JPH09324298A - Al又はAl合金の表面処理方法 - Google Patents
Al又はAl合金の表面処理方法Info
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- JPH09324298A JPH09324298A JP16389596A JP16389596A JPH09324298A JP H09324298 A JPH09324298 A JP H09324298A JP 16389596 A JP16389596 A JP 16389596A JP 16389596 A JP16389596 A JP 16389596A JP H09324298 A JPH09324298 A JP H09324298A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 トンネルピットの形成を向上させて、後に、
例えば、めっきを行う際にその接着面積を増大させると
ともにアンカー効果を増大させてめっきの密着性を向上
させるAl又はAl合金の表面処理方法を提供すること。 【解決手段】 Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で
電解エッチングすることを特徴とするAl又はAl合金の表
面処理方法である。
例えば、めっきを行う際にその接着面積を増大させると
ともにアンカー効果を増大させてめっきの密着性を向上
させるAl又はAl合金の表面処理方法を提供すること。 【解決手段】 Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で
電解エッチングすることを特徴とするAl又はAl合金の表
面処理方法である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はAl又はAl合金の表面処
理方法に関し、例えば、中間層を用いずにAl又はAl合金
の表面にめっきを施す場合の前処理として使用されるも
のである。
理方法に関し、例えば、中間層を用いずにAl又はAl合金
の表面にめっきを施す場合の前処理として使用されるも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来におけるこの種のAl又はAl合金のめ
っき方法は、発明者の一人が関わったものであり、Al又
はAl合金をアルカリ性又は酸性の電解液中で対極との間
に正又は負の電圧を交互に印加させ、陽極時にわずかに
被処理金属の表面を溶解して酸化被膜を除去し、陰極時
に負電流によって水素を発生させ、酸化被膜を破壊させ
るとともに還元性雰囲気において活性化させることを繰
り返して密着性および光沢等の優れたメッキ被膜を得て
いた(特公平2- 40751号)。
っき方法は、発明者の一人が関わったものであり、Al又
はAl合金をアルカリ性又は酸性の電解液中で対極との間
に正又は負の電圧を交互に印加させ、陽極時にわずかに
被処理金属の表面を溶解して酸化被膜を除去し、陰極時
に負電流によって水素を発生させ、酸化被膜を破壊させ
るとともに還元性雰囲気において活性化させることを繰
り返して密着性および光沢等の優れたメッキ被膜を得て
いた(特公平2- 40751号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のAl又はAl合金のめっき方法は、電解活性化によっ
て多くのAl合金に密着性の良いめっきが得られるが、強
固な酸化被膜の発生しやすい純Al系、耐食Al合金系のめ
っきにおいては苛酷な使用条件に耐えられないものもあ
り、また、応力の大きな厚いめっきにおいて密着性が充
分でない場合も存在するという不都合を有した。
従来のAl又はAl合金のめっき方法は、電解活性化によっ
て多くのAl合金に密着性の良いめっきが得られるが、強
固な酸化被膜の発生しやすい純Al系、耐食Al合金系のめ
っきにおいては苛酷な使用条件に耐えられないものもあ
り、また、応力の大きな厚いめっきにおいて密着性が充
分でない場合も存在するという不都合を有した。
【0004】この発明の課題はかかる不都合を解消する
ことである。
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、この発明に係るAl又はAl合金の表面処理方法におい
ては、Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で電解エッ
チングするものであるため、金相学的に同一状態ではな
く電気化学的に貴の部分と卑の部分とが存在するAlにお
いて、部分的に電流の集中する部分ができ、直径3μm
以下の円筒状の微細なトンネルピットが無数にAl表面か
ら内部に向かって略垂直に成長する(図1を参照のこ
と)。このトンネルピットの生成による表面積の増大は
10倍以上となるため、めっきをした場合、めっきの接着
面積が著しく大きくなるため密着力が向上する。さら
に、トンネルピット内に容易にめっきが析出して無数の
アンカーができ(図2を参照のこと)、接着面積の増大
とアンカー効果との相乗効果によって密着性の劣るAl又
はAl合金において内部応力などの大きな剥離しやすいめ
っきでも優れた密着性が得られる。
に、この発明に係るAl又はAl合金の表面処理方法におい
ては、Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で電解エッ
チングするものであるため、金相学的に同一状態ではな
く電気化学的に貴の部分と卑の部分とが存在するAlにお
いて、部分的に電流の集中する部分ができ、直径3μm
以下の円筒状の微細なトンネルピットが無数にAl表面か
ら内部に向かって略垂直に成長する(図1を参照のこ
と)。このトンネルピットの生成による表面積の増大は
10倍以上となるため、めっきをした場合、めっきの接着
面積が著しく大きくなるため密着力が向上する。さら
に、トンネルピット内に容易にめっきが析出して無数の
アンカーができ(図2を参照のこと)、接着面積の増大
とアンカー効果との相乗効果によって密着性の劣るAl又
はAl合金において内部応力などの大きな剥離しやすいめ
っきでも優れた密着性が得られる。
【0006】また、Al又はAl合金と対極との間に正又は
負の電圧を交互に印加すれば、その印加の変換回数と同
じ回数のエッチングと還元の繰り返しとなるため、微視
的には陽極の瞬間には塩素イオンを含む電解液によって
腐蝕作用を受けるが、陰極となった瞬間にはその個所の
エッチッグが停止し、水素ガスが発生するので、次のサ
イクルで陽極になっても別の個所がエッチングされる。
その結果、正又は負の電圧を交互に印加した方が、交互
に印加しない場合に比し、微細なトンネルピットが生成
し、表面積も20〜30倍程度となり、さらに、めっきをし
た場合、その接着面積が増加し、密着力が向上する。さ
らに、陰極時に発生する水素ガスによりわずかに生成し
た酸化被膜が破壊されるとともに還元性雰囲気において
活性化が促進され密着性がさらに向上する。
負の電圧を交互に印加すれば、その印加の変換回数と同
じ回数のエッチングと還元の繰り返しとなるため、微視
的には陽極の瞬間には塩素イオンを含む電解液によって
腐蝕作用を受けるが、陰極となった瞬間にはその個所の
エッチッグが停止し、水素ガスが発生するので、次のサ
イクルで陽極になっても別の個所がエッチングされる。
その結果、正又は負の電圧を交互に印加した方が、交互
に印加しない場合に比し、微細なトンネルピットが生成
し、表面積も20〜30倍程度となり、さらに、めっきをし
た場合、その接着面積が増加し、密着力が向上する。さ
らに、陰極時に発生する水素ガスによりわずかに生成し
た酸化被膜が破壊されるとともに還元性雰囲気において
活性化が促進され密着性がさらに向上する。
【0007】さらに、正又は負の電圧の印加比率を変化
可能とすれば、図3に示すように、印加電圧の比率を変
化させることによって、エッチング及び水素ガスの発生
の還元効果を調整し、素材の種類及びめっきの種類に適
した表面状態に調整することができる。
可能とすれば、図3に示すように、印加電圧の比率を変
化させることによって、エッチング及び水素ガスの発生
の還元効果を調整し、素材の種類及びめっきの種類に適
した表面状態に調整することができる。
【0008】
【実施の態様】この発明に係るAl又はAl合金の表面処理
方法において、塩素イオンを含む溶液とは、塩酸,塩化
ナトリウム,塩化アンモニウム等の塩素原子を含む酸,
アルカリ,塩類又はこれらの混合溶液を使用するもので
ある。
方法において、塩素イオンを含む溶液とは、塩酸,塩化
ナトリウム,塩化アンモニウム等の塩素原子を含む酸,
アルカリ,塩類又はこれらの混合溶液を使用するもので
ある。
【0009】また、正又は負の電圧を交互に印加する方
法としては、例えば、交流を使用する。この場合、その
サイクル数が印加の変換回数となる。
法としては、例えば、交流を使用する。この場合、その
サイクル数が印加の変換回数となる。
【0010】さらに、正又は負の電圧の印加比率は、正
負の保持時間,正負の電圧の大きさなどによって調整す
る。
負の保持時間,正負の電圧の大きさなどによって調整す
る。
【0011】
【実施例】以下、実施例を説明するが、各試験結果を示
す表中において、〇印は密着不良を起こすものは認めら
れなかった場合、△印は密着不良を起こすものも認めら
れた場合、×印は殆どのものが密着不良であった場合を
示している。
す表中において、〇印は密着不良を起こすものは認めら
れなかった場合、△印は密着不良を起こすものも認めら
れた場合、×印は殆どのものが密着不良であった場合を
示している。
【0012】(実施例1)ADC12を炭酸ナトリウム 1
00g/l ,水酸化ナトリウム5g/l を含むアルカリ溶
液中およびそれに5g/l の塩化ナトリウムを添加した
溶液中で、50°C・13.3Hz,反転比率76%(陰極ベ
ース),10A/dm2 の条件で電解エッチングを2分間
行い、40A/dm2 の電流密度で15分間クロムめっきを
行い、テープ密着試験(カッターナイフにて碁盤目に切
り込みを入れた面にセロテープを圧着させ、引き剥がす
方法)と熱試験(各温度に1時間保持させて、自然冷却
又は水に浸漬させる水冷))を行った結果は、第1表の
とおりであった。
00g/l ,水酸化ナトリウム5g/l を含むアルカリ溶
液中およびそれに5g/l の塩化ナトリウムを添加した
溶液中で、50°C・13.3Hz,反転比率76%(陰極ベ
ース),10A/dm2 の条件で電解エッチングを2分間
行い、40A/dm2 の電流密度で15分間クロムめっきを
行い、テープ密着試験(カッターナイフにて碁盤目に切
り込みを入れた面にセロテープを圧着させ、引き剥がす
方法)と熱試験(各温度に1時間保持させて、自然冷却
又は水に浸漬させる水冷))を行った結果は、第1表の
とおりであった。
【0013】
【0014】炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのアル
カリ溶液中での電解エッチングでは、クロムめっきは析
出してもリン片状のめっきとなり容易に脱落するか、剥
離する。それに対して、アルカリ溶液中に例えば塩化ナ
トリウムのような塩素イオンを含んだ塩類を添加すると
トンネルピットが生成し、接着面積の増加とアンカー効
果が促進され、密着性の良いめっきが得られる。もちろ
ん、塩酸と同じく塩化ナトリウム単独溶液による電解エ
ッチングでもトンネルピットが生成し、密着性の良いめ
っきが得られる。
カリ溶液中での電解エッチングでは、クロムめっきは析
出してもリン片状のめっきとなり容易に脱落するか、剥
離する。それに対して、アルカリ溶液中に例えば塩化ナ
トリウムのような塩素イオンを含んだ塩類を添加すると
トンネルピットが生成し、接着面積の増加とアンカー効
果が促進され、密着性の良いめっきが得られる。もちろ
ん、塩酸と同じく塩化ナトリウム単独溶液による電解エ
ッチングでもトンネルピットが生成し、密着性の良いめ
っきが得られる。
【0015】(実施例2)A1080の純Alを常温の10%塩
酸溶液中で、13.3Hz,10A/dm2 の条件で反転比率
を変化させて、3分間電解エッチングを行い、40A/d
m2 の電流密度で15分間クロムめっきを行った結果は、
第2表のとおりであった。
酸溶液中で、13.3Hz,10A/dm2 の条件で反転比率
を変化させて、3分間電解エッチングを行い、40A/d
m2 の電流密度で15分間クロムめっきを行った結果は、
第2表のとおりであった。
【0016】
【0017】極性を変換させ正および負の電圧を交互に
印加させ電解エッチングを行うことにより密着性のよい
めっきが得られ、反転比率50%の交流はもちろん、正,
負の比率の広い範囲で密着性が良好である。陰極直流で
はエッチングされないため、トンネルピットが生成せず
密着性が劣る。陽極直流エッチングでは極性変換による
正,負交互エッチングよりもトンネルピットが生成しに
くいため密着力は劣るが、陽極直流でもトンネルピット
が生成するため密着力が向上する。
印加させ電解エッチングを行うことにより密着性のよい
めっきが得られ、反転比率50%の交流はもちろん、正,
負の比率の広い範囲で密着性が良好である。陰極直流で
はエッチングされないため、トンネルピットが生成せず
密着性が劣る。陽極直流エッチングでは極性変換による
正,負交互エッチングよりもトンネルピットが生成しに
くいため密着力は劣るが、陽極直流でもトンネルピット
が生成するため密着力が向上する。
【0018】(実施例3)A1100, A2017, A5052, A
6061,ADC12を炭酸ナトリウム 100g/l ,水酸化ナ
トリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、12.4
Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2 の条
件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で常
温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/d
m2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、40A/
dm2 で 120分間(膜厚約50μm)行ったクロムめっき
と亜鉛置換法によるクロムめっきの密着性比較試験(切
断試験−切断面の剥がれおよび前述試験)は第3表のと
おりであった。
6061,ADC12を炭酸ナトリウム 100g/l ,水酸化ナ
トリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、12.4
Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2 の条
件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で常
温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/d
m2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、40A/
dm2 で 120分間(膜厚約50μm)行ったクロムめっき
と亜鉛置換法によるクロムめっきの密着性比較試験(切
断試験−切断面の剥がれおよび前述試験)は第3表のと
おりであった。
【0019】
【0020】クロムめっきは、内部応力が大きい為厚膜
化した場合、亜鉛置換法では十分な密着力を得ることが
できなかった。上表での結果からわかるように、あらゆ
るAl及びAl合金に対して亜鉛置換法の様な中間被膜のあ
るめっきよりも、トンネルエッチングによる素地上への
直接めっきをする方が密着性に優れためっきが得られ
る。
化した場合、亜鉛置換法では十分な密着力を得ることが
できなかった。上表での結果からわかるように、あらゆ
るAl及びAl合金に対して亜鉛置換法の様な中間被膜のあ
るめっきよりも、トンネルエッチングによる素地上への
直接めっきをする方が密着性に優れためっきが得られ
る。
【0021】(実施例4)A1100, A2017, A5052, A
6061,ADC12を炭酸ナトリウム 100g/l ,水酸化ナ
トリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、12.4
Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2 の条
件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で常
温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/d
m2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、無電解
ニッケルを90分間(膜厚約15μm)行った無電解ニッケ
ルめっきと亜鉛置換法による無電解ニッケルめっきのと
の密着性比較試験は第4表のとおりであった。
6061,ADC12を炭酸ナトリウム 100g/l ,水酸化ナ
トリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、12.4
Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2 の条
件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で常
温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/d
m2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、無電解
ニッケルを90分間(膜厚約15μm)行った無電解ニッケ
ルめっきと亜鉛置換法による無電解ニッケルめっきのと
の密着性比較試験は第4表のとおりであった。
【0022】
【0023】耐久性、密着性のある無電解ニッケルめっ
きに対して、亜鉛置換法の様な中間被膜上の無電解ニッ
ケルめっきは、十分な密着性を得ることができないが、
トンネルエッチング法はトンネルピット内に無電解ニッ
ケルを直接析出させ、接着面積の増大とアンカー効果に
より密着性を向上させる。
きに対して、亜鉛置換法の様な中間被膜上の無電解ニッ
ケルめっきは、十分な密着性を得ることができないが、
トンネルエッチング法はトンネルピット内に無電解ニッ
ケルを直接析出させ、接着面積の増大とアンカー効果に
より密着性を向上させる。
【0024】(実施例5)A1100, A2017, A5052, A
6061,ADC12を炭酸ナトリウム100g/l ,水酸化
ナトリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、1
2.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2
の条件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で
常温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/
dm2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、ニッ
ケル60分間(膜厚約20μm)・クロム2分間(膜厚約
0.2μm)を行ったニッケル・クロムめっきと亜鉛置換
法によるニッケル・クロムめっきとの密着性比較試験は
第5表のとおりであった。
6061,ADC12を炭酸ナトリウム100g/l ,水酸化
ナトリウム5g/l を含むアルカリ溶液中で、常温、1
2.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/dm2
の条件で電解脱脂を2分間行い、次に10%塩酸溶液中で
常温、12.4Hz,反転比率86%(陰極ベース),10A/
dm2 の条件でトンネルエッチングを3分間行い、ニッ
ケル60分間(膜厚約20μm)・クロム2分間(膜厚約
0.2μm)を行ったニッケル・クロムめっきと亜鉛置換
法によるニッケル・クロムめっきとの密着性比較試験は
第5表のとおりであった。
【0025】
【0026】トンネルエッチング法によるニッケル・ク
ロムめっきは、他のめっきと同様に全てのAl又はAl合金
について密着性がすぐれている。
ロムめっきは、他のめっきと同様に全てのAl又はAl合金
について密着性がすぐれている。
【0027】防食性が必要な装飾ニッケル・クロムめっ
きの場合、亜鉛置換法で行うと複雑多工程になり管理が
非常に難しくなり、不純物及び他槽薬品の持込み等が起
こり、密着性が著しく悪化するが、本発明法は工程が簡
略化できる上に薬品種も少なくなるので、ライン管理及
び密着力に対して非常に有利である。
きの場合、亜鉛置換法で行うと複雑多工程になり管理が
非常に難しくなり、不純物及び他槽薬品の持込み等が起
こり、密着性が著しく悪化するが、本発明法は工程が簡
略化できる上に薬品種も少なくなるので、ライン管理及
び密着力に対して非常に有利である。
【0028】
【発明の効果】この発明に係るAl又はAl合金の表面処理
方法は、Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で電解エ
ッチングするものであるため、金相学的に同一状態では
なく電気化学的に貴の部分と卑の部分とが存在するAlに
おいて、部分的に電流の集中する部分ができ、直径3μ
m以下の円筒状の微細なトンネルピットが無数にAl表面
から内部に向かって略垂直に成長する。このトンネルピ
ットの生成による表面積の増大は10倍以上となるため、
めっきをした場合、めっきの接着面積が著しくおおきく
なるため密着力が向上する。さらに、トンネルピット内
に容易にめっきが析出して無数のアンカーができ、接着
面積の増大とアンカー効果との相乗効果によって密着性
の劣るAl又はAl合金において内部応力などの大きな剥離
しやすいめっきでも優れた密着性が得られるものであ
る。
方法は、Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で電解エ
ッチングするものであるため、金相学的に同一状態では
なく電気化学的に貴の部分と卑の部分とが存在するAlに
おいて、部分的に電流の集中する部分ができ、直径3μ
m以下の円筒状の微細なトンネルピットが無数にAl表面
から内部に向かって略垂直に成長する。このトンネルピ
ットの生成による表面積の増大は10倍以上となるため、
めっきをした場合、めっきの接着面積が著しくおおきく
なるため密着力が向上する。さらに、トンネルピット内
に容易にめっきが析出して無数のアンカーができ、接着
面積の増大とアンカー効果との相乗効果によって密着性
の劣るAl又はAl合金において内部応力などの大きな剥離
しやすいめっきでも優れた密着性が得られるものであ
る。
【0029】また、Al又はAl合金と対極との間に正又は
負の電圧を交互に印加すれば、その印加の変換回数と同
じ回数のエッチングと還元の繰り返しとなるため、微視
的には陽極の瞬間には塩素イオンを含む電解液によって
腐蝕作用を受けるが、陰極となった瞬間にはその個所の
エッチッグが停止し、水素ガスが発生するので、次のサ
イクルで陽極になっても別の個所がエッチングされる。
その結果、正又は負の電圧を交互に印加した方が、交互
に印加しない場合に比し、微細なトンネルピットが生成
し、表面積も20〜30倍程度となり、さらに、めっきをし
た場合、その接着面積が増加し、密着力が向上する。さ
らに、陰極時に発生する水素ガスによりわずかに生成し
た酸化被膜が破壊されるとともに還元性雰囲気において
活性化が促進され密着性がさらに向上する。
負の電圧を交互に印加すれば、その印加の変換回数と同
じ回数のエッチングと還元の繰り返しとなるため、微視
的には陽極の瞬間には塩素イオンを含む電解液によって
腐蝕作用を受けるが、陰極となった瞬間にはその個所の
エッチッグが停止し、水素ガスが発生するので、次のサ
イクルで陽極になっても別の個所がエッチングされる。
その結果、正又は負の電圧を交互に印加した方が、交互
に印加しない場合に比し、微細なトンネルピットが生成
し、表面積も20〜30倍程度となり、さらに、めっきをし
た場合、その接着面積が増加し、密着力が向上する。さ
らに、陰極時に発生する水素ガスによりわずかに生成し
た酸化被膜が破壊されるとともに還元性雰囲気において
活性化が促進され密着性がさらに向上する。
【0029】さらに、正又は負の電圧の印加比率を変化
可能とすれば、図4に示すように、印加電圧の比率を変
化させることによって、エッチング及び水素ガスの発生
の還元効果を調整し、素材の種類及びめっきの種類に適
した表面状態に調整することができる。このような表面
状態はめっき以外の表面処理、例えば塗装などの密着性
向上に大きな効果がある。
可能とすれば、図4に示すように、印加電圧の比率を変
化させることによって、エッチング及び水素ガスの発生
の還元効果を調整し、素材の種類及びめっきの種類に適
した表面状態に調整することができる。このような表面
状態はめっき以外の表面処理、例えば塗装などの密着性
向上に大きな効果がある。
【図1】この発明におけるトンネルピットが形成された
状態のAl又はAl合金の断面図である。
状態のAl又はAl合金の断面図である。
【図2】この発明におけるトンネルピットにめっき層が
侵入した状態のAl又はAl合金の断面図である。
侵入した状態のAl又はAl合金の断面図である。
【図3】この発明における正又は負の電圧の印加比率を
変化させた状態の電圧の波形図である。
変化させた状態の電圧の波形図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 Al又はAl合金を塩素イオンを含む溶液で
電解エッチングすることを特徴とするAl又はAl合金の表
面処理方法。 - 【請求項2】 Al又はAl合金と対極との間に正又は負の
電圧を交互に印加することを特徴とする請求項1のAl又
はAl合金の表面処理方法。 - 【請求項3】 正又は負の電圧の印加比率を変化可能と
したことを特徴とする請求項2のAl又はAl合金の表面処
理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16389596A JPH09324298A (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | Al又はAl合金の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16389596A JPH09324298A (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | Al又はAl合金の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09324298A true JPH09324298A (ja) | 1997-12-16 |
Family
ID=15782857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16389596A Pending JPH09324298A (ja) | 1996-06-03 | 1996-06-03 | Al又はAl合金の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09324298A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5460509A (en) * | 1993-02-25 | 1995-10-24 | Yugen Kaisha Sawafujisekkei | Apparatus for injection molding |
JP2006114827A (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Denso Corp | 半導体装置 |
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1996
- 1996-06-03 JP JP16389596A patent/JPH09324298A/ja active Pending
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