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JPH09302201A - 気密封止用エポキシ樹脂系組成物 - Google Patents

気密封止用エポキシ樹脂系組成物

Info

Publication number
JPH09302201A
JPH09302201A JP11384696A JP11384696A JPH09302201A JP H09302201 A JPH09302201 A JP H09302201A JP 11384696 A JP11384696 A JP 11384696A JP 11384696 A JP11384696 A JP 11384696A JP H09302201 A JPH09302201 A JP H09302201A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
resin
weight
resin composition
sealing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11384696A
Other languages
English (en)
Inventor
Michinobu Oomoto
陸伸 大本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Original Assignee
Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc filed Critical Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
Priority to JP11384696A priority Critical patent/JPH09302201A/ja
Publication of JPH09302201A publication Critical patent/JPH09302201A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐湿性に優れ、1mm以下の狭い封止幅でも十
分な耐湿気密性を示し、さらに耐水透過性が著しく改善
された比較的安価な気密封止用エポキシ樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】 エポキシ当量200 以下のビスフェノール
A型エポキシ樹脂に対して、フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂を 1.2:0.8 〜 0.8:1.2 の重量比で、また
はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を 1.4:0.8 〜
1.0:1.2 の重量比で配合したエポキシ樹脂中に、全樹
脂固形分に基づいて2〜6重量%のポリビニルブチラー
ル樹脂を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックパッケ
ージ等の気密封止に用いるエポキシ樹脂系組成物に関す
る。より具体的には、耐湿性に優れ、1mm以下の狭い封
止幅でも優れた耐湿接着性と耐水透過性とを示す気密封
止用エポキシ樹脂系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子(ICチップ)等の電子部品
は、これを外部環境から遮断し、機械的衝撃から保護す
ると同時に、取扱いと組立を容易にするために、周囲を
完全に包囲するように封止したパッケージの形態で使用
されることが多い。封止法としては、金属またはセラミ
ックにより気密に保持する気密封止法と、トランスファ
ー成形によりチップの周囲を樹脂(主にエポキシ系樹脂
に大量の充填材を混合した組成物)で包囲する樹脂封止
法とがある。
【0003】封止材としてセラミックを使用したセラミ
ックパッケージは、樹脂封止パッケージに比べて高価で
あるが、封止材の熱伝導性がよく、動作中にチップで
発生する熱の放熱性がよい、耐熱性が高く、寸法安定
性がよい、吸湿性がなく、湿度に強い、完全密封が
可能、といった特長がある。
【0004】そのため、セラミックパッケージは、大型
コンピュータ、高信頼性を必要とする宇宙機器・軍事機
器用、樹脂封止では耐えられない環境で使用される大電
力用、自動車用等といった分野に主に使用されてきた。
さらに、電子部品の小型化・高性能化の要求に応えてI
Cチップの集積度が上がり、発熱量も大きくなってきた
ため、民生用コンピュータ等にも放熱性に優れたセラミ
ックパッケージが採用されるようになってきた。
【0005】また、携帯電話等の発振器に使用される水
晶振動子も、ICセラミックパッケージと同様に、周囲
をセラミックで包囲して封止したセラミックパッケージ
として使用されることが多い。
【0006】セラミックパッケージは、セラミック基板
上にICチップまたは水晶振動子などの被封止材料を搭
載した後、筐体のキャップ (蓋) をかぶせて基板に封止
材で接合することにより封止される。キャップは基板と
同様にセラミック製であることが多いが、金属製のキャ
ップも一部では使用される。
【0007】セラミックパッケージの封止 (基板とキャ
ップとの接合) 用の封止材としては、Au−Snなどのロウ
材、ハンダ合金、ガラス、樹脂などが使用されてきた。
封止の信頼性の面では、Au−Snロウ付け封止法が最も優
れているが、民生用としては生産コストの低下も重要課
題であり、封止材の材料コストが安く、しかも比較的低
温で封止が可能な樹脂封止法が最も低価格となる。この
ため、特に水晶振動子に対しては、樹脂で封止したセラ
ミックパッケージが普及しつつある。
【0008】セラミックパッケージにおいてセラミック
基板とキャップとの接合に用いる樹脂封止材としては、
ICチップの樹脂封止パッケージ用封止材と同様に、エ
ポキシ樹脂、特にノボラック型エポキシ樹脂が主に使用
されている。この封止用樹脂には、封止に必要な性能、
例えば、接着強度の耐久性や耐湿性が要求される。
【0009】従来のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂に硬化
剤を配合したもの)のこれらの性能を改善するため、エ
ポキシ樹脂に少量の熱可塑性樹脂を混合した、均質なポ
リマーブレンド型または不均質な海島構造型の混合物か
らなる樹脂組成物を使用することが知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】電子部品の小型化がま
すます進む中で、セラミックパッケージの封止幅も狭く
なり、従来の封止用エポキシ樹脂では対応できなくなっ
てきている。
【0011】例えば、水晶振動子の封止幅は0.7 mm以下
となり、この封止幅では、高温高湿試験 (プレッシャー
・クッカー試験、PCTと略記) での気密封止時間 (樹
脂が剥離するまでの時間) で評価した耐湿気密性が、従
来の封止用エポキシ樹脂で8時間未満と不十分である。
従来は、封止幅が典型的には2mmまたはそれ以上と広か
ったため、PCTでの気密封止時間が25〜50時間という
耐湿気密性を保持していた。
【0012】エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂をブレンドす
ると、封止幅が1mm以下と狭くてもPCTでの気密封止
時間が50時間以上と長くなることがある。しかし、熱可
塑性樹脂のブレンドにより接着性は保持されても、その
間の樹脂の透過水分量が多いため、パッケージ内部に水
分が侵入してパッケージの信頼性が低下することが判明
した。
【0013】従って、封止幅が1mm以下と狭くなって
も、優れた耐湿気密性を示すと同時に、耐水透過性にも
優れ、PCT条件下での水分透過量の少ない、セラミッ
クパッケージ等の気密封止用のエポキシ樹脂系組成物が
求められている。また、電子部品の低コスト化の要求が
強い現状から、封止材の成分としては比較的安価な材料
のみを使用することが望ましい。
【0014】本発明の目的は、耐湿性に優れ、1mm以下
の狭い封止幅でも十分な耐湿気密性を示し、しかも耐水
透過性にも優れ、PCT条件下での水分透過量が著しく
少ない、比較的安価な気密封止用エポキシ樹脂系組成物
を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために研究を続けた結果、エポキシ樹脂にポ
リビニルブチラール樹脂を少量配合すると、エポキシ樹
脂の耐湿気密性が改善すること、そして少量のボリビニ
ルブチラール樹脂を配合したエポキシ樹脂系組成物にお
いて、構造の異なる2種類のエポキシ樹脂を特定範囲内
で混合して使用することにより、耐水透過性が著しく改
善されることを見出し、本発明に到達した。
【0016】ここに、本発明は、(A) フェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂とエポキシ当量200 以下のビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂とを 1.2:0.8 〜 0.8:1.2
の重量比で配合したエポキシ樹脂中、またはクレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂と上記ビスフェノールA型
エポキシ樹脂とを 1.4:0.8 〜 1.0:1.2 の重量比で配
合したエポキシ樹脂中に、(B) 全樹脂固形分に基づいて
2〜6重量%のポリビニルブチラール樹脂を含有する、
気密封止用エポキシ樹脂系組成物である。
【0017】好適態様にあっては、エポキシ樹脂が、硬
化剤として、ジシアンジアミド4〜6重量%と芳香族ポ
リアミン3〜5重量%との2成分、またはこの2成分に
さらにトリフェニルホスフィン1〜4重量%を配合した
3成分を含有する。また、本発明のエポキシ樹脂系組成
物は、ジシアンジアミドを溶解させない有機溶媒、全樹
脂固形分に基づいて3重量%以下の無水硅酸、全樹脂固
形分に基づいて1〜4重量%のシランカップリング剤の
1種もしくは2種以上をさらに含有していてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
以下の説明において、部および%は、特に指定のない限
り重量部および重量%である。
【0019】(A) エポキシ樹脂 耐湿接着力および耐熱性を得るために、官能基数が多い
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する。ノボラック型エ
ポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型とフェノ
ールノボラック型のいずれのノボラック型エポキシ樹脂
も使用できる。しかし、ノボラック型エポキシ樹脂だけ
では架橋密度が高くならないため、分子構造の異なる2
官能性のビスフェノールA型エポキシ樹脂を併用して架
橋密度を調整する。
【0020】ビスフェノールA型エポキシ樹脂として
は、室温で液状のエポキシ当量が200以下のもの、代表
的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル系エポキ
シ樹脂を使用する。市販品の例には、シェル社製のエピ
コート828 、チバガイギー社製のアラルダイトGY260 が
ある。ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量
が200 を超えると、耐水透過性が低下する。
【0021】ノボラック型エポキシ樹脂:ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂の配合割合 (重量比) は、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂では 1.2:0.8 〜 0.8:1.
2 、好ましくは 1.1:0.9 〜 0.9:1.1 の範囲内、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂では 1.4:0.8 〜 1.
0:1.2 、好ましくは 1.3:1.1 〜 0.9:1.1 の範囲内
とする。即ち、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に
比べてエポキシ当量が小さいフェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂を使用する場合には、配合量がより少量でよ
い。
【0022】ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂の配合割合を上記のように定めたの
は、後で実施例に示すように、少量のポリビニルブチラ
ール樹脂を配合した場合、この2種類のエポキシ樹脂の
配合割合が上記範囲内である場合のみに、耐水透過性が
著しく改善され、その範囲外では耐水透過性の改善効果
がほとんど認められないからである。
【0023】(B) ポリビニルブチラール樹脂 ポリビニルブチラール樹脂 (以下、ブチラール樹脂とい
う) は、ポリ酢酸ビニルのケン化により得られるポリビ
ニルアルコール (PVA) をブチルアルデヒドと縮合
(ブチラール化) させることにより得られる、熱可塑性
樹脂である。ポリ酢酸ビニルのケン化とブチラール化を
同時に行うこともできる。
【0024】ブチラール樹脂は、原料のポリ酢酸ビニル
のケン化度と中間体のポリビニルアルコールのブチラー
ル化度により、いろいろな種類のものがある。本発明で
使用するブチラール樹脂は、ブチラール化度が70〜74モ
ル%、残存水酸基量が24〜28モル%、残存アセチル基量
が 1.5〜2.5 モル%、ガラス転移温度が約280 ℃前後の
ものが好ましい。
【0025】ここで、残存アセチル基量はケン化されな
かったアセチル基の割合であり、残存水酸基量はケン化
されたがブチラール化されなかったアセチル基の割合で
あり、ブチラール化度はケン化され、かつブチラール化
されたアセチル基の割合 (いずれも原料のポリ酢酸ビニ
ル中に存在していたアセチル基に対するモル%) であ
る。
【0026】前述したエポキシ樹脂(A) は、通常の硬化
剤で硬化させた場合、凝集力が不足し、かつ硬化剤が未
反応で残るため、封止幅が1mm以下と狭くなると耐湿気
密性が著しく低下する。本発明でエポキシ樹脂(A) に配
合する上記ブチラール樹脂は、エポキシ樹脂(A) と完全
に相溶し、硬化時にもエポキシ樹脂と分離せずに、均質
にエポキシ樹脂と混ざる。また、このブチラール樹脂に
は、エポキシ基と反応する水酸基 (OH基) がかなりの
割合で残存しているため、エポキシ樹脂の硬化剤として
機能し、硬化時にエポキシ樹脂と化学的に結合する。
【0027】このようにエポキシ樹脂にブチラール樹脂
をポリマーブレンドして、硬いエポキシ樹脂中に熱可塑
性のブチラール樹脂を均質に溶解させ、エポキシ樹脂の
分子と結合させると、エポキシ樹脂の凝集力が増し、耐
湿気密性が飛躍的に増大することが判明した。
【0028】ブチラール樹脂の配合量は、全樹脂固形分
に基づいて2〜6%、好ましくは3〜5%と少量でよ
い。ブチラール樹脂の配合量が2%より少ないと、耐湿
気密性の向上効果が十分には現れず、6%を超えるとブ
チラール樹脂の性質が強く現れるようになって、耐湿気
密性はまた悪化する。なお、全樹脂固形分とは、エポキ
シ樹脂およびその硬化剤と他の樹脂との合計量を意味す
る。
【0029】(C) エポキシ硬化剤 エポキシ樹脂の硬化に必要な周知のエポキシ硬化剤を配
合する。エポキシ硬化剤としては、室温での硬化反応が
遅く、かなり高温に加熱しないと実質的な硬化が始まら
ないような1種もしくは2種以上の硬化剤を使用するこ
とが好ましい。エポキシ樹脂が室温ですぐに硬化する
と、基板とキャップとの接着は可能であっても、気密封
止に必要な良好なメニスカス形状〔図1(C) に示すよう
な下広がりの台形断面形状〕を持った封止部を形成する
ことができず、例えば円形のメニスカス形状を持った気
密封止性が低下した封止部になる。
【0030】好ましい硬化剤は、室温での硬化反応が遅
い芳香族ジアミン (例、ジアミノジフェニルメタン、ジ
アミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン
等) と、やはり室温での反応が遅く潜伏性に優れたジシ
アンジアミドとの2成分系混合物、およびこの混合物に
さらにトリフェニルホスフィンを添加した3成分系混合
物である。トリフェニルホスフィンは、硬化時に樹脂の
反応速度の違いによりニジミが発生するのを防止する効
果がある。
【0031】上記混合物からなる硬化剤を使用する場
合、その添加量は、エポキシ樹脂+硬化剤の合計量に基
づいて、ジシアンジアミド4〜6重量%、芳香族ポリア
ミン3〜5重量%、トリフェニルホスフィン1〜4重量
%の範囲内がよい。
【0032】(D) 有機溶媒 2種類のエポキシ樹脂とブチラール樹脂との混合を容易
にするため、有機溶媒を使用することが好ましい。有機
溶媒は、エポキシ樹脂の室温での硬化反応が速くならな
いように留意して選択する。
【0033】エポキシ硬化剤として上記2成分系または
3成分系の混合物を使用する場合には、硬化剤中のジシ
アンジアミドを溶解させない有機溶媒を使用することが
好ましい。ジシアンジアミドが溶媒に溶解すると、その
潜伏性が失われて室温での硬化反応が速くなり、Bステ
ージ状態でのポットライフ (可使時間) が非常に短くな
り、作業性が悪化する上、メニスカス形状 (従って、気
密封止性) も不良となる。
【0034】ジシアンジアミドを溶解しない有機溶媒の
好ましい例は、セロソルブ系溶媒である。作業性を考慮
すると、メチル、エチルまたはイソプロピルセロソルブ
アセテートが有機溶媒として好ましい。溶媒の使用量は
全樹脂固形分に基づいて20〜50重量%の範囲内が好まし
い。
【0035】(E) 充填材 気密封止性を向上させ、かつ樹脂組成物にチキソトロピ
ー性を付与して、良好なメニスカス形状の封止部を容易
に形成できるようにするため、ごく少量の無水硅酸を充
填材として配合することが好ましい。無水硅酸として
は、平均粒子径が12〜20 nmmのものが特に好ましい。
【0036】充填材の配合量は全樹脂固形分に対して3
%以下、好ましくは 0.5〜2%とする。無水硅酸が非常
に微細であるため、多量に添加するとBステージ状態の
樹脂の流動性が阻害され、封止部のメニスカス形状が不
良となる。なお、充填材は無水硅酸に限られるものでは
なく、他の充填材 (例えば、酸化チタン) も使用でき
る。
【0037】(F) シランカップリング剤 濡れ剤として少量のシランカップリング剤を配合する
と、エポキシ樹脂系組成物の濡れ性が高まり、狭い封止
幅での塗布作業が容易となる。シランカップリング剤と
しては、エポキシ基を含有するもの〔例、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン等〕が特に
好ましい。好ましいシランカップリング剤は信越化学社
製KBM-403である。シランカップリング剤の配合量は、
全樹脂固形分に対して1〜4%、好ましくは2〜3%と
する。
【0038】本発明のエポキシ樹脂系組成物は、上記の
成分以外にも、少量であれば1種もしくは2種以上の添
加剤を含有しうる。かかる添加剤としては、硬化触媒、
着色剤などがある。
【0039】本発明の組成物は、例えば、エポキシ樹脂
とブチラール樹脂とを溶媒中で加熱して(例、90±5℃
で30〜40分) 完全に溶解させた後、25〜30℃まで冷却
し、この温度で硬化剤および他の成分を加えて、室温で
三本ロールを用いて混練することにより調製できる。
【0040】本発明の気密封止用エポキシ樹脂系組成物
は、セラミックパッケージの封止に好適であるが、金属
製パッケージの封止、さらにはセラミック基板面上のパ
ターン保護にも利用できる。本発明のエポキシ樹脂系組
成物で封止できる素材としては、アルミナ、コージエラ
イト、ムライト、ガラスセラミック、窒化アルミニウム
等のセラミック、ニッケル、コバルト、42アロイ、金、
銅等の金属、エポキシ、ポリイミド等のプラスチックな
どがある。
【0041】使用時には、エポキシ樹脂系組成物を、パ
ッケージ材である基板もしくはキャップまたはその両方
(通常はキャップ)の接着部にスクリーン印刷、ディス
ペンサー或いは転写等の手法により規定の厚みに塗布し
た後、強制循環式オーブン内で加熱して、樹脂をBステ
ージ状態にする。この加熱は、溶媒が蒸発し、樹脂表面
にベタツキがなくなるが、なお樹脂が硬化性および可塑
性を残すように行う。加熱温度は、樹脂種や硬化剤の種
類に応じて適当に選択すればよいが、例えば、硬化剤が
上記の2成分系または3成分系混合物の場合には、75〜
85℃で2〜4時間程度が適当である。
【0042】その後、このパッケージ材の基板にICチ
ップや水晶振動子等の被封止部品を適宜の手法で実装
し、基板にキャップをセットしてから、加圧下で加熱し
て、エポキシ樹脂を硬化させると、パッケージの封止が
完成する。硬化は 155〜165 ℃に 1.5〜2.5 時間加熱し
て行うことが好ましい。
【0043】本発明のエポキシ樹脂系組成物は、Bステ
ージの状態でかなりの期間貯蔵することができるので、
例えば、パッケージ材の製造業者がパッケージ材に本発
明のエポキシ樹脂系組成物を塗布し、加熱してBステー
ジ状態にした後、出荷することができる。それにより、
パッケージの製造業者は、基板にICチップや水晶振動
子を実装した後、加圧下に加熱するだけでパッケージを
製造することができるので、煩雑なエポキシ樹脂の塗布
作業を省略できるという利点がある。
【0044】
【実施例】実施例1 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 (エポキシ当量17
9)と、表1に示す4種類の他のエポキシ樹脂のいずれか
1種とを、エポキシ基濃度がほぼ等しくなるように (即
ち、添加量をエポキシ当量で除したエポキシ当量重量が
ほぼ等しくなるように) 配合し、これに全樹脂固形分に
基づいて4%のブチラール樹脂 (ブチラール化度72モル
%、残存水酸基量26モル%、残存アセチル基量2.0 モル
%、ガラス転移温度約280 ℃) を添加した。この樹脂混
合物100 部に対して25部のメチルセロソルブアセテート
を溶媒として加え、混合物を90±5℃に30〜40分加熱し
て、樹脂を溶媒中に完全に溶解させた後、25〜30℃まで
冷却した。
【0045】冷却した樹脂溶液に、硬化剤として、エポ
キシ樹脂+硬化剤の合計量に基づいてジシアンジアミド
5重量%、ジアミノジフェニルメタン4重量%およびト
リフェニルホスフィン2.5 重量%を、全樹脂固形分に基
づいて2%の無水硅酸 (平均粒子径16 nm 、充填材) お
よび2%のシランカップリング剤 (信越化学社製KBM-40
3 、濡れ剤) と共に加え、室温で三本ロールにて均一に
混合し、エポキシ樹脂系組成物を調製した。
【0046】このエポキシ樹脂系組成物を用いて、図1
(A) 〜(C) に示すようにして、試験用のパッケージを作
製した。まず、図1(A) に示す形状を持つセラミック
(アルミナ) 製キャップに、図1(B) に示すように試験
する樹脂組成物を塗布した後、80±2℃に3時間加熱し
て樹脂をBステージ状態にした。その後、図1(C) に示
すように、樹脂組成物を塗布したキャップを透明なガラ
ス板に接着し、160 ℃に2時間加熱してエポキシ樹脂を
硬化させ、パッケージを作製した。
【0047】図1(A) に示した寸法からわかるように、
キャップの肉厚、従って封止幅は、0.7〜0.75mmとな
る。この試験用パッケージの封止部の耐水透過性を、80
℃±2℃の温水中に4日間浸漬した後のガラス面の結露
の有無により評価した。試験結果を、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂(エポキシ当量179)に配合した他の
エポキシ樹脂の種類とエポキシ当量とともに次の表1に
示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示すように、ノボラック型エポキシ
樹脂に配合するのが、エポキシ当量200 以下のビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂の場合には、耐水透過性が向上
し、4日間の温水浸漬でガラス面 (従って、パッケージ
内部) に結露を生じなかったが、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂のエポキシ当量が200 より大きくなると耐水
透過性の向上効果がなかった。また、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂では、エポキシ当量
が200 以下と小さくても、耐水透過性の向上効果がなか
った。
【0050】なお、ノボラック型エポキシ樹脂として、
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用した場合に
も、これにエポキシ当量189 のビスフェノールA型エポ
キシ樹脂を、エポキシ基濃度がほぼ等しくなるように配
合し、さらに上記と同様にしてエポキシ樹脂系組成物を
調製することにより、上記の耐水性試験で4日間の温水
浸漬後のガラス面に結露を生じない、良好な耐水透過性
が得られることを確認した。
【0051】実施例2 エポキシ樹脂として、エポキシ当量179 のフェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂と、エポキシ当量189 のビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂との配合割合を変えた混合物
を使用した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂
系組成物の調製および試験用パッケージの作製を行っ
た。
【0052】比較のために、ブチラール樹脂を配合しな
かった以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物
の調製と試験用のパッケージの作製とを行った。
【0053】耐水透過性は、各組成物で封止したパッケ
ージを80℃の温水に、ガラス面上に結露が認められるよ
うになるまで浸漬し、その浸漬日数 (結露発生までの日
数)で評価した。試験結果を図2にグラフで示す。
【0054】これに対し、ブチラール樹脂を配合した場
合には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂とエポキ
シ当量200 以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂の重
量比が1:1近辺で耐水透過性が著しく向上したが、ノ
ボラック型エポキシ樹脂がこれより多くても、また少な
くても、耐水透過性の向上が得られなかった。即ち、耐
水透過性の向上効果は、フェノールノボラック型樹脂が
40〜60%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が60〜40%
(両者の重量比では 1.2:0.8 〜 0.8:1.2 の範囲) に
限って顕著となるのである。
【0055】なお、ノボラック型エポキシ樹脂がクレゾ
ールノボラック型である場合には、エポキシ当量がフェ
ノールノボラック型より大きいため、上記の耐水透過性
の著しい向上効果が得られるノボラック:ビスフェノー
ルAの重量比の範囲は、ノボラック樹脂がやや多めの、
1.4:0.8 〜 1.0:1.2 の範囲となる。
【0056】一方、ブチラール樹脂を配合しなかった従
来のエポキシ樹脂組成物では、ノボラック型エポキシ樹
脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合比が上記範
囲内であっても、図2に示すように、結露発生までの日
数は1日であり、耐水透過性は低レベルのままであっ
た。即ち、ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノール
A型エポキシ樹脂を上記割合で配合した場合の耐水透過
性の向上効果を得るには、ブチラール樹脂を一緒に配合
することが必要である。
【0057】なお、本実施例で作製した試験用パッケー
ジの耐湿気密性を、プレッシャー・クッカー内で2.09気
圧、121 ℃、相対湿度100 % (水蒸気飽和) の高温高湿
条件下に75時間放置した後のグロスリークの有無 (120
℃のフロン液に浸漬した時の発泡の有無) を判定したと
ころ、いずれの組成物でもグロスリークは認められず、
耐湿気密性は良好であった。
【0058】
【発明の効果】本発明の気密封止用エポキシ樹脂系組成
物は、1mm以下の狭い封止幅でも耐湿気密性に優れてい
る上、従来の他のエポキシ樹脂系組成物とは異なり、耐
水透過性にも優れているため、パッケージ内部への水分
の透過が防止され、パッケージの信頼性が大きく改善さ
れる。また、原料コストは従来のエポキシ樹脂系組成物
と変わらない。従って、セラミックパッケージの小型化
と低コスト化の要請に適し、かつパッケージの信頼性を
著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A) 〜(C) は、実施例で作製したセラミッ
クパッケージの作製方法を示す説明図である。
【図2】実施例での耐水透過性試験結果を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/34 NLC C08K 3/34 NLC 5/54 NKX 5/54 NKX H01L 23/10 H01L 23/10 B //(C08L 63/04 63:02 29:14)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) フェノールノボラック型エポキシ樹
    脂とエポキシ当量が200 以下のビスフェノールA型エポ
    キシ樹脂とを 1.2:0.8 〜 0.8:1.2 の重量比で配合し
    たエポキシ樹脂中に、(B) 全樹脂固形分に基づいて2〜
    6重量%のポリビニルブチラール樹脂を含有する、気密
    封止用エポキシ樹脂系組成物。
  2. 【請求項2】 (A) クレゾールノボラック型エポキシ樹
    脂とエポキシ当量が200 以下のビスフェノールA型エポ
    キシ樹脂とを 1.4:0.8 〜 1.0:1.2 の重量比で配合し
    たエポキシ樹脂中に、(B) 全樹脂固形分に基づいて2〜
    6重量%のポリビニルブチラール樹脂を含有する、気密
    封止用エポキシ樹脂系組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂が、硬化剤として、ジシア
    ンジアミド4〜6重量%および芳香族ポリアミン3〜5
    重量%、またはジシアンジアミド4〜6重量%、芳香族
    ポリアミン3〜5重量%およびトリフェニルホスフィン
    1〜4重量%を含有する、請求項1または2記載のエポ
    キシ樹脂系組成物。
  4. 【請求項4】 ジシアンジアミドを溶解させない有機溶
    媒をさらに含有する請求項3記載のエポキシ樹脂系組成
    物。
  5. 【請求項5】 全樹脂固形分に基づいて3重量%以下の
    無水硅酸をさらに含有する請求項1〜4のいずれか1項
    に記載のエポキシ樹脂系組成物。
  6. 【請求項6】 全樹脂固形分に基づいて1〜4重量%の
    シランカップリング剤をさらに含有する、請求項1〜5
    のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂系組成物。
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