JPH0927413A - チョークコイル用磁心およびその製造方法 - Google Patents
チョークコイル用磁心およびその製造方法Info
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- JPH0927413A JPH0927413A JP7175951A JP17595195A JPH0927413A JP H0927413 A JPH0927413 A JP H0927413A JP 7175951 A JP7175951 A JP 7175951A JP 17595195 A JP17595195 A JP 17595195A JP H0927413 A JPH0927413 A JP H0927413A
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- core
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- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F41/00—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
- H01F41/02—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
- H01F41/0206—Manufacturing of magnetic cores by mechanical means
- H01F41/0213—Manufacturing of magnetic circuits made from strip(s) or ribbon(s)
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- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/14—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/147—Alloys characterised by their composition
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 特にチョ−クコイル用磁心に用いられる磁心
損失の低いFe基ナノ結晶合金を用いたチョ−クコイル用
磁心を得る。 【構成】 組織の一部が平均粒径50nm以下の結晶粒から
なるFe基ナノ結晶合金薄帯が巻回され、かつ磁路の少な
くとも一部が切断された構造のチョ−クコイル用磁心に
おいて、磁心の内周部と外周部との間の抵抗値が10mm
厚さあたり1Ω以上であることを特徴とするチョ−クコ
イル用磁心である。
損失の低いFe基ナノ結晶合金を用いたチョ−クコイル用
磁心を得る。 【構成】 組織の一部が平均粒径50nm以下の結晶粒から
なるFe基ナノ結晶合金薄帯が巻回され、かつ磁路の少な
くとも一部が切断された構造のチョ−クコイル用磁心に
おいて、磁心の内周部と外周部との間の抵抗値が10mm
厚さあたり1Ω以上であることを特徴とするチョ−クコ
イル用磁心である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電源の平滑回路やアク
ティブフィルタに用いられる低磁心損失のナノ結晶軟磁
性合金を用いたチョ−クコイル用磁心およびその製造方
法に関する。
ティブフィルタに用いられる低磁心損失のナノ結晶軟磁
性合金を用いたチョ−クコイル用磁心およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】平滑回路やアクティブフィルタ等のチョ
−クコイルに用いられる磁心としては、コイルに直流が
重畳されて使用されるため、磁心は直流重畳特性が優れ
ていることが必要であり、高直流重畳磁界まで高い増分
透磁率を示すことが要求される。チョ−クコイルにした
場合には、高い直流電流を重畳しても高インダクタンス
を示すことが必要となる。このためには、磁心材料の飽
和磁束密度が高い方が有利となる。従来これらの用途に
は、ギャップを形成した珪素鋼、Fe基アモルファス合
金やフェライト等からなる磁心やパーマロイ圧粉磁心や
Fe-Al-Si合金圧粉磁心が主に用いられてきた。フェライ
ト磁心は高周波における磁心損失が低いが飽和磁束密度
が低く直流重畳特性に劣るために小型化できない問題が
ある。一方、珪素鋼を用いたチョ−クコイルは飽和磁束
密度が高く直流重畳特性の点では有利であるが磁心損失
が大きいため発熱の問題から数kHz以下の周波数帯で主
に使用されている。
−クコイルに用いられる磁心としては、コイルに直流が
重畳されて使用されるため、磁心は直流重畳特性が優れ
ていることが必要であり、高直流重畳磁界まで高い増分
透磁率を示すことが要求される。チョ−クコイルにした
場合には、高い直流電流を重畳しても高インダクタンス
を示すことが必要となる。このためには、磁心材料の飽
和磁束密度が高い方が有利となる。従来これらの用途に
は、ギャップを形成した珪素鋼、Fe基アモルファス合
金やフェライト等からなる磁心やパーマロイ圧粉磁心や
Fe-Al-Si合金圧粉磁心が主に用いられてきた。フェライ
ト磁心は高周波における磁心損失が低いが飽和磁束密度
が低く直流重畳特性に劣るために小型化できない問題が
ある。一方、珪素鋼を用いたチョ−クコイルは飽和磁束
密度が高く直流重畳特性の点では有利であるが磁心損失
が大きいため発熱の問題から数kHz以下の周波数帯で主
に使用されている。
【0003】最近になり、飽和磁束密度が高く比較的高
周波特性に優れたFe基アモルファス合金を用いた磁心が
これらの用途に使用されている。しかし、Fe基アモルフ
ァス合金は磁歪が著しく大きく、ギャップを形成するた
めに含浸を行なうと磁心損失が著しく増加し、ギャップ
付きの磁心を用いたチョ−クコイルでは素材の特性が活
かせないのが現状である。ギャップを形成する場合、合
金薄帯を使用した磁心では、磁心の含浸を行わなければ
ならない。これは、切断の際に薄帯が剥がれたりするの
を防ぐ目的で行われる。このためギャップを形成したFe
基アモルファス合金を用いた磁心では珪素鋼を使用する
場合よりは発熱が小さいが、発熱が素材特性から予想さ
れる値よりも大きくなってしまう問題がある。Co基アモ
ルファス合金は磁心損失が低く磁歪が小さく、含浸によ
る磁心損失の増加は比較的小さいが飽和磁束密度がFe系
材料よりも低く直流重畳特性が十分でない、経時変化が
大きい、材料価格も高い等実用的に使用するのには問題
がある。また、特開平1-110707に記載されているように
近年Fe基ナノ結晶合金が開発され、磁歪が小さく含浸に
よる磁気特性の劣下が小さいためにチョ−クコイル用磁
心に適することが報告されている。
周波特性に優れたFe基アモルファス合金を用いた磁心が
これらの用途に使用されている。しかし、Fe基アモルフ
ァス合金は磁歪が著しく大きく、ギャップを形成するた
めに含浸を行なうと磁心損失が著しく増加し、ギャップ
付きの磁心を用いたチョ−クコイルでは素材の特性が活
かせないのが現状である。ギャップを形成する場合、合
金薄帯を使用した磁心では、磁心の含浸を行わなければ
ならない。これは、切断の際に薄帯が剥がれたりするの
を防ぐ目的で行われる。このためギャップを形成したFe
基アモルファス合金を用いた磁心では珪素鋼を使用する
場合よりは発熱が小さいが、発熱が素材特性から予想さ
れる値よりも大きくなってしまう問題がある。Co基アモ
ルファス合金は磁心損失が低く磁歪が小さく、含浸によ
る磁心損失の増加は比較的小さいが飽和磁束密度がFe系
材料よりも低く直流重畳特性が十分でない、経時変化が
大きい、材料価格も高い等実用的に使用するのには問題
がある。また、特開平1-110707に記載されているように
近年Fe基ナノ結晶合金が開発され、磁歪が小さく含浸に
よる磁気特性の劣下が小さいためにチョ−クコイル用磁
心に適することが報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのFe基
ナノ結晶合金を用いたチョ−クコイル用磁心は珪素鋼や
Fe基アモルファス合金を用いたギャップを形成した磁心
に比べると磁心損失は低いが、直流重畳特性を改善する
ためにギャップを形成すると切断前の含浸後の磁心損失
に比べると磁心損失が著しく大きく、素材の本来持って
いる特性が十分活かされていない問題があることが分っ
た。
ナノ結晶合金を用いたチョ−クコイル用磁心は珪素鋼や
Fe基アモルファス合金を用いたギャップを形成した磁心
に比べると磁心損失は低いが、直流重畳特性を改善する
ためにギャップを形成すると切断前の含浸後の磁心損失
に比べると磁心損失が著しく大きく、素材の本来持って
いる特性が十分活かされていない問題があることが分っ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明者らは、鋭意検討を行った結果、切断後磁心
損失が増加する原因のひとつはギャップを形成した磁心
の内周部と外周部との間の抵抗値Rが切断面の薄帯の電
気的導通により著しく低下することに起因することを突
き止め本発明に想到した。すなわち、本発明は組織の一
部が平均粒径50nm以下の結晶粒からなるFe基ナノ結晶合
金薄帯が巻回され、かつ磁路の少なくとも一部が切断さ
れた構造のチョ−クコイル用磁心において、磁心の内周
部と外周部との間の抵抗値が10mm厚さあたり1Ω以上
であることを特徴とするチョ−クコイル用磁心である。
めに本発明者らは、鋭意検討を行った結果、切断後磁心
損失が増加する原因のひとつはギャップを形成した磁心
の内周部と外周部との間の抵抗値Rが切断面の薄帯の電
気的導通により著しく低下することに起因することを突
き止め本発明に想到した。すなわち、本発明は組織の一
部が平均粒径50nm以下の結晶粒からなるFe基ナノ結晶合
金薄帯が巻回され、かつ磁路の少なくとも一部が切断さ
れた構造のチョ−クコイル用磁心において、磁心の内周
部と外周部との間の抵抗値が10mm厚さあたり1Ω以上
であることを特徴とするチョ−クコイル用磁心である。
【0006】図1に本発明に係わるチョ−クコイル用磁
心の概略図を示す。10mm厚さあたり1Ωとは内周と外
周の間隔が10mmの場合内周部と外周部との間の抵抗値
が1Ωであることを意味し、20mm厚さの磁心では2Ω、
5mm厚さでは0.5Ωであることを意味する。抵抗値Rは
ギャップを形成した部分に近接した図中A−B間の抵抗
値を測定し10mm当たりの値に換算し求めた値である。
心の概略図を示す。10mm厚さあたり1Ωとは内周と外
周の間隔が10mmの場合内周部と外周部との間の抵抗値
が1Ωであることを意味し、20mm厚さの磁心では2Ω、
5mm厚さでは0.5Ωであることを意味する。抵抗値Rは
ギャップを形成した部分に近接した図中A−B間の抵抗
値を測定し10mm当たりの値に換算し求めた値である。
【0007】GC砥石等で切断しギャップを形成した磁
心はそのままでは切断面の薄帯にバリが生じ各薄帯層が
電気的に導通し、渦電流が流れ渦電流損失が増大し磁心
損失が磁心の切断によりギャップを形成した場合に大幅
に増加していることが分かった。さらに切断面の導通の
影響は内部の層間絶縁の不完全な部分の導通の影響より
もはるかに大きいことも分かった。切断面の電気的導通
は、砥石の目詰まりが関係していると考えられるが、完
全にこれを解消するのは困難であることも分った。
心はそのままでは切断面の薄帯にバリが生じ各薄帯層が
電気的に導通し、渦電流が流れ渦電流損失が増大し磁心
損失が磁心の切断によりギャップを形成した場合に大幅
に増加していることが分かった。さらに切断面の導通の
影響は内部の層間絶縁の不完全な部分の導通の影響より
もはるかに大きいことも分かった。切断面の電気的導通
は、砥石の目詰まりが関係していると考えられるが、完
全にこれを解消するのは困難であることも分った。
【0008】更に検討した結果、これを解消するために
は、切断面を研磨したりエッチングするのが有効である
ことが分った。これにより磁心の内周部と外周部との間
の抵抗値が内周と外周の間隔が10mm厚さの場合1Ω以
上となり、磁心損失が研磨やエッチングをしない場合よ
りも低くなることが分った。この効果は薄帯にSiO2等で
層間絶縁した場合にも認められる。この場合は抵抗値の
研磨、エッチングによる変化は大きく5Ω以上になる。
これに伴い磁心損失も著しく低くなりより好ましい結果
が得られる。このようなギャップを形成した磁心はチョ
−クコイルに使用した場合、磁心損失が低いため温度上
昇が低くなりより好ましい結果が得られる。また、透磁
率の周波数依存性も改善することができる。
は、切断面を研磨したりエッチングするのが有効である
ことが分った。これにより磁心の内周部と外周部との間
の抵抗値が内周と外周の間隔が10mm厚さの場合1Ω以
上となり、磁心損失が研磨やエッチングをしない場合よ
りも低くなることが分った。この効果は薄帯にSiO2等で
層間絶縁した場合にも認められる。この場合は抵抗値の
研磨、エッチングによる変化は大きく5Ω以上になる。
これに伴い磁心損失も著しく低くなりより好ましい結果
が得られる。このようなギャップを形成した磁心はチョ
−クコイルに使用した場合、磁心損失が低いため温度上
昇が低くなりより好ましい結果が得られる。また、透磁
率の周波数依存性も改善することができる。
【0009】結晶粒は組織の少なくとも50%を占めてい
る方が磁心損失が特に低く望ましい結果が得られる。特
に合金系としては、一般式:(Fe1-aMa)100-x-y-z-bAx
M'yM''zXb (原子%)で表され、式中MはCo,Niから選ば
れた少なくとも1種の元素を、AはCu,Auから選ばれた少
なくとも1種の元素、M'はTi,V,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびW
から選ばれた少なくとも1種の元素、M''はCr,Mn,Al,Sn,
Zn,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,Oおよ
びSから選ばれた少なくとも1種の元素、XはB,Si,C,Ge,G
aおよびPから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,
x,y,zおよびbはそれぞれ0≦a<0.5、0≦x≦10、0.1≦y
≦20、0≦z≦20、2≦b≦30を満足する数で表される組成
の合金が本目的に適している。上記の合金においてAで
表される添加元素であるCu,Auから選ばれた少なく
とも1種の元素の含有量xは0〜10原子%の範囲である。
これらの元素は透磁率改善の効のために添加するが、10
原子%より多いと飽和磁束密度、透磁率の著しい低下を
もたらし好ましくない。より好ましい範囲は0.1〜3原子
%、特に好ましい範囲は0.5〜2原子%であり、この範囲で
は特に高い透磁率が得られる。また、M'はTi,V,Zr,Nb,M
o,Hf,Ta及びWからなる群から選ばれた少なくとも1種の
元素でありCu,Au等との複合添加により結晶粒を微細化
し、軟磁気特性を改善する効果を有する。M'の含有量y
は0.1〜20原子%であり、0.1原子%未満だと結晶粒微細化
の効果が不十分であり、20原子%を越えると飽和磁束密
度の著しい低下を招く。好ましいM'の含有量yは2〜8原
子%である。Ti,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta及びW等が存在しない場
合は結晶粒はあまり微細化されず軟磁気特性は悪い。N
b,Mo,Taは特に効果が大きいが、これらの元素の中でNb
を添加した場合特に結晶粒が細かくなりやすく、軟磁気
特性も優れたものが得られる。
る方が磁心損失が特に低く望ましい結果が得られる。特
に合金系としては、一般式:(Fe1-aMa)100-x-y-z-bAx
M'yM''zXb (原子%)で表され、式中MはCo,Niから選ば
れた少なくとも1種の元素を、AはCu,Auから選ばれた少
なくとも1種の元素、M'はTi,V,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびW
から選ばれた少なくとも1種の元素、M''はCr,Mn,Al,Sn,
Zn,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,Oおよ
びSから選ばれた少なくとも1種の元素、XはB,Si,C,Ge,G
aおよびPから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,
x,y,zおよびbはそれぞれ0≦a<0.5、0≦x≦10、0.1≦y
≦20、0≦z≦20、2≦b≦30を満足する数で表される組成
の合金が本目的に適している。上記の合金においてAで
表される添加元素であるCu,Auから選ばれた少なく
とも1種の元素の含有量xは0〜10原子%の範囲である。
これらの元素は透磁率改善の効のために添加するが、10
原子%より多いと飽和磁束密度、透磁率の著しい低下を
もたらし好ましくない。より好ましい範囲は0.1〜3原子
%、特に好ましい範囲は0.5〜2原子%であり、この範囲で
は特に高い透磁率が得られる。また、M'はTi,V,Zr,Nb,M
o,Hf,Ta及びWからなる群から選ばれた少なくとも1種の
元素でありCu,Au等との複合添加により結晶粒を微細化
し、軟磁気特性を改善する効果を有する。M'の含有量y
は0.1〜20原子%であり、0.1原子%未満だと結晶粒微細化
の効果が不十分であり、20原子%を越えると飽和磁束密
度の著しい低下を招く。好ましいM'の含有量yは2〜8原
子%である。Ti,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta及びW等が存在しない場
合は結晶粒はあまり微細化されず軟磁気特性は悪い。N
b,Mo,Taは特に効果が大きいが、これらの元素の中でNb
を添加した場合特に結晶粒が細かくなりやすく、軟磁気
特性も優れたものが得られる。
【0010】Cu,AuとTi,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta及びW等との複
合添加により透磁率が上昇する理由は明かではないが次
のように考えられる。Cu,AuとFeの相互作用パラメータ
は正であり、分離する傾向があるため、非晶質状態の合
金を加熱するとFe原子同志またはCu,Au原子同志が寄り
集まり、クラスターを形成するため組成ゆらぎが生ず
る。このため部分的に結晶化しやすい領域が多数でき、
そこを核として多数の微細結晶粒が形成される。この結
晶粒はFeを主成分とするものであり、FeとCu、Auの固溶
度はほとんどないため、結晶粒周辺のCu、Au濃度が高く
なる。また、この結晶粒の周辺はSi等が多くTi,Zr,Nb,M
o,Hf,Ta及びW等が存在する場合結晶化しにくいため結晶
粒は成長しにくいと考えられる。このため結晶粒は微細
化されると考えられる。このように結晶粒が微細化され
ることにより、結晶磁気異方性がみかけ上相殺されるこ
と、結晶相がbcc構造のFe固溶体が主体であり磁歪が小
さく、内部応力−歪による磁気異方性が小さくなること
等により、軟磁気特性が改善され、高透磁率が得られる
と考えられる。M"で表される添加元素であるCr,Mn,Sn,Z
n,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,Oおよび
Sからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素は耐食
性を改善したり、磁気特性を改善する、又は磁歪を調整
する等の効果を有するものであるが、その含有量はせい
ぜい10原子%以下である。
合添加により透磁率が上昇する理由は明かではないが次
のように考えられる。Cu,AuとFeの相互作用パラメータ
は正であり、分離する傾向があるため、非晶質状態の合
金を加熱するとFe原子同志またはCu,Au原子同志が寄り
集まり、クラスターを形成するため組成ゆらぎが生ず
る。このため部分的に結晶化しやすい領域が多数でき、
そこを核として多数の微細結晶粒が形成される。この結
晶粒はFeを主成分とするものであり、FeとCu、Auの固溶
度はほとんどないため、結晶粒周辺のCu、Au濃度が高く
なる。また、この結晶粒の周辺はSi等が多くTi,Zr,Nb,M
o,Hf,Ta及びW等が存在する場合結晶化しにくいため結晶
粒は成長しにくいと考えられる。このため結晶粒は微細
化されると考えられる。このように結晶粒が微細化され
ることにより、結晶磁気異方性がみかけ上相殺されるこ
と、結晶相がbcc構造のFe固溶体が主体であり磁歪が小
さく、内部応力−歪による磁気異方性が小さくなること
等により、軟磁気特性が改善され、高透磁率が得られる
と考えられる。M"で表される添加元素であるCr,Mn,Sn,Z
n,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,Oおよび
Sからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素は耐食
性を改善したり、磁気特性を改善する、又は磁歪を調整
する等の効果を有するものであるが、その含有量はせい
ぜい10原子%以下である。
【0011】上記の合金において、Xで表されるSi,B,C,
Ge,Ga,AlおよびPからなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素を2〜20原子%以下含み得る。Si及びBは、合金の
微細化に特に有用な元素である。本発明のFe基軟磁性合
金膜は好ましくは、一旦Si,Bの添加効果により非晶質合
金膜とした後で熱処理により微細結晶粒を形成させるこ
とにより得られる。C,Ge,Ga,AlおよびPからなる群から
選ばれた少なくとも1種の元素は非晶質化に有効な元素
であり、Si,Bと共に添加することにより合金の非晶質化
を助けると共に、磁歪やキュリー温度調整に効果があ
る。また、Xの含有量bが2原子%より少ないと結晶粒微細
化の効果がなく、20原子%より多いと飽和磁束密度の減
少と軟磁気特性の劣化が起こるためである。残部は不純
物を除いて実質的にFeが主体であるが、Feの一部は成
分M(Co及び/又はNi)により置換されていても良い。Mの
含有量aは0≦a<0.5であるが、好ましくは0≦a≦0.3であ
る。aが0.3を越えると、透磁率が低下する場合があるた
めである。より好ましくはaは0.1以下である。Co置換は
また飽和磁束密度を上昇させる効果があり、高保磁力記
録媒体に使用する平滑チョークコイル、低周波用トラン
ス材としてより有利である。
Ge,Ga,AlおよびPからなる群から選ばれた少なくとも1種
の元素を2〜20原子%以下含み得る。Si及びBは、合金の
微細化に特に有用な元素である。本発明のFe基軟磁性合
金膜は好ましくは、一旦Si,Bの添加効果により非晶質合
金膜とした後で熱処理により微細結晶粒を形成させるこ
とにより得られる。C,Ge,Ga,AlおよびPからなる群から
選ばれた少なくとも1種の元素は非晶質化に有効な元素
であり、Si,Bと共に添加することにより合金の非晶質化
を助けると共に、磁歪やキュリー温度調整に効果があ
る。また、Xの含有量bが2原子%より少ないと結晶粒微細
化の効果がなく、20原子%より多いと飽和磁束密度の減
少と軟磁気特性の劣化が起こるためである。残部は不純
物を除いて実質的にFeが主体であるが、Feの一部は成
分M(Co及び/又はNi)により置換されていても良い。Mの
含有量aは0≦a<0.5であるが、好ましくは0≦a≦0.3であ
る。aが0.3を越えると、透磁率が低下する場合があるた
めである。より好ましくはaは0.1以下である。Co置換は
また飽和磁束密度を上昇させる効果があり、高保磁力記
録媒体に使用する平滑チョークコイル、低周波用トラン
ス材としてより有利である。
【0012】もう一つの本発明は、厚さ3μmから50μm
のFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面を研磨することを特徴とするチョ−クコイ
ル用磁心の製造方法である。前述したように切断面を研
磨することにより、ばりが除去され層間の抵抗が上昇す
るため磁心内周部と外周部の間の抵抗値が高くなる。こ
れにより、磁心損失が低減し、チョ−クコイルを作製し
た場合に温度上昇を小さくできる。特に、薄帯表面に絶
縁層を形成している場合は本発明の効果は顕著である。
また、薄帯幅方向に向って研磨した場合の方が本発明の
効果が著しい。また、初期の研磨の際は荒く削って研磨
の速度を上げても良いが最終段階ではきれいに研磨した
方が良い結果が得られる。研磨方法としては、エメリ−
紙による研磨等の方法を行える。ギャップ間隔が非常に
狭い磁心の場合は本方法は実施が困難になるので、この
場合は次に示すエッチングによる方法の方が適してい
る。
のFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面を研磨することを特徴とするチョ−クコイ
ル用磁心の製造方法である。前述したように切断面を研
磨することにより、ばりが除去され層間の抵抗が上昇す
るため磁心内周部と外周部の間の抵抗値が高くなる。こ
れにより、磁心損失が低減し、チョ−クコイルを作製し
た場合に温度上昇を小さくできる。特に、薄帯表面に絶
縁層を形成している場合は本発明の効果は顕著である。
また、薄帯幅方向に向って研磨した場合の方が本発明の
効果が著しい。また、初期の研磨の際は荒く削って研磨
の速度を上げても良いが最終段階ではきれいに研磨した
方が良い結果が得られる。研磨方法としては、エメリ−
紙による研磨等の方法を行える。ギャップ間隔が非常に
狭い磁心の場合は本方法は実施が困難になるので、この
場合は次に示すエッチングによる方法の方が適してい
る。
【0013】もう一つの本発明は、厚さ3μmから50μm
のFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面をエッチング処理することを特徴とするチ
ョ−クコイル用磁心の製造方法である。この方法によっ
ても層間抵抗が高くなり磁心損失が低減する。研磨を行
なう場合はギャップが大きくないと研磨するのが難しい
が、エッチングではギャップ間隔にあまり関係なく作業
が行える利点がある。ギャップ部には通常はスペ−サを
入れ固定しギャップ間隔が変化しないようにする。ま
た、磁心は磁心ケ−スに入れるか、エポキシ樹脂等でコ
−ティングし絶縁を行い使用する。チョ−クコイルとし
て使用する場合はこれに巻線を行なう。
のFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面をエッチング処理することを特徴とするチ
ョ−クコイル用磁心の製造方法である。この方法によっ
ても層間抵抗が高くなり磁心損失が低減する。研磨を行
なう場合はギャップが大きくないと研磨するのが難しい
が、エッチングではギャップ間隔にあまり関係なく作業
が行える利点がある。ギャップ部には通常はスペ−サを
入れ固定しギャップ間隔が変化しないようにする。ま
た、磁心は磁心ケ−スに入れるか、エポキシ樹脂等でコ
−ティングし絶縁を行い使用する。チョ−クコイルとし
て使用する場合はこれに巻線を行なう。
【0014】エッチングする液の例としては硝酸や硫酸
等の水溶液が挙げられるがこのほかのエッチング液を使
用しても良い。また、電解エッチングを行っても良い。
切断面付近をエッチングするだけでなく磁心全体をエッ
チングしても同様の効果が得られる。エッチング後の磁
心は水洗、乾燥し、防錆油や防錆剤を塗布し、錆を防止
した方が信頼性の高いものが得られる。また、切断面に
電気的絶縁を行なうためにセラミックや樹脂系の膜を形
成する場合もある。
等の水溶液が挙げられるがこのほかのエッチング液を使
用しても良い。また、電解エッチングを行っても良い。
切断面付近をエッチングするだけでなく磁心全体をエッ
チングしても同様の効果が得られる。エッチング後の磁
心は水洗、乾燥し、防錆油や防錆剤を塗布し、錆を防止
した方が信頼性の高いものが得られる。また、切断面に
電気的絶縁を行なうためにセラミックや樹脂系の膜を形
成する場合もある。
【0015】もうひとつの本発明は、厚さ3μmから50μ
mのFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面を研磨し更にエッチング処理することを特
徴とするチョ−クコイル用磁心の製造方法である。この
方法によれば、更に磁心損失が低いチョ−クコイル用磁
心を実現できる。
mのFe基アモルファス合金薄帯を巻回し磁心とする工程
と、組織の一部が粒径50nm以下の結晶粒からなるナノ結
晶合金磁心とする熱処理工程と、樹脂により含浸し樹脂
を硬化する工程と、磁路の少なくとも一部を切断する工
程からなるチョ−クコイル用磁心の製造方法において、
切断後切断面を研磨し更にエッチング処理することを特
徴とするチョ−クコイル用磁心の製造方法である。この
方法によれば、更に磁心損失が低いチョ−クコイル用磁
心を実現できる。
【0016】樹脂をできるだけ完全に層間に入れるため
には真空含浸を行なうのが望ましい。切断に用いる砥石
としてはレジノイド結合剤を使用したGC砥石が適して
おり、結合度K〜P、粒度80〜150の範囲のものが特に適
している。切断の条件としては、送り速度0.5から30mm/
min、砥石回転数1000〜4000rpm程度が適している。砥石
の厚さは0.5mmから1.5mm程度の範囲のものが適してい
る。この範囲を越えると薄帯のはがれや切断面のきずが
発生しやすくなる。また、砥石の磨耗や破損が起こりや
すくなる。
には真空含浸を行なうのが望ましい。切断に用いる砥石
としてはレジノイド結合剤を使用したGC砥石が適して
おり、結合度K〜P、粒度80〜150の範囲のものが特に適
している。切断の条件としては、送り速度0.5から30mm/
min、砥石回転数1000〜4000rpm程度が適している。砥石
の厚さは0.5mmから1.5mm程度の範囲のものが適してい
る。この範囲を越えると薄帯のはがれや切断面のきずが
発生しやすくなる。また、砥石の磨耗や破損が起こりや
すくなる。
【0017】本発明に係わる合金薄帯は通常次のように
製造される。まず、単ロ−ル法や双ロ−ル法等の液体急
冷法により板厚3〜100μm程度のアモルファス合金薄帯
を大気中、アルゴンやヘリウム等の不活性ガス雰囲気中
あるいはヘリウム等の減圧雰囲気で作製する。次に、こ
の合金薄帯を巻回しトロイダル状にした後アルゴンガス
や窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中等で
熱処理し上記微細結晶粒からなる合金薄帯からなる磁心
を作製する。この際合金薄帯表面をSiO2やAl2O3等の酸
化物で被覆し層間絶縁を行うと特に広幅材においてより
好ましい結果が得られ、本発明の製造方法の特性改善効
果がより顕著となる。層間絶縁の方法としては、電気泳
動法によりMgO等の酸化物を付着させる方法、金属アル
コキシド溶液を表面につけこれを熱処理しSiO2、Li2O、
MgO等の酸化物の膜を形成させる方法、リン酸塩やクロ
ム酸塩処理を行い表面に酸化物の被覆を行う方法、Si
O2、Al2O3やMgO等のセラミックスの微粉末を流動させそ
の中を薄帯を通過させ付着する方法等がある。含浸樹脂
としてはエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系が耐熱
性、温度特性、付着力の点で好ましいが、無機系のワニ
ス等も使用できる。
製造される。まず、単ロ−ル法や双ロ−ル法等の液体急
冷法により板厚3〜100μm程度のアモルファス合金薄帯
を大気中、アルゴンやヘリウム等の不活性ガス雰囲気中
あるいはヘリウム等の減圧雰囲気で作製する。次に、こ
の合金薄帯を巻回しトロイダル状にした後アルゴンガス
や窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中等で
熱処理し上記微細結晶粒からなる合金薄帯からなる磁心
を作製する。この際合金薄帯表面をSiO2やAl2O3等の酸
化物で被覆し層間絶縁を行うと特に広幅材においてより
好ましい結果が得られ、本発明の製造方法の特性改善効
果がより顕著となる。層間絶縁の方法としては、電気泳
動法によりMgO等の酸化物を付着させる方法、金属アル
コキシド溶液を表面につけこれを熱処理しSiO2、Li2O、
MgO等の酸化物の膜を形成させる方法、リン酸塩やクロ
ム酸塩処理を行い表面に酸化物の被覆を行う方法、Si
O2、Al2O3やMgO等のセラミックスの微粉末を流動させそ
の中を薄帯を通過させ付着する方法等がある。含浸樹脂
としてはエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系が耐熱
性、温度特性、付着力の点で好ましいが、無機系のワニ
ス等も使用できる。
【0018】
【実施例】以下本発明を実施例にしたがって説明するが
本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)単ロ−ル法により幅6.5mm厚さ17μmのFe
bal.Cu1Nb3Si15.7B6.5アモルファス合金薄帯を作製し
た。次にこの合金薄帯をリチウムシリケ−ト溶液中を通
した後乾燥し厚さ約0.5μmの絶縁層を薄帯両面に形成
し、外径21.5mm、内径12.0mmの巻磁心を作製した。次に
この磁心を窒素ガス雰囲気中550゜Cで1時間熱処理を行っ
た。昇温速度は10゜C/min、冷却速度は20゜C/minとした。
次に、この磁心をエポキシ樹脂で真空含浸し150゜Cで4h
放置し硬化させ、GC砥石により前記磁心を切断しギャ
ップ間隔0.5mmの磁心を作製した。また合金の組織を透
過電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は13nm、結
晶粒の割合は75%以上であった。次に切断面を研磨する
前と後およびエッチング前後のギャップ付き磁心の20kH
z、0.2Tの室温の磁心損失Pcおよび100kHzにおける
実効比透磁率μ100kと直流重畳特性を測定した。なお、
測定の際ギャップ部にはスペ−サを入れ固定した。得ら
れた結果を表1に示す。
本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)単ロ−ル法により幅6.5mm厚さ17μmのFe
bal.Cu1Nb3Si15.7B6.5アモルファス合金薄帯を作製し
た。次にこの合金薄帯をリチウムシリケ−ト溶液中を通
した後乾燥し厚さ約0.5μmの絶縁層を薄帯両面に形成
し、外径21.5mm、内径12.0mmの巻磁心を作製した。次に
この磁心を窒素ガス雰囲気中550゜Cで1時間熱処理を行っ
た。昇温速度は10゜C/min、冷却速度は20゜C/minとした。
次に、この磁心をエポキシ樹脂で真空含浸し150゜Cで4h
放置し硬化させ、GC砥石により前記磁心を切断しギャ
ップ間隔0.5mmの磁心を作製した。また合金の組織を透
過電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は13nm、結
晶粒の割合は75%以上であった。次に切断面を研磨する
前と後およびエッチング前後のギャップ付き磁心の20kH
z、0.2Tの室温の磁心損失Pcおよび100kHzにおける
実効比透磁率μ100kと直流重畳特性を測定した。なお、
測定の際ギャップ部にはスペ−サを入れ固定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【表1】 本発明磁心は研磨やエッチングを行わない従来のチョ−
クコイル用磁心に比べ磁心損失が低く優れていることが
分る。また、直流重畳特性も同等以上である。
クコイル用磁心に比べ磁心損失が低く優れていることが
分る。また、直流重畳特性も同等以上である。
【0019】(実施例2)Febal.Cu1Ta3Si15.7B6.4 (at
%)なる組成を有する幅10mm厚さ10μmのアモルファス合
金薄帯を単ロ−ル法により作製した。次にこの合金薄帯
表面にMgOによる電気泳動法により絶縁層を形成しなが
ら巻回し、外径25mm、内径15mmのトロイダル磁心を作製
した。次にこの磁心を室温から2゜C/minの速度で昇温し
アルゴンガス雰囲気中550゜Cで1時間熱処理を行い、室温
まで2゜C/minの冷却速度で冷却した。次に エポキシ樹
脂で真空含浸し150゜Cに6h保持し硬化させた。次にこの
磁心をGC砥石を用いて外周スライサにより切断し、ギ
ャップを形成した磁心を作製した。また合金の組織を透
過電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は11nm、結
晶粒の割合は80%以上であった。ギャップを形成した後
研磨やエッチングを行い種々の抵抗値を示す磁心を作製
した。なお、処理を行わなかった場合のRは1Ω未満で
あった。 図1に20kHz,0.2Tにおける磁心損失Pcと磁
心の抵抗値Rの関係を示す。研磨やエッチングを行わな
かったRが1Ω未満の磁心では著しくPcが増加すること
が分る。
%)なる組成を有する幅10mm厚さ10μmのアモルファス合
金薄帯を単ロ−ル法により作製した。次にこの合金薄帯
表面にMgOによる電気泳動法により絶縁層を形成しなが
ら巻回し、外径25mm、内径15mmのトロイダル磁心を作製
した。次にこの磁心を室温から2゜C/minの速度で昇温し
アルゴンガス雰囲気中550゜Cで1時間熱処理を行い、室温
まで2゜C/minの冷却速度で冷却した。次に エポキシ樹
脂で真空含浸し150゜Cに6h保持し硬化させた。次にこの
磁心をGC砥石を用いて外周スライサにより切断し、ギ
ャップを形成した磁心を作製した。また合金の組織を透
過電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は11nm、結
晶粒の割合は80%以上であった。ギャップを形成した後
研磨やエッチングを行い種々の抵抗値を示す磁心を作製
した。なお、処理を行わなかった場合のRは1Ω未満で
あった。 図1に20kHz,0.2Tにおける磁心損失Pcと磁
心の抵抗値Rの関係を示す。研磨やエッチングを行わな
かったRが1Ω未満の磁心では著しくPcが増加すること
が分る。
【0020】(実施例3)表2に示す組成の幅10mm厚さ
15μmのアモルファス合金薄帯を単ロ−ル法により作製
した。次にこの合金薄帯を外径25mm、内径20mmのトロイ
ダル磁心を作製した。次にこの磁心を室温から5゜C/min
の昇温速度で昇温し、アルゴンガス雰囲気中550゜Cで1時
間の熱処理を行い室温まで1゜C/minの速度で冷却しギャ
ップを形成した磁心を作製した。また合金の組織を透過
電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は50nm以下で
あり、結晶粒の割合は80%以上であった。これらの磁心
の抵抗値Rおよび20kHz、0.2Tの磁心損失Pcを測定し
た。得られた結果を表2に示す。比較のため従来の切断
しギャップを形成し特に処理を行わない磁心の特性も示
す。
15μmのアモルファス合金薄帯を単ロ−ル法により作製
した。次にこの合金薄帯を外径25mm、内径20mmのトロイ
ダル磁心を作製した。次にこの磁心を室温から5゜C/min
の昇温速度で昇温し、アルゴンガス雰囲気中550゜Cで1時
間の熱処理を行い室温まで1゜C/minの速度で冷却しギャ
ップを形成した磁心を作製した。また合金の組織を透過
電子顕微鏡により観察した結果、結晶粒径は50nm以下で
あり、結晶粒の割合は80%以上であった。これらの磁心
の抵抗値Rおよび20kHz、0.2Tの磁心損失Pcを測定し
た。得られた結果を表2に示す。比較のため従来の切断
しギャップを形成し特に処理を行わない磁心の特性も示
す。
【表2】 本発明の磁心は従来のギャップを形成した磁心より磁心
損失が低く優れており、平滑チョークコイルやアクティ
ブフィルタ用チョ−クコイルに使用した場合、従来のチ
ョ−クコイルより、温度上昇が低く押さえられる。
損失が低く優れており、平滑チョークコイルやアクティ
ブフィルタ用チョ−クコイルに使用した場合、従来のチ
ョ−クコイルより、温度上昇が低く押さえられる。
【0021】(実施例4)実施例1と同様の工程により
Fe74Cu1Nb3Si11.5B9.5の組成を有するナノ結晶合金薄帯
からなる本発明磁心を作製し、磁心の抵抗Rを測定し
た。次に、図3示すアクティブフィルタ回路に本発明磁
心を用いたチョ−クコイルLを使用し、温度上昇△Tを
測定した。比較のため従来の切断後研磨やエッチングを
行わないチョ−クコイルを用いた場合についても検討し
た。測定結果を表3に示す。
Fe74Cu1Nb3Si11.5B9.5の組成を有するナノ結晶合金薄帯
からなる本発明磁心を作製し、磁心の抵抗Rを測定し
た。次に、図3示すアクティブフィルタ回路に本発明磁
心を用いたチョ−クコイルLを使用し、温度上昇△Tを
測定した。比較のため従来の切断後研磨やエッチングを
行わないチョ−クコイルを用いた場合についても検討し
た。測定結果を表3に示す。
【表3】 本発明磁心を用いたチョ−クコイルの温度上昇△Tは従
来の磁心を用いたチョ−クコイルよりも小さく優れてい
ることが分った。本発明磁心を用いたチョ−クコイルは
温度上昇が低く、アクティブフィルタ回路の効率向上や
回路の信頼性を向上することが可能である。
来の磁心を用いたチョ−クコイルよりも小さく優れてい
ることが分った。本発明磁心を用いたチョ−クコイルは
温度上昇が低く、アクティブフィルタ回路の効率向上や
回路の信頼性を向上することが可能である。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、低損失のチョ−クコイ
ル用磁心およびその製造方法を提供できるためその効果
は著しいものがある。
ル用磁心およびその製造方法を提供できるためその効果
は著しいものがある。
【図1】本発明に係わる磁心の形状の例を示した図であ
る。
る。
【図2】本発明に係わる磁心の20kHz,0.2Tにおける磁心
損失Pcと磁心の抵抗値Rの関係を示した図である。
損失Pcと磁心の抵抗値Rの関係を示した図である。
【図3】アクティブフィルタ回路の一例を示した図であ
る。
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 組織の一部が平均粒径50nm以下の結晶粒
からなるFe基ナノ結晶合金薄帯が巻回され、かつ磁路の
少なくとも一部が切断された構造のチョ−クコイル用磁
心において、磁心の内周部と外周部との間の抵抗値が10
mm厚さあたり1Ω以上であることを特徴とするチョ−
クコイル用磁心。 - 【請求項2】 ナノ結晶合金薄帯がCu、Auから選ばれる
少なくとも一種の元素、Nb,Mo,Ta,Ti,Zr,Hf,V及びWから
なる群から選ばれた少なくとも1種の元素、Si,Bからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素とFeを必須元素
として含む組成であることを特徴とする請求項1のチョ
−クコイル用磁心。 - 【請求項3】 磁心の内周部と外周部との間の抵抗値が
10mm厚さあたり5Ω以上であることを特徴とする請求
項1又は請求項2に記載のチョ−クコイル用磁心。 - 【請求項4】 厚さ3μmから50μmのFe基アモルファス
合金薄帯を巻回し磁心とする工程と、組織の一部が粒径
50nm以下の結晶粒からなるナノ結晶合金磁心とする熱処
理工程と、樹脂により含浸し樹脂を硬化する工程と、磁
路の少なくとも一部を切断する工程からなるチョ−クコ
イル用磁心の製造方法において、切断後切断面を研磨す
ることを特徴とするチョークコイル用磁心の製造方法。 - 【請求項5】 厚さ3μmから50μmのFe基アモルファス
合金薄帯を巻回し磁心とする工程と、組織の一部が粒径
50nm以下の結晶粒からなるナノ結晶合金磁心とする熱処
理工程と、樹脂により含浸し樹脂を硬化する工程と、磁
路の少なくとも一部を切断する工程からなるチョ−クコ
イル用磁心の製造方法において、切断後切断面をエッチ
ング処理することを特徴とするチョ−クコイル用磁心の
製造方法。 - 【請求項6】 厚さ3μmから50μmのFe基アモルファス
合金薄帯を巻回し磁心とする工程と、組織の一部が粒径
50nm以下の結晶粒からなるナノ結晶合金磁心とする熱処
理工程と、樹脂により含浸し樹脂を硬化する工程と、磁
路の少なくとも一部を切断する工程からなるチョ−クコ
イル用磁心の製造方法において、切断後切断面を研磨し
更にエッチング処理することを特徴とするチョ−クコイ
ル用磁心の製造方法。 - 【請求項7】 合金薄帯がCu、Auから選ばれる少なくと
も一種の元素、Nb,Mo,Ta,Ti,Zr,Hf,V及びWからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素、Si,Bからなる群から
選ばれた少なくとも1種の元素とFeを必須元素として含
む組成であることを特徴とする請求項4乃至請求項6の
いずれかに記載のチョ−クコイル用磁心の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7175951A JPH0927413A (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | チョークコイル用磁心およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7175951A JPH0927413A (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | チョークコイル用磁心およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0927413A true JPH0927413A (ja) | 1997-01-28 |
Family
ID=16005109
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7175951A Pending JPH0927413A (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | チョークコイル用磁心およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0927413A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002134329A (ja) * | 2000-10-24 | 2002-05-10 | Hitachi Metals Ltd | 信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品 |
CN103060507A (zh) * | 2013-01-06 | 2013-04-24 | 莱芜钢铁集团有限公司 | 一种转炉真空炼钢的方法 |
JP2018053319A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | セイコーエプソン株式会社 | 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 |
CN114300211A (zh) * | 2022-01-13 | 2022-04-08 | 中国科学院近代物理研究所 | 一种卷绕型纳米晶扫描磁铁及其制备方法 |
-
1995
- 1995-07-12 JP JP7175951A patent/JPH0927413A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002134329A (ja) * | 2000-10-24 | 2002-05-10 | Hitachi Metals Ltd | 信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品 |
CN103060507A (zh) * | 2013-01-06 | 2013-04-24 | 莱芜钢铁集团有限公司 | 一种转炉真空炼钢的方法 |
JP2018053319A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | セイコーエプソン株式会社 | 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 |
CN114300211A (zh) * | 2022-01-13 | 2022-04-08 | 中国科学院近代物理研究所 | 一种卷绕型纳米晶扫描磁铁及其制备方法 |
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