【発明の詳細な説明】
セルロースエステルブレンド発明の分野
本発明は、環境的に非持続性で寸法安定性の製品の製造に有用な新規セルロー
スエステルブレンドに関する。このような寸法安定性製品は、繊維、該繊維から
製造される不織布、フィルム及び成型品を含む。発明の背景
使い捨て商品及びそれらの処理については、相変わらず関心が持たれている。
このような使い捨て製品の例としては、赤ん坊のおむつ、失禁用パンツ、生理用
ナプキン、タンポン、ベッドライナー、差し込み便器、包帯、食品容器、農業用
堆肥シート、プラスチックフォーク、プラスチックナイフ、プラスチックスプー
ン、プラスチックプレート、発泡カップ、プラスチックトレイ、ゴミ袋、巻きタ
バコ用フィルター、及び注射器が挙げられる。他の使い捨て商品の例としては、
安全かみそりの刃の柄、歯ブラシの柄、使い捨て釣り糸、漁網、包装容器類、カ
ップ、ハンバーガー用容器、及び多数の他の商品が挙げられる。このような使い
捨て商品は通常、地方自治体の固形廃棄物の流れに乗る。固形廃棄物の処理が不
適切で、しかも、構造が長期間変わらないため、使い捨て商品は埋めた地に蓄積
する。
さらに、これらの使い捨て商品の多くは、廃棄が頻繁であり、散乱ごみとなる
。使用できる埋め立て地の数は減りつつあり、固形廃棄物の処理コストは上昇の
傾向にある。
このような使い捨て商品は再使用できず、プラスチックリサイクルの流れには
合わない。しかし、このような商品をその炭素分の堆肥化によって実際に再生利
用できたという事実が一般に評価されるようになった。使い捨て商品を堆肥化す
ると、埋め立てる必要のある固形廃棄物の容量が減少し、有用な産物、すなわち
、腐植土が得られる。しかしながら、堆肥化に関しては、このようなリサイクル
の流れに乗せるのに適した堆肥化可能な材料を入手できるかどうかという問題が
ある。
酢酸セルロースのようなセルロースエステルは異質のまたは一定の化学構造を
有すると考えられることが多いが、当業者は、セルロースエステルは実際には、
物理的性質がモノマー組成に劇的に依存するコポリマーであると認識している。
[Buchanan,et al.,Macromolecules,1991,24,3050;同,3060;“Polymer
Blends,Vol.1”,D.R.Paul and S.Newman,Academic Press,1978]。例え
ば、酢酸セルロースは実際には、8個以下のモノマーを含むことができるコポリ
マーである(図1参照)のに対し、セルロースアセテートプロピオネートのよう
なセルロース混合エステルは27個以下のモノマーを含むことができるコポリマー
である。
しばしばアロイと称される混和性ポリマーブレンドは、2種またはそれ以上の
ポリマーの均質混合物である。混和性ポリマーブレンドは代表的には、単一組成
物に依存性のガラス転移温度を有する、光学的に透明な樹脂である。混和性ブレ
ンドは、2種の材料を合した場合に生成される、有益な性質を有する樹脂を形成
できる相溶性ブレンドのサブセットとみなすことができる。
2種またはそれ以上のセルロースエステルのブレンドは一般に知られておらず
、非相溶性で、有用な性質をほとんど持たないと考えられる。
同様な置換度を有するが異なる型の置換基を有する2種の異なるセルロースエ
ステルのブレンドの公知例は、主にPetersenらの研究から得られる[Polym.Pre pr.Am.Chem.Soc.Div.Polym.Chem.
1969,10,385]。Petersenらは、セル
ロースアセテート(CA)/セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、CA/
セルロースアセテートブチレート(CAB)及びCAP/CABブレンドは非相溶性であ
る(すなわち、相は溶解した状態では分離していたか、または透明でないフィル
ムを生じた)と報告した。Kashdanの米国特許第4,795,641号は、生物活性薬剤の
放出制御送達のための、酢酸セルロースとセルロース混合エステルとの非混和性
ブレンドを開示している。
同様な置換基を有するが異なる2種の置換度(DS,「DS」はアンヒドログルコ
ース単位当たりの置換基の数を指し、最大DSは3である)を有する2種の異なる
セルロースエステルのブレンドの公知例は、同様に限定される。Slonimskii(J .Polym.Sci.
,1958,30,625)は、酢酸セルロースI(DS約3)と酢酸セルロ
ースII(DS約2.5)とのブレンドは非相溶性である(すなわち、溶解した状態で
相分離した)ことを開示している。Frieseは未発表の研究において(“Polymer
Blends,Vol.1”,D.R.Paul and S.Newman,Academic Press,1978)、三酢
酸セルロース(DS=3)と二酢酸セルロース(DS約2.5)から得られるフィルム
は、エチレンクロロヒドリン溶液から流延された時には相溶性であるが、1/1 CH
Cl3/アセトンから流延された時には非相溶性であることを示唆している。従って
、以前のこの研究は、エチレンクロロヒドリンから流延されたフィルムは依然と
して溶剤を保持することを示唆する。
セルロースエステルと別のポリマーとの混和性ブレンドがいくつか公知である
。米国特許第3,781,381号は、ポリカプロラクトン及びセルロースエステル混合
物の溶液流延によって得られるブレンド
が混和性であることを開示している。Hubbell及びCooperは、J.Appl.Polym.S ci.
,1977,21,3035において、セルロースアセテートブチレート/ポリカプロ
ラクトンブレンドが実際には非混和性であることを証明した。
米国特許第3,668,157号は、ポリエーテル−ポリエステルのブロックコポリマ
ーがいくつかのセルロースエステルと混和性ブレンドを形成することを開示して
いる。弾性ブロックコポリマーの使用が重要であることが報告された。米国特許
第3,668,157号も対応するホモポリマーエラストマーがセルロースエステルと非
相溶性であったことを開示している。
米国特許第4,506,045号は、ポリエステル−カーボネート及びポリエーテル−
カーボネートコポリマーが多くのセルロースエステルと混和性ブレンドを形成し
、熱可塑性樹脂として有用であることを開示している。
米国特許第4,533,397号は、(A)セルロースエステル97〜70重量%と(B)
同一ポリマー鎖中にエステル部分、カーボネート部分、またはエステル部分とカ
ーボネート部分の両者を有する脂肪族ポリマー化合物3〜30重量%とからなるブ
レンドからコンタクトレンズを製造できることを開示している。米国特許第4,53
3,397号の開示は、脂肪族ポリマー化合物に限定され;脂肪族二酸、芳香族二酸
及び適当なジオールまたはポリオールからなるランダムコポリマーには全く触れ
られていない。米国特許第4,533,397号の開示はさらに、ヒドロキシル重量%が1
.2〜1.95%(DSoH=0.11−0.19)のセルロース混合エステルに限定される。それ
はまた、二成分混和性ブレンドに、また、これらのブレンドの組成範囲(脂肪族
ポリマー化合物3〜30重量%)に限定される。
Scandola(Macromolecules,25,p.6441(1992))及びBuchanan
(Macromolecules,25,p.7373(1992))の開示は、セルロースエステルとポリ
(ヒドロキシブチレート)またはポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート
)との混和性ブレンドに関する。セルロースエステルと芳香族ポリエステルとの
非混和性ブレンドはまた、米国特許第4,770,931号にも開示され、それらは紙代
用品のような用途において有用である。発明の要約
本発明は、置換度(DS)が高いセルロースエステルと置換度が中程度の他のセ
ルロースエステルとを一緒に含むセルロースエステルのブレンドに関する。本発
明はさらに、このセルロースエステルブレンドから得られる寸法安定性の成形品
に関する。さらに詳しくは、本発明は、
(a)2.3〜3.0の高いD.S.及び0.2〜3.0dl/gのインヘレント粘度(温度25℃に
おいてフェノール/テトラクロロエタンの60/40重量部溶液100ml中でサンプル0
.5gに関して測定)を有するセルロースの1種またはそれ以上のC1〜C10エス
テル2〜98重量%、ならびに
(b)1.5〜2.2の中程度のD.S.及び0.2〜3.0dl/gのインヘレント粘度(25℃に
おいてフェノール/テトラクロロエタンの60/40重量部溶液100ml中でサンプル0
.5gに関して測定)を有するセルロースの1種またはそれ以上のC1〜C10エス
テル98〜2重量%(該百分率は成分(a)十成分(b)の重量に基づく)
からなるブレンドに関する。
さらにまた、本発明は、
(c)2.3〜3.0の高いD.S.及び0.2〜3.0dl/gのインヘレント粘度(温度25℃に
おいてフェノール/テトラクロロエタンの60/40
重量部溶液100ml中でサンプル0.5gに関して測定)を有するセルロースの1種ま
たはそれ以上のC1〜C10エステル4〜97重量%、(d)1.5〜2.2の中程度のD.S
.及び0.2〜3.0dl/gのインヘレント粘度(温度25℃においてフェノール/テト
ラクロロエタンの60/40重量部溶液100ml中でサンプル0.5gに関して測定)を有
するセルロースの1種またはそれ以上のC1〜C10エステル2〜95重量%、なら
びに
(e)1種またはそれ以上の脂肪族ポリエステルまたは脂肪族−芳香族ポリエス
テル1〜94%(該百分率は成分(c)十成分(d)+成分(e)の重量に基づく
)
のブレンドに関する。
本発明はらに、本発明のブレンドから得られる寸法安定性の成形品に関する。
本発明の1つの目的は、地方自治体の堆肥化施設において典型的に見られるよ
うな適当な条件下で分解する使い捨て商品の構造に使用できる物質組成を提供す
ることにある。
本発明の別の目的は、繊維、不織布、フィルム及び成型品を含む寸法安定性製
品の構造に本発明のセルロースエステルを使用することである。
本発明のさらに別の目的は、通常セルロースエステルに伴う物理的性質を依然
として保持しながらも材料及び製造コストの低いセルロースエステルブレンドを
提供することにある。
本発明の利点は、高い相溶性と、多くの場合には、高い混和性である。発明の詳細な説明
本発明は、置換度の高いセルロースエステルと置換度が中程度の
他のセルロースエステルとのブレンドに関する。本発明のブレンドはまた、脂肪
族ポリエステル及び/または脂肪族−芳香族ポリエステルと組み合わせて、独特
の且つ/または高められた物理的性質を有するセルロースエステル/セルロース
エステル/ポリエステルブレンドを形成することができる。ここで言う高められ
た物理的性質には、生分解、及び2種またはそれ以上のセルロースエステルを含
まないブレンドに比較して容易な熱処理条件が含まれる。これらのブレンドは、
寸法安定性成形品として、とりわけ、成形品が使い捨て商品として使用される用
途において特に有用である。
D.S.が高いセルロースエステルとD.S.が中程度のセルロースエステルとをブレ
ンドすることにより、生分解速度を有意に減少させることなく、D.S.が中程度の
セルロースエステルのみを用いた場合よりも有意に低い製造コストが得られる。
これは、D.S.が高いセルロースエステルに比べてD.S.が中程度のセルロースエス
テルは製造コストが高いためである。製造コストがより高いのは、反応時間がよ
り長く、生成物の単離がより困難で、しかも、カルボン酸副生成物の回収により
費用がかかるためである。
研究によって、置換度の低い、すなわち1未満のセルロースまたはセルロース
誘導体は生分解性であることが実証された。本明細書中において使用する用語「
生分解性」は、微生物が基質の同化を促進する条件下で基質を微生物に暴露する
場合に微生物及び/またはそれらの酵素がもたらす分解性の型について言う。セ
ルロースは、環境中で嫌気性菌または好気性菌のいずれによっても分解される。
この微生物分解の典型的な最終生成物としては、細胞バイオマス、メタン(嫌気
性菌のみ)、二酸化炭素、水及び他の発酵生成物が挙げられる。究極の最終生成
物は、環境の種類と存在する微生物集団の種類によって決まる。しかしながら、
D.S.が1より大きいセルロ
ースエステルは微生物による攻撃に対して完全に抵抗性であることが報告されて
いる。例えば、Stutzenberger及びKahler(J.Appl.Bacteriology,1986,66,
225)は、酢酸セルロースがThermomonospora curvataによる攻撃に対して極めて
抵抗性であることを報告した。しかしながら、より最近になって、Buchananら(J.Polym.Sci.
,1993,47,1709)は、2.5という高いD.S.を有する酢酸セルロ
ースでも実際にある種の微生物によって分解されるが、酢酸セルロースの分解速
度はD.S.の値によって大きく左右されることを実証した。このことから推して、
D.S.の低いセルロースエステルを組み込んだ物質の組成ほど、高い生分解速度を
示す。
脂肪二酸または低級アルコールの対応するカルボン酸エステルとジオールから
得られるポリエステルもまた、生分解性であることが報告されている。例えば、
Fields及びRodriguez(“Proceedings of the Third International Biodegrada
tion Symposium”,J.M.Sharpley and A.M.Kaplan,Eds.,Applied Science,
Barking,England,1976,p.755)は、C2〜C12二酸とC4〜C12ジオールとか
らポリエステルを製造し、その多くが生分解性であることを確認した。
本発明のセルロースエステルは一般に、構造:
[式中、R1,R2及びR3は、水素または炭素数2〜10の直鎖アルカノイルから
なる群から独立して選ばれる]
の反復単位からなる。
本発明のセルロースエステルとしては、酢酸セルロース、セルロ
ースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートが挙げら
れる。これらのセルロースエステルは、米国特許第1,698,049号;第1,683,347号
;第1,880,808号;第1,880,560号;第1,984,147号;第2,129,052号;及び第3,61
7,201号に記載されており、これらを引用することによってその全体を本明細書
中に取り入れる。
本発明において有用なセルロースエステルは、公知の方法を用いて製造するこ
とができるか、あるいはEastman Chemical Company,Inc.,Kingsport,TN,U.S
.A.から市販されている。
本発明において有用なセルロースエステルは、少なくとも2個のアンヒドログ
ルコース環、代表的には2〜5,000個のアンヒドログルコース環を有し;また、
このようなポリマーは代表的には、0.2〜3.0dl/g)好ましくは1〜1.6dl/g
(25℃の温度において重量比60/40のフェノール/テトラクロロエタン溶液100m
l中で0.5gのサンプルに関して測定)のインヘレント粘度(I.V.)を有する。
好ましいセルロースエステルとしては、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸
セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、セルロースアセテートプロピオネー
ト(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネー
トブチレート(CPB)などが挙げられる。
置換度の高い好ましいセルロースエステル(以下、CE-Hと称する)としては、
DSが3.0〜2.3の酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート及びセル
ロースアセテートブチレートが挙げられる。好ましいCE-Hは、DSが2.6〜2.4及び
I.V.が1.1〜1.5の酢酸セルロースである。別の好ましいCE-Hは、アセチルが1〜
90%のアシル置換基を含む、DSが2.75〜2.45のCAPである。より好ましい
CE-Hは、アセチルが50〜90%のアシル置換基を含む、DSが2.75〜2.45のCAPであ
る。さらに別の好ましいCE-Hは、アセチルが1〜90%のアシル置換基を含む、DS
が2.75〜2.45のCABである。より好ましいCE-Hは、アセチルが50〜90%のアシル
置換基を含む、DSが2.75〜2.45のCABである。
置換度が中程度の好ましいセルロースエステル(以下、CE-Lと称する)として
は、DSが2.2〜1.5の酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート及び
セルロースアセテートブチレートが挙げられる。好ましいCE-LはDSが2.1〜1.7及
びI.V.が1.1〜1.5の酢酸セルロースである。別の好ましいCE-Lは、アセチルが1
〜90%のアシル置換基を含む、DSが2.2〜1.5のCAPである。より好ましいCE-Lは
、アセチルが50〜90%のアシル置換基を含む、DSが2.1〜1.7のCAPである。さら
に別の好ましいCE-Lは、アセチルが1〜90%のアシル置換基を含む、DSが2.2〜1
.5のCABである。より好ましいCE-Lは、アセチルが50〜90%のアシル置換基を含
む、DSが2.1〜1.7のCABである。
本発明のブレンドにおいて有用な脂肪族−芳香族コポリエステルはランダムコ
ポリマーであり、好ましくは、
[式中、R4及びR7は、C2〜C12アルキレンまたはオキシアルキレン;ハロ、
C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシからなる群から独立して選ばれたC2
〜C12アルキレンまたはオキシアルキレン置換基;炭素数5〜10のシクロアルキ
レン;ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4からなる群から独立して選ばれた
1〜4個の置換基で置換されたC5〜C10シクロアルキレンからなる基の1つま
たはそれ以上から選ばれ;R5は、C0〜C12アルキレン
;C2〜C12オキシアルキレン;ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキ
シからなる群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC1〜C12ア
ルキレン;C5〜C10シクロアルキレン;ならびにハロ、C6〜C10アリール及び
C1〜C4アルコキシからなる群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換さ
れたC5〜C10シクロアルキレンからなる基の1つまたはそれ以上から選ばれ;
R6は、C6〜C10アリール;ハロ、C1〜C4アルキル、スルホネート及びC1〜
C4アルコキシからなる群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換された
C6〜C10アリールからなる基の1つまたはそれ以上から選ばれる]
の反復単位からなる。
前記脂肪族−芳香族コポリエステルは10〜1,000個の反復単位からなるのが好
ましい。前記脂肪族−芳香族コポリエステルは15〜600個の反復単位からなるの
がより好ましい。
本発明の脂肪族−芳香族コポリエステルの組成に関しては、ジオールに由来す
る部分であるR4及びR7の合計、及び通常、二酸またはジエステルに由来する部
分であるR5及びR6の合計は各々100%であるものとする。
本発明において、コポリマー中のR5のモル%は30〜97%、R6のモル%は3〜
70%の範囲であることができる。より好ましい範囲は、R5のモル%が45〜85%
で且つR6のモル%が15〜55モル%である場合である。もっとも好ましい範囲は
一般に、コポリエステルとセルロースエステルとの必要な混和性レベル及び所望
の物理的性質に依存するものである。混和性ブレンドに関して最も好ましい範囲
は、R5がグルタル酸であり、コポリエステル中のR5のモル%が70〜85%の範囲
であり且つR6のモル%が15〜30モル%の範囲である場合である。部分混和性ブ
レンドに関して最も好ましい範囲は
、R5がグルタル酸であり、コポリエステル中のR5のモル%が45〜60%であり且
つR6のモル%が40〜55%である場合である。
本明細書中で使用する用語「アルキル」及び「アルキレン」は、直鎖または分
枝鎖部分、たとえば、-CH2-CH2-CH2-CH2-及び-CH2CH(X)-CH2-を指す。また、
シクロアルキル及びシクロアルキレン部分の炭素原子の全てが必ずしも環構造で
はなく、たとえば、炭素数8のシクロアルキル基はシクロオクチルまたはジメチ
ルシクロヘキシルである。用語「オキシアルキレン」は、1〜4個のエーテル酸
素基を含むアルキレン鎖を指す。
本発明において有用な脂肪族ポリエステルの1つの型は、
[式中、R8は、C2〜C12アルキレンまたはオキシアルキレン;ハロ、C6〜C1 0
アリール、及びC1〜C4アルコキシからなる群から独立して選ばれた1〜4個
の置換基で置換されたC2〜C12アルキレンまたはオキシアルキレン;C5〜C10
シクロアルキレン;ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシからなる
群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC5〜C10シクロアルキ
レンからなる基の1つまたはそれ以上から選ばれ;R9は、C0〜C12アルキレン
またはオキシアルキレン;ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシか
らなる群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC1〜C12アルキ
レン;C5〜C10シクロアルキレン;ならびにハロ、C6〜C10アリール及びC1
〜C4アルコキシからなる群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換され
たC5〜C10シクロアルキレンからなる基の1つまたはそれ以上から選ばれる]
の反復単位からなる。用語「アルキル」及び「アルキレン」は前に定義した通り
である。
脂肪族ポリエステルの第2の型は、以下の構造:
[式中、mは整数、すなわち、0〜10であり、且つR10は、水素;C1〜C12ア
ルキル;ハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシからなる群から独立
して選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC1〜C12アルキル;C5〜C10シク
ロアルキル;ならびにハロ、C6〜C10アリール及びC1〜C4アルコキシからな
る群から独立して選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC5〜C10シクロアル
キルからなる群から選ばれる]
の反復単位からなるポリヒドロキシアルカノエートである。
本発明においては、脂肪ポリエステルは、有意な量のカーボネート結合を含ま
ない脂肪族ポリエステルと定義する。さらに、ポリエステルは、縮合法、開環法
、または生物学的方法によって得られるポリエステルと定義する。
ポリエステル及びコポリエステルの製造は公知である(米国特許第2,012,267
号(ここに引用することによってその全体を本明細書中に取り入れる))。この
ような反応は通常、重縮合触媒、例えば、四塩化チタン、二酢酸マンガン、酸化
アンチモン、ジブチル錫ジアセテート、塩化亜鉛、またはそれらの組み合わせの
存在下、150〜300℃の温度において実施する。触媒は代表的には、反応体の総重
量に基づき10〜1000ppmの量で使用する。本発明の目的では、代表的な脂肪族ポ
リエステルはジメチルグルタレートと1,6−ヘキサンジオールとの重縮合物で
ある。このポリエステル、ポリ(ヘキ
サメチレングルタレート)は、ジメチルグルタレートと1,6−ヘキサンジオー
ルとを真空下、100ppmのTiの存在下で約210℃において4時間、次いで260℃にお
いて1.5時間加熱した場合に生成される。代表的な脂肪族−芳香族コポリエステ
ルは、30モル%のテレフタレートを含むポリ(テトラメチレングルタレート−コ
−テレフタレート)である。このポリエステルは、ジメチルグルタレート、ジメ
チルテレフタレート及び1,4−ブタンジオールを、真空下、最初はTi(OiPr)4
として存在する100ppmのTiの存在下で200℃において、1時間、次いで、245℃
において0.9時間加熱した場合に生成される。
配合に使用する前記脂肪族−芳香族コポリエステルはジカルボン酸またはその
誘導体とジオールとの、ポリエステルを形成する任意の組み合わせから製造する
のが好ましい。前記ジカルボン酸は、以下の酸:蓚酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン差、フマル酸、2
,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロ−ペンタンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルナンジカルボ
ン酸、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフトエ酸、1
,5−ナフトエ酸及びそれらのエステル形成性誘導体、ならびにそれらの組み合
わせからなる群から選ばれ、前記ジオールは、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメ
チル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−
トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘ
キサンジメタ
ノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル
−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
CAP-H/CAP-LまたはCAB-H/CAB-Lブレンドと配合するのに好ましい脂肪族−芳香
族ポリエステルは、芳香族ジカルボキシレートのモル%が10〜60モル%であるこ
とができるポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)、ポリ(
テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)、ポリ(エチレングルタレー
ト−コ−テレフタレート)、及びポリ(エチレンアジペート−コ−テレフタレー
ト)である。CAP-H/CAP-LまたはCAB-H/CAB-Lブレンドと配合するのに好ましいポ
リエステルは、グルタル酸またはアジピン酸ジカルボキシレートとエチレングリ
コールからなる。具体例としては、ポリ(テトラメチレングルタレート)、ポリ
(エチレングルタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)及びポリ(エチ
レンアジペート)が挙げられる。CA-H/CA-Lブレンドと配合するのに好ましい脂
肪族−芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボキシレートのモル%が3〜12モル
%であることができるポリ(エチレングルタレート−コ−5−スルホイソフタレ
ート)である。CA-H/CA-Lブレンドと配合するのに好ましい脂肪族ポリエステル
は、コハク酸ジカルボキシレートと、エチレングリコール、テトラメチレングリ
コールもしくはジエチレングリコールから選ばれた2種またはそれ以上のジオー
ルからなる脂肪族コポリエステルである。具体例としては、テトラメチレングリ
コールのモル%が15〜25%であるポリ(エチレン−コ−テトラメチレンスクシネ
ート)、及びジエチレングリコールのモル%が10〜25%であるポリ(エチレン−
コ−ジエチレンスクシネート)が挙げられる。
CE-H(成分(a))とCE-L(成分(b))とのブレンドに関しては、好ましい
ブレンド組成は、CE-Hが10〜50重量%の範囲であり且つCE-Lが90〜50重量%の範
囲である場合である。より好ましい組成は、ブレンドが20〜35重量%のCE-H及び
80〜65重量%のCE-Lからなる場合である。
CE-H(成分(c))、CE-L(成分(d))及びポリエステル(成分(e))の
ブレンドに関しては、好ましい組成は、ブレンドが6〜30重量%のCE-H(成分(
c))、84〜30重量%のCE-L(成分(d))、及び40〜10重量%のポリエステル
(成分(e))からなる場合である。より好ましい組成は、ブレンドが15〜30重
量%のCE-H(成分(c))、75〜50重量%のCE-L(成分(d))及び20〜10重量
%のポリエステル(IIC)からなる場合である。
本発明のブレンドはいずれも、場合によってはさらに、可塑剤、熱安定剤、酸
化防止剤、プロ−オキシダント、酸掃去剤、紫外線安定剤、光崩壊促進剤、無機
顔料、親水性添加剤、疎水性添加剤及び着色剤から選ばれた1種またはそれ以上
の別の添加剤を組成物の総重量に基づき0.001〜50重量%含むことができる。代
表的な可塑剤としては、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、燐酸エステル
、グリコール、フタル酸エステルが挙げられる。代表的な無機顔料としては、タ
ルク、TiO2、CaCO3、NH4Cl及びシリカが挙げられる。着色剤は、モノマー、オリ
ゴマー及びポリマーであることができる。好ましい着色剤は、脂肪族ポリエステ
ル、脂肪族−芳香族コポリエステル、または芳香族ポリエステルであり、発色モ
ノマー、すなわち、染料がポリマー中に共有結合によって組み込まれている。こ
のような代表的なポリマー着色剤は、Weaverらによって米国特許第4,892,922号
、第4,892,923号、第4,882,412号、第4,845,188号、第4,826,903号及び第4,749,
773号に記載されており、ここに
引用することによってそれらの内容を全て本明細書中に取り入れる。これらのポ
リマー染料は、1,5−ビス(O−カルボキシアニリノ)アントラキノン10%を
含むポリ(テトラメチレンテレフタレート)によって代表される。
本発明のブレンドは、溶液流延法または熱的方法によって二次成形して成形品
の形にすることができる。溶液法の例としては、適当な溶剤(例えば、アセトン
、THF、CH2Cl2/MeOH、CHCl3、ジオキサン、DMF、DMSO、AcOMe、AcOEt、ピリジン
)からの繊維の紡糸またはフィルムの流延が挙げられる。溶液法においては、溶
剤の選択はブレンドの組成に依存する。例えば、CE-HがDSが2.5のCAであり且つC
E-LがDSが2.0のCAである酢酸セルロースブレンドに好ましい溶剤は、水9〜15%
を含むアセトンである。
熱的方法においては、ブレンドは溶融温度が120〜250℃であるのが好ましい。
より好ましい溶融温度は160〜220℃である。熱的方法に使用するのに適当な可塑
剤の例としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:フタル酸
ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、
クエン酸トリブチル、クエン酸トリヘキシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプ
ロピル、フタル酸ジブチル、トリアセチン、アジピン酸ジヘキシル、ポリエチレ
ングリコール-400、アジピン酸ジオクチル、またはそれらの混合物。好ましい可
塑剤は、ポリエチレングリコール-400、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル
またはアジピン酸ジオクチルである。我々は、本発明の実施において1つで2つ
の作用を果たすことができる添加剤が得られれば特に望ましいことに気付いた。
これに関連して、ポリエチレングリコール−400のような可塑剤は、可塑剤とし
て、同時に、ブレンドの表面または正味含水量を改質するのに特に有用である添
加剤として作用することができるの
で、本発明の実施に好ましい。
熱的方法においては、ブレンド成分は熱配合によって混合することができる。
最も好ましい方法は、トルクレオメーター、一軸スクリュー押出機または二軸ス
クリュー押出機のような装置中で熱配合することによって行う。熱配合によって
生成されるブレンドは、当業者に知られた多数の方法によって薄手フィルムに転
化できる。例えば、薄手フィルムは、米国特許第4,372,311号に記載されたよう
にして浸漬被覆することによって、米国特許第4,427,614号に記載されたように
して圧縮成形することによって、米国特許第4,880,592号に記載されたようにし
て溶融押出することによって、溶融吹込成形することによって、または他の同様
な方法によって形成することができる。ブレンドは、射出成形によってプラスチ
ック成形品に加工することもできるし、押出によってシートの形態に加工するこ
ともでき、それから製品を切断したり打ち抜いたりする。熱配合したブレンドは
、繊維の溶融押出に使用することもできるし、吹込成形してボトルの形態にする
こともできる。
セルロースエステルブレンドはまた、常用の溶剤から共沈することによって予
備混合することもできる。共沈によって分離されたブレンドは次に、前述のよう
にして熱処理または溶剤処理することができる。熱的方法においては、可塑剤及
び他の添加剤は前述のようにして添加できる。ポリエステル及び他の添加剤は、
熱的方法によって共沈ブレンドに添加して、(II)の三成分ブレンドを形成でき
る。共沈に好ましい溶剤としては、アセトン、アセトン/水、プロピオン酸、酢
酸または酪酸が挙げられる。特に好ましいのは、セルロースエステルの製造の最
後にセルロースエステル反応混合物を混合してから共沈することである。
本発明のブレンドは、フィルム、繊維、ボトルなどのような成形
品の製造に使用でき、それらは寸法安定性で、特に使い捨て商品において有用で
ある。
本発明のブレンドは、薄手フィルムが望ましい包装への用途に有用である。本
発明のブレンドの多くは、遮断層として作用しなければならない且つ/または生
分解性でなければならない場合に、薄手遮断フィルムとして特に有用である。例
えば、これらの樹脂は保護遮断フィルムとして有用であり、赤ん坊のおむつ、失
禁用パンツ、生理用ナプキン、タンポン、ベッドライナー、差し込み便器用ライ
ナー、包帯などのような使い捨て吸収商品に使用することができる。
本発明のフィルムは、2.5×105psi〜0.01×105psiのタンジェントモジュラス
、少なくとも0.5×103psiの引張強さ、少なくとも7.0g/milの平均引き裂き力
及び少なくとも10%の破断点伸びを有するのが好ましい。また、本発明のフィル
ムは、0.1〜20milの厚さ及び2000g/mil/m2−24時間未満の透湿度を有するの
が好ましい。
本発明のブレンドは、使い捨ておむつの他の部材にも使用できる。これらのブ
レンドは、保護遮断フィルムとして使用されるだけでなく、おむつの構造に必要
なタブ、不織布、繊維、テープ及び他の部材として使用できる。
本発明のブレンドはまた、プラスチック成形部品として、または固体の発泡プ
ラスチック製品として有用である。このような部品の例としては、使い捨てナイ
フ、フォーク、スプーン、プレート、カップ、ストローならびに眼鏡フレーム、
歯ブラシの柄、おもちゃ、自動車装備品、工具の柄、カメラの部品、かみそりの
部品、インクペンの軸、使い捨て注射器、ボトルなどが挙げられる。本発明のプ
ラスチック部品、とりわけ、プラスチック部品の表面積を大きくす
る発泡法によって製造したものは、プラスチック部品が環境的に非接続性である
のが望ましい用途において特に有用である。本発明の樹脂から製造した射出成形
用バーは、5.0×105〜0.1×105psiの曲げ弾性率、13×103〜0.1×103psiの曲げ
強さ、及び1.0〜25ft-lb/in.のノッチ付きアイゾッド(23℃)を有する。成形
用バーは3.8×105〜1.5×105psiの曲げ弾性率、11.4×103〜4×103psiの曲げ強
さ及び2〜15 ft-lb/in.のノッチ付きアイゾッド(23℃)を有するのが好まし
い。
本発明のブレンドはまた、繊維として有用である。繊維への用途の例としては
、巻きタバコ用フィルター、おむつの表面シート、生理用ナプキン、釣り糸、漁
網、手術衣を作るための繊維、衛生製品、吸収繊維、液体運搬用繊維などが挙げ
られる。我々は、本発明の樹脂の多くを溶融紡糸することによって強度の優れた
繊維を生成できることを確認した。この繊維は、紡糸後に繊維を延伸することに
よって、または紡糸しながら延伸することによって(キャビネット延伸)、延伸
できる。このブレンドから得られた繊維は、複雑な横断面形を有する繊維の場合
でさえ、優れた保形性を有する。我々はさらに、この繊維には容易に縮れを与え
ることができることを確認した。この樹脂から得られる繊維は代表的には30〜0.
1のデニール/フィラメント(DPF)を有する。好ましいDPFは10〜1.5である。実施例
本明細書中で使用する略語は以下の通りである:「DSC」は示差走査熱量法で
あり;「g」はグラムであり;「psi」はポンド/平方インチであり;「cc」は
立法センチメーターであり:「m」はメーターであり;「rpm」は回転/分であ
り;「vol.」または「v」は容量であり;「wt.」は重量であり;「mm」はマイ
クロメーターであり;「CE」はセルロースエステルであり:「mil」は0.001イ
ンチである。セルロースエステルの命名に関しては、「CA-L」は中程度の置換度
を有する酢酸セルロースであり;「CA-H」は高い置換度を有する酢酸セルロース
であり:「CA」は酢酸セルロースであり、「CAP」はセルロースアセテートプロ
ピオネートである。他の略語は以下の通りである:「PEG400」はMWが400のポリ
(エチレングリコール)であり、「PE」はポリエステルであり;「DOA」はアジ
ピン酸ジオクチルである。ポリエステルの命名に関しては、代表例は以下の通り
である:「PES」はポリ(エチレンスクシネート)であり;「PEG」はポリ(エチ
レングルタレート)であり:「PTG」はポリ(テトラメチレングルタレート)で
ある。
DSCスペクトルは、Du Pont 912 Differential Scanning Calorimeter Spectro
meterを用いて取った。サンプルは室温から20°分-1の加熱速度で135℃まで加熱
し、30秒間同温度に保持してから、0℃まで急冷した。次に、0℃から275℃ま
で20°/分の加熱速度で加熱することによって、2回目の走査加熱曲線を取った
。次いで、急冷後に、0℃から275℃まで20°/分の加熱速度で加熱することに
よって、3回目の走査加熱曲線を取った。
フィルムの引張強さ、破断点伸び及び接線モジュラスは、ASTM法D882によって
測定し;引き裂き力は、ASTM法D1938によって測定する。成形品に関する引張強
さ及び破断点伸びは、ASTM法D638によって;曲げ強さ及び曲げ弾性率はASTM法D7
90によって;アイゾッド衝撃強さはASTM法D256によって測定する。
熱配合。以下の例において、熱的方法によって得られたブレンドは、以下の一
般的方法によって製造した:
(i)成分を合わせて振盪してから、レオメトリックス メカニカル スペク
トロメータ(Rheometrics Mechanical Spectrometer)中で適当な温度で配合す
る。得られた樹脂は代表的には5mmの粒度
まで粉砕する。
(ii)30mmワーナープフライダー(Werner-Pfliderer)二軸スクリュー押出機
上で配合することによって、三成分ブレンドを調製した。代表的な操作は以下の
通りである:この溶融ブレンド法に際しては、別個の供給系、すなわち、各セル
ロースエステルに1つずつの系及びポリエステルに1つの系を用いる。あるいは
、セルロースエステルは、共沈によって、混転によってまたはヘンシェルミキサ
ーのような装置中で予備混合されることもできる。セルロースエステルは一般に
乾燥粉末として添加されるのに対し、ポリエステルは粘稠な液体として添加され
る。セルロースエステルは、アキュレート(AccuRate)供給装置を用いてホッパ
ーから押出機のバレル中に所望の速度で添加される。ポリエステルは窒素下で予
熱され、加熱した供給用タンク中に注がれる。ポリエステルは窒素雰囲気下に保
持され、ステンレス鋼ラインを通して、ギヤーポンプに重力供給され、ギヤーポ
ンプが溶融材料をステンレス鋼ライン(外径1/2インチ)を通して押出機のバ
レルへ移す。この供給系の全てのラインは加熱され、保温される。押出機の生産
速度は10〜50ポンド/時の範囲である。帯域温度は、ポリエステル及びセルロー
スエステルの正確な性質に応じて設定され、一般に、100〜250℃の範囲で変化す
るものとする。その後、押出機から出た材料の2つのストランドは水中で急冷さ
れ、コンエアージェトロ(CONAIR JETRO)ペレット製造機で細断される。
(iii)セルロースエステルとポリエステルとのブレンドを、30mmワーナープ
フライダー二軸スクリュー押出機上で配合して調製する。代表的な操作は以下の
通りである:この溶融ブレンド法に際しては1つの供給材料系を用いる。セルロ
ースエステル及びポリエステルはドライブレンドされ、帯域1において固体とし
て添加される。
ドライブレンドは、アキュレート供給装置を用いてホッパーを通して押出機のバ
レル中に所望の速度で添加される。押出機の生産速度は10〜50ポンド/時である
。帯域温度はポリエステル及びセルロースエステルの正確な性質に応じて設定さ
れ、一般に100〜250℃の範囲である。その後、押出機から出た材料の2つのスト
ランドは水中で急冷され、コンエアージェトロペレット製造機で細断される。
(iv)2種またはそれ以上のセルロースエステルのブレンドを、30mmワーナー
プフライダー二軸スクリュー押出機上で配合することによって調製する。代表的
な操作は以下の通りである:この溶融ブレンド法に際しては1つの供給材料系を
用いた。セルロースエステルは、可塑剤を用いてまたは用いずにドライブレンド
され、帯域1に固体として添加される。あるいは、セルロースエステルは共沈に
よって予備混合されることもできる。ドライブレンドは、アキュレート供給装置
を用いてホッパーを通して押出機のバレル中に所望の速度で添加される。可塑剤
は第2の供給系を介して添加されることができる。押出機の生産速度は10〜50ポ
ンド/時の範囲である。帯域温度はポリエステル及びセルロースエステルの正確
な性質に応じて設定され、一般に100〜250℃の範囲である。その後、押出機から
出た材料の2つのストランドは水中で急冷され、コンエアージェトロペレット製
造機で細断される。
(v)2種またはそれ以上のセルロースエステルのブレンドを、30mmワーナー
プフライダー二軸スクリュー押出機上で配合することによって調製する。代表的
な操作は以下の通りである:この溶融ブレンド法に際しては、別個の供給系、す
なわち、各セルロースエステルに1つずつ系及び可塑剤に1つの系を用いた。セ
ルロースエステルは、アキュレート供給装置を用いてホッパーから押出機のバレ
ル中に所望の速度で添加される。押出機の生産速度は10〜50ポンド
/時の範囲である。帯域温度は、セルロースエステルの正確な性質に応じて設定
され、一般に、100〜250℃の範囲で変化する。その後、押出機から出た材料の2
つのストランドは水中で急冷され、コンエアージェトロペレット製造機で細断さ
れる。
寸法安定性の成形品は代表的には、射出成形によってまたは圧縮フィルム成形
によって形成する。射出成形の場合には、トーヨー(Toyo)90射出成型機を使用
し;正確な加工条件は成形するブレンドによって決まるものであった。圧縮フィ
ルム成形の場合には、樹脂の一部を、2枚の金属プレートの間でブレンドの溶融
温度より高い温度においてプレスして、メルトプレスドフィルムを形成する。例1
一般的な熱的方法(i)に従って、可塑剤としてポリエチレングリコール−40
0を用いて、高置換度の酢酸セルロース(CA-H)と中程度の置換度の酢酸セルロ
ース(CA-L)とのブレンドからメルトプレスドフィルムを調製した。この例は、
これらのブレンドの有用な性質を説明するものであり、ブレンド成分を適当に選
択することによって予測できないほど有用な性質をいかにして得ることができる
かを示す。たとえば、2.4〜1.3の範囲のモジュラスは可塑剤含有量を変えること
なく得られ、(CA-H)が低モジュラスブレンド成分であっても、ブレン組成物が
CA-L/CA-H50/50である場合には最も柔軟なフィルム(低モジュラス)が得られ
る。このような組成物は100%の(CA-H)よりも急速に分解するであろう。
例2
この例は、これらのブレンドから標準射出成形法を用いて寸法安定性を有する
成形品を製造できること、ならびにブレンド比を適当に選択することによって広
範囲の性質を有する樹脂が得られることを示す。例えば、50/50ブレンドは、予
想外の高い衝撃強さと低い曲げ弾性率とを合わせ持つ。これらのブレンドは各々
、DSが中程度の酢酸セルロース(CA-L,DS=2.05)及びDSが高い酢酸セルロース
(CA-H,DS=2.5)と可塑剤としての24%のポリエチレングリコール−400とから
なる。ブレンドは、一般的な熱的方法(iv)に従って、210℃の加工温度及び210
℃の成形温度を用いて調製した。
例3
堆肥化は、固体有機廃棄物の微生物による分解及び土壌への転換として定義で
きる。堆肥の堆積の重要な特性の1つは、それらが自己発熱性であり;熱が、有
機物の代謝分解の天然副産物であることである。堆積の大きさまたはその保温能
力に応じて、熱を捕捉して、内部温度を上昇させることができる。
試験フィルムの生分解可能性を評価するために、小規模の堆肥ユニットを用い
て、地方自治体の固形廃棄物コンポスター中で見られる活性処理法をシミュレー
トした。これらの卓上規模ユニットは、大規模な地方自治体の堆肥プラントを特
徴付ける同一の重要な特徴を示した。出発有機廃棄物は、地方自治体の固形廃棄
物の流れに見られるものを代表するように配合した:炭素:窒素比25:1、含水
量55%、pH中性、容易に分解しうる有機炭素の供給源(例えば、セルロース、蛋
白質、単純炭化水素、及び脂質)、これは、塊中に空気をよく流すことができる
粒度を有していた。堆肥ユニット中に置く前に、試験フィルムは全て、注意深く
乾燥させ、秤量した。試験フィルムは、実験の最初に堆肥と混合し、30日間堆肥
と共にインキュベートした。卓上規模堆肥ユニットの効率を、堆肥の温度分布と
乾燥重量の消失を監視することによって求めた。これらの卓上規模ユニットは代
表的には8時間以内に60〜65℃に達した。15日間インキュベーション後、堆肥中
の乾燥重量の減少は40%であった。中程度のDSを有する酢酸セルロース(CA-L,
DS=2.05)95%及び高いDSを有する酢酸セルロース(CA-H,DS=2.5)5%から
なるブレンドと可塑剤としての24%のポリエチレングリコール−400から製造し
たフィルムを30日間堆肥化した。この実験においては、これらのフィルムは堆肥
化ユニット中の生物活性によって完全に消失した。従って、これらのブレンドの
生分解性が証明された。例4
一連のセルロース1-C14-アセテートをBuchananらの一般的方法(J.Polym.Sc i.
,1993,47,1709)に従って調製した。約1mCiのエステルを各々、インビトロ
濃縮アッセイにおいて30℃でインキュベートした。図2は、標識した1-C14-セル
ロースアセテートからの、微生物による14CO2の生産を示している。15日後、DS
が1.85のCAに関する最初の出発標識の約82%が14CO2に転化され、DSが2.07のCA
に関する標識の約60%が14CO2に転化された。DSが2.57の標識CAはこれに比べて
分解が遅く;15日後に、標識のわずか約40%しか回収されなかった。図2はまた
、比較的に置換度の高いDSが2.07及び2.57のCAに比べて、DSが1.85のCAに関して
は比較的短いラグ・タイムが必要であることを示している。この例は、セルロー
スエステルの多くが本来、生分解性であること;その分解速度がDSのような要因
によって決まることを示している。例5
例1と同様にして調製した一連のCA-L/CA-Hブレンド(DS=2.05/DS=2.5)
を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけた。移動相としては、最初の15分
間は50%H2O/15%MeOH/35%アセトンの混合物を、15分後には20%MeOH/80%
アセトンの混合物を用いた。流速は0.8mil/分であった。結果を図3に示す。こ
の結果から、CA-Lポリマーと及びCA-Hポリマーとが実際には、化学的に異質なコ
ポリマーであることがわかる。例6
一連のCA-L/CA-Hブレンド(DS=2.05/DS=2.5)を溶液法によって調製した
。フィルムを流延する溶剤としてはアセトン/H2Oの混合物を用いた。これらの
フィルムの各々を、DSCを用いて分析した。結果を図4に示す。この図は、CA-L
を0〜25%及び75〜100%含
むブレンドが、混和性ブレンドを表す、単一組成物に依存性のガラス転移温度を
有することを示す。CA-Lを25〜75%含むブレンドは、ブレンド成分のガラス転移
温度の中間に2つのガラス転移温度を有する。このことから、これらのブレンド
が部分混和性(相溶性)ブレンドであることが示される。例1及び2に見られる
予想外の物理的性質は、一部は、図4に示した25〜75%CA-Lブレンドのこのブレ
ンド構造によるものである。例7
一般的な熱的方法(i)に従って、ポリエステル添加剤としてポリ(エチレン
グルタレート)を用いて置換度の高いセルロースアセテートプロピオネート(CE
-H,DS/AGU=2.75)と置換度が中程度のセルロースアセテートプロピオネート
(CE-L,DS/AGU=2.0)とのブレンドからメルトプレスドフィルムを調製した。
フィルムは光学的に透明で、柔軟性であった。この例は、脂肪族ポリエステルを
セルロースエステルブレンドに添加した場合に有用な樹脂が得られることを示し
ている。例8
一般的な熱的方法(i)に従って、ポリエステル添加剤としてポリ(エチレン
−コ−テトラメチレンスクシネート)(テトラメチレンのモル%=20%)を用い
て、置換度の高いセルロースアセテート(CE-H,DS/AGU=2.5)と置換度が中程
度のセルロースアセテート(CE-L,DS/AGU=2.05)とのブレンドからメルトプ
レスドフィルムを調製した。フィルムは光学的に透明で、柔軟性であった。この
例は、脂肪族ポリエステルをセルロースエステルブレンドに添加した場合に有用
な樹脂が得られることを示している。
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、発明の精神及び範
囲内において変更及び修正が可能なことを理解された
い。さらに、前記の全ての特許、特許出願(公告済みまたは未公告、外国または
国内)、参考文献または他の刊行物は、参照することによって本発明の実施に関
連した全ての開示を本明細書中に取り入れる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C08L 1/12 LAC 9362−4J C08L 1/12 LAC
67/02 LNZ 8933−4J 67/02 LNZ
D01F 2/28 7633−3B D01F 2/28 Z
(72)発明者 ホワイト,アラン ウェイン
アメリカ合衆国,テネシー 37664,キン
グスポート,モンツウィーグ コート
228
(72)発明者 ウッド,マシュー デイビー
アメリカ合衆国,テネシー 37615,グレ
イ,フェアウェイ ドライブ 110