[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPH0884500A - 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置 - Google Patents

誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

Info

Publication number
JPH0884500A
JPH0884500A JP6217029A JP21702994A JPH0884500A JP H0884500 A JPH0884500 A JP H0884500A JP 6217029 A JP6217029 A JP 6217029A JP 21702994 A JP21702994 A JP 21702994A JP H0884500 A JPH0884500 A JP H0884500A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
speed
primary
motor speed
command value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6217029A
Other languages
English (en)
Inventor
Katashige Yamada
堅滋 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp, Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd filed Critical Meidensha Corp
Priority to JP6217029A priority Critical patent/JPH0884500A/ja
Publication of JPH0884500A publication Critical patent/JPH0884500A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 極低速域で誘導電動機を運転する際にも、正
確な速度制御及びトルク制御をする。 【構成】 同一次元磁束オブザーバ4と速度適応機構7
からなる速度適応2次磁束オブザーバにより誘導電動機
1の実速度値を推定し、電動機速度推定値ωr #と電動
機速度指令値ωr * との比較誤差信号によって電流制御
部を制御する。電流制御部のPWM制御インバータ2で
は、1次電圧制御指令電圧vu ,vv ,v w と搬送波信
号(三角波信号)を比較してその大小に応じてインバー
タをPWM制御している。しかもPWM制御インバータ
2では、電動機速度推定値ωr # が設定値よりも大きい
ときには搬送波信号の周波数を従来と同様に高くしてお
き、電動機速度推定値ωr # が設定値よりも小さくなっ
たら搬送波信号の周波数を下げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘導電動機の速度セン
サレスベクトル制御装置に係り、低速度域でも安定した
速度制御ができると共に、正確なトルク制御ができるよ
うに工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】誘導電動機の高性能な速度制御方式とし
て、すべり周波数制御形のベクトル制御方法が普及し、
これを速度センサ無しで制御する速度センサレスベクト
ル制御方法が知られている。
【0003】図7は、速度適応2次磁束オブザーバを使
用して誘導電動機の実速度を推定する、従来の誘導電動
機の速度センサレスベクトル制御装置の制御システムを
示すものである。
【0004】まず、図7を用いて、誘導電動機1の電動
機速度(回転角周波数ωr )の推定について説明をす
る。
【0005】誘導電動機1の電圧方程式は、電源角周波
数(ω0 )で回転する同期回転座標系からの諸量を観測
するa−b軸で表わすと、次式(1)で与えられる。
【0006】
【数1】
【0007】但し、 v1a,v1b…同期回転座標(a−b軸)上の1次励磁軸
電圧,1次トルク軸電圧(V) i1a,i1b…同期回転座標(a−b軸)上の1次励磁軸
電流,1次トルク軸電流(A) λ2a,λ2b…同期回転座標(a−b軸)上の2次励磁軸
磁束,2次トルク軸磁束(Wb) ω0 …………電源角周波数(rad/sec) ωr …………電動機速度(回転角周波数,rad/sec) ωs …………すべり角周波数(rad/sec) R1 ,R2 …1次,2次抵抗(Ω) L1 ,L2 …1次,2次インダクタンス(H) M …………相互(励磁)インダクタンス(H) Lσ…………等価漏れインダクタンス(H) (Lσ=(L1 2 −M2 )/L2 ) s …………時間微分子(d/dt) そして、電源角周波数(ω0 )、電動機速度(ωr )、
すべり角周波数指令値(ωs * )の関係、及びすべり角
周波数指令値(ωs * )の算出は次式(2)で表わされ
る。 ω0 =ωr +ωs * ωs * =i1b * /i1a * ・τ2 ……(2) 但し、 τ2 …………2次時定数(τ2 =L2 /R2 ) 添字(*)…指令値あるいは設定値を表わす。いま、 i1a * = 一定 ……………………………………………(3) とし、上記(1)式において、(2),(3)式の条件
のもとに同期回転座標系(a−b軸)の1次電圧指令値
(v1a * ,v1b * )をデジタル電流制御器3の構成式で
ある下記(4)式で与えると次のようになる。
【0008】
【数2】
【0009】上記(4)式を満足するように制御をする
と、同期回転座標(a−b軸)上の1次電流検出値i1
は1次電流指令値i1 * (i1a * ,i1b * )どおりの電
流が流れ、同期回転座標(a−b軸)上の2次磁束λ2
(λ2a,λ2b)は、 λ2a=Mi1a(一定), λ2b=0 …………………………(5) に保たれる。
【0010】これにより、誘導電動機1のトルク(T)
は、 T=M/L2 ・(λ2a・i1b−λ2b・i1a)=M2 /L2 ・(i1a・i1b) …………………………(6) となり、同期回転座標(a−b軸)上の2次磁束λ
2 (λ2a,λ2b)と2次電流i2 (i2a,i2b)には無
関係な非干渉化制御のベクトル制御が成立する。
【0011】ところで、上記(2)式から明らかなよう
に、速度センサを用いない場合は、すべり角周波数指令
値ωs * が設定されていても電動機速度ωr が未知であ
るから、電源角周波数ω0 を決定することができない
が、該電源角周波数ω0 で回転する同期回転座標(a−
b軸)上の2次磁束λ2 (λ2a,λ2b)が上記(5)式
を満足するように、該電源角周波数ω0 を制御すること
により、同様に、非干渉化制御のベクトル制御を実現す
ることができる。すなわち、同一次元磁束オブザーバ4
と速度適応機構7からなる速度適応2次磁束オブザーバ
を用いて、上記(5)式を満足するような同期回転座標
(a−b軸)上の2次磁束λ2 (λ2a,λ 2b)を推定
し、その2次磁束推定値λ2 # (λ2a # ,λ2b # )に基
づき電動機速度ωr を推定(ωr # )することにより、
上記(2)式(ω0 =ωr # +ωs *)から電源角周波
数ω0 を求め、該電源角周波数ω0 によりデジタル電流
制御器3を制御することによって非干渉化制御のベクト
ル制御を実現することができる。
【0012】図7に示すベクトル制御システムにおける
従来の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法に
おいては、誘導電動機1の実速度を速度センサを用いな
いで検出するために、誘導電動機1の1次電流(相電
流)iu ,iv ,iw を検出し3相−2相相数変換器1
4にて相数変換した固定子座標(d−q軸)上の1次電
流検出値i1 (i1d,i1q)とする。そしてこの1次電
流検出値i1 と、固定子座標(d−q軸)上の電動機1
次電圧指令値v1 * (v1d * ,v1q * )と、速度推定値
ωr # とを入力とする同一次元磁束オブザーバ4によ
り、固定子座標(d−q軸)上の2次磁束推定値λ2 #
(λ2d # ,λ2q # )と1次電流推定値i1 #(i1d #
1q # )とを推定し、速度適応機構7にて該1次電流推
定値i1 # (i1d # ,i1q # )と1次電流検出値i
1 (i1d,i1q)とを比較した推定誤差信号(i1 −i
1 # )に基づき次式(7)で表わされる適応調整則によ
り電動機速度推定値(ωr # )を演算推定して誘導電動
機1の速度検出としている。
【0013】 ωr # =Kp (eidλ2q # −eiqλ2d # ) +Ki ∫(eidλ2q # −eiqλ2d # )dt ………(7) 但し、 eid=i1d−i1d # :推定誤差 eiq=i1q−i1q # :推定誤差 Kp :速度推定部比例ゲイン Ki :速度推定部積分ゲイン なお、同一次元2次磁束オブザーバ4と速度適応機構7
とからなる速度適応2次磁束オブザーバによって誘導電
動機の実速度の推定を行なう誘導電動機1の速度センサ
レスベクトル制御方式については、「電気学会論文誌
D,111巻11号,平成3年」(久保田、尾崎、松
瀬、中野:「適応2次磁束オブザーバを用いた誘導電動
機の速度センサレス直接形ベクトル制御」)に掲載され
ている。
【0014】以下、上記速度適応2次磁束オブザーバを
使用して誘導電動機の実速度を推定する従来の速度セン
サレスベクトル制御方式について説明する。
【0015】図7(制御システム構成)における動作を
説明すると、いま、電動機速度指令値(ωr * )を速度
制御部(ASR)に与えると、前記速度指令値
(ωr * )と電動機速度推定値(ωr # )とが比較さ
れ、その比較誤差信号が速度制御器6により比例積分
(PI)制御されて、同期回転座標(a−b軸)上の1
次電流指令値i1 * のトルク軸成分である1次トルク軸
電流指令値(i1b * )に変換される。次に、電流制御部
(ACR)におけるデジタル電流制御器3において、同
期回転座標(a−b軸)上の1次電圧指令値v1 * (v
1a * ,v1b * )が、前記1次電流指令値i
1 * (i1a * ,i1b * )と1次電流検出値i1 (i1a
1b)が等しく(i1a * =i1a,i1b * =i1b)なるよ
うに、非干渉化制御を可能とする条件式である上記
(4)式により演算される。
【0016】同期回転座標(a−b軸)上の1次電圧指
令値v1 * (v1a * ,v1b * )は、座標変換器9により
固定子座標(d−q軸)上の1次電圧指令値v1 * (v
1d *,v1q * )に変換された後、2相−3相相数変換器
15により相数変換されてPWM制御インバータ2の三
相各相の1次電圧制御指令電圧vu ,vv ,vw に変換
され該PWM制御インバータ2の三相各相の出力電圧を
制御する。その結果、誘導電動機1は所望の電動機速度
指令値(ωr * )に応じて速度制御される。また、電源
角周波数ω0 で回転する同期回転座標(a−b軸)と、
誘導電動機1の固定子に固定された固定子座標(d−q
軸)との間の変換を行なう座標変換器8,9に使用され
る単位ベクトル(sin θ0 ,cos θ0 )を作り出すため
の基本位相角θ0 (θ0 =ω0 t)は次のようにして求
めることができる。即ちすべり算出器5により上記
(2)式に示すように、同期回転座標(a−b軸)上の
1次励磁軸電流指令値i1a * 、1次トルク軸電流指令値
1b * 、及び誘導電動機1の2次時定数τ2 (=L2
2 )によって求められるすべり角周波数指令値(ωs
* )と、速度適応2次磁束オブザーバ(4,7)により
推定される電動機速度推定値(ωr # )とから得られる
電源角周波数(ω0 )を、基本位相角算出用積分器11
で積分することによって、基本位相角θ0 を求めること
ができる。
【0017】なお、遅れ補償要素12は、デジタル電流
制御器3内の制御遅れに合わせるため、すべり角周波数
指令値(ωs * )の立上り、立下りを緩やかにするため
のものである。
【0018】以上のように、従来の速度センサレスベク
トル制御方式は、電動機速度(ωr)を推定する演算過
程において遅れがあるため、電動機速度推定値
(ωr # )とすべり角周波数指令値(ωs * )との加算
により得られる電源角周波数ω0 (ω 0 =ωr # +ωs
* )が真値からずれてしまい、その結果、デジタル電流
制御器3における電源角周波数ω0 に基づいて演算され
る非干渉化制御を行なうための1次電圧指令値v1 *
ずれ、及び座標変換器8,9における座標変換のために
用いる基本位相角θ0 もずれ、結局、座標変換軸がずれ
て非干渉化制御のベクトル制御が成り立たなくなってし
まう虞がある。
【0019】このことは、とりもなおさず誘導電動機1
の速度制御において、トルク指令値どおりのトルクが得
られないという重大な問題を起こすことになる。
【0020】そこで本願出願人は、電動機速度の推定過
程における「遅れ」となるベクトル制御座標軸のずれを
防止することにより、完全なベクトル制御を行なうこと
ができる速度センサレスベクトル制御方式を先に出願し
た(特願平5−265976号)。
【0021】先に出願した特願平5−265976号の
技術は、次の知見を基に開発したものである。
【0022】誘導電動機1の電動機速度推定値
(ωr # )の推定過程における「遅れ」は、誘導電動機
1側からみれば、すべり算出部5で算出されるすべり角
周波数指令値(ωs * )がずれていることに相当する。
(上記(2)式、ω0 =ωr +ωs * ,ωs * =i1b *
/i1a * ・τ2 参照)
【0023】そこで、ベクトル制御が成立するときの電
源角周波数ω0 を決定する要件、すなわち、同期回転座
標(a−b軸)上の2次磁束推定値λ2 # のトルク軸成
分(λ2b # )を零(上式(5),(6)式参照)にする
ために、該2次トルク軸磁束推定値λ2b # を積分(ωsc
=Kωi ∫λ2b # ・dt Kωi :積分ゲイン)して得ら
れたすべり角周波数修正値ωscをすべり角周波数指令値
ωs * に加える(ωs * +ωsc)ことにより、電動機速
度推定値ωr # の「遅れ」に伴う電源角周波数ω0 のず
れΔω0 を修正することができ、座標軸のずれが防止さ
れ、完全なベクトル制御が行なわれる。(次式、参照) ω0 +Δω0 =ωr # +ωs * +ωsc Δω0 =ωsc
【0024】図8は、特願平5−265976号の実施
例を示すものである。
【0025】図示制御システムにおいて、いま、速度制
御部(ASR)において、電動機速度指令値(ωr *
を与えると、該速度指令値(ωr * )と負帰還信号であ
る電動機速度推定値(ωr # )とが比較され、その比較
誤差信号が速度制御器6において比例積分(PI)制御
され、同期回転座標(a−b軸)上の1次電流指令値i
1 * の1次トルク軸電流指令値(i1b * )に変換され
る。次に、電流制御部(ACR)におけるデジタル電流
制御器3において、前記1次電流指令値i1 * の1次ト
ルク軸電流指令値(i1b * )及び1次励磁軸電流指令値
(i1a * )と、1次電流検出値i1 の1次トルク軸電流
検出値(i1b)及び1次励磁軸電流検出値(i1a)とが
比較され、i1b * =i1b、及びi1a * =i1aに制御され
るように、PWM制御インバータ2を制御する同期回転
座標軸(a−b軸)上の1次電圧指令値v
1 * (v1a * ,v1b * )が上記(4)式により演算され
る。
【0026】デジタル電流制御器3の出力である1次電
圧指令値v1 * (v1a * ,v1b * )は、座標変換器9に
より固定子座標(d−q軸)上の1次電圧指令値v1 *
(v 1d * ,v1q * )に変換された後、2相−3相相数変
換器15により相数変換されて、PWM制御インバータ
2の三相各相の1次電圧制御指令電圧vu ,vv ,v w
に変換され、該PWM制御インバータ2の出力電圧を制
御する結果、誘導電動機1は所望の電動機速度指令値
(ωr * )に応じて速度制御される。
【0027】誘導電動機1の実際の電動機速度(ωr
としては、次のようにして推定された電動機速度推定値
ωr # を用いる。即ち誘導電動機1の固定子座標(d−
q軸)上の1次電流検出値i1 (i1d,i1q)、1次電
圧指令値v1 * (v1d * ,v 1q * )及び電動機速度推定
値(ωr # )を入力とする同一次元磁束オブザーバ4
と、該同一次元磁束オブザーバ4により推定された1次
電流推定値i1 # (i1d # ,i1q # )と2次磁束推定値
λ2 # (λ2d # ,λ2q # )及び1次電流検出値i 1 (i
1d,i1q)に基づく上記(7)式により演算する速度適
応機構7と、からなる速度適応2次磁束オブザーバを使
用して、その電動機速度推定値ωr # を推定する。
【0028】そして、実際の電動機速度(ωr )を推定
する過程における電動機速度推定値(ωr # )の「遅
れ」によって生じる電源角周波数ω0 (ω0 =ωr #
ωs *)のずれを修正するために、同一次元磁束オブザ
ーバ4により推定した固定子座標(d−q軸)上の2次
磁束推定値λ2 # (λ2d # ,λ2q # )を座標変換器10
で同期回転座標軸(a−b軸)上の2次磁束λ2 # (λ
2a # ,λ2b # )に座標変換し、該2次磁束推定値λ2 #
の2次トルク軸磁束推定値(λ2b # )をすべり角周波数
修正用積分器16にて積分しすべり角周波数修正値ωsc
(ωsc=Kωs ∫λ2b # ・dt)を求め、加算器17にて
すべり角周波数指令値ωs * に加算する。
【0029】すべり角周波数修正値ωscをすべり角周波
数指令値ωs * に加算することは、電動機速度推定値
(ωr # )のずれを、前記すべり角周波数修正値ωsc
よって修正することにより、上記(2)式により決定さ
れる電源角周波数(ω0 )のずれによる基本位相角(θ
0 )のずれを防止し、座標変換軸のずれを防止して、精
度のよい非干渉化制御のベクトル制御が成立することと
なる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】ところで図7及び図8
に示す先に提案した技術では、次に述べるような2つの
課題が残されていた。
【0031】<第1の課題>まず第1の課題を説明す
る。図7及び図8に示すベクトル制御装置では、誘導電
動機1のモータ電圧を検出することが困難であるため、
1次電圧指令値v1 * (v1d * ,v1q * )が実際のモー
タ電圧値に一致していると仮定している。かかる仮定を
基に、同一次元オブザーバ4は、1次電圧指令値v1 *
(v1d * ,v1q * ),1次電流検出値i1 (i1d
1q),電動機速度推定値ωr # を入力値として、1次
電流推定値i1 #(i1d # ,i1q # ),2次磁束推定値
λ2 # (λ2d # ,λ2q # )を推定演算している。
【0032】しかし1次電圧指令値v1 * と実際のモー
タ電圧値との間には誤差があり(誤差発生原因は次に述
べる)、特に出力電圧の低い低速度領域ほど誤差が大き
くなる。この電圧誤差に起因して電動機速度推定値ωr
# に誤差が生じ、速度制御が不安定になる。
【0033】ここで上述した電圧誤差の2つの要因を説
明する。
【0034】<第1の課題の原因となる第1の電圧誤差
要因>PWM制御インバータ2のインバータ部に使用さ
れる主スイッチング素子にはスイッチング遅れがあり、
この遅れ時間による上下アームの短絡を防止するため
に、短絡防止期間(デッドタイム)を設けている。この
デッドタイムがあるため、実際のモータ電圧値と1次電
圧指令値v1 * とが異なってしまう。そこで現在では、
この電圧誤差を少なくするため、PWM制御インバータ
2の出力電圧を、上記デッドタイムに合わせて遅らせる
デッドタイム補償回路を設けているが、完全な補償はで
きず、電圧誤差が残存していた。
【0035】<第1の課題の原因となる第2の電圧誤差
要因>PWM制御インバータ2のPWM変調指令部で
は、1次電圧制御指令電圧vu,vv ,vw と、搬送波
信号(例えば三角波)とを比較し、その大小によりPW
M変調指令(ベース電流)を発生している。このPWM
変調指令のハイ・ローに応じてインバータ部の主スイッ
チング素子がオン・オフして等価正弦波出力電圧を作り
出している。上記PWM変調指令部がデジタルで構成さ
れている場合には、指令電圧vu ,vv ,vw と搬送波
信号とをデジタル比較してPWM変調指令を作るため、
搬送波分解能や電圧演算値の分解能に起因して、実際の
モータ電圧値と1次電圧指令値v1 * との間に誤差が生
じてしまう。
【0036】<第2の課題>次に第2の課題について説
明する。図8に示すベクトル制御装置では、すべり角周
波数指令値ωs * に電動機速度推定値ωr # を加えた値
に、更にすべり角周波数修正値ωscを加えて電源角周波
数ω0 を求めている。このようにすべり角周波数修正値
ωscを加えることにより、速度推定の演算遅れを補正し
て、電源角周波数ω0 は真値となる。
【0037】ところで同一次元磁束オブザーバ4にフィ
ードバックされる電動機速度推定値ωr # は、速度推定
演算による遅れを補正したものではなく真値からずれた
値となっている。このため速度適応機構7から出力され
る電動機速度推定値ωr # は真値からずれたままとな
り、その結果、トルク指令値どおりの出力トルクが得ら
れなくなることがあった。
【0038】本発明は、上記従来技術に鑑み、速度制御
やトルク制御を正確に行うことのできる誘導電動機の速
度センサレスベクトル制御装置を提供することを目的と
する。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する第1
の本発明の構成は、1次電流指令値(i1 * )と1次電
流検出値(i1 )と電源角周波数(ω0 )を入力し、誘
導電動機の電流非干渉化制御を行ない1次電圧指令値
(v1 * )を出力する電流制御器(3)と、前記電流制
御器(3)の出力である1次電圧指令値(v1 * )を二
相三相変換してなる1次電圧制御指令電圧(vu
v ,vw )と、搬送波信号とを比較し、比較結果に応
じてPWM動作をし、PWM制御された等価正弦波電力
を誘導電動機(1)へ供給するPWM制御インバータ
(2)と、1次電流検出値(i1 )と1次電圧指令値
(v1 * )と電動機速度推定値(ω r # )をそれぞれ入
力し、1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 #
推定する同一次元磁束オブザーバ(4)と、前記同一次
元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電流推定値i
1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検出値
(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値
(ωr # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)
と、1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分とトルク軸
成分を基に該電動機のすべり角周波数指令値(ωs *
を演算し出力するすべり算出器(5)と、前記すべり算
出器(5)の出力であるすべり角周波数指令値
(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算して前
記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数(ω
0 )を出力する加算器(17)と、を具備する誘導電動
機の速度センサレスベクトル制御装置において、前記P
WM制御インバータ(2)は、電動機速度推定値ωr #
が設定値よりも大きいときには、周波数の高い搬送波信
号を用いて1次電圧制御指令電圧(vu,vv ,vw
と比較をし、電動機速度推定値ωr # が設定値よりも小
さくなったら、周波数の低い搬送波信号を用いて1次電
圧制御指令電圧(vu ,vv ,v w )と比較をしてPW
M動作をすることを特徴とする。
【0040】また第2の発明の構成は、前記PWM制御
インバータ(2)では、電動機速度推定値ωr # が降下
してくるときに用いる第1の設定値と、電動機速度推定
値ωr # が上昇していくときに用いる第2の設定値とが
設定されていることを特徴とする。
【0041】また本発明の第3の構成は前記電流制御器
(3)では、搬送波信号を切り換えた直後の制御タイミ
ングでは切り換え直前の1次電圧指令値(v1 * )を出
力し、その後の制御タイミングでは計算により求めた1
次電圧指令値(v1 * )を出力することを特徴とする。
【0042】また第4の発明の構成は、1次電流指令値
(i1 * )と1次電流検出値(i1 )と電源角周波数
(ω0 )を入力し、誘導電動機の電流非干渉化制御を行
ない1次電圧指令値(v1 * )を出力する電流制御器
(3)と、前記電流制御器(3)の出力である1次電圧
指令値(v1 * )を基に誘導電動機を速度制御する電力
変換器(2)と、1次電流検出値(i1 )と1次電圧指
令値(v1 * )と電動機速度推定値(ω r # )をそれぞ
れ入力し、1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2
# を推定する同一次元磁束オブザーバ(4)と、前記同
一次元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電流推定
値i1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検出値
(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値
(ωr # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)
と、前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である固
定子座標上の2次トルク軸磁束推定値λ2d # を座標変換
した同期回転座標上の2次トルク軸磁束推定値λ2b #
積分演算してすべり角周波数修正値ωscを出力する積分
器(16)と、1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分
とトルク軸成分を基に該電動機のすべり角周波数指令値
(ωs * )を演算し出力するすべり算出器(5)と、前
記すべり算出器(5)の出力であるすべり角周波数指令
値(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算して
前記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数
(ω0 )を出力する加算器(17)と、を具備する誘導
電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、前
記電動機速度推定値ωr # にすべり角周波数修正値ωsc
を加えて修正電動機速度推定値ωr # ’を求め、前記同
一次元磁束オブザーバ(4)には、前記電動機速度推定
値ωr # の代わりに、求めた修正電動機速度推定値ωr
# ’を入力する加算器(12)を備えたことを特徴とす
る。
【0043】
【作用】第1の課題の原因となる第1の電圧誤差原因
は、主スイッチング素子の遅れ時間の補償誤差に起因す
る。よって本発明では、搬送波信号の周波数を下げるこ
とにより、PWM制御インバータ2から誘導電動機1へ
送る電圧のパルス幅を大きくすることによりこの電圧に
含まれる誤差成分を見かけ上減少させることができ、第
1の電圧誤差原因を解決することができる。
【0044】第1の課題の原因となる第2の電圧誤差原
因を解消する本発明の作用を説明する。PWM演算部が
デジタル回路で構成される場合、PWM変調後のPWM
変調指令の分解能は、指令電圧vu ,vv ,vw 及び搬
送波信号の分解能にて決定される。しかし一般には、指
令電圧よりも搬送波信号の方が分解能が低い。この理由
は搬送波がハードウェア的に構成される場合が多く、そ
の分解能は搬送波を生成するデジタル回路のクロック周
波数に大きく依存する。一方、この制御クロック周波数
は回路動作面からも上限があり無限の周波数増加を行う
ことは許されない。また、クロック周波数変化等による
ハードウェア変更も行いたくない。
【0045】本発明では、これを解決するために搬送波
周波数を減少させることで、等価的に搬送波信号の分解
能をアップさせる方法を提案する。これにより、等価的
に搬送波信号の分解能を向上させPWM変調後の指令電
圧分解能を向上させることが可能になる。これにより実
際の出力電圧と指令電圧をできる限り一致させることが
できる。
【0046】結局、第1の課題の原因となる第1及び第
2の電圧誤差原因は、PWM演算部の搬送波信号の周波
数を下げることで解消できる。しかしモータの高速運転
を行う場合、搬送波周波数はできるだけ高い方が好まし
い。そこで本発明では、電圧誤差が問題となる低速領域
のみ低い搬送波周波数にて制御を行い、高速運転範囲で
は高い搬送波周波数で制御する方式とした。
【0047】なお実際の制御では、搬送波の半周期に同
期して磁束オブザーバ演算、速度推定演算、電流制御演
算を行っており、これらは制御周期に応じた制御を行う
必要がある。従って、単に搬送波周波数を変化させるだ
けでは制御上は不具合が発生する。そこで実施例では、
搬送波信号の周波数が変化したときにもこれら演算部が
安定して制御できるように工夫をした。
【0048】また第2の課題を解消するため本発明で
は、電動機速度推定値ωr # にすべり角周波数修正値ω
scを加えた修正電動機速度推定値ωr #'を同一次元磁束
オブザーバに入力することにより正確な磁束オブザーバ
演算ができ、安定したトルク制御ができる。
【0049】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。なお従来技術と同一部分には同一符号を付し
重複する説明は省略する。
【0050】<第1実施例>図1は本発明の第1実施例
を示す。第1の実施例は、図8に示す従来技術に対し、
速度適応機構7で求めた電動機速度推定値ωr # をPW
M制御インバータ2へ送るよう変更すると共に、PWM
制御インバータ2,デジタル電流制御器3,同一次元磁
束オブザーバ4及び基本位相角算出用積分器11の各機
能を変更している。これら変更点について順次説明をす
る。
【0051】まず図2を参照して第1実施例でのPWM
制御インバータ2を説明する。搬送波信号生成部2aは
2種類の搬送波信号(三角波信号)HH ,HL を発生す
ることができ、搬送波信号変更指令部2bの指令に応じ
て、搬送波信号HH ,HL のうちいずれか一方をPWM
変調指令部2cへ送る。搬送波信号HH の周波数は従来
のものと同じく高周波であり、搬送波信号HL の周波数
は低周波となっている。なお振幅は、HL の振幅がHH
の振幅よりも大きくなるようにしている。
【0052】搬送波信号変更指令部2bには、第1の基
準値Vref1と、この第1の基準値V ref1よりも値の大き
な第2の基準値Vref2が記憶されている。搬送波信号変
更指令部2bは、電動機速度推定値ωr # が下降してい
くときには推定値ωr # と第1基準値Vref1とを比較し
ωr # <Vref1となったら、搬送波信号生成部2aから
出力する搬送波信号をHH からHL に切り換える。この
切り換え点は、図3に示すように搬送波(三角波)信号
の頂点で行う。一方、電動機速度推定値ωr #が上昇し
ていくときには推定値ωr # と第2基準値Vref2とを比
較しωr # >V ref2となったら、搬送波信号生成部2a
から出力する搬送波信号をHL からHHに切り換える。
この切り換え点は、図3に示すように搬送波(三角波)
信号の頂点で行う。搬送波信号HH ,HL の頂点で変更
をする理由は、演算周期タイミングが搬送波信号HH
L の頂点になっているからであり、このようにするこ
とにより信号の変更が比較的簡単に行なえる。また2つ
の基準値を用いているので、チャタリングすることを防
ぐことができる。
【0053】PWM変調指令部2cは、1次電圧制御指
令電圧vu ,vv ,vw と、搬送波信号HH ,HL のう
ちの一方とを比較し、PWM変調指令Iをインバータ2
dへ送る。このとき、PWM変調指令部2cの演算クロ
ックは従来と同じである。
【0054】インバータ2dは、PWM変調指令Iに応
じて作動し、等価三相交流を誘導電動機1へ送る。
【0055】上述したように第1実施例におけるPWM
制御インバータ2では、電動機速度推定値ωr # が第1
基準値Vref1よりも小さくなって極低速になったときに
は、低周波の搬送波信号HL を用いるので、PWM変調
指令部2cでの演算クロック周期が従来と同じであって
も、見かけ上のPWM演算分解能が高まる。したがって
インバータ2dから出力される実際の電圧値と、推定し
た1次電圧指令値v1 * との電圧誤差が減少し、極低速
域にても同一次元磁束オブザーバ4での演算がより正確
に行なわれ、より正確な速度推定演算が可能になる。
【0056】なお電動機速度推定値ωr # が第2基準値
ref2よりも大きくなったときには、従来と同様な高周
波な搬送波信号HH を用いるので、高速運転時の精度の
良い制御も確保することができる。
【0057】次に第1実施例のデジタル電流制御器3の
詳細を図4を参照して説明する。このデジタル電流制御
器3は、1次電流指令値i1 * (i1a * ,i1b * )と1
次電流検出値i1 (i1a,i1b)とが等しくなるような
1次電圧指令値v1 * (v1a * ,v1b * )を演算して出
力する。この演算周期は搬送波信号H(HH ,HL のう
ち選択した信号)の周期の半周期毎に行なっている。即
ち図4において乗算部3−11,3−12,3−13,
3−14は、励磁軸電圧積分ゲインG11,励磁軸電圧比
例ゲインG12,乗算値ω0 1 ,1次抵抗R1 を乗算演
算し、減算部3−15,3−16は減算演算をし、加算
部3−17は加算演算し、積分部3−18は積分演算を
し、加減算部3−19は加減算演算を行う。そして加算
部3−17と積分部3−18とが共働して等価積分演算
が行なわれ、積分項YOは、乗算部3−11の出力と前
回積分項PRYO(これは積分項YOの前回値)とを加
算して求められる。同様に乗算部3−21,3−22,
3−23,3−24は、トルク軸電圧積分ゲインG21
トルク軸電圧比例ゲインG22,乗算値ω0 Lσ,1次抵
抗R1 を乗算演算し、減算部3−25は減算演算をし、
加算部3−26,3−27は加算演算をし、積分3−2
8は積分演算をし、加減算部3−29は加減算演算を行
う。そして加算部3−27と積分部3−28とが共働し
て等価積分演算が行なわれ、積分項YTは、乗算部3−
21の出力と前回積分項PRYT(これは積分項YTの
前回値)とを加算して求められる。なおR1 ,ω
0 1 ,ω0Lσを乗算した値が干渉項となる。
【0058】図4に示すデジタル電流制御器3では、1
次励磁軸電圧指令値V1a * 及び1次トルク軸電圧指令値
1b * は、次式(8)(9)で求められる。
【0059】 V1a * =YO+i1a * ・R1 −i1a・G12−i1b * ・ω0 Lσ …(8) V1b * =YT+i1b * ・R1 −i1b・G22+i1a * ・ω0 1 …(9) ここで YO=(i1a * −i1a)・G11 +PRYO …(10) YT=(i1b * −i1b)・G21 +PRYT …(11) である。よって YO=V1a * −i1a * ・R1 +i1a・G12+i1b * ・ω0 Lσ …(12) YT=V1b * −i1b * ・R1 +i1b・G22−i1a * ・ω0 1 …(13) となる。
【0060】前述した(4)式と(8)(9)式とを比
べると次のことがわかる。即ち、1次電流指令値i1 *
(i1a * ,i1b * )と1次電流検出器i1 (i1a
1b)とが一致してフィードバック項の影響が無くな
り、且つ、前述した(4)式中の微分項(SLσ)を無
視すれば、(4)式と(8)(9)式とが一致すること
がわかる。
【0061】図4のデジタル電流制御器3では、演算周
期が搬送波信号Hの半周期に同期しているため、運転中
に搬送波信号Hの周波数を切り換えた際に、搬送波信号
周期(演算周期)に応じてゲインG11,G12, 21,
22を変換する必要がある。しかもゲインG11,G12,
21, 22を切り換えたときに出力電圧(電圧指令値V 1a
* ,V1b * )の急変を防ぐよう工夫している(後述)。
【0062】本実施例の電流制御器3では、電流制御を
デジタルで行っているためにゲインも離散系で求めてい
る。そのため、ゲインG11,G21, は、サインプリング
時間(計算を行う演算周期)によって変化する。また、
比例ゲインG12, 22は理論的には変化しないが、実際
には実験によって制御が安定に行えかつ電流制御の追従
が最大限良くなるような値を用いているので、搬送波周
波数によって変化させている。
【0063】デジタル電流制御器3では、搬送波信号を
切り換えたときに、ゲインG11,G 12, 21, 22を同
時に切り換える。このとき何も対策をしたかったときの
動作状態を説明する。励磁軸で説明すると、ゲインG12
と1次励磁軸電流検出値i1aをかけた比例項i1a・G12
は、搬送波信号を切り換える直前と直後で電流検出値i
1aがほとんど変化がないとすると(実際サンプリング時
間短いので1サンプル時間での変化は少ない)、ゲイン
12が変化したことによる変化が大きい。例えば、ゲイ
ンG12が2倍になれば比例項i1a・G12は2倍になる。
しかし、積分項YOは、検出値i1aと指令値i1a * の差
(実際には電流制御を行っているので小さい値)とゲイ
ンG11の積と、それまでの積分してきたものとの和なの
で、搬送波信号の切り換えの直前と直後で変化が少な
い。その結果、積分項YOと比例項i1a・G12と干渉項
から求めた励磁軸電圧指令値V1a * は、比例項i1a・G
12の急激な変化で急激に変化する。トルク軸電圧指令値
1b * も急変し、その結果、搬送波信号の切り換え時に
制御が不安定となり、運転不能におちいる。
【0064】前述したようにIP制御で電流制御を行っ
た場合、搬送波信号切り換え時にゲインを切り換えると
比例項は大きく変化するのに対し積分項YO,YTの変
化が小さいために電圧指令値V1a * ,V1b * は急変して
しまう。搬送波信号切り換えの直前直後で、モータに出
力しなければならない電圧はほとんど変化はない(サン
プリング時間がきわめて短いため)。そこで、本実施例
の電流制御器3では、搬送波信号切り換え直後1回だけ
は、切り換え直前の電圧と同じ(1次励磁電圧指令V1a
* と1次トルク電圧指令V1b * は変化しないと仮定)と
仮定して今回電圧指令値V1a * ,V1b * とし、その仮定
した電圧指令値と電流指令値i1a * ,i 1b * と電流検出
値i1a,i1bを使って励磁、トルクの各積分項(図中Y
OとYT)を計算によって求め、2回目からはその計算
した積分項を使用してIP制御によって電流制御を行
う。本方式によって、比例項の大きな変化を積分項に反
映する事ができるので1次電圧指令値V1a * ,V1b *
急変しない。なお積分項を計算する計算式は、電流制御
系を式で記述した(12)(13)式から求める。
【0065】このようにしたので、電流制御周期変化時
にも安定した電圧指令値v1a * ,v 1b * を算出すること
が可能であり、したがって、搬送波変更時の出力電流が
1サンプルも遅れることなく安定制御が可能となり過渡
的な電流変化は発生しない。
【0066】次に第1実施例の同一次元磁束オブザーバ
4の動作を説明する。この同一次元磁束オブザーバ4は
離散時間系の演算を行い、また搬送波信号周波数の半周
期分の時期をサンプリング時間としているので、搬送波
信号変更の際には搬送波周波数(=オブザーバ演算周
期)に応じた演算方法を行う必要がある。そこで同一次
元磁束オブザーバ4は、搬送波信号Hが変更されると、
前回の1次電圧指令値v 1d * ,v1q * と今回の1次電流
検出値i1d,i1qを用いて1次電流推定値i1 #及び2
次磁束推定値λ2 # を推定演算する。このようにして推
定演算した推定値i1 # ,λ2 # が速度適応機構7に入
力されて電動機速度推定値ωr # が推定演算される。
【0067】つまり図5に示すように同一次元磁束オブ
ザーバ4で使用される演算定数は、搬送波信号が変更さ
れてから2演算周期後に変更し有効となる。このように
2サンプル後の演算周期まで、搬送波変更前の演算周期
を考慮してオブザーバ演算を行うので、離散時間系によ
る1次電流推定値i1 # 及び2次磁束推定値λ2 # の推
定演算を正確に実行できる。したがって推定値i1 #
λ2 # を用いて速度適応機構7で求める電動機速度推定
値ωr # は連続的な値となり、スムーズな搬送波信号の
変更ができる。
【0068】一方、基本位相角検出用積分器11で行う
出力周波数の位相演算は、搬送波周波数に応じて演算す
る必要がある。搬送波信号が変更されると、出力周波数
の位相演算を行う積分器11は、図5に示すように、1
サンプル後の演算周期までは、搬送波変更前の周期を考
慮した位相演算を行うので、搬送波変更時の出力電圧位
相を正確に演算できる。このように搬送波変更時の出力
電圧位相を連続的に変化させることで誘導電動機1に過
渡電流が流れない。したがってモータトルクの過渡変化
なしに搬送波変更が可能になった。
【0069】<第2実施例>次に図6を参照して本発明
の第2実施例を説明する。この第2実施例では、図8に
示す従来技術に対して、次の点が異なる。即ち、すべり
角周波数修正用積分器16で求めたすべり角周波数修正
値ωscと、速度適応機構7で求めた電動機速度推定値ω
r # とを加算器21にて加算して修正電動機速度推定値
ωr # ’を求め、この修正電動機速度推定値ωr # ’同
一次元磁束オブザーバ4に入力している。なお他の部分
は図8に示す従来技術と同一であり、電源角周波数ω0
=ωr # +ωsc+ωs * となっている。
【0070】図8の従来技術でも説明したが、すべり角
周波数修正値ωscは、2次トルク軸磁束推定値λ2b #
(5)式で示す理論値と同じく零となるように、求めた
ものである。したがって同一次元磁束オブザーバ4に入
力する修正電動機速度推定値ωr # ’は、速度推定演算
による遅れを補正した真の値となる。よって速度推定演
算が正確に行なうことができるようになり、トルク指令
値どおりのトルクが誘導電動機1から出力できるように
なった。
【0071】
【発明の効果】第1の発明によれば、誘導電動機が低速
領域で回転されるときには、PWM制御インバータで用
いる搬送波信号の周波数を下げるので、見かけ上のPW
M演算分解能が高まり、正確な速度制御をすることがで
きる。
【0072】第2の発明によれば設定値にヒステリシス
を設けたので、搬送波信号を切り換えたときに、チャタ
リングが生じることがなく、安定した運転ができる。
【0073】第3の発明によれば、搬送波信号を切り換
えても1次電圧指令値の変化を抑制するようにしたの
で、安定的に搬送波信号を切り換えることができる。
【0074】第4の発明によれば、同一次元磁束オブザ
ーバには、演算遅れを補正した修正電動機速度推定値ω
r # ’(=ωr # +ωsc)を入力するため、速度推定演
算に誤差がなくなり、正確なトルク制御をすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック構成図。
【図2】第1実施例に用いるPWM制御インバータを示
すブロック構成図。
【図3】第1実施例に用いる搬送波信号を示す波形図。
【図4】第1実施例に用いるデジタル電流制御器を示す
ブロック構成図。
【図5】第1実施例における演算スケジュールを示すタ
イムチャート。
【図6】本発明の第2実施例を示すブロック構成図。
【図7】従来技術を示すブロック構成図。
【図8】従来技術を示すブロック構成図。
【符号の説明】
1 誘導電動機 2 PWM制御インバータ 2a 搬送波信号生成部 2b 搬送波信号変更指令部 2c PWM変調指令部 3 デジタル電流制御器 4 同一次元磁束オブザーバ 5 すべり算出器 6 速度制御器 7 速度適応機構 8 座標変換器 9 座標変換器 10 座標変換器 11 基本位相角算出用積分器 16 すべり角周波数修正用積分器 17 加算器 21 加算器 ωs すべり角周波数 ωs * すべり角周波数指令値 ωsc すべり角周波数修正値 ω0 電源角周波数 ωr 電動機速度 ωr * 電動機速度指令値 ωr # 電動機速度推定値 ωr #' 修正電動機速度指令値 ωr max 電動機速度最大値 v1 1次電圧 v1a 1次励磁軸電圧 v1b 1次トルク軸電圧 v1 * 1次電圧指令値 v1a * ,v1d * 1次励磁軸電圧指令値 v1b * ,v1q * 1次トルク軸電圧指令値 iu ,iv ,iw 1次電流 i1 1次電流検出値 i1a,i1d 1次励磁軸電流検出値 i1b,i1q 1次トルク軸電流検出値 i1 * 1次電流指令値 i1a * 1次励磁軸電流指令値 i1b * 1次トルク軸電流指令値 i1 # 1次電流推定値 i1d # 1次励磁軸電流推定値 i1q # 1次トルク軸電流推定値 λ2 2次磁束 λ2a,λ2d 2次励磁軸磁束 λ2b,λ2q 2次トルク軸磁束 λ2 # 2次磁束推定値 λ2a # ,λ2d # 2次励磁軸磁束推定値 λ2b # ,λ2q # 2次トルク軸磁束推定値 vu ,vv ,vw 1次電圧制御指令電圧 θ0 基本位相角 HH ,HL 搬送波信号 I PWM変調指令

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1次電流指令値(i1 * )と1次電流検
    出値(i1 )と電源角周波数(ω0 )を入力し、誘導電
    動機の電流非干渉化制御を行ない1次電圧指令値(v1
    * )を出力する電流制御器(3)と、 前記電流制御器(3)の出力である1次電圧指令値(v
    1 * )を二相三相変換してなる1次電圧制御指令電圧
    (vu ,vv ,vw )と、搬送波信号とを比較し、比較
    結果に応じてPWM動作をし、PWM制御された等価正
    弦波電力を誘導電動機(1)へ供給するPWM制御イン
    バータ(2)と、 1次電流検出値(i1 )と1次電圧指令値(v1 * )と
    電動機速度推定値(ω r # )をそれぞれ入力し、1次電
    流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # を推定する同一
    次元磁束オブザーバ(4)と、 前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電
    流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検
    出値(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値(ω
    r # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)と、 1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分とトルク軸成分
    を基に該電動機のすべり角周波数指令値(ωs * )を演
    算し出力するすべり算出器(5)と、 前記すべり算出器(5)の出力であるすべり角周波数指
    令値(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算し
    て前記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数
    (ω0 )を出力する加算器(17)と、 を具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装
    置において、 前記PWM制御インバータ(2)は、電動機速度推定値
    ωr # が設定値よりも大きいときには、周波数の高い搬
    送波信号を用いて1次電圧制御指令電圧(vu,vv
    w )と比較をし、電動機速度推定値ωr # が設定値よ
    りも小さくなったら、周波数の低い搬送波信号を用いて
    1次電圧制御指令電圧(vu ,vv ,v w )と比較をし
    てPWM動作をすることを特徴とする誘導電動機の速度
    センサレスベクトル制御装置。
  2. 【請求項2】 前記PWM制御インバータ(2)では、
    電動機速度推定値ω r # が降下してくるときに用いる第
    1の設定値と、電動機速度推定値ωr # が上昇していく
    ときに用いる第2の設定値とが設定されていることを特
    徴とする請求項1の誘導電動機の速度センサレスベクト
    ル制御装置。
  3. 【請求項3】 前記電流制御器(3)では、搬送波信号
    を切り換えた直後の制御タイミングでは切り換え直前の
    1次電圧指令値(v1 * )を出力し、その後の制御タイ
    ミングでは計算により求めた1次電圧指令値(v1 *
    を出力することを特徴とする請求項1の誘導電動機の速
    度センサレスベクトル制御装置。
  4. 【請求項4】 1次電流指令値(i1 * )と1次電流検
    出値(i1 )と電源角周波数(ω0 )を入力し、誘導電
    動機の電流非干渉化制御を行ない1次電圧指令値(v1
    * )を出力する電流制御器(3)と、 前記電流制御器(3)の出力である1次電圧指令値(v
    1 * )を基に誘導電動機を速度制御する電力変換器
    (2)と、 1次電流検出値(i1 )と1次電圧指令値(v1 * )と
    電動機速度推定値(ω r # )をそれぞれ入力し、1次電
    流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # を推定する同一
    次元磁束オブザーバ(4)と、 前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電
    流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検
    出値(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値(ω
    r # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)と、 前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である固定子
    座標上の2次トルク軸磁束推定値λ2d # を座標変換した
    同期回転座標上の2次トルク軸磁束推定値λ2b # を積分
    演算してすべり角周波数修正値ωscを出力する積分器
    (16)と、 1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分とトルク軸成分
    を基に該電動機のすべり角周波数指令値(ωs * )を演
    算し出力するすべり算出器(5)と、 前記すべり算出器(5)の出力であるすべり角周波数指
    令値(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算し
    て前記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数
    (ω0 )を出力する加算器(17)と、 を具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装
    置において、 前記電動機速度推定値ωr # にすべり角周波数修正値ω
    scを加えて修正電動機速度推定値ωr # ’を求め、前記
    同一次元磁束オブザーバ(4)には、前記電動機速度推
    定値ωr # の代わりに、求めた修正電動機速度推定値ω
    r # ’を入力する加算器(12)を備えたことを特徴と
    する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。
JP6217029A 1994-09-12 1994-09-12 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置 Pending JPH0884500A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217029A JPH0884500A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217029A JPH0884500A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0884500A true JPH0884500A (ja) 1996-03-26

Family

ID=16697726

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6217029A Pending JPH0884500A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0884500A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2744301A1 (fr) * 1996-01-30 1997-08-01 Thomson Csf Onduleur d'alimentation d'un moteur electrique de traction d'un vehicule
EP1049245A1 (en) * 1999-04-23 2000-11-02 Hitachi, Ltd. Method of controlling an induction motor
JP2006014406A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Nissan Motor Co Ltd モータ制御装置及びその制御方法
GB2432734A (en) * 2005-05-20 2007-05-30 Siemens Ag Apparatus for the braking of inverter driven induction motors
EP2169820A1 (en) * 2008-09-26 2010-03-31 Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki Alternating-current motor control apparatus
JP2016192882A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 株式会社ジェイテクト モータ制御装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2744301A1 (fr) * 1996-01-30 1997-08-01 Thomson Csf Onduleur d'alimentation d'un moteur electrique de traction d'un vehicule
EP0788220A1 (fr) * 1996-01-30 1997-08-06 Thomson-Csf Onduleur d'alimentation d'un moteur électrique de traction d'un véhicule
US5852356A (en) * 1996-01-30 1998-12-22 Thomson-Csf DC/AC inverter for power supply to an electrical motor for the traction of a vehicle
EP1049245A1 (en) * 1999-04-23 2000-11-02 Hitachi, Ltd. Method of controlling an induction motor
US6344726B1 (en) 1999-04-23 2002-02-05 Hitachi, Ltd. Method of controlling an induction motor
US6670786B2 (en) 1999-04-23 2003-12-30 Hitachi, Ltd. Apparatus for controlling an induction motor
JP2006014406A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Nissan Motor Co Ltd モータ制御装置及びその制御方法
JP4710259B2 (ja) * 2004-06-22 2011-06-29 日産自動車株式会社 モータ制御装置及びその制御方法
GB2432734A (en) * 2005-05-20 2007-05-30 Siemens Ag Apparatus for the braking of inverter driven induction motors
GB2432734B (en) * 2005-05-20 2007-11-14 Siemens Ag Apparatus for the braking of inverter driven induction motors
EP2169820A1 (en) * 2008-09-26 2010-03-31 Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki Alternating-current motor control apparatus
JP2010081726A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Yaskawa Electric Corp 交流電動機の制御装置及びその制御方法
JP2016192882A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 株式会社ジェイテクト モータ制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6690137B2 (en) Sensorless control system for synchronous motor
US7187155B2 (en) Leakage inductance saturation compensation for a slip control technique of a motor drive
JPH031917B2 (ja)
JPS5850119B2 (ja) 無整流子電動機の制御装置
JPH0984399A (ja) 永久磁石同期電動機の制御装置
EP1035645B1 (en) Control device of induction motor
US5481172A (en) Circuit for controlling power converting apparatus
JPH0884500A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JPH07250500A (ja) 誘導電動機の可変速制御装置
JP3054521B2 (ja) 誘導電動機制御装置
EP0121792A2 (en) Vector control method and system for an induction motor
JPH06225574A (ja) 電動機の制御方法及び装置
JPH07123798A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方式
JP3425438B2 (ja) 誘導電動機の駆動装置
JPH07123799A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方式
JPH0870598A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JPH06319285A (ja) 誘導電動機のベクトル制御装置
JPS583586A (ja) サイリスタモ−タのトルク制御装置
JPH0870599A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JP3124019B2 (ja) 誘導電動機の制御装置
JPH08191600A (ja) インバータの電流制御装置
JP3555965B2 (ja) インバータの制御方法
JPH0884499A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置
JP4551104B2 (ja) 多相モータの制御装置
JPH0880096A (ja) 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20010911