の軽質油を製造する際に副生する重質油であ
つて、実質的に沸点が200〜450℃の範囲内の重質
油である。 本発明において用いられる水素化油はナフサ、
灯油あるいは軽油等の石油類を通常700〜1200℃
で水蒸気分解して、エチレン、プロピレン等のオ
レフイン類を製造する際に副生する沸点範囲が実
質的に160〜400℃、好ましくは170〜350℃の留分
および/またはナフサ、灯油あるいは軽油等の石
油類を通常700〜1200℃で水蒸気分解して、エチ
レン、プロピレン等のオレフイン類を製造する際
に副生する沸点が実質的に200℃以上の留分、好
ましくは沸点範囲が200〜450℃の留分を温度380
〜480℃、圧力2〜50Kg/cm2・Gで15分〜20時間
加熱処理した際に生成する沸点範囲が実質的に
160〜400℃、好ましくは170〜350℃の留分を、水
素化触媒の存在下に水素と接触させ、該留分中に
含有される芳香族系炭化水素の芳香族核を部分的
に核水素化したものである。 このとき使用する水素化触媒は通常の水素化反
応に用いられる触媒でよく、例えばボーキサイ
ト、活性炭素、珪藻土、ゼオライト、シリカ、チ
タニヤ、ジリコニア、アルミナあるいはシリカゲ
ル等の無機固体を担体として用い、銅などの周期
律表b族金属、クロム、モリブデン、コバル
ト、パラジウムあるいは白金などの周期律表族
金属を金属の形で、または酸化物あるいは硫化物
の形で前記担体に担持させたもの等が用いられ
る。 水素化条件は、使用する触媒の種類により異な
るものであるが通常、温度が120〜450℃、好まし
くは150〜350℃、圧力が20〜100Kg/cm2・G、好
ましくは30〜70℃/cm2・Gで行われる。また回分
式で行つた場合の、水素化処理時間は0.5〜3時
間が適当である。連続式で行つた場合には空間速
度(LHSV)0.5〜3.0が選ばれる。 水素化条件の例を挙げれば、2wt%のラネー・
ニツケルを触媒として用い回分式で行つた場合に
は、圧力40〜50Kg/cm2・G、温度160〜170℃、処
理時間1〜1.5時間が好ましく採用され、ニツケ
ル・モリブデン系触媒を用いて連続式で行つた場
合には圧力30〜50Kg/cm2・G、温度330℃程度、
空間速度(LHSV)1.5程度が好ましく採用され
る。 水素化反応により、留分中に含有される芳香族
系炭化水素の芳香族核を部分的に核水素化を行う
が、この時の核水素化率が10〜70%、好ましくは
15〜50%、最も好ましくは15〜35%となるように
することが必要である。なお、核水素化率は下式
によつて定義されるものであり、また下式中の芳
香族環炭素数とはASTM D−2140−66で示され
るものである。 核水素化率=(水素化処理前の芳香族環炭素数)−(
水素化処理後の芳香族環炭素数)/水素化処理前の芳香
族環炭素数 本発明の原料ピツチの製造方法は(1)石油類を水
蒸気分解した際に得られる沸点200℃以上の重質
油と(2)石油類を流動接触分解した際に得られる沸
点200℃以上の重質油と(3)石油類を水蒸気分解し
た際に得られる沸点範囲160〜400℃の留分およ
び/または石油類を水蒸気分解した際に得られる
沸点200℃以上の重質油を温度380〜480℃で加熱
処理した際に生成する沸点範囲160〜400℃で留分
を、水素化触媒の存在下に水素と接触させ、該留
分中に含有される芳香族炭化水素の芳香族核を10
〜70%核水素化して得られる水素化油を特定の割
合で混合し、かつ特定の条件下で加熱処理するこ
とにより得られる。 上記の成分(1)と成分(2)の混合割合は、成分(1):
成分(2)が重量比で1:0.1〜9、好ましくは1:
0.2〜4である。成分3の混合割合は、成分(1)と
成分(2)の合計量に対し、重量比で0.1〜2倍、好
ましくは0.2〜1.5倍用いる。加熱処理温度として
は370〜480℃、好ましくは390〜460℃の範囲内の
温度で行う。加熱処理温度が370℃よりも低いと
反応の進行が遅く、長時間要するため不経済であ
る。また480℃よりも高い温度で熱処理を行うと
コーキング等の問題が生じ、好ましくない。加熱
処理時間は加熱処理温度との兼ね合いで決められ
るものでり、低温の場合は長時間、高温の場合は
短時間行う。通常は15分〜20時間、好ましくは30
分〜10時間の範囲内の処理時間を採用することが
できる。圧力に関しては任意の圧力下で実施し得
るが、原料中の有効成分が未反応のまま実質的に
系外に留出しない圧力が好ましく、具体的には2
〜50Kg/cm2・G、好ましくは5〜30Kg/cm2・Gが
採用される。 熱処理を行つた後、必要であれば蒸留等の操作
により軽質分を除去することも好ましく採用され
る。 かくして得られる本発明よりなる原料ピツチを
用いることにより、加熱処理してメソ相化を行つ
た際、キノリン不溶分である高分子量成分の生成
が抑制されると同時にピツチの軟化点の上昇を防
ぐことができ、さらに芳香族平面が秩序だつて配
列し易い組成を持つた良好な前駆体ピツチとな
る。この結果、弾性率および強度がきわめて優れ
た炭素繊維を得ることができる。 本発明により得られる原料ピツチを用いて炭素
繊維を製造する方法は公知の方法を採用すること
ができる。すなわち原料ピツチを加熱処理してメ
ソ相化を行い、得られる前駆体ピツチを溶融紡糸
した後、不融化処理および炭化あるいはさらに黒
鉛化処理を行つて炭素繊維を製造する。 原料ピツチを加熱処理し、メソ相化を行つて前
駆体ピツチを得る段階での反応は、通常、温度
340〜450℃、好ましくは370〜420℃で常圧あるい
は減圧下に窒素等の不活性ガスを通気することに
よつて行われる。この時の加熱処理時間は温度、
不活性ガスの通気量等の条件により任意に行い得
るものであるが、通常、1〜50時間、好ましくは
3〜20時間で行う。不活性ガスの通気量は0.7〜
5.0scfh/lbピツチが好ましい。 前駆体ピツチを溶融紡糸する方法としては押出
法、遠心法、霧吹法等の公知の方法を用いること
ができる。 溶融紡糸されて得られるピツチ繊維は、次に酸
化性ガス雰囲気下で不融化処理が施される。酸化
性ガスとしては通常、酸素、オゾン、空気、窒素
酸化物、ハロゲン、亜硫酸ガス等の酸化性ガスを
1種あるいは2種以上用いる。この不融化処理は
被処理体である溶融紡糸されたピツチ繊維が軟化
変形しない温度条件下で実施される。例えば20〜
360℃、好ましくは20〜300℃の温度が採用され
る。また処理時間は通常、5分〜10時間である。 不融化処理されたピツチ繊維は、次に不活性ガ
ス雰囲気下で炭化あるいは更に黒鉛化を行い、炭
素繊維を得る。炭化は通常、温度800〜2500℃で
行う。一般には炭化に要する処理時間は0.5分〜
10時間である。さらに黒鉛化を行う場合には、温
度2500〜3500℃で、通常1秒〜1時間行う。 また、不融化、炭化あるいは黒鉛化処理の際、
必要であれば収縮や変形等を防止する目的で、被
処理体に若干の荷重あるいは張力をかけておくこ
ともできる。 以下に実施例および比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに制限されるも
のではない。 実施例 1 ナフサを830℃で水蒸気分解した際に副生した
沸点200℃以上の重質油(以下、重質油(1)と略す。
その性状を第1表に示す)を得た。 アラビア系原油の減圧軽油(VGO)の水素化
処理油をシリカ・アルミナ系触媒を用いて500℃
にて接触分解して得られた沸点200℃以上の重質
油(以下、重質油(2)と略す。その性状を第2表に
示す)を得た。 次いで重質油(1)を、圧力15Kg/cm2・G、温度
400℃で3時間熱処理を行つ後、250℃/1mmHg
で蒸留して沸点範囲160〜400℃の留分(3)を採取し
た。その性状を第3表に示す。この留分(3)を、ニ
ツケル・モリブデン系触媒(NM−502)を用い
て、圧力35Kg/cm2・G、温度330℃、空間速度
(LHSV)1.5で水素と接触させ、部分核水素化を
行わせ、水素化油(4)を得た。核水素化率は31%あ
つた。 前記した重質油(1)60重量部、重質油(2)30重量部
および水素化油(4)100重量部を混合し、圧力20
Kg/cm2・G、温度430℃にて3時間熱処理した。
この熱処理油を250℃/1.0mmHgで蒸留して軽質
分を留出させ軟化点80℃、ベンゼン不溶分22wt
%の原料ピツチを得た。 次に、この原料ピツチ30gに対し窒素を550
ml/分で通気しながら撹拌し、温度400℃で10時
間熱処理を行い、軟化点280℃、キノリン不溶分
33wt%、メソ相含量80%のピツチを得た。この
ピツチをノズル径0.3mmφ、L/D=2の紡糸器
を用い334℃にて溶融紡糸を行い11〜15μのピツ
チ繊維をつくり、さらに下記に示す条件にて不融
化、炭化および黒鉛化処理して炭素繊維を得た。 不融化、炭化および黒鉛化の処理条件は以下の
如くである。 Γ不融化条件:空気雰囲気中で、200℃までは3
℃/分、300℃までは1℃/分の昇温速度で加
熱し、300℃で10分間保持。 Γ炭化条件:窒素雰囲気中で10℃/分で昇温し
1000℃で30分間保持。 Γ黒鉛化条件:アルゴン気流中で、50℃/分の昇
温速度で、2500℃まで加熱処理。 得られた炭素繊維の引張強度は258Kg/mm2、ヤ
ング率は42ton/mm2であつた。
【表】
【表】
【表】 比較例 1 実施例1で用いた重質油(1)100重量部と重質油
(2)50重量部との混合物を圧力15Kg/cm2・G、温度
400℃にて3時間熱処理した。この熱処理油を250
℃/1.0mmHgにて蒸留し、軽質分を留去させ、軟
化点49℃の原料ピツチを得た。 次に、実施例1と同様の方法でこの原料ピツチ
を熱処理して、軟化点308℃、キノリン不溶分48
重量%、メソ相含量86%のピツチを得た。このピ
ツチを実施例1で用いた紡糸器により、358℃で
溶融紡糸し、20〜27μのピツチ繊維をつくり、実
施例1と同様な方法で不融化、炭化および黒鉛化
処理して炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張強
度は154Kg/mm2、ヤング率は27ton/mm2であつた。 比較例 2 実施例1において使用した本発明の原料ピツチ
の代わりに、市販の石油ピツチであるアツシユラ
ンド(Ash land)240LS(軟化点120℃)を用い
て、実施例1と同様な方法で熱処理を行つたとこ
ろ、メソ相含量50%のピツチを得た。このピツチ
を実施例1と同様の方法で溶融紡糸、不融化処
理、炭化および黒鉛化処理して炭素繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は137Kg/mm2、ヤ
ング率は28ton/mm2であつた。 実施例 2 ナフサを830℃で水蒸気分解した際に副生した
沸点160〜400℃の留分(4)を採取した。その性状を
第4表に示す。この留分(4)をコバルト・モリブデ
ン系触媒(ケツチエンフアイン124)を用いて、
温度330℃、圧力35Kg/cm2・G、LHSV1.0にて、
水素と接触させ、部分核水素化を行わせ、水素化
油(5)を得た。核水素化率は24%であつた。 実施例1で使用した重質油(1)100重量部と重質
油50重量部と水素化油(5)220重量部とを混合し、
圧力15Kg/cm2・G、温度430℃にて2時間熱処理
を行つた。この熱処理油を減圧蒸留して軽質分を
留去させ、軟化点73℃の原料ピツチを得た。 次に、この原料ピツチを実施例1の同様の方法
で熱処理し、軟化点282℃、キノリン不溶分29wt
%、メソ相含量83%のピツチを得た。このピツチ
を実施例1で用いた紡糸器により、340℃で溶融
紡糸し13〜16μのピツチ繊維をつくり、実施例1
と同様な方法で不融化、炭化および黒鉛化処理を
行い炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張速度は
255Kg/cm2・G、ヤング率は40ton/mm2であつた。
【表】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 原料ピツチを加熱処理して得られる前駆体ピ
    ツチを溶融紡糸した後、不融化処理および炭化あ
    るいは更に黒鉛化処理して炭素繊維を製造するに
    当たり、該原料ピツチが(1)石油類を水蒸気分解し
    た際に得られる沸点200℃以上の重質油と、(2)石
    油類を流動接触分解した際に得られる沸点200℃
    以上の重質油と、(3)石油類を水蒸気分解した際に
    得られる沸点範囲160〜400℃の留分および/また
    は石油類を水蒸気分解した際に得られる沸点200
    ℃以上の重質油を温度380〜480℃で加熱処理した
    際に生成する沸点範囲160〜400℃の留分を、水素
    化触媒の存在下に水素と接触させ、該留分中に含
    有される芳香族系炭化水素の芳香族核を10〜70%
    核水素化して得られる水素化油との混合物を温度
    370〜480℃、圧力2〜50Kg/cm2・Gにて熱処理し
    て得られるものであることを特徴とする炭素繊維
    用原料ピツチの製造方法。
JP17207781A 1981-04-13 1981-10-29 炭素繊維用原料ピッチの製造方法 Granted JPS5874786A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17207781A JPS5874786A (ja) 1981-10-29 1981-10-29 炭素繊維用原料ピッチの製造方法
US06/366,937 US4521294A (en) 1981-04-13 1982-04-09 Starting pitches for carbon fibers
CA000400889A CA1181708A (en) 1981-04-13 1982-04-13 Starting pitches for carbon fibers
DE8282301912T DE3272976D1 (en) 1981-04-13 1982-04-13 Starting pitches for carbon fibers
EP82301912A EP0063052B1 (en) 1981-04-13 1982-04-13 Starting pitches for carbon fibers

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JPS6250388A (ja) * 1985-08-28 1987-03-05 Osaka Gas Co Ltd 炭素繊維製造用ピツチの製造方法
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