JPH09321191A - 熱伝導性高分子成形体 - Google Patents
熱伝導性高分子成形体Info
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- JPH09321191A JPH09321191A JP13851496A JP13851496A JPH09321191A JP H09321191 A JPH09321191 A JP H09321191A JP 13851496 A JP13851496 A JP 13851496A JP 13851496 A JP13851496 A JP 13851496A JP H09321191 A JPH09321191 A JP H09321191A
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- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】熱伝導性に優れ、かつ絶縁性にも優れ、しかも
成形体の柔軟性および耐衝撃性を確保することのできる
熱伝導性高分子成形体を提供する。 【解決手段】高分子材料中に熱伝導性充填剤粒子を含有
させて得られる熱伝導性高分子成形体であって、上記熱
伝導性充填剤粒子の表面がセラミックス系材料で表面被
覆処理されているという構成をとる。
成形体の柔軟性および耐衝撃性を確保することのできる
熱伝導性高分子成形体を提供する。 【解決手段】高分子材料中に熱伝導性充填剤粒子を含有
させて得られる熱伝導性高分子成形体であって、上記熱
伝導性充填剤粒子の表面がセラミックス系材料で表面被
覆処理されているという構成をとる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、エレクト
ロニクス機器に用いられるIC基板、トランジスタ等の
放熱のために用いられる、熱伝導性、絶縁性および柔軟
性に優れた熱伝導性高分子成形体に関するものである。
ロニクス機器に用いられるIC基板、トランジスタ等の
放熱のために用いられる、熱伝導性、絶縁性および柔軟
性に優れた熱伝導性高分子成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、IC基板、トランジスタ等の
エレクトロニクス機器では、使用時の発熱によって、エ
レクトロニクス機器の部品の寿命が短くなることから、
部品と部品との間に熱伝導性に優れた放熱シート等を挟
んで放熱を促すことが行われている。上記放熱シート等
としては、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
等の高分子材料中に高熱伝導率の熱伝導性フィラーや短
繊維(BeO、BN、MgO、Al2 O3 、SiC、A
lN、SiN等)を分散させた高分子成形体が用いられ
ている。
エレクトロニクス機器では、使用時の発熱によって、エ
レクトロニクス機器の部品の寿命が短くなることから、
部品と部品との間に熱伝導性に優れた放熱シート等を挟
んで放熱を促すことが行われている。上記放熱シート等
としては、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
等の高分子材料中に高熱伝導率の熱伝導性フィラーや短
繊維(BeO、BN、MgO、Al2 O3 、SiC、A
lN、SiN等)を分散させた高分子成形体が用いられ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記高
分子成形体において、高熱伝導率を得るためには熱伝導
性フィラー等を多量に添加しなければならず、このよう
な多量添加では、高分子材料本来の特性である柔軟性お
よび耐衝撃性等が大幅に低下してしまうという問題があ
る。そこで、上記熱伝導性フィラー等よりも熱伝導性に
優れた炭素系充填剤(カーボンブラック、グラファイ
ト、炭素繊維、膨張黒鉛等)を用いることも考えられる
が、これらの炭素系充填剤は熱伝導性だけでなく導電性
も高いため、これらを含有させた高分子成形体は電気的
特性(絶縁性)が低下することになり、エレクトロニク
ス機器の放熱材料に用いることはできない。
分子成形体において、高熱伝導率を得るためには熱伝導
性フィラー等を多量に添加しなければならず、このよう
な多量添加では、高分子材料本来の特性である柔軟性お
よび耐衝撃性等が大幅に低下してしまうという問題があ
る。そこで、上記熱伝導性フィラー等よりも熱伝導性に
優れた炭素系充填剤(カーボンブラック、グラファイ
ト、炭素繊維、膨張黒鉛等)を用いることも考えられる
が、これらの炭素系充填剤は熱伝導性だけでなく導電性
も高いため、これらを含有させた高分子成形体は電気的
特性(絶縁性)が低下することになり、エレクトロニク
ス機器の放熱材料に用いることはできない。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、熱伝導性に優れ、かつ絶縁性にも優れ、しかも
高分子材料に由来する柔軟性および耐衝撃性も維持され
ている熱伝導性高分子成形体の提供をその目的とする。
もので、熱伝導性に優れ、かつ絶縁性にも優れ、しかも
高分子材料に由来する柔軟性および耐衝撃性も維持され
ている熱伝導性高分子成形体の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の熱伝導性高分子成形体は、高分子材料中に
熱伝導性充填剤粒子を含有させて得られる熱伝導性高分
子成形体であって、上記熱伝導性充填剤粒子の表面がセ
ラミックス系材料で表面被覆処理されているという構成
をとる。
め、本発明の熱伝導性高分子成形体は、高分子材料中に
熱伝導性充填剤粒子を含有させて得られる熱伝導性高分
子成形体であって、上記熱伝導性充填剤粒子の表面がセ
ラミックス系材料で表面被覆処理されているという構成
をとる。
【0006】なお、本発明において、「セラミックス系
材料」とは、シリカ、アルミナ等のセラミックス材料だ
けでなく、金属アルコキシド、アルコキシド、各種金属
化合物およびその反応生成物を含む総称のことであり、
またその前駆体をも含む趣旨で用いている。
材料」とは、シリカ、アルミナ等のセラミックス材料だ
けでなく、金属アルコキシド、アルコキシド、各種金属
化合物およびその反応生成物を含む総称のことであり、
またその前駆体をも含む趣旨で用いている。
【0007】すなわち、この発明者は、熱伝導性に優
れ、しかも絶縁性に優れた高分子成形体を得るために、
一連の研究を重ねた。そして、その研究の過程で、従来
の熱伝導性粒子には以下に述べる特性があることを突き
止めた。
れ、しかも絶縁性に優れた高分子成形体を得るために、
一連の研究を重ねた。そして、その研究の過程で、従来
の熱伝導性粒子には以下に述べる特性があることを突き
止めた。
【0008】すなわち、図1に示すように、導電性粒子
の場合、熱伝導性充填剤粒子として用いられる物質群1
(各物質の熱伝導率および電気伝導度は特定の値であ
る)は熱伝導性と導電性とが正比例の関係にあり、熱伝
導性に優れる充填剤は導電性にも優れている。そのた
め、熱伝導性に優れた充填剤を含有した高分子成形体は
導電性にも優れるものとなってしまい、エレクトロニク
ス機器の放熱材料として用いることができない。そこ
で、熱伝導性に優れ、しかも絶縁性に優れた熱伝導性高
分子成形体を得るためには、熱伝導性充填剤粒子の表面
をこの熱伝導性充填剤粒子より絶縁性に優れるセラミッ
クス系材料で表面被覆処理させたものを高分子材料中に
含有させればよいことを見いだし、本発明に到達した。
の場合、熱伝導性充填剤粒子として用いられる物質群1
(各物質の熱伝導率および電気伝導度は特定の値であ
る)は熱伝導性と導電性とが正比例の関係にあり、熱伝
導性に優れる充填剤は導電性にも優れている。そのた
め、熱伝導性に優れた充填剤を含有した高分子成形体は
導電性にも優れるものとなってしまい、エレクトロニク
ス機器の放熱材料として用いることができない。そこ
で、熱伝導性に優れ、しかも絶縁性に優れた熱伝導性高
分子成形体を得るためには、熱伝導性充填剤粒子の表面
をこの熱伝導性充填剤粒子より絶縁性に優れるセラミッ
クス系材料で表面被覆処理させたものを高分子材料中に
含有させればよいことを見いだし、本発明に到達した。
【0009】なお、上記熱伝導性充填剤粒子の表面被覆
処理方法として、ゾル・ゲル法を用いることにより、絶
縁性を付与させることができる。
処理方法として、ゾル・ゲル法を用いることにより、絶
縁性を付与させることができる。
【0010】また、上記熱伝導性充填剤として、炭素系
充填剤を用いることにより、より熱伝導性を向上させる
ことができる。
充填剤を用いることにより、より熱伝導性を向上させる
ことができる。
【0011】さらに、上記高分子材料として、シリコー
ンゴムを用いることにより、絶縁性、柔軟性および耐衝
撃性を維持することができる。
ンゴムを用いることにより、絶縁性、柔軟性および耐衝
撃性を維持することができる。
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
いて説明する。
【0012】本発明の熱伝導性高分子成形体は、セラミ
ックス系材料で表面が被覆処理された熱伝導性充填剤粒
子と、高分子材料とを用いて得られる成形体である。
ックス系材料で表面が被覆処理された熱伝導性充填剤粒
子と、高分子材料とを用いて得られる成形体である。
【0013】上記セラミックス系材料としては、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラフェノ
キシシラン、トリメトキシ(メチル)シラン、トリエト
キシ(メチル)シラン、トリメトキシ(フェニル)シラ
ン、トリエトキシ(フェニル)シラン、トリエトキシ
(ビニル)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジヒ
ドロキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラ
ン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ(メチル)
シラン、ジエトキシ(メチル)シラン、ジエトキシ(メ
チル)ビニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジ
エトキシジフェニルシラン、〔N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピル〕(ジメトキシ)メチルシラ
ン、γ−グリシドキシプロピル(ジメトキシ)メチルシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピル(ジメトキシ)メ
チルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリ
メチルシラン、エトキシ(ジメチル)ビニルシラン等の
シリケートや、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、ナトリウム−tert−ブチラート、カリウム
メトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、マグネ
シウムジエトキシド、アルミニウムトリエトキシド、ア
ルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−
n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシ
ド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド、トリメ
トキシボラン、トリエトキシボラン、テトラエチルオル
トチタナート、クロロトリイソプロピルオルトチタナー
ト、テトラ−n−プロピルオルトチタナート、チタニウ
ムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブ
トキシド、ジブチルジメトキシすず、トリメトキシひ
素、トリエトキシひ素、トリ−n−プロポキシひ素、ト
リ−n−ブトキシひ素等のアルコキシド等や、三フッ化
ホウ素−ジエチルエーテル錯体、ブロモ(ジメチルスル
フィド)銅(I)、ヘキサクロロロジウム(III)酸ナ
トリウム二水和物、テトラクロロパラジウム(II)酸カ
リウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム六
水和物、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリウム
二水和物、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサ
フルオロリン酸カリウム、酢酸パラジウム(II)等の錯
体や金属化合物等があげられる。これらは、単独で用い
てもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、高熱
伝導性およびシリコーンゴムとの親和性の点から、アル
ミニウムまたはシリコンのアルコキシドが好適である。
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラフェノ
キシシラン、トリメトキシ(メチル)シラン、トリエト
キシ(メチル)シラン、トリメトキシ(フェニル)シラ
ン、トリエトキシ(フェニル)シラン、トリエトキシ
(ビニル)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジヒ
ドロキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラ
ン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ(メチル)
シラン、ジエトキシ(メチル)シラン、ジエトキシ(メ
チル)ビニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジ
エトキシジフェニルシラン、〔N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピル〕(ジメトキシ)メチルシラ
ン、γ−グリシドキシプロピル(ジメトキシ)メチルシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピル(ジメトキシ)メ
チルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリ
メチルシラン、エトキシ(ジメチル)ビニルシラン等の
シリケートや、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、ナトリウム−tert−ブチラート、カリウム
メトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、マグネ
シウムジエトキシド、アルミニウムトリエトキシド、ア
ルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−
n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシ
ド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド、トリメ
トキシボラン、トリエトキシボラン、テトラエチルオル
トチタナート、クロロトリイソプロピルオルトチタナー
ト、テトラ−n−プロピルオルトチタナート、チタニウ
ムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブ
トキシド、ジブチルジメトキシすず、トリメトキシひ
素、トリエトキシひ素、トリ−n−プロポキシひ素、ト
リ−n−ブトキシひ素等のアルコキシド等や、三フッ化
ホウ素−ジエチルエーテル錯体、ブロモ(ジメチルスル
フィド)銅(I)、ヘキサクロロロジウム(III)酸ナ
トリウム二水和物、テトラクロロパラジウム(II)酸カ
リウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム六
水和物、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリウム
二水和物、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサ
フルオロリン酸カリウム、酢酸パラジウム(II)等の錯
体や金属化合物等があげられる。これらは、単独で用い
てもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、高熱
伝導性およびシリコーンゴムとの親和性の点から、アル
ミニウムまたはシリコンのアルコキシドが好適である。
【0014】そして、上記熱伝導性充填剤粒子として
は、グラファイト(高純度黒鉛、膨張黒鉛)や炭素繊維
等の炭素系充填剤、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニ
ウム(AlN)、マイカ、酸化ベリリウム(BeO)、
酸化アルミニウム(Al2 O3)、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO
2)、シリカ(SiO2 )等の無機物や金属酸化物、ニ
ッケル(Ni)等の金属材料等が用いられる。これら
は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なかでも、熱伝導性に優れ、かつ軽量で柔らかいグラフ
ァイトが好適である。
は、グラファイト(高純度黒鉛、膨張黒鉛)や炭素繊維
等の炭素系充填剤、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニ
ウム(AlN)、マイカ、酸化ベリリウム(BeO)、
酸化アルミニウム(Al2 O3)、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO
2)、シリカ(SiO2 )等の無機物や金属酸化物、ニ
ッケル(Ni)等の金属材料等が用いられる。これら
は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なかでも、熱伝導性に優れ、かつ軽量で柔らかいグラフ
ァイトが好適である。
【0015】また、このような熱伝導性粒子の粒径は、
製造時の取り扱い性をよくするため、例えば高純度黒鉛
(炭素含有量99%以上)の場合、6〜100μmが好
ましく、より好ましくは10〜40μmである。さら
に、膨張黒鉛の場合、20〜600μmが好ましく、よ
り好ましくは、40〜400μmである。また炭素繊維
の場合は、アスペクト比(長さ/直径)が5〜50が好
ましく、より好ましくは7〜30である。
製造時の取り扱い性をよくするため、例えば高純度黒鉛
(炭素含有量99%以上)の場合、6〜100μmが好
ましく、より好ましくは10〜40μmである。さら
に、膨張黒鉛の場合、20〜600μmが好ましく、よ
り好ましくは、40〜400μmである。また炭素繊維
の場合は、アスペクト比(長さ/直径)が5〜50が好
ましく、より好ましくは7〜30である。
【0016】さらに、上記高分子材料としては、ポリプ
ロピレン、ブチルゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリメ
タクリル酸メチル、イソプレンゴム、クロロプレンゴ
ム、シリコーンゴム、ナイロン、変性ポリフェニレンエ
ーテル、ポリオキシエチレン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリウレタン、ポリビスフェノールカーボネー
ト、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フェノール硬化型エポキシ樹脂、シリコー
ン変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、フェノール樹
脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂、あるいは2液硬化型
エポキシ系接着剤等の接着剤等が用いられる。また、こ
れらを単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよ
い。なかでも、絶縁破壊強度が大きく、かつ柔軟性にも
優れるシリコーンゴムが好ましい。
ロピレン、ブチルゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリメ
タクリル酸メチル、イソプレンゴム、クロロプレンゴ
ム、シリコーンゴム、ナイロン、変性ポリフェニレンエ
ーテル、ポリオキシエチレン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリウレタン、ポリビスフェノールカーボネー
ト、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フェノール硬化型エポキシ樹脂、シリコー
ン変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、フェノール樹
脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂、あるいは2液硬化型
エポキシ系接着剤等の接着剤等が用いられる。また、こ
れらを単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよ
い。なかでも、絶縁破壊強度が大きく、かつ柔軟性にも
優れるシリコーンゴムが好ましい。
【0017】本発明の熱伝導性高分子成形体は、これら
の材料を用い、例えばつぎのようにして作製することが
できる。すなわち、まず、熱伝導性充填剤粒子の表面を
セラミックス系材料で表面被覆処理する。この表面被覆
処理方法としては、例えばセラミックス系材料をプロパ
ノール、エタノール、メタノール等の溶媒で溶解または
希釈した溶液に水分を加え、セラミックス系材料(例え
ば、金属アルコキシド等)を加水分解して作った希薄ゾ
ルに熱伝導性充填剤粒子を加え、乾燥し、加熱するとい
う方法(ゾル・ゲル法)が用いられる。この表面被覆処
理方法を用いることにより、図1に示すように、粒子自
体の優れた熱伝導性を備えたまま絶縁性に優れた熱伝導
性充填剤粒子7を得ることができる。なお、熱伝導性充
填剤粒子に対し、所定厚みの被覆層が形成されるよう
に、セラミックス系材料の配合量は、上記熱伝導性充填
剤1cm3 に対し、1×10-3〜1×10-2molの範
囲に設定されていることが好ましい。そして、上記希薄
ゾルに熱伝導性充填剤粒子を加えることにより熱伝導性
充填剤粒子表面においてゾルの縮重合を進行させ、乾燥
し、加熱(焼成)し、酸・水酸化物を固着させる。この
反応は、下記の式(1)で示すことができる。そして、
熱伝導性充填剤粒子の表面はこの反応で得られたセラミ
ックス系材料(最終生成物および前駆体)で表面被覆処
理されている。なお、この際、未反応の前駆体が残って
いると、触媒としての酸等も残っていることになり、こ
の酸が成形時に発泡するおそれがあるため、最終生成物
のみで熱伝導性充填剤粒子の表面が被覆されていること
が好ましい。
の材料を用い、例えばつぎのようにして作製することが
できる。すなわち、まず、熱伝導性充填剤粒子の表面を
セラミックス系材料で表面被覆処理する。この表面被覆
処理方法としては、例えばセラミックス系材料をプロパ
ノール、エタノール、メタノール等の溶媒で溶解または
希釈した溶液に水分を加え、セラミックス系材料(例え
ば、金属アルコキシド等)を加水分解して作った希薄ゾ
ルに熱伝導性充填剤粒子を加え、乾燥し、加熱するとい
う方法(ゾル・ゲル法)が用いられる。この表面被覆処
理方法を用いることにより、図1に示すように、粒子自
体の優れた熱伝導性を備えたまま絶縁性に優れた熱伝導
性充填剤粒子7を得ることができる。なお、熱伝導性充
填剤粒子に対し、所定厚みの被覆層が形成されるよう
に、セラミックス系材料の配合量は、上記熱伝導性充填
剤1cm3 に対し、1×10-3〜1×10-2molの範
囲に設定されていることが好ましい。そして、上記希薄
ゾルに熱伝導性充填剤粒子を加えることにより熱伝導性
充填剤粒子表面においてゾルの縮重合を進行させ、乾燥
し、加熱(焼成)し、酸・水酸化物を固着させる。この
反応は、下記の式(1)で示すことができる。そして、
熱伝導性充填剤粒子の表面はこの反応で得られたセラミ
ックス系材料(最終生成物および前駆体)で表面被覆処
理されている。なお、この際、未反応の前駆体が残って
いると、触媒としての酸等も残っていることになり、こ
の酸が成形時に発泡するおそれがあるため、最終生成物
のみで熱伝導性充填剤粒子の表面が被覆されていること
が好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】なお、上記表面被覆方法以外にコンバージ
ョン法、ハイブリダイゼーション法が用いられる。しか
しながら、容易に均一な薄膜を作製できる点から、ゾル
・ゲル方が好ましい。
ョン法、ハイブリダイゼーション法が用いられる。しか
しながら、容易に均一な薄膜を作製できる点から、ゾル
・ゲル方が好ましい。
【0020】つぎに、上記表面被覆処理した熱伝導性充
填剤をミル等を用いて高分子材料マトリックスに分散さ
せる。なお、上記表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子
は均一に分散されていることが好ましい。すなわち、図
2に示すように、高分子材料2中に、表面被覆処理した
熱伝導性充填剤粒子3同士が接触した状態のものが多い
と図3に示す曲線4のようになり、充分な熱伝導性(充
分な添加量)を得る前に絶縁性を確保できなくなるおそ
れがある。これに対して、表面被覆処理した熱伝導性充
填剤粒子3同士が接触した状態でない均一分散のものは
図3に示す曲線5のようになり、絶縁性を維持しながら
充分な熱伝導性(充分な添加量)が得られるため、添加
量を調整することで容易に熱伝導性を制御することがで
きる。
填剤をミル等を用いて高分子材料マトリックスに分散さ
せる。なお、上記表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子
は均一に分散されていることが好ましい。すなわち、図
2に示すように、高分子材料2中に、表面被覆処理した
熱伝導性充填剤粒子3同士が接触した状態のものが多い
と図3に示す曲線4のようになり、充分な熱伝導性(充
分な添加量)を得る前に絶縁性を確保できなくなるおそ
れがある。これに対して、表面被覆処理した熱伝導性充
填剤粒子3同士が接触した状態でない均一分散のものは
図3に示す曲線5のようになり、絶縁性を維持しながら
充分な熱伝導性(充分な添加量)が得られるため、添加
量を調整することで容易に熱伝導性を制御することがで
きる。
【0021】なお、表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒
子3を均一に分散させるには、表面被覆処理した熱伝導
性充填剤粒子3の体積分率〔表面被覆処理した熱伝導性
充填剤粒子3の容量/(高分子材料2の容量+表面被覆
処理した熱伝導性充填剤粒子3の容量)〕を、0.05
〜0.23の範囲に設定することが好ましい。より好ま
しくは、0.1〜0.16である。すなわち、0.05
未満であると、高熱伝導率を得られないおそれがあり、
0.23を超えると、絶縁性を確保できないうえに柔軟
性が失われるおそれがあるからである。
子3を均一に分散させるには、表面被覆処理した熱伝導
性充填剤粒子3の体積分率〔表面被覆処理した熱伝導性
充填剤粒子3の容量/(高分子材料2の容量+表面被覆
処理した熱伝導性充填剤粒子3の容量)〕を、0.05
〜0.23の範囲に設定することが好ましい。より好ま
しくは、0.1〜0.16である。すなわち、0.05
未満であると、高熱伝導率を得られないおそれがあり、
0.23を超えると、絶縁性を確保できないうえに柔軟
性が失われるおそれがあるからである。
【0022】このようにして、表面被覆処理した熱伝導
性充填剤粒子3を分散した高分子材料を、従来公知の適
宜の方法で硬化成形させることにより目的とする熱伝導
性高分子成形体6を得ることができる。
性充填剤粒子3を分散した高分子材料を、従来公知の適
宜の方法で硬化成形させることにより目的とする熱伝導
性高分子成形体6を得ることができる。
【0023】本発明の熱伝導性高分子成形体は、上記特
殊な熱伝導性充填剤粒子が高分子材料からなる高分子マ
トリックス中に分散されているため、粒子自体の熱伝導
性と、セラミックス系材料の絶縁性がともに発揮され
る。したがって、絶縁性および熱伝導性の双方に優れて
いる。さらに、高い熱伝導性を有する充填剤材料を選択
することができるため、熱伝導率の低い充填剤を多量に
用いなくともよく、マトリックスとなる高分子材料の柔
軟性および耐衝撃性が損なわれることがないという利点
を有する。
殊な熱伝導性充填剤粒子が高分子材料からなる高分子マ
トリックス中に分散されているため、粒子自体の熱伝導
性と、セラミックス系材料の絶縁性がともに発揮され
る。したがって、絶縁性および熱伝導性の双方に優れて
いる。さらに、高い熱伝導性を有する充填剤材料を選択
することができるため、熱伝導率の低い充填剤を多量に
用いなくともよく、マトリックスとなる高分子材料の柔
軟性および耐衝撃性が損なわれることがないという利点
を有する。
【0024】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
明する。
【0025】
【実施例1〜3】アルミニウムトリイソプロポキシド3
8gを80℃の2−プロパノール200gに溶解した
後、攪拌しながら69%硝酸1.7gと蒸留水6.7g
および2−プロパノール200gの混合物を滴下し、ア
ルミナゾルを調製した。そして、このアルミナゾルに高
純度黒鉛(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μ
m、炭素含量99.5%)100g(44.4cm3 )
を投入し室温で2時間攪拌してスラリー状混合物を得
た。このスラリー状混合物を150℃で5時間乾燥し、
ついで一部固形化したものを粉砕し、さらに150℃で
3時間真空乾燥してアルミナゲルで表面が被覆された高
純度黒鉛を得た。ついで、このアルミナゲルで表面被覆
処理した高純度黒鉛を液状シリコーンゴム(東芝シリコ
ーン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bと
を1:1で混合したもの)中に下記の表1に示す体積分
率となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100
℃で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシー
ト状の熱伝導性高分子シートを作製した。
8gを80℃の2−プロパノール200gに溶解した
後、攪拌しながら69%硝酸1.7gと蒸留水6.7g
および2−プロパノール200gの混合物を滴下し、ア
ルミナゾルを調製した。そして、このアルミナゾルに高
純度黒鉛(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μ
m、炭素含量99.5%)100g(44.4cm3 )
を投入し室温で2時間攪拌してスラリー状混合物を得
た。このスラリー状混合物を150℃で5時間乾燥し、
ついで一部固形化したものを粉砕し、さらに150℃で
3時間真空乾燥してアルミナゲルで表面が被覆された高
純度黒鉛を得た。ついで、このアルミナゲルで表面被覆
処理した高純度黒鉛を液状シリコーンゴム(東芝シリコ
ーン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bと
を1:1で混合したもの)中に下記の表1に示す体積分
率となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100
℃で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシー
ト状の熱伝導性高分子シートを作製した。
【0026】
【実施例4〜7、比較例1〜4】実施例1と同様にし
て、スラリー状混合物を得た。このスラリー状混合物を
150℃で5時間乾燥後、一部固形化したものを粉砕し
て、150℃で3時間真空乾燥した粉末を昇温速度10
0℃/hで650℃まで加熱しその温度で2時間保持し
た後冷却し、アルミナで表面被覆処理した高純度黒鉛を
得た。ついで、このアルミナで表面被覆処理した高純度
黒鉛を液状シリコーンゴム(東芝シリコーン社製のTS
E−3033AとTSE−3033Bとを1:1で混合
したもの)中に下記の表2および表3に示す体積分率と
なるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100℃で
15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシート状
の熱伝導性高分子シートを作製した。
て、スラリー状混合物を得た。このスラリー状混合物を
150℃で5時間乾燥後、一部固形化したものを粉砕し
て、150℃で3時間真空乾燥した粉末を昇温速度10
0℃/hで650℃まで加熱しその温度で2時間保持し
た後冷却し、アルミナで表面被覆処理した高純度黒鉛を
得た。ついで、このアルミナで表面被覆処理した高純度
黒鉛を液状シリコーンゴム(東芝シリコーン社製のTS
E−3033AとTSE−3033Bとを1:1で混合
したもの)中に下記の表2および表3に示す体積分率と
なるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100℃で
15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシート状
の熱伝導性高分子シートを作製した。
【0027】
【実施例8〜10】実施例1と同様にして、アルミナゾ
ルを調製した。このアルミナゾルに炭素繊維(ペトカ社
製、10μm×70μm、アスペクト比:7)100g
(48.5cm3 )を投入し室温で2時間攪拌してスラ
リー状混合物を得た。このスラリー状混合物を150℃
で5時間乾燥し、さらに150℃で3時間真空乾燥し、
その後昇温速度100℃/hで650℃まで加熱しその
温度で2時間保持して冷却し、アルミナで表面被覆処理
した炭素繊維を得た。ついで、このアルミナで表面被覆
処理した炭素繊維を液状シリコーンゴム(東芝シリコー
ン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bとを
1:1で混合したもの)中に下記の表4に示す体積分率
となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100℃
で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシート
状の熱伝導性高分子シートを作製した。
ルを調製した。このアルミナゾルに炭素繊維(ペトカ社
製、10μm×70μm、アスペクト比:7)100g
(48.5cm3 )を投入し室温で2時間攪拌してスラ
リー状混合物を得た。このスラリー状混合物を150℃
で5時間乾燥し、さらに150℃で3時間真空乾燥し、
その後昇温速度100℃/hで650℃まで加熱しその
温度で2時間保持して冷却し、アルミナで表面被覆処理
した炭素繊維を得た。ついで、このアルミナで表面被覆
処理した炭素繊維を液状シリコーンゴム(東芝シリコー
ン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bとを
1:1で混合したもの)中に下記の表4に示す体積分率
となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100℃
で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシート
状の熱伝導性高分子シートを作製した。
【0028】
【比較例5〜11】表面被覆処理されていない高純度黒
鉛(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μm、炭素
含量99.5%)を液状のシリコーンゴム(東芝シリコ
ーン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bと
を1:1で混合したもの)中に下記の表5に示す体積分
率となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100
℃で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシー
ト状の熱伝導性高分子シートを作製した。
鉛(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μm、炭素
含量99.5%)を液状のシリコーンゴム(東芝シリコ
ーン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bと
を1:1で混合したもの)中に下記の表5に示す体積分
率となるよう配合し、ミルにより均一に混合し、100
℃で15分間加熱硬化させて50×50×2mmのシー
ト状の熱伝導性高分子シートを作製した。
【0029】
【比較例12〜18】表面被覆処理されていないアルミ
ナ(昭和電工社製、AS−30)を液状のシリコーンゴ
ム(東芝シリコーン社製のTSE−3033AとTSE
−3033Bとを1:1で混合したもの)中に下記の表
6に示す体積分率となるよう配合し、ミルにより均一に
混合し、100℃で15分間加熱硬化させて50×50
×2mmのシート状の熱伝導性高分子シートを作製し
た。
ナ(昭和電工社製、AS−30)を液状のシリコーンゴ
ム(東芝シリコーン社製のTSE−3033AとTSE
−3033Bとを1:1で混合したもの)中に下記の表
6に示す体積分率となるよう配合し、ミルにより均一に
混合し、100℃で15分間加熱硬化させて50×50
×2mmのシート状の熱伝導性高分子シートを作製し
た。
【0030】上記実施例1品〜10品および比較例1品
〜18品の熱伝導性高分子シートの熱伝導率、電気伝導
度を測定し、その結果を下記の表1〜表6に示した。な
お、各測定方法は以下の通りである。
〜18品の熱伝導性高分子シートの熱伝導率、電気伝導
度を測定し、その結果を下記の表1〜表6に示した。な
お、各測定方法は以下の通りである。
【0031】〔熱伝導率〕定常法(ガーデッドホットプ
レート法)により、測定温度60℃で測定した。
レート法)により、測定温度60℃で測定した。
【0032】〔電気伝導度〕KEITHLEY237を
用い、体積方向に電圧(0.1〜100V)を印加し、
そのときの電流値から計算して求めた。
用い、体積方向に電圧(0.1〜100V)を印加し、
そのときの電流値から計算して求めた。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】なお、比較例3品、4品、10品、11
品、17品、18品について、手触により熱伝導性高分
子成形体の柔軟性を調べてみたが、いずれも柔軟性に乏
しかった。
品、17品、18品について、手触により熱伝導性高分
子成形体の柔軟性を調べてみたが、いずれも柔軟性に乏
しかった。
【0040】上記結果から、実施例1品〜10品は全
て、熱伝導性に優れかつ絶縁性にも優れている。しか
も、熱伝導性充填剤粒子の配合量が比較的少ないため、
熱伝導性高分子成形体の柔軟性も損なわれていない。こ
れに対して、比較例2品〜4品は、表面被覆処理した熱
伝導性充填剤を多量に含有させたため、優れた熱伝導率
を示すが電気伝導度も高くなってしまい絶縁性を確保で
きていない。さらに、比較例5品〜11品は、表面被覆
処理されていない熱伝導性充填剤粒子(高純度黒鉛)が
高分子材料中に分散されているため、熱伝導性には優れ
るものの、絶縁性が確保できていない。また、比較例1
2品〜18品は、表面被覆処理に用いるセラミックス系
材料そのもの(アルミナ)を熱伝導性充填剤粒子として
用いているが、充分な熱伝導性が得られていないし、多
量に添加したものは、熱伝導性高分子成形体の柔軟性も
損なわれている。
て、熱伝導性に優れかつ絶縁性にも優れている。しか
も、熱伝導性充填剤粒子の配合量が比較的少ないため、
熱伝導性高分子成形体の柔軟性も損なわれていない。こ
れに対して、比較例2品〜4品は、表面被覆処理した熱
伝導性充填剤を多量に含有させたため、優れた熱伝導率
を示すが電気伝導度も高くなってしまい絶縁性を確保で
きていない。さらに、比較例5品〜11品は、表面被覆
処理されていない熱伝導性充填剤粒子(高純度黒鉛)が
高分子材料中に分散されているため、熱伝導性には優れ
るものの、絶縁性が確保できていない。また、比較例1
2品〜18品は、表面被覆処理に用いるセラミックス系
材料そのもの(アルミナ)を熱伝導性充填剤粒子として
用いているが、充分な熱伝導性が得られていないし、多
量に添加したものは、熱伝導性高分子成形体の柔軟性も
損なわれている。
【0041】そして、実施例4〜7および比較例1〜4
のそれぞれについて体積分率と電気伝導度とをプロット
した曲線をAとし、比較例5〜11のそれぞれについて
曲線Aと同様にしてプロットした曲線をBとし、比較例
12〜18のそれぞれについて曲線Aと同様にしてプロ
ットした曲線をCとして、図4に示した。
のそれぞれについて体積分率と電気伝導度とをプロット
した曲線をAとし、比較例5〜11のそれぞれについて
曲線Aと同様にしてプロットした曲線をBとし、比較例
12〜18のそれぞれについて曲線Aと同様にしてプロ
ットした曲線をCとして、図4に示した。
【0042】上記図4から、表面被覆処理した熱伝導性
充填剤粒子(アルミナで表面被覆処理した高純度黒鉛)
を高分子材料中に分散させた曲線Aは、体積分率が0.
16となるまで電気伝導度の低い(絶縁性に優れる)熱
伝導性高分子成形体を得ることができている。しかしな
がら、体積分率が0.17を超えると電気伝導度が急激
に上昇して絶縁性を確保できない。
充填剤粒子(アルミナで表面被覆処理した高純度黒鉛)
を高分子材料中に分散させた曲線Aは、体積分率が0.
16となるまで電気伝導度の低い(絶縁性に優れる)熱
伝導性高分子成形体を得ることができている。しかしな
がら、体積分率が0.17を超えると電気伝導度が急激
に上昇して絶縁性を確保できない。
【0043】また、表面被覆処理されていない熱伝導性
充填剤粒子(高純度黒鉛)を高分子材料中に分散させた
場合の曲線Bは、わずかな体積分率の増加で電気伝導度
も増加してしまい、絶縁性を確保できない。
充填剤粒子(高純度黒鉛)を高分子材料中に分散させた
場合の曲線Bは、わずかな体積分率の増加で電気伝導度
も増加してしまい、絶縁性を確保できない。
【0044】さらに、表面被覆処理に用いられたセラミ
ックス系材料(アルミナ)を高分子材料中に分散させた
場合の曲線Cは、電気伝導度は充分に低く絶縁性を確保
している。しかしながら、表6より、体積分率が小さい
場合は、熱伝導性が不充分であり、また体積分率が大き
い場合は、熱伝導性高分子成形体の柔軟性が不充分であ
る。
ックス系材料(アルミナ)を高分子材料中に分散させた
場合の曲線Cは、電気伝導度は充分に低く絶縁性を確保
している。しかしながら、表6より、体積分率が小さい
場合は、熱伝導性が不充分であり、また体積分率が大き
い場合は、熱伝導性高分子成形体の柔軟性が不充分であ
る。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱伝導性高分子
成形体は、セラミックス系材料で表面被覆処理した熱伝
導性充填剤粒子が高分子材料からなる高分子マトリック
ス中に分散されているため、熱伝導性充填剤粒子の優れ
た熱伝導性と、セラミックス系材料の絶縁性とがともに
発揮される。したがって、本発明の熱伝導性高分子成形
体は、熱伝導性および絶縁性に優れている。さらに、高
い熱伝導性を有する充填剤材料を選択できるため、所定
の熱伝導性を得るために低熱伝導性充填剤を多量に用い
なくともよいので、高分子材料の本来の特性である柔軟
性および耐衝撃性が損なわれることがない。
成形体は、セラミックス系材料で表面被覆処理した熱伝
導性充填剤粒子が高分子材料からなる高分子マトリック
ス中に分散されているため、熱伝導性充填剤粒子の優れ
た熱伝導性と、セラミックス系材料の絶縁性とがともに
発揮される。したがって、本発明の熱伝導性高分子成形
体は、熱伝導性および絶縁性に優れている。さらに、高
い熱伝導性を有する充填剤材料を選択できるため、所定
の熱伝導性を得るために低熱伝導性充填剤を多量に用い
なくともよいので、高分子材料の本来の特性である柔軟
性および耐衝撃性が損なわれることがない。
【0046】特に、本発明の熱伝導性高分子成形体にお
いて、熱伝導性充填剤粒子をゾル・ゲル法によって表面
被覆処理することにより、熱伝導性充填剤粒子表面上に
均一な薄膜を容易に作製することができ、しかもより絶
縁性に優れた熱伝導性高分子成形体を得ることができ
る。
いて、熱伝導性充填剤粒子をゾル・ゲル法によって表面
被覆処理することにより、熱伝導性充填剤粒子表面上に
均一な薄膜を容易に作製することができ、しかもより絶
縁性に優れた熱伝導性高分子成形体を得ることができ
る。
【0047】また、上記熱伝導性充填剤として、炭素系
充填剤を用いることにより、より熱伝導性に優れた熱伝
導性高分子成形体を得ることができる。
充填剤を用いることにより、より熱伝導性に優れた熱伝
導性高分子成形体を得ることができる。
【0048】さらに、上記高分子材料として、シリコー
ンゴムを用いることにより、柔軟性および耐衝撃性に優
れた熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
ンゴムを用いることにより、柔軟性および耐衝撃性に優
れた熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【図1】一般的な物質の導電性および熱伝導性の関係を
示す図である。
示す図である。
【図2】高分子材料中の熱伝導性充填剤粒子の態様を示
す説明図である。
す説明図である。
【図3】高分子材料中への熱伝導性充填剤粒子の添加量
と導電性を示す図である。
と導電性を示す図である。
【図4】シリコーンゴム中にアルミナで表面被覆処理し
た高純度黒鉛、高純度黒鉛、アルミナそれぞれを分散さ
せた場合について、体積分率−電気伝導度の関係を示す
図である。
た高純度黒鉛、高純度黒鉛、アルミナそれぞれを分散さ
せた場合について、体積分率−電気伝導度の関係を示す
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 高分子材料中に熱伝導性充填剤粒子を含
有させて得られる熱伝導性高分子成形体であって、上記
熱伝導性充填剤粒子の表面がセラミックス系材料で表面
被覆処理されていることを特徴とする熱伝導性高分子成
形体。 - 【請求項2】 上記表面被覆処理がゾル・ゲル法である
請求項1記載の熱伝導性高分子成形体。 - 【請求項3】 上記熱伝導性充填剤が炭素系充填剤であ
る請求項1または2記載の熱伝導性高分子成形体。 - 【請求項4】 上記高分子材料がシリコーンゴムである
請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成
形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13851496A JPH09321191A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13851496A JPH09321191A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09321191A true JPH09321191A (ja) | 1997-12-12 |
Family
ID=15223933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13851496A Pending JPH09321191A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09321191A (ja) |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1996
- 1996-05-31 JP JP13851496A patent/JPH09321191A/ja active Pending
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