JPH09300097A - ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ - Google Patents
ステンレス鋼用フラックス入りワイヤInfo
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- JPH09300097A JPH09300097A JP8118030A JP11803096A JPH09300097A JP H09300097 A JPH09300097 A JP H09300097A JP 8118030 A JP8118030 A JP 8118030A JP 11803096 A JP11803096 A JP 11803096A JP H09300097 A JPH09300097 A JP H09300097A
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- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K35/00—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
- B23K35/22—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
- B23K35/24—Selection of soldering or welding materials proper
- B23K35/30—Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
- B23K35/3053—Fe as the principal constituent
- B23K35/308—Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent
- B23K35/3086—Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent containing Ni or Mn
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
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- B23K35/22—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
- B23K35/36—Selection of non-metallic compositions, e.g. coatings, fluxes; Selection of soldering or welding materials, conjoint with selection of non-metallic compositions, both selections being of interest
- B23K35/368—Selection of non-metallic compositions of core materials either alone or conjoint with selection of soldering or welding materials
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- Mechanical Engineering (AREA)
- Nonmetallic Welding Materials (AREA)
- Continuous Casting (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 良好な再アーク性を安定して得ることができ
ると共に、溶接作業性を向上させることができるステン
レス鋼用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 金属外皮内にフラックスが充填されてい
るフラックス入りワイヤにおいて、フラックス中のスラ
グ造滓剤はワイヤ全重量あたり6.0乃至13.0重量
%であり、金属外皮は、金属外皮全重量あたり、O:
0.003乃至0.090重量%、S:0.0005乃
至0.02重量%、Si:0.1乃至0.6重量%及び
V:0.005乃至0.2重量%を含有するオーステナ
イト系ステンレス鋼である。
ると共に、溶接作業性を向上させることができるステン
レス鋼用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 金属外皮内にフラックスが充填されてい
るフラックス入りワイヤにおいて、フラックス中のスラ
グ造滓剤はワイヤ全重量あたり6.0乃至13.0重量
%であり、金属外皮は、金属外皮全重量あたり、O:
0.003乃至0.090重量%、S:0.0005乃
至0.02重量%、Si:0.1乃至0.6重量%及び
V:0.005乃至0.2重量%を含有するオーステナ
イト系ステンレス鋼である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半自動溶接及び自動
溶接に適用されるステンレス鋼用フラックス入りワイヤ
に関し、特に、再アーク性が良好であるステンレス鋼用
フラックス入りワイヤに関する。
溶接に適用されるステンレス鋼用フラックス入りワイヤ
に関し、特に、再アーク性が良好であるステンレス鋼用
フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ
は、アーク安定剤及びスラグ造滓剤等がフラックス中に
添加されていることから、良好なアーク安定性を有する
と共に、スパッタ発生量が少なく、ビード外観も優れて
いるという利点を有している。従って、近時、ステンレ
ス鋼用フラックス入りワイヤの使用量は、急速に増加し
ている。また、産業界における高能率化及び自動化に対
する要望が高まっていることから、半自動溶接のみでな
く、自動機又は溶接ロボット等の自動溶接への適用も増
加しつつある。
は、アーク安定剤及びスラグ造滓剤等がフラックス中に
添加されていることから、良好なアーク安定性を有する
と共に、スパッタ発生量が少なく、ビード外観も優れて
いるという利点を有している。従って、近時、ステンレ
ス鋼用フラックス入りワイヤの使用量は、急速に増加し
ている。また、産業界における高能率化及び自動化に対
する要望が高まっていることから、半自動溶接のみでな
く、自動機又は溶接ロボット等の自動溶接への適用も増
加しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フラックス入りワイヤを使用すると、再アーク性(再ア
ークスタート性)が不良であるという問題点がある。こ
の再アーク性は、母材に接触するワイヤ先端部の状態に
左右されるものである。例えば、ペンチ等で切断した新
鮮なワイヤ先端部を溶接母材に接触させて溶接する場合
は、何の問題もなく、円滑にアークスタートを実施する
ことができる。
フラックス入りワイヤを使用すると、再アーク性(再ア
ークスタート性)が不良であるという問題点がある。こ
の再アーク性は、母材に接触するワイヤ先端部の状態に
左右されるものである。例えば、ペンチ等で切断した新
鮮なワイヤ先端部を溶接母材に接触させて溶接する場合
は、何の問題もなく、円滑にアークスタートを実施する
ことができる。
【0004】しかし、ワイヤ先端部に溶接電流の流れを
阻害する物質が存在する場合、具体的には、溶接終了時
にワイヤ先端部に形成される球状体(以下、玉という)
がスラグで覆われている場合には、このスラグがワイヤ
と溶接母材との間の溶接電流の流れを阻害する。従っ
て、円滑なアークスタート性、即ち、再アーク性が低下
してしまう。
阻害する物質が存在する場合、具体的には、溶接終了時
にワイヤ先端部に形成される球状体(以下、玉という)
がスラグで覆われている場合には、このスラグがワイヤ
と溶接母材との間の溶接電流の流れを阻害する。従っ
て、円滑なアークスタート性、即ち、再アーク性が低下
してしまう。
【0005】前述の如く、ステンレス鋼用フラックス入
りワイヤは、金属外皮内に充填されたフラックス中にス
ラグ造滓剤が添加されているので、溶接終了時にワイヤ
先端部に形成される玉についても、その表面は不可避的
にスラグに覆われている。このスラグによって、再アー
ク性が低下し、アークスタート時にアークが不安定とな
ってスパッタが発生したり、このスパッタの発生を防止
するために技術を要する等、作業能率が低下するという
問題が生じる。
りワイヤは、金属外皮内に充填されたフラックス中にス
ラグ造滓剤が添加されているので、溶接終了時にワイヤ
先端部に形成される玉についても、その表面は不可避的
にスラグに覆われている。このスラグによって、再アー
ク性が低下し、アークスタート時にアークが不安定とな
ってスパッタが発生したり、このスパッタの発生を防止
するために技術を要する等、作業能率が低下するという
問題が生じる。
【0006】更に、自動溶接においても、再アーク性が
不良になることにより、溶接ロボットが停止したり、所
定の長さの溶接ビードを得ることができない等、溶接工
程全体の生産性を低下させる問題を引き起こす。
不良になることにより、溶接ロボットが停止したり、所
定の長さの溶接ビードを得ることができない等、溶接工
程全体の生産性を低下させる問題を引き起こす。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、良好な再アーク性を安定して得ることがで
きると共に、溶接作業性を向上させることができるステ
ンレス鋼用フラックス入りワイヤを提供することを目的
とする。
のであって、良好な再アーク性を安定して得ることがで
きると共に、溶接作業性を向上させることができるステ
ンレス鋼用フラックス入りワイヤを提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るステンレス
鋼用フラックス入りワイヤは、金属外皮内にフラックス
が充填されているフラックス入りワイヤにおいて、前記
フラックス中のスラグ造滓剤が、ワイヤ全重量あたり
6.0乃至13.0重量%であり、前記金属外皮は、金
属外皮全重量あたり、O:0.003乃至0.090重
量%、S:0.0005乃至0.02重量%、Si:
0.1乃至0.6重量%及びV:0.005乃至0.2
重量%を含有するオーステナイト系ステンレス鋼である
ことを特徴とする。
鋼用フラックス入りワイヤは、金属外皮内にフラックス
が充填されているフラックス入りワイヤにおいて、前記
フラックス中のスラグ造滓剤が、ワイヤ全重量あたり
6.0乃至13.0重量%であり、前記金属外皮は、金
属外皮全重量あたり、O:0.003乃至0.090重
量%、S:0.0005乃至0.02重量%、Si:
0.1乃至0.6重量%及びV:0.005乃至0.2
重量%を含有するオーステナイト系ステンレス鋼である
ことを特徴とする。
【0009】なお、この金属外皮は、金属外皮全重量あ
たり、Oが0.005乃至0.090重量%、Sが0.
0010乃至0.02重量%、Siが0.15乃至0.
45重量%、Vが0.010乃至0.1重量%であるこ
とが好ましい。また、金属外皮中の不可避的不純物とし
てのN及びNbの合計が、金属外皮全重量あたり0.2
重量%以下に規制されていることが好ましい。
たり、Oが0.005乃至0.090重量%、Sが0.
0010乃至0.02重量%、Siが0.15乃至0.
45重量%、Vが0.010乃至0.1重量%であるこ
とが好ましい。また、金属外皮中の不可避的不純物とし
てのN及びNbの合計が、金属外皮全重量あたり0.2
重量%以下に規制されていることが好ましい。
【0010】更に、スラグ造滓剤は、金属酸化物、金属
弗化物、炭酸塩及び珪酸化合物からなる群から選択され
た少なくとも1種とすることができる。
弗化物、炭酸塩及び珪酸化合物からなる群から選択され
た少なくとも1種とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、溶接終了時にワ
イヤ先端部に形成される玉の形状及びこの玉を覆うスラ
グの挙動が、次の溶接時におけるアークスタート性、即
ち、再アーク性にどのような影響を及ぼすかについて、
種々実験研究を行った。その結果、母材に接触するワイ
ヤ先端部の玉が小さいと共に、この玉を覆うスラグの厚
さが均一で薄いものほど、玉からスラグが剥離しやすく
なるため、再アーク性が良好になることを見い出した。
更に、玉を覆うスラグが脆くて壊れやすいほど、良好な
再アーク性を安定して得られることも知見した。
イヤ先端部に形成される玉の形状及びこの玉を覆うスラ
グの挙動が、次の溶接時におけるアークスタート性、即
ち、再アーク性にどのような影響を及ぼすかについて、
種々実験研究を行った。その結果、母材に接触するワイ
ヤ先端部の玉が小さいと共に、この玉を覆うスラグの厚
さが均一で薄いものほど、玉からスラグが剥離しやすく
なるため、再アーク性が良好になることを見い出した。
更に、玉を覆うスラグが脆くて壊れやすいほど、良好な
再アーク性を安定して得られることも知見した。
【0012】これらのことから、本願発明者等は、ワイ
ヤ先端部に形成される玉からスラグを剥離しやすくする
と共に、玉を覆うスラグ自身を脆くて壊れやすいものに
することにより、良好な再アーク性を安定して得ること
ができるという結論に至った。
ヤ先端部に形成される玉からスラグを剥離しやすくする
と共に、玉を覆うスラグ自身を脆くて壊れやすいものに
することにより、良好な再アーク性を安定して得ること
ができるという結論に至った。
【0013】そこで、金属外皮として使用するオーステ
ナイト系ステンレス鋼の化学成分、及びこの金属外皮内
に充填するフラックスの組成等について鋭意実験研究を
重ねた結果、以下に示す条件を満足させることにより、
良好な再アーク性が安定して得られることを見い出し
た。即ち、第1に、玉を覆うスラグの厚さを均一にする
ために、フラックス中のスラグ造滓剤の合計量を規定す
る。第2に、玉を小さくすると共に、この玉を覆うスラ
グの厚さを薄くするために、金属外皮中に所定量のO、
Si及びSを含有させる。第3に、玉を覆うスラグを剥
離しやすくするために、金属外皮中のSi含有量及びS
含有量を適切に規定する。第4に、玉を覆うスラグを脆
くて破壊されやすいものにするために、金属外皮中に所
定量のVを含有させる。
ナイト系ステンレス鋼の化学成分、及びこの金属外皮内
に充填するフラックスの組成等について鋭意実験研究を
重ねた結果、以下に示す条件を満足させることにより、
良好な再アーク性が安定して得られることを見い出し
た。即ち、第1に、玉を覆うスラグの厚さを均一にする
ために、フラックス中のスラグ造滓剤の合計量を規定す
る。第2に、玉を小さくすると共に、この玉を覆うスラ
グの厚さを薄くするために、金属外皮中に所定量のO、
Si及びSを含有させる。第3に、玉を覆うスラグを剥
離しやすくするために、金属外皮中のSi含有量及びS
含有量を適切に規定する。第4に、玉を覆うスラグを脆
くて破壊されやすいものにするために、金属外皮中に所
定量のVを含有させる。
【0014】これらの条件は、このいずれかが欠けると
良好な再アーク性を安定して得ることができず、更に、
溶接作業性及び溶着金属の健全性に悪影響が及ぼされ
る。また、これらの効果は、金属外皮内に含有されるフ
ラックス中の特定成分の含有量を規定することによって
も得ることができるが、金属外皮中の特定成分の含有量
を調整する方が、顕著な効果を得ることができる。従っ
て、本発明においては、金属外皮中の特定成分の含有量
を規定するものとする。なお、金属外皮中のN及びNb
の合計量を規制すると、より一層良好な再アーク性を安
定して得ることができる。
良好な再アーク性を安定して得ることができず、更に、
溶接作業性及び溶着金属の健全性に悪影響が及ぼされ
る。また、これらの効果は、金属外皮内に含有されるフ
ラックス中の特定成分の含有量を規定することによって
も得ることができるが、金属外皮中の特定成分の含有量
を調整する方が、顕著な効果を得ることができる。従っ
て、本発明においては、金属外皮中の特定成分の含有量
を規定するものとする。なお、金属外皮中のN及びNb
の合計量を規制すると、より一層良好な再アーク性を安
定して得ることができる。
【0015】以下、本発明におけるステンレス鋼用フラ
ックス入りワイヤについて、更に説明する。先ず、ワイ
ヤ全重量あたりのフラックス中のスラグ造滓剤について
説明する。
ックス入りワイヤについて、更に説明する。先ず、ワイ
ヤ全重量あたりのフラックス中のスラグ造滓剤について
説明する。
【0016】スラグ造滓剤:6.0乃至13.0重量% フラックス中のスラグ造滓剤が、ワイヤ全重量あたり
6.0重量%未満であると、ワイヤ先端部に形成される
玉を均一な厚さのスラグで覆うことができない。一方、
スラグ造滓剤がワイヤ全重量あたり13.0重量%を超
えて過剰に含有されると、玉を覆うスラグの厚さが不均
一になると共に、部分的に極めて厚くなるので、再アー
ク性が著しく低下する。また、溶接中においては、溶融
プールにスラグが先行して覆い被さる現象が発生するた
め、アークが不安定となったり、スラグ巻込み又は融合
不良等の溶接欠陥を引き起こす。従って、フラックス中
のスラグ造滓剤はワイヤ全重量あたり6.0乃至13.
0重量%とする。
6.0重量%未満であると、ワイヤ先端部に形成される
玉を均一な厚さのスラグで覆うことができない。一方、
スラグ造滓剤がワイヤ全重量あたり13.0重量%を超
えて過剰に含有されると、玉を覆うスラグの厚さが不均
一になると共に、部分的に極めて厚くなるので、再アー
ク性が著しく低下する。また、溶接中においては、溶融
プールにスラグが先行して覆い被さる現象が発生するた
め、アークが不安定となったり、スラグ巻込み又は融合
不良等の溶接欠陥を引き起こす。従って、フラックス中
のスラグ造滓剤はワイヤ全重量あたり6.0乃至13.
0重量%とする。
【0017】なお、フラックス中に含有されるスラグ造
滓剤としては、例えば、TiO2、SiO2、ZrO2及
びAl2O3等の金属酸化物、NaF、CaF2、K2Si
F6、AlF3及びK2ZrF6等の金属弗化物、CaCO
3、BaCO3及びLi2CO3等の炭酸塩並びにK2O・
Al2O3・6SiO2(カリ長石)及びNa2O・Al2
O3・6SiO2(ソーダ長石)等の珪酸化合物等があ
る。
滓剤としては、例えば、TiO2、SiO2、ZrO2及
びAl2O3等の金属酸化物、NaF、CaF2、K2Si
F6、AlF3及びK2ZrF6等の金属弗化物、CaCO
3、BaCO3及びLi2CO3等の炭酸塩並びにK2O・
Al2O3・6SiO2(カリ長石)及びNa2O・Al2
O3・6SiO2(ソーダ長石)等の珪酸化合物等があ
る。
【0018】フラックス中のスラグ造滓剤成分は、溶融
してスラグを形成し、溶融金属上に浮遊して溶融金属の
酸化を防止するものである。フラックスにはこのような
スラグ造滓剤の他に、溶着金属の成分調整のための合金
粉及び金属粉(例えば、Fe−Cr、Ni、Mo等)、
各種炭化物、窒化物及び硫化物(例えば、Cr−C、C
r−N、Fe−S等)、脱酸剤(Fe−Si、Fe−M
n、Fe−Al、Fe−Ti等)並びに鉄粉等もある
が、これらとスラグ造滓剤とは、溶融金属のシールド作
用の有無という点で明確に区別される。
してスラグを形成し、溶融金属上に浮遊して溶融金属の
酸化を防止するものである。フラックスにはこのような
スラグ造滓剤の他に、溶着金属の成分調整のための合金
粉及び金属粉(例えば、Fe−Cr、Ni、Mo等)、
各種炭化物、窒化物及び硫化物(例えば、Cr−C、C
r−N、Fe−S等)、脱酸剤(Fe−Si、Fe−M
n、Fe−Al、Fe−Ti等)並びに鉄粉等もある
が、これらとスラグ造滓剤とは、溶融金属のシールド作
用の有無という点で明確に区別される。
【0019】次に、金属外皮全重量あたりの金属外皮中
の含有成分の組成限定理由について説明する。
の含有成分の組成限定理由について説明する。
【0020】O:0.003乃至0.090重量% 金属外皮中のO(酸素)は、ワイヤ先端部において溶融
した金属の表面張力を低下させ、形成される玉を小さく
する効果を有すると共に、玉とスラグのなじみ性を良好
にして、玉表面を覆うスラグの厚さを薄くすることがで
きる。金属外皮中のOが金属外皮全重量あたり0.00
3重量%未満であると、その効果を得ることができな
い。一方、金属外皮中のOが0.090重量%を超えて
過剰に含有されると、玉を覆うスラグが垂れてしまい、
その厚さが不均一になるので、スラグの剥離性が劣化
し、再アーク性が低下する。更に、金属外皮中にOが過
剰に含有されていると、金属外皮中に存在するCと反応
してスパッタが発生する原因となるので好ましくない。
従って、金属外皮中のOは金属外皮全重量あたり0.0
03乃至0.090重量%とする。好ましくは、金属外
皮中のOは0.005乃至0.090重量%とすること
が望ましい。
した金属の表面張力を低下させ、形成される玉を小さく
する効果を有すると共に、玉とスラグのなじみ性を良好
にして、玉表面を覆うスラグの厚さを薄くすることがで
きる。金属外皮中のOが金属外皮全重量あたり0.00
3重量%未満であると、その効果を得ることができな
い。一方、金属外皮中のOが0.090重量%を超えて
過剰に含有されると、玉を覆うスラグが垂れてしまい、
その厚さが不均一になるので、スラグの剥離性が劣化
し、再アーク性が低下する。更に、金属外皮中にOが過
剰に含有されていると、金属外皮中に存在するCと反応
してスパッタが発生する原因となるので好ましくない。
従って、金属外皮中のOは金属外皮全重量あたり0.0
03乃至0.090重量%とする。好ましくは、金属外
皮中のOは0.005乃至0.090重量%とすること
が望ましい。
【0021】なお、金属外皮中のO含有量を所定量に調
整する手段としては、金属外皮の製造時における脱酸剤
の量を調整する方法、ワイヤ製造時に金属外皮表面を積
極的に酸化させる方法、又は金属外皮の内面及び外面の
いずれか一方若しくは両方に金属酸化物を押しつけて埋
め込む方法等がある。
整する手段としては、金属外皮の製造時における脱酸剤
の量を調整する方法、ワイヤ製造時に金属外皮表面を積
極的に酸化させる方法、又は金属外皮の内面及び外面の
いずれか一方若しくは両方に金属酸化物を押しつけて埋
め込む方法等がある。
【0022】S:0.0005乃至0.02重量% 金属外皮中のSもまた、Oと同様の作用を有する。即
ち、ワイヤ先端部に形成される玉を小さくすると共に、
玉とスラグとのなじみ性を良好にして薄いスラグを形成
する効果を有している。また、玉とスラグとの結合力を
弱めて、スラグの剥離を容易にする効果も有している。
金属外皮中のSが金属外皮全重量あたり0.0005重
量%未満であると、その効果を得ることができない。一
方、金属外皮中のSが0.02重量%を超えて過剰に含
有されると、玉を覆うスラグが垂れてしまい、その厚さ
が不均一になるので、スラグの剥離性が劣化し、再アー
ク性が低下する。更に、金属外皮中にSが過剰に添加さ
れていると、溶接金属の耐割れ性が低下するので好まし
くない。従って、金属外皮中のSは金属外皮全重量あた
り0.0005乃至0.02重量%とする。好ましく
は、金属外皮中のSは0.0010乃至0.02重量%
とすることが好ましい。
ち、ワイヤ先端部に形成される玉を小さくすると共に、
玉とスラグとのなじみ性を良好にして薄いスラグを形成
する効果を有している。また、玉とスラグとの結合力を
弱めて、スラグの剥離を容易にする効果も有している。
金属外皮中のSが金属外皮全重量あたり0.0005重
量%未満であると、その効果を得ることができない。一
方、金属外皮中のSが0.02重量%を超えて過剰に含
有されると、玉を覆うスラグが垂れてしまい、その厚さ
が不均一になるので、スラグの剥離性が劣化し、再アー
ク性が低下する。更に、金属外皮中にSが過剰に添加さ
れていると、溶接金属の耐割れ性が低下するので好まし
くない。従って、金属外皮中のSは金属外皮全重量あた
り0.0005乃至0.02重量%とする。好ましく
は、金属外皮中のSは0.0010乃至0.02重量%
とすることが好ましい。
【0023】Si:0.1乃至0.6重量% 金属外皮中のSiは、ワイヤ先端部において溶融した金
属の粘性を低下させ、形成される玉を小さくする効果を
有している。金属外皮中のSiが金属外皮全重量あたり
0.1重量%未満であると、その効果を得ることができ
ない。一方、金属外皮中のSiが0.6重量%を超えて
過剰に含有されると、玉を覆うスラグの剥離性が劣化す
るので、再アーク性が低下してしまう。更に、金属外皮
中にSiが過剰に添加されていると、溶融金属の粘性が
低下しすぎるため、立向溶接等の溶接姿勢で溶接する場
合においてビード形状が凸状となり好ましくない。従っ
て、金属外皮中のSiは金属外皮全重量あたり0.1乃
至0.6重量%とする。なお、好ましくは、金属外皮中
のSiは0.15乃至0.45重量%とすることが望ま
しく、更に好ましくは、金属外皮中のSiは0.15乃
至0.35重量%である。
属の粘性を低下させ、形成される玉を小さくする効果を
有している。金属外皮中のSiが金属外皮全重量あたり
0.1重量%未満であると、その効果を得ることができ
ない。一方、金属外皮中のSiが0.6重量%を超えて
過剰に含有されると、玉を覆うスラグの剥離性が劣化す
るので、再アーク性が低下してしまう。更に、金属外皮
中にSiが過剰に添加されていると、溶融金属の粘性が
低下しすぎるため、立向溶接等の溶接姿勢で溶接する場
合においてビード形状が凸状となり好ましくない。従っ
て、金属外皮中のSiは金属外皮全重量あたり0.1乃
至0.6重量%とする。なお、好ましくは、金属外皮中
のSiは0.15乃至0.45重量%とすることが望ま
しく、更に好ましくは、金属外皮中のSiは0.15乃
至0.35重量%である。
【0024】V:0.005乃至0.2重量% 金属外皮中のVは玉を覆うスラグを脆くして、破壊しや
すくする効果を有する。これは、Vが玉を覆うスラグに
混入して低融点の複酸化物を形成し、スラグ自身の結合
力を弱めるためであると考えられる。金属外皮中のVが
金属外皮全重量あたり0.005重量%未満であると、
その効果を得ることができない。一方、金属外皮中のV
が0.2重量%を超えて過剰に含有されると、玉を覆う
スラグが部分的に焼き付く現象が生じるので、良好な再
アーク性を得ることができなくなる。従って、金属外皮
中のVは金属外皮全重量あたり0.005乃至0.2重
量%とする。好ましくは、金属外皮中のVは0.010
乃至0.1重量%とすることが望ましい。
すくする効果を有する。これは、Vが玉を覆うスラグに
混入して低融点の複酸化物を形成し、スラグ自身の結合
力を弱めるためであると考えられる。金属外皮中のVが
金属外皮全重量あたり0.005重量%未満であると、
その効果を得ることができない。一方、金属外皮中のV
が0.2重量%を超えて過剰に含有されると、玉を覆う
スラグが部分的に焼き付く現象が生じるので、良好な再
アーク性を得ることができなくなる。従って、金属外皮
中のVは金属外皮全重量あたり0.005乃至0.2重
量%とする。好ましくは、金属外皮中のVは0.010
乃至0.1重量%とすることが望ましい。
【0025】N及びNbの合計:0.2重量%以下 前述の如く、金属外皮中のO、S、Si及びV含有量
が、全て、本発明において規定する範囲を満足している
と、良好な再アーク性を安定して得ることができるが、
これらのいずれかが本発明において規定する範囲から外
れると、再アーク性が不良になってしまう。一方、金属
外皮中の不可避的不純物であるN及びNbは、玉を覆う
スラグの剥離性を劣化させて、再アーク性を低下させる
ものであるので、N及びNbの合計を所定量以下に規制
すると、更に一層優れた再アーク性を得ることができ
る。金属外皮中のN及びNbの合計が0.2重量%を超
えると、玉を覆うスラグの剥離性が低下するため、良好
な再アーク性を得ることができないことがある。従っ
て、金属外皮中のN及びNbの合計を金属外皮全重量あ
たり0.2重量%以下にすることが好ましい。
が、全て、本発明において規定する範囲を満足している
と、良好な再アーク性を安定して得ることができるが、
これらのいずれかが本発明において規定する範囲から外
れると、再アーク性が不良になってしまう。一方、金属
外皮中の不可避的不純物であるN及びNbは、玉を覆う
スラグの剥離性を劣化させて、再アーク性を低下させる
ものであるので、N及びNbの合計を所定量以下に規制
すると、更に一層優れた再アーク性を得ることができ
る。金属外皮中のN及びNbの合計が0.2重量%を超
えると、玉を覆うスラグの剥離性が低下するため、良好
な再アーク性を得ることができないことがある。従っ
て、金属外皮中のN及びNbの合計を金属外皮全重量あ
たり0.2重量%以下にすることが好ましい。
【0026】本発明のフラックス入りワイヤにおいて
は、上記化学成分以外の金属外皮中の成分及びフラック
ス成分等は特に限定するものではない。即ち、溶着金属
の化学成分及び機械的性能を好ましい値にするため、又
はアークの安定性を高めると共に、スパッタの発生を低
減するために、成分及びその含有量を適宜調整して使用
することができる。フラックスの充填率も特に限定しな
いが、ワイヤ製造時に発生する断線トラブルを考慮する
と、フラックスの充填率は15乃至30重量%の範囲で
あることが適当である。
は、上記化学成分以外の金属外皮中の成分及びフラック
ス成分等は特に限定するものではない。即ち、溶着金属
の化学成分及び機械的性能を好ましい値にするため、又
はアークの安定性を高めると共に、スパッタの発生を低
減するために、成分及びその含有量を適宜調整して使用
することができる。フラックスの充填率も特に限定しな
いが、ワイヤ製造時に発生する断線トラブルを考慮する
と、フラックスの充填率は15乃至30重量%の範囲で
あることが適当である。
【0027】また、フラックス入りワイヤの断面形状と
しては種々の形状のものがあるが、本発明においては特
に限定せず、ワイヤ直径についても、用途に応じて、例
えば、0.8、0.9、1.0、1.2及び1.6mm
等の種々の直径のワイヤを選択することができる。更
に、本発明のフラックス入りワイヤを使用して溶接する
場合、CO2ガス、Ar/CO2混合ガス等のシールドガ
スを使用することができる。
しては種々の形状のものがあるが、本発明においては特
に限定せず、ワイヤ直径についても、用途に応じて、例
えば、0.8、0.9、1.0、1.2及び1.6mm
等の種々の直径のワイヤを選択することができる。更
に、本発明のフラックス入りワイヤを使用して溶接する
場合、CO2ガス、Ar/CO2混合ガス等のシールドガ
スを使用することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係るステンレス鋼用フラック
ス入りワイヤの実施例についてその比較例と比較して具
体的に説明する。
ス入りワイヤの実施例についてその比較例と比較して具
体的に説明する。
【0029】先ず、下記表1乃至4に示す種々の組成を
有するオーステナイト系ステンレス鋼からなる金属外皮
を作製し、この金属外皮内にフラックスを充填してフラ
ックス入りワイヤを製造した。このワイヤ全重量あたり
のフラックス中のスラグ造滓剤の含有量を下記表1に併
せて示す。
有するオーステナイト系ステンレス鋼からなる金属外皮
を作製し、この金属外皮内にフラックスを充填してフラ
ックス入りワイヤを製造した。このワイヤ全重量あたり
のフラックス中のスラグ造滓剤の含有量を下記表1に併
せて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】図1は本発明に係るステンレス鋼用フラッ
クス入りワイヤの形状の例を示す断面図である。図1
(a)は帯板状の金属外皮Mの内部にフラックスFを充
填しながら、金属外皮Mの両端縁を突き合わせるように
して管状に曲げ加工し、その後、所定の径まで伸線した
ものである。このワイヤの突き合わせ端面は平坦である
が、図1(b)はその突き合わせ端面が湾曲したもので
ある。図1(c)は突き合わせ端部をL字状に屈曲さ
せ、突き合わせ端面を広くしたものである。また、図1
(d)はシームレスの金属外皮Mの内部にフラックスF
を充填したものである。
クス入りワイヤの形状の例を示す断面図である。図1
(a)は帯板状の金属外皮Mの内部にフラックスFを充
填しながら、金属外皮Mの両端縁を突き合わせるように
して管状に曲げ加工し、その後、所定の径まで伸線した
ものである。このワイヤの突き合わせ端面は平坦である
が、図1(b)はその突き合わせ端面が湾曲したもので
ある。図1(c)は突き合わせ端部をL字状に屈曲さ
せ、突き合わせ端面を広くしたものである。また、図1
(d)はシームレスの金属外皮Mの内部にフラックスF
を充填したものである。
【0035】本実施例においては、図1(b)の断面形
状を有し、フラックス充填率を20乃至25重量%とし
て、直径が1.2mmであるフラックス入りワイヤを製
造し、これを使用して溶接することにより再アーク性試
験、溶接作業性試験及び溶接欠陥評価試験を実施した。
状を有し、フラックス充填率を20乃至25重量%とし
て、直径が1.2mmであるフラックス入りワイヤを製
造し、これを使用して溶接することにより再アーク性試
験、溶接作業性試験及び溶接欠陥評価試験を実施した。
【0036】再アーク試験の試験方法及び評価基準につ
いて以下に説明する。先ず、ワイヤ先端部をペンチで切
断した後、新鮮なワイヤ先端部を母材に接触させてアー
クを発生させ、ビード長が50mmの第1ビードを母材
上に溶接する。次いで、この溶接終了時にワイヤ先端部
に形成される玉を15秒間保持した後、そのままビード
長が50mmの第2ビードを母材上に溶接する。第3ビ
ード以降は、第2ビードと同様の方法で溶接し、合計5
1本の試験ビードを断続溶接する。再アーク性の評価基
準は、第1ビードのアークスタートを除く50回のアー
クスタートにおいて、アークスタートの失敗回数が5回
以下のものを○○○(優)、アークスタートの失敗回数
が6乃至10回のものを○○(良)、アークスタートの
失敗回数が11乃至15回のものを○(可)とし、アー
クスタートの失敗回数が16回以上のものを×(不良)
とした。
いて以下に説明する。先ず、ワイヤ先端部をペンチで切
断した後、新鮮なワイヤ先端部を母材に接触させてアー
クを発生させ、ビード長が50mmの第1ビードを母材
上に溶接する。次いで、この溶接終了時にワイヤ先端部
に形成される玉を15秒間保持した後、そのままビード
長が50mmの第2ビードを母材上に溶接する。第3ビ
ード以降は、第2ビードと同様の方法で溶接し、合計5
1本の試験ビードを断続溶接する。再アーク性の評価基
準は、第1ビードのアークスタートを除く50回のアー
クスタートにおいて、アークスタートの失敗回数が5回
以下のものを○○○(優)、アークスタートの失敗回数
が6乃至10回のものを○○(良)、アークスタートの
失敗回数が11乃至15回のものを○(可)とし、アー
クスタートの失敗回数が16回以上のものを×(不良)
とした。
【0037】また、溶接作業性については、スパッタの
発生状況及びビード形状を官能評価し、良好なものを
○、不良のものを×とした。
発生状況及びビード形状を官能評価し、良好なものを
○、不良のものを×とした。
【0038】更に、溶接欠陥の評価試験方法及び評価基
準について以下に説明する。溶接欠陥はJIS Z 3
106に準じて、ステンレス鋼溶接部の放射線透過試験
を実施することにより評価するものとした。
準について以下に説明する。溶接欠陥はJIS Z 3
106に準じて、ステンレス鋼溶接部の放射線透過試験
を実施することにより評価するものとした。
【0039】図2は放射線透過試験用の試験板の開先形
状を示す断面図である。図2に示すように、2枚の溶接
母材1は、その端面が斜面となるように切断されてお
り、上方が開いたV形状の開先部4が形成されるよう
に、2枚の溶接母材1が若干離間して配置されている。
また、この開先部4の下部には裏当金2が配置されてい
る。これらの溶接母材1及び裏当金2の溶接金属が形成
される表面には、溶接に使用するフラックス入りワイヤ
で3層バタリングの処理が施されて、3層の溶接金属3
が形成されている。
状を示す断面図である。図2に示すように、2枚の溶接
母材1は、その端面が斜面となるように切断されてお
り、上方が開いたV形状の開先部4が形成されるよう
に、2枚の溶接母材1が若干離間して配置されている。
また、この開先部4の下部には裏当金2が配置されてい
る。これらの溶接母材1及び裏当金2の溶接金属が形成
される表面には、溶接に使用するフラックス入りワイヤ
で3層バタリングの処理が施されて、3層の溶接金属3
が形成されている。
【0040】本実施例においては、溶接母材1の下部の
離間距離を12mm、板厚を20mmとし、開先角度を
45°として、開先部4に溶接金属を形成した。溶接欠
陥は、放射線透過試験により、スラグ巻込み、融合不良
及び割れが認められなかったものを○(良好)、スラグ
巻込み、融合不良及び割れが認められたものを×(不
良)とした。
離間距離を12mm、板厚を20mmとし、開先角度を
45°として、開先部4に溶接金属を形成した。溶接欠
陥は、放射線透過試験により、スラグ巻込み、融合不良
及び割れが認められなかったものを○(良好)、スラグ
巻込み、融合不良及び割れが認められたものを×(不
良)とした。
【0041】これらの3種の評価試験における溶接条件
について下記表5に示し、評価結果について下記表6及
び7に示す。
について下記表5に示し、評価結果について下記表6及
び7に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】上記表1乃至4、6及び7に示すように、
実施例No.1乃至21はフラックス中のスラグ造滓剤
量及び金属外皮中の含有成分が本発明の範囲内であるの
で、再アーク性が良好であると共に、溶接作業性及び溶
接欠陥の評価結果も優れたものとなった。特に、実施例
No.1、2、6、7、9、11、14乃至16及び1
8は金属外皮中の成分含有量がより好ましい範囲を満足
していると共に、N及びNbの合計が規制されているの
で、再アーク性が更に一層優れたものとなった。
実施例No.1乃至21はフラックス中のスラグ造滓剤
量及び金属外皮中の含有成分が本発明の範囲内であるの
で、再アーク性が良好であると共に、溶接作業性及び溶
接欠陥の評価結果も優れたものとなった。特に、実施例
No.1、2、6、7、9、11、14乃至16及び1
8は金属外皮中の成分含有量がより好ましい範囲を満足
していると共に、N及びNbの合計が規制されているの
で、再アーク性が更に一層優れたものとなった。
【0046】一方、比較例No.22乃至42は全てア
ークスタート性が不良となった。特に、比較例No.2
3、40及び41はフラックス中のスラグ造滓剤が本発
明範囲の上限を超えているので、スラグ巻込み及び融合
不良等が発生し、比較例No.27、32、35及び4
0は金属外皮中のS含有量が本発明範囲の上限を超えて
いるので、溶接金属に割れが発生した。従って、これら
は全て、溶接欠陥の評価結果が不良となった。
ークスタート性が不良となった。特に、比較例No.2
3、40及び41はフラックス中のスラグ造滓剤が本発
明範囲の上限を超えているので、スラグ巻込み及び融合
不良等が発生し、比較例No.27、32、35及び4
0は金属外皮中のS含有量が本発明範囲の上限を超えて
いるので、溶接金属に割れが発生した。従って、これら
は全て、溶接欠陥の評価結果が不良となった。
【0047】また、比較例No.25、32、33、3
6及び39は、金属外皮中のO(酸素)含有量が本発明
範囲の上限を超えているのでスパッタが発生し、溶接作
業性の評価結果が不良となった。更に、比較例No.2
9、37及び41は、金属外皮中のSi含有量が本発明
範囲の上限を超えているのでビード形状が劣化し、溶接
作業性の評価結果が不良となった。
6及び39は、金属外皮中のO(酸素)含有量が本発明
範囲の上限を超えているのでスパッタが発生し、溶接作
業性の評価結果が不良となった。更に、比較例No.2
9、37及び41は、金属外皮中のSi含有量が本発明
範囲の上限を超えているのでビード形状が劣化し、溶接
作業性の評価結果が不良となった。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
フラックス中のスラグ造滓剤量を規定すると共に、金属
外皮中のO、S、Si及びV含有量が規定されているの
で、良好な再アーク性を安定して得ることができると共
に、溶接作業性を向上させることができるステンレス鋼
用フラックス入りワイヤを得ることができる。また、金
属外皮中のN及びNbの合計量を所定量以下に規制する
と、より一層再アーク性が優れたものとなる。
フラックス中のスラグ造滓剤量を規定すると共に、金属
外皮中のO、S、Si及びV含有量が規定されているの
で、良好な再アーク性を安定して得ることができると共
に、溶接作業性を向上させることができるステンレス鋼
用フラックス入りワイヤを得ることができる。また、金
属外皮中のN及びNbの合計量を所定量以下に規制する
と、より一層再アーク性が優れたものとなる。
【図1】本発明に係るステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤの形状の例を示す断面図である。
イヤの形状の例を示す断面図である。
【図2】放射線透過試験用の試験板の開先形状を示す断
面図である。
面図である。
1;溶接母材 2;裏当金 3;溶接金属 4;開先部 M;金属外皮 F;フラックス
Claims (4)
- 【請求項1】 金属外皮内にフラックスが充填されてい
るフラックス入りワイヤにおいて、前記フラックス中の
スラグ造滓剤が、ワイヤ全重量あたり6.0乃至13.
0重量%であり、前記金属外皮は、金属外皮全重量あた
り、O:0.003乃至0.090重量%、S:0.0
005乃至0.02重量%、Si:0.1乃至0.6重
量%及びV:0.005乃至0.2重量%を含有するオ
ーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とするス
テンレス鋼用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項2】 前記金属外皮は、金属外皮全重量あた
り、Oが0.005乃至0.090重量%、Sが0.0
010乃至0.02重量%、Siが0.15乃至0.4
5重量%、Vが0.010乃至0.1重量%であること
を特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼用フラック
ス入りワイヤ。 - 【請求項3】 前記金属外皮中の不可避的不純物として
のN及びNbの合計が、金属外皮全重量あたり0.2重
量%以下に規制されていることを特徴とする請求項1又
は2に記載のステンレス鋼用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項4】 前記スラグ造滓剤は、金属酸化物、金属
弗化物、炭酸塩及び珪酸化合物からなる群から選択され
た少なくとも1種からなるものであることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステンレス鋼用
フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8118030A JPH09300097A (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
US08/808,651 US5854463A (en) | 1996-05-13 | 1997-02-28 | Flux cored wire for stainless steel |
KR1019970014312A KR100252573B1 (ko) | 1996-05-13 | 1997-04-18 | 스테인레스강용 플럭스 충전 와이어 |
SE9701656A SE518732C2 (sv) | 1996-05-13 | 1997-05-02 | Tråd med flussmedelskärna för rostfritt stål |
NL1005975A NL1005975C2 (nl) | 1996-05-13 | 1997-05-05 | Draad met fluxkern voor roestvrij staal. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8118030A JPH09300097A (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09300097A true JPH09300097A (ja) | 1997-11-25 |
Family
ID=14726327
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8118030A Pending JPH09300097A (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5854463A (ja) |
JP (1) | JPH09300097A (ja) |
KR (1) | KR100252573B1 (ja) |
NL (1) | NL1005975C2 (ja) |
SE (1) | SE518732C2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012030237A (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-16 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 構造部材の溶接継手構造及びその溶接方法 |
JP2017024082A (ja) * | 2012-04-26 | 2017-02-02 | アロイ ロッズ グローバル インク | フラックス入りワイヤならびにその製造方法およびその製造装置 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3747237B2 (ja) * | 2000-05-01 | 2006-02-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐熱鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
US9682446B2 (en) * | 2006-02-17 | 2017-06-20 | Kobe Steel, Ltd. | Flux-cored wire for different-material bonding and method of bonding different materials |
KR101065996B1 (ko) * | 2008-05-27 | 2011-09-19 | 닛폰 스틸 앤드 스미킨 스테인레스 스틸 코포레이션 | 응고 결정립을 미세하게 하는 2상 스테인리스 강 용접용 플럭스 내장 와이어 |
US20140263194A1 (en) * | 2013-03-15 | 2014-09-18 | Lincoln Global, Inc. | Cored non-arc consumable for joining or overlaying and systems and methods for using cored non-arc consumables |
US11426821B2 (en) * | 2015-02-25 | 2022-08-30 | Hobart Brothers Llc | Aluminum metal-cored welding wire |
JP6462431B2 (ja) * | 2015-03-10 | 2019-01-30 | 株式会社神戸製鋼所 | 肉盛溶接金属及び機械構造物 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5219425A (en) * | 1989-08-25 | 1993-06-15 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Flux containing wire for use in stainless steel welding |
JPH03243296A (ja) * | 1990-02-22 | 1991-10-30 | Kobe Steel Ltd | ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ |
-
1996
- 1996-05-13 JP JP8118030A patent/JPH09300097A/ja active Pending
-
1997
- 1997-02-28 US US08/808,651 patent/US5854463A/en not_active Expired - Lifetime
- 1997-04-18 KR KR1019970014312A patent/KR100252573B1/ko not_active IP Right Cessation
- 1997-05-02 SE SE9701656A patent/SE518732C2/sv not_active IP Right Cessation
- 1997-05-05 NL NL1005975A patent/NL1005975C2/nl not_active IP Right Cessation
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012030237A (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-16 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 構造部材の溶接継手構造及びその溶接方法 |
JP2017024082A (ja) * | 2012-04-26 | 2017-02-02 | アロイ ロッズ グローバル インク | フラックス入りワイヤならびにその製造方法およびその製造装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
SE9701656L (sv) | 1997-11-14 |
SE518732C2 (sv) | 2002-11-12 |
US5854463A (en) | 1998-12-29 |
NL1005975A1 (nl) | 1997-11-18 |
KR100252573B1 (ko) | 2000-04-15 |
SE9701656D0 (sv) | 1997-05-02 |
NL1005975C2 (nl) | 2002-01-03 |
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