【発明の詳細な説明】
発明の名称
認識疾患の治療に有用な神経伝達物質放出増強剤としての
新規な多環式系およびその誘導体発明の分野
本発明は、ジ置換された多環式化合物、その誘導体、医薬組成物および限定す
るものではないけれども、変性神経系疾患のような認識疾患および(または)神
経学的機能不全および(または)気分障害を治療するためにこれらの化合物を哺
乳動物において使用する方法に関するものである。さらに、これらの化合物は、
神経伝達物質に基づく疾患の生化学的機構に関する研究における試薬として使用
することができる。発明の背景
神経系疾患および神経学的欠陥に対する有効な治療がますます要求されている
。これらの疾患の多くは、加齢による、主として神経系における変性変化と相互
関係がある。初期の段階における若干の疾患においては、ある系(例えばアルツ
ハイマー病および重症筋無力症におけるコリン作用系、パーキンソン病における
ドパミン作用系など)が特に影響をうけるけれども、老年痴呆、多発梗塞性痴呆
、ハンチングトン病、精神遅滞などのような疾患の後期の段階においては、多発
性神経伝達物質系の欠如(アセチルコリン、ドパミン、ノルエピネフリン、セロ
トニン欠如)が一般に見出される。このことは、認知的、神経学的、および有効
/精神病的成分を包含する一般に観察される複合的症候を説明する〔Gottfries
,Psycopharmacol.(1985)86:245参照〕。脳におけるアセチルコリンの合成お
よび放出の欠損は、一般に、認識の障害と関係があると考えられている〔Franci
s等、N.Engl.J.Med.(1985)7:313参照〕。これに反して神経学的欠損(例
えばパーキンソン病症候群)および気分/精神変化は、それぞれドパミン作用系
およびセロトニン作用系の欠陥に関係がある。他の神経学的欠損
(例えば重症筋無力症)は、末梢神経系におけるコリン作用欠如に関係がある。
従来使用されている治療方法は、血管作用薬剤、例えばビンカミンおよびペン
トキシフィリン;代謝増強剤、例えばエルゴロイドメシレート、ピラセタムおよ
びナフチドロフリル;神経伝達物質プレカーサー、例えばl−DOPA、コリンおよ
び5−ヒドロキシトリプタミン;伝達物質代謝酵素阻害剤、例えばフィソスチグ
ミン;および神経ペプチド、例えば副腎皮質刺激ホルモンおよびバソプレシン−
関連ペプチドを包含する。パーキンソン病に対するl−DOPA治療および重症筋無
力症に対するコリンエステラーゼ阻害剤治療を除いて、これらの治療方法は、一
般に神経伝達物質の刺激−誘発放出の増強によって情動性系の残留機能を増強す
るのに失敗した。理論的に、このような増強は、情報の化学伝達中のシグナル対
ノイズ比を改善し、それによって、認識、神経学的機能および気分調節に関係す
るプロセスにおける欠損を減少する。
DeNoble等、Pharmacol.Biochem.Behavior(1990)36:957;Cook等、Pharma
col.Biocem.Behavior(1990)19:301;Nickolson等、Pharmacol.Biochem.Beh
avior(1990)19:285および米国特許第4,760,083号(1988)は、すべて、化合
物3,3−ビス−(4−ピリジニルメチル)−1−フェニルインドリン−2−オン
が認識機能不全の治療に有用であることを、試験管内試験によって証明している
。
1992年12月22日に発行された米国特許第5,173,489号は、認識増強剤として有
用である式
(式中、XおよびYは、一緒になって飽和環または不飽和の炭素環式または複素
環式第一環を形成し、該環中の示された炭素は、第一環に縮合した
少なくとも1個の追加的な芳香環またヘテロ芳香環に結合しておりそしてHet1ま
たはHet2の一方は、2、3または4−ピリジニルまたは2、4または5−ピリミ
ジニルでありそして他方は、
(a)2、3または4−ピリジニル、
(b)2、4または5−ピリミジニル、
(c)2−ピラジニル、
(d)3または4−ピリダジニル、
(e)3または4−ピラゾリル、
(f)2または3−テトラヒドロフラニルおよび
(g)3−チエニル
から選択されたものである)のα,α′−ジ置換された芳香族またはヘテロ芳香
族化合物またはその塩を開示している。上記文献は、活性には2個のヘテロアリ
ールペンダン基が必要なことを説明している。
1993年7月22日に公開された欧州特許出願WO 93/14085は、神経伝達物質放出
増強剤として有用である式
(式中、Qは
である)の化合物を開示している。
1993年7月22日に公開された欧州特許出願WO 93/14092は、神経伝達物
質放出増強剤として有用である式
(式中、Qは
である)の化合物を開示している。
上記文献の何れも、Aが6−員の芳香系であり;Bが5−員の複素環式系であ
り、Cが環系AおよびBの間の5−員の環である6−5−5の種類の縮合した多
環式系を有する本発明の化合物を教示または示唆していない。さらに、本発明の
ある化合物、特に多環式環系上の置換分として2−フルオロピリジニルメチル基
を有する化合物は、脳におけるアセチルコリンのレベルを適度に増加させる能力
を有していることが証明された。脳において直接適度にアセチルコリンレベルを
増加させるこの証明された能力は、従来当該技術において説明されている化合物
以上の明らかな且つ予測することのできない有利性である。発明の要約
ある多環式化合物は、神経組織における神経伝達物質、特にアセチルコリンの
刺激−誘発放出を増強し、その結果、能動的回避試験の学習および記憶における
プロセスを改善するということが見出された。さらに、この作用の証拠は、脳の
神経伝達物質であるアセチルコリンレベルの適度な増加によって特徴づけられる
。
したがって、本発明によって、式(I)
によって示される新規な化合物またはその医薬的に許容し得る塩またはプロドラ
ッグが提供される。
上記式において、
Aは、
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環であり;
Bは、
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環であり;
Zは、単一結合、-C(=O)-、-O-、-NP-、-S-、-S(=O)-または-SO2-であり;
Pは、H、フェニル、C1〜C4アルキルまたはベンジルであり;
R2およびR3は、独立してH、F、Cl、Br、I、CF3、OH、R4、-(CH2)nC≡CR5、
-OR4、NR6R6a、-CO2R4、-COR4、-CONH2、-CONHR4、-CONR4R4a、-(CH2)nNR6COR4
または-S(O)mR4であり;
R2aは、H、C1〜C4アルキルまたはフェニルであり;
mは、0、1または2であり;
R4およびR4aは、独立して1〜4個の炭素のアルキルであり;
Het-1およびHet-2のそれぞれは、独立して
からなる群から選択された複素環であり;
それぞれのXは、独立してH、F、Cl、Br、I、CF3、OR4、NR6R6a、NO2また
はCNであり;
Rは、H、-CH2-Phe-W、-CH2-(Het-2)、-(CH2)n-O-COR5、-(CH2)n-CH=CH-R5、
-(CH2)n-C≡C-R5、-(CH2)n-Yからなる群から選択されたものであり;
Wは、H、F、Cl、Br、-CN、CO2R5、R4、OR4、S(O)m-R4であり;
Yは、OR6、NHR6、NR6R6a、NHCOR6、NHCO2R6、CO2R6、-CN、CONHR6、CONR6R6a
、-COR6、-CH2-CH=CHCO2R6、-OCOR6またはCO2Bzであり;
nは、1〜5であり;
R5、R6およびR6aは、独立してHまたは1〜6個の炭素のアルキルであり;
但し、Aが6−員の芳香環またはヘテロ芳香環である場合は、Het-1お
よびHet-2は、両方
(式中、XはHである)から選択されたものでない。
本発明の好ましい化合物は、Aが
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環である式(I)の化合物ま
たはその医薬的に許容し得る塩またはプロドラッグ形態である。
さらに、本発明の好ましい化合物は、
Aが
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環であり;
Bが、
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環である式(I)の化合物ま
たはその医薬的に許容し得る塩またはプロドラッグ形態である。
本発明のもっとも好ましい化合物は、
Aが
からなる群から選択された6員の芳香環またはヘテロ芳香環であり;
Bが
からなる群から選択された芳香環またはヘテロ芳香環であり;
R2がH、I、R4、-C≡CH、-OR4、-NR6R6a、-CO2R4または-(CH2)nNR6COR4であ
り;
R3がHであり;
Het-1およびHet-2が独立して
であり;
Xが、H、F、Cl、BrまたはOR4であり;
Rが、H、3−シアノベンジル−、-CH2-(Het-2)、-(CH2)1-CO2Et、-(CH2)3-C
O2Et、-(CH2)4-OCOCH3、-(CH2)4-CONH2、ベンジル、-(CH2)4-OHおよび-(CH2)4-C
Nからなる群から選択されたものである
式(I)の化合物またはその医薬的に許容し得る塩またはプロドラッグ形態であ
る。
本発明の特に好ましい化合物は、以下の群から選択されたものである。
(a)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン;
(b)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−ペンタンニトリル臭化水素酸塩水和物;
(c)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−酢酸エチルエステル塩酸塩;
(d)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−ブタノールアセテート(エステル)塩酸塩;
(e)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−ペンタンアミド塩酸塩水和物;
(f)2−フルオロ−4−〔4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,
2-B〕チオフェン−4−イルメチル〕−ピリジン;
(g)4−〔4−(フェニル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−イル
メチル〕ピリジン;
(h)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−ブタノール;
(i)4−(4−ピリジニルメチル)−4H−チエノ〔2′,3′:3,4〕シクロペン
タ〔1,2-B〕ピリジン;
(j)4−〔(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル〕−4−(4−ピリジニ
ルメチル)−4H−チエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2-B〕ピリジン;
(k)1,4−ジヒドロ−1−(フェニルメチル)−4,4−ビス(4−ピリジニルメ
チル)−インデノ〔1,2-C〕ピラゾール;
(l)2,4−ジヒドロ−2−フェニル−4,4−ビス(4−ピリジニルメチル)−ピ
ラゾロ〔4,3-B〕ピロリジン;
(m)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−ヒドロキ
シ−9H−フルオレン;
(n)5−(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニル
メチル)−5H−インデノ〔1,2-b〕ピリジン;
(o)5−(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニル
メチル)−5H−インデノ〔2,1-b〕ピリジン;
(p)10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9(10H)−ア
ントラセノン;
(q)9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニ
ルメチル)−9H−キサンテン;
(r)10−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−10−(4−ピリジニ
ルメチル)−9(10H)−アントラセノン;
(s)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−4−アザキサ
ンテン;
(t)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ
〔1,2-b〕ピリジン;
(u)4,4−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−4H−チエノ〔3
′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2-b〕ピリジン;
(v)9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニ
ルメチル)−4−アザキサンテン;
(w)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−メトキシ
フルオレン;
(x)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−メトキシ
−4−アザキサンテン;
(y)10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−3−ヒドロ
キシ−9(10H)−アントラセノン;
(z)10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2,6−ジメト
キシ−9(10H)−アントラセノン;
(aa)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−シクロペンタ
〔1,2-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(bb)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−フェニル
−5H−インデノ〔1,2-d〕ピリミジン;
(cc)10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−3−メトキ
シ−9(10H)−アントラセノン;
(dd)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−インデノ〔
2,1-b〕ピリジン;
(ee)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(エチニ
ル)−5H−インデノ〔1,2-b〕ピリジン;
(ff)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−インデノ
〔1,2-b〕ピラジン;
(gg)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ
〔1,2-d〕ピリミジン;
(hh)5,5−ビス((2−ブロモ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ〔1
,2-b〕ピリジン;
(ii)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−
メチルアミノ)メチル)フルオレン;
(jj)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−
メチル−N−メトキシカルボニルアミノ)メチル)フルオレン;
(kk)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−
メチル−N−アセチルアミノ)メチル)フルオレン;
(ll)10,10−ビス((2−ブロモ−4−ピリジニル)メチル)−9(10H)−アン
トラセノン;
(mm)5,5−ビス((2−クロロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ〔1
,2-b〕ピリジン;
(nn)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−メチル−5
H−インデノ〔1,2-d〕ピリミジン;
(oo)5,5−ビス((2−メトキシ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ
〔1,2-b〕ピリジン;
(pp)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(エチル
)−5H−インデノ〔1,2-b〕ピリジン;
(qq)5,5−ビス((2−クロロ−6−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H
−インデノ〔1,2-b〕ピリジン;
(rr)5,5−ビス((2−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ〔1
,2-b〕ピリジン;
(ss)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(ヨード
)−5H−インデノ−〔1,2-b〕ピリジン;
(tt)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−フルオレ
ン−1−カルボン酸メチルエステル;
(uu)9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニ
ルメチル)−9H−フルオレン−1−カルボン酸,メチルエステル,ラセミ体;
(vv)9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−フルオ
レン−1−アミン;
(ww)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H-シクロペン
タ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(xx)5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニ
ルメチル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸
,メチルエステル,ジ塩酸塩(ラセミ体);
(yy)5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニ
ルメチル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸
,メチルエステル,塩酸塩(−)−異性体;
(zz)5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニ
ルメチル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸
,メチルエステル,塩酸(+)異性体;
(ab)5,5−ビス((6−フルオロ−3−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペ
ンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(ac)5−((6−フルオロ−2−ピリジニル)メチル−5−(4−ピリジニル
メチル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(ad)5,5−ビス((6−フルオロ−2−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペ
ンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(ae)5,5−ビス((3−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペン
タ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン,トリ塩酸塩;
(af)2−フルオロ−4−((9−(4−ピリジニルメチル)−9H−フルオレン
−9−イル)メチル)ピリジン,塩酸塩;
(ag)5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニ
ルメチル)−5H-シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(ah)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)チオキサンテン
−10,10−ジオキシド;
(ai)5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)チオキサンテ
ン−10-オキシド;
(aj)2,6−ジメチル−4−((9−(4−ピリジニルメチル)−9H−フルオレ
ン−9−イル)メチル)ピリジン,ジ塩酸塩;
(ak)5−((2,6−ジメチル−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジ
ニルメチル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン;
(al)5,5−ビス((2,6−ジメチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペ
ンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン,E−2−ブテンジオエート(E-2-butendia
ote)塩。
本発明は、また、式(I)の化合物の治療的に有効な量を疾患にかかった宿主
に投与することによって、アルツハイマー病、パーキンソン病、老年痴呆、多発
梗塞性痴呆、ハンチングトン病、精神遅滞、重症筋無力症などのような神経系疾
患にかかった患者の認識疾患および(または)神経学的機能欠損および(または
)気分および精神障害を治療する方法を提供する。本発明は、また、式(I)の
化合物の治療的に有効な量を含有する医薬組成物を提供する。
本明細書に記載した化合物は、不斉中心を有することができる。すべてのキラ
ル、ジアステレオマーおよびラセミ形態が、本発明に包含される。オレフィン、
C=N二重結合などの多くの幾何学的異性体も、また、本明細書に記載した化合物
において存在することができ、すべてのこのような安定な異性体も本発明に包含
される。
何れの構成または式(I)または何れの他の式において1回より多く記載され
ている全置換分および変数(例えばR1〜R6、m、n、P、W、Y、A、Bなど)
の定義は、他のどの記載定義とも無関係である。また、置換分および(または)
変数の組み合わせは、安定な化合物となる場合にのみ可能である。
本明細書および請求の範囲において使用される“*”は、企図された位置異性
体をより明らかに特定するように、A環およびB環の結合点を示
す。
本明細書および請求の範囲において使用される“アルキル”は、特定の数の炭
素原子を有する分枝鎖状および直鎖状の飽和の脂肪族炭化水素基を包含するよう
に企図するものであり;“アルコキシ”は、酸素橋を経て結合した特定の数の炭
素原子のアルキル基を示し;“シクロアルキル”は、シクロプロピル、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル
のような飽和した環基を包含するように企図するものであり;そして“ビシクロ
アルキル”は、〔3.3.0〕ビシクロオクタン、〔4.3.0〕ビシクロノナン、〔4.4.
0〕ビシクロデカン(デカリン)、〔2.2.2〕ビシクロオクタンなどのような飽和
の二環状の環基を包含するように企図するものである。“アルケニル”は、直鎖
状または分枝鎖状の配置および鎖に沿った何れかの安定な点において存在する1
個または2個以上の不飽和炭素−炭素結合を有する炭化水素鎖、例えばエテニル
、プロペニルなどを包含するように企図するものであり;“アルキニル”は、直
鎖状または分枝鎖状の配置および鎖に沿った何れかの安定な点において存在する
1個または2個以上の三重の炭素−炭素結合を有する炭化水素鎖、例えばエチニ
ル、プロピニルなどを包含するように企図するものである。本明細書および請求
の範囲に使用される“Halo”は、弗素、塩素、臭素および沃素を意味しそして“
対イオン”は、クロライド、ブロマイド、ヒドロキシド、アセテート、サルフェ
ートなどのように小さな負の電荷の種類を示すために使用される。
本明細書および請求の範囲において使用される“アリール”または“芳香環”
は、フェニルまたはナフチルを意味するように企図され;“炭素環式”は、飽和
、部分的に不飽和または芳香族であってよい任意の安定な5〜7員の単環式また
は二環式のまたは7〜14員の二環式または三環式の炭素環、例えばインダニル、
ナフチルまたはテトラヒドロナフチル(テトラリン)を意味するように企図され
る。
本明細書および請求の範囲において使用される“ヘテロ芳香環”および“ヘテ
ロ芳香系”なる用語は、飽和または不飽和でありそして炭素原子およびN、Oお
よびSからなる群から選択された1〜3個のヘテロ原子からなる安定な5〜6員
の単環式または8〜10員の二環式の複素環式環(窒素および硫黄異種原子は、場
合によっては酸化されていてもよく、窒素は、場合によっては四級化されていて
もよく、そして任意の上述した複素環式環がベンゼン環に縮合された任意の二環
式基を包含する)を意味するように企図される。複素環式環は、任意のヘテロ原
子または炭素原子においてそのペンダント基に結合することができ、安定な構造
を与える。本明細書に記載の複素環式環は、得られる化合物が安定である場合に
は、炭素原子または窒素原子上において置換されていてもよい。限定するもので
はないが、このような複素環の例は、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チ
エニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル
、ベンゾチオフェニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニ
ル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2
−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル
、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニルまたはオクタヒドロキノ
リニルを包含する。
本明細書および請求の範囲において使用される“置換された”なる用語は、指
定された原子の標準原子価を超えないことおよび置換が安定な化合物を与えるこ
とを条件として、指定された原子上の任意の1個または2個以上の水素が上述し
た基から選択された基で置換されることを意味する。
“安定な化合物”または“安定な構造”なる用語は、反応混合物からの有用な
純度までの単離および有効な治療剤への処方に耐えるほど十分に安定な化合物を
意味する。
本明細書および請求の範囲において使用される“医薬的に許容し得る塩および
プロドラッグ”なる用語は、酸または塩基塩を製造することによっ
て、または化合物中に存在する官能基を変形が慣用の取扱いまたは生体内で開裂
されてもとの化合物を与えるような方法で変形することによって変形された開示
された化合物の誘導体を意味する。限定するものではないけれども、これらの例
は、アミンのような塩基性残基の鉱酸または有機酸塩;カルボン酸のような酸性
残基のアルカリ塩または有機塩;アルコールおよびアミンのアセテート、ホルメ
ートおよびベンゾエート誘導体などを包含する。
本発明の化合物の医薬的に許容し得る塩は、水または有機溶剤またはこれらの
混合物中で遊離の酸または塩基形態のこれらの化合物を適当な塩基または酸の化
学量論的な量と反応させることによって製造することができる。溶剤としては、
一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニ
トリルのような非水性媒質が好ましい。適当な塩のリストは、Remington's Phar maceutical Sciences
,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA(1985
),1418頁に見出される。この文献の開示を、参照として本明細書に引用する。
本明細書および請求の範囲において使用される“医薬組成物”なる用語は、化
合物および選定される投与方法および標準製薬プラクチスを基にして選択された
医薬担体からなる組成物を意味する。
本明細書および請求の範囲において使用される“治療的に有効な”なる用語は
、神経伝達物質の刺激−誘発放出を増強しそしてそれによって、認識、神経学的
機能および気分調節に関係したプロセスにおける欠損を減少することによって疾
患のある系の残留機能を増強するのに必要な式(I)の化合物の量を意味する。
本明細書および請求の範囲において使用される“治療的に有効な量”なる用語
は、アルツハイマー病、パーキンソン病、老年痴呆、多発梗塞性痴呆、ハンチン
グトン病、精神遅滞、重症筋無力症のような神経系疾患にかかった患者の認識疾
患および(または)神経学的機能欠損および(または)
気分および精神障害を治療するのに有用な量を意味するように企図するものであ
る。さらに、これらの化合物は、神経伝達物質がもととなる疾患の生化学的メカ
ニズムについての研究における試薬として使用することができる。発明の詳細な説明
本発明の化合物は、AおよびBおよび中央の5および6員の環(C)により形
成された三環式環系である“中心基(core Group)”およびCH2-Het-1およびR
からなる“ペンダント基(pendant group)”の二つの部分からなるものとして
記載することができる。
中心基は、以下に記載された方法および以下の文献に記載された方法によって
合成することができる。
Laschtuvka,E.およびHuisgen,R,Chem.Ber.,(1960)93:81;Mazzola,V
.J.,等.,J.Org.Chem.,(1967)32:486;Rault,S.等.,Heterocycles,(1
983)20:477;Laduree,D.およびRobba,M.,Heterocycles,(1984)22:303
;Massa,S.等.,J.Heterocyclic Chem.,(1990)27:1805;およびShen,J-K
.およびKatayama,H.;Chem.Lett.,(1992)451。
これらの文献の説明は、参照として本明細書に引用する。
さらに、本発明の化合物の合成に対して有用な“中心基”は、以下の文献に記
載された方法によって、または報告された方法と同様な方法によって製造するこ
とができる。
アントロンへのアントラキノンの還元は、J.Chem.Soc.1954,274-8;J.Or
g.Chem.1979,44,632-3に記載されているように二チオン酸ナトリウムを使用
して、またはJ.Org.Chem.1981,46,1552-7に記載されているように水素化ア
ルミニウムリチウムを使用することによって達成することができる。合成
Rが-CH2-(Het-2)でありそしてHet-1=Het-2である式Iの化合物は、スキーム
Iに示されたように、適当な“中心基”から製造することができる。
限定するものではないが、アニオンを形成するのに適した塩基は、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド(
LDA)、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムアルコキシド
、カリウムアルコキシド、水素化カリウム、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジド、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムおよび
リチウム−、ナトリウム−またはカリウム−ヘキサメチルジシラジドを包含する
。反応は、非プロトン性溶剤、一般にエーテル、例えば限定するものではないが
、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、グリム、ジグリムまたはジエチル
エーテル(Et2O)、またはベンゼンまたはトルエン中で行うことができる。さら
に、反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルアセトアミド(DMAC
)中で行うことができる。しかしながら、反応剤が非極性溶剤に可溶性である場
合は、反応は、炭化水素溶剤、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエン中で実施することができる。も
しも反応剤が水と相容性である場合は、反応は、水および他の上述した任意の有
機溶剤を含有する溶剤系中で実施することができる。塩基の強度によって、反応
は−78℃〜溶剤の還流温度の温度で行うことができる。典型的には、(II)を相
間移動条件(PTC)下で反応させることによって、(II)のような化合物をビス
−アルキル化してIaを得る。活性メチレン化合物(II)を、接触量のPTC−触媒
、例えばテトラブチルアンモニウムアイオダイドまたはブロマイドを含有する50
%水酸化ナトリウムおよびトルエンの混合
物に懸濁し、そして混合物を例えば4−ピコリルクロライド塩酸塩(2.2当量)
の水溶液で滴加処理してIaを得る。
このようにする代わりに、Rが-CH2-(Het-2)以外のものであるかまたはHet-1
≠Het-2である式Iの化合物は、スキームIIに示された反応順序によって合成す
ることができる。
メチレン化合物(II)を、適当に置換されたピリジンまたはピリミジンカルボ
キシアルデヒドとのアルドール縮合に付して(III)を得る。この化合物(III)
は、水素化硼素ナトリウム、Pd/炭素およびギ酸、Pd/炭素および水素または溶
解する金属、例えば酢酸中の亜鉛で還元して化合物(IV)を得ることができる。
中間体(IV)を、乾燥THFに溶解し、0℃に冷却し、1.1当量のナトリウムまたは
カリウムヘキサメチルジシラジドおよびクラウンエーテルで処理し、不活性ガス
雰囲気下で10〜60分間撹拌し、そしてアルキル化剤X−R(式中、Xは脱離基、
例えばハロゲン、OSO2Meまたはトシルである)の乾燥THF溶液で滴加処理する。
反応混合物を、冷中で1時間および周囲温度で出発物質がクロマトグラフィー法
により検出されなくなるまで
撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、そして残留物を水と塩化メチレンとの
間に分配する。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で
乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮する。純度によって、本発明の化合物は油状
物、ゴム状物質または無定形の固体として集めるか;または適当な溶剤系から再
結晶するか;または、さらにクロマトグラフィー、昇華または蒸留方法によって
精製することができる。化合物はまた、遊離塩基としてまたは医薬的に許容し得
る酸から形成された酸付加塩として存在することができる。さらに、式(I)の
化合物は、ラセミ体、ジアステレオマー混合物または光学的に純粋な異性体とし
て存在することができる。
また、Xが水素以外のものである本発明の化合物は、以下に記載した中間体の
一つを使用して合成しそして本発明の化合物に組み込むことができる。有機合成
の技術に精通した者に知られている方法と一緒に、上述した方法に関連して使用
した場合に、これらの化合物は、式(I)の化合物の合成を可能にする。
以下の表に示される置換されたピリジン出発物質は、文献に報告されているか
または商業的に入手される。
置換されたメチルピリジンの製造を、スキームIIIに示す。
さらに、本発明の置換されたおよび置換されないハロ−メチレンピリジンが文
献に記載されていない場合、既知の出発物質および中間体からの変換をスキーム
IVに示す。
Het-1またはHet-2が置換されたピリミジンである式Iの化合物は、以下の表に
示されるもののような商業的に入手されるかまたは文献に報告されている置換さ
れたピリミジン出発物質から製造される。
式Iのさらなる化合物は、有機合成の技術に精通した者に知られている標準方
法を使用して、本発明の範囲内の化合物の官能基変換によって製造することがで
きる。このような変換のいくつかの例をスキームVに示した。
本発明の他の代表的な化合物は、有機合成の技術に精通した者に知られている
方法を使用して同様な方法で、すなわち、R2、R3またはY基を他の官能基に変換
することによって、合成することができる。一つのこのような例は、相当する酸
(CO2H)に変換されるエステル(CO2R5);またはさらにエーテル(OR5)または
可逆性エステル(O-COR5)に変換することができるアルコール(OH)の場合であ
る。このような場合において、エステルは、けん化して酸(CO2H)を与えること
ができそしてこの酸はアルコールに還元することができる。また、エステルは直
接アルコールに還元することができる。また、可逆性エステル化合物(OC(=O)R5
)に対する他の方法は、エステルを使用して開始することができる。エステルを
アルコールに還元し、次にこのアルコールを、酸ハライドまたは無水物で、また
はN,N-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾールまたは当該技術に精
通した者に知られている若干の他のカップリング剤を使用してアルコールを酸に
カップリングさせることによって、アシル化することができる。
ニトリルは、Nolle1,Org.Syn.Coll.vol.II:586頁により記載されている
操作を使用して水和させて相当するアミドにすることができる。同じアミドをけ
ん化、カルボキシルの活性化およびアンモニアとの反応によって、相当するエス
テルから製造することができる。アンモニアの代わりに第一級または第二級アミ
ンを使用することによって、本発明の他のアミドを製造することができる。相当
するアミンは、アミドの還元によって得ることができる。
本発明の化合物およびこれらの化合物の合成は、さらに以下の実施例および製
造によって説明される。温度は、すべて摂氏である。
製造1
500mlの三頸丸底フラスコに、塩化亜鉛(Et2O中1.0M、75ml)を充填しそして
0℃に冷却した。2−チエニルリチウムの溶液(THF中1.0M、75ml)を、30分に
わたって滴下漏斗を経て加えた。この二相溶液を、さらに1時間撹拌し、それか
らカニューレを経て、THF(120ml)中の2−ヨード安息香酸メチル(13.1g、0.
05モル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.9g、0.0025
モル)の溶液に移した。反応混合物を、室温で一夜撹拌した。水(500ml)を加
えそして得られた乳濁液をセライトを通して濾過した。有機相を分離しそして水
性相をEtOAc(1×500ml、2×250ml)で抽出した。合したEtOAc抽出液を、ブラ
インで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過しそれからさらにMgSO4上で乾燥した。
濾過および濃縮後、粗製のエステルを、還流下で1時間、KOH(5.61g、0.10モ
ル)、水(16.5ml)およびEtOH(65ml)で直接けん化した。反応混合物を、30℃
で濃縮し、水(200ml)でうすめ、EtOAc(3×50ml)、Et2O(1×50ml)で洗浄
しそしてセライトを通して濾過した。水性相を濃塩酸で酸性となしそしてEtOAc
(3×100ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過
し、濃縮しそしてベンゼンとともに共沸した。得られた褐色の油を一夜冷凍乾燥
して定量的収率で酸(10.0g)を得た。
不純な酸を、ベンゼン(113ml)に溶解しそして塩化オキサリル(4.7ml、0.05
3モル)および接触量のDMFで室温で処理した。1時間撹拌した後、反応混合物を
真空蒸発した。残留物を4℃でベンゼン(113ml)に再溶解しそして塩化錫(IV
)(5.7ml、0.053モル)を加えた。反応混合物を、15分(またはTLCにより判断
しで完了するまで)撹拌し、水および1NHClで均質になるまで反応停止しそし
てEt2Oで抽出する。Et2O抽出液を、普通の方法で
処理しそして粗製生成物を、5/1のヘキサン/エーテルを使用してシリカゲル
上で精製して標記化合物(5.8g)を58%の収率で得た。融点99〜100℃。この操
作の変形方法は、2−チエニルリチウムに代る2−チオフェントリメチル錫の使
用および酸クロライドを形成する塩化オキサリルに代る塩化チオニルの使用を含
む。
製造2
ジエチレングリコール中で製造1における出発ケトン(1.28g)の溶液を、16
0℃に加熱し、それからヒドラジン(13.9ml)を添加しそして温度を40分200℃に
上昇した。冷却および水による希釈次いでEt2Oによる抽出単離によって、褐色の
固体を定量的収率で単離した。融点62〜64℃。
2−フルオロ−4−クロロメチルピリジンの製造
磁気撹拌器、還流冷却器、加熱マントルを具備した1000mlの一頸RBFに、2−
フルオロ−4−ビコリン(13.33g、120ミリモル)および四塩化炭素(〜250ml
)、N−クロロサクシンイミド(23.98g、180ミリモル、1.5当量)および過酸
化ベンゾイル(1.5g)を加えた。反応混合物を、6時間加熱還流し、さらに過
酸化ベンゾイル(1.5g)を加えそして加熱を一夜維持した。TLC(1:1のトル
エン/塩化メチレン)により監視した。〔より高い濃度においては、より多いジ
クロロ生成物が形成される〕。反応混合物を、室温またはそれ以下に冷却するこ
とによって処理し、セライトを通して濾過しそして沈殿をCCl4で洗浄した。有機
溶液を、飽和チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、飽和重炭酸ナトリウム、水およ
びブラインで洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後、濾液を蒸発して油を
得、NMRにより生成物の比を測定した。この物質は、さらに精製することなしに
、次の工程に使用することができる。〔上記反応の二つのバッチに対して、生成
物混
合物32.94gを得た。この生成物混合物は、所望の生成物60%、ジクロロ生成物1
6%およびSM24%であった〕。
実施例1
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン
THF(40ml)中で、製造2からのメチレン化合物(1.87g、0.011モル)の溶液
を、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(1.05ml、0.011モル)、KOtBu(1.35g
、0.012モル)と5分反応させた。反応を飽和NH4Cl(100ml)で停止しそしてCH2
Cl2(3×50ml)で抽出した。合したCH2Cl2抽出液を、NH4Clで洗浄し、MgSO4上
で乾燥した。真空濃縮後、粗製の赤色の油を、還流下でAcOH(50ml)中の亜鉛(
11.0g)と反応させた。普通の中和および抽出処理によって、75%の収率で固体
として標記化合物を得た。融点91〜93℃(ヘキサン/酢酸エチル)。
製造3一般的アルキル化法
THF(2ミリモル当り50ml)中の実施例1の化合物(1当量)および18−クラ
ウン−6(0.1当量)の溶液に、0℃で、カリウムヘキサメチルジシラジド(1
当量)を加え次いで45分撹拌した。THF(10ml)中の求電子試薬
(R-Br)〔常にブロマイド〕(1当量)を加えそして反応混合物を、室温で一夜
撹拌した。反応を、CHCl3/飽和NH4Cl(それぞれ50ml)中で停止した。さらにCH
Cl3で抽出した後、合したCHCl3抽出液を、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し
、濾過しそして濃縮した。粗製残留物を、MeOH/CHCl3を使用してシリカゲル上
のカラムクロマトグラフィーにより精製して遊離塩基を得た。特性化は、典型的
には、鉱酸塩(HClまたはHBr)によってなされる。しかしながら、ある場合にお
いては、遊離塩基が好ましい。
実施例2
3−〔4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4
−イルメチル−ベンゾニトリル臭化水素酸塩水和物
操作3において臭化3−シアノベンジルを使用することによって、標記化合物
(C25H18N2S HBr H2O)が92%の収率で得られた。融点246〜251℃(分解)。
実施例3
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−ペン
タンニトリル臭化水素酸塩水和物
操作3において5−ブロモ−バレロニトリルを使用することによって、
標記化合物(C22H20N2S HBr H2O)を33%の収率で得た。融点136℃(分解)。
実施例4
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−酢酸
エチルエステル塩酸塩
操作3において2−ブロモ酢酸エチルを使用することによって、標記化合物(
C21H19N2OS HCl)を75%の収率で得た。融点183〜187℃。
実施例5
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−ブタ
ノールアセテート(エステル)塩酸塩
操作3において酢酸4−ブロモブチルを使用することによって、標記化合物(
C23H23NO2S HCl)を69%の収率で得た。融点186〜190℃。
実施例6
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−ペン
タンアミド塩酸塩水和物
Noller,Org.Syn.Coll.Vo1.II,586頁に記載されている方法を使用するこ
とによって、実施例3のニトリルを、65%の収率で相当するアミド(C22H22N2O
S HCl H2O)に変換した。融点187〜190℃。
実施例7
2−フルオロ−4−〔4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕
チオフエン−4−イルメチル〕−ピリジン
操作3において2−フルオロ−4−ピコリルクロライドを使用することによっ
て、標記化合物(C23H17FN2S)を57%の収率で得た。融点117〜119℃。
実施例8
4−〔4−(フェニル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−イルメチル
〕ピリジン
操作3において臭化ベンジルを使用することによって、標記化合物(C24H19NS
)を20%の収率で得た。融点88〜92℃。
実施例9
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−インデノ〔1,2-B〕チオフェン−4−ブタ
ノール
実施例5の生成物をアルカリ性加水分解にうけしめることによって、標記化合
物を定量的収率で油として単離した。C21H21NOS、MW 335.45、質量スペクトル33
6(M+1)。
製造4
製造1に記載した操作と同様な操作によってそして2−ブロモ−ニコチン酸メ
チルを代用することによって、標記化合物ができる。
実施例10
4−(4−ピリジニルメチル)−4H−チエノ〔2′,3′:3,4〕シクロペンタ〔1,
2-B〕ピリジン
操作4からの生成物を操作2および3において置き換えることによって、標記
化合物(C16H12N2S)を45%の収率で得た。融点178〜181℃。
実施例11
4−〔(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル〕−4−(4−ピリジニルメチ
ル)−4H−チエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2-B〕ピリジン
操作3における出発物質として実施例10の化合物を使用しそして2−フルオロ
−4−ピコリルクロライドを使用することによって、標記化合物(C22H16FN3S)
を92%の収率で得た。融点192〜193℃。
実施例12
Mazzola V.J.等;J.Org.Chem.(1967)32:486に記載されている方法によ
り製造された9H−ピロロ〔1,2a〕インドールを実施例1に記載した操作において
使用して、所望のモノ−ピコリル生成物を得ることができた。
実施例13
9−(4−ピリジニルメチル)−9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチ
ル)−9H−ピロロ〔1,2-A〕インドール
実施例11の製造に出発物質として実施例12の化合物を使用することによって、
標記化合物を得ることができた。
実施例14
1,4−ジヒドロ−1−(フェニルメチル)−4,4−ビス(4−ピリジニルメチル)
−インデノ〔1,2-C〕ピラゾール
DMSO 10ml中のN−ベンジルピラゾインデン(6.1ミリモル)の溶液を、乾燥窒
素下で撹拌しながら、10℃のDMSO/Et2O(1:1)20ml中のKOtBu(1.44g、12.
8ミリモル)の混合物に滴加した。混合物を、30分にわたって、Et2O 30ml中の塩
化4−ピコリル(遊離塩基)(14.6ミリモル)の溶液で滴加処理した。混合物を
、室温で16時間撹拌しそして水100mlに注加した。混合物を、Et2O 100mlで抽出
した。抽出液を、水およびブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過しそして
真空中で濃縮してフォーム状物質(1.8g)を得た。このフォーム状物質を、移
動相としてCH2Cl2を使用してシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー処理した
。適当なフラクション
を合しそして真空中で濃縮した。残留物を、EtOAc/ヘキサンから再結晶して標
記化合物を74%の収率で得た。融点154〜155℃。分析値:C29H24N4に対する計算
値:C81.28;H5.65;N13.08。実測値:C80.73;H5.77;N12.82。質量スペ
クトルm/e429(M+1)。
実施例15
2,4−ジヒドロ−2−フェニル−4,4−ビス(4−ピリジニルメチル)ピラゾロ〔
4,3-B〕ピロリジン
0℃のテトラヒドロフラン中の2,4−ジヒドロ−2−フェニルピラゾロ〔4,3-B
〕ピロリジン(6.1ミリモル)および18−クラウン−6(6.1ミリモル)の溶液に
、カリウムヘキサメチルジシラジド次いで塩化4−ピコリル(14.6ミリモル、ト
ルエン中の遊離を基にした)を加えそして反応混合物を、一夜室温に加温した。
普通の抽出処理および精製後、標記化合物を4%の収率で固体として単離した。
融点169〜170℃。分析値:C26H21N5に対する計算値:C77.40;H5.25;N17.36
。実測値:C77.01;H5.12;N17.18。質量スペクトルm/e404(M+1)。
上記諸実施例に記載した方法を使用することにより、表Iに示される化合物を
製造した。
また、上記諸実施例に記載した方法を使用して、次の化合物を製造した。
実施例61
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−ヒドロキシ−9H
−フルオレン
融点200〜201℃。MS(NH3/CI)m/e401(M+H)。分析値:C25H18F2N2O・0.25H2Oに対
する計算値:C,74.15;H,4.61;N,6.92;F,9.38;実測値:C,73.91:H,5.
10;N,6.39;F,8.94。収率49%。
実施例62
5−(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニル
メチル)−5H−インデノ〔1,2-b〕ピリジン
融点164〜5℃。MS(NH3/CI)m/e368(M+H)。分析値:C24H18FN3・0.25H2Oに対する
計算値:C,77.50;H,5.01;N,11.30;実測値:C,77.63;H,4.85;N,11.20
。収率22%。
実施例63
5−(2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチル
)−5H−インデノ〔2,1-b〕ピリジン
融点163〜4℃。MS(NH3/CI)m/e368(M+H)。分析値:C24H18FN3に対する計算値:C
,78.44;H,4.94;N,11.11;実測値:C,78.10;H,4.78;N,11.36。収率22
%。
実施例64
10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9(10H)−アントラ
セノン
融点156〜157℃。MS(NH3/CI)m/e413(M+H)。分析値:C26H18F2N2O・0.25H2Oに対す
る計算値:C,75.72;H,4.40; N,6.70;F,9.21;実測値:C,75.54;H,4.3
8;N,6.76;F,9.27。収率44%。
実施例65
9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニルメチ
ル)−9H−キサンテン
融点180〜1℃。MS(NH3-CI)m/e383(M+H)。分析値:C25H19FN2O・0.25H2Oに対する
計算値:C,77.60;H,5.08;N,7.24;実測値:C,77.94;H,4.97;N,7.25。
収率3%。
実施例66
9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニルメチ
ル)−9H−キサンテン
融点199〜201℃。MS(NH3-CI)m/e395(M+H)。分析値:C26H19FN2Oに対する計算値
:C,79.17;H,4.86;N,7.10;実測値:C,78.84:H,4.80;N,7.13。収率12
%。
実施例67
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−4−アザキサンテン
融点185〜189℃。MS(NH3-CI)m/e402(M+H)。分析値:C24H17N3F2Oに対する計算値
:C,71.81;H,4.27;N,10.47;実測値:C,71.50;H,4.25;N,10.28。収率
10%。
実施例68
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ〔1,2-b
〕ピリジン
融点137〜40℃。MS(CI/NH3)m/e386(M+H)。分析値:C24H17N3F2に対する計算値:
C,74.79;H,4.45;N,10.90;F,9.86;実測値:C,74.39;H,4.51;N,10.9
1;F,9.91。収率46%。
実施例69
4,4−ビス−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−4H−チエノ〔3′,2
′:4,5〕シクロペンタ〔1,2-b〕ピリジン
融点157〜9℃。MS(CI/NH3)m/e392(M+H)。分析値:C22H15F2N3Sに対する計算値
:C,67.50;H,3.86;N,10.73;S,8.19;実測値:C,67.11;H,3.88;N,10
.69;S,8.34。収率55%。
実施例70
9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニルメチ
ル)−4−アザキサンテン
融点206〜208℃。MS(NH3-CI)m/e384(M+H)。分析値:C24H18FN3O・0.25H2Oに対す
る計算値:C,74.31;H,4.81;N,10.83;実測値:C,74.17;H,4.69;N,10.
67。収率12%。
実施例71
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−メトキシフルオ
レン
融点143〜146℃。MS(NH3-CI)m/e415(M+H)。分析値:C26H20F2N2Oに対する計算値
:C,75.35;H,4.86;N,6.76;実測値:C,75.33;H,4.78;N,6.67。収率54
%。
実施例72
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−メトキシ−
4−アザキサンテン
融点196〜197℃。MS(NH3-CI)m/e432(M+H)。分析値:C25H19F2N3O2に対する計算
値:C,69.60;H,4.44;N,9.74;実測値:C,69.55;H,4.37;N,9.74。収率
8%。
実施例73
10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−3−ヒドロキシ−9
(10H)−アントラセノン
融点219〜221℃。MS(NH3-CI)m/e429(M+H)。分析値:C26H18F2N2O2に対する計算
値:C,72.89;H,4.23;N,6.54;実測値:C,72.97;H,4.19;N,6.48。収率
26%。
実施例74
10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2,6−ジメトキシ−
9(10H)−アントラセノン
融点151〜2℃。MS(CI/NH3)m/e473(M+H)。分析値:C28H22F2N2O2に対する計算値
:C,71.17;H,4.69;N,5.93;F,8.04;実測値:C,70.76;H,4.86;N,5.9
0;F,7.91。収率12%。
実施例75
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−シクロペンタ〔1,2-b
:3,4-b′〕ジピリジン
融点134〜5℃。 MS(CI/NH3)m/e387(M+H)。分析値:C23H16F2N4に対する計算値
:C,71.49;H,4.17;N,14.50;F,9.83;実測値:C,71.08;H,4.00;N,14
.29;F,9.96。収率27%。
実施例76
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−フェニル−5H−
インデノ〔1,2-d〕ピリミジン
融点213〜5℃。MS(CI/NH3)m/e463(M+H)。分析値:C29H20F2N4に対する計算値:
C,75.31;H,4.36;N,12.11;F,8.22;実測値:C,74.98;H,4.31;N,12.0
1;F,8.36。収率30%。
実施例77
10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−3−メトキシ−9(1
0H)−アントラセノン
融点155〜7℃。MS(CI/NH3)m/e443(M+H)。分析値:C27H20F2N2O2に対す
る計算値:C,73.29;H,4.56;N,6.33;F,8.59;実測値:C,72.90;H,4.54
;N,6.24;F,8.55。収率27%。
実施例78
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−インデノ−〔2,1
-b〕ピリジン
融点128〜30℃。MS(CI/NH3)m/e386(M+H)。分析値:C24H17F2N3に対する計算値:
C,74.79;H,4.45;N,10.90;F,9.86;実測値:C,74.50;H,4.24;N,10.7
5;F,9.87。収率35%
実施例79
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(エチニル)−5
H−インデノ−〔1,2-b〕ピリジン
融点139〜40℃。MS(CI/NH3)m/e410(M+H)。分析値:C26H17F2N3に対する計算値:
C,76.27;H,4.19;N,10.26;F,9.28;実測値:C,75.95;H,4.14;N,10.0
9;F,9.18。収率43%。
実施例80
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H-インデノ−〔1,2-
b〕ピラジン
融点119〜20℃。MS(CI/NH3)m/e387(M+H)。分析値:C23H16F2N2に対する計算値:
C,71.49;11,4.17;N,14.50;F,9.83;実測値:C,71.28;H,4.12;N,14.
47;F,9.73。収率68%。
実施例81
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ−〔1,2
-d〕ピリミジン
融点171〜4℃。MS(CI/NH3)m/e387(M+H)。分析値:C23H16F2N4に対する計算値:
C,71.49;H,4.17;N,14.50;F,9.83;実測値:C,71.30;H,4.09;N,14.4
0;F,9.96。収率64%。
実施例82
5,5-ビス((2−ブロモ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ−〔1,2-b
〕ピリジン
融点190℃。MS(CI/NH3)m/e508(M+H)。分析値:C24H17Br2N3に対する計算値:C,
56.83;H,3.38;N,8.28;Br,31.51;実測値:C,57.20;H,3.43;N,8.20;
Br,31.12。収率63%。
実施例83
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−メチル
アミノ)メチル)フルオレン
融点130〜4℃。MS(CI/NH3)m/e428(M+H)。収率92%。
実施例84
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−メチル
−N−メトキシカルボニルアミノ)メチル)フルオレン
油。MS(CI/NH3)m/e486(M+H)。分析値:C29H25F2N3O2・0.5H2Oに対する計算値:C
,70.43;H,5.30;N,8.50;実測値:C,70.65;H,5.08;N,8.53。収率85%
。
実施例85
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−((N−メチル
−N−アセチルアミノ)メチル)フルオレン
融点136〜7℃。MS(CI/NH3)m/e470(M+H)。分析値:C29H25F2N3O・0.25H2Oに対す
る計算値:C,73.48;H,5.42;N,8.86;実測値:C,73.30;H,5.34;N,8.67
。収率79%。
実施例86
10,10−ビス((2−ブロモ−4−ピリジニル)メチル)−9(10H)−アントラセ
ノン
融点182〜3℃。MS(CI/NH3)m/e535(M+H)。分析値:C26H18Br2N2HOに対する計算
値:C,58.45;H,3.40;N,5.24;Br,29.91;実測値:C,58.69;H,3.26;N
,5.22;Br,29.68。収率54%。
実施例87
5,5−ビス((2−クロロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ−〔1,2-b
〕ピリジン
融点188〜90℃。MS(CI/NH3)m/e418(M+H)。分析値:C24H17Cl2N3に対する計算値
:C,68.91;H,4.10;N,10.04;Cl,16.95;実測値:C,68.70;H,3.99;N,
9.95;Cl,16.76。収率48%。
実施例88
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−2−メチル−5H−イ
ンデノ−〔1,2-d〕ピリミジン
融点114〜5℃。MS(CI/NH3)m/e401(M+H)。分析値:C24H18F2N4に対する計算値:
C,71.99;H,4.53;N,13.99;F,9.49;実測値:C,71.88;H,4.52;N,13;
F,9.87。収率31%。
実施例89
5,5−ビス((2−メトキシ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ−〔1,2
-b〕ピリジン
融点138〜40℃。MS(CI/NH3)m/e410(M+H)。分析値:C26H23N3O2対する計算値:C
,76.26;H,5.66;N,10.26;実測値:C,75.84;H,5.54;N,10.14。収率50%
。
実施例90
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(エチル)−5H
−インデノ〔1,2-b〕ピリジン
油。MS(CI/NH3)m/e414(M+H)。分析値:C26H21F2N3対する計算値:
C,75.53;H,5.12;N,10.16;実測値:C,75;H,5.36;N,9.95。収率90%。
実施例91
5,5−ビス((2−クロロ−6−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−イン
デノ〔1,2-b〕ピリジン
融点159〜60℃。MS(CI/NH3)m/e446(M+H)。分析値:C26H21Cl2N3に対する計算値
:C,69.96;4.74,4.68;N,9.41;Cl,15.88;実測値:C,70.00;4.74;N,9
.31;Cl,15.82。収率14%。
実施例92
5,5−ビス((2−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ−〔1,2-b
〕ピリジン
融点177〜9℃。MS(CI/NH3)m/e378(M+H)。分析値:C26H23N3に対する計算値:C
,82.73;H,6.14;N,11.13;実測値:C,82.54;H,6.12;N,11.10。収率90
%。
実施例93
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−7−(ヨード)−5H
−インデノ〔1,2-b〕ピリジン
融点158〜61℃。MS(CI/NH3)m/e512(M+H)。分析値:C24H16F2IN3に対する計算値
:C,56.38:H,3.15;F,7.43;N,8.22;実測値:C,56.83;H,3.17;F,7.5
8;N,8.17。収率25%。
実施例94
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H−フルオレン−1
−カルボン酸メチルエステル
融点126〜127℃。MS(NH3/CI)m/e443(M+H)。分析値:C27H20F2N2O2に対する計算
値:C,73.29;H,4.56;N,6.33;F,8.59;実測値:C,72.99;H,4.56;N,6
.24;F,8.59。収率49%。
実施例95
9−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9−(4−ピリジニルメチ
ル)−9H−フルオレン−1−カルボン酸メチルエステル,ラセミ体
融点144〜6℃。MS(NH3/CI)m/e425(M+H)。分析値:C27H21FN2O2・0.25H2Oに対す
る計算値:C,75.60;H,5.05;N,6.53;F,4.43;実測値:C,75.69;H,4.85
;N,6.42;F,4.26。収率55%。
実施例96
9,9−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−9H-フルオレン−1−
アミン
融点182〜4℃。MS(NH3/CI)m/e400(M+H)。分析値:C25H19F2N3・0.25H2Oに対する
計算値:C,74.34;H,4.87;N,10.40;F,9.41;実測値:C,74.43;H,4.68
;N,10.37;F,9.39。収率25%。
実施例97
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペンタ〔2
,1-b:3,4-b′〕ジピリジン
融点239〜241℃。MS(NH3/CI)m/e387(M+H)。分析値:C23H16F2N4・0.25H2Oに対す
る計算値:C,70.67;H,4.25;N,14.33;F,9.72;実測値:C,70.95;H,4.0
5;N,14.24;F,9.37。収率44%。
実施例98
5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチ
ル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸,メチ
ルエステル,ジ塩酸塩(ラセミ体)
融点181〜9℃。MS(NH3-CI)m/e427(M+H)。分析値:C25H19FN4O2・2HCl・H2Oに対す
る計算値:C,58.04;H,4.48;N,10.83;Cl,13.70;実測値:C,58.45;H,4
.30;N,10.76;Cl,13.73。収率79%。
実施例99
5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニノレメ
チノレ)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸,
メチルエステル,塩酸塩,(−)−異性体
(M+H)。分析値:C25H19FN4O2・HCl・0.5H2Oに対する計算値:C,63.63;H,4.49;
N,11.87;Cl,7.51;実測値:C,63.47;H,4.06;N,11.73;Cl,7.26。収率7
3%。
実施例100
5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチ
ル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸,メチ
ルエステル,塩酸塩,(+)−異性体
(M+H)。分析値:C25H19FN4O2・HCl・0.5H2Oに対する計算値:C,63.63;H,4.49;
N,11.87;Cl,7.51;実測値:C,63.60;H,4.03;N,11.80;Cl,7.01。収率9
0%。
実施例101
5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチ
ル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン−4−カルボン酸,メチ
ルエステル,塩酸塩,(+)−異性体
融点237〜238℃。MS(NH3-CI)m/e387(M+H)。分析値:C23H16N4F2・0.25H2Oに対す
る計算値:C,70.67;H,4.25;N,14.33;F,9.72;実測値:C,70.81;H,4.0
8;N,14.26;F,9.70。収率88%。
実施例102
5−((6−フルオロ−2−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチ
ル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン
融点180〜182℃。MS(NH3-CI)m/e369(M+H)。分析値:C23H17N4F・0.25H2Oに対する
計算値:C,74.08;H,4.73;N,15.02;F,5.09;実測値:C,73.94;H,4.53
;N,14.93;F,4.84。収率81%。
実施例103
5,5−ビス((6−フルオロ−2−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペンタ〔2
,1-b:3,4-b′〕ジピリジン
融点221〜225℃。MS(NH3-CI)m/e387(M+H)。分析値:C23H16N4F2・0.33H2Oに対す
る計算値:C,70.40;H,4.28;N,14.28;F,9.68;実測値:C,70.71;H,4.0
4;N,14.30;F,9.53。収率81%。
実施例104
5,5−ビス((3−メチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペンタ〔2,1
-b:3,4-b′〕ジビリジン,トリ塩酸塩
融点301℃(分解)。MS(NH3-CI)m/e379(M+H)。分析値:C25H22N4・3HCl・2H2Oに対
する計算値:C,57.32;H,5.58;N,10.69;Cl,20.30;実測値:C,57.68;H
,5.41;N,9.96;Cl,20.76。収率71%。
実施例105
2−フルオロ−4−((9−(4−ピリジニルメチル)−9H−フルオレン
−9−イル)メチル)ピリジン,塩酸塩
融点>220℃。MS(CI/NH3)m/e386(M+H)。分析値:C25H21N2F・1.2HCl・0.5H2Oに対
する計算値:C,71.63;H,5.10;N,6.68;F,4.53;Cl,10.15;実測値:C,7
1.40;H,4.86;N,6.54;F,4.14;Cl,10.55。収率13%。
実施例106
5−((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメチ
ル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン
融点228〜230℃。MS(CI/NH3)m/e369(M+H)。分析値:C23H17FN4・0.25H2Oに対する
計算値:C,74.08;H,4.73;N,15.02;実測値:C,74.25;H,4.53;N,15.11
。収率69%。
実施例107
5,5−ビス−(2−フル[オロピリジン−4−イルメチル)チオキサンテン−10,
10−ジオキシド
トルエン(60ml)中のチオキサンテン−10,10−ジオキシド(1.00g、4.3ミリ
モル)、4−クロロメチル−2−フルオロピリジン(1.45g、9.6ミリモル)、
ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(90mg、0.4ミリモル)および50%N
aOH溶液(2.5ml)の混合物を、50〜60℃(内部温度)で18時間撹拌した。周囲温
度に冷却した後、反応混合物を水(100ml)に注加し
そして酢酸エチルで3回抽出した。合した有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過しそ
して真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー処理(1:1のエーテル:ヘ
キサン)して標記生成物(0.68g、Rf0.2)を得た。融点>200℃。NMR(300MHz,
CDCl3):δ8.3(d,2H,J=7),7.9(d,2H,J=7),7.6(t,2H,J=7),7.45(t,2H
,J=7),7.25(d,2H,J=7),6.45〜6.35(m,2H),6.2(s,2H),3.8(s,4H);CI-
HRMS:C25H18F2N2O2Sに対する計算値:449.1135(M+H);実測値:449.1150。
実施例108
5,5−ビス−(2−フルオロピリジン−4−イルメチル)チオキサンテン−10−
オキシド
トルエン(60ml)中のチオキサンテン−10−オキシド(1.00g、4.7ミリモノ
レ)、4−クロロメチル−2−フノレオロピリジン(1.73g、10.3ミリモル)、
ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(90mg、0.4ミリモル)および50%N
aOH溶液(2.5ml)の混合物を、50〜60℃(内部温度)で18時間撹拌した。周囲温
度に冷却した後、反応混合物を水(100ml)に注加しそして酢酸エチルで3回抽
出した。合した有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過しそして真空中で濃縮した。カ
ラムクロマトグラフィー処理(1:1のエーテル:ヘキサン)し次いで分取用TL
C処理によって、標記生成物(5,5−ビス−(2−フルオロピリジン−4−イルメ
チル)−チオキサンテン−10,10−ジオキシドで不純化)(0.12g、Rf0.1)を得
た。融点>200℃。NMR(300MHz,CDCl3):δ8.3(d,1H,J=7),8.2(d,2H,J=7)
,7.9(d,1H,J=7),7.85(d,2H,J=7),7.6(t,2H,J=7),7.5(t,1H,J=7),7
.45
(t,1H,J=7),7.35(t,2H,J=7),7.25(d,1H,J=7),7.15(d,2H,J=7),6.45
〜6.35(m,2H),6.2(s,2H),3.9(s,2H),3.8(s,2H),3.15(s,2H);CI-MS:4
33(M+H)。
実施例109
2,6−ジメチル−4−((9−(4−ピリジニルメチル)−9H−フルオレン−9
−イル)メチル)ピリジン,ジ塩酸塩
融点180℃。MS(CI/NH3)m/e372(遊離塩基に対するM+H)。1H-NMR(300MHz,CDCl3)
:δ8.05(d,2H),7.45(d,2H),7.38(d,2H),7.30(m,4H),6.45(d,2H),6.2
0(s,2H),3.40(s,2H),3.25(s,2H),2.20(s,6H)。収率91%(遊離塩基に対
して)。
実施例110
5−((2,6−ジメチル−4−ピリジニル)メチル)−5−(4−ピリジニルメ
チル)−5H−シクロペンタ〔2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン
融点>240℃。MS(CI/NH3)m/e378(M-H)。分析値:C25H22N4・0.25H2Oに対する計算
値:C,78.40;H,5.92;N,14.63;実測値:C,78.05;H,5.58;N,14.32。収
率73%。
実施例111
5,5−ビス((2,6−ジメチル−4−ピリジニル)メチル)−5H−シクロペンタ〔
2,1-b:3,4-b′〕ジピリジン,E−2−ブテンジオエート塩
融点98〜101℃(分解)。MS(NH3-CI)m/e407(M+H)。分析値:C27H26N4・C4H4O4・1.
2H2Oに対する計算値:C,67.74;H,6.05;N,10.19;実測値:C,67.64;H,6.
48;N,8.71。収率50%。
実施例112
5,5−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)−5H−インデノ〔1,2-c
〕ピリダジン
融点219〜20℃(分解)。MS(CI/NH3)m/e387(M+H),278(M+H-C6H4NF),169(M+H)-
2(C6H4NF)。分析値:C23H16F2N4に対する計算値;C,71.49;H,4.17;F,9.83
;N,14.50;実測値:C,71.21;H,4.13;F,9.80;N,14.45。収率22%。
本発明を特定の実施化に関して記載したけれども、これらの実施化の詳細な説
明は限定するものとして解釈されるべきではない。種々の同等物、変化および変
形は、本発明の精神および範囲から離脱することなしに当該技術に精通せし者に
よって容易になし得るものでありそしてこのような均等の実施化は本発明の一部
であるということは理解されるべきである。
式(I)の化合物は、神経伝達物質放出活性を有しそして記憶障害を減少
するのに有効である。本発明の化合物は、それ自体で、アルツハイマー病、パー
キンソン病、老年痴呆、多発梗塞性痴呆、ハンチングトン病、精神遅滞、重症筋
無力症のような神経系疾患にかかった患者の認識疾患および(または)神経学的
機能欠損および(または)気分および精神障害の治療に利用される。
本発明の化合物の神経伝達物質放出活性は、標準生化学検査操作、例えば以下
に記載するような神経伝達物質放出検査を使用して測定することができる。記憶
障害の減少に有効である本発明の化合物の能力は、以下に記載するような標準行
動検査操作、例えばラットの受動回避(PA)低酸素誘発記憶喪失モデルにおいて
証明される。神経伝達物質放出検査
本発明の化合物の神経伝達物質(ACh)放出活性は、Mulder等〔Brain Res.,(
1974)70:372〕により記載されている操作の変形法であるNickolson等〔Drug D
evelopment Research(1990)19:285〜300〕により記載されている検査よって
測定した。
体重175〜200gの雄のウィスターラット(Charies River)を使用した。ラッ
トを断首しそして脳をすぐ解剖した。頭頂皮質(parietal cortex)からのスラ
イス(厚さ0.3mm)(約100mgの湿潤重量)を製造しそして10μCiの3H−コリン(
比活性度約35Ci/mM;NEN)および、10mMの標識しないコリンを1ミクロモルの
最終濃度を与えるように添加したNaCl(116mM)、KCl(3mM)、CaCl2(1.3mM)
、MgCl2(1.2mM)、KH2PO4(1.2mM)、Na2SO4(1.2mM)、NaHCO3(25.0mM)およ
びグルコース(11.0mM)を含有する10mlのクレブスリンガー培地(KR)中でイン
キュベートした。脳標本は、O295%/CO25%の定常流下で37℃で30分インキュ
ベートした。これらの条件下において、標本によりとられた放射性コリンの一部
は、コリン作用神経終末により放射性アセチルコリン(ACh)に変換されシナプ
ス小胞に貯蔵されそして高カリウムイオン(K+)含有培地による脱分極により
放
出される。
ACh貯蔵の標識後に、スライスを非−放射性KR培地で3回洗浄しそしてスーパ
ーフュージョン(superfusion)装置に移して、ACh放出に対する薬剤の作用を測
定した。スーパーフュージョン装置は、スライス(約10mg組織/カラム)を支持
するために、GF/Fガラス繊維フィルターを具備した直径5mmの10本のサーモス
タットガラスカラムからなる。スーパーフュージョンは、10mMのヘミコリン−3
(HC-3)を含有する、KR−培地(0.3ml/分)において実施した。HC-3は、スー
パーフュージョン中にリン脂質および放出されたAChから形成されたコリンの再
取込みを防止する。このコリンは、標識されていないAChに変換されそして予備
形成された標識されたAChに優先して放出される。培地は、スーパーフュージョ
ンカラムに入れる前に、25−チャンネル蠕動ポンプ(Ismatec by Brinkman)に
より供給しそしてサーモスタット鋼製コイル中で37℃に加熱した。それぞれのカ
ラムは、低〜高K+/KR−培地の急速な変化を可能にする4−方向のスライダー
バルブ(Beckman装置)および薬剤−無含有〜薬剤含有の低および高K+/KR−
培地を変化するために使用される二つの10−チャンネル3−方向バルブを具備し
ている。非−特異的に結合した放射能の15分の流失後に、各4分のフラクション
の収集を開始した。3回の4分の収集後に、もとの培地を、KCl濃度が25mMの(
高K+培地)(S1)に増加されたKR−培地に変化させた。高K+/KR−培地に
よる放出の脱分極−誘発刺激を4分つづけた。それから薬剤無含有の低および高
K+/KR−培地を、薬剤−およびベヒクル−含有の低および高K+/KR−培地に
より置換しそしてスーパーフュージョンを、低K+/KR−培地による3回の4分
の収集、高K+/KR−培地(S2)による1回の4分の収集および低K+/KR−
培地による2回の4分の収集に対してつづけた。
薬剤は、低または高K+/KR−培地を使用して薬剤(0.9%生理食塩水中)の1
00倍希釈により培地に加えた。比較の目的のために、リノピルジンも
また使用した。
すべてのスーパーフュージョンフラクションを、液体シンチレーションカウン
ティングバイアル中に集めた。スーパーフュージョン後、スライスをスーパーフ
ュージョンカラムから除去しそして0.1N HCl 10mlで抽出した。Liquiscint(NE
N)カウンティング液体(12ml)をスーパーフュージョンフラクションおよび抽
出液に加えそしてPackard Tricarb液体シンチレーションカウンターでカウント
した。補正は、クエンチングに対して行わなかった。
S2/S1の比(薬剤がS2中存在しなかった場合のコントロールに対する比
較)は、刺激−誘発アセチルコリン放出を増強また抑制する薬剤の能力の測定値
である。
本発明の代表的化合物を、神経伝達物質放出検査において試験しそして、神経
伝達物質の薬剤−誘発放出に有効であることが見出された。薬剤−誘発ACh放出
の増加%として表示された結果は、以下の表IIに示される通りである。ラットの受動回避(PA)−低酸素誘発記憶喪失
体重165〜210gの絶食していない雄のCDラットを、次の操作を使用して、PA装
置中で訓練した。ラットを2つの区画室の明るい側に入れそして暗室に入るまで
90秒が認められた。暗室に入った10秒後に3秒の足ショック(1.0mA)をグリッ
ド床に適用し次いでさらに10秒後に他の3秒の足ショックを適用した。滞留を4
時間後に試験した。ラットは、暗室に入るまで300秒が認められた。記憶破壊は
、受動回避訓練前に、ラットを、窒素を補給した6.5%の酸素を含有するガス混
合物に30分さらすことによって誘発した。試験化合物の投与量は、PA訓練の時間
に関して投与した(0.1ml/100g SC)。
本発明の代表的化合物を、ラットの受動回避(PA)低酸素誘発記憶喪失モデル
において試験しそして低酸素(Mann-Whitney U試験を使用するベヒ
クルとは有意に異なる)により起る記憶障害の減少に有効であることが見出され
た。メジアン滞留ラテンシーの結果は、以下の表IIおよび表IIIに示す通りであ
る。微小透析操作
雄のウイスターラットを麻酔にかけそしてガイドカニューレを、背側海馬のレ
ベルにおいて脳に定位固定的に移植する。最低72時間の回復後に、透析プローブ
(直径0.5mm、長さ4.0mm、BASから)を、ガイドカニューレを通して海馬に挿入
する。プローブは、100μMのフィソスチグミン硫酸塩(コリンエステラーゼ阻
害剤)を含有する人工脳脊髄液体で2μl/分の速度で潅流する。ラットを、試
料収集の前に、2時間順応させる。透析物試料(40μl)を20分毎に収集しそし
てすぐに、アセチルコリン(ACh)の電気化学検出を具備した高性能液体クロマ
トグラフィー(HPLC-EC)に注入する。3つの基準線試料の収集後に、薬剤また
はベヒクルコントロールを体重1g当り0.01mlで投与しそして透析物試料をさら
に3時間進める。薬剤投与前の3つの試料のAChのピークの高さを一緒に平均化
して基準線AChレベルを測定する。薬剤投与後のAChのピークの高さを測定しそし
て基準線AChレベル以上の変化%を測定する。実験の終りにおいて、プローブ配
置は、組織的に確かめる。HPLC-EC ACh検査
AChは、逆相クロマト・グラフィー(Hamilton PRP-1カラム150×4.5mm)によ
り分離しそして固定した酵素反応器カラム(BAS)上でアセテート、ベタインお
よび過酸化水素に変換する。それから、過酸化水素を電気化学的に検出する。ク
ロマトグラフィーに対する移動相は、0.2MのNa2HPO4、0.1mMのEDTA、0.5mMのSO
S、0.9mMのTMA・Clからなり、そのpHは燐酸で8.0に調節しそして細菌増殖を遅延
するために、移動相のそれぞれ1l当りカトンCG(Kathon CG)(ESA)50mlを加
えた。結果
図AおよびBは、生体内でラットの海馬におけるAChレベルを増加する化合物
の能力に対する、、アントロンおよびアザフルオン中心基のペンダント基の弗素
置換の作用を示す。1mg/kgで投与された実施例64の化合物を除いて、化合物は
、すべて、5mg/kgで試験した。腹腔内的に投与された米国特許第5,137,489号
の実施例611の場合を除いて、化合物は経口的に投与された。米国特許第5,137,4
89号の実施例611の化合物は、ベヒクル投与後観察されたレベル以上にAChレベル
に影響を与えなかった(A図)。これは、経口投与方法よりも大なる生物学的利
用能を与える筈である投与方法(腹腔内)により化合物を投与した場合でも観察
された。他方において、米国特許第5,137,489号の実施例611の化合物のビス−弗
素化類似体である本発明の実施例68の化合物は、1時間にわたって維持されたAC
hレベルの2倍の増加を与えた(図A)。米国特許第5,137,489号のアントロン化
合物である実施例440の化合物は、5mg/kgで、基準線以上72%のピークAChレベ
ルを与えた(図B)。米国特許第5,137,489号の実施例440の化合物のビス−フル
オロ類似体である本発明の実施例64の化合物は、1mg/kgで、基準線以上100%
以上のピークに達するAChレベルの延長された増加を与えた。米国特許第5,137,4
89号の実施例440の化合物の観察された作用とは著しく異なって、本発明の実施
例64の化合物の投与後のAChレベルの増加は全体の試験期間(3時間)に対して
維持された。すべての微小透析試験からのデータは、表IVに示す通りである。
図1.
生体内でのラットの海馬におけるAChレベルに対する米国特許第5,137,489号の実
施例611*対本発明の実施例88の作用の比較。検査は、方法に記載されたように
遂行された。データは、それぞれの処理方法における少なくとも4匹の動物から
の結果である。
図2.
生体内でのラットの海馬におけるAChレベルに対する米国特許第5,137,489号の実
施例440*対本発明の実施例64の作用の比較。検査は、方法に記載されたように
遂行された。データは、それぞれの処理方法における少なくとも4匹の動物から
の結果である。
ACh%(補正)−次式(ACH試験%−100%)/(pos.コントロール-100%)×100
を使用して原データから計算した。
EC50−少なくとも3つのデータ点の投与量−応答曲線のスロープから計算した(
濃度0.3μM−10μM)。
本発明の化合物は、また、神経学的機能、機能不全および疾患の生化学的研究
における試薬または標準として使用することもできる。投与および処方
本発明の化合物は、哺乳動物または患者の体中の活性剤の作用部位と活性剤の
接触を与える何れの手段によっても、認識疾患および(または)神経学的機能欠
損および(または)気分および精神障害を治療するために投与することができる
。化合物は、個々の治療剤としてまたは治療剤の組み合わせとして医薬に関して
使用される何れの普通の手段によっても投与することができる。化合物は、単独
で投与することができるが、一般に、化合物と選定された投与方法および標準製
薬プラクチスを基にして選択された医薬担体からなる。医薬組成物として使用さ
れる。
投与される投与量は、既知のファクター、例えば特定の剤の薬力学的特性およ
び投与方法、患者の年齢、体重および健康状態、病状の性質および程度、同時処
理の種類、処理の頻度、および望まれる効果などによって変化される。上記疾患
および状態の治療に使用するにあたっては、本発明の化合物は1日につき、体重
1kg当たり活性成分0.001〜100mgの投与量で経口的に投与することができる。普
通1日につき1〜4回の分割した投与量のまたは徐放性処方の0.01〜10mg/kg/
日の投与量が望ましい薬理学的作用を得るのに有効である。
投与に適した投与形態(医薬組成物)は、1単位当たり活性成分約1〜100mg
を含有する。これらの医薬組成物において、活性成分は普通、組成物の全重量を
基にして約0.5〜95%重量の量で存在する。
活性成分はカプセル、錠剤および粉末のような固体の投与形態でまたはエリキ
サー、シロッブおよび(または)懸濁液のような液体の形態で経口的に投与する
ことができる。本発明の化合物はまた、滅菌された液状の投与処方として非経口
的に投与することもできる。
ゼラチンカプセルは活性成分および適当な担体、例えば限定するもので
はないが、ラクトース、、殿粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸また
はセルロース誘導体を含有させるために使用することができる。同様な希釈剤は
、圧縮された錠剤を製造するためにも使用することができる。錠剤およびカプセ
ルは、一定の時間連続した医薬の放出を与えるために徐放性生成物として製造す
ることができる。圧縮された錠剤は、不快な味を遮蔽するためにまたは活性成分
を大気から保護するためにまたは胃腸管内で錠剤を選択的に崩壊するために、糖
被覆またはフィルム被覆することができる。
経口的投与用の液状の投与形態は、患者の許容性を増加させるために、着色剤
および風味剤を含有することができる。
一般に、水、医薬的に許容し得る油、生理食塩液、水性デキストロース(グル
コース)および関連した糖溶液、グリコール、例えばプロピレングリコールまた
はポリエチレングリコールが非経口的溶液に適した担体である。非経口的投与用
の溶液は、好ましくは活性成分の水溶性塩、適当な安定剤、および必要に応じて
緩衝物質を含有する。抗酸化剤、例えば単独または組み合わされた酸性亜硫酸ナ
トリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸が適当な安定剤である。また
クエン酸およびその塩、およびEDTAも使用される。さらに非経口的溶液は、防腐
剤、例えばベンザルコニウムクロライド、メチル−またプロピル−パラベン、お
よびクロロブタノールを含有することができる。
適当な医薬担体は、この分野における参考書である“Remington's Pharmaceut
ical Sciences”A.Oselに記載されている。
本発明の化合物を投与するための有用な医薬投与形態を、以下に説明する。カプセル
それぞれのカプセルが粉末状の活性成分100mg、ラクトース150mg、セルロース
50mgおよびステアリン酸マグネシウム6mgを含有するようにして標
準の2−片硬ゼラチンカプセルに充填することによって多数の単位カプセルを製
造する。軟ゼラチンカプセル
消化性油、例えば大豆油、綿実油またはオリーブ油中の活性成分の混合物を製
造しそして容量形ポンプによってゼラチンにポンプ注入して、活性成分100mgを
含有する軟ゼラチンカプセルを形成させる。カプセルを洗浄しそして乾燥する。錠剤
投与単位が活性成分100mg、コロイドニ酸化珪素0.2mg、ステアリン酸マグネシ
ウム5mg、微小結晶性セルロース275mg、殿粉11mgおよびラクトース98.8mgであ
るようにして、多数の錠剤を普通の方法によって製造する。美味性および遅延さ
れた吸収を増加させるために、適当な被膜を適用することができる。注射液
水中のプロピレングリコールの10容量%を含有する溶液に、活性成分1.5重量
%を溶解することによって、注射による投与に適した非経口的組成物を製造する
。溶液は普通使用される技術により滅菌する。懸濁液
それぞれの5mlが微粉砕された活性成分25mg、ナトリウムカルボキシメチルセ
ルロース200mg、安息香酸ナトリウム5mg、ソルビトル溶液U.S.P.1.0gおよびバ
ニリン0.025mlを含有するようにして、経口投与用の水性懸濁液を製造する。鼻用噴霧剤
それぞれの1mlが活性成分10mg、メチルパラベン1.8mg、プロピルパラベン0.2
mgおよびメチルセルロース10mgを含有するようにして、水溶液を製造する。溶液
は1mlのバイアルに分配する。肺吸入器
活性成分の最終濃度が1容器当たり10mgであり、そして容器中のポリソルベー
ト80の最終濃度が1重量%であるようにして、ポリソルベート80中の活性成分の
均質な混合物を製造する。混合物をそれぞれの缶に分配し、バルブを缶にクリン
プしそして必要な量のジクロロテトラフルオロエタンを加圧下で加える。
上述した開示は、当業者が本発明を実施するのに必須であると思われる全ての
情報を包含する。引用した出願はさらに有用な情報を与えるので、これらの出願
は参照として本明細書に引用する。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 409/06 213 7602−4C C07D 409/06 213
471/04 112 7602−4C 471/04 112Z
487/04 137 9271−4C 487/04 137
491/052 7019−4C 491/052
495/04 105 9165−4C 495/04 105A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG,KP,K
R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO
,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,
TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 アール,リチヤード・アラン
アメリカ合衆国デラウエア州19810―1143.
ウイルミントン.ロスロード43