JPH09131397A - 医療用高分子材料およびその製造方法 - Google Patents
医療用高分子材料およびその製造方法Info
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- JPH09131397A JPH09131397A JP8236238A JP23623896A JPH09131397A JP H09131397 A JPH09131397 A JP H09131397A JP 8236238 A JP8236238 A JP 8236238A JP 23623896 A JP23623896 A JP 23623896A JP H09131397 A JPH09131397 A JP H09131397A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 血液適合性に優れかつ血液適合性が長期にわ
たって安定に保持される医療用高分子材料を提供する。 【解決手段】 ホスホリルコリン基を有するビニル単量
体単位を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を
有するビニル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性
ビニル単量体単位を5〜90モル%含有する共重合体が
熱可塑性樹脂基材表面に被覆されている医療用高分子材
料において、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共有
結合により結合し、かつ該共重合体間が共有結合架橋し
ていることを特徴とする医療用高分子材料により上記課
題が解決される。
たって安定に保持される医療用高分子材料を提供する。 【解決手段】 ホスホリルコリン基を有するビニル単量
体単位を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を
有するビニル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性
ビニル単量体単位を5〜90モル%含有する共重合体が
熱可塑性樹脂基材表面に被覆されている医療用高分子材
料において、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共有
結合により結合し、かつ該共重合体間が共有結合架橋し
ていることを特徴とする医療用高分子材料により上記課
題が解決される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用高分子材料
およびその製造方法に関する。本発明の医療用高分子材
料は、血液適合性に優れかつそれが長期にわたって安定
に保持されることから、人工臓器等の医療用具の材料と
して有用である。
およびその製造方法に関する。本発明の医療用高分子材
料は、血液適合性に優れかつそれが長期にわたって安定
に保持されることから、人工臓器等の医療用具の材料と
して有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、人工臓器等の医療材料の開発が活
発に行われているが、この技術分野においては生体適合
性の問題が存在しており、特に血液凝固を引き起さず、
補体系を活性化しない血液適合性に優れる医療材料の開
発が所望されている。血液適合性に優れる医療材料を得
る方法としては、主に下記の3種類の方法が試みられて
いる。 (1)血液適合性に優れる合成高分子を原料として用いて
成形するか、または該合成高分子で医療材料の表面を被
覆する方法。 (2)ヘパリン、ウロキナーゼ等の抗血液凝固性生理活性
物質を医療材料に添加するか、または医療材料表面に結
合する方法。 (3)コラーゲン、生体弁等の生体材料を原料として用い
る方法。 上記(2)および(3)の方法では、原料として使用する抗血
液凝固性生理活性物質や生体材料が天然物であるため高
価な上に、医療材料の製造条件や保存条件によっては血
液適合性が失われる等の問題点がある。それ故に比較的
安価に大量生産可能な、血液適合性に優れる合成高分子
を用いる上記(1)の方法が盛んに研究されている。
発に行われているが、この技術分野においては生体適合
性の問題が存在しており、特に血液凝固を引き起さず、
補体系を活性化しない血液適合性に優れる医療材料の開
発が所望されている。血液適合性に優れる医療材料を得
る方法としては、主に下記の3種類の方法が試みられて
いる。 (1)血液適合性に優れる合成高分子を原料として用いて
成形するか、または該合成高分子で医療材料の表面を被
覆する方法。 (2)ヘパリン、ウロキナーゼ等の抗血液凝固性生理活性
物質を医療材料に添加するか、または医療材料表面に結
合する方法。 (3)コラーゲン、生体弁等の生体材料を原料として用い
る方法。 上記(2)および(3)の方法では、原料として使用する抗血
液凝固性生理活性物質や生体材料が天然物であるため高
価な上に、医療材料の製造条件や保存条件によっては血
液適合性が失われる等の問題点がある。それ故に比較的
安価に大量生産可能な、血液適合性に優れる合成高分子
を用いる上記(1)の方法が盛んに研究されている。
【0003】ところで、リン脂質は生体膜の主要な構成
成分であって、細胞の膜様構造部分に特異的に存在し、
リン脂質単独で、または膜タンパク質との相互作用を介
して生体膜の機能に関与していることが知られている。
このことからリン脂質のみならず、リン脂質に類似した
化合物は血液適合性、ひいては生体適合性に優れている
と考えられており、近年盛んに研究されている。そのよ
うな従来技術としては、(i)本出願人による、生体適
合性に優れる2−メタクリロイルオキシエチルホスホリ
ルコリン(以下、これをMPCと略記することがある)
の開発(特開昭54−63025号公報参照)、(ii)
MPCとメタクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステ
ルとの共重合体を基材に被覆した医療材料(特開平3−
39309号公報参照)、(iii)MPC、n−ブチル
メタクリレートおよびエポキシ基を有するグリシジルメ
タクリレートの共重合体を水酸基を有するポリ−2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート(以下、これをPHEM
Aと略記することがある)に共有結合で固定化した材料
[第31回日本人工臓器学会大会予稿集(1993)、
177頁]、(iv)MPC、メタクリロイルオキシプロ
ピルトリクロロシラン、メタクリル酸n−ブチルおよび
2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体を被覆
した塩化ビニル樹脂製チューブ、あるいはMPC、11
−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラ
ン、メタクリル酸メチルおよび2−ヒドロキシプロピル
メタクリレートの共重合体を被覆したポリスルホン中空
糸膜(特開平7−51355号公報)などを挙げること
ができる。
成分であって、細胞の膜様構造部分に特異的に存在し、
リン脂質単独で、または膜タンパク質との相互作用を介
して生体膜の機能に関与していることが知られている。
このことからリン脂質のみならず、リン脂質に類似した
化合物は血液適合性、ひいては生体適合性に優れている
と考えられており、近年盛んに研究されている。そのよ
うな従来技術としては、(i)本出願人による、生体適
合性に優れる2−メタクリロイルオキシエチルホスホリ
ルコリン(以下、これをMPCと略記することがある)
の開発(特開昭54−63025号公報参照)、(ii)
MPCとメタクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステ
ルとの共重合体を基材に被覆した医療材料(特開平3−
39309号公報参照)、(iii)MPC、n−ブチル
メタクリレートおよびエポキシ基を有するグリシジルメ
タクリレートの共重合体を水酸基を有するポリ−2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート(以下、これをPHEM
Aと略記することがある)に共有結合で固定化した材料
[第31回日本人工臓器学会大会予稿集(1993)、
177頁]、(iv)MPC、メタクリロイルオキシプロ
ピルトリクロロシラン、メタクリル酸n−ブチルおよび
2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体を被覆
した塩化ビニル樹脂製チューブ、あるいはMPC、11
−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラ
ン、メタクリル酸メチルおよび2−ヒドロキシプロピル
メタクリレートの共重合体を被覆したポリスルホン中空
糸膜(特開平7−51355号公報)などを挙げること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(i)のMPCは、良好な血液適合性を有しており、M
PCの単独重合体は生体適合性に優れるが、MPCの単
独重合体は水溶性であり、血液等の体液と接触すると容
易に溶解するため、医療材料として用いることができな
い。MPCと疎水性単量体であるメタクリル酸エステル
との共重合体を基材表面に被覆した上記(ii)の医療材
料は、血液と接触するような条件下で短時間使用する場
合には問題は少ないが、長時間使用する場合には、基材
表面に被覆された共重合体が徐々に血液中に溶出し、血
液適合性が長時間持続しないという欠点がある。さら
に、溶出した共重合体が体内に入ると予期し得ぬ危険性
を生じる可能性がある。上記(iii)の材料は、MPC
共重合体とPHEMAが共有結合により結合されている
が、エポキシ基と共有結合可能な水酸基等の官能基を有
する特殊な樹脂表面にしか被覆できない。上記(iv)の
MPC共重合体を塩化ビニル樹脂製チューブ内面に被覆
した例では、被覆前に2%過マンガン酸カリウムを含む
40%硫酸水溶液で処理し、塩化ビニル樹脂に水酸基、
カルボキシル基等のMPC共重合体と共有結合する官能
基を導入し、その官能基と共有結合することによりチュ
ーブに被覆しており、このような処理は強酸を用いるた
め作業者の安全確保、工程や廃水処理の煩雑さを考慮し
た場合、このような処理なしで被覆できることが好まし
い。また、上記のポリスルホン中空糸膜では、中空糸膜
に多数存在する小さな孔に含浸したMPC共重合体は、
該共重合体間で架橋しており、中空糸膜とはほとんど結
合していない。この場合は、中空糸膜が多孔質であるが
ゆえに比較的安定に被覆できたものであり、樹脂基材の
形状がチューブや板状のときは、共重合体を安定に被覆
することはできない。ここでの処理温度は100℃であ
り、ポリスルホンのガラス転移温度(約180℃)より
かなり低い。
(i)のMPCは、良好な血液適合性を有しており、M
PCの単独重合体は生体適合性に優れるが、MPCの単
独重合体は水溶性であり、血液等の体液と接触すると容
易に溶解するため、医療材料として用いることができな
い。MPCと疎水性単量体であるメタクリル酸エステル
との共重合体を基材表面に被覆した上記(ii)の医療材
料は、血液と接触するような条件下で短時間使用する場
合には問題は少ないが、長時間使用する場合には、基材
表面に被覆された共重合体が徐々に血液中に溶出し、血
液適合性が長時間持続しないという欠点がある。さら
に、溶出した共重合体が体内に入ると予期し得ぬ危険性
を生じる可能性がある。上記(iii)の材料は、MPC
共重合体とPHEMAが共有結合により結合されている
が、エポキシ基と共有結合可能な水酸基等の官能基を有
する特殊な樹脂表面にしか被覆できない。上記(iv)の
MPC共重合体を塩化ビニル樹脂製チューブ内面に被覆
した例では、被覆前に2%過マンガン酸カリウムを含む
40%硫酸水溶液で処理し、塩化ビニル樹脂に水酸基、
カルボキシル基等のMPC共重合体と共有結合する官能
基を導入し、その官能基と共有結合することによりチュ
ーブに被覆しており、このような処理は強酸を用いるた
め作業者の安全確保、工程や廃水処理の煩雑さを考慮し
た場合、このような処理なしで被覆できることが好まし
い。また、上記のポリスルホン中空糸膜では、中空糸膜
に多数存在する小さな孔に含浸したMPC共重合体は、
該共重合体間で架橋しており、中空糸膜とはほとんど結
合していない。この場合は、中空糸膜が多孔質であるが
ゆえに比較的安定に被覆できたものであり、樹脂基材の
形状がチューブや板状のときは、共重合体を安定に被覆
することはできない。ここでの処理温度は100℃であ
り、ポリスルホンのガラス転移温度(約180℃)より
かなり低い。
【0005】しかして、本発明の目的は、被覆したホス
ホリルコリン基を有する共重合体が血液中に溶解するこ
となく安定に保持される医療用高分子材料、すなわち、
血液適合性に優れかつ血液適合性が長期にわたって安定
に保持される医療用高分子材料およびその製造方法を提
供することにある。
ホリルコリン基を有する共重合体が血液中に溶解するこ
となく安定に保持される医療用高分子材料、すなわち、
血液適合性に優れかつ血液適合性が長期にわたって安定
に保持される医療用高分子材料およびその製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、ホスホリルコリン基を有するビニル単量体単位
を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート基、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基よりな
る群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニ
ル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性ビニル単量
体単位を5〜90モル%含有する共重合体が熱可塑性樹
脂基材表面に被覆されている医療用高分子材料におい
て、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共有結合によ
り結合し、かつ該共重合体間が共有結合架橋しているこ
とを特徴とする医療用高分子材料、およびホスホリルコ
リン基を有するビニル単量体単位を5〜90モル%;エ
ポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基、メルカプト基よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の官能基を有するビニル単量体単位を0.1
〜50モル%;疎水性ビニル単量体単位を5〜90モル
%含有する共重合体を熱可塑性樹脂基材表面に被覆した
後、必要に応じて架橋剤の存在下に、該熱可塑性樹脂基
材のガラス転移温度以上の温度に加熱することを特徴と
する医療用高分子材料の製造方法を提供することによっ
て達成される。
目的は、ホスホリルコリン基を有するビニル単量体単位
を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート基、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基よりな
る群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニ
ル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性ビニル単量
体単位を5〜90モル%含有する共重合体が熱可塑性樹
脂基材表面に被覆されている医療用高分子材料におい
て、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共有結合によ
り結合し、かつ該共重合体間が共有結合架橋しているこ
とを特徴とする医療用高分子材料、およびホスホリルコ
リン基を有するビニル単量体単位を5〜90モル%;エ
ポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基、メルカプト基よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の官能基を有するビニル単量体単位を0.1
〜50モル%;疎水性ビニル単量体単位を5〜90モル
%含有する共重合体を熱可塑性樹脂基材表面に被覆した
後、必要に応じて架橋剤の存在下に、該熱可塑性樹脂基
材のガラス転移温度以上の温度に加熱することを特徴と
する医療用高分子材料の製造方法を提供することによっ
て達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明における共重合体は、ホス
ホリルコリン基を有するビニル単量体単位を全構造単位
に対して5〜90モル%含有することが必要であり、血
液適合性をより効果的に発現する点から、20〜70モ
ル%含有するのが好ましい。ホスホリルコリン基を含有
するビニル単量体単位の含有量が5モル%未満の場合に
は、血液適合性が十分発現されず、90モル%を越える
場合には、水溶性が高くなりすぎて被覆された共重合体
が医療用高分子材料から脱離しやすくなる。
ホリルコリン基を有するビニル単量体単位を全構造単位
に対して5〜90モル%含有することが必要であり、血
液適合性をより効果的に発現する点から、20〜70モ
ル%含有するのが好ましい。ホスホリルコリン基を含有
するビニル単量体単位の含有量が5モル%未満の場合に
は、血液適合性が十分発現されず、90モル%を越える
場合には、水溶性が高くなりすぎて被覆された共重合体
が医療用高分子材料から脱離しやすくなる。
【0008】ホスホリルコリン基を有するビニル単量体
としては、例えば、MPC、2−メタクリロイルオキシ
エトキシエチルホスホリルコリン、6−メタクリロイル
オキシヘキシルホスホリルコリン、9−メタクリロイル
オキシノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリ
ン、ブテニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリル
コリン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホ
リルコリン等を挙げることができる。中でも、重合性に
優れ、入手が容易であるなどの点からMPCが好まし
い。これらのホスホリルコリン基を有するビニル単量体
は、単独または2種以上の組合せで用いられる。
としては、例えば、MPC、2−メタクリロイルオキシ
エトキシエチルホスホリルコリン、6−メタクリロイル
オキシヘキシルホスホリルコリン、9−メタクリロイル
オキシノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリ
ン、ブテニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリル
コリン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホ
リルコリン等を挙げることができる。中でも、重合性に
優れ、入手が容易であるなどの点からMPCが好まし
い。これらのホスホリルコリン基を有するビニル単量体
は、単独または2種以上の組合せで用いられる。
【0009】本発明における共重合体は、エポキシ基、
イソシアネート基、水酸基、アミノ基、カルボキシル
基、メルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の官能基を有するビニル単量体単位を全構造単位に対
して0.1〜50モル%含有することが必要であり、共
重合体を熱可塑性樹脂基材表面に安定に被覆する点か
ら、1〜25モル%含有するのが好ましい。共重合体が
有する官能基としては、反応性が良好なエポキシ基が好
ましい。
イソシアネート基、水酸基、アミノ基、カルボキシル
基、メルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の官能基を有するビニル単量体単位を全構造単位に対
して0.1〜50モル%含有することが必要であり、共
重合体を熱可塑性樹脂基材表面に安定に被覆する点か
ら、1〜25モル%含有するのが好ましい。共重合体が
有する官能基としては、反応性が良好なエポキシ基が好
ましい。
【0010】エポキシ基を有するビニル単量体として
は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル等が例示され、中でも、
共重合体の合成が容易である点から、グリシジルメタク
リレートが好ましい。これらのエポキシ基を有するビニ
ル単量体は、単独または2種以上の組合せで用いられ
る。イソシアネート基を有するビニル単量体としては、
メタクリロイルイソシアネート等が例示される。水酸基
を有するビニル単量体としては、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル、アリルアルコール等が例示される。ア
ミノ基を有するビニル単量体としては、アリルアミン、
2−メチルアリルアミン等が例示される。カルボキシル
基を有するビニル単量体としては、メタクリル酸、アク
リル酸、3−アリルオキシプロピオン酸等が例示され
る。メルカプト基を有するビニル単量体としては、メタ
クリル酸3−メルカプトプロピルエステル、アリルメル
カプタン等が例示される。
は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル等が例示され、中でも、
共重合体の合成が容易である点から、グリシジルメタク
リレートが好ましい。これらのエポキシ基を有するビニ
ル単量体は、単独または2種以上の組合せで用いられ
る。イソシアネート基を有するビニル単量体としては、
メタクリロイルイソシアネート等が例示される。水酸基
を有するビニル単量体としては、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピル、アリルアルコール等が例示される。ア
ミノ基を有するビニル単量体としては、アリルアミン、
2−メチルアリルアミン等が例示される。カルボキシル
基を有するビニル単量体としては、メタクリル酸、アク
リル酸、3−アリルオキシプロピオン酸等が例示され
る。メルカプト基を有するビニル単量体としては、メタ
クリル酸3−メルカプトプロピルエステル、アリルメル
カプタン等が例示される。
【0011】本発明における共重合体は、疎水性ビニル
単量体単位を5〜90モル%含有することが必要であ
り、共重合体と熱可塑性樹脂基材との間の結合力を高め
る点、共重合体の合成の容易さの点などから、25〜7
5モル%含有するのが好ましい。疎水性ビニル単量体単
位とは、アルキル基、フェニル基等の疎水性基を有する
ビニル単量体単位であり、該単位を誘導する疎水性ビニ
ル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、スチレンなどが挙げられ、中でも、得られる共重
合体と未重合の単量体との分離精製が容易になり、また
熱可塑性樹脂基材との結合性が良好になるなどの点か
ら、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸
アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸ヘキシル、
メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル等の
アルキル基の炭素数が6以上の(メタ)アクリル酸アル
キルエステルがより好ましい。これらの単量体は、単独
または2種以上の組合せで用いられる。
単量体単位を5〜90モル%含有することが必要であ
り、共重合体と熱可塑性樹脂基材との間の結合力を高め
る点、共重合体の合成の容易さの点などから、25〜7
5モル%含有するのが好ましい。疎水性ビニル単量体単
位とは、アルキル基、フェニル基等の疎水性基を有する
ビニル単量体単位であり、該単位を誘導する疎水性ビニ
ル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、スチレンなどが挙げられ、中でも、得られる共重
合体と未重合の単量体との分離精製が容易になり、また
熱可塑性樹脂基材との結合性が良好になるなどの点か
ら、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸
アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸ヘキシル、
メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル等の
アルキル基の炭素数が6以上の(メタ)アクリル酸アル
キルエステルがより好ましい。これらの単量体は、単独
または2種以上の組合せで用いられる。
【0012】本発明における共重合体の数平均分子量と
しては、得られる共重合体と未重合の単量体との分離精
製が容易になる点から、5000以上が好ましく、10
000以上がより好ましい。また、共重合体の数平均分
子量の上限は、1000000以下であるのが好まし
い。
しては、得られる共重合体と未重合の単量体との分離精
製が容易になる点から、5000以上が好ましく、10
000以上がより好ましい。また、共重合体の数平均分
子量の上限は、1000000以下であるのが好まし
い。
【0013】本発明における共重合体は、例えば、ホス
ホリルコリン基を有するビニル単量体;エポキシ基、イ
ソシアネート基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基お
よびメルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の官能基を有するビニル単量体;並びに疎水性ビニル
単量体を必要量混合して得られる単量体組成物を、重合
開始剤の存在下、溶媒中でラジカル重合することにより
製造することができる。
ホリルコリン基を有するビニル単量体;エポキシ基、イ
ソシアネート基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基お
よびメルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の官能基を有するビニル単量体;並びに疎水性ビニル
単量体を必要量混合して得られる単量体組成物を、重合
開始剤の存在下、溶媒中でラジカル重合することにより
製造することができる。
【0014】重合開始剤としては、ラジカル重合におい
て一般的に使用されている重合開始剤、例えば、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、これをAI
BNと略称することがある)、1,1’−アゾビス(シ
クロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、過酸化
ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物などを挙
げることができる。
て一般的に使用されている重合開始剤、例えば、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、これをAI
BNと略称することがある)、1,1’−アゾビス(シ
クロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、過酸化
ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物などを挙
げることができる。
【0015】溶媒としては、上記の単量体を溶解しかつ
単量体を変性させないものであれば特に制限はなく、例
えば、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコー
ル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることが
できる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組合せ
で用いられる。
単量体を変性させないものであれば特に制限はなく、例
えば、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコー
ル、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることが
できる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組合せ
で用いられる。
【0016】このようにして得られる共重合体を熱可塑
性樹脂基材表面に被覆することにより、熱可塑性樹脂基
材表面に共重合体層を形成させた後、該熱可塑性樹脂基
材のガラス転移温度以上の温度に加熱することにより本
発明の医療用高分子材料を製造することができる。
性樹脂基材表面に被覆することにより、熱可塑性樹脂基
材表面に共重合体層を形成させた後、該熱可塑性樹脂基
材のガラス転移温度以上の温度に加熱することにより本
発明の医療用高分子材料を製造することができる。
【0017】熱可塑性樹脂基材としては、医療用として
通常用いられる熱可塑性樹脂基材を使用でき、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペン
テン−1等のポリオレフィン類、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル
樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、塩化
ビニリデン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性繊
維素誘導体樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−スチレ
ン系樹脂、スチレン−イソプレン(ブロック)共重合
体、水素添加されたスチレン−イソプレン(ブロック)
共重合体、スチレン−オレフィン(ブロック)共重合
体、およびこれらの混合物などの熱可塑性樹脂からなる
基材を挙げることができる。熱可塑性樹脂基材の形状と
しては、チューブ、容器、バッグ、膜等が挙げられる。
通常用いられる熱可塑性樹脂基材を使用でき、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペン
テン−1等のポリオレフィン類、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル
樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン、塩化
ビニリデン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性繊
維素誘導体樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−スチレ
ン系樹脂、スチレン−イソプレン(ブロック)共重合
体、水素添加されたスチレン−イソプレン(ブロック)
共重合体、スチレン−オレフィン(ブロック)共重合
体、およびこれらの混合物などの熱可塑性樹脂からなる
基材を挙げることができる。熱可塑性樹脂基材の形状と
しては、チューブ、容器、バッグ、膜等が挙げられる。
【0018】共重合体の熱可塑性樹脂基材への被覆は、
共重合体を溶剤に溶解させて得られる被覆用溶液を熱可
塑性樹脂基材に塗るか、吹き付けるか、または熱可塑性
樹脂基材を被覆用溶液に浸漬することにより行うことが
できる。上記のように使用する溶剤としては、通常、有
機溶剤が用いられ、被覆用溶液中の共重合体の濃度とし
ては、0.1〜30重量%の範囲内が好ましい。有機溶
剤としては、共重合体を変性させずかつ熱可塑性樹脂基
材表面を変性させないものが用いられ、例えば、メタノ
ール、エタノール、ジオキサン、アセトン等が挙げられ
る。これらは単独で、または2種以上の混合溶剤として
使用する。中でも、熱可塑性樹脂基材表面を変性させる
ことがなく、また沸点が低く乾燥しやすいことから、メ
タノール、エタノールが好ましい。ただし、共重合体に
イソシアネート基が含まれる場合には、アルコールを用
いると溶剤とイソシアネート基が反応してしまうことか
ら、通常、アセトンを用いる。
共重合体を溶剤に溶解させて得られる被覆用溶液を熱可
塑性樹脂基材に塗るか、吹き付けるか、または熱可塑性
樹脂基材を被覆用溶液に浸漬することにより行うことが
できる。上記のように使用する溶剤としては、通常、有
機溶剤が用いられ、被覆用溶液中の共重合体の濃度とし
ては、0.1〜30重量%の範囲内が好ましい。有機溶
剤としては、共重合体を変性させずかつ熱可塑性樹脂基
材表面を変性させないものが用いられ、例えば、メタノ
ール、エタノール、ジオキサン、アセトン等が挙げられ
る。これらは単独で、または2種以上の混合溶剤として
使用する。中でも、熱可塑性樹脂基材表面を変性させる
ことがなく、また沸点が低く乾燥しやすいことから、メ
タノール、エタノールが好ましい。ただし、共重合体に
イソシアネート基が含まれる場合には、アルコールを用
いると溶剤とイソシアネート基が反応してしまうことか
ら、通常、アセトンを用いる。
【0019】次に、共重合体が被覆された熱可塑性樹脂
基材を、該熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(以下、
これをTgと略記することがある)以上の温度に加熱す
ることにより、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共
有結合により結合するとともに共重合体が相互に架橋す
ることにより本発明の医療用高分子材料が得られる。つ
まり、熱可塑性樹脂基材をガラス転移温度以上の温度に
加熱することにより、熱可塑性樹脂基材がアモルファス
状態になり、熱可塑性樹脂基材と共重合体とが水素結
合、ファンデルワールス力等の分子間力により安定に非
共有結合で結合する。
基材を、該熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(以下、
これをTgと略記することがある)以上の温度に加熱す
ることにより、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共
有結合により結合するとともに共重合体が相互に架橋す
ることにより本発明の医療用高分子材料が得られる。つ
まり、熱可塑性樹脂基材をガラス転移温度以上の温度に
加熱することにより、熱可塑性樹脂基材がアモルファス
状態になり、熱可塑性樹脂基材と共重合体とが水素結
合、ファンデルワールス力等の分子間力により安定に非
共有結合で結合する。
【0020】一方、共重合体間の架橋は、共重合体が有
する官能基間で行われる。共重合体が、エポキシ基およ
びイソシアネート基のうちの少なくとも1種の官能基を
有する場合は、これらの官能基と空気中や溶剤中に含ま
れる水分とが加熱により反応し、架橋することができ
る。水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基と
エポキシ基およびイソシアネート基のうちの少なくとも
1種の官能基とを有する共重合体を使用する場合、並び
に水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプト
基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有
する共重合体とエポキシ基およびイソシアネート基のう
ちの少なくとも1種の官能基を有する共重合体とを使用
する場合には、これらの官能基間の反応により架橋する
ことができる。
する官能基間で行われる。共重合体が、エポキシ基およ
びイソシアネート基のうちの少なくとも1種の官能基を
有する場合は、これらの官能基と空気中や溶剤中に含ま
れる水分とが加熱により反応し、架橋することができ
る。水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基と
エポキシ基およびイソシアネート基のうちの少なくとも
1種の官能基とを有する共重合体を使用する場合、並び
に水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプト
基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有
する共重合体とエポキシ基およびイソシアネート基のう
ちの少なくとも1種の官能基を有する共重合体とを使用
する場合には、これらの官能基間の反応により架橋する
ことができる。
【0021】本発明において、水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基およびメルカプト基よりなる群から選ばれる
少なくとも1種の官能基のみを有する共重合体を使用す
る場合には、架橋剤を用いて共有結合架橋することが必
要である。架橋剤としては、エポキシ基およびイソシア
ネート基のうちの少なくとも1種の官能基を2個以上有
する架橋剤が使用され、例えば、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,3−ブタジエンジエポキシド、1,7−オクタ
ジエンジエポキシド、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を
挙げることができる。これらの化合物は、単独または2
種以上の組合せで用いられる。
ボキシル基およびメルカプト基よりなる群から選ばれる
少なくとも1種の官能基のみを有する共重合体を使用す
る場合には、架橋剤を用いて共有結合架橋することが必
要である。架橋剤としては、エポキシ基およびイソシア
ネート基のうちの少なくとも1種の官能基を2個以上有
する架橋剤が使用され、例えば、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,3−ブタジエンジエポキシド、1,7−オクタ
ジエンジエポキシド、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を
挙げることができる。これらの化合物は、単独または2
種以上の組合せで用いられる。
【0022】また、共重合体が、エポキシ基およびイソ
シアネート基のうちの少なくとも1種の官能基を有する
場合には、アミノ基、水酸基、カルボキシル基およびメ
ルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官
能基を2個以上有する架橋剤により架橋することもでき
る。架橋剤としては、ビス(3−アミノプロピル)エー
テル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、
N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパ
ンジアミン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノ
プロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ア
ミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス
(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(3−アミノプ
ロピル)エーテル、エチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、エチレングリコール、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレ
ングリコール、エチレングリコールビス(4−カルボキ
シフェニル)エーテル、1,10−ビス(4−カルボキ
シフェノキシ)デカン、1,6−ヘキサンジチオール等
を挙げることができる。これらの化合物は、単独または
2種以上の組合せで用いられる。
シアネート基のうちの少なくとも1種の官能基を有する
場合には、アミノ基、水酸基、カルボキシル基およびメ
ルカプト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官
能基を2個以上有する架橋剤により架橋することもでき
る。架橋剤としては、ビス(3−アミノプロピル)エー
テル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、
N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパ
ンジアミン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノ
プロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−ア
ミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス
(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(3−アミノプ
ロピル)エーテル、エチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、エチレングリコール、ポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレ
ングリコール、エチレングリコールビス(4−カルボキ
シフェニル)エーテル、1,10−ビス(4−カルボキ
シフェノキシ)デカン、1,6−ヘキサンジチオール等
を挙げることができる。これらの化合物は、単独または
2種以上の組合せで用いられる。
【0023】架橋剤の使用量としては、共重合体が有す
るエポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、
カルボキシル基およびメルカプト基の合計モル数に対し
て0.01〜50モル%の範囲内が好ましい。架橋剤を
使用する場合には、前記の被覆用溶液に架橋剤を溶解さ
せておくのが好ましい。
るエポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、
カルボキシル基およびメルカプト基の合計モル数に対し
て0.01〜50モル%の範囲内が好ましい。架橋剤を
使用する場合には、前記の被覆用溶液に架橋剤を溶解さ
せておくのが好ましい。
【0024】上記の加熱は、共重合体と熱可塑性樹脂基
材とを非共有結合により結合させるために、熱可塑性樹
脂基材のTgから熱可塑性樹脂基材の融点の範囲内の温
度で行うのが好ましく、Tg+5℃以上でかつ熱可塑性
樹脂基材が変性する温度以下の温度で行うのがより好ま
しい。また、同時に、共重合体の架橋反応も進行する温
度を採用するのが好ましい。熱可塑性樹脂基材が変性す
る温度とは、その熱可塑性樹脂基材が変形や着色等によ
り使用できなくなる温度を意味し、熱可塑性樹脂基材の
種類や使用形態により異なる。加熱時間としては、共重
合体の構造単位の種類および比率、熱可塑性樹脂基材の
種類等によって異なるが、下記の数式(1)で示される
時間以上であるのが好ましい。また、加熱時間の上限と
しては、生産性の観点から、200時間以内であるのが
好ましい。
材とを非共有結合により結合させるために、熱可塑性樹
脂基材のTgから熱可塑性樹脂基材の融点の範囲内の温
度で行うのが好ましく、Tg+5℃以上でかつ熱可塑性
樹脂基材が変性する温度以下の温度で行うのがより好ま
しい。また、同時に、共重合体の架橋反応も進行する温
度を採用するのが好ましい。熱可塑性樹脂基材が変性す
る温度とは、その熱可塑性樹脂基材が変形や着色等によ
り使用できなくなる温度を意味し、熱可塑性樹脂基材の
種類や使用形態により異なる。加熱時間としては、共重
合体の構造単位の種類および比率、熱可塑性樹脂基材の
種類等によって異なるが、下記の数式(1)で示される
時間以上であるのが好ましい。また、加熱時間の上限と
しては、生産性の観点から、200時間以内であるのが
好ましい。
【0025】
【数1】
【0026】例えば、MPC、グリシジルメタクリレー
トおよびメタクリル酸ヘキシルの共重合体を熱可塑性樹
脂基材表面に被覆する場合において、熱可塑性樹脂基材
が塩化ビニル樹脂(Tg:約70℃)のときは、加熱温
度としては、75〜120℃の範囲内が好ましく、熱可
塑性樹脂基材の熱による変性がなく、共重合体が強固に
被覆できる点から、80〜100℃の範囲内がより好ま
しい。加熱時間としては、加熱温度が80℃の場合は、
6〜100時間の範囲内が好ましく、120℃の場合は
0.4〜24時間の範囲内が好ましい。また、熱可塑性
樹脂基材がポリ−4−メチルペンテン−1樹脂(Tg:
約50℃)のときは、加熱温度としては、55〜80℃
の範囲内が好ましい。加熱時間としては、加熱温度が6
0℃の場合は、24〜200時間の範囲内が好ましく、
80℃の場合は、6〜100時間の範囲内が好ましい。
トおよびメタクリル酸ヘキシルの共重合体を熱可塑性樹
脂基材表面に被覆する場合において、熱可塑性樹脂基材
が塩化ビニル樹脂(Tg:約70℃)のときは、加熱温
度としては、75〜120℃の範囲内が好ましく、熱可
塑性樹脂基材の熱による変性がなく、共重合体が強固に
被覆できる点から、80〜100℃の範囲内がより好ま
しい。加熱時間としては、加熱温度が80℃の場合は、
6〜100時間の範囲内が好ましく、120℃の場合は
0.4〜24時間の範囲内が好ましい。また、熱可塑性
樹脂基材がポリ−4−メチルペンテン−1樹脂(Tg:
約50℃)のときは、加熱温度としては、55〜80℃
の範囲内が好ましい。加熱時間としては、加熱温度が6
0℃の場合は、24〜200時間の範囲内が好ましく、
80℃の場合は、6〜100時間の範囲内が好ましい。
【0027】本発明の医療用高分子材料の表面には、ホ
スホリルコリン基が1×10-10〜1×10-5モル/c
m2の密度で存在しているのが好ましく、1×10-9〜
1×10-5モル/cm2の密度で存在しているのがより
好ましい。ホスホリルコリン基の表面密度が1×10
-10モル/cm2未満の場合には、血液適合性が発現され
にくくなる。
スホリルコリン基が1×10-10〜1×10-5モル/c
m2の密度で存在しているのが好ましく、1×10-9〜
1×10-5モル/cm2の密度で存在しているのがより
好ましい。ホスホリルコリン基の表面密度が1×10
-10モル/cm2未満の場合には、血液適合性が発現され
にくくなる。
【0028】本発明の医療用高分子材料は、血液適合性
に優れており、血液と接触しても血栓が生じにくく、補
体を活性化することもない。該医療用高分子材料は、血
液適合性を有する共重合体が熱可塑性樹脂基材表面から
容易に脱離することがないので、血液適合性が長期間に
わたって保持される。したがって、本発明の医療用高分
子材料は、カテーテル、血液回路、血液バッグ、人工血
管等のように、長期にわたって血液と接触して使用され
るあらゆる医療用具の材料として好適なものである。
に優れており、血液と接触しても血栓が生じにくく、補
体を活性化することもない。該医療用高分子材料は、血
液適合性を有する共重合体が熱可塑性樹脂基材表面から
容易に脱離することがないので、血液適合性が長期間に
わたって保持される。したがって、本発明の医療用高分
子材料は、カテーテル、血液回路、血液バッグ、人工血
管等のように、長期にわたって血液と接触して使用され
るあらゆる医療用具の材料として好適なものである。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例等により説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。共重合体の
数平均分子量はGPC法により求め、共重合体における
構造単位の含有割合は1H−NMR法により求めた。
本発明はこれらに限定されるものではない。共重合体の
数平均分子量はGPC法により求め、共重合体における
構造単位の含有割合は1H−NMR法により求めた。
【0030】参考例1 MPC〔日本油脂(株)製〕3.13g(55モル
%)、グリシジルメタクリレート0.14g(5モル
%)、メタクリル酸n−ブチル1.10g(40モル
%)およびAIBN0.04gをエタノール28mlに
溶解し、反応容器内をアルゴンガスで充分に置換した。
この反応容器を60℃の温浴中に24時間浸漬すること
により、重合反応を行った。冷却後、重合溶液をクロロ
ホルムに注ぎ共重合体を沈澱させた。濾別した沈澱物を
メタノールに溶解後、再度クロロホルムに注ぎ共重合体
を沈澱させる操作を2回繰り返し、最後にクロロホルム
に代えてエチルエーテルで沈澱させ、共重合体の沈澱物
を濾別した後、真空乾燥させた。収率は65%であっ
た。得られた共重合体(以下、これを共重合体1と略記
することがある)におけるMPC単位の含有量は54モ
ル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は4.5
モル%、メタクリル酸n−ブチル単位の含有量は41.
5モル%であり、共重合体1の数平均分子量は14万で
あった。
%)、グリシジルメタクリレート0.14g(5モル
%)、メタクリル酸n−ブチル1.10g(40モル
%)およびAIBN0.04gをエタノール28mlに
溶解し、反応容器内をアルゴンガスで充分に置換した。
この反応容器を60℃の温浴中に24時間浸漬すること
により、重合反応を行った。冷却後、重合溶液をクロロ
ホルムに注ぎ共重合体を沈澱させた。濾別した沈澱物を
メタノールに溶解後、再度クロロホルムに注ぎ共重合体
を沈澱させる操作を2回繰り返し、最後にクロロホルム
に代えてエチルエーテルで沈澱させ、共重合体の沈澱物
を濾別した後、真空乾燥させた。収率は65%であっ
た。得られた共重合体(以下、これを共重合体1と略記
することがある)におけるMPC単位の含有量は54モ
ル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は4.5
モル%、メタクリル酸n−ブチル単位の含有量は41.
5モル%であり、共重合体1の数平均分子量は14万で
あった。
【0031】参考例2 参考例1において、使用するモノマーの種類および割合
を、MPC2.3g(40モル%)、グリシジルメタク
リレート0.55g(20モル%)、メタクリル酸n−
ヘキシル1.31g(40モル%)に代えた以外は、参
考例1と同様にして共重合体を得た。収率は82%であ
った。得られた共重合体(以下、これを共重合体2と略
記することがある)におけるMPC単位の含有量は38
モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は18
モル%、メタクリル酸n−ヘキシル単位の含有量は44
モル%であり、共重合体2の数平均分子量は12万であ
った。
を、MPC2.3g(40モル%)、グリシジルメタク
リレート0.55g(20モル%)、メタクリル酸n−
ヘキシル1.31g(40モル%)に代えた以外は、参
考例1と同様にして共重合体を得た。収率は82%であ
った。得られた共重合体(以下、これを共重合体2と略
記することがある)におけるMPC単位の含有量は38
モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は18
モル%、メタクリル酸n−ヘキシル単位の含有量は44
モル%であり、共重合体2の数平均分子量は12万であ
った。
【0032】参考例3 参考例1において、使用するモノマーの種類および割合
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.55g(20モル%)、メタクリル酸2−
エチルヘキシル1.72g(45モル%)に代えた以外
は、参考例1と同様にして共重合体を得た。収率は75
%であった。得られた共重合体(以下、これを共重合体
3と略記することがある)におけるMPC単位の含有量
は32モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量
は19モル%、メタクリル酸2−エチルヘキシル単位の
含有量は49モル%であり、共重合体3の数平均分子量
は15万であった。
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.55g(20モル%)、メタクリル酸2−
エチルヘキシル1.72g(45モル%)に代えた以外
は、参考例1と同様にして共重合体を得た。収率は75
%であった。得られた共重合体(以下、これを共重合体
3と略記することがある)におけるMPC単位の含有量
は32モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量
は19モル%、メタクリル酸2−エチルヘキシル単位の
含有量は49モル%であり、共重合体3の数平均分子量
は15万であった。
【0033】実施例1 参考例1で得られた共重合体1をエタノールに5%の濃
度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。内径
10mmの医療用軟質塩化ビニル樹脂製チューブの内側
を共重合体溶液で満たし、10分後に溶液を抜きとり、
100℃で24時間加熱した。チューブをエタノールで
洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。ヘパリ
ンをその濃度が2U/mlになるように加えた全血を、
この共重合体被覆チューブ中に37℃で30分間満たし
た後、血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化し
た。血液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパ
ク質や血小板はほとんど付着していなかった。また、上
記の共重合体被覆チューブを蒸留水で洗浄後、鉗子でチ
ューブ片端を閉じ、その中に採血直後の全血を入れ、凝
固するまで時間を測定した結果、21分であった。な
お、このとき使用した塩化ビニル樹脂のガラス転移温度
は約70℃であった。
度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。内径
10mmの医療用軟質塩化ビニル樹脂製チューブの内側
を共重合体溶液で満たし、10分後に溶液を抜きとり、
100℃で24時間加熱した。チューブをエタノールで
洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。ヘパリ
ンをその濃度が2U/mlになるように加えた全血を、
この共重合体被覆チューブ中に37℃で30分間満たし
た後、血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化し
た。血液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパ
ク質や血小板はほとんど付着していなかった。また、上
記の共重合体被覆チューブを蒸留水で洗浄後、鉗子でチ
ューブ片端を閉じ、その中に採血直後の全血を入れ、凝
固するまで時間を測定した結果、21分であった。な
お、このとき使用した塩化ビニル樹脂のガラス転移温度
は約70℃であった。
【0034】比較例1 ヘパリンをその濃度が2U/mlになるように加えた全
血を、蒸留水で洗浄しただけの軟質塩化ビニル樹脂製チ
ューブの中に37℃で30分間満たした後、血液を取り
出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血液接触面を
電子顕微鏡で観察したところ、血小板の付着が多く認め
られた。また、軟質塩化ビニル樹脂製チューブを蒸留水
で洗浄後、鉗子でチューブ片端を閉じ、その中に採血直
後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、1
5分であった。以上の結果より、実施例1で得られたチ
ューブは、良好な抗血栓性を有していることがわかる。
血を、蒸留水で洗浄しただけの軟質塩化ビニル樹脂製チ
ューブの中に37℃で30分間満たした後、血液を取り
出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血液接触面を
電子顕微鏡で観察したところ、血小板の付着が多く認め
られた。また、軟質塩化ビニル樹脂製チューブを蒸留水
で洗浄後、鉗子でチューブ片端を閉じ、その中に採血直
後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、1
5分であった。以上の結果より、実施例1で得られたチ
ューブは、良好な抗血栓性を有していることがわかる。
【0035】実施例2 参考例2で得られた共重合体2をエタノールに10%の
濃度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。塩
化ビニル樹脂フィルム(厚さ1mm)を共重合体溶液に
浸漬し、5分後に取り出し、80℃で12時間加熱し
た。これをエタノールで洗浄し、共重合体が被覆された
フィルムを得た。この共重合体被覆フィルムを、121
℃で30分間オートクレーブ滅菌した後、一部を0.0
1%o-トルイジンブルー水溶液に浸漬した。水洗後、目
視観察したところ均一に染色されており、滅菌後でも共
重合体が均一に被覆されていることが確認された。ま
た、染色部分を顕微鏡で観察したところ、厚さ約1μm
の染色層が存在していたことから、被覆された共重合体
間が架橋していることが確認された。次にオートクレー
ブ滅菌した共重合体被覆フィルムを、ヘパリンをその濃
度が2U/mlになるように加えた全血中に、37℃で
30分間浸漬した後、血液を取り出し、グルタルアルデ
ヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微鏡で観察した
ところ、タンパク質や血小板はほとんど付着していなか
った。
濃度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。塩
化ビニル樹脂フィルム(厚さ1mm)を共重合体溶液に
浸漬し、5分後に取り出し、80℃で12時間加熱し
た。これをエタノールで洗浄し、共重合体が被覆された
フィルムを得た。この共重合体被覆フィルムを、121
℃で30分間オートクレーブ滅菌した後、一部を0.0
1%o-トルイジンブルー水溶液に浸漬した。水洗後、目
視観察したところ均一に染色されており、滅菌後でも共
重合体が均一に被覆されていることが確認された。ま
た、染色部分を顕微鏡で観察したところ、厚さ約1μm
の染色層が存在していたことから、被覆された共重合体
間が架橋していることが確認された。次にオートクレー
ブ滅菌した共重合体被覆フィルムを、ヘパリンをその濃
度が2U/mlになるように加えた全血中に、37℃で
30分間浸漬した後、血液を取り出し、グルタルアルデ
ヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微鏡で観察した
ところ、タンパク質や血小板はほとんど付着していなか
った。
【0036】実施例3 参考例3で得られた共重合体3をエタノールに5%の濃
度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。内径
8mmの軟質塩化ビニル樹脂製チューブの内側を共重合
体溶液で満たし、5分後に溶液を抜きとり、80℃で2
4時間加熱した後、蒸留水で洗浄し、共重合体が被覆さ
れたチューブを得た。この共重合体被覆チューブの一部
を0.01%o-トルイジンブルー水溶液に5分間浸漬
し、水洗後、目視観察したところ、均一に染色されてお
り、共重合体が均一に被覆されていることが確認され
た。次に、ヘパリンをその濃度が2U/mlになるよう
に加えた全血を、この共重合体被覆チューブの中に37
℃で30分間満たした後、血液を取り出し、グルタルア
ルデヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微鏡で観察
したところ、タンパク質や血小板はほとんど付着してい
なかった。また、上記の共重合体被覆チューブ(長さ8
cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血直後の全血を
入れ、凝固するまで時間を測定した結果、22分であっ
た。なお、このとき使用した塩化ビニル樹脂のガラス転
移温度は約70℃であった。
度となるように溶解し、共重合体溶液を調製した。内径
8mmの軟質塩化ビニル樹脂製チューブの内側を共重合
体溶液で満たし、5分後に溶液を抜きとり、80℃で2
4時間加熱した後、蒸留水で洗浄し、共重合体が被覆さ
れたチューブを得た。この共重合体被覆チューブの一部
を0.01%o-トルイジンブルー水溶液に5分間浸漬
し、水洗後、目視観察したところ、均一に染色されてお
り、共重合体が均一に被覆されていることが確認され
た。次に、ヘパリンをその濃度が2U/mlになるよう
に加えた全血を、この共重合体被覆チューブの中に37
℃で30分間満たした後、血液を取り出し、グルタルア
ルデヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微鏡で観察
したところ、タンパク質や血小板はほとんど付着してい
なかった。また、上記の共重合体被覆チューブ(長さ8
cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血直後の全血を
入れ、凝固するまで時間を測定した結果、22分であっ
た。なお、このとき使用した塩化ビニル樹脂のガラス転
移温度は約70℃であった。
【0037】比較例2 実施例3において加熱温度を60℃に変えた以外は、実
施例3と同様の条件で処理した。すなわち、参考例3で
得られた共重合体3をエタノールに5%の濃度となるよ
うに溶解し、共重合体溶液を調製した。内径8mmの軟
質塩化ビニル樹脂製チューブの内側を共重合体溶液で満
たし、5分後に溶液を抜きとり、60℃で24時間加熱
した後、蒸留水で洗浄し、チューブを得た。このチュー
ブの一部を0.01%o-トルイジンブルー水溶液に5分
間浸漬し、水洗後、目視観察したところ、染色されず、
このチューブには共重合体が被覆されていないことが確
認された。次に、ヘパリンを2U/mlになるように加
えた全血を、このチューブの中に37℃で30分間満た
した後、血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化
した。血液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タン
パク質や血小板が多く付着していた。また、上記のチュ
ーブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血
直後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、
15分であった。これらの結果より、加熱処理をガラス
転移温度未満の温度で行った場合は、共重合体が被覆さ
れないことがわかる。
施例3と同様の条件で処理した。すなわち、参考例3で
得られた共重合体3をエタノールに5%の濃度となるよ
うに溶解し、共重合体溶液を調製した。内径8mmの軟
質塩化ビニル樹脂製チューブの内側を共重合体溶液で満
たし、5分後に溶液を抜きとり、60℃で24時間加熱
した後、蒸留水で洗浄し、チューブを得た。このチュー
ブの一部を0.01%o-トルイジンブルー水溶液に5分
間浸漬し、水洗後、目視観察したところ、染色されず、
このチューブには共重合体が被覆されていないことが確
認された。次に、ヘパリンを2U/mlになるように加
えた全血を、このチューブの中に37℃で30分間満た
した後、血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化
した。血液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タン
パク質や血小板が多く付着していた。また、上記のチュ
ーブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血
直後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、
15分であった。これらの結果より、加熱処理をガラス
転移温度未満の温度で行った場合は、共重合体が被覆さ
れないことがわかる。
【0038】参考例4 参考例1において、使用するモノマーの割合を、MPC
2.0g(35モル%)、グリシジルメタクリレート
0.14g(5モル%)、メタクリル酸n−ブチル1.
7g(60モル%)に代えた以外は、参考例1と同様に
して共重合体を得た。収率は83%であった。得られた
共重合体(以下、これを共重合体4と略記することがあ
る)におけるMPC単位の含有量は35モル%、グリシ
ジルメタクリレート単位の含有量は4モル%、メタクリ
ル酸n−ブチル単位の含有量は61モル%であり、共重
合体4の数平均分子量は12万であった。
2.0g(35モル%)、グリシジルメタクリレート
0.14g(5モル%)、メタクリル酸n−ブチル1.
7g(60モル%)に代えた以外は、参考例1と同様に
して共重合体を得た。収率は83%であった。得られた
共重合体(以下、これを共重合体4と略記することがあ
る)におけるMPC単位の含有量は35モル%、グリシ
ジルメタクリレート単位の含有量は4モル%、メタクリ
ル酸n−ブチル単位の含有量は61モル%であり、共重
合体4の数平均分子量は12万であった。
【0039】参考例5 参考例1において、使用するモノマーの種類および割合
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.14g(5モル%)、メタクリル酸n−ヘ
キシル2.0g(60モル%)に代えた以外は、参考例
1と同様にして共重合体を得た。収率は81%であっ
た。得られた共重合体(以下、これを共重合体5と略記
することがある)におけるMPC単位の含有量は34モ
ル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は5モル
%、メタクリル酸n−ヘキシル単位の含有量は61モル
%であり、共重合体5の数平均分子量は12万であっ
た。
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.14g(5モル%)、メタクリル酸n−ヘ
キシル2.0g(60モル%)に代えた以外は、参考例
1と同様にして共重合体を得た。収率は81%であっ
た。得られた共重合体(以下、これを共重合体5と略記
することがある)におけるMPC単位の含有量は34モ
ル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は5モル
%、メタクリル酸n−ヘキシル単位の含有量は61モル
%であり、共重合体5の数平均分子量は12万であっ
た。
【0040】参考例6 参考例1において、使用するモノマーの種類および割合
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.14g(5モル%)、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル2.3g(60モル%)に代えた以外は、
参考例1と同様にして共重合体を得た。収率は72%で
あった。得られた共重合体(以下、これを共重合体6と
略記することがある)におけるMPC単位の含有量は3
5モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は4
モル%、メタクリル酸2−エチルヘキシル単位の含有量
は61モル%であり、共重合体6の数平均分子量は11
万であった。
を、MPC2.0g(35モル%)、グリシジルメタク
リレート0.14g(5モル%)、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル2.3g(60モル%)に代えた以外は、
参考例1と同様にして共重合体を得た。収率は72%で
あった。得られた共重合体(以下、これを共重合体6と
略記することがある)におけるMPC単位の含有量は3
5モル%、グリシジルメタクリレート単位の含有量は4
モル%、メタクリル酸2−エチルヘキシル単位の含有量
は61モル%であり、共重合体6の数平均分子量は11
万であった。
【0041】実施例4〜15 参考例4〜6で得られた共重合体をそれぞれエタノール
に5%の濃度となるように溶解し、共重合体溶液を調製
した。軟質塩化ビニル樹脂製チューブ内側を共重合体溶
液で満たし、5分後に液を抜きとり、表1に示す温度お
よび時間の条件で加熱した。次にエタノールで洗浄後、
0.01%o-トルイジンブルー水溶液に浸漬した。水洗
後、目視により染色の様子を観察し、結果を表1に示し
た。
に5%の濃度となるように溶解し、共重合体溶液を調製
した。軟質塩化ビニル樹脂製チューブ内側を共重合体溶
液で満たし、5分後に液を抜きとり、表1に示す温度お
よび時間の条件で加熱した。次にエタノールで洗浄後、
0.01%o-トルイジンブルー水溶液に浸漬した。水洗
後、目視により染色の様子を観察し、結果を表1に示し
た。
【0042】
【表1】
【0043】表1より、実施例4〜15で得られたチュ
ーブはすべて内面が均一に染色されいること、すなわち
均一に共重合体が被覆されていることがわかる。
ーブはすべて内面が均一に染色されいること、すなわち
均一に共重合体が被覆されていることがわかる。
【0044】実施例16 参考例2で得られた共重合体2をエタノールに5%の濃
度となるように溶解した溶液をポリ−4−メチルペンテ
ン−1製試験管に入れ、5分後に取り出し、60℃で2
4時間加熱した。エタノールで洗浄後、0.01%o-ト
ルイジンブルー水溶液で染色したところ、試験管内面は
均一に染色されており、共重合体が均一に被覆されてい
ることが確認された。次に、実施例1と同様にして、ヘ
パリンを加えた全血を満たした後、血液を取り出し、グ
ルタルアルデヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微
鏡で観察したところ、タンパク質や血小板はほとんど付
着していなかった。
度となるように溶解した溶液をポリ−4−メチルペンテ
ン−1製試験管に入れ、5分後に取り出し、60℃で2
4時間加熱した。エタノールで洗浄後、0.01%o-ト
ルイジンブルー水溶液で染色したところ、試験管内面は
均一に染色されており、共重合体が均一に被覆されてい
ることが確認された。次に、実施例1と同様にして、ヘ
パリンを加えた全血を満たした後、血液を取り出し、グ
ルタルアルデヒドで固定化した。血液接触面を電子顕微
鏡で観察したところ、タンパク質や血小板はほとんど付
着していなかった。
【0045】実施例17 実施例16の共重合体溶液に終濃度が0.01%になる
ようにヘキサメチレンジアミンを加えた以外は実施例1
6と同様の条件で処理した。試験管内面はo-トルイジン
ブルー水溶液で均一に染色されており、共重合体が均一
に被覆されていることが確認された。
ようにヘキサメチレンジアミンを加えた以外は実施例1
6と同様の条件で処理した。試験管内面はo-トルイジン
ブルー水溶液で均一に染色されており、共重合体が均一
に被覆されていることが確認された。
【0046】比較例3 実施例16において、加熱温度を35℃に代えた以外は
実施例16と同様の条件で処理したところ、試験管内面
はo-トルイジンブルー水溶液では染色されず、共重合体
は被覆されていないことが確認された。
実施例16と同様の条件で処理したところ、試験管内面
はo-トルイジンブルー水溶液では染色されず、共重合体
は被覆されていないことが確認された。
【0047】比較例4 実施例17において、加熱温度を35℃に代えた以外は
実施例17と同様の条件で処理した。このとき共重合体
の架橋物は洗浄に用いたエタノール中に溶け出し、ポリ
−4−メチルペンテン−1製試験管内面はo-トルイジン
ブルー水溶液では染色されなかった。したがって、試験
管内面に共重合体は被覆されなかった。
実施例17と同様の条件で処理した。このとき共重合体
の架橋物は洗浄に用いたエタノール中に溶け出し、ポリ
−4−メチルペンテン−1製試験管内面はo-トルイジン
ブルー水溶液では染色されなかった。したがって、試験
管内面に共重合体は被覆されなかった。
【0048】比較例5 参考例2で得られた共重合体2をエタノールに5%の濃
度となるように溶解した溶液に、ポリスルホン板を浸漬
し、100℃で24時間加熱した。このとき共重合体の
架橋物は洗浄に用いたエタノール中に溶け出し、ポリス
ルホン板はo-トルイジンブルー水溶液では染色されなか
った。したがって、ポリスルホン板に共重合体は被覆さ
れなかった。これら結果より、共重合体の架橋物が生成
する条件であっても、加熱温度がガラス転移温度未満の
場合には、熱可塑性樹脂基材表面に共重合体が被覆でき
ないことがわかる。
度となるように溶解した溶液に、ポリスルホン板を浸漬
し、100℃で24時間加熱した。このとき共重合体の
架橋物は洗浄に用いたエタノール中に溶け出し、ポリス
ルホン板はo-トルイジンブルー水溶液では染色されなか
った。したがって、ポリスルホン板に共重合体は被覆さ
れなかった。これら結果より、共重合体の架橋物が生成
する条件であっても、加熱温度がガラス転移温度未満の
場合には、熱可塑性樹脂基材表面に共重合体が被覆でき
ないことがわかる。
【0049】実施例18 実施例3で使用した共重合体溶液に、終濃度が0.00
5%になるようにヘキサメチレンジアミンを加えた以外
は、実施例3と同様の条件で処理した。すなわち、参考
例3で得られた共重合体3をエタノールに5%の濃度と
なるように溶解し、さらに終濃度が0.005%になる
ようにヘキサメチレンジアミンを加え、共重合体溶液を
調製した。内径8mmの軟質塩化ビニル樹脂製チューブ
の内側を共重合体溶液で満たし、5分後に溶液を抜きと
り、80℃で24時間加熱した後、蒸留水で洗浄し、共
重合体が被覆されたチューブを得た。この共重合体被覆
チューブの一部を0.01%o-トルイジンブルー水溶液
に5分間浸漬し、水洗後、目視観察したところ、チュー
ブは均一に染色されており共重合体が均一に被覆されて
いることが確認された。また、上記の共重合体被覆チュ
ーブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血
直後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、
18分であった。
5%になるようにヘキサメチレンジアミンを加えた以外
は、実施例3と同様の条件で処理した。すなわち、参考
例3で得られた共重合体3をエタノールに5%の濃度と
なるように溶解し、さらに終濃度が0.005%になる
ようにヘキサメチレンジアミンを加え、共重合体溶液を
調製した。内径8mmの軟質塩化ビニル樹脂製チューブ
の内側を共重合体溶液で満たし、5分後に溶液を抜きと
り、80℃で24時間加熱した後、蒸留水で洗浄し、共
重合体が被覆されたチューブを得た。この共重合体被覆
チューブの一部を0.01%o-トルイジンブルー水溶液
に5分間浸漬し、水洗後、目視観察したところ、チュー
ブは均一に染色されており共重合体が均一に被覆されて
いることが確認された。また、上記の共重合体被覆チュ
ーブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、その中に採血
直後の全血を入れ、凝固するまで時間を測定した結果、
18分であった。
【0050】実施例19 参考例2で得られた共重合体2をエタノールに2%の濃
度になるように溶解し、共重合体溶液を調製した。スチ
レン−オレフィンブロック共重合体(スチレン−イソブ
チレン−スチレンブロック共重合体;クラレ製TSポリ
マー;ガラス転移温度約−60℃)で内径8mmのチュ
ーブを作製し、その内側を共重合体溶液で満たし、5分
後に溶液を抜き取り、120℃で4時間加熱した後、蒸
留水で洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。
この共重合体被覆チューブの一部を0.01%o-トルイ
ジンブルー水溶液に5分間浸漬し、水洗後、目視観察し
たところ、均一に染色されており、共重合体が均一に被
覆されていることが確認された。次に、ヘパリンをその
濃度が2U/mlになるように加えた全血を、共重合体
被覆チューブの中に37℃で30分間満たした後、血液
を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血液接
触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパク質や血小
板はほとんど付着していなかった。また、上記の共重合
体被覆チューブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、そ
の中に採血直後の全血を入れ、凝固するまでの時間を測
定した結果、21分であった。
度になるように溶解し、共重合体溶液を調製した。スチ
レン−オレフィンブロック共重合体(スチレン−イソブ
チレン−スチレンブロック共重合体;クラレ製TSポリ
マー;ガラス転移温度約−60℃)で内径8mmのチュ
ーブを作製し、その内側を共重合体溶液で満たし、5分
後に溶液を抜き取り、120℃で4時間加熱した後、蒸
留水で洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。
この共重合体被覆チューブの一部を0.01%o-トルイ
ジンブルー水溶液に5分間浸漬し、水洗後、目視観察し
たところ、均一に染色されており、共重合体が均一に被
覆されていることが確認された。次に、ヘパリンをその
濃度が2U/mlになるように加えた全血を、共重合体
被覆チューブの中に37℃で30分間満たした後、血液
を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血液接
触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパク質や血小
板はほとんど付着していなかった。また、上記の共重合
体被覆チューブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止め、そ
の中に採血直後の全血を入れ、凝固するまでの時間を測
定した結果、21分であった。
【0051】実施例20 参考例2で得られた共重合体2をエタノールに2%の濃
度になるように溶解し、共重合体溶液を調製した。スチ
レン−イソプレン共重合体(クラレ製ハイブラーHVS
−3;ガラス転移温度約−20℃)で内径8mmのチュ
ーブを作製し、その内側を共重合体溶液で満たし、5分
後に溶液を抜き取り、120℃で4時間加熱した後、蒸
留水で洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。
この共重合体被覆チューブの一部を0.01%o-トルイ
ジンブルー水溶液に5分間浸漬し、水洗後、目視観察し
たところ、均一に染色されており、共重合体が均一に被
覆されていることが確認された。次に、ヘパリンをその
濃度が2U/mlになるように加えた全血を、この共重
合体被覆チューブの中に37℃で30分間満たした後、
血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血
液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパク質や
血小板はほとんど付着していなかった。また、上記の共
重合体被覆チューブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止
め、その中に採血直後の全血を入れ、凝固するまでの時
間を測定した結果、22分であった。
度になるように溶解し、共重合体溶液を調製した。スチ
レン−イソプレン共重合体(クラレ製ハイブラーHVS
−3;ガラス転移温度約−20℃)で内径8mmのチュ
ーブを作製し、その内側を共重合体溶液で満たし、5分
後に溶液を抜き取り、120℃で4時間加熱した後、蒸
留水で洗浄し、共重合体が被覆されたチューブを得た。
この共重合体被覆チューブの一部を0.01%o-トルイ
ジンブルー水溶液に5分間浸漬し、水洗後、目視観察し
たところ、均一に染色されており、共重合体が均一に被
覆されていることが確認された。次に、ヘパリンをその
濃度が2U/mlになるように加えた全血を、この共重
合体被覆チューブの中に37℃で30分間満たした後、
血液を取り出し、グルタルアルデヒドで固定化した。血
液接触面を電子顕微鏡で観察したところ、タンパク質や
血小板はほとんど付着していなかった。また、上記の共
重合体被覆チューブ(長さ8cm)の片端を鉗子で止
め、その中に採血直後の全血を入れ、凝固するまでの時
間を測定した結果、22分であった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、血液適合性を有する共
重合体が容易に脱離せず、血液適合性に優れかつ血液適
合性が長期にわたり安定に保持され、血液と接触しても
血栓が生じにくい医療用高分子材料が提供される。さら
に、本発明によれば、表面に被覆される共重合体と共有
結合可能な官能基が熱可塑性樹脂基材に存在しない場合
においても、該共重合体が熱可塑性樹脂基材に安定に被
覆された医療用高分子材料を容易に製造することがこと
ができる。
重合体が容易に脱離せず、血液適合性に優れかつ血液適
合性が長期にわたり安定に保持され、血液と接触しても
血栓が生じにくい医療用高分子材料が提供される。さら
に、本発明によれば、表面に被覆される共重合体と共有
結合可能な官能基が熱可塑性樹脂基材に存在しない場合
においても、該共重合体が熱可塑性樹脂基材に安定に被
覆された医療用高分子材料を容易に製造することがこと
ができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 ホスホリルコリン基を有するビニル単量
体単位を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を
有するビニル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性
ビニル単量体単位を5〜90モル%含有する共重合体が
熱可塑性樹脂基材表面に被覆されている医療用高分子材
料において、該共重合体と熱可塑性樹脂基材とが非共有
結合により結合し、かつ該共重合体間が共有結合架橋し
ていることを特徴とする医療用高分子材料。 - 【請求項2】 官能基を有するビニル単量体単位がエポ
キシ基を有するビニル単量体単位である請求項1記載の
医療用高分子材料。 - 【請求項3】 疎水性ビニル単量体単位がアルキル基の
炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
単位である請求項1または請求項2記載の医療用高分子
材料。 - 【請求項4】 ホスホリルコリン基を有するビニル単量
体単位を5〜90モル%;エポキシ基、イソシアネート
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基およびメルカプ
ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を
有するビニル単量体単位を0.1〜50モル%;疎水性
ビニル単量体単位を5〜90モル%含有する共重合体を
熱可塑性樹脂基材表面に被覆した後、必要に応じて架橋
剤の存在下に、該熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度以
上の温度に加熱することを特徴とする医療用高分子材料
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8236238A JPH09131397A (ja) | 1995-09-08 | 1996-09-06 | 医療用高分子材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-231418 | 1995-09-08 | ||
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6769871B2 (en) | 2001-08-13 | 2004-08-03 | Sun Medical Technology Research Corporation | Blood pump and ventricular assist device |
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JP2009532149A (ja) * | 2006-04-06 | 2009-09-10 | フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 医療用チューブ |
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WO2017094266A1 (en) * | 2015-12-02 | 2017-06-08 | Mitsubishi Chemical Holdings Corporation | Composite material and method for improving damping property thereof |
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-
1996
- 1996-09-06 JP JP8236238A patent/JPH09131397A/ja active Pending
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US12116557B2 (en) | 2017-12-27 | 2024-10-15 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Scaffolding material for stem cell cultures and stem cell culture method using same |
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