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JPH0897141A - 多結晶半導体層の形成方法、多結晶半導体tft、及びビームアニール装置 - Google Patents

多結晶半導体層の形成方法、多結晶半導体tft、及びビームアニール装置

Info

Publication number
JPH0897141A
JPH0897141A JP22842994A JP22842994A JPH0897141A JP H0897141 A JPH0897141 A JP H0897141A JP 22842994 A JP22842994 A JP 22842994A JP 22842994 A JP22842994 A JP 22842994A JP H0897141 A JPH0897141 A JP H0897141A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
beam spot
semiconductor thin
scanning
semiconductor layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22842994A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Masushige
邦雄 増茂
Masaya Keyakida
昌也 欅田
Yoshiharu Oi
好晴 大井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AG Technology Co Ltd
Original Assignee
AG Technology Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AG Technology Co Ltd filed Critical AG Technology Co Ltd
Priority to JP22842994A priority Critical patent/JPH0897141A/ja
Publication of JPH0897141A publication Critical patent/JPH0897141A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Recrystallisation Techniques (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】高特性の多結晶半導体層を得る。 【構成】連続発振Arイオンレーザ光の収束レーザビー
ム60Cを1000nmの膜厚、炭素含有度(原子密
度)を5×1018cm以下とした非晶質シリコン薄膜に
照射し、その照射面におけるビームスポットの滞留時間
60を3〜5μsとし、さらにビームスポットの走査方
向の長さ1を50〜100μmとしたことを特徴とする
多結晶半導体薄膜の形成方法。 【効果】高速ビームアニール法において、電気的特性と
しては少なくとも25cm2 /V・sec以上の高移動
度が得られ、また均一な多結晶半導体層のストライプが
得られTFTによって駆動される大型の液晶表示装置を
容易に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクティブマトリクス
表示素子等に用いられる薄膜トランジスタ(以下、TF
Tと呼ぶ)の半導体チャネルに用いる多結晶半導体層の
形成方法に関する。特に、高速ビームアニール法による
多結晶半導体層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より多結晶半導体層の形成工程にビ
ームアニール技術が用いられている。しかし、そのほと
んどは半導体薄膜の溶融再結晶(例えば特開昭62−2
03816号公報参照)あるいは実質的には熱処理であ
る。この場合には、ビーム照射により誘起される熱現象
は、被照射体上でのビームスポットの走査速度にあまり
依存しない。
【0003】また、被照射体である非晶質半導体薄膜を
巨視的にはほとんど温度上昇させず、かつ溶融せずに多
結晶化せしめる方法がある。原理的には非晶質半導体薄
膜に特有な光誘起構造変化及び固相での結晶化及びこの
際の結晶化熱の発生などの現象によって多結晶化が起こ
る。溶融再結晶に対して爆発的結晶化法(エクスプロー
シブ クリスタリゼーション)、あるいは固相転移によ
る再結晶化法などとも呼ばれている。
【0004】さらに、高エネルギーのビームスポットを
高速走査して、被照射体である非晶質半導体薄膜を短時
間で効率よく、ほぼ均一に多結晶化せしめる方法があ
る。これが高速ビームアニール法(以下、HSBAと呼
ぶ)である。実質的にほぼ室温付近で非晶質半導体薄膜
を多結晶化せしめることができる。例えば、10〜50
0nmの膜厚の水素化アモルファスシリコン膜を多結晶
シリコン化し、TFTの能動層などに用いることができ
る。
【0005】HSBAにおいては用いるレーザ光源やレ
ーザ光の通過する光学系に由来するビームスポットのエ
ネルギー分布安定性、及びビームスポットの走査精度、
ビームアニール装置の機械的精度など等、種々のパラメ
ータが存在する。照射面における線走査速度としては他
の条件との関係もあるがおよそ1〜40m/s程度の範
囲で可能である。なお、1m/sを下回るような線走査
速度(数10cm/sのオーダー)は境界領域となる
が、実質的にはほぼ溶融再結晶によるアニールモードと
同等になると考えられる。
【0006】多結晶化プロセスを達成するHSBAで
は、その主たる要素としてビームスポットの走査速度V
[m/s]とレーザ光源のレーザ出力P[W]とがあ
る。走査速度Vを横軸に、レーザ出力Pを縦軸にすると
二本のほぼ直線に囲まれた領域が存在する。これが上述
したような爆発的結晶化法によって多結晶化が行われる
特殊な領域である。これを図15に模式的に示す。レー
ザ出力が不足しているか、走査速度Vが高すぎる場合に
は、好ましい多結晶化の現象が起こらない。この爆発的
結晶化法による多結晶化のプロセスは極めて短い時間に
非晶質物質が結晶化温度に達して行われるものである。
【0007】図15に示すように非晶質半導体薄膜にレ
ーザビームを照射し、レーザ出力Pを上げるか走査速度
Vを低くすると何も起こらない第1の境界201を越
え、固相転移による多結晶化が起こり(爆発的結晶化)
多結晶半導体が形成される。さらに、レーザ出力を上げ
ると第2の境界202を越えて半導体薄膜の溶融現象が
起きたり、半導体薄膜の荒れが起こる。第1の境界20
1と第2の境界202との間を多結晶化領域200と呼
ぶ。従来のHSBAにおいて、線走査速度として例えば
11〜20m/sの範囲が用いられている。
【0008】従来例1として特開昭62−104117
号公報を説明する。この従来例1に記載された発明では
膜厚10〜400nmの非晶質シリコン薄膜を1.2〜
40m/sの線走査速度でガラス基板上のアモルファス
シリコン薄膜の多結晶化を良好に行うことができると記
載している。
【0009】また、従来例2として特開平4−2260
39号、従来例3として特開平4−226040号公報
を説明する。これらの従来例に記載された発明では、ビ
ームスポット径=50μmとし、13m/sの線走査速
度で、ガラス基板上の膜厚100、又は200nmの非
晶質シリコン薄膜に対して多結晶化を室温付近で良好に
行うことができるとしている。この際のレーザ出力とし
ては、6W、8W、10Wが用いられている。
【0010】また、従来例4として特開平6−1634
01号、従来例5として特開平6−97073号公報を
説明する。これらの従来例に記載された発明では、ビー
ムスポット径=50μmとし、膜厚100nmの非晶質
シリコン薄膜に対して11m/s、又は13m/sの線
走査速度でHSBAを行っている。この際のレーザ出力
としては、8W、10W、13Wが用いられている。ま
た、全体の工程をほぼ450℃以内で処理することが可
能であると記載している。
【0011】また、参考例1として特願平5−2083
95号を説明する。この参考例1に記載されたビームア
ニール装置の発明において、レーザビームを光学系のレ
ンズで絞ることで、走査方向におけるビームスポットの
走査方向長と、その直交方向におけるビームスポット幅
との比率を可変できるように設けられている。例えば、
走査方向の長さを70μm、直交する幅方向の長さを9
0μmとした楕円形状にする。そして、およそ走査方向
の長さが70〜130μm程度のビームスポットをビー
ムスポットの走査方向長×100000/秒以上の線走
査速度(例えば、13〜22m/s)で高速に走査する
ことにより高い生産性を実現できるとしている。
【0012】上記の従来例1〜5及び参考例1における
ビームスポット径は、レーザ技術で一般に用いられてい
るS13.5を示している。このS13.5はレーザ光のピーク
光強度の1/e2 ≒13.5%となる径のことである。
一般にレーザビームのビームスポットはその断面が円形
又は楕円形状を有している。ここで述べるレーザビーム
の径とは照射方向に対する所定の垂直断面における一方
の端から端までの長さである。実際にはビームスポット
の形状は崩れたり、変形し得るがその場合は実効的な長
さであればよい。
【0013】このHSBAにおいては、その線走査速度
の値によって多結晶化された帯状の多結晶半導体層層の
平面形状や表面凹凸の様相がかなり変化することがあ
る。そのため、大画面かつ高精細の画像表示装置用の高
性能のTFTを安定して製造するためには走査速度を精
密に制御することが求められる。上記の参考例1では、
ビームスポット径×100000/秒以上の速度で走査
することにより比較的良好な多結晶半導体層層を生産性
よく得ることができた。そして、一定の性能を有する液
晶表示素子のTFTに形成して用いることができた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】近年、アクティブマト
リクス液晶表示素子などが広く普及し、さらに大画面
化、高精細化、高密度表示化、及び良好な視認性など、
高度の性能仕様がさらに求められるようになってきた。
そして、それとともにTFTに求められる特性基準は厳
しくなり、その均一性もより高いものが求められるよう
になった。従来のHSBAにおいても一定の水準の電気
的特性を得ることができたが、依然として若干の特性ば
らつきが存在していた。このばらつきの大部分はTFT
の多結晶半導体チャネルに起因する。
【0015】つまり、TFTではビームアニールによっ
て形成された多結晶半導体層がトランジスタの動作電流
を制御する領域となっている。そのため多結晶半導体層
の膜質や移動度などがTFTの電気的特性に直接に影響
することになる。その現象について考察したところ多結
晶半導体層のビームアニール走査方向と直角方向にTF
T特性の分布があることがわかった。
【0016】非晶質半導体薄膜を従来のHSBAで多結
晶化せしめた場合における欠陥発生の一例を図10
(a)に示す。Lが走査方向でDが直交する幅方向であ
る。ビームアニールで得られた帯状の多結晶半導体層を
本発明ではストライプと呼ぶ。その膜質を調べるため
に、ヒドラジン水溶液による表面エッチング処理を行
い、その後ストライプ10の表面を光学顕微鏡で観察し
たところ同図に示すように、TFTを形成しようとする
多結晶半導体層の面内の一部に縞状の欠陥(縞状模様1
1A)が生じていることがあった。この欠陥は表面エッ
チング処理前では観察できなかった。
【0017】また、電気的特性を調べてみると、形成さ
れたストライプ10のビームアニール走査方向と垂直な
ストライプの幅方向DにTFT特性の分布があることが
判明した。
【0018】このようなストライプ10を用いて形成し
たNチャネルTFTにおいて、その幅方向Dにおける移
動度の分布特性の一例を図4に示す。PチャネルTFT
でもNチャネルに比較すると相対的に移動度の値は低い
が同様の傾向を示す。図4の移動度の分布30は、およ
そ10〜30[cm2 /V・sec]の間で大きく変化
している。
【0019】このように移動度が変化するとそれに応じ
てTFTの特性も大きく変動してしまう。そして、TF
Tによって駆動される画素の表示品位に大きく影響す
る。これに対して、一定の均一なTFT特性を有してい
れば、仕様上求められる画素数や表示性能にもよるが駆
動回路一体型のアクティブマトリクス表示素子を構成す
ることができるようになる。
【0020】つまり、移動度が少なくとも25[cm2
/V・sec]以上かつ、ほぼ均一であれば、液晶表示
装置などにおいて周辺駆動回路などを小さい回路面積の
中で同一基板上に画素領域と一体に形成して設けること
が可能となる。表1に各種の多結晶シリコンの形成方法
で得られる移動度の値を示す。なお、溶融再結晶及びそ
れに準ずるような条件で行ったビームアニールでは高温
処理での多結晶シリコンとほぼ同等の高い移動度が得ら
れることが知られている。
【0021】
【表1】
【0022】さらに、一般的なTFTの構造について説
明する。TFTの断面構造図の一例を図14に示す。こ
こで、ガラス基板101、Crなどを用いた遮光膜10
2、SiO2 の絶縁膜103、多結晶シリコン半導体層
を用いた半導体チャネル110C、ドレイン領域110
D、ソース領域110S、ゲート絶縁膜113、ゲート
電極114、ドレイン電極112、ITOなどの透明画
素電極120、ソース電極111、表面絶縁膜115b
などから構成されている。
【0023】以上のようなトップゲート型のTFT構造
を有している。なお、本発明のHSBAによる多結晶半
導体の形成方法ではTFTの下部構造に遮光膜102が
設けられていても可能である。その場合には、遮光膜1
02に対して位置合わせを行った上でビームアニールを
行う。次に、TFTが画素を駆動する際の駆動能力を実
質的に決める大きな要素である移動度について説明す
る。一般的に、TFTの移動度は次の式(1)、(2)
によって示される。
【0024】
【数1】 VD <<VG −VT ……………………………………………………(1) ID =(WT /LT )・μFE ・COX・VD ・(VG −VT ) ……(2)
【0025】この式(1)、(2)で、本発明における
移動度を算出している。ここで、WT /LT =4/25
(μm/μm)、COX=3.0×10-4[F/m2 ]と
した。そしてVD =0.2[V]、VG =10〜15
[V]の傾きから移動度μFEを算出した。また、実際に
形成したTFTはリーク電流低減のためにオフセットゲ
ート構造をとっているために、オン電流は式(1)、
(2)で表される値よりも低くなり、移動度μTFT の値
は低めに算出されるが、その効果の比較的小さいチャネ
ル長LT の大きなTFTを用いて評価した。
【0026】以上、説明したように高性能のTFTを得
るために効率よく良好な多結晶半導体層を得る形成方法
が望まれていた。また、より安定してHSBAを行うた
めにはビームアニール装置の光学系の配置、及び調整の
高精度化とHSBA時におけるビームスポットのエネル
ギー分布の精密計測手段が求められていた。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した問題
点を解決するものであり、すなわち、連続発振レーザ光
のビームスポットを、シリコンを主成分とする非晶質半
導体薄膜に走査しながら照射し、ビームアニールによっ
て非晶質半導体薄膜の多結晶化を行う多結晶半導体層の
形成方法であって、非晶質半導体薄膜の膜厚を50〜2
50nmとし、非晶質半導体薄膜の炭素含有度(密度)
を5×1018cm-3以下とし、ビームスポットを照射す
る非晶質半導体薄膜上で、ピーク光強度の60%以上の
光強度を有するビームスポットS60の走査方向における
滞留時間T60を3〜5μsとすることを特徴とする多結
晶半導体層の形成方法を提供する。これを本願の第1の
発明と呼ぶ。
【0028】本発明において、滞留時間とはビームスポ
ットの走査方向において照射が行われる時間を意味す
る。つまり、実質的には走査方向におけるスポットサイ
ズの長さBSL に等しい長さを走査によって通過するの
に要する時間となる。ビームスポットが不規則な形状を
有している場合には、その走査方向において実効的に寄
与する最大長をもってビームスポットの長さBSL とす
る。
【0029】通常のレーザ光源を用いた場合、そのビー
ムスポットは円形もしくは楕円形状となる。その場合、
直径又は長径で表すことができる。あるいは、光学プリ
ズムやスリットなどを用いて積極的に照射面におけるビ
ームスポットを制御する場合、その実効的な面積又は形
状は所望の大きさそのものとなる。
【0030】ただし、スリットの開口部が狭い場合に
は、回折が起こって照射されるビームスポットの形状が
乱れることがある。そのため本発明においてはスリット
を用いずに、主に光学系(ビームエキスパンダと収束レ
ンズ及びこれらと同等の機能を有する光学的手段)を用
いてビームスポットを制御する。
【0031】なお、上記の第1の発明において、HSB
Aを行う際の環境温度はほぼ室温である。さらに、非晶
質薄膜を加熱することが考えられるがその場合はそれに
応じて条件を適合せしめればよい。ただし、基本的に本
発明はビームスポットのエネルギーのみで多結晶化を行
うことができる。例えば、非晶質半導体(基板全体)を
100℃程度に熱すると周囲の大気が熱せられてビーム
スポットの光路が揺らぐのでかえってマイナス要因をも
たらすことになる。また、真空中や不活性ガス中でビー
ムアニールを行うことも可能であるが、実用的には大気
中かつ室温付近で行うことが好ましい。
【0032】また、上記の第1の発明において非晶質半
導体薄膜は一定の厚さであることが必要であるが、20
0nm以内とすると膜の厚み方向により均質な多結晶半
導体層が得られやすい。さらに、膜厚を75〜150n
mとすると非晶質半導体薄膜をより安定して形成するこ
とができる。
【0033】また、上記の第1の発明において、用いる
非晶質半導体薄膜が微結晶を含有しないことを特徴とす
る多結晶半導体層の形成方法を提供する。ここで、微結
晶を含有しないとは非晶質半導体中に、部分的にも結晶
性の領域がほとんど存在していないことを意味する。本
発明においては、用いる非晶質半導体薄膜が微結晶をほ
とんど含まないことがより好ましい。
【0034】半導体薄膜の結晶性はラマン散乱分光又は
X線回折分析によって測定することが可能である。これ
らの測定によって、結晶性を示すピークがないことが好
ましい。言い換えれば、ビームアニールの対象物である
非晶質半導体薄膜の非晶質構造の乱れが少なくほぼ均一
な非晶質性を有していることが良好な多結晶化をもたら
す。これを本願の第2の発明と呼ぶ。
【0035】図17に結晶性についてX線回折パターン
の測定結果の一例を示す。横軸が回折角度2θ、縦軸が
カウント数である。非晶質半導体薄膜中に微結晶が含ま
れていると面指数3.1357などのシリコン特有の結
晶性ピークが現れる。微結晶の大きさや分布の程度によ
って、結晶性ピーク位置やその半値幅が変わるが微結晶
の有無は確実に検証することができる。本発明において
は、ピークのない単調な変化を示す曲線301の非晶質
半導体薄膜からより高品質の多結晶半導体層を得ること
ができる。
【0036】また、本願の上記の第1の発明又は第2の
発明によって形成された多結晶半導体層は水素含有量が
多く、およそ0.3atom%以上である。これに対し
て、高温多結晶シリコンでは水素化処理後でもおよそ
0.1atom%以下となる。言い換えれば本発明で
は、一定の水素含有量を有する多結晶シリコンを能動層
に用いた多結晶半導体TFTを提供する。表2にプロセ
ス毎の水素含有量のデータを示す。なお、得られる膜質
は表2のA、BよりCが若干好ましい。プロセスの温度
履歴の点からはAが好ましい。
【0037】
【表2】
【0038】また、上記の第1又は第2の本発明におい
て、ビームスポットS60の走査方向における長さBSL
を50〜100μmとすることを特徴とする多結晶半導
体層の形成方法を提供する。通常のレーザ光源を用い
て、高い制御性とエネルギー効率で多結晶化を実現する
ことができる。これを本願の第3の発明と呼ぶ。
【0039】また、上記の第1〜第3の発明において、
用いるビームスポットS60のエネルギー分布が楕円形状
であって、走査方向に短径を有していることを特徴とす
る多結晶半導体層の形成方法を提供する。これを本願の
第4の発明と呼ぶ。
【0040】つまり、これはビームスポットの照射面に
おける形状を楕円とすることを特徴としている。また、
この第4の発明において楕円のアスペクト比Z(長径X
対短径Yの比、Z=X/Y)を1.1〜2の範囲とする
ことが好ましい。得られる多結晶半導体層のストライプ
の幅とレーザ光のエネルギー(レーザ出力)とを実用上
好ましい範囲で調整し得る。本発明はほぼ円形のビーム
スポットを用いることもできるが走査速度の範囲とビー
ムスポット形状の調整を合わせて行うことがさらに実際
の量産時での実用性を飛躍的に高めることになる。
【0041】この場合、実用的には走査方向に垂直な幅
方向Dでの長さBSD を30〜200μmとする。あく
までも得ようとする多結晶半導体相のストライプの幅と
の関係から一定の範囲にあることが好ましい。このよう
な場合、ピーク光強度の60%以上となるスポット面積
は2350〜5500μm2 とすることが好ましい。以
上、説明したようにビームスポットの形状を精密に制御
して多結晶半導体層の形成を行い得る発明を本願の第5
の発明と呼ぶ。
【0042】また、上記の第1〜5のいずれか一つの発
明(多結晶半導体層の形成方法)によって形成した多結
晶半導体層を用いてTFTの半導体チャネルを形成した
ことを特徴とする多結晶半導体TFTを提供する。これ
を本願の第6の発明と呼ぶ。全工程をほぼ500℃以
下、さらに好ましくは450℃以下とした低温プロセス
による多結晶半導体TFTアレー基板の製造を行うこと
ができる。このようにして、軟化点が低い安価な低膨張
性のガラス基板(例えば、コーニング7059など)を
用いた高スループットの生産が可能となる。
【0043】また、連続発振レーザ光源から発したレー
ザ光が走査手段と収束手段とを備えた光学系に導かれ、
光学系を通過せしめられ、レーザ光のビームスポットが
半導体薄膜に走査しながら照射せしめられ、半導体薄膜
のビームアニールによる結晶性の改良が行われるビーム
アニール装置であって、走査手段として走査ミラーが用
いられ、該走査ミラーのレーザ光の反射率が入射角度=
45°±10°の範囲で99%以上とされ、レーザ光の
半導体薄膜への入射角度を1°以上とし半導体薄膜に斜
めにレーザ光を照射するように設けてなることを特徴と
するビームアニール装置を提供する。これを本願の第6
の発明と呼ぶ。
【0044】また、上記の第6の発明において、半導体
薄膜がシリコンを主成分とする非晶質半導体薄膜であっ
て、10m/s以上の線走査速度でビームスポットが非
晶質半導体薄膜上に照射され、非晶質半導体薄膜がビー
ムアニールによって多結晶半導体層が形成されることを
特徴とするビームアニール装置を提供する。これを本願
の第7の発明と呼ぶ。
【0045】また、連続発振レーザ光源から発したレー
ザ光が走査手段と収束手段とを備えた光学系に導かれ、
光学系を通過せしめられ、レーザ光のビームスポットが
半導体薄膜に走査しながら照射せしめられ、半導体薄膜
のビームアニールによる結晶性の改良が行われるビーム
アニール装置であって、さらに、ビームスポットのエネ
ルギー分布測定手段とレーザ光の減衰手段とが少なくと
も備えられ、レーザ光の光路中であって半導体薄膜の近
傍に減衰手段が配置され、レーザ光は減衰手段を通過し
てから前記エネルギー分布測定手段に入射せしめられ、
ビームスポットのエネルギー分布測定が行われ得ること
を特徴とするビームアニール装置を提供する。これを本
願の第8の発明と呼ぶ。
【0046】図11に本発明のビームアニール装置の全
体構成を示す。レーザ光源50、ビームエキスパンダ5
1、走査ミラー53、f・θレンズ55(収束レンズ又
は集光レンズとして用いる)、走査ミラー駆動機構(ガ
ルバノスキャナ)52、レーザビーム遮光機構54、透
明性基板71、ビームスポット形状測定器70、走査ス
テージ80などが設けられている。
【0047】レーザ光源から出射されたレーザ光60A
は、ビームエキスパンダ51によってその断面形状(進
行方向に対する垂直断面におけるエネルギー分布形状)
が所望の形状に変形せしめられる。例えば、ビームエキ
スパンダによって2mm×4mmのほぼ楕円形状にせし
められ、さらにf・θレンズ55で140μm×100
μmに収束されて対象物に照射される。
【0048】楕円形状を有するビームスポットのアスペ
クト比はこのビームエキスパンダで調整することができ
る。さらに、走査ミラー53で反射され、かつその反射
角度を振ることで走査ステージ80上の被照射物を走査
する。本発明で用いる走査ミラーは、レーザ光に対する
反射性能が良好であることが必要となる。
【0049】また、同時に高エネルギーのレーザ光に耐
えなければならない。通常のアルミニウム金属ミラーで
は反射率が低いうえに、損失分が吸収されるために一定
の時間使用し続けると走査ミラーの温度が上昇してしま
い反射面の熱変形が起こり得る。これに対して誘電体多
層膜を用いた走査ミラーでは温度上昇がほとんど起こら
ない。反射されないレーザ光が走査ミラーの基体(石英
板)を透過するからである。また、高い反射能を得るた
めに、走査ミラーへの入射角度はおよそ45°±10°
とすることが好ましい。また、面精度としてはおよそλ
/4とほぼ同等、又はそれ以上の面精度のものが好まし
い。
【0050】透明性基板71はビームスポットの測定時
にレーザ光の光路に挿入され、レーザ光の一部をビーム
スポット形状測定器70に入射して精度よく計測するよ
うに配置している。また、非晶質半導体薄膜に対してH
SBAを行っている状態を図12に示す。非晶質半導体
薄膜を多結晶化せしめている様子を示す。なお、本発明
において線走査速度とは平面上を一方向に走査する際の
速度である。次に、本発明の各構成要素の全体的な関係
について説明する。
【0051】本発明において用いるエネルギー源、つま
りレーザ光のビームスポットの総エネルギーはレーザ光
源の出力値でありおよそ5〜25Wである。光学系によ
る損失は少ない(90%以上の透過率)のでビームスポ
ットの総エネルギーとしてはレーザ光源のレーザ出力
[W]を用いて算出することができる。勿論、このレー
ザ出力は非晶質半導体に到達するまでの損失を一定とし
た場合である。レーザ出力が低いとそれに応じて線走査
速度を下げなければならないので実効的にはおよそ7W
以上のレーザ光源を用いる。
【0052】次に図を参照しながら説明する。図16に
本発明によって非晶質半導体を多結晶化を行う際のビー
ムアニールの条件域203を示す。基本的には図15に
示したHSBAによるビームアニールの条件域である多
結晶化領域200を満足する。その多結晶化領域200
の中で、被照射物である非晶質半導体薄膜の膜厚や膜質
と関係したいくつかのパラメータ及び所定の滞留時間を
満足することで、本発明の条件域203が存在する。
【0053】図16の縦軸が照射面におけるビームスポ
ットのピーク光強度PX [mW/μm2 ]である。レー
ザ光のピーク光強度の60%以上の光強度で照射される
領域の滞留時間をT60とすると、この条件域203を規
定する次の式(3)〜(5)が成り立つ。
【0054】
【数2】 PX ≧1.5−0.1・T60 ………………(3) PX ≦2.3−0.1・T60 ………………(4) 3μs≦T60≦5μs ………………(5)
【0055】この式(3)〜(5)において、横軸とし
たT60が最も重要なパラメータである。T60が5μsよ
り長い場合は、形成された多結晶半導体層膜の表面には
光学顕微鏡観察によっても認識できるような結晶性の分
布が生ずる。また、得られた多結晶半導体層をラマン散
乱分光法による結晶性評価で対比を行った。
【0056】すると、照射時間が短いものや長いものよ
りも所定のT60で形成した場合のストライプの結晶性が
よいことがわかった。また、T60が3μsより小さいと
十分な多結晶半導体層が得られにくくなる。非晶質半導
体薄膜に投入されるエネルギー量の適正値は3μsのと
きは5μsのときのおよそ70%となる。これは主に拡
散で失われる熱量の差と思われる。
【0057】例えば、T60が5μsより大きいと多結晶
半導体層のストライプに三日月状の模様が見られるよう
になる。これを図10(b)の符号11Bで示す。この
三日月状模様11Bが形成しようとするTFTの半導体
構造(例えば、半導体チャネル寸法)の中に含まれてし
まうとその電気的特性に影響がでてしまう。また、ラマ
ン散乱分光測定でも結晶性に変化が生じることがわかっ
た。
【0058】そして、T60が3〜5μsとなる条件域2
03を満足したHSBAによって多結晶化処理を行うと
TFTの移動度のばらつき分布が小さくなる。つまり、
多結晶半導体層から形成したTFTの特性が向上するこ
とが明らかになった。さらに、T60が3.7μs以上で
は得られる移動度がほぼ平坦な特性を示す。また、T60
が4.6μs以下で得られる膜質(結晶性)がより安定
する。
【0059】図12に非晶質半導体薄膜にHSBAを行
っている状態を示す。また、図14に多結晶半導体層の
ストライプを用いて形成したTFTの一部断面図を示
す。さらに、図2と図3にストライプの幅方向Dにおけ
る移動度の分布特性を示す。通常、移動度はその数値が
高い程好ましく、高い駆動能力のトランジスタが得られ
ることが知られている。
【0060】本発明では、T60を主要なパラメータとし
て用いている。一般にレーザビームの径はピーク光強度
の1/e2 (13.5%)となるスポットサイズ(S
13.5)で表されていた。しかし、HSBAにおいては、
従来一般に用いられていたこのS13.5は照射条件を決定
するパラメータとしては不適であることがわかった。以
下にビームスポットについての説明を行う。
【0061】HSBAを行うビームアニール装置におい
てビームスポットのエネルギー分布は必ずしも理想的な
ガウス分布になるとは限らない。レーザビームの出力値
が高い場合や光学系の調整が困難であるためにその傾向
が高くなる。図7、8にこの様子を示す。符号8はエネ
ルギー値が1/e2 となるレベルでのスポットサイズ、
つまりS13.5を示す。また、符号7はピーク光強度の6
0%レベルでのビームスポットサイズを示す。これをS
60とする。
【0062】例えば図8に示すように、ビームスポット
は裾を広くひいたような裾引形状6Cになることがしば
しばある。また非対称形状6Bとなることもある。図7
に示すようなガウス分布に近い理想的エネルギー分布の
ものの場合(ガウス形状6Aと呼ぶ)に比べてピーク光
強度の60%以上の強度となる径はほとんど等しくな
る。しかし、従来の測定方法におけるS13.5は大きい値
を示すことになってしまう。
【0063】従来のS13.5で定めたビームスポットで考
えると図8の場合は図7の場合よりビームのエネルギー
分布が幅太であって、そのビームスポットS13.5が大き
くなる。そのため、S13.5の値を基準として実効的な照
射時間を等しくするためには走査速度を上げる必要があ
ると考えられていた。
【0064】つまり、太いビームスポット(言い換えれ
ば、走査方向に長い場合)を用いる場合にはより早い速
度でアニールを行うように設定が行われていた。しか
し、ビームアニール後の多結晶半導体層を調べると、走
査速度を上げても照射時間が短すぎる場合とほぼ同じ結
果となり、好ましい走査速度は図7の場合とほぼ同じで
あることがわかった。以上のように、ビームスポットの
定量的な制御が必要であることがわかった。
【0065】ただし、実効的に寄与する高エネルギーの
領域が重要であって、非対称のエネルー分布を有するビ
ームスポットであっても本発明の多結晶半導体層の形成
を行うことができる。次に、ビームスポットの形状、つ
まりレーザビームのエネルギー分布の計測方法について
説明する。
【0066】従来、入手し得る一般的な測定器としては
ビームスポット径100μm程度を対象とするクラスの
ものでは4Wが限界であった。そのため、高出力(数W
以上)のレーザ光源から出射され細く収束せしめられた
高エネルギーのビームスポットを直接測定することは困
難であった。エネルギー密度が極めて高く、精密な測定
器で直接精度よく測定することが難しいためである。ま
た、高速でビームスポットを走査する場合、その瞬時の
状態に等しいように測定を行わなければならない。
【0067】上述した従来例2でも、レーザ出力として
6〜10W程度が用いられていた。しかし、そのエネル
ギー範囲ではビームスポットの直接測定が困難であっ
た。そのため、ビームアニールの開始前にレーザ光源の
出力を低出力に絞って、ビームスポットの測定が可能な
4W程度に落とし、その測定が行われていた。しかし、
この場合には実際のHSBA時にはレーザ出力が全く異
なり、また比例則を単純に適用することができなかっ
た。
【0068】レーザ出力が異なるとそのビームスポット
形状も相当に変化していくことになる。あるいは、フィ
ルタを用いて減光せしめるとフィルタそのものが加熱し
てしまい正常な測定結果を得ることができなかった。さ
らに、フィルタそのものが焼損してしまうこともあっ
た。
【0069】つまり、高エネルギーを有するビームスポ
ットを用いる実際のHSBAでの状態に等しくビームス
ポットのエネルギー分布の測定を行わなければならな
い。測定のためにレーザ光の走査を止めて、固定して測
定を行うとf・θレンズのレーザ光通過部分が相当昇温
してしまい、それによってビームのエネルギー分布が変
化してしまう。実際のHSBA時には集光レンズの位置
を通過するのは一瞬であり、極めて長時間連続してビー
ムアニールを行わない限り、一定の定常状態にある。そ
こで本発明では、以下のようにビームスポットの測定を
行う。
【0070】ビームアニール装置の光学系を通過した後
の照射面に近い位置に、ビームスポットの一部を透明性
基板の反射を用いて分岐して計測する。例えば、周囲媒
質(空気)と透明性基板との相対的な屈折率差を利用し
て反射せしめる。このようにしてレーザ光の一部をビー
ム測定系に分岐して取り出して、その際のエネルギーを
1/30〜1/20とする。透明性基板には例えば、レ
ーザ光に耐え得る石英基板を用いる。また、その表面に
は光学的なコーティングを施さずに用いる。ここで、透
明性平面基板、測定器を測定ユニットと呼ぶ。
【0071】また、レーザビームが光学系を連続して通
過することによる温度上昇を避けて、レーザービームを
通過せしめた最初の値(瞬時値)を用いて測定し、光学
系を調整する。待期状態から走査ミラーの動作と測定器
での測定のタイミングを合わせて、レーザ光を走査して
測定器に入射されたその瞬時に測定を行うようにする。
図13にレーザビームの走査レンズを通過する経過時間
に伴ったビームスポット径の変化を示す。時間が経過す
るに従って、ビームスポットが大きくなっていくことが
わかる。数十秒でビームスポットの大きさが安定する。
このとき、集光レンズのレーザビームの通過位置は約7
℃上昇してしまうことがわかった。
【0072】実際のビームアニール時には集光レンズを
レーザビームが通過するのは一瞬だけであり、昇温して
安定した状態は実際の加工時とは異なる。したがって、
最初の値を用いて調整することが必要となる。レーザ光
源から集光レンズまでの間の光学系は常時ビームが照射
されて安定した状態で用いられるので走査ミラーと集光
レンズとの間に遮光機構を設けることで集光レンズの昇
温を防ぐ。又は、走査ミラー自体の動作によって集光レ
ンズの昇温を防ぐようにすることができる。集光レンズ
がほぼ室温に保たれている待機状態からレーザビームを
通過させて即時に測定を行うようにする。
【0073】石英板を用いた場合、その反射率はおよそ
4%となる。さらに、二段階以上反射を繰り返すことで
より高エネルギーのレーザ光の測定を行うことができ
る。また、この透明性基板には反射率を調節する等の目
的で誘電体多層膜などを形成しない方がむしろ好まし
い。本発明における高エネルギーのレーザビームの精密
測定では、そのような光学膜のごくわずかな光吸収でも
局所的な温度上昇や温度分布が起こり、それによって反
射率の変化・分布が生じてしまう。
【0074】そして測定結果に大きなずれが生ずること
になる。よって、用いる透明性基板の表面の面精度は集
光に影響のないように十分に良好な平面であることが必
要となる。
【0075】但し、通常入手し得るλ/4程度の面精度
で十分である。また、透明性基板の厚みを十分に設け
て、表面と裏面との角度差を設けるなどして、裏面から
の反射光が測定に影響を与えないよう配慮する。一つの
反射面からの分岐光で測定するようにする。また、透明
性基板を通過した高エネルギーのレーザビームが走査ス
テージ上の試料台に当たって試料台などを損傷しないよ
うに途中に散乱板を配置することが好ましい。
【0076】このようにして、所望のビームスポット形
状になるようにレーザ出力やレンズ光学系、走査ミラー
などを調節する。また、実際にHSBAを行う場合に
は、収束されたレーザビームを非晶質半導体薄膜に対し
て斜めに入射するようにする。これは、垂直入射せしめ
た場合、照射した非晶質半導体薄膜から垂直反射してビ
ームニアール装置のレーザ光学系に戻る反射戻り光が存
在するからである。およそ、1°以上の入射角度を持つ
ように設定する。図12の符号90に入射角度θを示
す。例えば、300mmの長さの走査ステージの両端で
およそ5mm程度の高低差となる。
【0077】さらに、この入射角度を40〜50°と大
きくして、ビームスポットの楕円率の調整を基板面の傾
きで行うこともできる。なお、収束されたビームスポッ
トの焦点深度はおよそ1〜2mmあるのでビームスポッ
トのサイズに比べて十分大きく、基板面の傾きは多結晶
化にほとんど影響はないと考えられる。
【0078】以上のようにして、ビームスポットのエネ
ルギー分布を50〜90%の間の値で管理する。好まし
くは60%を指標値として用いてS60及びT60を管理す
る。エネルギー分布のプロファイルが良好であれば、S
50及びT50を用いることができる。又は、S80及びT80
で管理を行うこともできる。本発明の重要な点はビーム
アニールに実効的に寄与するレーザ光のエネルギー値の
高い部分が如何に照射されるかによる。
【0079】なお、ビームスポット形状測定とは、パワ
ーメータのようにいわゆるレーザパワーのみを測定する
ものではない。ビームスポットの大きさや、指向性、楕
円率、焦点深度、及びエネルギーの空間分布などを詳細
に測定するものである。また、実際には5μm程度のス
リットを高速で移動して測定が行われる。したがって、
この場合は、一方向に積分されて得られた値を用いてい
る。
【0080】次にHSBAにおけるビームスポットとエ
ネルギー密度について説明する。
【0081】上述した図16のビームスポットのピーク
光強度(エネルギー密度:mW/μm2 )は次の式
(6)で等価的に示される。ビームスポットのエネルギ
ー分布が理想的なガウス分布を有している場合に適用で
きる。もしくは、それに準ずる場合である。レーザ光の
ビームスポットを直接計測できる場合にはその値を用い
る。なお、レーザビームが理想的なエネルギー分布を有
している場合には、ビームスポットのエネルギー密度は
ほぼ均一となる。
【0082】
【数3】 IO =8・PL /(π・dL ・dW ) …………(6)
【0083】ここで、PL は用いるレーザ光源のレーザ
出力[W]、dL はビームスポットS13.5での照射面で
の走査方向での長さ[μm]、dW は幅方向での長さ
[μm]である。なお、上述したように従来技術におい
てはHSBAにおけるビームスポットの測定を高精度で
行う具体的手段に欠いていた。つまり、レーザ光源やレ
ンズ光学系の設計値などを用いていたものと思われる。
そのために先行技術におけるビームスポットの形状、及
び光ピーク強度の値を定量的に対比することが難しい。
また、非晶質シリコン膜の膜質や反射防止膜など、他の
要素も関係するために厳密な定量化が困難となる。
【0084】図16の縦軸のピーク強度は従属的なパラ
メータであり、照射時間に応じて適当な値を実験的に決
定し、設定すればよいが、小さすぎると1回の走査で多
結晶化される領域の面積が小さくなる。あるいは完全な
多結晶化が起こらなくなる。また大きすぎると半導体膜
の部分的な溶解による膜表面の凹凸発生、膜の剥離、膜
の飛散などが発生する。反射率等を考慮にいれた非晶質
半導体薄膜に入射するエネルギー密度として好ましくは
1〜2mW/μm2 とする。
【0085】また、図16は走査方向のビームスポット
径で規格化したパラメータで示している。実際のビーム
スポットサイズS60の値としては、走査方向の長さBS
L として30〜100μmを用いる。30μm未満にビ
ームスポットを安定して細く絞ることが一般的に困難と
なるからである。また、走査方向に長くすると本発明に
おける多結晶化の条件を満たしにくくなる。より好まし
くは50〜80μmを用いる。通常用いられる一般のレ
ーザ光源から安定した良好なビームスポットを得られる
からである。
【0086】また、幅方向Dの長さBSD としては上述
したように30〜200μmを用いる。200μm以上
にするにはより高出力のレーザ光源を用いなければなら
ず、また光学系の負担も増えてしまう。より好ましくは
50〜100μmを用いる。通常の光学系を用いて安定
して良好なビームスポットを得ることができるからであ
る。
【0087】その一例を図9に示す。ビームスポット4
は楕円形状であって、L方向に走査されストライプ10
を形成する。通常、液晶表示素子に用いる多結晶半導体
TFTを形成するには、行又は列方向に画素及び/又は
周辺駆動回路に設けられるTFTの配列に応じてストラ
イプを直線状に形成していくことが好ましい。
【0088】符号3はエネルギーとしてピーク光強度の
60%を有するビームスポットS60を示す。Wは得ら
れるストライプ10の幅を示す。用いるビームスポット
のD方向の長さBS を長くすればそれに応じてWも
長くなる。ただし、ストライプ10の良好な膜質が得ら
れる範囲でビームアニールを行わなければならない。
【0089】ビームスポット4の径(又は、その大き
さ)が小さすぎると適正な照射時間を得るための走査速
度が小さくなり、言い換えれば線走査速度が遅くなって
生産性が悪くなる。逆に大きすぎると適正な照射時間を
得るための走査速度が大きくなる。また、必要なレーザ
光強度が大きくなる。さらに、安定した走査が困難にな
ったり光学系の熱による問題が生じやすくなる。
【0090】図1にビームスポットの空間的プロファイ
ルと走査照射時の関係を模式的に示す。ビームスポット
の空間的なエネルギー分布6eのビームスポットS13.5
を符号4で、ビームスポットS60を符号3で示す。収束
されたレーザ光60Cが非晶質半導体薄膜の表面に照射
され、ビームスポットS60が移動していく様子を示して
いる。走査方向Lにおける実効的な長さがビームスポッ
ト走査方向の長さBSL (符号1)である。それに直交
する方向の長さがビームスポット幅方向の長さBSD
(符号2)である。このときの走査速度を符号9で示
す。次に、レーザ光源について説明する。
【0091】レーザビームを供給するレーザ光源として
は、400〜530nmの波長を有する連続発振レーザ
光のビームスポットを用いる。例えば、非晶質シリコン
に対して高い吸収性を示す連続発振アルゴンイオンレー
ザ(発振波長488nm、514.5nm)を通常用い
る。これ以外に、他の青色又は緑色の波長の連続発振レ
ーザビームを用いることもできる。例えば、SHG−Y
AGレーザ(発振波長523nm)があげられる。対象
とする非晶質半導体の波長吸収特性に応じて選択すれば
よい。
【0092】本発明においては、一般的なCVD等によ
って形成された非晶質シリコン膜に対して青色〜緑色の
可視光域の波長域のレーザ光を用いる。また、電子線等
の他のエネルギービームの場合においても最適照射時間
の絶対値は異なっても同じ関係、同じ考え方が成り立つ
ものと考えられる。
【0093】本発明に用いる非晶質シリコン膜は、その
内部応力としては引っ張りモードではなく圧縮モードの
性質のものを用いる。また、それが含有する水素の水素
結合様式はIR吸収スペクトルでSi−Hのピーク(2
000cm-1)がSi−H2(2090cm-1)より大
きいことが好ましい。一定の性質を帯びたさらに良好な
非晶質シリコン膜からばらつきの少ない均質な多結晶シ
リコン半導体層を得ることができる。
【0094】以下に、本発明の実施例及び比較例を説明
する。
【0095】
【実施例】
(実施例1)ガラス基板上にプラズマCVDにより30
0℃でSiO2 膜、非晶質シリコン膜、反射防止膜とし
てSiNx 膜をそれぞれ200nm、100nm、50
nm積層し、350℃にて熱処理した。そして、連続発
振モードのアルゴンイオンレーザをレーザビーム光源と
して用い、HSBAによる多結晶化処理を行った。
【0096】この際の、ビームアニール装置の調整を以
下のように行った。図11に示すようにビームスポット
の計測時に面精度λ/10、10mm厚の石英板を試料
台の上の近傍に配置した。石英板と空気との屈折率差に
よる反射光をビームスポット測定器に導いて測定を行っ
た。石英板の裏面からの反射光は光路差でビーム測定器
の感光部には入射されないようにした。さらに、試料台
の上に粗面のシリコン基板を配置した。走査ミラーの角
度を測定位置と集光レンズが降温するまでの待機位置と
切り替わるようにし、測定位置に切り替わった瞬間に測
定を行った。
【0097】走査ミラーには石英基板上に誘電体多層膜
ミラーを形成して用いた。用いるレーザ光の波長帯域
(480〜520nm)で反射率が99%以上、面精度
をλ/4とした。また、レーザ光の走査ミラーへの入射
角度は45°±10°として設定した。
【0098】石英板からビームスポット形状測定器への
反射光は約4%であった。ビームスポット測定器には米
国フォトン社製ビームスキャン2180HPを用いた。
その測定可能な最大エネルギー値は、直径100μm
(S13.5)のビームスポットの場合では約4Wである。
本発明の測定機構を用いることによりHSBAにおける
実際の照射時のビームスポットの形状を測定することが
できた。
【0099】このときの基板面でのビーム径は非等方形
状であってほぼ楕円形状とした。エネルギー密度が最大
値の13.5%となるS13.5は、走査方向のBSL が1
00μm、走査方向に対しての垂直方向の長さBSD
140μmであった。光強度、つまり単位面積当たりの
エネルギー密度がピーク光強度(エネルギーの最大値)
の60%となる走査方向の径(短軸)は50μmであっ
た。それに垂直な方向の径(長軸)は70μmであっ
た。
【0100】この場合、S60でのスポット面積M60は理
想的な楕円形状であるとしておよそ2750μm2 とな
る。そして、線走査速度12m/s、レーザ出力9.7
Wの条件で非晶質シリコン膜の多結晶化処理を行った。
また、非晶質半導体シリコン薄膜への入射角度θは2°
とした。
【0101】このときのレーザ光ピーク強度の60%以
上の強度が照射される時間は4.2μsであり、反射率
等を考慮にいれた(およそ、90%と概算する)半導体
膜に入射するピーク光強度は1.6mW/μm2 であ
る。この多結晶シリコン半導体層を用いてTFTを形成
した。反射防止膜を通過して非晶質シリコン膜に到達す
るレーザ光の透過量をおよそ90%としている。
【0102】TFTはイオン注入法によりソース・ドレ
インを形成するセルフアライン・コプレーナ構造であ
る。ゲート絶縁膜はプラズマCVDにより形成した。そ
の結果、ほぼ均一で高特性のTFTが得られた。移動度
としては、30[cm2 /V・sec]以上が得られ
た。
【0103】(実施例2)また、線走査速度15m/
s、レーザ出力10.5Wとして、その他の条件は実施
例1と同様にして多結晶化処理を行った。このときのレ
ーザの光ピーク強度の60%以上の光強度が照射される
時間は3.3μsであり、反射率等を考慮にいれた半導
体膜に入射するピーク強度は1.7mW/μm2 であ
る。この多結晶シリコン層を用いてTFTを形成した。
実施例1と同様に、ほぼ均一で高特性のTFTが得られ
た。
【0104】このようにして形成したTFTの移動度の
多結晶領域の幅D方向の分布を図2と図3に示す。図2
の実施例1の移動度の分布20A(9.7W、12m/
s)に示すように移動度は30〜40cm2 /V・se
cの範囲に分布している。また、図3の実施例2の移動
度の分布20B(10.5W、15m/s)に示すよう
に移動度は25〜34cm2 /V・secの範囲に分布
している。ともに、TFTとして良好な特性が得られて
いる。
【0105】(比較例1)上記の各実施例と同じ基板に
ついて、同じビームスポット形状のレーザビームで走査
速度18m/s、レーザ出力11.5Wの条件により非
晶質シリコン膜の多結晶化を行った。さらに、実施例と
同様にTFTを形成した。そして、多結晶領域の幅方向
の電界効果移動度の分布30を図4に示す。
【0106】このときのレーザ光ピーク強度の60%以
上の強度が照射される時間は2.8μs、反射率等を考
慮にいれた半導体膜に入射するピーク強度は1.9mW
/μm2 である。全体に特性が悪く多結晶領域の幅方向
に分布があることがわかる。
【0107】(実施例3)非晶質シリコンのみ減圧CV
Dにより430℃で成膜(350℃の熱処理はなし)
し、他の条件は実施例1、2と同様に設定した試料につ
いても同様の実験を行い実施例1、2とほとんど同様の
結果を得た。
【0108】(比較例2)比較例1と同様に、他の条件
は同じくし、非晶質シリコンのみ減圧CVDにより43
0℃で成膜(350℃の熱処理はなし)した試料につい
ても同様の実験を行い比較例1とほとんど同じ結果を得
た。
【0109】(比較例3)上記の各実施例と同様の基板
を、基板面でのビーム径がエネルギー密度が最大値の1
3.5%となるスポットサイズは、走査方向(L方向)
で120μm、幅方向(D方向)で150μmとした。
走査方向において、エネルギー密度が最大値の60%と
なる径(短軸)が50μm、それに垂直な方向での径
(長軸)が62μmであるレーザビームを用いた。S60
でのスポット面積M60は理想的な楕円形状であるとして
およそ2430μm2 となる。そして、走査速度18m
/s、レーザ出力12.0Wにより非晶質シリコン膜の
多結晶化を行い、結晶性をラマン散乱分光法により評価
した。
【0110】その評価結果は実施例の条件で多結晶化し
たストライプより比較例1の条件の結果に近いものであ
った。結晶性はあまり良くなかった。この比較例3のレ
ーザ光ピーク光強度の60%以上の強度が照射される時
間は比較例1と同じ2.8μsであるが、ピーク強度の
13.5%以上の強度が照射される時間で考えると比較
例1の場合よりおよそ20%長くなっている。これは実
施例2の15m/sの線走査速度に相当する。
【0111】(実施例4)上記の実施例1〜3それぞれ
の条件で、640×480の画素構成のTFTアレー基
板を形成した。画素領域だけではなく周辺の駆動回路
(行駆動回路と列駆動回路を直線上に配置し、本発明の
多結晶半導体TFTを用いて一体形成した。多結晶化工
程を低温で行うことができ、かつ短時間に完了すること
ができた。
【0112】
【発明の効果】本発明によって、高移動度を有しかつ均
一な分布特性の多結晶半導体TFTを得ることができ
る。
【0113】また、本発明は高温炉を用いるプロセスに
対し、相対的に低温プロセスである。600℃前後の軟
化点を有し、安価な低膨張性のガラス基板(例えば、コ
ーニング7059など)を用いて高い生産性を維持しな
がら、かつばらつきを抑えて高特性のTFTを確実に得
ることができる。
【0114】このクラスのガラス基板でも1時間処理の
場合、300℃で3ppm、350℃で6ppm、40
0℃で15ppm、450℃で40ppm程度の熱収縮
が発生すると報告されている。また、形成しようとする
ガラス基板の一辺が長ければ、よりその歪みの影響が大
きくなる。TFTアレー基板の形成において主要な多結
晶化工程を低温プロセスで処理できることは極めて大き
な意義がある。
【0115】また、時間的にも極めて短時間に多結晶化
の工程を完了することができる。定形の大型ガラス基板
に同時に複数のTFTアレー基板を設けて、その多結晶
化工程を1〜2分程度の短時間で完了することができ
る。そして、EWSやパーソナルコンピュータの表示素
子に用いることができるような高性能の多結晶TFTを
作り込むことができるようになった。
【0116】また、長いストライプを高速に安定して得
ることができる。この場合、長尺の基板寸法のTFTア
レーを形成する際に有利となる。
【0117】また、ばらつきの少ないことから太いスト
ライプを有効に得ることができる。この場合、太いスト
ライプを用いて幅方向に長い多結晶半導体層チャネルを
形成することができる。TFTアレーの設計が容易にな
るという効果が得られる。
【0118】また、本発明のビームアニール装置には、
新規かつ有用なビームスポットの測定機構が設けられ、
それによって従来測定できなかった高出力レーザビーム
の集光されたビームスポット形状を測定可能とした。そ
して、この測定によってHSBAの最適条件を知ること
ができ、その範囲において最適な調整を行うことができ
るようになった。
【0119】また、従来のビームアニール装置に測定機
構を付加するだけでビームスポットを測定することがで
きるようになった。HSBAの生産開始前の調整を短い
時間で確実に行い得るようになった。
【0120】また、本発明はその効果を損しない範囲で
種々の応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビームアニールの状態を示す模式図。
【図2】実施例1のストライプの幅方向Dでの移動度分
布を示すグラフ。
【図3】実施例2のストライプの幅方向Dでの移動度分
布を示すグラフ。
【図4】従来例のストライプの幅方向Dでの移動度分布
を示すグラフ。
【図5】T60に対するTFTの移動度の分布を示すグラ
フ。
【図6】T60に対するラマン分光測定の結果を示すグラ
フ。
【図7】ビームスポットのガウス状エネルギー分布を示
すグラフ。
【図8】ビームスポットの非ガウス状エネルギー分布を
示すグラフ。
【図9】本発明でのビームスポットとストライプを示す
模式図。
【図10】(a)表面エッチング処理後の従来例のスト
ライプの平面図、(b)従来例における三日月状ストラ
イプを示す平面図。
【図11】本発明のビームアニール装置の全体構成を示
す斜視図。
【図12】本発明でのビースポットが照射される状態を
示す斜視図。
【図13】ビームスポットの形状変化を示すグラフ。
【図14】本発明で形成する多結晶半導体TFTの一部
断面図。
【図15】HSBAの条件域を示すグラフ。
【図16】本発明のHSBAの条件域を示すグラフ。
【図17】非晶質半導体薄膜のX線回折パターンを示す
グラフ。
【符号の説明】
1:ビームスポットの走査方向の長さ 2:ビームスポットの幅方向の長さ 3:ビームスポットS60 4:ビームスポットS13.5 9:線走査速度 60C:収束レーザビーム 6e:ビームスポットの空間プロファイル
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/336

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続発振レーザ光のビームスポットを、シ
    リコンを主成分とする非晶質半導体薄膜に走査しながら
    照射し、ビームアニールによって非晶質半導体薄膜の多
    結晶化を行う多結晶半導体層の形成方法であって、 非晶質半導体薄膜の膜厚を50〜250nmとし、 非晶質半導体薄膜の炭素含有度(密度)を5×1018
    -3以下とし、 ビームスポットを照射する非晶質半導体薄膜上で、 ピーク光強度の60%以上の光強度を有するビームスポ
    ットS60の走査方向における滞留時間T60を3〜5μs
    とすることを特徴とする多結晶半導体層の形成方法。
  2. 【請求項2】請求項1の多結晶半導体層の形成方法にお
    いて、 用いる非晶質半導体薄膜が微結晶を含有しないことを特
    徴とする多結晶半導体層の形成方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の多結晶半導体層の形成方
    法において、 ビームスポットS60の走査方向における長さBSL を5
    0〜100μmとすることを特徴とする多結晶半導体層
    の形成方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項の多結晶半導
    体層の形成方法において、 用いるビームスポットS60のエネルギー分布が楕円形状
    であって、走査方向に短径を有していることを特徴とす
    る多結晶半導体層の形成方法。
  5. 【請求項5】0.3atom%以上の水素含有量を有す
    る多結晶半導体層を用いてTFTの半導体チャネルが形
    成されたことを特徴とする多結晶半導体TFT。
  6. 【請求項6】連続発振レーザ光源から発したレーザ光が
    走査手段と収束手段とを備えた光学系に導かれ、光学系
    を通過せしめられ、レーザ光のビームスポットが半導体
    薄膜に走査しながら照射せしめられ、 半導体薄膜のビームアニールによる結晶性の改良が行わ
    れるビームアニール装置であって、 走査手段として走査ミラーが用いられ、該走査ミラーの
    レーザ光の反射率が入射角度=45°±10°の範囲で
    99%以上とされ、 レーザ光の半導体薄膜への入射角度を1°以上とし半導
    体薄膜に斜めにレーザ光を照射するように設けてなるこ
    とを特徴とするビームアニール装置。
  7. 【請求項7】請求項6のビームアニール装置において、 半導体薄膜がシリコンを主成分とする非晶質半導体薄膜
    であって、 10m/s以上の線走査速度でビームスポットが非晶質
    半導体薄膜上に照射され、 非晶質半導体薄膜がビームアニールによって多結晶半導
    体層が形成されることを特徴とするビームアニール装
    置。
  8. 【請求項8】請求項6又は7のビームアニール装置にお
    いて、 さらに、ビームスポットのエネルギー分布測定手段とレ
    ーザ光の減衰手段とが備えられ、 レーザ光の光路中であって半導体薄膜の近傍に減衰手段
    が配置され、 レーザ光は減衰手段を通過してから前記エネルギー分布
    測定手段に入射せしめられ、 ビームスポットのエネルギー分布測定が行われることを
    特徴とするビームアニール装置。
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