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JPH0854746A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

Info

Publication number
JPH0854746A
JPH0854746A JP18822994A JP18822994A JPH0854746A JP H0854746 A JPH0854746 A JP H0854746A JP 18822994 A JP18822994 A JP 18822994A JP 18822994 A JP18822994 A JP 18822994A JP H0854746 A JPH0854746 A JP H0854746A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituent
formula
compound
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18822994A
Other languages
English (en)
Inventor
Itaru Ogawa
格 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP18822994A priority Critical patent/JPH0854746A/ja
Publication of JPH0854746A publication Critical patent/JPH0854746A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 同一原稿からの多数枚複写の可能なメモリー
機能にすぐれた感光体を提供する。 【構成】 光導電層中に下記一般式〔1〕で表されるチ
オケトン系化合物 一般式〔1〕 (式中、ArおよびArは、それぞれ、芳香族炭化
水素基または芳香族複素環基を表す。)および、下記一
般式〔2〕で表されるトリアリールアミン構造を分子中
に1個または複数個含む正孔輸送性アリールアミン系化
合物を含むことを特徴とする電子写真用感光体。 一般式〔2〕 (式中、A,BおよびCは、各々、芳香族炭化水素基ま
たは芳香族複素環基を表し、AとBが合一して全体とし
てひとつの複素環を形成していてもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真用感光体に関
するものである。なかでも、メモリー機能を有する電子
写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式による画像形成法は多くの
分野で実用化されている。特に複写機・プリンターの分
野では、普通紙複写機およびLEDアレイやレーザーダ
イオードなどを光源とする電子写真方式のプリンターと
して広く普及している。複写プロセスとしては、カール
ソン法が一般的であり、感光体への帯電、像露光に
よる静電潜像形成、トナー現像、紙への転写、感
光体のクリーニングの工程を繰返し行なう方法が採られ
ている。同一原稿から多数枚の複写をとる場合でも上記
の各工程を繰返して行なうが、これに対して感光体にメ
モリー機能を持たせ、静電潜像を一定時間保持させ、像
露光の工程を省略して帯電、現像、転写、クリーニング
の工程の繰返しで多数枚の複写をとる静電印刷の方法が
複写時間の短縮等の点で関心が持たれている。
【0003】これは、通常の複写によって処理するには
部数が多すぎるが、印刷専門の会社へ依頼するほどでは
ない数100〜数千枚の部数の印刷処理、すなわち、い
わゆるグレーエリアの需要をみたすものとして待望され
ているものである。こうした用途への応用を目指して、
メモリー機能を有する感光体の研究が以前から行なわれ
ている。
【0004】その例としては、従来、ポリビニルカルパ
ゾール(PVK)層にオルト−ジニトロベンゼンとトリ
クロロ酢酸を添加した感光体(Tappi 56巻,1
29頁,1973年)、ポリビニルカルバゾールと2,
4,7−トリニトロフルオレノン(TNF)からなる感
光層にトリフェニルメタン系色素のロイコ体を添加した
感光体(日本写真学会誌 44巻,104頁,1981
年)、上記感光層にジアゾニウム塩を添加した感光体
(Photographic Scienceand
Engineering,26巻,69頁,1982
年)などが知られている。
【0005】また、PVK−TeNF(テトラニトロフ
ルオレノン)錯体からなる感光層に、銅−TCNQ(テ
トラシアノキノジメタン)錯体微結晶を含むスイッチン
グ層を積層した系(電子写真学会誌 24巻,86頁,
1985年)や、PVKもしくはPVK−TNF錯体か
らなる感光層に電解重合によるポリアニリンやポリピロ
ールなどの導電性高分子からなる層を積層した系(Ja
panese Journal of Applied
Physics,28巻,1396頁および2517
頁,1989年)なども知られている。これらの感光体
は、いずれも強い光を照射した場合に、その帯電性が低
下する現象、すなわち、いわゆる電荷受容性光メモリー
効果を示すものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の感光体は、メモリーの保持能力が不充分で、多数枚の
複写がとれなかったり、感光体を繰り返し使用すること
によるメモリー機能の低下が大きく、感光体の寿命が短
かいなどのさまざまな問題をかかえている。さらに、こ
れらの感光体のなかには、メモリー機能のほかに、通常
のカールソンプロセスで必要とされる帯電・光減衰特性
を有するものがあるが、これらのうちのいくつかについ
ては、メモリー機能の付与に供なって、この帯電・光減
衰特性が低くなってしまうという重大な問題を有してい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな点に鑑み、同一原稿からの多数枚複写の可能なメモ
リー機能にすぐれた電子写真用感光体について鋭意検討
した結果、特定のチオケトン系化合物および特定のアリ
ールアミン系化合物を含む感光体が非常に優れた性能を
示すことを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発
明の要旨は、導電性基体上に、少なくとも光導電層を有
する電子写真用感光体において、該光導電層中に下記一
般式〔1〕で表されるチオケトン系化合物 一般式(1)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Ar1 およびAr2 は、それぞ
れ、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または
置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)お
よび、分子内に、下記一般式(2)で表されるトリアリ
ールアミン構造 一般式(2)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、A,BおよびCは、各々、置換基
を含んでいてもよい芳香族炭化水素基または置換基を含
んでいてもよい芳香族複素環基をあらわし、AとBが合
一してひとつの複素環を形成していてもよい。)を、分
子内に1個または複数個含む正孔輸送性アリールアミン
系化合物を含むことを特徴とする電子写真用感光体にあ
る。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の導電性基体としては、電子写真用感光体に用いら
れる公知の導電性基体がいずれも使用できる。たとえ
ば、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルなどの金
属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属の
箔のラミネート物;あるいは、アルミニウム、銅、パラ
ジウムなどの金属や酸化インジウム、酸化インジウムな
どの金属酸化物、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子
電解質などを蒸着したり、あるいは適当なバインダー等
とともに塗布して表面を導電処理したプラスチックフィ
ルム、紙、プラスチックドラム、紙管、あるいはガラス
管などの絶縁性基体;もしくは金属粉末、カーボンブラ
ック、炭素繊維等の導電性物質を含有させて導電化した
プラスチックのドラムまたはシートがあげられる。これ
らのなかでは、金属ドラムや表面をアルミ等の金属や、
金属酸化物等で導電性処理したプラスチックフィルムが
望ましい。
【0013】導電性基体と光導電層の間には、通常使用
されるような公知のバリヤー層ないしは中間層を有して
いてもよい。その例としては、アルミニウム陽極酸化被
膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機
層;ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デ
ンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、等の
有機層;あるいは、ここであげた有機層の中に、アルミ
ナ、チタニアなどの金属酸化物微粉末を分散させたもの
などがあげられる。
【0014】次に光導電層について説明する。光導電層
は電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの、逆
に積層したもの、または電荷輸送媒体中に電荷発生物質
粒子を分散したいわゆる分散型などいずれも用いること
ができる。更には電荷輸送層のみからなるものでもよ
い。最後の電荷輸送層単層からなる場合には、塗工が1
回のみで安価に製造できるという利点がある。一方、他
の電荷発生層あるいは電荷発生物質粒子を含有する光導
電層をもつ感光体の場合には、メモリー機能のほか、通
常のカールソンプロセスにおいても利用が可能であると
いう利点がある。本発明の一般式(1)のチオケトン系
化合物は、上記の光導電層のどの部分に含まれていても
よい。
【0015】積層型光導電層の場合、電荷発生層に用い
られる電荷発生物質としては、セレン及びその合金、ヒ
素−セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、その他の無
機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリド
ン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、イ
ンジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピロロピロ
ール、ピラントロン、シアニン等の各種有機光導電物質
が使用できる。中でも無金属フタロシアニン、銅塩化イ
ンジウム、塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜
鉛、バナジウム、等の金属又は、その酸化物、塩化物の
配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリ
スアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
【0016】電荷発生層はこれらの物質の微粒子を、例
えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリア
クリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカ
ーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニル
プロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステ
ル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結
着した形の分散層で使用してもよい。この場合の使用比
率は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して30
から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常
0.1μmから2μm、好ましくは0.15μmから
0.8μmである。また電荷発生層には必要に応じて塗
布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感
剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。また電荷発生層
は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
【0017】本発明の単層もしくは積層型感光体の電荷
輸送層は、基本的には正孔輸送性、アリールアミン系化
合物およびバインダーポリマーからなっている。電荷発
生層中に本発明のチオケトン系化合物を添加しない場合
には、この電荷輸送層の中にチオケトン系化合物を添加
する。また、必要に応じて酸化防止剤、増感剤、可塑
剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの各種の添加剤を
含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は、通常5〜60
μm、好ましくは8〜40μmの厚みで使用されるのが
よい。
【0018】次に、電荷輸送層のバインダーポリマーに
ついて説明する。バインダーポリマーとしては、この層
を構成する各化合物、なかでも正孔輸送性アリールアミ
ン系化合物との相溶性が良好であり、更に、電荷キャリ
アーの層内移動に対して悪影響を及ぼさないポリマーが
好ましい。例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタ
ジエン等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリ
ビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、
ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタ
ン、セルロースエステル、セルロースエーテル、アルキ
ド樹脂、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂が
挙げられる。これらの中では、ポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂およ
びフェノキシ樹脂が好ましく、特に、ポリカーボネート
樹脂およびメタクリル樹脂が好ましい。バインダーポリ
マーの使用量は通常、後述する正孔輸送性アリールアミ
ン系化合物に対し、0.1〜30重量倍、好ましくは
0.3〜10重量倍の範囲である。
【0019】分散型光導電層の場合には、上記の電荷輸
送層のような配合比のバインダー樹脂と正孔輸送性アリ
ールアミン系化合物を主成分とし、チオケトン系化合物
を添加したマトリックス中に、前出の電荷発生物質が分
散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さ
いことが必要であり、好ましくは1μm以下より好まし
くは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散され
る電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られ
ず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害が
あり、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、
より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。感
光層の膜厚は、通常、5〜50μm、より好ましくは1
0〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、
可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑
剤、残留電位を抑制するための添加剤分散安定性向上の
ための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング
剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オ
イルその他の添加剤が添加されていても良い。
【0020】なお、光導電層の上に、最表面層として従
来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体
とするオーバーコート層を設けても良い。また、各層の
形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又
は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知
の方法が適用できる。
【0021】さて、本発明に用いるチオケトン系化合物
は、光導電層に対して0.001から20重量%、好ま
しくは0.02から5重量%添加される。二層系の場合
には、電荷輸送層あるいは電荷発生層のいずれに添加し
てもよいが、好ましくは電荷輸送層へ添加して用いられ
る。この化合物は、本発明の感光体において、メモリー
機能を付与する役割を荷うものである。チオケトン系化
合物としては、前記一般式(1)で示される化合物が使
用される。式中、Ar1 ,Ar2 は、芳香族炭化水素基
から誘導される2価の基、もしくは、芳香族複素環から
誘導される2価の基を表し、いずれも置換基を有してい
てもよい。なお、Ar1 とAr2 は同じでも異なってい
てもよい。
【0022】芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフ
タレン、アントラセン、ピレン、フェナントレン、アセ
ナフテン、ビフェニル、フルオレンなどがあげられる。
芳香族複素環としては、ピロール、ピリジン、チオフェ
ン、フラン、カルバゾール、キノリン、アクリジン、フ
ェノチアジンなどがあげられる。
【0023】Ar1 ,Ar2 に含まれていてもよい置換
基としては、アルキル基(好ましくはメチル基、エチル
基等のC1 〜C6 のアルキル基);アルコキシ基(好ま
しくはメトキシ基、エトキシ基等のC1 〜C6 のアルコ
キシ基);フェノキシ基;ナフトキシ基などのアリール
オキシ基;メチルチオ基などのアルキルチオ基;ベンジ
ルオキシ基などのアリールアルコキシ基;アミノ基;メ
チルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、
ジフェニルアミノ基などのモノあるいはジ置換アミノ
基;アリールビニル基;塩素原子、臭素原子などのハロ
ゲン原子などがあげられる。以下に、好ましいチオケト
ン化合物の例を示す (例示化合物 その1) (チオケトン系化合物)
【0024】
【化6】
【0025】なお、チオケトン系化合物は、単独の化合
物を添加してもよいし、ところで、いくつかを適宜混合
して用いてもよい。メモリー機能を付与する添加剤とし
て知られているもののなかには、添加により、メモリー
機能の発現には役立つものの、光導電層が本来持ってい
る光伝導特性あるいは光減衰特性を大きく損なってしま
う場合がある。たとえば、残留電位の上昇、感度の低
下、キャリア移動速度の低下などである。こうした例の
ひとつとしては、たとえば、ポリビニルカルバゾール−
トリニトロフルオレノン光導電層にロイコマラカイトグ
リーンを添加した場合に感度(光減衰速度)が大きく低
下する現象が知られている。(Photoqr.Sc
i.Enq.25 p35(1981)
【0026】これに対して、本発明のチオケトン化合物
の添加の場合には、後に実施例の中で示されるように、
光減衰特性への悪影響がなく、あるいは場合によっては
光減衰特性も向上するといった優れた特徴を有してい
る。以下、本発明に用いる正孔輸送性アリールアミン系
化合物について説明する。
【0027】正孔輸送性化合物は、電荷キャリアーであ
る正孔の輸送担体として作用する。正孔輸送現象は分子
間の電子移動あるいは酸化還元反応と見なすことがで
き、効果的な正孔輸送のためには、イオン化ポテンシャ
ルが小さい電子供与性化合物が適している。アリールア
ミン系化合物は、こうした特性を有する代表的な化合物
である。本発明における正孔輸送性アリールアミン系化
合物は、前記一般式(2)で表されるトリアリールアミ
ン構造を1個または複数個含むものである。すなわち、
このトリアゾールアミン構造からなる化合物、もしく
は、複数、たとえば、2〜5個程度のトリアリールアミ
ン構造(同一でも異なっていてもよい)を、直接、また
は、適当な(たとえば2〜5価の)有機性結合基を介し
て結合させたものである。
【0028】次に、一般式(2)中のA,B,Cについ
て説明する。芳香族炭化水素基としては、フェニル基;
ナフチル基;あるいは、アントラセン、ピレン、フェナ
ントレン、アセナフテン、ビフェニルなどから導かれる
基があげられる。芳香族複素環としては、ピロール、ピ
リジン、チオフェン、フラン、カルバゾール、キノリ
ン、アクリジン、フェノチアジンなどから導かれる基が
あげられる。A,BまたはCに含まれてもよい置換基と
しては、メチル基、エチル基などのアルキル基;メトキ
シ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基;
ナフトキシ基などのアリールオキシ基;メチルチオ基な
どのアルキルチオ基;ベンジルオキシ基などのアリール
アルコキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルア
ミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基など
のモノあるいはジ置換アミノ基;2−フェニルビニル基
などのアリール置換ビニル基;2,2−ジフェニルビニ
ル基などのジアリール置換ビニル基などがあげられる。
なお、これら置換基中にフェニル基などのアリール基が
含まれる場合には、その中に更に上記のアルキル基;ア
ルコキシ基などの置換基を含んでいてもよい。
【0029】また、AとBについては互いに合一して、
全体としてひとつの複素環とを形成していてもよい。そ
のような例としては、2つのベンゼン環が結合し、中央
の窒素原子とともにカルバゾール環を形成する場合があ
げられる。複数のトリアリールアミン構造を結合させる
ための結合基としては、2価以上の有機性結合基であれ
ば何でもよいが、その一例としては、
【0030】
【化7】
【0031】あるいはこれらの中より選んだいくつかを
互いに結合させた結合基があげられる。本発明のアリー
ルアミン系化合物において、トリアリールアミン構造
は、何個含まれていてもよいが、特に望ましくは、下記
一般式(3)の如く、2個を含むものが好ましい。それ
は、1個しかトリアリールアミン構造を含まない化合物
では昇華性を有して光導電層から減少する等の問題が生
じやすく、また、移動度などの特性が不充分である場合
もある一方、3個以上の場合には、化合物の合成・精製
といった製造面での問題や、溶媒やバインダーとの溶解
性・相溶性の問題が生じやすいためである。 (一般式〔3〕)
【0032】
【化8】
【0033】(式中、Ar3 およびAr6 は、各々、置
換基を含んでいてもよい芳香族炭化水素基または置換基
を含んでいてもよい芳香族複素環基を表し、Ar4 およ
びAr 5 は置換基を含んでいてもよい2価の芳香族炭化
水素基、置換基を含んでいてもよい2価の芳香族複素環
基を表す。DおよびEは、置換基を含んでいてもよい芳
香族複素環基を表し、Ar3 とDもしくはAr6 とEが
合一して各々一つの複素環を形成していてもよい。Xは
2価の結合基を表す。) 本発明のアリールアミン系化合物の具体例の一部を以下
に示す。このほか、望ましい化合物の具体例は、特願平
4−110248明細書の例示化合物中に含まれてい
る。 (例示化合物 その2) アリールアミン系化合物
【0034】
【化9】
【0035】
【発明の効果】本発明による、光導電層に特定のチオケ
トン系化合物を含有させた電子写真用感光体は、非常に
安定なメモリー機能を有し、特に、静電印刷用のマスタ
ーとして用いるのに好適である。更に、光導電層中に電
荷発生物質を含有している場合には、通常のカールソン
プロセスに対して必要な帯電光減衰性能も保有してお
り、たとえば、1つの感光体で通常の複写と、メモリー
機能による多数枚印刷の2つの動作に対応できる。更に
は、これらの両機能を組み合わせた、複合型の画像形成
プロセスへの応用も可能である。また、長波長域に感度
を有する電荷発生物質を含有する場合には、帯電光減衰
特性のうち、感度を向上させる効果、すなわち増感効果
をも有している。
【0036】
【実施例】以下、本発明を、実施例により、更に詳細に
説明するが、本発明は、特にこれらに限定されるもので
はない。 実施例−1 下記構造を有するビスアゾ化合物10重量部を150重
量部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2に加
え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行なっ
た。ここで得られた顔料分散液をポリビニルブチラール
の5%1,2−ジメトキシエタン溶液に加え、最終的に
は固形分濃度4.0%の分散液を作製した。この様にし
て得られた分散液を、表面がアルミニウム蒸着されたポ
リエチレンテレフタレートフィルム表面にワイヤーバー
を用いて塗布し、その乾燥膜厚が0.4g/m2 となる
ように電荷発生層を設けた。
【0037】
【化10】
【0038】次に、ビスフェノール−A−ポリカーボネ
ート100重量部に対し、例示化合物(2−1)80重
量部および例示化合物(1−1)0.2重量部を1,4
−ジオキサンに溶解して得られた溶液を、上記の電荷発
生層上にアプリケータを用いて塗布した後、室温で40
分、125℃で20分乾燥させて、乾燥後の膜厚が13
μmの電荷輸送層を設けた。
【0039】このようにして作成した二層系の感光体
(A)を、感光体特性測定装置〔川口電機(株)製、E
PA−8100(以下「EPA」と称す)に装着し、負
のコロナ放電と白色光照射による帯電・光減衰特性(コ
ロナ放電後の帯電圧VO 、VOが半分に落ちるまでに要
する露光量を示す半減露光量E1/2 )を、スタティック
モードで測定した。EPAのスタディックモードとは、
コロナ放電による帯電の後、感光体試料を表面電位計の
透明電極の正面に停止させた状態で、暗時もしくは、光
照射時の表面電位を測定するモードである。この方法に
よって感光体(A)の特性を測定した結果を表1に示
す。表には例示化合物(1)を添加しない以外は同様に
作成した感光体(XA)に対する結果を比較例として示
した。この結果より、感光体(A)は、比較例の感光体
(XA)と同様良好な帯電・光減衰特性を有しているこ
とがわかる。すなわち、本発明のチオケトン系化合物の
添加によって、通常のカールソンプロセスに必要な特性
は影響を受けていない。
【0040】
【表1】 表−1 帯電・光減衰特性(負帯電、白色光) 感光体 添加剤 Vo (-v) E1/2(lux ・ sec) (A) 例示化合物(1) 776 1.29 (XA) なし 734 1.23
【0041】次に、この感光体(A)のメモリー機能
(電荷受容性光メモリー効果)について評価した。この
評価のために、EPAのダイナミックモードにより飽和
帯電圧の測定を行なった。このモードでは、1000r
pmで回転するターンテーブルに感光体試料をセット
し、コロナ放電による帯電装置と、表面電位計の電極の
前を交互に高速で通過させることによって、コロナ放電
による帯電途中の表面電位の推移や、一定時間の帯電後
の飽和帯電圧の測定が可能である。感光体の帯電特性の
測定にあたっては、このようなダイナミックモードによ
っても、また上記の光減衰特性の評価に用いたようなス
タティックモードによっても測定可能である。
【0042】次に述べる比較例の感光体の帯電性の評価
において、スタティックモードによる測定では電位の変
動が大きく、比較を行うための信頼できる帯電性のデー
タが得難く、ダイナミックモードにより、充分安定した
飽和帯電圧を測定せざるを得なかった。そこで、感光体
(A)の帯電性測定についても同じダイナミックモード
を用いることとしたものである。
【0043】感光体(A)に対し、ダイナミックモード
で30秒間の負のコロナ帯電を行なったところ、図−1
の曲線(a)に示すように飽和帯電圧(Vs)は−95
6Vであった。白色蛍光灯(照度5000 lux)で30分間
の全面露光を行なった後、再びVsの測定を行なったと
ころ、図−1の曲線(b)に示すように−403V(初
期値の42%)となり、この感光体(A)は大きな電荷
受容性光メモリー効果を有することが示された。さら
に、この後、時間をおいて同様の測定を行なうことによ
り、メモリー効果の安定性について調べた。図−1の曲
線(c),(d)は各々65分、6時間放置後の結果で
あり、本発明の感光体のメモリー効果が非常に安定で、
6時間後も充分な帯電性のコントラストを維持しうるこ
とがわかる。図2にVsの放置時間に対する推移を横軸
を時間、縦軸を飽和帯電圧として示した。この結果は、
次の頃で示す比較例の感光体(XB)と比べ、本発明の
感光体が静電印刷用マスターに必要とされるメモリー機
能の安定性に優れることを示している。さらに、この感
光体は100℃3分のオーブンによる熱処理を施したと
ころ、感光体の帯電性は、ほぼ初期の状態に復帰した。
(図−1曲線(e))すなわち、メモリー機能は熱によ
って消去可能である。
【0044】比較例−1 本発明の感光体との比較のため電荷受容性メモリー効果
を示す感光体として広く知られているPVK(ポリビニ
ルカルバゾール)−TNF(2,4,7−トリニトロフ
ルオレノン)−LMG(ロイコマラカイトグリーン)か
らなる単層の感光体を作成した。PVK100重量部、
TNF91重量部およびLMG20重量部をTHFに溶
解して、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上に塗
布し、膜厚15μの感光体(XC)を作成した。この系
は、正帯電時にメモリー効果が発現することが知られて
いるので、正のコロナ帯電を用いて、上記実施例と同様
のダイナミックモードでの飽和帯電圧を測定し、この系
のメモリー効果の安定性を調べた。図−3に示す如く、
この比較例の感光体(XC)のメモリー効果は非常に不
安定で回復が速い。
【0045】実施例−2 実施例−1のビスアゾ顔料にかえて、チタニルフタロシ
アニン顔料を用い、同様の手順で二層系の感光体(B)
を作成した。また、この感光体と同様の手順で、例示化
合物(3)を含まない感光体(XB)を作成した。これ
らの帯電・光減衰特性を表−2に示す。なお、光減衰特
性測定時の光源としては780nmの単色光を使用し
た。表の結果より、チオケトン系化合物を含む感光体
は、良好な帯電性を示すとともに、無添加の感光体に比
べ高い感度(小さなE1/2 値)を示している。このよう
に、チオケトン系化合物は、通常のカールソンプロセス
に対して必要な性能を損なわないばかりか、むしろ向上
させていることがわかる。
【0046】
【表2】 表−2 帯電・光減衰特性(負帯電、780nm) 感光体 添加剤 Vo (-v) E1/2(μJ/cm2 ) (B) 例示化合物(1) 717 0.32 (XB) なし 691 0.35
【0047】次に、この感光体(B)のメモリー機能に
ついて調べた。5000 luxの蛍光灯照射(5分間)の前後
に、スタティックモードでの帯電圧測定を行なったとこ
ろ、帯電圧は初期値の39%まで低下し、良好なメモリ
ー機能を有することがわかった。
【0048】実施例−3 実施例−1において作成したシート状の感光体(A)に
透過原稿を重ねて蛍光灯を照射して画像露光を行ない、
感光体上に画像のメモリーを形成した。この感光体をア
ルミドラムに巻きつけて、市販の複写機に装着し、帯電
・現像・転写および定着・クリーニング・除電の各工程
を繰り返したところ、数100枚の良好な画像が得られ
た。すなわち、本発明の感光体は、静電印刷用のマスタ
ーとしての優れた性能を有していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の感光体Aの帯電曲線を示すグラフ
【図2】実施例1における感光体(A)のVsの放置時
間に対する推移を示すグラフ
【図3】比較例1における感光体(XC)のVsの放置
時間に対する推移を示すグラフ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、少なくとも光導電層を
    有する電子写真用感光体において、該光導電層中に下記
    一般式〔1〕で表されるチオケトン系化合物 (一般式〔1〕) 【化1】 (式中、Ar1 およびAr2 は、それぞれ、置換基を有
    していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有して
    いてもよい芳香族複素環基を表す。)および、下記一般
    式(2)で表されるトリアリールアミン構造を分子中に
    1個または複数個含む正孔輸送性アリールアミン系化合
    物を含むことを特徴とする電子写真用感光体。 (一般式〔2〕) 【化2】 (式中、A,BおよびCは、各々、置換基を含んでいて
    もよい芳香族炭化水素基または置換基を含んでいてもよ
    い芳香族複素環基を表し、AとBが合一して全体として
    ひとつの複素環を形成していてもよい。)
  2. 【請求項2】 請求項1における正孔輸送性アリールア
    ミン系化合物が、下記一般式〔3〕で表される化合物で
    あることを特徴とする電子写真用感光体。 (一般式〔3〕) 【化3】 (式中、Ar3 およびAr6 は、各々、置換基を含んで
    いてもよい芳香族炭化水素基または置換基を含んでいて
    もよい芳香族複素環基を表し、Ar4 およびAr 5 は置
    換基を含んでいてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は
    置換基を含んでいてもよい2価の芳香族複素環基を表
    す。DおよびEは、置換基を含んでいてもよい芳香族炭
    化水素基、または置換基を含んでいてもよい芳香族複素
    環基を表し、Ar3 とDもしくはAr6 とEが合一して
    各々一つの複素環を形成していてもよい。Xは2価の結
    合基を表す。)
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