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JPH09227251A - コンクリート成形体製造用の下塗り剤 - Google Patents

コンクリート成形体製造用の下塗り剤

Info

Publication number
JPH09227251A
JPH09227251A JP3696396A JP3696396A JPH09227251A JP H09227251 A JPH09227251 A JP H09227251A JP 3696396 A JP3696396 A JP 3696396A JP 3696396 A JP3696396 A JP 3696396A JP H09227251 A JPH09227251 A JP H09227251A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
undercoating agent
concrete
crosslinked particles
organic crosslinked
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3696396A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshibumi Fukushima
義文 福島
Kenji Miyata
賢二 宮田
律子 ▲吉▼田
Ritsuko Yoshida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP3696396A priority Critical patent/JPH09227251A/ja
Publication of JPH09227251A publication Critical patent/JPH09227251A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート成形体を複数積載して、オート
クレーブ養生する際に、コンクリート成形体における白
華、ブロッキングの発生を防止するための下塗り剤によ
る被膜4を各コンクリート成形体上にそれぞれ形成する
際の手間を軽減する。 【解決手段】 被膜4を形成するためのバインダー1
と、耐ブロッキング性を被膜4に付与するための有機架
橋粒子2とを含むコンクリート成形体製造用の下塗り
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オートクレーブ養
生によりコンクリート成形体を作製する際に、上記コン
クリート成形体における白華や、ブロッキングの発生を
防止するためのコンクリート成形体製造用の下塗り剤に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、住宅等の建築に用いられるセメン
ト板を工場にて予め大量生産するために、自然養生より
も製造時間の迅速化を図ることができる過熱水蒸気を用
いたオートクレーブ養生を、上記セメント板の製造に用
いることが知られている。上記オートクレーブ養生で
は、オートクレーブ養生を効率化するために各セメント
板を互いに積載した状態で養生されるのが普通である。
【0003】しかしながら、上記のように積載された状
態でオートクレーブ養生すると、各セメント板の表面に
滲みでた水酸化カルシウム等のアルカリ性物質と空気中
の炭酸ガスとが反応して各セメント板の表面に白華(エ
フロレッセンス)と称される炭酸カルシウム等の白色の
炭酸塩の層が形成される。このことから、そのような白
華が発生したセメント板に対し、表面化粧のための塗装
を行うと、上記白華によって塗膜が剥がれ易くなるとい
う問題を生じている。
【0004】そこで、上記の問題を回避するために、特
開平2−225352号公報には、繊維分を配合したセ
メント板の表面に乳化剤を含まないエマルジョンを塗装
し、その繊維セメント板を複数枚積載してオートクレー
ブ養生することを特徴とする繊維セメント板の製造方法
が開示されている。
【0005】しかしながら、上記従来公報では、白華の
発生をエマルジョンにより防止できても、エマルジョン
の塗膜によって、積載された各繊維セメント板が相互に
剥離困難となるブロッキングの発生が避けられず、この
ようなブロッキングを生じた各繊維セメント板を無理に
剥がすと、各繊維セメント板の表面が損傷したり、凹凸
が生じたりするので、表面化粧のための上塗り塗装に対
し不都合を生じ、かつ、表面の損傷により商品価値も劣
化するという不都合を生じている。
【0006】そこで、上記各不都合を回避するために、
特開平3−141175号公報には、繊維分を配合した
セメント板の表面にアクリル系エマルジョン樹脂を塗布
し、その直後に砂を散布し、次いで、このセメント板を
積載状態でオートクレーブ養生することを特徴とする繊
維セメント板の製造方法が開示されている。
【0007】このような製造方法によれば、得られたセ
メント板に対する寸法変化が小さく、クラックの発生や
白華を抑制でき、積載してオートクレーブ養生後のブロ
ッキングも抑止できるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
製造方法では、アクリル系エマルジョン樹脂と、砂との
間での比重が互いに大きく異なるため、上記両者を混合
して、セメント板に塗布する場合、上記両者が容易に分
離するため、均一な被膜をセメント板上に形成すること
が困難なものとなる。
【0009】このため、上記従来の製造方法では、セメ
ント板の表面にアクリル系エマルジョン樹脂を塗布し、
その直後に砂を散布するという2段階の工程を必要とし
ており、セメント板の作製に手間取るという課題を生じ
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート成
形体製造用の下塗り剤は、以上の課題を解決するため
に、バインダーと有機架橋粒子とを含むことを特徴とし
ている。
【0011】上記構成によれば、バインダーと有機架橋
粒子とを含む下塗り剤をコンクリート成形体の表面に塗
布し、上記コンクリート成形体を複数互いに積載してオ
ートクレーブ養生することにより、コンクリート成形体
の養生の迅速化を図れる。
【0012】このとき、上記構成では、バインダーに基
づく被膜により、コンクリート成形体の表面を空気と遮
断できるので、上記コンクリート成形体をオートクレー
ブ養生する際、得られたコンクリート成形体の表面での
白華の発生を抑制できる。
【0013】上記構成では、オートクレーブ養生後、互
いに積載された各コンクリート成形体を個々に取り出し
た際、各コンクリート成形体が被膜により互いに接着す
るブロッキングを有機架橋粒子によって軽減できる。
【0014】その上、上記構成では、上記のような有機
架橋粒子とバインダーとを組み合わせた配合液を調製し
たとき、上記有機架橋粒子とバインダーとの比重を互い
にほぼ同一に容易に設定できるので、上記配合液中にお
いて、有機架橋粒子とバインダーとが容易に分離するこ
とを回避できる。
【0015】したがって、上記構成では、従来のように
無機物質である砂を用いて、配合した下塗り剤を常時、
攪拌しながら塗布したり、バインダーと砂とを別々に下
塗り剤として塗布するという2段階の工程を必要とした
りする手間を、従来と比べて省くことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明のコンクリート成形体製造用の下塗り剤は、コン
クリート中間成形体を複数互いに積載してオートクレー
ブ養生することにより、上記各コンクリート中間成形体
からコンクリート成形体をそれぞれ作製する際に、上記
コンクリート中間成形体の両面または片面に塗布して被
膜を形成し、オートクレーブ養生時の白華や、オートク
レーブ養生後に各コンクリート成形体を個々に取り出す
ときに、互いに隣接する各被膜が一体化するブロッキン
グの発生を防止するためのものであって、図1および図
2に示すように、バインダー1と、有機架橋粒子2とを
含むものである。
【0017】バインダー1は、コンクリート成形体3の
表面に空気と遮断するための下塗り剤による被膜4を形
成するための重合体である。このようなバインダー1
は、後に詳述するが、水溶性樹脂や乳化物(エマルジョ
ン)を含む水系樹脂であり、好ましくはアクリル系樹脂
乳化物(粒径、1μm以下)、もしくはアクリル−スチ
レン系樹脂乳化物(粒径、1μm以下)である。
【0018】そして、下塗り剤には、耐ブロッキング性
を下塗り剤に対し付与するための有機架橋粒子2が含有
されている。上記の耐ブロッキング性とは、被膜4が表
面にそれぞれ形成された各コンクリート成形体3を、互
いに積載して、オートクレーブ養生〔165〜180℃
の飽和水蒸気(10大気圧程度)、6〜20時間〕した
後において、互いに接触した各被膜4が、例えば、各バ
インダー1のポリマー成分1aが互いに分子レベルにて
近接することにより一体化して、それぞれ取り出す際に
コンクリート成形体3の表面から剥がれたり、コンクリ
ート成形体3の表面を損傷したりすることを防止できる
特性である。
【0019】このため、有機架橋粒子2は、165〜1
80℃の加熱温度でも軟化しない、つまり上記加熱温度
において、互いに積載された各コンクリート成形体3の
重量が印加されても形状を維持する目標とする硬度を有
するものである。
【0020】このような有機架橋粒子2としては、架橋
性共重合性単量体(A)と重合性単量体(B)とを混合
し、乳化重合して得られる粒径1μm以下の乳化重合体
粒子が好ましい。
【0021】架橋性共重合性単量体(A)は、分子内に
相互に反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和単量
体、すなわち分子内に2以上のラジカル重合可能なエチ
レン性不飽和結合を有する単量体、または、相互に反応
し得る官能基をそれぞれ担持するエチレン性不飽和単量
体を用いて得られる粒子内部に3次元構造を有し、乳化
物となるものである。
【0022】重合性単量体(B)としては、ラジカル重
合可能なα,β−エチレン性不飽和化合物が挙げられ、
例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基
等を有する化合物を挙げることができる。
【0023】有機架橋粒子2は、架橋性共重合性単量体
(A)と、重合性単量体(B)とを混合したラジカル重
合性単量体を、乳化重合して得られた乳化物粒子であ
り、架橋性共重合性単量体(A)を1重量%以上含むも
のである。上記有機架橋粒子2において、架橋性共重合
性単量体(A)が1重量%未満の場合、目標とする硬度
が得られず、ブロッキングの発生を防止する耐ブロッキ
ング性が低下する。
【0024】バインダー1としては、ラジカル重合可能
なα,β−エチレン性不飽和化合物を重合して得られる
被膜形成可能な水系樹脂を挙げることができ、例えばア
クリル系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリ
ル系、スチレン−ブタジエン系、酢酸ビニル系、エチレ
ン−酢酸ビニル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系が
挙げられる。
【0025】バインダー1として、上記重合性単量体を
用いたラジカル重合により、ガラス転移温度(Tg)4
0℃以下に設定した水系樹脂がより好ましい。バインダ
ー1において、ガラス転移温度(Tg)が40℃を越え
る場合では、常温成膜が困難となり下塗り剤に対し不適
となる。
【0026】上記のガラス転移温度(Tg)は、下記の
トボルスキ(Tobolsky) の計算式により算出される値を
意味する。 1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+… 上記式中のTgは共重合体のガラス転移温度(絶対温
度)、Tgaは単量体aのホモポリマーのガラス転移温
度(絶対温度)、Tgbは単量体bのホモポリマーのガ
ラス転移温度(絶対温度)、Waは単量体aの重量分
率、Wbは単量体bの重量分率を示す。
【0027】本願発明の下塗り剤では、有機架橋粒子2
とバインダー1との配合比が、有機架橋粒子2:バイン
ダー1(固形分重量比)=79〜10:21〜90が望
ましい。上記水系下塗り剤は、有機架橋粒子2が80重
量%以上となると、成膜性が低下して水系下塗り剤に不
適なものとなり、有機架橋粒子2が10重量%未満とな
ると、耐ブロッキング性が低下するものとなる。
【0028】前記の乳化重合では、ラジカル重合性単量
体を慣用の方法により、界面活性剤、重合開始剤等の存
在下、乳化重合される。上記の界面活性剤としては、ラ
ウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル等のノニオン性活性剤を用
いることができるが、場合によっては乳化剤の不存在下
でも重合させることができる。重合開始剤としては、過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、ブチ
ルハイドロパーオキサイド等の公知の水溶性もしくは油
溶性開始剤を挙げることができる。また、このとき還元
剤として亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等
を用いてレドックス系開始剤にしてもよい。
【0029】前記の架橋性共重合性単量体(A)として
は、さらに例えば多塩基酸の重合性不飽和アルコールエ
ステル、および2以上のビニル基で置換された芳香族化
合物等を挙げることができ、それらの例として以下のよ
うな化合物がある。
【0030】上記化合物として、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコ
ールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジア
クリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメ
タクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリ
セロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレー
ト、グリセロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1-
トリスヒドロキシエタンジアクリレート、1,1,1-トリス
ヒドロキシエタントリアクリレート、1,1,1-トリスヒド
ロキシエタンジメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキ
シエタントリメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシ
プロパンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシプロ
パントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシプロパ
ンジメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシプロパン
トリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリア
リルイソシアヌレート、トリアリルメリテート、ジアリ
ルテレフタレート、ジアリルフタレート、およびジビニ
ルベンゼンを挙げることができる。
【0031】また、相互に反応し得る官能基をそれぞれ
担持する2種のエチレン性不飽和基を有する単量体とし
ては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体
と、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのカル
ボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を挙げることが
できるが、相互に反応性の官能基としては、上記の各単
量体に限定されるものではなく、例えば、アミンとカル
ボニル、エポキシドとカルボン酸無水物、アミンとカル
ボン酸塩化物、アルキレンイミンとカルボニル、オルガ
ノアルコキシシランとカルボキシル、ヒドロキシルとイ
ソシアナト等種々のものを挙げることができ、本発明の
エチレン性不飽和基を有する単量体は、これらを広く包
含するものである。
【0032】前記の重合性単量体(B)としては、より
具体的には、(メタ)アクリレート類、例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、L−ブチ
ル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)
アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げるこ
とができ、芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることがで
き、ヒドロキシル基を有するα,β−エチレン性不飽
和化合物、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
等を挙げることができ、グリシジル基を有するα,β
−エチレン性不飽和化合物、例えばグリシジル(メタ)
アクリレート等を挙げることができ、酸性モノマー、
例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコ
ン酸、イタコン酸半エステル、マレイン酸、マレイン酸
半エステル等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸
や、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸
ナトリウム等のα,β−エチレン性不飽和スルホン酸が
挙げられる。
【0033】また、必要に応じて、他の単量体、例えば
ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
カプロン酸ビニルやVeoVaなど)、フマル酸エス
テルやこれらに対応するマレイン酸エステル〔ジエチル
フマレート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレー
ト、ジオクチルフマレート、ジ(2-エチルヘキシル)フ
マレート等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−
エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、
塩化ビニル、塩化ビニリデン等を併用してもよい。
【0034】上述のラジカル重合性単量体としては、密
着性、エマルジョン(乳化)の安定性を高めるため、酸
性モノマー、特にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸
を含むことが望ましい。また、α,β−エチレン性不飽
和カルボン酸のカルボキシル基をアンモニア、アミン類
等の塩基性物質で中和すると、エマルジョンの安定性を
さらに高めることができる。α,β−エチレン性不飽和
カルボン酸の使用量は、ラジカル重合性単量体の全量
中、0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜1
0重量%である。
【0035】好ましい単量体の組合せには、メチルメタ
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレ
ート等の炭素数1〜12程度のアルキル基を有するアル
キル(メタ)アクリレートと、スチレンと、アクリル酸
やメタクリル酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸とが含まれる。
【0036】
【実施例】本発明の各実施例および各比較例について説
明すれば以下の通りである。 〔実施例1〕本発明の一実施例としてのコンクリート成
形体製造用の下塗り剤は、コンクリート中間成形体を複
数互いに積載してオートクレーブ養生することにより、
上記各コンクリート中間成形体からコンクリート成形体
をそれぞれ作製する際に、上記コンクリート中間成形体
の表面に塗布して被膜を形成し、オートクレーブ養生時
の白華や、ブロッキングの発生を防止するためのもので
あって、バインダーと有機架橋粒子とを含むものであ
る。
【0037】(実施例1−1)まず、上記有機架橋粒子
の一例を、実施例1−1の有機架橋粒子−1として説明
すると、まず、攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度
計を備えた1リットルのセパラブルフラスコに対し、5
00部の脱イオン水、2部のポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテルスルホン酸アンモニウム(第一工業製
薬製、商品名:ハイテノールN−08)、1部のポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル(三洋化成製、商
品名:ノニポール200)を仕込んだ後、窒素ガスを吹
き込みながら、攪拌下70℃まで昇温した。
【0038】その後、69部のメタクリル酸メチル、3
0部のジビニルベンゼン(DVB )、1部のアクリル酸か
らなる重合性単量体混合液を3時間にわたって均一滴下
した。このとき、6部の過硫酸アンモニウム5%水溶液
を3時間にわたって均一滴下した。
【0039】続いて、上記の温度を2時間維持する熟成
を行った。冷却後、6部のアンモニア25%水溶液の添
加により、中和を行うことにより、不揮発分20.0重
量%、pH8.0、粘度20mPa・sである有機架橋
粒子−1を得た。
【0040】(実施例1−2)次に、前記バインダーの
一例を、重合性単量体混合液を重合してなる実施例1−
2のバインダー−1として説明すると、まず、重合性単
量体混合液として、上記実施例1−1における69部の
メタクリル酸メチル、30部のジビニルベンゼンに代え
て、40部のメタクリル酸メチル、59部のアクリル酸
ブチルを用いた他は、実施例1−1と同様に操作して、
不揮発分40.0重量%、pH8.0、粘度400mP
a・sである、ガラス転移温度0℃のバインダー−1を
得た。
【0041】(実施例1−3)続いて、前記の有機架橋
粒子−1とバインダー−1とを、固形分重量比で40/
60の配合比にてブレンドして下塗り剤とした。このよ
うな下塗り剤の最低成膜温度を測定した。その結果を表
1に示した。
【0042】この下塗り剤を、固形分25重量%となる
ように水にて希釈し、フレキシブルボード(コンクリー
ト中間成形体)の表面に刷毛で30g(固形分)/m2
となるように塗布し、180℃で5分間(風速1m/
s)送風乾燥した。
【0043】その下塗り剤を塗布したフレキシブルボー
ドを2枚の塗布面を重ね合わせて、圧力0.4kg/c
2 を印加した状態でオートクレーブにて水蒸気養生
(オートクレーブ条件:150℃−6大気圧,10時
間)を行った。冷却後、各フレキシブルボードを個々に
取り出して、各塗布面の状態を観察した。その結果を表
1に示した。
【0044】(実施例1−4)その次に、上記実施例1
−3と同様の条件にて下塗り剤を塗装し、オートクレー
ブ養生して得たテストピースの表面に、下記の上塗り用
塗料を刷毛で60g(固形分)/m2 となるように塗布
し、110℃で10分間乾燥した。このようにして得た
テストピースにおける下塗り剤の適性試験を行い、その
結果を表2に示した。下記の各原料を配合した塗料を上
塗り用塗料として用いた。
【0045】 原料名 部 脱イオン水 64.6 デモールEP(花王(株)製) 2.0 ノプコ8034(サンノプコ(株)製) 0.3 ルチル型酸化チタン(石原産業(株)製) 60.0 アクリセット 210E (株式会社日本触媒製) 147.7 CS−12(チッソ(株)製) 9.5 アデカノールUH-420(旭電化(株)製) 0.5 計284.6
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1中の実施例の配合比は有機架橋粒子/
バインダーの配合比を示し、表1中の比較例の配合比は
固体粒子/バインダーの配合比を示し、表1中の0≧は
0℃以下を示し、表1中の100≦は100℃以上を示
す。
【0049】表2中の耐温水性試験とは、60℃の温水
に10日間浸漬した後、7日間常温乾燥して、上塗り用
塗料と下塗り剤との密着性を観察によって試験するもの
である。
【0050】また、表2中の耐凍害性試とは、−20℃
気中凍結2時間と+20℃水中融解2時間とを100サ
イクル繰り返した後、7日間常温乾燥して、上塗り用塗
料と下塗り剤との密着性を観察によって試験するもので
ある。
【0051】〔実施例2〕 (実施例2−1)まず、前記有機架橋粒子の他の例を、
実施例2−1の有機架橋粒子−2として説明すると、重
合性単量体混合液として、前記実施例1−1における6
9部のメタクリル酸メチル、30部のジビニルベンゼン
に代えて、84部のメタクリル酸メチル、15部のジビ
ニルベンゼンを用いた他は、実施例1−1と同様に操作
して、不揮発分20.0重量%、pH8.0、粘度20
mPa・sである有機架橋粒子−2を得た。
【0052】(実施例2−2)続いて、上記の有機架橋
粒子−2と、前記の実施例1−2に記載のバインダー−
1とを用いた他は、前記の実施例1−3と同様に下塗り
剤を調製し、その下塗り剤の特性を同様に測定した。そ
の結果を表1に合わせて示した。
【0053】(実施例2−3)その次に、上記実施例2
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0054】〔実施例3〕 (実施例3−1)まず、前記有機架橋粒子の他の例を、
実施例3−1の有機架橋粒子−3として説明すると、重
合性単量体混合液として、前記実施例1−1における3
0部のジビニルベンゼンに代えて、30部のトリメチロ
ールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)を用いた他
は、実施例1−1と同様に操作して、不揮発分20.0
重量%、pH8.0、粘度20mPa・sである有機架
橋粒子−3を得た。
【0055】(実施例3−2)続いて、上記の有機架橋
粒子−3と、前記の実施例1−2に記載のバインダー−
1とを用いた他は、前記の実施例1−3と同様に下塗り
剤を調製し、その下塗り剤の特性を同様に測定した。そ
の結果を表1に合わせて示した。
【0056】(実施例3−3)その次に、上記実施例3
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0057】〔実施例4〕 (実施例4−1)まず、前記バインダーの他の例を、実
施例4−1のバインダー−2として説明すると、重合性
単量体混合液として、前記実施例1−1における69部
のメタクリル酸メチル、30部のジビニルベンゼンに代
えて、32部のメタクリル酸メチル、67部のアクリル
酸ブチルを用いた他は、上記実施例1−1と同様に操作
して、不揮発分40.0重量%、pH8.0、粘度40
0mPa・sである、ガラス転移温度−20℃のバイン
ダー−2を得た。
【0058】(実施例4−2)続いて、前記の実施例1
−1に記載の有機架橋粒子−1と、上記のバインダー−
2とを用いた他は、前記の実施例1−3と同様に下塗り
剤を調製し、その下塗り剤の特性を同様に測定した。そ
の結果を表1に合わせて示した。
【0059】(実施例4−3)その次に、上記実施例4
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0060】〔実施例5〕 (実施例5−1)前記実施例1−3に記載の有機架橋粒
子−1とバインダー−1との固形分重量比で40/60
の配合比に代えて、有機架橋粒子−1とバインダー−1
との固形分重量比で60/40の配合比を用いた他は、
実施例1−3と同様に下塗り剤を調製し、その下塗り剤
の特性を同様に測定した。その結果を表1に合わせて示
した。
【0061】(実施例5−2)その次に、上記実施例5
−1と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0062】〔実施例6〕 (実施例6−1)次に、上記有機架橋粒子とバインダー
との複合粒子の一例を、実施例6−1の複合粒子として
説明すると、まず、攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、
温度計を備えた1リットルのセパラブルフラスコに対
し、500部の脱イオン水、2部のポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム(第一
工業製薬製、商品名:ハイテノールN−08)、1部の
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(三洋化成
製、商品名:ノニポール200)を仕込んだ後、窒素ガ
スを吹き込みながら、攪拌下70℃まで昇温した。
【0063】その後、28部のメタクリル酸メチル、1
2部のジビニルベンゼン、0.4部のアクリル酸からな
る1段目重合性単量体混合液を2時間にわたって均一滴
下した。このとき、3部の過硫酸アンモニウム5%水溶
液を2時間にわたって均一滴下した。
【0064】続いて、上記の温度を30分間維持する熟
成を行った後、24部のメタクリル酸メチル、35部の
メタクリル酸ブチル、0.6部のアクリル酸からなる2
段目重合性単量体混合液を3時間にわたって均一滴下し
た。このとき、3部の過硫酸アンモニウム5%水溶液を
3時間にわたって均一滴下した。その後、2時間の熟成
を行った。冷却後、6部のアンモニア25%水溶液の添
加により、中和を行うことにより、不揮発分40.0重
量%、pH8.0、粘度400mPa・sである有機架
橋粒子/バインダーの複合粒子を得た。
【0065】(実施例6−2)上記複合粒子を、下塗り
剤として用いた他は、前記の実施例1−3と同様に下塗
り剤を調製し、その下塗り剤の特性を同様に測定した。
その結果を表1に合わせて示した。
【0066】(実施例6−3)その次に、上記実施例6
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0067】次に、本願発明のコンクリート成形体製造
用の下塗り剤に対する各比較例について以下にそれぞれ
説明する。 〔比較例1〕 (比較例1−1)架橋構造を有していない有機粒子の例
を比較例1−1として説明すると、前記実施例1−1に
おける重合性単量体混合液において、69部のメタクリ
ル酸メチル、30部のジビニルベンゼンに代えて、99
部のメタクリル酸メチルを用いた他は、実施例1−1と
同様に操作して、不揮発分20.0重量%、pH8.
0、粘度20mPa・sである、架橋構造を内部に形成
していない有機粒子−4を得た。
【0068】(比較例1−2)上記有機粒子−4と、前
記実施例1−2に記載のバインダー−1とを用いた他
は、前記の実施例1−3と同様に下塗り剤を調製し、そ
の下塗り剤の特性を同様に測定した。その結果を表1に
合わせて示した。
【0069】(比較例1−3)その次に、上記比較例1
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0070】〔比較例2〕 (比較例2−1)まず、比較例2のバインダー−3につ
いて説明すると、重合性単量体混合液として、前記実施
例1−1における69部のメタクリル酸メチル、30部
のジビニルベンゼンに代えて、76部のメタクリル酸メ
チル、23部のアクリル酸ブチルを用いた他は、上記実
施例1−1と同様に操作して、不揮発分40.0重量
%、pH8.0、粘度400mPa・sである、ガラス
転移温度50℃のバインダー−3を得た。
【0071】(比較例2−2)前記の実施例1−1に記
載の有機架橋粒子−1と上記のバインダー−3とを用い
た他は、前記の実施例1−3と同様に下塗り剤を調製
し、その下塗り剤の特性を同様に測定した。その結果を
表1に合わせて示した。
【0072】(比較例2−3)その次に、上記比較例2
−2と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法により上記テストピースにおけ
る下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合わせ
て示した。
【0073】〔比較例3〕 (比較例3−1)前記実施例1−3に記載の有機架橋粒
子−1とバインダー−1との固形分重量比で40/60
の配合比に代えて、有機架橋粒子−1とバインダー−1
との固形分重量比で80/20の配合比を用いた他は、
実施例1−3と同様に下塗り剤を調製し、その下塗り剤
の特性を同様に測定した。その結果を表1に合わせて示
した。
【0074】(比較例3−2)その次に、上記比較例3
−1と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載と同様の方法にて上記テストピースに
おける下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に合
わせて示した。
【0075】〔比較例4〕 (比較例4−1)前記実施例1−2に記載のバインダー
−1のみを下塗り剤として用いた他は、実施例1−3と
同様に下塗り剤の特性を同様に測定した。その結果を表
1に合わせて示した。
【0076】(比較例4−2)その次に、上記比較例4
−1と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法と同様にして上記テストピース
における下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に
合わせて示した。
【0077】〔比較例5〕 (比較例5−1)コロイダルシリカ(スノーテックス
C:日産科学(株)製)と、前記実施例1−2に記載の
バインダー−1とを固形分比で40/60にブレンドし
て下塗り剤とした他は、前記実施例1−3と同様に下塗
り剤の特性を同様に測定した。その結果を表1に合わせ
て示した。
【0078】(比較例5−2)その次に、上記比較例5
−1と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法と同様にして上記テストピース
における下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に
合わせて示した。
【0079】〔比較例6〕 (比較例6−1)寒水砂(寒水石−一厘:日東紛化工業
(株)製)と、前記実施例1−2に記載のバインダー−
1とを固形分比で40/60にブレンドして下塗り剤と
した他は、前記実施例1−3と同様に下塗り剤の特性を
同様に測定した。その結果を表1に合わせて示した。
【0080】(比較例6−2)その次に、上記比較例6
−1と同様の条件にて調製した下塗り剤を塗装し、オー
トクレーブ養生して得たテストピースを用い、前記の実
施例1−4に記載の方法と同様にして上記テストピース
における下塗り剤の適性試験を行い、その結果を表2に
合わせて示した。
【0081】このように上記各実施例の下塗り剤は、オ
ートクレーブ養生によるコンクリート成形体の製造にお
いて、表1から明らかなように、比較例1および比較例
4に記載の各下塗り剤と比べて、有機架橋粒子を有する
ことによって、オートクレーブ養生における優れた耐ブ
ロッキング性を有するものとなっている。
【0082】また、前記の比較例2および3の各下塗り
剤は、それぞれ耐ブロッキング性を示したが、最低成膜
温度が70℃、100℃以上であり、常温では、表面が
滑らかな被膜が形成されないため、上塗り用塗料との密
着性などの前述の1次物性や2次物性が低下することか
ら、実用性に欠けるものとなっていた。
【0083】しかしながら、前記各実施例の下塗り剤
は、最低成膜温度が30℃以下、特に、実施例1〜4で
は最低成膜温度が5℃、実施例6では最低成膜温度が0
℃以下であり、常温や常温以下においても、表面が滑ら
かな成膜が容易に形成されているため、上塗り用塗料と
の密着性などの前述の1次物性や2次物性が良好である
ことから、実用性を有したものとなっていた。
【0084】なお、上記の100℃以上の表記は、10
0℃未満では成膜が観察されなかったことを示し、上記
の0℃以下の表記は、0℃未満では下塗り剤に含まれる
水が凍り、最低成膜温度が正確に判断されなかったが、
少なくとも0℃にて下塗り剤が成膜したことを示す。
【0085】ところで、一般に、上記のようなコンクリ
ート成形体は、外装材として用いる際に、化粧塗装とし
ての上塗り用塗料により塗装されて用いられ、その上塗
り用塗料と下塗り剤との密着性が、上塗り用塗料の塗装
時や、さらに、天候の変化による経時的な耐久性(耐温
水性試験や耐凍害性試験)にも優れることが求められて
いる。
【0086】ところが、比較例2、3および6に記載の
下塗り剤では、耐ブロッキング性を示すものとなってい
たが、上記各下塗り剤を用いて得られたコンクリート成
形体を外装材として用いる際、その上塗り用塗料と下塗
り剤との塗装時の密着性が、表2から明らかなように、
不良となっており、さらに、比較例2、3、5および6
に記載の下塗り剤では、耐久性(耐温水性試験や耐凍害
性試験の結果)を示す経時後の密着性が不良となってい
た。
【0087】しかしながら、本願発明のコンクリート成
形体製造用の下塗り剤は、コンクリート成形体のオート
クレーブ養生に用いた場合、優れた耐ブロッキング性を
有すると共に、コンクリート成形体を外装材として用い
る際、その上塗り用塗料と下塗り剤との塗装時の密着性
が、良好なものとなっており、さらに、耐久性(耐温水
性試験や耐凍害性試験の結果)を示す経時後の密着性も
良好なものとなっていた。
【0088】したがって、本願発明のコンクリート成形
体製造用の下塗り剤は、各比較例の下塗り剤と比較し
て、優れた耐ブロッキング性と、優れた耐久性とを同時
に実現できるものとなっており、建築資材等に用いられ
るセメント板や、コンクリート成形体であるフレキシブ
ルボードをオートクレーブ養生により効率よく作製する
際に好適に用いられるものとなっている。
【0089】
【発明の効果】本願発明のコンクリート成形体製造用の
下塗り剤は、バインダーと有機架橋粒子とを含む構成で
ある。
【0090】上記構成によれば、上記バインダーと有機
架橋粒子の比重を、互いに容易に略同一とすることが可
能となるので、上記バインダーと有機架橋粒子とを、水
等の分散媒に混合しても、上記分散媒中での分散状態を
長期間安定に維持できる。
【0091】このことから、上記構成では、コンクリー
ト成形体をオートクレーブ養生によって製造するため
に、上記コンクリート成形体の表面に下塗り剤による被
膜を形成する際に、従来のように下塗り剤を常時攪拌し
ながら塗布したり、下塗り剤の各組成を別々に塗布した
りする手間を省くことができるから、コンクリート成形
体の製造を簡素化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート成形体製造用の下塗り剤
をコンクリート成形体に塗布したときの上記下塗り剤に
よる被膜の説明図である。
【図2】上記コンクリート形成体を複数オートクレーブ
養生する際の説明図である。
【符号の説明】
1 バインダー 2 有機架橋粒子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バインダーと有機架橋粒子とを含むことを
    特徴とするコンクリート成形体製造用の下塗り剤。
  2. 【請求項2】有機架橋粒子は、架橋性共重合性単量体
    と、重合性単量体とを重合して得られたものであること
    を特徴とする請求項1記載のコンクリート成形体製造用
    の下塗り剤。
  3. 【請求項3】架橋性共重合性単量体は、分子内に二以上
    のエチレン性不飽和結合を有するものであることを特徴
    とする請求項1または2記載のコンクリート成形体製造
    用の下塗り剤。
  4. 【請求項4】コンクリート中間成形体を複数互いに積載
    してオートクレーブ養生することによりコンクリート成
    形体をそれぞれ作製する際に、上記各コンクリート中間
    成形体の表面に塗布するコンクリート成形体製造用の下
    塗り剤であって、 被膜を形成するためのバインダーと有機架橋粒子とを含
    むことを特徴とするコンクリート成形体製造用の下塗り
    剤。
JP3696396A 1996-02-23 1996-02-23 コンクリート成形体製造用の下塗り剤 Pending JPH09227251A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10310739A (ja) * 1997-05-12 1998-11-24 Mitsubishi Chem Basf Co Ltd 無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤
JP2000167480A (ja) * 1998-12-05 2000-06-20 Rohm & Haas Co 未硬化の無機質基体をコ―ティングする方法

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