JPH0996161A - ケーブル・テンション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クランクにおける遊びを減少させ得ると共
に、ケーブルに過剰なテンションを生じさせることなく
発生する過剰なトルクを吸収し得る、製造容易であり且
つ高信頼性で安価なウィンドウ・リフタ装置を提供す
る。 【解決手段】 レールの一端は、支持エレメントと、角
度位置の異なる２つの半径方向のタブを有するスプリン
グとを含み、第１のタブは、支持エレメントのストッパ
に当接・係合し、第２のタブは、カムの内側に延び、カ
ムの最初の回転移動時に、支持エレメントの逆止め手段
を越えてスライドするように構成され、逆止め手段は、
第１及び第２のタブが少なくとも逆止め手段及びストッ
パの間の円弧長さだけ角度的に引き離されたときに、第
２のタブの戻りを阻止するように形成され、カムは、ケ
ーブル及びスプリングによって生じる相対する力の作用
の下で平衡状態となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも１つの
ケーブルを折り返させるための２つのポイントを両端に
有するレールを含むケーブル・テンション装置に関す
る。このケーブル・テンション装置は、特に車両用のウ
ィンドウ・リフタを具備することに向けられたものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近時、よく知られているように、ツイス
トケーブル形式のウィンドウ・リフタを含む様々のタイ
プのウィンドウ・リフタが車両に使用されている。これ
らのウィンドウ・リフタにおいて、ケーブルが全長に沿
って緊張状態に保持されている場合に限って正常な動作
が保証される。もし、そうでないような場合、この公知
のシステムにおける引張状態の欠落は、ウィンドウ・リ
フタのクランクにおける角度的な遊びに影響を及ぼす。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ケーブルの引張状態の
欠如によるこの問題を解決するために、次の２つの解決
策が実行された。第１の解決策は、圧縮スプリングが取
付けられ、段階的に摺動するスライド要素を用いた可逆
テンション装置から成る。しかしながら、この実例の欠
点は、巻装されているケーブルの長さと関係するスライ
ド要素の移動がハンドルの角度に反映されるので、無駄
な遊び（dead play）が増大することである。

【０００４】実行された第２の解決策は、スプリングが
その上をスリップする歯付き要素を含む不可逆テンショ
ン装置から成る。この実例は、ハンドルの遊びを増大さ
せることがないものの、クランクに実質的なトルクを作
用させることによってウィンドウ・リフタにテンション
（張力）が付与される際に、過剰なテンションが引き起
こされ、これにより、ウィンドウ・リフタの摩耗が加速
し、窓ガラスの上下動のためのクランクに生じるトルク
（あるいは移動トルク）が増大する。

【０００５】本発明の目的は、クランクにおける遊びを
減少させ得ると共に、ケーブルに過剰なテンションを生
じさせることなく発生する過剰なトルクを吸収し得る、
製造容易であり且つ高信頼性で安価なウィンドウ・リフ
タ装置を提案することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的のために、本発
明は、少なくとも１つのケーブルを折り返させるための
２つのポイントを両端に有するレールに関係するケーブ
ル・テンション装置において、レールの一端は、回動可
能なカムと、カムを支持する支持エレメントと、カムと
同心的であり、角度位置の異なる２つの半径方向のタブ
を有するスプリング、とを含み、スプリングの第１のタ
ブは、支持エレメントに形成したストッパに当接・係合
し、スプリングの第２のタブは、カムの内側に延びてお
り、カムの最初の回転移動時に、支持エレメントに配設
した逆止め手段を越えてスライドするように構成され、
逆止め手段は、スプリングの第１及び第２のタブが少な
くとも逆止め手段及びストッパの間の円弧長さだけ角度
的に引き離されたときに、第２のタブの戻りを阻止する
ように形成され、ケーブルは、カムの周囲に形成した溝
に係合し、カムは、ケーブル及びスプリングによって生
じる相対する力の作用の下で平衡状態となることを構成
上の特徴とする。

【０００７】本発明に係る装置は、次の特徴の少なくと
も１つを含むことができる。前記カムは、旋回ピンから
外方に延びるラジアル・アームを含み、スプリングの第
２のタブを受容するために、半径方向のスロットが形成
されること、前記カムは、スプリングを受容するため
に、旋回ピンと同心的な溝を有すること、前記逆止め手
段は、支持エレメントの面に対して所定方向に傾斜する
傾斜部であり、スプリングの第２のタブが第１のタブか
ら所定角度だけ引き離されるときに、第２のタブが該傾
斜部を乗り越え得るように構成されていること、前記カ
ムのラジアル・アームは、逆止め手段のためのハウジン
グを含むこと、前記スプリングの第１のタブ及び第２の
タブは、休止時に、例えば略９０゜の角度だけずれてい
ること、前記カムは、ラジアル・アームが延設された本
体を有し、タブによって画成された溝が形成され、支持
エレメントの突出部を受容するように構成され、本体の
周囲には、突出部が前記溝に挿入されたと同時に、支持
エレメントに形成した開口の縁部を受容し得る溝が配設
されていること、前記スプリングの第２のタブは、支持
エレメントの耐腐食コーティングに損傷を与えにくいよ
うに湾曲されていることである。

【０００８】別の本発明は、前述したようなケーブル・
テンション装置を具備したウィンドウ・リフタである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の非制限的な実施の
形態を図面を参照して説明する。図１は、（図示しな
い）車両のドア用のウィンドウ・リフタ２（図２）を具
備したケーブル・テンション装置１の作動原理を示す。
本装置１は、（単一のものであるか又は２つの部分を公
知形式で相互連結して成る１つのものである）ケーブル
８を含み、その運用寿命の最終における全長（Ｌ１）
は、理論的な長さＬ２と、ウィンドウ・リフタ２の部材
に係合し得るようにするためのケーブル８の組み立てに
要する長さＬ３と、ウィンドウ・リフタ組み立て体の展
開合計長さである長さＬ４と、ケーブル８の伸長と、ウ
ィンドウ・リフタ２の運用寿命におけるウィンドウ・リ
フタの部材の消耗に関係する長さ、との合計である長さ
Ｌ５、との合計である。

【００１０】ケーブル・テンション装置１によって処理
されるべきケーブルの長さは、運用寿命の最終における
ケーブルの長さＬ１とケーブルの理論長さＬ２との間の
差であり、換言すると、これは、上述した値（Ｌ３、Ｌ
４、Ｌ５）の合計に等しい。本発明の課題を解決するた
めに、不可逆のポジションと呼ぶポイントＩが画定され
る。ポイントＩは、図２に示すように長さＬ４（組み立
て体の展開合計長さ）の範囲に存在する。ポイントＩ
は、ケーブル８の長さＬ３とｘとの合計に相当する。こ
こで、ｘは、次のように定義される長さである。

【００１１】ａ）展開長さがｘに相当するならば（Ｌ４
＝ｘ）、クランクにおけるウィンドウ移動トルクに衝撃
がない。 ｂ）展開長さがｘよりも小さいならば（Ｌ４＜ｘ）、過
剰な引張状態となり、クランクにおけるウィンドウ移動
トルクに殆どもしくは全く影響を及ぼさない。 ｃ）展開長さがｘよりも大きいならば（Ｌ４＞ｘ）、ク
ランクの軸線周りの角度に変換したｘの値は、クランク
における自由遊びの測定の際にもはや明瞭ではなく、動
作中のケーブルに衝撃を与えない。

【００１２】従って、このポイントＩは、ケーブル・テ
ンション装置１の２つの作動モードを画成する。一方の
モードは、本装置１がケーブルの長さＬ３とｘの値とを
決定的に吸収するような不可逆モードであり、他方のモ
ードは、可逆的な範囲（Ｌ５＋Ｌ４−ｘ）において本装
置１が余剰の組み立て体展開長さに適合し、ケーブル長
の変化に適合し、ケーブル８に接触するウィンドウ・リ
フタの構成要素の消耗に適合するように不可逆モードで
ある。

【００１３】本テンション装置１は、ウィンドウ・リフ
タの作動後（ケーブル８が非緊張状態から緊張状態に移
行する）において先ず第１に不可逆状態でなければなら
ず、次いで、可逆状態にならねばならず、その理由は、
混合したテンション（引張）状態が構成されてしまうか
らである。図２に示すウィンドウ・リフタ２は、２つの
端部４、５を有するレール３を含む。端部４は、カム１
２及びスプリング１３を収容する支持エレメント７を支
持し、端部５は、リターン・プーリ６を支持する。レー
ル３は、その固定用タブを介して車両の（図示しない）
ドアに固定されることが予定されている。本装置１は、
プーリ６、カム１２の２つの溝３０、３１やウィンドウ
・リフタ２の駆動装置９に係合するツイスト状のケーブ
ル８を含む。

【００１４】駆動装置９は、図示例ではレール３に交差
するように、レール３に固定された取付け板１０によっ
て支持されている。レール３の２つの端部４及び５の間
に延びるケーブル８の部分は、レール３によって案内さ
れるそれ自体公知のスライド１１を駆動する。スライド
１１には、『垂直』に移動し得るように窓ガラスが取り
付けられる。（レール３は、『垂直』に配設される。） 図５及び６に示す支持エレメント７は、レール３に固定
され得る固定部１４と、カム１２を収容するためのプレ
ート１５、とを含む。この支持エレメント７は、例えば
スチールで形成することができる。

【００１５】プレート１５は、周囲から部分的に突出す
る突出部１６を有する。このプレート１５の中央には、
開口１７が形成される。この開口１７は、円弧状の部分
１８を具えた円形形状を有し、この部分１８の半径は、
他の開口部分のそれよりも大きい。この部分１８は、突
出部１６とは反対の側に位置する。スプリング・ストッ
パ１９は、プレート１５と固定部１４との間の結合部分
の近傍でプレート１５に固定される。スプリング・スト
ッパ１９は、略直角状のブラケットの形状から成り、一
方のタブ１９ａは、プレート１５に固定され、他方のタ
ブ１９ｂは、前記一方のタブ１９ａよりも短く且つ僅か
に湾曲している。

【００１６】突出部１６は、複合的に形成した逆止め用
の傾斜部２０を有する。図７に示したように、この傾斜
部２０は、プレート１５に対して適当な角度、例えば３
０゜を形成する斜部２１を有する。この傾斜部２０は、
スプリング・ストッパ１９と同じ方向に傾いている。カ
ム１２及びスプリング１３については、図３及び４を参
照して以下に記載される。カム１２は、軸線Ｘ−Ｘを有
する円筒状の本体２２を有し、その外径は、開口１７の
最小直径に等しい。この本体２２の下側部分は、窓ガラ
スの移動時にカムに作用する力を取り除いて所定位置に
保持するための外側に突出する舌状部２３を支持してい
る。舌状部２３は、開口１７の部分１８と相補的な形状
を有する。

【００１７】舌状部２３は、本体２２の外周の突出する
カラー４０とともに溝２３ａを画成する。カム１２は、
本体２２から外方に延びるラジアル・アーム２４を有す
る。このラジアル・アーム２４の端部は、円弧形状を有
する。ラジアル・アーム２４の内側には、半径方向のス
ロット２５が延びている。このスロット２５は、本体２
２に形成した円形状の溝２７に通じており、トーション
・スプリング１３を収容するよう意図されている。ラジ
アル・アーム２４の下方側に形成されているのは、円弧
状のハウジング２８であり、その深さは、傾斜部２０の
高さよりも大きく、幅も同様である。

【００１８】ハウジング２８の近傍に配置されているの
は、軸線Ｘ−Ｘの方向に配向した略直角状のブラケット
の断面形状を有するタブ２９である。円形状の本体２２
及びラジアル・アーム２４の端部にそれぞれ形成されて
いるのは、ケーブル８を受容するように構成した溝３０
及び３１である。トーション・スプリング１３は、例え
ば９０゜相互にずれた２つの半径方向のタブ３２及び３
３を具備する。このスプリング１３を溝２７に装着した
ときには、タブ３２は、スロット２５に入り込む。この
タブ３２は、その端部が湾曲しており（図３）、カムの
動作中に支持エレメント７の耐腐食コーティングに対す
る損傷を低減し得るように構成されている。

【００１９】カム１２は、舌状部２３をプレート１５の
部分１８に挿入し、突出部１６を回してタブ２９の開口
部分２９ａに入れることによって、支持エレメント７に
取付けられる。これによりカムは、軸線Ｘ−Ｘの周りを
僅かな角度だけ回転することができる。ケーブル８は、
カム１２の溝３０及び３１に装着される。次いで、ケー
ブルは、カム１２の回転により張力が付与され、トーシ
ョン・スプリング１３が押圧される。該張力は、ストッ
パ１９の背部にトーション・スプリング１３のタブ３３
を位置させることによって保持される。

【００２０】従って、トーション・スプリング１３のタ
ブ３２は、傾斜部２０の斜部２１の上を滑動し、ハウジ
ング２８内に入り込む。この組み立て後にあっては、タ
ブ３２は、斜部２１（図７）の下側に引っ掛かる。本装
置は、トーション・スプリング１３及びケーブル８によ
って生じる相対するトルクＣ１及びＣ２の作用の下でカ
ム１２が平衡状態を有するような『不可逆の範囲』にあ
る。

【００２１】トーション・スプリング１３が装置１の外
側に向かってカム１２を押し戻すようにするので、多少
機構的に摩耗しても、ケーブル８は常に引っ張り状態に
ある。逆に、ケーブル８に生じた過剰なトルクは、装置
１の内部に向かってカムを移動させることによって吸収
される。カムの回転方向の動きは、逆止め用の傾斜部２
０に当接するタブ３２によって制限される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理を示す図である。

【図２】ウィンドウ・リフタ機構に組み込まれた本発明
に係るケーブル・テンション装置の一実施形態の上方側
から見た図である。

【図３】図１のテンション装置のカムの、上方側から見
た拡大斜視図である。

【図４】図３のカムの下方側から見た斜視図である。

【図５】図３及び４のカムのための支持エレメントの、
上方側から見た拡大斜視図である。

【図６】カムを支持する支持エレメントの側面図であ
る。

【図７】カムを支持する支持エレメントの逆止め用の手
段の要部拡大図である。

【符号の説明】

７…支持エレメント ８…ケーブル １２…カム １３…トーション・スプリング １５…プレート １６…突出部 １９…ストッパ ２０…傾斜部 ２１…斜部 ２２…本体 ２３…舌状部 ２４…ラジアル・アーム ２５…スロット ２７、３０、３１…溝 ２８…ハウジング ２９、３２、３３…タブ

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１つのケーブル（８）を折り
   返させるための２つのポイントを両端（４、５）に有す
   るレール（３）に関係するケーブル・テンション装置に
   おいて、 レール（３）の一端（４）は、 回動可能なカム（１２）と、 カム（１２）を支持する支持エレメント（７）と、 カム（１２）と同心的であり、角度位置の異なる２つの
   半径方向のタブ（３２、３３）を有するスプリング（１
   ３）、とを含み、 スプリング（１３）の第１のタブ（３３）は、支持エレ
   メント（７）に形成したストッパ（１９）に当接・係合
   し、 スプリング（１３）の第２のタブ（３２）は、カム（１
   ２）の内側に延びており、カムの最初の回転移動時に、
   支持エレメント（７）に配設した逆止め手段（２０）を
   越えてスライドするように構成され、 逆止め手段（２０）は、スプリング（１３）の第１及び
   第２のタブ（３２、３３）が少なくとも逆止め手段（２
   ０）及びストッパ（１９）の間の円弧長さだけ角度的に
   引き離されたときに、第２のタブ（３２）の戻りを阻止
   するように形成され、 ケーブル（８）は、カム（１２）の周囲に形成した溝
   （３０、３１）に係合し、 カム（１２）は、ケーブル（８）及びスプリング（１
   ３）によって生じる相対する力の作用の下で平衡状態と
   なることを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 前記カム（１２）は、旋回ピン（２６）
   から外方に延びるラジアル・アーム（２４）を含み、 スプリング（１３）の第２のタブ（３２）を受容するた
   めに、半径方向のスロット（２５）が形成されることを
   特徴とする請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 前記カム（１２）は、スプリング（１
   ３）を受容するために、旋回ピン（２６）と同心的な溝
   （２７）を有することを特徴とする請求項２記載の装
   置。
4. 【請求項４】 前記逆止め手段（２０）は、支持エレメ
   ント（７）の面に対して所定方向に傾斜する傾斜部であ
   り、スプリング（１３）の第２のタブ（３２）が第１の
   タブ（３３）から所定角度だけ引き離されるときに、第
   ２のタブ（３２）が該傾斜部を乗り越え得るように構成
   されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１
   項記載の装置。
5. 【請求項５】 前記カム（１２）のラジアル・アーム
   （２４）は、逆止め手段（２０）のためのハウジング
   （２８）を含むことを特徴とする請求項２〜４のいずれ
   か１項記載の装置。
6. 【請求項６】 前記スプリング（１３）の第１のタブ
   （３３）及び第２のタブ（３２）は、休止時に、例えば
   略９０゜の角度だけずれていることを特徴とする請求項
   １〜５のいずれか１項記載の装置。
7. 【請求項７】 前記カム（１２）は、ラジアル・アーム
   （２４）が延設された本体（２２）を有し、タブ（２
   ９）によって画成された溝（２９ａ）が形成され、支持
   エレメント（７）の突出部（１６）を受容するように構
   成され、 本体（２２）の周囲には、突出部（１６）が前記溝（２
   ９ａ）に挿入されたと同時に、支持エレメント（７）に
   形成した開口（１７）の縁部を受容し得る溝（２３ａ）
   が配設されていることを特徴とする請求項１〜６のいず
   れか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 前記スプリング（１３）の第２のタブ
   （３２）は、支持エレメント（７）の耐腐食コーティン
   グに損傷を与えにくいように湾曲されていることを特徴
   とする請求項１〜７のいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 前記請求項のいずれか１項記載の装置
   （１）を具備した車両のドア用のウィンドウ・リフタ
   （２）。