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JPH09309712A - 超微粒子内包巨大フラーレンおよびその製造方法 - Google Patents

超微粒子内包巨大フラーレンおよびその製造方法

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Publication number
JPH09309712A
JPH09309712A JP8126641A JP12664196A JPH09309712A JP H09309712 A JPH09309712 A JP H09309712A JP 8126641 A JP8126641 A JP 8126641A JP 12664196 A JP12664196 A JP 12664196A JP H09309712 A JPH09309712 A JP H09309712A
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JP
Japan
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ultrafine particles
ultrafine
giant
particles
fullerene
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Application number
JP8126641A
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JP3544267B2 (ja
Inventor
Heishiya Kiyo
並社 許
Shunichiro Tanaka
俊一郎 田中
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分離工程等を経ることなく、比較的簡易な工
程で各種の微粒子を用いた内包巨大フラーレンの作製を
可能にする。また、内包巨大フラーレンの形状や内包状
態の制御等を実現する。 【解決手段】 非晶質炭素1上に配置された超微粒子2
と、この超微粒子2周囲への高エネルギービーム3の照
射により超微粒子2を核生成物質として形成された巨大
フラーレン4とを具備し、超微粒子2は高エネルギービ
ーム3の照射により供給された炭素原子を構成原子の少
なくとも一部として有する巨大フラーレン4に立体的に
内包されている微粒子内包巨大フラーレン5である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な製法による
超微粒子内包巨大フラーレンおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】C60に代表されるフラーレンは、分子間
力によって結合しており、高い対称性を持ったサッカー
ボール型の分子である。分子中の全てのカーボン原子は
等価であって、互いに共有結合しており、非常に安定な
結晶体である。C60等のフラーレンは、結晶構造的には
fcc構造をとると見なすことができ、塑性変形能や加工
硬化性等の金属的な力学特性を示すことから、新しい炭
素系材料として各種用途への応用が期待されている。ま
た、フラーレン自体の特性に基いて、超伝導材料、触
媒、非線形光学材料等への応用も研究されている。
【0003】従来、C60等のフラーレンは、炭素棒や粒
状炭素を電極としたアーク放電法や紫外レーザをグラフ
ァイト表面に照射するレーザアブレーション法等によっ
て作製されている。フラーレンはスス中に混在した状態
で生成されるため、フィルタやベンゼン等を用いた捕集
装置により抽出している。
【0004】上述したアーク放電時に陰極側に堆積した
物質中には、カーボンナノカプセルやカーボンナノチュ
ーブと呼ばれる高次フラーレン(巨大フラーレン)が含
まれており、陰極側の堆積物を粉砕した後にエタノール
等の有機溶媒を用いて精製することにより、上述したカ
ーボンナノカプセルやカーボンナノチューブが得られて
いる。カーボンナノカプセルやカーボンナノチューブ
は、いずれも中空形状を有すると共に、例えば潤滑性や
耐候性等に優れることから、それらの中空部内に他の金
属原子や微細結晶等を閉じ込めることによって、新物質
の合成や新機能の探索等が行われている。
【0005】上記したようなカーボンナノカプセルやカ
ーボンナノチューブの中空部内に他の金属原子や微細結
晶等を閉じ込めた巨大フラーレン(以下、内包巨大フラ
ーレンと記す)としては、従来、LaやY等の希土類金
属の炭化物や、Fe、Co、Ni等の金属微粒子を内包
させたものが報告されている。これらは、金属や酸化物
等の粉を仕込んだ炭素電極を用いてアーク放電等を行
い、その陰極堆積物中に含まれる内包巨大フラーレンを
精製することにより得ている。
【0006】しかし、このような従来の内包巨大フラー
レンは、その製造工程が複雑であると共に、アーク放電
法により生成される堆積物中に含まれるものであるた
め、黒鉛状物質やアモルファスカーボン等の不純物との
分離自体が困難であるという問題を有している。また、
従来の内包巨大フラーレンはアーク放電法等により副次
的に生成されるものであるため、形状や内包状態の制御
等を容易に行うことはできず、また巨大フラーレンに内
包させる微粒子についても、現状では特定の金属微粒子
や化合物微粒子に限られている。
【0007】また、巨大フラーレンの一種として、C60
等からなるコアの外殻にさらに大きな分子量を持つフラ
ーレンが同心円状に重なりあった、たまねぎ状グラファ
イトと呼ばれる物質も発見されているが、現状では存在
が確認された程度であって、その形状や物性等の制御は
十分には行われておらず、ましてやたまねぎ状グラファ
イトを用いた内包巨大フラーレン等は実現されていな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の内包巨大フラーレンは、金属や酸化物等の粉を仕込ん
だ炭素電極を用いたアーク放電等により得られる極堆積
物中に含まれるものであるため、製造過程が複雑である
と共に、黒鉛状物質やアモルファスカーボン等の不純物
との分離が困難であるというような問題を有している。
さらに、従来の内包巨大フラーレンは、その製造方法に
起因して、形状や内包状態等を容易に制御することはで
きず、また巨大フラーレンに内包させる微粒子について
も、現状では特定の金属微粒子や化合物微粒子に限られ
ている。
【0009】このようなことから、分離工程等を経るこ
となく、比較的簡易な工程で内包巨大フラーレンの作製
を可能にすることが求められている。さらには、各種の
微粒子を用いた内包巨大フラーレンの作製を可能にする
と共に、内包巨大フラーレンの形状や内包状態の制御等
を実現することが求められている。またこのために、内
包巨大フラーレンを制御された条件下で独立した状態で
作製することを可能にする技術が望まれている。
【0010】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、比較的簡易な工程で、かつ制御され
た条件下で独立した状態で作製が可能であると共に、形
状や内包状態等を制御することができ、さらには各種微
粒子の内包を実現した超微粒子内包巨大フラーレンおよ
びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の超微粒子内包巨
大フラーレンは、非晶質炭素上に配置された超微粒子
と、前記超微粒子周囲への高エネルギービームの照射に
より前記超微粒子を核生成物質として形成された巨大フ
ラーレンとを具備し、前記超微粒子は前記高エネルギー
ビーム照射により供給された炭素原子を構成原子の少な
くとも一部として有する前記巨大フラーレンに立体的に
内包されていることを特徴としている。
【0012】また、本発明の超微粒子内包巨大フラーレ
ンの製造方法は、上部に超微粒子が配置された非晶質炭
素に高エネルギービームを照射し、前記超微粒子を核生
成物質とすると共に、前記高エネルギービームの照射径
内の非晶質炭素から少なくとも一部の炭素原子を供給し
て、巨大フラーレンを生成し、この生成した巨大フラー
レンで前記超微粒子を立体的に内包することを特徴とし
ている。
【0013】すなわち本発明は、超微粒子が配置された
非晶質炭素に高エネルギービームを照射し、この高エネ
ルギービームの照射径内の非晶質炭素から少なくとも一
部の炭素原子を供給すると共に、非晶質炭素上に配置し
たに超微粒子を核生成物質として巨大フラーレンを生成
することによって、各種超微粒子を用いた超微粒子内包
フラーレンが生成し得ることを見出したことに基くもの
である。
【0014】本発明の超微粒子内包巨大フラーレンは、
高エネルギービームの照射部や照射部周囲に選択的にか
つ独立した状態で形成することができることから、超微
粒子内包巨大フラーレンの物性等の掌握や各種の操作、
制御等が実現可能となり、その上で高エネルギービーム
の照射により活性化した炭素原子の流動や浮遊等によ
り、巨大フラーレンを構成する炭素原子の少なくとも一
部を供給しているため、超微粒子を立体的に内包した巨
大フラーレンを得ることができる。また、超微粒子内包
巨大フラーレンの形状や内包状態等は、超微粒子の当初
の形状や高エネルギービームの照射領域との位置関係等
によって制御することができると共に、各種の超微粒子
を用いて内包巨大フラーレンを作製することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0016】図1は、本発明の超微粒子内包巨大フラー
レンの製造過程の一実施形態を模式的に示す断面図であ
る。同図において、1は非晶質炭素膜であり、この非晶
質炭素としては例えばi-カーボン等が用いられる。この
ような非晶質炭素膜1上に、図1(a)に示すように、
単数もしくは複数の超微粒子2を適当な間隔で配置す
る。この超微粒子2は、巨大フラーレンの核生成物質と
なると共に、最終的には生成した巨大フラーレンに内包
されるものである。
【0017】上記した超微粒子2は、その材質に限定さ
れるものではなく、金属超微粒子、半導体超微粒子、化
合物超微粒子等、各種の固体物質からなる超微粒子を用
いることができる。言い換えると、各種の固体物質から
なる超微粒子2を核生成物質(核生成点)として、後述
するように巨大フラーレンを誘起および成長させること
ができる。このような超微粒子2の具体例としては、A
l、Fe、Co、Ni、La、Y、Pt、Au、Cu等
の金属超微粒子、Si等の半導体超微粒子、金属酸化
物、金属塩化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等の化合
物超微粒子等が挙げられる。
【0018】また、超微粒子2の直径は 2〜 100nm程度
であることが好ましい。超微粒子2の直径が 100nmを超
えると、下層の非晶質炭素を十分に活性化できず、巨大
フラーレンを誘起できないおそれがある。なお、直径 2
nm未満の超微粒子2は作製自体が困難である。超微粒子
2のより好ましい直径は 3〜30nmの範囲である。このよ
うな超微粒子2の作製方法は特に限定されるものではな
く、非晶質炭素膜1上に分離した状態で配置することが
可能であれば、種々の方法で作製した超微粒子2を使用
することができる。
【0019】上述したような超微粒子2を配置した非晶
質炭素膜1に対して、高エネルギービーム3を照射す
る。この非晶質炭素膜1に照射する高エネルギービーム
3は、特に限定されるものではなく、非晶質炭素膜1を
活性化して巨大フラーレンを誘起し得るエネルギーを有
していればよい。例えば、強度が 1×1018e/cm2 ・sec
以上の電子線、この電子線と同等の強度を有するイオン
ビームのような粒子線、レーザのようなフォトン、X
線、γ線、中性子線等が挙げられる。
【0020】高エネルギービーム3として電子線を用い
る場合、照射強度が 1×1018e/cm2・sec 未満である
と、巨大フラーレンを生成し得るほどに非晶質炭素を活
性化できないおそれがある。言い換えると、 1×1018e/
cm2 ・sec 以上の強度を有する電子線(3)は、超微粒
子2および非晶質炭素膜1の活性化効果や局所加熱効果
等をもたらし、これらによって巨大フラーレンの生成が
可能となる。高エネルギービーム3として粒子線、フォ
トン、X線、γ線、中性子線等を用いる場合についても
同様である。
【0021】高エネルギービーム3の照射雰囲気は、使
用ビームに応じて設定すればよく、例えば真空雰囲気、
アルゴン雰囲気のような不活性雰囲気等が挙げられ、ま
た場合によっては酸素含有雰囲気や窒素雰囲気等でもよ
い。例えば、電子線照射を適用する場合の雰囲気は 1×
10-5Pa以下の真空雰囲気とすることが好ましく、これに
よって残留ガス原子の吸着等を防ぐことができることか
ら、巨大フラーレンの生成が促進される。
【0022】上述したような高エネルギービーム3を、
超微粒子2を配置した非晶質炭素膜1に照射すると、高
エネルギービーム3の照射領域内の非晶質炭素膜1が活
性化して、図1(b)に示すように、超微粒子2を核生
成点として、超微粒子2の下側に存在する非晶質炭素の
原子配列が変化して巨大フラーレン4が誘起されると共
に、活性化した炭素原子の例えば図中矢印で示すような
流動および集積が起こる。また、活性化した炭素原子の
一部は浮遊および堆積する。ここで、高エネルギービー
ム3の照射により誘起された巨大フラーレン4として
は、たまねぎ状グラファイトが挙げられる。
【0023】流動や浮遊等により空間的に移動した炭素
原子は、巨大フラーレン4の構成原子の一部となり、巨
大フラーレン4が成長する。言い換えると、高エネルギ
ービーム3の照射領域内の非晶質炭素膜1の活性化によ
って、巨大フラーレン4を構成する炭素原子の少なくと
も一部が流動や浮遊等の空間的な移動により供給され、
この炭素原子の供給により巨大フラーレン4が成長す
る。このように、空間的に移動した炭素原子が巨大フラ
ーレン4の構成原子の一部となるために、超微粒子2を
立体的に、言い換えると三次元的に内包するように、巨
大フラーレン4が成長するものと考えられる。
【0024】そして、上記した高エネルギービーム3の
照射を一定時間継続し、上記したように巨大フラーレン
4を成長させることによって、図1(c)に示すよう
に、超微粒子2を立体的に内包した巨大フラーレン4、
すなわち超微粒子内包巨大フラーレン5が得られる。高
エネルギービーム3の照射時間は、高エネルギービーム
3の強度等に応じて適宜設定するものとする。得られる
超微粒子内包巨大フラーレン5の大きさは、高エネルギ
ービーム3の照射強度や照射時間等が一定であれば、当
初の超微粒子2の大きさおよび位置に対応する傾向を示
す。
【0025】なお、超微粒子内包巨大フラーレン5の形
成位置は、高エネルギービーム3の照射領域(設定した
ビーム径)内に限られるものではなく、巨大フラーレン
4を構成する炭素原子の一部を流動や浮遊等の空間的な
移動により供給していると共に、高エネルギービーム3
は図1に示したように、通常設定したビーム径の周囲に
も影響を及ぼすため、高エネルギービーム3の照射領域
の周辺部においても、超微粒子2が存在していれば超微
粒子内包巨大フラーレン5を形成することができる。
【0026】このように、超微粒子内包巨大フラーレン
5は、超微粒子2を核生成物質とすると共に、高エネル
ギービーム3の照射径内の非晶質炭素膜1から少なくと
も一部の炭素原子を供給して形成した巨大フラーレン4
を有し、この巨大フラーレン4は核生成物質として使用
した超微粒子2を立体的に内包するように成長させたも
のである。従って、高エネルギービーム3の照射領域お
よびその周辺部に選択的にかつ独立した状態で超微粒子
内包巨大フラーレン5を作製することができ、よって超
微粒子内包巨大フラーレン5の物性等の掌握や各種の操
作、制御等が実現可能となる。
【0027】また、核生成物質として使用する超微粒子
2としては、前述したように種々の固体物質を用いるこ
とが可能であることから、各種材料からなる超微粒子2
を内包させた巨大フラーレン4、すなわち超微粒子内包
巨大フラーレン5を得ることができる。
【0028】さらに、この超微粒子内包巨大フラーレン
5、言い換えると巨大フラーレン4の大きさは、当初の
超微粒子2の大きさおよび高エネルギービーム3の照射
領域内での位置もしくは照射領域からの位置におおよそ
対応する。従って、当初の超微粒子2の大きさや位置を
選択することによって、種々の大きさの超微粒子内包巨
大フラーレン5を得ることができる。
【0029】特に、非晶質炭素膜1への高エネルギービ
ーム3の照射による活性化によって、流動や浮遊等によ
り空間的に移動した炭素原子は、特に高エネルギービー
ム3のの照射径の外縁部近傍に集積および堆積しやすい
ことが実験的に確認されている。従って、高エネルギー
ビーム3をその照射径の外縁部近傍に超微粒子2が位置
するように照射することによって、より大きな巨大フラ
ーレン4で内包することができる。これは、超微粒子2
の安定化等を目的として超微粒子内包巨大フラーレン5
を作製する際に有効である。
【0030】本発明による超微粒子内包巨大フラーレン
5は、超微粒子2の安定化等に限らず、そのものの性質
を利用して、半導体材料、超伝導材料、触媒、潤滑剤、
非線形光学材料、生体材料等の各種材料に使用すること
ができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について述べ
る。
【0032】実施例 まず、超微粒子内包巨大フラーレンの作製に使用したA
l超微粒子の形成例について述べる。すなわち、直径 1
00nm程度の球状θ−Al2 3 粒子を配置したi-カーボ
ンからなる非晶質カーボン支持膜を、 200kVTEM装置
の真空室内に配置された室温ステージ上に設置し、上記
真空室内を 1×10-5Paの真空度まで排気した後、非晶質
カーボン支持膜上に配置されたθ−Al2 3 粒子に
1.3×1020e/cm2 ・sec の電子線を照射した。そして、
この電子線照射によって、直径 2〜30nm程度のAl超微
粒子を非晶質カーボン支持膜上に生成した。
【0033】上述したAl超微粒子を使用して、超微粒
子内包巨大フラーレンを以下のようにして作製した。す
なわち、上記したAl超微粒子が配置された非晶質カー
ボン支持膜に対して、上記TEM装置の真空室内に配置
した状態(真空度を含む)を維持した上で、Al超微粒
子と共に 3.0×1019e/cm2 ・sec の電子線(照射径D=4
00nm)を照射した。電子線の照射位置は、その照射領域
内に複数のAl超微粒子が位置するように決定した。な
お、電子線の照射領域外にもAl超微粒子は存在してい
た。
【0034】電子線を2050秒照射した後、電子線の照射
領域近傍をTEM観察した。観察結果を図2に模式的に
示す。なお、図2における点線は電子線の照射領域(照
射径)を示している。図2から明らかなように、電子線
の照射領域内(電子線の照射径の外縁部上を含む)に位
置するAl超微粒子11a、11b等は、電子線の照射
により生成した同心円状のカーボン組織12に内包され
ている状態が観察された。この同心円状のカーボン組織
12は、層間隔から巨大フラーレンの 1種であるたまね
ぎ状グラファイトであることが確認された。また、電子
線の照射領域の外側に位置するAl超微粒子11c等
も、電子線の照射により生成した同様なたまねぎ状グラ
ファイト12に内包されていることが観察された。
【0035】Al超微粒子11がたまねぎ状グラファイ
ト12に内包されている状態を確認するために、Al超
微粒子11cを内包したたまねぎ状グラファイト12を
電子線を15deg 傾けて観察した。その観察結果を図3に
示す。図3(a)は電子線を垂直に照射して観察した場
合のTEM写真を模式的に示す図であり、図3(b)は
電子線を 15deg傾けて観察した場合のTEM写真を模式
的に示す図である。図3(b)から明らかなように、電
子線を 15deg傾けた場合においても、たまねぎ状グラフ
ァイト12の同心円状の縞が観察されており、このこと
からAl超微粒子11はたまねぎ状グラファイト12に
立体的に内包されていることが確認された。
【0036】すなわち、Al超微粒子11の周囲に 3.0
×1019e/cm2 ・sec の電子線を照射することによって、
Al超微粒子11を核生成物質としてたまねぎ状グラフ
ァイト12が生成し、このたまねぎ状グラファイト12
はAl超微粒子11を立体的に内包するものであった。
これは、電子線の照射により非晶質カーボン支持膜が活
性化し、この活性化した炭素原子が流動や浮遊等により
空間的に移動し、この炭素原子の集積および堆積等によ
りたまねぎ状グラファイト12の構成原子の一部となる
ため、Al超微粒子11がたまねぎ状グラファイト12
に立体的に内包されるものと考えられる。
【0037】図4は、たまねぎ状グラファイト12の直
径dO-f とそれに内包されるAl超微粒子1の直径dAl
との関係を示している。この図から、たまねぎ状グラフ
ァイト12の直径dO-f はそれに内包されるAl超微粒
子1の直径dAlに対応することが分かる。
【0038】また図5は、図2に示した種々のAl超微
粒子11を内包するたまねぎ状グラファイト12の電子
線の照射中心からの距離と、そのたまねぎ状グラファイ
ト12の直径dO-f のAl超微粒子11の直径dAlに対
する比(dO-f /dAl)との関係を示している。この図
から、電子線の照射径の外縁部近傍にAl超微粒子11
が位置する場合(図1ではAl超微粒子11a)に、よ
り大きなたまねぎ状グラファイト12に内包されること
が分かる。
【0039】一方、本発明との比較例として、金属等の
超微粒子を配置していないi-カーボンからなる非晶質カ
ーボン膜に電子線を照射したところ、炭素原子の浮遊、
流動等は認められたが、フラーレンは生成しなかった。
【0040】なお、Al超微粒子に代えて、同様な大き
さのPt超微粒子、Al2 3 超微粒子、Si超微粒子
を用いた場合にも、同様な結果が得られた。このよう
に、本発明によれば各種の超微粒子を内包したたまねぎ
状グラファイト、すなわち超微粒子内包巨大フラーレン
を生成することができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、分
離工程等を必要としない超微粒子内包巨大フラーレン
を、その大きさや内包状態等を制御した上で、比較的簡
易な工程で得ることが可能となる。また、種々の超微粒
子を内包させた巨大フラーレンを作製することができ
る。従って、本発明の超微粒子内包巨大フラーレンは、
新規な内包巨大フラーレンの作製やその応用展開、活性
超微粒子の安定化等に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の超微粒子内包巨大フラーレンの製造
過程の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施例による超微粒子内包巨大フ
ラーレンの作製結果を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の一実施例により作製した超微粒子内
包巨大フラーレンに電子線を垂直に照射して観察した場
合と15deg 傾けて観察した場合のTEM写真を模式的に
示す図である。
【図4】 本発明の一実施例で作製したたまねぎ状グラ
ファイトの直径dO-fとそれに内包されるAl超微粒子
の直径dAlとの関係を示す図である。
【図5】 本発明の一実施例で作製したAl超微粒子内
包たまねぎ状グラファイトの電子線照射中心からの距離
とそのたまねぎ状グラファイトの直径dO-f のAl超微
粒子の直径dAlに対する比(dO-f /dAl)との関係を
示す図である。
【符号の説明】
1………非晶質炭素膜 2………超微粒子 3………高エネルギービーム 4………巨大フラーレン 5………超微粒子内包巨大フラーレン 11……Al超微粒子 12……たまねぎ状グラファイト

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質炭素上に配置された超微粒子と、
    前記超微粒子周囲への高エネルギービームの照射により
    前記超微粒子を核生成物質として形成された巨大フラー
    レンとを具備し、前記超微粒子は前記高エネルギービー
    ム照射により供給された炭素原子を構成原子の少なくと
    も一部として有する前記巨大フラーレンに立体的に内包
    されていることを特徴とする超微粒子内包巨大フラーレ
    ン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超微粒子内包巨大フラー
    レンにおいて、 前記超微粒子は、金属超微粒子、半導体超微粒子または
    化合物超微粒子であることを特徴とする超微粒子内包フ
    ラーレン。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の超微粒子内包巨大フラー
    レンにおいて、 前記巨大フラーレンは、たまねぎ状グラファイトである
    ことを特徴とする超微粒子内包巨大フラーレン。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の超微粒子内包巨大フラー
    レンにおいて、 前記超微粒子は、前記高エネルギービームの照射径の外
    縁部近傍に配置されていることを特徴とする超微粒子内
    包巨大フラーレン。
  5. 【請求項5】 上部に超微粒子が配置された非晶質炭素
    に高エネルギービームを照射し、前記超微粒子を核生成
    物質とすると共に、前記高エネルギービームの照射径内
    の非晶質炭素から少なくとも一部の炭素原子を供給し
    て、巨大フラーレンを生成し、この生成した巨大フラー
    レンで前記超微粒子を立体的に内包することを特徴とす
    る超微粒子内包巨大フラーレンの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の超微粒子内包巨大フラー
    レンの製造方法において、 前記超微粒子として、金属超微粒子、半導体超微粒子ま
    たは化合物超微粒子を用いることを特徴とする超微粒子
    内包巨大フラーレンの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の超微粒子内包巨大フラー
    レンの製造方法において、 前記高エネルギービームをその照射径の外縁部近傍に前
    記超微粒子が位置するように照射することを特徴とする
    超微粒子内包巨大フラーレンの製造方法。
JP12664196A 1996-05-22 1996-05-22 巨大フラーレンの製造方法 Expired - Fee Related JP3544267B2 (ja)

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